2010年4月16日金曜日

鳩山首相の評価は定まった。

※この日米の信頼関係は既にない。外務省Webサイトから転載。
 第2次世界大戦終了60周年記念式典にて

鳩山首相「最大の敗者」 核安保サミットで米紙

米紙ワシントン・ポストは14日付で、核安全保障サミットで最大の敗者は日
本の鳩山由紀夫首相だと報じた。最大の勝者は約1時間半にわたり首脳会談を
行った中国の胡錦濤国家主席とした。鳩山首相について同紙は、「不運で愚か
な日本の首相」と紹介。

「鳩山首相はオバマ大統領に2度にわたり、米軍普天間飛行場問題で解決を約
束したが、まったくあてにならない」とし、「鳩山さん、あなたは同盟国の首
相ではなかったか。核の傘をお忘れか。その上で、まだトヨタを買えというの
か。鳩山首相を相手にしたのは、胡主席だけだ」と皮肉った。

(産経新聞 2010/04/15)


先日の核安全保障サミットで、鳩山首相に対する米国の評価が赤裸
々になってしまいました。
もともと、多くの国が、公式会談を行っている中で、夕食会の中の
10分程の、非公式会談しか与えられなかったという事自体が、非礼
に近い扱いである訳ですが、その中で、普天間五月決着への「協力」
を求めた説明に対してオバマ大統領は、「きちんと責任をとれるの
か」と確認したと言います。ワシントンポストは、鳩山首相は、一
年に満たない短い在任期間の中で、普天間問題に関しては過去二回
オバマ大統領との約束を反故した為に、その信頼を失っているとし
ています。

鳩山首相の発言は、その時々で主張している内容が変っており、各
所で行った矛盾する約束によって自縄自縛(じじょうじばく)に陥
っています。この様子をワシントンポストは、increasingly loopy
と捻って表現しています。

鳩山首相の言葉に、信頼が置けないというのは、残念ですが、内外
の多くの人々のコンセンサスになっています。戦後、日本の首相が
米国の大統領に、ここまで不信感を与えたのは、本当に初めての事
と思います。

今から、思えば、小泉首相の扱いは、米国の大統領の内懐に飛び込
めたという意味で、戦後日本外交の到達点を示すものであったのか
も知れません。小泉首相の退陣時にブッシュ大統領が、小泉首相の
エルビス・プレスリーの旧宅訪問に同行したのは、本当に例外的な
ものであったと言えます。

それから、三年余りの間に、日本の首相が米国の新聞から嘲笑され
る様になってしまったのは、まさに転落以外の何者でもありません。
鳩山首相は、「日中関係が良くなれば、日米関係も米中関係も良く
なる」と海外誌のインタビューで述べたそうですが、民主党政権に
なって、それ程中国との関係が良好になったとも思えません。確か
に、小沢幹事長が百人以上の議員を引き連れて中国訪問はしました
が、胡錦濤主席と写真を撮っただけで、日中間の懸案事項が解決し
たとはとても言えません。その上、同盟国である米国との信頼関係
を破壊したのでは、どうしようもありません。

悲劇的なのは、どうも鳩山首相は、レトリックではなく、本気で、
日米中等距離外交を狙っていると米国に受け取られている事です。
私は、米国留学経験もある鳩山首相は、本音では、米国との同盟関
係が一番重要と考えていると考えています。しかしながら、民主党
の党首として、自民党政権との違いを強調せざるを得ない事や、連
立政権を組む社民党や、民主党内の反米派に迎合せざるを得ない事
から、ことさらに、アジア重視の姿勢や米国との対等の関係を強調
せざるを得なかったと考えています。そして、それをカバーする為
に、日米首脳会談では、米国にリップサービスを連発したのではな
いかと思うのです。

しかし、会談後は国内の政治情勢もあって米国の期待を裏切らざる
を得なくなったと言う訳です。鳩山首相からすれば、各所のニーズ
に、その都度適切に対応したつもりなのでしょうが、結果的に、全
ての期待を裏切ったとしか言えないのです。

「滅びへの道は善意で舗装されている」と言われる様に、政治の世
界では、全てが結果によってのみ判断されます。今の処、全く結果
を出しておらず、また、結果をだす見込みもない鳩山首相は無能と
いう評価しか得られないという事だと思われます。


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2010年4月15日木曜日

岡田外相 職責より信念を優先するのであれば、速やかに辞職せよ!

※写真は産経新聞Webサイトより転載

「竹島、韓国不法占拠」信念で言及しない意固地外相 国会追及、宗男氏も参戦

日本固有の領土であるにもかかわらず韓国が不法占拠している竹島(韓国名・
独島)について岡田克也外相が日本政府の立場である「韓国の不法占拠」とい
う表現を国会答弁で避けている問題が14日の衆院外務委員会で取り上げられ
た。新藤義孝議員(自民)の質問。岡田外相は自らの信念と繰り返し、韓国へ
の抗議など具体的対応への言及を避けた。

質疑途中には鈴木宗男衆院外務委員長が、韓国側への具体的な対応内容を資料
で明らかにするよう求める一幕もあった。主な質疑内容を再現する。

新藤氏「信念として『不法占拠』という言葉を使わないのはなぜか」

岡田氏「これは韓国に対してだけではない。よく聞いてください。ロシアにも
同様だ。感情を排してしっかり議論する。交渉当事者として必要だと思うからだ」

新藤氏「それは政治家としての信念か、外相としての信念か。政権内で協議し
たうえでのことか」

岡田氏「ひとつの言葉遣いについてまで首相に判断を仰いでいない、外務大臣
としての私の判断だ」

新藤氏「私は外交交渉の場で相手と対峙(たいじ)した席上、面前で使えと求
めているのではない。ここは国会である。そこで日本政府の立場すら口にしな
い。それでは及び腰で弱腰という誤ったメッセージを送ることになるのではな
いか。国民に対応内容を明かさないのも問題で、ヘリポートの改修には抗議し
てやめさせる必要があるのではないか」

武正氏「累次の機会にしっかりと日本の立場を伝えている。個別やりとりを明
らかにすることは差し控えたい」

鈴木氏「累次の機会というが、資料としてきっちり出してください」

岡田氏「副大臣答弁の通り(資料提出は控えたい)」

鈴木氏「答弁した内容に沿って資料を出してくださいといっているだけだ。累
次の機会というがそれを何を指すのか明らかにしてほしい」

新藤氏「委員長からもあったように、対応を明らかにしないのはおかしい。岡
田外相は摩擦を起こすまいとして韓国側に一度も『竹島』と言ってこなかった
といわれている。韓国はますますエスカレートさせている。政府として事態を
表に出して公表して抗議し、日韓の外交協議の場を作ってほしい」

岡田氏「さきほどからいろいろ言っているが私の責任で決める」

新藤氏「黙ってろということか。日本国民は知らなくていいというつもりか」

岡田氏「外交は外務大臣の責任でやると申し上げた。今までのやり方ではだめ
で、私の信念でやっていくということだ」

(産経新聞 2010/04/14)


日本の外務大臣が、「日本の国益を主張しない」と言い張る奇妙な
事態が進行しています。
岡田外務大臣は、竹島や北方領土の現状を、韓国やロシアに不当占
拠されているという表現は使わないと言い張っています。
岡田外務大臣の言うように、それがもし、不当占拠でないならば、
今までの日本の主張とは、異なり、両国が、竹島と北方領土を占有
しているのには、法的な根拠があると言う事になり、法的な根拠が
あるならば、日本に返還する根拠も、またないと言う事になります。

外務大臣がこういう事を国会で堂々と発言するのでは、韓国やロシ
アに、我が国の主張に耳を傾ける必要は全くないというを認めてし
まう事になります。日本の外務大臣が、両国の主張を認めている訳
であるから、交渉を行う余地はないと言い張れば、それで終わりです。

実際には、両国の外交当局者は共に、占拠が不当であり不法である
と言う日本の主張を、少なくとも幾分かは認めています。
日本と韓国の排他的経済水域の調整では、竹島がないものとして、
鬱陵島と隠岐島の中間に境界線が引かれていますが、これは、竹島
の帰属が日韓の間で決着していないと双方が認識している事を示し
ています。

北方領土問題にしても、日ソ国交回復時に、平和条約締結時には、
歯舞色丹の返還が明記されています。(日本語正文のみ、実際には、
ソ連の外交的騙し討ちによりロシア語正文には、入っていません。)
これも、ソ連側が日本の主張を認めている事を示すものです。

さて、クラウゼビッツではありませんが、「戦争は別の手段をもっ
てする政治の継続」ですが、外交交渉は、別の手段をもってする戦
争に他なりません。近代外交史の中で、岡田外相の外交手法は、「
道徳的アプローチ」と言って、最も排すべき稚拙な外交態度として、
教科書にも出ているものです。

その様に外交について未熟な政治家を、国家の外交関係の長である
外務大臣に任じているのは、不適切極まりないと言わざるを得ない
のです。外務大臣は、国益を呈して他国との外交交渉に当ったり、
そうする様、外務官僚を指示、監督しなければならないのに、自分
の信念を国益に優先するのでは、職責を全うする事は不可能である
からです。

岡田外務大臣が、もし、自己の信念をそれでも優先するのであれば
外務大臣としては、不適格と言わざるを得ません。速やかに辞職す
べきです。

同盟国の首脳とは、個人的な信頼関係を結ぶこともできない首相や
国益が主張できない外相しかもてないというのは、それ自体が日本
の危機
であるとしか言えません。しかも、これがあと三年以上も続
くのです。先の衆議院選挙で、マスゴミに煽動され民主党に投票し
た馬鹿な有権者が何と無責任な選択をしたか、本当に悔しい思いが
してなりません。


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2010年4月14日水曜日

韓国哨戒艦沈没 一時的に海面に姿を現した艦尾を見ると


※写真は上は聯合ニュース、下は中央日報Webサイトから転載。

海軍哨戒艦沈没】鉄板が逆V字形に曲がる…切断面から見た沈没の原因

13日に一部のメディアに公開された海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の艦尾
の切断面は、鋼鉄板が紙切れのように裂けていた。鉄板も逆V字形に曲がって
いた。切断面の上部だ。

切断面の緑色は元士・上士の食堂または機関操縦室に敷かれているウレタンの
床と推定された。下から上がってきた強力な衝撃で甲板が吹き飛び、室内の床
が突き上げられたということだ。

艦尾の上側の切断面が破れたような形になっているのは衝撃が外部からあった
ことを意味する。軍の関係者も「船の下から衝撃があったり(何かが)船内で
食い込んで爆発した場合に生じる現象」と述べた。

内部爆発や疲労破壊の場合はこうした形にならない、というのが専門家らの判
断だ。内部爆発の場合、その爆発力によって切断面がほとんど吹き飛ぶ可能性
が高いからだ。

また疲労破壊なら疲労度が蓄積したところを中心に比較的滑らかに切断される。
暗礁では上部まで切断されない。したがって内部要因ではないということを端
的に表している。

上側の切断面が破れたような形になっているのは衝撃が上部ではなく下部から
あったことを意味する。先月26日に「天安」が沈没した当時、艦艇の下の水
中で爆発があったと推定できる。魚雷や機雷が「天安」の下の水中で爆発した
ということだ。

水中で機雷や魚雷など強力な爆発があれば、「上-下-上」の3回の力が作用
し、艦艇が屈折する。「天安」の下は爆発力が加わって陥没し、相対的にきれ
いに切断されたとみられる。

KAIST(韓国科学技術院)海洋システム工学部のシン・ヨンシク招待教授
は「強力な水中爆発によるバブルジェット効果で破壊されたと考えられる」と
分析した。

(中央日報 2010/04/13)


【海軍哨戒艦沈没】艦尾の上部構造物まで破壊…強力な外部衝撃の反証

17日ぶりに姿を現した海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の艦尾は予想以上
に損傷がひどかった。12日に民間引き揚げ会社の海上クレーンで引き揚げら
れた「天安」の艦尾は甲板の上部だけが見えた。甲板の上部構造物のうち煙突
とハープーン艦対艦ミサイル2基、魚雷3発がなくなっている。甲板上に固定
された追跡レーダーの一部も落ちている。

艦尾の上部構造の一部が流失したことで、「天安」が疲労破壊や暗礁衝突によ
って沈没した可能性はほとんどなくなった。疲労破壊の場合、鉄板の疲労度が
累積した部位だけが切断される。「天安」が暗礁と衝突したとすれば、艦体の
下の部分が集中的に破損する。艦艇の上部構造物や搭載された装備・武器まで
は影響を与えないということだ。

しかし比較的強く固定された76ミリおよび40ミリの艦砲は損傷がなかった。
艦尾を移動する過程で40ミリの艦砲ははっきりと見え、76ミリ艦砲はしば
らく姿を現し、本来の位置にあることが確認された。これは76ミリおよび
40ミリの艦砲の下に保管されている艦砲弾が爆発しなかったことを意味する。
内部爆発ではないということだ。艦砲弾が爆発すれば甲板が破壊され、甲板上
の艦砲までも落ちる。このため「天安」の沈没原因は外部爆発にほぼ固まった。

艦尾から消えた構造物のうち最も目を引いたのは煙突部分だった。煙突は「天
安」のディーゼルエンジンまたはガスタービンを作動する際に出てくるガスを
排出する装置。この煙突は衝撃当時、相当な損傷を受けたと予想される。「天
安」が沈没した後、軍当局は行方不明者に酸素を供給するために、煙突の後ろ
の亀裂部分から空気を注入したと明らかにしている。しかし水面まで引き揚げ
た時にはその姿が見えなかった。衝撃初期に損傷した煙突部分が、沈没した後、
潮流などによって完全に離れ落ちたと推定される。

軍当局は煙突の破壊の程度からみて、外部衝撃が煙突の下にあるガスタービン
室に加わったと考えている。外部衝撃がガスタービン室の底に加わりながら艦
体を切断し、隣接する煙突にまで影響を与えたという推定だ。この衝撃は「天
安」の下の水中で発生したと解釈される。

「天安」のハープーンミサイル4基のうち2基がなくなっている点も注目され
る。ハープーンミサイルは煙突と追跡レーダーの間に2基、追跡レーダーと
40ミリ艦砲の間に2基が装着されていた。このうち煙突側の2基がなくなっ
ている。

軍当局はハープーンミサイル2基とともに海中に落ちた魚雷3発の回収に入っ
ている。海軍の関係者は「ハープーンミサイルや魚雷は電気激発によって雷管
が作動しなければ爆発しない」と説明した。

(中央日報 2010/04/13)


沈没から今まで、海底での沈没艦の様子は、ダイバーの談話しかな
く、その中で、疲労破壊説を示唆する様なものもあったのですが、
昨日、海底での位置を変更する為に、問題の艦尾部が一時的に海面
上に姿を現した事で、ますます、魚雷や機雷による外部爆発が原因
である可能性が強くなりました。

艦尾には、大きな構造物として煙突と艦尾構造物があり、そこには
大砲や機関砲、ミサイル、魚雷等が設置されていましたが、爆発に
よって、煙突の他、三連装短魚雷発射機一基と、連装対艦ミサイル
一基が脱落していました。その一方で、左舷側の構造物には、凹み
が発生していましたが、レーダー以外の装置は、ほぼ原型を留めて
おり、艦内爆発の場合、その原因と考えられていた弾薬庫の爆発や
搭載魚雷やミサイルの爆発等は、発生していない事が確実になりま
した。

また、艦尾構造の破壊の具合から、逆V字型破断している事が明ら
かになりましたが、「天安」は爆発発生時、ガスタービン主機は、
動かしておらず、ディーゼルエンジンによる巡航状態であった事が
判っていますので、主機爆発説は、成り立たず、これによって、内
部爆発説はほぼ可能性がなくなりました。

ちなみに疲労破壊説についても、上部甲板や構造物の破断面が、引
きちぎられている状態である事から、成立しない事が明白になって
います。

韓国は、これから4ヶ国の百人に及ぶ専門家からなる事故原因調査
を行うとしていますが、原因について、機雷または、魚雷の爆発に
よるものである可能性が極めて高くなっている処から、この事故原
因調査団に対する要求レベルが高くなる事(例えば、爆発した爆発
物や弾薬の特定や出所の特定等)が予想されます。海外からの大規
模な調査団を組成する事は、客観的な調査を行うという命題からす
れば有効でしょうが、調査結果を早期に得るという観点からは必ず
しも適当ではありません。

産経新聞でも指摘されていましたが、ラングーン事件や大韓航空機
爆破事件でも、韓国政府は、北朝鮮に報復を行った事はありません。
それに加え、当ブログでも指摘しましたが、李政権には、G20首脳
会議を11月に主催するという政権の晴れ舞台が待っています。その
様な観点から見れば、大規模な事故原因調査団による調査自体が、
事件の風化を狙った時間稼ぎの一環である可能性は高いものと言わ
ざるを得ないのです


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2010年4月13日火曜日

日米非公式首脳会談 日米の誤解を更に拡大する懸念も?!

※写真は、産経新聞Webサイトより転載

普天間問題で協力要請 日米非公式首脳会談で首相

訪米中の鳩山由紀夫首相は12日夜(日本時間13日午前)、オバマ米大統領
との非公式会談に臨み、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の
移設問題について日本側の検討状況を説明、5月末までの決着に理解を求める
考えだ。

首相は核安全保障サミットの夕食会でオバマ大統領の隣席に着き、普天間問題
について意見交換。公式会談は普天間問題に対する日本側の検討が進展してい
ないこともあり、見送られた。

首相は、米軍キャンプ・シュワブ(同県名護市)陸上部に600メートル級の
ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)を造る案や、徳之島(鹿児島県)に移設
する案を軸に米側との調整を進めたい考えだ。ただ、移転先となる地元自治体
では受け入れ反対の動きが強まっており、5月末までの決着は難しい状況にある。

一方、米側はシュワブ沿岸部にV字形滑走路を造る日米合意案(現行案)が最
善との立場を崩していない。ルース駐日米大使は9日に岡田克也外相と会談し
た際、現行案以外の移転を進める実務者協議の開始について「時期尚早」と伝
えていた。

(産経新聞 2010/04/13)


一時は、世界で最も重要な二国間関係と米国の大使が、評価してい
た日米関係でしたが、今や昔日の面影はなくなっています。
残念な事に、今や、オバマ大統領の中では、日米関係の重要性は、
中国はおろか、マレーシア、ウクライナなどよりも重要度の低い関
係になってしまっているようです。

ブッシュ・小泉の親密さは、望めなかったにせよ、本来は、民主党
というリベラル同士、波長があう可能性もあったのに、国内向けに
むやみに反米姿勢を示したのがそもそもの誤りでした。それに加え
て、初顔合わせで「トラストミー」と言った後、ハシゴを外す発言
をして、オバマ大統領の信頼を失った事は、鳩山首相個人の失敗と
言えるでしょう。

欧州各国の首脳の様に、オバマ大統領と会う機会が多く、わざわざ
相手が忙しいサミットで、会談する必要がないというケースもあり
ますが、日本の場合はそうではありません。ご本人は既に忘れてし
まっているかも知れませんが、オバマ大統領が初めて訪日した際に、
アジア重視を示す為に、オバマ大統領の離日を待たずに、自分だけ
さっさとサミットに出発してしまった事もありました。外交関係は、
相互主義が原則です。失礼な事をすれば、それに対するお返しがあ
っても不思議ではありません。鳩山首相の頭の中には、米国に対す
る甘えがあったのではないかと考えざるを得ないのです。

さて、上記の記事には、今回の米国訪問で、鳩山首相は、非公式会
談で、普天間問題に関する大統領の協力を取り付けたいとしている
様ですが、その非公式会談の実態は、核安全保障サミットの夕食会
でオバマ大統領の隣席に座った際の会話の場でしかありません。
しかも、夕食会は、サミットの公式行事で、最初と最後を除けば、
各国首脳のスピーチが行われます。悪く言えば、席についた際に、
一言二言、言葉を交わす以上の事ができるとも思えないのです。

その程度の会話を行っただけで、米国の協力を取り付けたなどと言
える訳もありませんが、もし、帰国後、そんな報告があったとすれ
ば普天間問題に関する議論を大きく誤らせる可能性すらあると懸念
せざるを得ないのです。しかしながら、今までの発言を見る限り、
鳩山首相は、相手の言葉を自分に有利に解釈する名人であり、この
懸念が実現する可能性は高いのではないかと思われてならないのです。


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2010年4月12日月曜日

韓国哨戒艦沈没 爆発威力はTNT火薬260キロ相当



※図表は朝鮮日報Webサイトから転載

哨戒艦沈没:220キロ離れた地点でも音波観測

先月26日夜に起きた韓国海軍哨戒艦「天安」の沈没当時、地震波のほか、空中
を伝わる音波が京畿道金浦、江原道鉄原でそれぞれ観測され、爆発の威力がTNT
爆薬換算で260キログラムに達していたことが11日までに明らかになった。こ
れは、当初ペンニョン島で観測された地震波を基準に推定された数値(同170
~180キログラム)を44%上回る数値だ。

韓国地質資源研究院によると、沈没地点から177キロ離れた京畿道金浦観測所
で、26日午後9時30分41秒に5.418ヘルツ、220キロ離れた江原道鉄原観測所で、
同日午後9時32分53秒に2.532ヘルツの音波がそれぞれ観測され、当時強力な外
部爆発があったことを示している。これに先立ち、地震波が観測された1秒後
の午後9時21分59秒にペンニョン島観測所で6.575ヘルツの音波が観測されていた。
音波は1.1秒間隔で2回観測され、「短い時間に爆発音が2回聞こえた」という
生存者の証言とも一致する。

同研究院によると、地震波(マグニチュード1.5)から計算した爆発力はTNT爆
薬換算で180キログラム、機雷または魚雷が水深10メートルで爆発したと仮定
し、音波の規模で計算した爆発力は同260キログラムに相当するとの分析を5時
間後に軍などに伝えたという。また、水深が深いほど、外部に伝わる爆発力は
弱まるため、魚雷や機雷が水深20メートルで爆発した場合の爆発力は同710キ
ログラムに達する。

同研究院の関係者は「音波は人間に聴こえる範囲外の低周波だった。地震波は
さまざまな地質の場所を通じて伝わるが、音波はそうではないため、音波を基
準にした推定値が正確なはずだ」と説明した。

軍の専門家は推定値に基づき、仮に魚雷攻撃だった場合、軽魚雷よりも弾頭が
大きい重魚雷だったと推定している。重魚雷は「天安」のような1200トン級の
艦船だけでなく、7000トン級の艦船も1発で破壊できる。北朝鮮の半潜水艇に
搭載されている軽魚雷は弾頭重量が約50キログラムにすぎない。一方、サンオ
級小型潜水艦(300トン級)に搭載できる口径533ミリ重魚雷は弾頭重量が最大
300キロに達する。発射された後、目標に向かって直進する北朝鮮の直走魚雷
の弾頭重量は150-300キログラムとされる。

こうした点から韓国軍当局は、北朝鮮による攻撃だとすれば、水深30メートル
でも作戦遂行が可能なサンオ級小型潜水艦が使われた可能性が大きいと判断し
ているという。

一部専門家は、北朝鮮が核兵器やミサイルだけでなく、潜水艇、魚雷など水中
兵器でも緊密な協力関係にあるイランから新型魚雷を導入した可能性を指摘す
る。イランは2006年にロケット推進方式を採用し、普通の魚雷よりも3-4倍速
い超空洞現象魚雷「フート」を開発し、北朝鮮と共同でユーゴ級潜水艇の改良
型とみられる「カーディル」を配備している。

(朝鮮日報 2010/04/12)


現在のサルベージ作業の状況では、艦尾の引き上げは、今月17日~
18日になる見込みで、その上で、国際的な原因究明委員会を開く事
になるので、結論が出るのは、まだまだ先になりそうです。

当ブログは、今回の事件の原因は、北朝鮮による、機雷または魚雷
を用いた攻撃であると考えていますが、それを裏付ける事実が、ま
た一つ判明しました。

従来から、沈没の原因となった爆発の発生と同時に地震波が観測さ
れたという発表されていましたが、それに加えて、爆発音も観測さ
れており、その分析によって、爆発力が推定されました。
その結果は、TNT火薬換算で260キロとされ、地震波分析による同180
キロと比べて大きく、魚雷、機雷のいずれであっても、その上限に
近いという結論になっています。

また、魚雷の場合は、弾頭重量から短魚雷ではなく、533mm長魚雷
である可能性が高くなりました。なお、沈没現場は、水深が20m余
と浅い為、通常の潜水艦が行動するには不適当な場所ですが、北朝
鮮のサンオ級小型潜水艦は、行動が可能であり、且つ、長魚雷を搭
載する事が出来ます。


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2010年4月9日金曜日

ロシアのミストラル級取得は本当に日本向けなのか?

※写真はミストラル

日本の領土要求が購入理由

インタファクス通信などによると、ロシアのポポフキン国防次官は7日、フラ
ンスからのミストラル級強襲揚陸艦の購入が必要な理由として、北方四島に対
する日本の領土要求を挙げた。

同次官は「極東には、ロシアの視点では解決済みだが、日本の視点では未解決
の問題がある」と指摘。もしミストラルのような艦船がなければ、サハリンな
どに数千人規模の将兵を展開、維持する必要に迫られると述べた。

ロシアはフランスからミストラル4隻の購入について交渉中とされるが、同次
官は、1隻は完成艦としてフランスから引き渡しを受けるが、残りはフランス
の技術を導入して自国で建造する方針だと説明した。

ロシア側は最近、日本の領土要求がロシアにとって脅威になっていると表明し
ている。(共同)
(産経新聞 2010/04/07)


最初に結論を言ってしまえば、ミストラル級取得の本当の狙いは、
グルジア等のカフカス諸国やバルト3国、旧CIS諸国や東ヨーロ
ッパ諸国などへの軍事介入用と思われます。

日本との領土紛争に備える為にミストラル級を取得すると言うロシ
ア国防次官のコメントは、ロシアの自国への軍事介入に疑念を持つ
東ヨーロッパや旧CIS諸国、及び、ロシアの影響力拡大を懸念す
る欧米諸国を韜晦する為の発言に過ぎません。

日本が本気になれば、ミストラル級4隻をロシアが極東に集中配備
した処で、その存在が、日本の意図を挫くものにはなりませんし、
本当に紛争になった場合でも、日本にとってミストラル級を排除す
るのは、それ程、難しい事ではないと考えられるからです。
(それが理由かどうかは別にしても、ソ連は最後までこの種の強襲
揚陸艦を保有しませんでした。)

少し、詳しく書きますと、ミストラルは多用途強襲揚陸艦です。乗
員以外に900名の兵員の他、数十両の戦車、装甲車、自走砲等の戦
闘車輌を搭載でき、それを10機以上搭載している輸送ヘリコプター
や、艦内に収容している揚陸艇、または、エアクッション揚陸艇を
使用して、敵前上陸を行う事が可能となっています。

この様に書くと非常に立派な艦の様に聞こえますし、実際立派な艦
ですが、北方領土で、自衛隊の侵攻を迎え撃つのに整備するという
事になると少し首を傾(かし)げてしまいます。つまり、強襲揚陸
(敵が待ち構えている処に無理やり上陸する事)が得意な艦である訳
ですから、自衛隊が北方領土を先に占領するか、あるいはロシアが
北海道に揚陸するのでなければ、出番が無い事になります。

自衛隊が侵攻する前に、兵員を輸送するのであれば、平常通り、北
方領土の港湾施設が使えますので、通常の輸送船を使用した方が余
程効率が良い筈なのです。

つまり、強襲揚陸艦自身は、固有の兵装はそれ程強力ではありませ
ん。対空ミサイル発射機が二基と同じく30mmと12.7mmの機関砲が各
々二基、四基しかありません。つまり、個艦防御用兵器しかない訳
で、この艦で輸送する場合は、強力な護衛艦隊が必要となります。
つまり、トータルの輸送コストが高くついてしまう事になります。
また、護衛が必要ない状況で、この艦を輸送用に使うのであれば、
この艦の保有するヘリコプターや、揚陸艇用の設備は、輸送という
観点からは無駄と言う事になります。

北方領土で、日本との戦端が開かれた後に、この艦を使って、兵員
や戦闘車輌を運ぶ場合は、北方領土に近接した場所から、航空自衛
隊のF2支援戦闘機や海上自衛隊の艦艇によって、百発規模の巡航ミ
サイルによる飽和攻撃が数回は反復される可能性があります。その
為、余程、強力な護衛艦隊を編成しなければ、とても、その攻撃を
回避する事が難しいと思われるのです。まして、ミストラル級は、
割り切って言えばティッシュペーパの箱が海に浮かんでいる様なも
ので、非ステルス形状なので、巡航ミサイルの格好の標的と言えます。
(尤も、自衛隊の戦略としては、北方領土にロシアの大規模な兵力
を上陸させた上で、海空兵力で北方領土を封鎖してしまった方が効
率良いと思いますが...。)

勿論、日本は、憲法第九条によって、「武力の行使は、国際紛争を
解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」事になっていま
す。ロシアもこれを重々承知しています。
それに、もし、日本が通常兵器でロシアを圧倒しても、ロシアには、
核兵器による恫喝を行うという最後の手段が残されています。

つまり、今回のコメントは、ロシアが日本をだしにコメントしても、
日本側から、それを理由に何らの軍事・外交的アクションが取られ
る事が無い事を見切った上での発言であったと考えられるのです。

以前は、日本が太平洋戦争で、徹底した抗戦を行った事から、多少
の遠慮やおっかなびっくりもあった様にも思われますが、昨今は、
中国、韓国同様、日本の外交的弱腰を見切った態度を取るのが、日
本に対する非友好諸国の流行(はや)りなのかも知れません。

現政権に至っては、そんな中で、安全保障面を頼っている米国との
関係を自ら破壊する事で、自国の足場をより不安定化させているの
ですから、なにおかいわんやですね。


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2010年4月8日木曜日

新発見の小惑星が地球に接近!

※NASAによる2010GA6の軌道分析。地球と殆ど重なりあっている。

最近は、地球に接近する小惑星の観測体制が整備されてきた事もあ
って、地球にニアミスする小惑星の正確な予報が出される様になり
ました。今回報じられた小惑星も、大きさは僅か22mに過ぎません。
これだけ小さいと流石に、最接近の間近にならないと発見できません。
今回も、良く発見できたと驚く程です。恐らくは、この程度の小惑
星でスペースガード他のネットワークで、捉えれられないものも多い
のだろうと想像する事ができます。

以下、今回の小惑星2010GA6のニアミスについてのspace.comの記事
を抄訳しました。


木曜日に新発見の小惑星が地球に接近する

新しく発見された小惑星が木曜日(4/08)に地球に最接近する。月の軌道の内側
を通過するが、幸いにも、地球への影響はなさそうである。

この小惑星は、2010GA6と呼ばれているが、長さ22mと比較的小さな岩石で、ア
リゾナ州ツーソンのカタリナ・スカイサーベイの天文学者によって発見された。
この宇宙岩が、地球に最接近する東部標準時4月8日19時06分(日本時間4月9日
8時06分)には、月軌道の内側を飛行する見込みであるが、NASAの天文学者によ
れば、地球に衝突する心配はなさそうである。

「月軌道の内側を地球近傍天体(NEO)が接近飛行するのは、数週間おきに起こ
っている事です」と、ジェット推進研究所内にあるNASAの地球近傍天体事務所
のドン・ヨーマンズは語っている。

地球に最も接近した時には、この小惑星2010GA6は、地球から35万9千キロ離れ
た場所を通過する。しかし、この小惑星が地球に接近飛行をする今年初めての
小惑星と言う訳ではない。

1月には、もっと小さな小惑星2010AL30が13万キロ以内を突進している。また、
他の宇宙の岩石も、それほどの接近軌道ではない、余り心配のいらない百万キ
ロ程度離れた場所を通り過ぎている。NASAは日常業務として、地球に接近する
可能性がある小惑星や彗星を、地上と宇宙にある望遠鏡のネットワークを使っ
て追跡している。

一般には「スペースガード」として知られているNASAの地球近傍天体計画は、
潜在的に危険な小惑星を発見し、地球に衝突する危険性の程度を決定する為に
それらの軌道を研究している。

12月に打ち上げられた、NASAの最新の宇宙望遠鏡であるWISE(広域赤外線探査)
衛星は、以前は、発見する事の出来なかった、赤外線領域でしか光を発してい
ない新しい小惑星を発見する事を役割の一つとしている。
これまで、WISE望遠鏡は、これまで知られていなかった小惑星を、毎日数十個
づつ、発見している。そして、これらの宇宙岩の内のいくつかは、地球にとっ
て潜在的な危険性がある為、より詳細な分析を行う為に、タグを付けられてい
る。

(SPACE.com 2010/04/06)


http://www.space.com/scienceastronomy/asteroid-earth-close-flyby-100406.html


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2010年4月7日水曜日

ボーイング787の飛行テストは順調に進行中

※主翼構造屈曲試験中の機体
Seattle Weekly Webサイトから転載

昨年12月に、初飛行を行ったもう一機の開発中の機体が、ボーイン
グ787です。こちらも開発が3年近く遅延し、お陰で昨年は50機も
の発注取り消しが出ていますが、それでも850機以上のオーダーを
抱えています。こちらはライバル機であるA350の開発で、これと言
った困難が報じられていないだけに、これ以上の開発遅延は許され
ない状況となっていました。また、飛行テスト計画も非常にタイト
であり、本当にその通り実施できるのか、専門家が疑問視する程の
ものとなっていました。

初飛行から三ヶ月、既に4機のテスト機による密度の高い飛行テス
トが実施されており、それに続き、5月と6月に各々一機のテスト
機が追加投入されテストは最高潮を迎える見込みです。そして、現
在までの処、テストそのものは順調に進行している様子です。

その状況をAir Transport Worldが報じていますので、抄訳してみ
ました。

11月の1号機引渡しに向け787の飛行テストは順調

ボーイング社は、11月末の全日空への初引渡しを確実にする為に、787の飛行
テスト計画を強力に推進中である。
同社によれば、フラッタリング試験や主翼構造屈曲試験にパスした事で、787
の公式型式検査を今週中には取得出来ると期待している。公式型式検査は、
連邦航空局(FAA)による型式証明プロセスを公式に開始する事になる。

その一方、五番目のテスト機であり、初のGEnxー1Bエンジン搭載機となるZA005
号機は、初飛行に向けてエバレット飛行場の列線で調整を行っており、5/8に
は初飛行が行われる見込みとなっている。ドリームライナーの最後のテスト機
となるZA006号機は、6/4に初飛行の見込みであり、現在、777の生産ラインの
隣で、40-24ブロックの組み立てが行われている。

ボーイング社は、現在、初引渡しを予定通りに行う為、一週90時間の飛行テス
トを実施している。同社は、11月の終わりには、30機の引渡し可能なレベルの
機体を製造する事を計画している。

先週、エバレットの787製造ラインを見学した処、ロイヤル・エア・モロッコ
向けの一番機であるLN17号機、全日空向けのLN18号機、ロイヤル・エア・モロ
ッコ向けの二番機であるLN19号機を見る事が出来た。重量最適化対策を最初の
機体で日本航空向けの一番機でもあるLN20号機は、3月末から最終組み立てが
開始されている。

(Air Transport World 2010/04/07)


http://www.atwonline.com/news/story.html?storyID=19937


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2010年4月5日月曜日

韓国哨戒艦沈没 魚雷攻撃の可能性高まる。

哨戒艦沈没:高まる魚雷攻撃の可能性
北朝鮮、機雷を意図的に設置?


哨戒艦「天安」沈没の原因は、「外部からの衝撃」で固まりつつあり、またそ
の衝撃についても、地震波の大きさから見て、魚雷や機雷、爆雷など強力な爆
発物によるものと推定されている。金泰栄(キム・テヨン)国防長官による今
月2日の国会答弁で明らかになったように、韓国軍当局は機雷・爆雷よりは魚
雷の可能性を大きくみている。

■魚雷・機雷・爆雷、どう違うのか

魚雷・機雷・爆雷は、いずれも海の中で爆発する。少々乱暴に例えるならば、
魚雷はミサイル、機雷は地雷、爆雷は爆弾に該当する。魚雷と機雷は水の中で
水中の敵を狙い、爆雷は艦艇や航空機など水の上から水中の敵を狙う。魚雷は、
通常はスクリューなどを使って時速60-70キロ以上の高速で走り、数百メート
ル-数キロ離れた目標物を攻撃する。魚雷は、音を探知して攻撃する。敵艦艇
のスクリュー音を聞いて攻撃する受動型(パッシブ)ホーミング魚雷と、艦艇
に向け音を出し、その反響を追っていく能動型(アクティブ)魚雷、誘導され
ずに真っすぐ直進していく無誘導魚雷などがある。

これに対し機雷は、通常は推進装置を持たず、静かに水上を漂って艦艇と衝突
したり、または水中・海底に沈み、敵艦艇の音(スクリュー)、磁場・圧力の
変動によって動き出し、攻撃する。このため、射程距離は魚雷に比べはるかに
短い。爆雷は、魚雷・機雷に比べ、攻撃の方式や対象が制限される。水上艦艇
や航空機から落とされた後、水中数十-数百メートルの深さで、水圧によって
爆発する。

■軍はなぜ魚雷の可能性を大きくみるのか

韓国軍当局は、機雷や爆雷の可能性は低いとみている。まず、天安の船尾に積
まれていた爆雷の場合、爆発しても、船が中央から真っ二つになる結果にはな
り得ない。事故当時、天安の上空や海岸に疑わしい攻撃主体はいなかった、と
いう点から、外部の爆雷の可能性もない。

機雷は、流れてきて偶然天安にぶつかったケースと、天安を狙って設置したケ
ースという二つの可能性を推定できる。まず、韓国側が事件のあった水域に機
雷を設置したことはない、というのが韓国軍当局の説明だ。1950年の6・25戦
争(朝鮮戦争)当時に設置された機雷が海を60年間漂い、天安を真っ二つにし
た可能性は、言及する価値すらない。また1975年ごろ、ペンニョン島一帯に敵
の上陸を防ぐため機雷を設置したことがあったが、金泰栄国防長官は2日の国
会答弁で「電気式雷管が完全に除去された状態で、爆発の可能性はない」と語
った。北朝鮮の機雷が偶然流れてくることも、潮流の方向が南北逆さまなので、
可能性は薄いと分析されている。

北朝鮮や仮想の敵が天安を狙って意図的に機雷を設置した可能性もまた、あま
りにも「偶然に偶然を期待する作戦」であって、確率は小さいと分析されてい
る。天安が沈没した場所は、「天安がこれまで15回通ったことがある」という
程度で、それほど頻繁に行き来していた場所ではなく、むしろ一般漁船の通行
の方が多い。漁船を避け天安だけを狙おうとすれば、天安特有のスクリュー音
にだけ反応するようにした音響感応型機雷が必要だが、北朝鮮がそれほどの先
端情報や技術を持っているかについて、情報当局は懐疑的だ。

このため韓国軍当局は、魚雷攻撃の可能性が大きいと見ているわけだ。北朝鮮
が魚雷攻撃を行ったなら、アクティブ型・パッシブ型ホーミング魚雷などのう
ち、どれを使ったのか、魚雷攻撃を行ったのは小型潜水艦・潜水艇・半潜水艇
のうちどれなのか-といった点は、現段階では断定できない。ある消息通が伝
えたところによると、攻撃の正確さを向上させるため、魚雷発射直後は潜水艇
などから誘導し、目標物に2-3キロまで接近した後は、魚雷自体のソナー(音
響探知装置)を稼働させ攻撃した可能性が大きいという。

事件現場で魚雷の破片が回収されたとしても、攻撃手段の確認はまた別の次元
の問題だ。

韓国政府や軍当局は、「先月24日から27日にかけ、北朝鮮の潜水艇2隻が“行
方不明”になっていたが、今回の事件との直接的な関連性はまだ確認されてい
ない」という立場だ。

(朝鮮日報 2010/04/05)


一時、船体切断面がきれいな直線になっているという潜水士の話を
元に、老朽化による疲労破壊の可能性が高いとする説がありました
が、実際には切断面が、直線ではなくC字型になっていた事もあっ
て、急速にこの説を押す声は少なくなってきています。

実際、疲労破壊を起こした例として上げられるタンカーの例では、
船体延長工事の際に、溶接に不手際があった部分が、船首が波に乗
上げ浮力が増加した際に、切断しています。事故後の調査で、延長
工事の際、納期に迫られ雇用した臨時工主体の溶接が、全く基準を
満たしていなかった事が判っています。そして、それでも、そのタ
ンカーは工事後、13年たって、著しく悪化した海象に遭遇した結
果、船首切断事故に至ったのです。

今回、哨戒艦沈没事故が発生した状況は、波高4mと伝えられてい
ます。この波高は韓国海軍が認めた活動限界に近いのですが、厳し
くはあっても非常に危険な気象条件ではありませんでした。また、
破断した部位は、煙突の後部であり、これも、サギング(船体前後
が大きな波の山で支えられた状態)やボギング(船体中央が、波の山
に持ち上げられ他の支えがない状態)が発生した時しか考えられな
い部分です。しかし、沈没箇所の水深が40mと伝えられている処か
ら、その様な浅海で、太平洋で発生する様な疲労破壊を起こす大き
な三角波が発生するとは考えにくいのです。

哨戒艦の生存者の話では、爆発と思われる衝撃の後、下から10cm~
15cm程突き上げられたと言い、これは、通常の疲労破壊時の状況と
は異なる事が明らかです。

従って、残る可能性は外部衝撃説しかありえず、外部衝撃の原因と
しては、それが魚雷によるものであっても、機雷によるものであっ
ても北朝鮮の関与を疑わざるを得ないのです。

前回のエントリーでも述べていますが、韓国でも、外部衝撃説が有
力になっているにも拘わらず、マスコミや悪名高いネチズンの非難
の矛先は、あろう事か、適切な哨戒艦の救助が行えなかったとして、
被害者である海軍に向いており、加害者である北朝鮮を非難するも
のが誰もいないという状況です。特に、ネチズンの間では、左翼特
有の陰謀論が有力な意見となっており、それが、また、野党民主党
の北朝鮮擁護の主張と一致し、更に、それが、G20を前に事を荒
立てたくない李明博政権の姿勢とも一致するという誠に奇妙な構図
になっているのです。

現状を率直に評価すれば、哨戒艦「天安」の亡くなった将兵と家族
には、誠に申し訳ないのですが、「死に損」という表現が一番適当
である様に思われます。もし、このまま、韓国が北朝鮮に対し、な
んらの行動を起こさないのであれば、韓国海軍は、その士気に大き
な禍根を残す事になるのではと、他人事ながら気になってしまいま
した。


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2010年4月2日金曜日

韓国哨戒艦沈没 北の攻撃よりG20開催を優先する李明博政権

哨戒艦沈没:李大統領「政治的に利用してはならない」
北朝鮮による攻撃説に対し「現在のところ、証拠はない」


李明博(イ・ミョンバク)大統領は、1日午前に開いた非常経済対策会議と、
南米地域へ派遣された与党ハンナラ党の特別視察団との昼食会の席上で、韓国
海軍の哨戒艦「天安」の沈没事故についての心境を述べた。

李大統領はまず、事故の原因に関し、メディアやインターネット上でさまざま
な推測が出ていることに対し、かなり困惑した様子で「望ましくない、危険な
兆候だ。絶対に(今回の事故を)政治的に利用してはならない。6カ国協議の
当事国として、主要20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国として、責任ある
行動が求められている。国内的な発想だけで行動してはならない。少しでも疑
惑が浮上したり、隙を見せたりしてはいけない。そうしてこそ、国際社会から
信頼を得ることができる。最終的な結論が出るまでは、冷静に待ち続けるべき
だ。それが、国を愛する心というものだ」と述べた。

その上で李大統領は、今回の事故が「北朝鮮による攻撃」だとするうわさが広
まっていることについて、「北朝鮮の攻撃だった可能性も排除していないが、
現在のところ証拠は見つかっていない」と説明した。李大統領は「艦艇には
(事故の当日)特に異常はなかったという。あらゆる可能性があると思うが、
北朝鮮が介入したという証拠はまだ見つかっていない。西海(黄海)で交戦が
ぼっ発したときは、北朝鮮側の動きを示す情報(内部の通信記録や交信など)
がもたらされたが、今回はそうした情報はなかった」と述べた。

大統領府のある幹部は、「今回の事故について、政府が慎重な姿勢を見せてい
るため、一部では“北朝鮮による介入の可能性を意図的に低減しようとしてい
るのではないか”という誤解が生じている。北朝鮮による介入の事実が明らか
になれば、むしろ(今回の事故に関する)政府の姿勢はよりはっきりしたもの
になるところだが、慎重な姿勢を見せるということは、まだ証拠がないという
ことを示すものだ」と語った。

一方、李大統領は、事故の原因を解明するには相当な時間を要するだろう、と
いう見解を示した。李大統領はこの日、オバマ米大統領との電話会談で、「ま
だ原因は明らかになっていない。(事故原因の解明には)高度な技術が必要だ。
結論を出すまでには時間がかかると思う」と述べたという。

(朝鮮日報 2010/04/02)


李政権が、今回の哨戒艦沈没事件に関して、早い段階で、北朝鮮原
因説を抑えこもうとしたのが、どういう理由によるものなのか良く
理解できなかったのですが、この記事を読んで漸く理解する事が出
来ました。

上の記事の中で、李明博大統領は、「六ヶ国協議の当事国として、
主要20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国として、責任ある行動
が求められている」と述べていますが、そこには、予定調和を乱さ
れた困惑は感じられても、指揮下の部下50名を殺された韓国軍最高
指揮官の決意や原因究明に対する強い意思を見る事は出来ません。

つまり、李明博大統領の目下の主要関心事は、今年11月に韓国で行
われる予定のG20首脳会議を議長国として主催する事であって、
それを危うくする様な事態が発生する事は、あってはならないと考
えているとしか判断できないのです。

確かに、韓国は、世界の主要国として遇される事に熱望とも言える
願望があります。それは、少しでも、韓国の新聞を継続して読んで
いれば明らかです。世界ランキングに対する異常な関心は、普通の
日本人を辟易させますが、それも、歴史的に属国の地位に甘んじて
いた期間が長かった事の反動と思えば理解できます。そして、ウォ
ン安のお陰とは言え、他の主要国と比べ、リーマンショックを比較
的短期間で克服出来た事を誇る気持ちも納得できます。その実績を
基に、議長国としてG20を主催する事が、李明博大統領にとって
一生で一度の晴舞台である事も充分に理解できます。

ここで、韓国と北朝鮮の緊張関係がエスカレートすれば、G20の
開催場所が変更されてしまうかも知れないと李明博大統領が恐れる
のも分からない訳ではありません。李明博大統領のみならずG20
を主催する事は、韓国国民全体にとっても、悲願の実現に他ならな
いのかも知れません。

それにしても、自国の軍艦が撃沈され、50名近い死者が出ているに
も拘わらず、G20を主催する為に、敢えて北朝鮮関与の可能性を
軽視し、目を瞑ろうとするのは、為政者としては、致命的な失態で
はないかと思わざるを得ないのです。目前の危機から目を背ける事
で危機がなくなる訳ではありません。それは「駝鳥の平和」に過ぎ
ません。この事件に北朝鮮が関与しているかどうかは別にしても、
北朝鮮にしてみれば、G20首脳会議が終わるまで、韓国は、北朝
鮮が何をしても絶対にエスカレートは回避する事がこの事件のお陰
で判ってしまいました。ある意味、この一年は北朝鮮にとって、絶
好の収穫機会と言う事になります。

歴代の韓国の為政者は、面子や体面、大義名分を実質より重視する
事で、亡国の憂き目にあった事が少なからずあったと思いますが、
韓国が今回もその轍を踏むのではないかと懸念する処です。


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2010年4月1日木曜日

調達機数が10機減になるA400M

※図表はAFPのWebサイトより転載

共同開発参加国との開発遅延に伴なう開発費用の増加について漸く
合意に達したかに見えたA400Mですが、実は、共同開発参加国の全
体調達数を10機以内で削減する事を含んでいるのが明らかになって
きました。調達機数を削減するのは、主として英国(3機)とドイツ
(6機程度)で、フランスは従来通りの機数を調達したいとしていま
す。なお、調達機数が減少した分、共同開発参加国以外からの受注
で補う事で、部材の生産調達効率の低下と費用の増加を避ける計画
です。

UPIの報道を抄訳してみました。

A400M:調達をより少ない機数にしたがっている各国

軍用輸送機A400Mの共同開発参加諸国は、遅延し、資金調達難に陥っているプ
ロジェクトへの開発費用を増やす為に、十機までの範囲で調達機数を減らす見
込みである。

英国は、今週、A400Mの発注数を3機減らし、合計22機とする事を発表した。
フランスは、50機の発注数量を維持する予定であるが、ドイツは、60機の発注
契約を維持するかどうか検討中であるとドイツの新聞が報じた。

他の、共同開発参加国の中では、ベルギー、ルクセンブルグ、スペインとトル
コも機数削減を検討中で、欧州の防衛当局者によれば、新しい契約は、早けれ
ば6月中に結ばれる予定となっている。

この発注機数の削減が、エアバス社の親会社であるEADS社と共同開発参加諸国
との間で結ばれた3月7日の合意の一部である事は明らかと言える。この合意で
は、共同開発参加国は、新たに、27億ドルの追加支出と共に、開発遅延による
新引渡し計画に関して遅延損害金を求めないとしていた。

この総額48億ドルの緊急援助計画は、速やかに財務立て直しが合意されない限
り、A400M軍用輸送機の開発から手を引くと言うEADS社からの脅迫により交渉
が行われたもの。

2003年に結ばれた当初の契約では、180機のA400Mを290億ドルの固定価格で製造
する事となっていた。技術開発の遅延と開発費用の高騰、それに加え政治的失
敗からプロジェクトの大幅な遅延を招き、処女飛行が漸く昨年12月にスペイン
のセビリアで実施された状況にある。

プロジェクトは現在では、当初の計画と比べ、開発コストは五割増しとなり、
開発スケジュールの遅延も3~4年に達している。共同開発参加国は、新輸送
機を真剣に必要としている。英国は、アフガニスタンへの輸送任務で擦り切れ
そうになっている、ハーキュリーズとC-17からなる輸送機隊の近代化を必要と
している。また、フランスとドイツは、製造から40年を経て、低速で柔軟性を
欠くC-160トランザール機の部隊を更新する新輸送機を必要としている。

エアバス社によれば、A400Mは、同じターボプロップ四発で、非常に人気の高
いC-130ハーキュリーズと比べても、二倍の輸送力を持ち、ジェットエンジン
装備のボーイングC-17より燃料効率が高いと主張している。

その一方、共同開発参加国の高官は、プロジェクトに関連する経営管理面での
失敗について厳しく批判している。「組織管理と経営管理面で問題があったの
は明らかだ。」「EADS社とエアバス社は、開発組織に遅延原因があるとしたが、
プログラム管理面で彼らはもっと働くべきだった。」「EADS社は、かれらの企
業文化を一新する大きな努力が必要だろう」とフランス兵器調達局のローラン・
コレビオンは語っている。

(UPI.com 2010/03/31)


http://www.upi.com/Business_News/Security-Industry/2010/03/31/A400m-Nations-want-fewer-planes/UPI-85581270046888/


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2010年3月31日水曜日

韓国哨戒艦沈没事件 マスコミは「不都合な真実」に目をつぶるな!


※図は朝鮮日報より転載

【社説】天安沈没に対し決断の姿勢を

(前略)

今回の問題で当面の課題は二つだ。まず一つは、最後まで生存者を救出する作
業を続けること。二つ目は、沈没原因を徹底して明らかにし、それに応じた対
策に乗り出すことだ。国家としての大韓民国の地位は、この二つを最後までし
っかりとできるかどうかに懸かっている。国を守る任務に就いていた将兵たち
の生死を把握して救助することや、1200トン級の大型艦が目の前で真っ二つに
割れた原因を明らかにすることができないようでは、国際社会で大韓民国は尊
敬を受けることができなくなるだろう。

金泰栄(キム・テヨン)国防部長官は29日に国会で、「政府は今回の事故に北
朝鮮が介入した可能性がないと言ったことはない。あらゆる可能性について調
べ、検討した上で結論を出したい」と発言した。与野党の議員らは、「天安号
沈没当日に大統領府はなぜ、“北朝鮮が介入した可能性は低い”と断定したの
か」「政府は海軍による事故直後の対応がしっかり行われたと説明できるのか」
などと追及した。

政府は今後、天安号が沈没した原因が明らかになった場合、国の内外に対して
取るべき行動について、徹底した準備を行わねばならない。事故の対策につい
ては、時には大韓民国と大韓民国の国民全体に対して、大きな決断を求める可
能性もある。大韓民国は天安号沈没についての真実が明らかになった瞬間、直
ちに確固とした決断を下し、行動する準備をしなければならない。政府と軍に
よる対応の問題点に関しては、今後も徹底して追及する機会はいくらでもある。

(朝鮮日報 2010/03/31)


韓国では、引き続き、沈没した哨戒艦の捜索や事件の原因の追求が
行われていますが、上の朝鮮日報社説に見る様に、事件発生当初の
段階で大統領府が北朝鮮の関与の可能性を排除した事に対する疑問
が提起されてきました。大統領府も、北朝鮮関与の可能性を排除し
ていない事を明言せざるを得なくなっています。

これは、哨戒艦沈没の状況についての生存者の証言から、内部爆発
説がほぼ排除され、外部からの衝撃説が有力になってきている事に
よるものです。外部からの衝撃が自然に発生する訳はなく、当然な
がらNLLに近接した沈没地点から見て、北朝鮮の関与が一番高い原
因となるのは明らかと言えます。

今や批判の矢面に立ちつつある韓国の李明博政権と同様、今回の事
件については、米国も及び腰の態度が目立っていますし、日本の鳩
山政権は事故である事を前提とした様な、状況に対して極めて鈍感
な姿勢に終始しています。

また、脳天気な民主党政権同様、日本のマスコミも、事件の発生は
報道したものの、最初から事故という認識であった為か、その後の
経過に関しては極めて冷淡な姿勢に終始していますが、これは、報
道をしない事で、北朝鮮に協力しているとすら言えるのです。

月曜日での、エントリーでも述べましたが、この事件は、韓国の有
力な哨戒艦(1200㌧のミサイルコルベット艦)が、突然爆沈すると言
う衝撃的な事件であり、死者・行方不明者も46名に達しています。
北朝鮮による攻撃の結果である事が明らかになった場合、韓国世論
の動向によっては、李政権は北朝鮮に対して強硬な姿勢を取らざる
をえず、北朝鮮がそれに武力で答える可能性がある事は容易に想像
出来ます。

そうであるだけに、事故であるという明白な証拠がないにも拘わら
ず、理論上は戦争状態にある隣国で起きた軍艦の爆沈という事実に
対して、意図的、非意図的に拘わらず、ここまで無視してかかるの
は、自国の安全保障に関してあまりに無関心に過ぎると思われてな
らないのです。

この事件の原因が、私の想像している様に北朝鮮の攻撃によるもの
であった場合、普天間基地機能の県外移転など、もっての他という
事になります。朝鮮戦争で米国率いる国連軍と戦ったのは、中国、
北朝鮮であった事は、決して忘れてはならないのであり、現在、極
東で、この両国に軍事的に対峙しているのは米軍に他なりません。

この様な、日本を取り巻く安全保障環境の大きな変化に対して、無
視していれば足りるとする日本のマスコミの態度は、危険に当たっ
て地面に頭を突っ込む事で、安全を確保できたとする「駝鳥の平和」
を意図している事に他なりません。いくら状況が、民主党政権やマ
スコミにとって「不都合な真実」を示していても、これを無視する
事は、国民の安全に対する関心と言う最低限のニーズすら満足する
事が出来ない事を暴露していると言わざるを得ないのです。


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2010年3月30日火曜日

一段高まった「はやぶさ」地球帰還の可能性



※はやぶさ帰還イメージ

地球帰還、ほぼ確実に=小惑星探査機「はやぶさ」-宇宙機構

小惑星「イトカワ」への着陸成功後、数々のトラブルを乗り越えて地球帰還を
目指す探査機「はやぶさ」について、宇宙航空研究開発機構は27日、地球のご
く近くを通過する軌道への投入に成功した。今後も、大気圏突入に向けた軌道
の微調整を続けるが、寿命が懸念されていた航行用のイオンエンジンの連続運
転を終え、目標とする6月の地球帰還はほぼ確実になった。

はやぶさは小惑星の岩石試料を採取し、地球に持ち帰るのが目標。2003年5月
に打ち上げられ、05年11月にイトカワ着地に成功したが、燃料漏れや姿勢制御
装置の故障などが続発。当初の予定を3年延期して今年6月の地球帰還を目指し
てきたが、最後に残ったイオンエンジンも寿命が危ぶまれていた。

27日午後、神奈川県相模原市の運用管制室で、管制チームがイオンエンジンの
運転を止める指令を送信。約5分後に停止が確認されると、管制チームはほっ
とした表情で喜び合った。
はやぶさは地球の高度約1万4000キロを通過する軌道に入っており、今後は、
岩石試料を採取できた可能性のあるカプセルを回収するため、大気圏突入に向
けた微調整を続ける。

(時事通信 2010/03/27)


懸念されていた、綱渡りのイオンエンジン運用が漸く終わりました。
これからは、イオンエンジンを使用しない軌道修正のフェーズに入
ります。現時点で、「はやぶさ」は、地球中心から二万キロ離れた
場所を通過する軌道に入っています。上の記事では一万四千キロと
書かれているのは、二万キロから地球半径である六千キロを差し引
いた数字です。これから、一万四千キロから数百キロに階段を一段
ずつ下りていく様な微妙な軌道修正を行っていく事になります。

「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーであるISASの川口教授は、
3/9のコメントの中で、今後のリスク要因として以下の5点をあげて
います。

1.ホイールの寿命、
2.イオンエンジンの運転性、
3.漏洩燃料の再ガス化、
4.イオンエンジン運転中の軌道決定、
5.耐熱材の状態、火工品の環境、分離バネの経年変化です。

この内2.と4.のイオンエンジンの運転性と軌道決定については今回
の運転終了でクリアする事が出来ましたが、残る3点については引
き続き残っています。

そして、それに加えて、これからの運用、その一つ一つが、これま
でとは違い、やり直しの効かない一回しかチャンスの無いものにな
る難しさを指摘されています。「シャトルの再突入に延期はありま
すが、「はやぶさ」の再突入には延期はないのです」という言葉は、
それを端的に表したものと言えるでしょう。

「はやぶさ」は第二宇宙速度(約11.2km/秒)を超える惑星間航行速
度で飛行しています。そして、その速度のまま、地球大気に突入す
る事になります。予定されたタイミングで帰還カプセルの放出が行
われれば、首尾よく地表での回収が可能ですが、突入角度が少し変
わるだけで、角度が深ければ、燃え尽きる可能性が出てきますし、
加工品(爆発ボルト)が作動しなくなる懸念も出てきます。逆に、角
度が浅ければ、再度宇宙に跳ね返される可能性があります。

今まで、NASAが行った再突入に比べても、「はやぶさ」の再突入は、
より厳しい条件と言えます。しかも、帰還カプセルに「イトカワ」
のかけらが入っているとは限らないのです。

ただ、たとえそうであっても、「はやぶさ」の帰還カプセルを回収
する事は現時点での、日本の宇宙往還技術と総合科学としての宇宙
工学の頂点を示すものになる事は間違いありません。
「はやぶさ」の無事な帰還を心から祈念したいと思います。


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2010年3月29日月曜日

韓国コルベット艦沈没事件 あえて北朝鮮主犯説を唱える

※ポハン(浦項)級コルベット globalsecurity.orgより転載

哨戒艦、爆発で二つに=船尾の位置確認急ぐ-韓国

韓国軍合同参謀本部当局者は28日、同国が黄海上の軍事境界線と位置付ける
北方限界線(NLL)の南側海域で沈没した海軍の哨戒艦「天安」(1200
トン級)が、直前の爆発で船体が二つに割れたことを明らかにした。船尾部分
はそのまま沈んだが、船首部分は潮で流されているという。
爆発の原因は不明だが、韓国政府は北朝鮮の関与よりも、何らかの事故に遭っ
た可能性が高いとみている。

聯合ニュースによると、船首部分は沈没地点から南東方向に約7キロ流されて
おり、転覆した船体の一部が海上に出ている。しかし、行方不明者46人の多
くが取り残されているとみられる船尾部分は発見できていない。
海軍潜水部隊が同日、周辺海域で捜索を試みたが、潮の流れが速く、本格的な
活動ができなかった。今後、海中の物体を探知できる掃海艦を投入するなどし、
位置確認を急ぐ。

(時事通信 2010/03/28)


今回、沈没したのはポハン(浦項)級コルベット14番艦PCC-772
「チョナン(天安)」です。1200㌧の小さな船体に、オットー・メ
ララ 76mm単装速射砲二門、同じくオットー・メララ 70口径40mm連
装機関砲「コンパクト」二基。ハープーン対艦ミサイル4基。ミス
トラル対空ミサイル単装発射機一基。三連装短魚雷発射機二基。と
いう日本の大型護衛艦にも匹敵する重武装の艦です。また、電子兵
装、やソナーも相応に装備しています。その艦が、哨戒中に乗員の
半数近い46名と共に爆沈したというのです。

流石に、韓国では大きく取り上げられていますが、日本では、隣国
の軍艦が一隻爆沈したのに、マスコミは通り一遍の報道しかありま
せん。その上、この事件について、韓国でも、日本でも、驚く程、
北朝鮮関与説を避けています。本当にそれで良いのでしょうか?
私は北朝鮮が今回の爆沈事件に関与した可能性は、意外に高いので
はないかと考えています。

今の処、原因については、各種の推測が出ている状態です。本日の
報道では、乗組員の約半数と共に、艦首部より先に沈没していた爆
発の起こった艦尾部の所在が確認されたそうです。艦の内部で爆発
があったのか、外部で爆発があったのかは、艦尾部を調査すれば、
判明する筈です。(当然の事ですが、内部爆発の場合は、船体の穴
は、内側から外側にあきますが、外部爆発の場合は、穴は内側に向
かって空くことになります。)

過去、日本海軍も含め軍艦が戦闘によらず停泊中に爆沈した事例は
数多くあります。有名な処では、米西戦争の原因になった、メイン
号事件、日本海海戦後に爆沈した戦艦三笠。太平洋戦争前には当時
の第一級戦艦であった河内が沈没していますし、太平洋戦争中には、
謎の爆沈を起こした戦艦陸奥の例もあります。これらは、古いもの
は、搭載火薬の自然発火が原因とされています。また河内や陸奥の
例では、乗組員による自殺覚悟のサポタージュを原因とする見方が
あります。

第二次大戦後は、爆薬の安定性の改善の管理手法の改善があり、謎
の爆沈事件は世界的に少なくなっています。通常の航行中の爆沈事
件は、衝突に伴なうもの以外では、ロシア原潜クルスクの爆沈事故
程度しか思いつきません。特に、水上戦闘艦については、第二次大
戦以降ダメージコントロールが飛躍的に改善されていますので、平
時の沈没騒ぎは、本当に聞かなくなっています。

そこで出てくるのが、外部要因説です。韓国は理論的には北朝鮮と
戦争状態にあります。今は戦闘を一時停止しているに過ぎないので
す。北朝鮮が、仕掛けてきたとしても全くおかしくはありません。
ですから、北朝鮮による雷撃あるいは、あるいは、北朝鮮が敷設し
た機雷によるものと考えても不自然ではないと思われます。

雷撃の場合は、北朝鮮の魚雷艇あるいは、潜水艦が発射プラットホ
ームと考えられます。北朝鮮は、その両方を保有しています。
ただ、今回事件があった場所は、水深が20~30mと浅いので、潜水艦
の活動には不適です。魚雷艇の場合は、コルベット艦「天安」の対
水上レーダーで容易に探知可能であった筈ですので、これも対象か
ら外れます。

残った原因は、機雷によるものです。日本海海戦で、日露双方は、
旅順港閉塞戦の中で、機雷を積極的に使用しており、特に相手側の
進出経路を予想して機雷敷設を行い成果を上げました。この結果、
日本は、初瀬、八雲の二戦艦を失い、ロシア側も、高名なマカロフ
提督座乗の戦艦ペトロパブロフスクを失っています。

今回の事件で、韓国側コルベット艦がダメージコントロールが出来
ずに沈没した事で明らかになった様に、今まで、南北の衝突が、小
型艦艇同士の戦いに終始していた事もあり、韓国側の、コルベット
艦による哨戒は、ルーチンワークとなっており、その進路を北朝鮮
に容易に推測できるものとなっていた可能性があります。

その場合は、予想進路に事前に機雷を敷設する事は、何の問題もあ
りません。100年前の海軍が出来た事を北朝鮮が、今、やれない訳
がないのです。

それでは、北朝鮮が、食料危機の中で、何故、韓国艦を攻撃せねば
ならなかったのでしょうか?私は、2009年11月12日のエントリー
「南北海上衝突 北は面子を守る為に報復攻撃を行う 」
http://ysaki777.iza.ne.jp/blog/folder/23378/
の中で、以下の様に述べています。

『今回の衝突は、第一次延坪海戦と比べても小規模なものですが、
この反応では、第四次延坪海戦は必至と言える様に思います。但し、
そうは言っても、北朝鮮は、政治が優先するお国振りですから、韓
国側に報復しても南北関係でも国際的にも影響がない時期を選ぶも
のと思われます。前回は二年間、報復の時期を待っています。その
様に考えれば、北朝鮮の韓国への報復は、ここ数年の内に、南北の
緊張が緩和している状態の中で、偶発的衝突に見える様な形で行わ
れると思われます。』

今回の事件は、正しく、この条件を満たすものであると考える次第
です。

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2010年3月26日金曜日

小沢幹事長になったつもりで政治の現状をボヤいてみると

<3月24日>(水)

○鳩が豆鉄砲くらったみたいになって、必死こいて電話してきたから承諾した
けど、オレはウブカタなんて雑魚は知らねーっつーの。そんなヤツ、クビにし
ようが、復帰してもらおうが、どっちでも構わんよ。読売新聞の出身なんだっ
て?じゃあ、あれじゃねえか。ナベツネ野郎の差し金なんじゃねえのか。どの
道、天下のご政道に影響はねえんだよ。オレの評判が下がったって、別に構わ
んよ。今さらどうしようもねえんだし。

○それより洒落にならねえのはアメリカとの関係だよな。こないだやって来た
カート・キャンベルのヤツ、血相変えて「日米合意の履行以外は受け入れられ
ない」とか言ってたけど、そりゃ鳩の野郎があんな風にしちゃったんだもの、
オレには責任ねえわな。昨日、官邸で学級会よろしく、「○○君はどこがいい
と思いますか?」「ハーイ、ヘノコの陸上がいいと思いまーす」「オオムラワ
ンもいいと思いまーす」とかやってたらしいけど、そりゃ意味ねえって。いく
つ案を出しても、答えは一緒だっつーの。

○問題なのは、4月の安保サミットなんだな。まさか鳩が出ないわけにはいか
ないし。ここはひとつ、ワシントンに乗り込んでいって、「わが国は唯一の被
爆国として・・・」ちゅーいつものお題目を唱えなきゃいけねえわけだ。でも、
行けばオバマも困るだろうな。会えば「おい鳩、宿題はどうしたんだ。もうす
ぐ5月だぞ」なんて、イヤミのひとつも言うだろうし。でも、こっちは答えが
ないわけだ。トラストミー、も2度目は使えないし。いっそ、国会を理由に欠
席した方がいいんでねえの。

○ところが妙な巡り会わせで、4月はわが国が国連安保理の議長国なんだわな。
ということは、イランの核開発に対する制裁を決めなきゃいかんのだが、アメ
リカさんとしてはウチに仁義を切らなきゃいけないわけで、鳩もツイてないよ
うでツイてる男だわな。5月の安保理議長はレバノンなんだって。アルファベ
ット順だと、Jの次はLなのか。そりゃ4月中になんとかしなきゃいかんわな。
ホントのところ。

○まあ、ウチはイランがどうなろうが知ったこっちゃないから、細かいことは
どうだっていいんだよ。で、5月になって、いよいよ日米関係が座礁寸前のと
ころで、オレが出て行くしかないわけだ。ワシントンなんて久しぶりだけど、
要は嫌われ役を買って出る人間がいるっつーことよ。

○でもって、沖縄の皆さんゴメンナサイ、やっぱりアレしかないんです。社民
党の皆さん、お気に召さないなら出てってください。国民新党さんはどうされ
ますか? とまあ、オレが頭を下げる。それでうるさい奴らはいなくなる。
これでアメリカに恩を売れる。中国はもとより怖くない。検察もおとなしくな
ったし、結構毛だらけじゃねえか。

○ただし選挙は負けだな。そりゃま勝てりゃあそれに越したことはねえけど、
普通は負けるわな。鳩はそこで引責か。みこしは軽くてパーがいい、とは我な
がらよく言ったもんだわ。幸いなことに、コーメイちゃんが連立したがってい
るから、議席が減ったところでどうってこたあねえ。ねじれたところで、衆議
院で三百議席があるんだから、再可決の連発でも文句は言わせねえ。要は2013
年夏までは電車道ってことよ。

○さて、次のパーは誰にしようかな。いっそ女性っつーのも、意表を突いてて
面白いかもしれんな。ま、そんときになってから考えるとしようか・・・・。

(溜池通信 2010/03/24)


http://tameike.net/

いつもながら唸らされるのが、かんべえ先生のコラムです。今回は
名前こそ出ていませんが、かんべい先生が小沢幹事長になったつも
りで政治の現状をボヤき、今後の見通しを述べています。
何故、新聞でこういった政治状況についてのバックグラウンド解説
が出てこないのが不思議に思う位、要点が良くまとまっていると思
います。

普天間問題は、鳩山首相がもうクチャクチャにしていますので、何
ともしようが無く、5月に纏まる訳もないのですが、それでも4月
中は米国としても、安保理議長国である日本に、イラン問題で協力
を得る必要があるので、安保サミットで、米国が日本に対して、そ
れ程強く出る事はないというのが良く分かります。(ちなみに安保
理議長国は、一ヶ月毎の持ち回りになっています。) 鳩山首相は、
外交で数少ないポイントを上げる事が出来るかも知れません。

ただ、普天間問題5月解決の約束については、鳩山政権による解決
はほぼ不可能視されています。米国にとっては、緊張の度を加える
米中関係を反映して、日米同盟をより強固にしたい処ですし、従来
案による海兵隊の配置変更を速やかに実施したい処と思われます。
しかし、鳩山首相や民主党の認識は大きく異なります。5月は4月
からとは一変して日米関係が危機を迎える可能性が高くなります。
同時に、連立内閣を構成する社民党や国民新党とは連立解消の動き
が出てきます。特に、社民党は、沖縄が党の拠り所になっているの
で、鳩山政権が県内移設案を提案すれば、連立から抜けざるを得な
くなる可能性が高いものと思われます。

日米関係の緊張と社民党の連立離脱が重なれば、鳩山政権が動揺す
るのは間違いありません。小沢氏が公明カードを切るのは、参議院
選挙での民主党の敗北後という事になるのでしょうか?鳩山首相は
参議院選挙の敗北の責任を取って退陣、新たに公明党を加えた民主
党を中心とした新連立政権が発足する事になります。


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2010年3月25日木曜日

沖縄国際大学 佐藤学教授へ。沖縄は是非、独立して下さい。

【外信コラム】ポトマック通信 ビンのフタ論

日米安保に関する「ビンのフタ論」を久しぶりで聞いた。日米同盟の効用の一
つは日本が自主防衛に走り、軍国主義の道を歩むのを在日米軍の存在や米国の
日本防衛誓約で抑えることだという論である。危険な日本をビンの中に入れ、
米国がそのフタをするというのだ。かつて沖縄の米軍海兵隊司令官がそんな発
言をして、すぐ更迭された。

今回は日本側発の「ビンのフタ論」だった。ワシントンでこのほど開かれた「
アジア地域の安全保障と日米同盟での沖縄」というセミナーでの沖縄国際大学
の佐藤学教授の発言だった。

東西センターや北海道大学、笹川平和財団の三者共催の同セミナーの沖縄と日
米同盟についてのセッションでは佐藤教授が報告者として普天間飛行場はそも
そも不要だと述べ、米軍の駐留理由に関連しても中国の軍拡や北朝鮮の核も特
に日本への脅威ではないと明言した。

つい私が「では日米安保や日米同盟にそもそも反対なのでしょうか」と問うと、
佐藤教授は「いや賛成です。なぜなら私は日本の国民を信用しないからです」
と答えたのだった。日米安保がなければ、日本の政府や国民は自主的な防衛政
策を求め、危険な道を進みかねないから、日米同盟で米国がそれを抑えておく
ことが好ましい、というのである。実にすっきりした「ビンのフタ論」だった。
沖縄の学者の日本国民観というのはこれほどなのかと、普天間問題の難しさを
改めて思わされた。

(産経新聞 2010/03/25)


佐藤先生、海外へまで出かけていって、日本国民に対する不信を公
言するのであれば、沖縄で独立運動を展開して頂けないでしょうか。
私は、一日本人として、沖縄文化は、日本文化とは似て非なるもの
という思いを深くしております。ウッドロー・ウィルソンの一民族
一国家の理想にも共感しております。従って、沖縄が是非独立した
いと言うのであれば、熱烈に賛成させて頂きます。

「日本国民を信用しない」という論拠がこの記事だけでは判然とし
ませんが、さぞ、深い歴史認識と日本人に対する洞察をお持ちなの
だろうと思います。そうであれば、沖縄を除く日本に住む日本国民
と、一つの国を形成するのは、沖縄人としてさぞ、気持ちの悪い事
でしょうし、また、沖縄の地域開発に沖縄県民の納税額をはるかに
上回る「日本」国民の税金が投入されているのも、同様にさぞ気分
の悪い事と拝察いたします。

沖縄独立を標榜している政党や個人が沖縄に過去なかった訳ではあ
りません。ここは一つ、景気良くブワッと沖縄独立運動を立ち上げ
て頂き、さっさと独立を果たして頂けないでしょうか。
宗主国であり、佐藤先生のスポンサーであるかも知れない中国様も、
その日が一日も早く来る事をお望みの事と思います。


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2010年3月19日金曜日

上海で「繁栄する平壌」を宣伝する飢えた北朝鮮

北朝鮮、上海万博で「繁栄する平壌」宣伝へ

中国国営新華社通信は18日、北朝鮮が5月に開幕する上海万博に「繁栄する
平壌」をテーマに出展、映像や模型などで「朝鮮人民の強盛大国建設」を宣伝
する計画を進めていると伝えた。北朝鮮が国際博覧会に出展するのは初めて。

北朝鮮のパビリオンは平壌の歴史文物や現代建築、民俗文化などを展示する。
万博期間中の9月6日は「北朝鮮デー」の活動も行われる見通しだ。

(産経新聞 2010/3/19)


<北朝鮮>デノミ失敗で責任者処刑か

聯合ニュースは18日、北朝鮮が昨年実施したデノミネーション(貨幣呼称単
位の変更)の実務責任者だった朝鮮労働党の朴南基(パク・ナムギ)前党財政
計画部長(76)が先週、責任を問われて処刑されたと報じた。複数の消息筋
の話として伝えた。朴前部長はデノミ失敗で朝鮮労働党から解任されていた。

報道によると、朴前部長は平壌・順安区域の射撃場で銃殺されたという。貨幣
改革の失敗で民心が悪化し、金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継体制作
りにも悪影響が出たため、反革命分子として処刑したという消息筋の話を伝えた。

北朝鮮は昨年11月末、旧貨幣100ウォンを新貨幣1ウォンとするデノミを
実施。インフレ抑制や計画経済への回帰を狙ったとみられるが、逆に物価暴騰
や流通の停滞を招いた。

(毎日新聞 2010/3/18)


北、デノミ失敗で党幹部逮捕か=韓国紙

17日付の韓国夕刊紙・文化日報は消息筋の話として、北朝鮮が昨年実施したデ
ノミ(通貨呼称単位の変更)の失敗で責任を問われ、労働党計画財政部長を解
任されたと伝えられる朴南基氏が、1月末に逮捕されたと報じた。
同紙によると、朴氏は1月末に平壌で開かれた貨幣改革報告大会の最終日に
「逆賊」と公の場で批判を受け、その場で逮捕された。同氏は、金正日総書記
が1月初めに行った発電所視察に随行して以降、公開活動がなく、後任も確認
されていないという。 

(時事通信 2010/3/17)


日本では、党内では議論が出来ないとマスコミに幹事長の悪口を言
った副幹事長が解任され、それにコメントを求められた党首が愚に
もつかない逃げ口上を言ったりと党内民主主義の欠如を露呈した政
党がありますが、今日、取り上げるのは、そういう事とは関係なく
指導者の失政の責任を部下が代りに取らされたと言うありがちなお
話です。

北朝鮮のデノミの失敗に関しては、このブログでも、過去にも三回
程取り上げています。情報が限られていますので、アバウトな話に
なってしまいましたが、大筋では、想像した通りの状況になってき
ています。

悪い言い方をすれば、北朝鮮は貨幣経済から物々交換経済に退行し
ています。日本でも、第二次大戦後の混乱期に、そういう時期があ
りましたが、強力なインフレ対策が行われた事や、食料の緊急輸入
が行われたこともあって、通常の貨幣経済への回復が実現しました。

つまり、今回の経済混乱を収拾する為には、政治への信頼性を回復
する事が必要であり、その一番の有効な手段は、食料の充分な供給
を政府が責任を持って行う事なのです。政府と政府の発行する貨幣
への信頼が回復すれば、現在は退蔵されている物資が市場に供給さ
れる様になるという訳です。

北朝鮮が、外資規制を緩和し、中国からの資金導入を図ろうとして
いるのも、韓国を脅かして、金剛山観光を再開させようとしている
のも、全ては、餓死者の発生を抑える為に、食料買付を行いたいか
らに他なりません。但し、これらは北朝鮮がすぐにキャッシュを手
に出来ると即効性はありません。(金剛山観光の方は、手早くキャ
ッシュが得られるかも知れません。) 中国からの緊急輸入は手持
ち外貨の範囲行わざるを得ませんでした。しかし、その実態は伝え
られる報道で見る限り、必ずしも充分なものではなかったようです。

金正日は、ルクセンブルグに4800億円相当の資産を退避させている
と報じられています(ルクセンブルグは、その後否定)が、自分のお
金を国民の救済に提供する気はなかったようです。

それでも、事態は収拾しなければなりません。その対策の一つが、
身代わりの処刑です。デノミの実施担当者に全ての罪が擦り付けら
れ、サーチナによれば、朴前財政計画部長は「大地主の息子。革命
の戦列にもぐりこみ、故意に国家経済を窮地におとしいれた」反革
命分子として処刑されたそうです。ただ、これで、党と指導者の無
謬性が本当に守られたかという点には疑問符がつきます。

もう一つの対策は、敵を外に作る事で、内部の結束を図るという伝
統的な手段です。米韓合同演習を戦争準備と煽ったり、韓国に対し
高圧的に出るのも、敵を外に作って国民の不満を外部に向ける事が
目的に他なりません。

本来は、外国や国際機関に援助を求めるという策もあるのですが、
今回は、残念な事に、国連や韓国に援助を求める事は、口が裂けて
も言えません。昨年秋の段階で国連の申し入れた食糧援助を断って
いるからで、今更、援助を言い出すのは、金正日の面子の問題にな
っているのかも知れません。

国内で餓死者が出ている現状からすれば、一番上の記事の様に、上
海万博に「繁栄する平壌」というテーマで出展するのは、殆どブラッ
ク・ジョークの世界の様に思えますが、自国初開催の万博に過去最
多の参加国を集めたい宗主国様に媚を売ったり、貸しを作る事も、
金正日の中では重要なのでしょう。(物々交換への回帰や、万博へ
の初参加という処にも、百年以上時代が違う様な感じを受けます。)

勿論、朝鮮労働党のエリートしか居住を許されていない平壌は、食
料不足の中でも、繁栄を享受していると言えなくもありません。
北朝鮮国民の「苦難の行軍」は、可哀想な事に、まだまだ終わりそう
にありません。


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2010年3月18日木曜日

なぜ韓国企業は元気で、日本企業はさっぱりなのか?7つの理由

「日本が韓国企業に負ける7つの理由」

●韓国企業は、基礎研究にカネをかけていないから利益率が高い。その点、日
本企業は無駄な投資が多い。
(思えば昔の日本企業も、応用研究だけで楽して儲けていると批難されたもの
であった)。

●韓国企業は、新興国市場でやりたい放題をやっている。その点、日本企業は
コンプライアンス過多になっている。
(お行儀が良くなり過ぎてしまったのでしょうか。商社業界も「不毛地帯」の
頃とは様変わりしておりまして・・・)

●韓国企業は、実効税率が1割程度である。だから内部留保が多く、投資額も
増やせる。その点、日本の法人税は高過ぎる。
(でも、それなら日本企業もシンガポールあたりに本社を移せば良いのである。
それができないドメスチック体質が哀しい。もっとも某有名企業は、海外移転
のシミュレーションをやったそうですが)

●韓国企業は、寡占体質への絞込みが出来ている。その点、日本企業は国内の
競合相手が多過ぎる。
(アジア通貨危機の際に、韓国は「ビッグディール」で企業を絞り込んだ。
だからサムソンとLGが世界ブランドになった。日本は総合電機が今も9社もあ
る。これでは海外に出たときに勝負にならない)

●韓国企業は、大胆に若手社員を海外に出している。その点、最近の日本では
商社や外務省でも若手が海外に行きたがらない。
(日本は国内の居心地が良すぎるのかもしれません。こればっかりは手の打ち
ようがないですな)

●韓国企業は、国内市場が狭いために危機感が強い。官民連携も進んでいる。
その点、日本は中途半端に国内市場があるので本気になれない。
(その国内市場も、少子高齢化で先細っているわけです。その点、韓国には北
朝鮮というワイルドカードがありますからなあ・・・・)

→追記:これに次の項目を加えると、「日本が韓国企業に負ける7つの理由」
が完成します。皆さん、流行らせましょう!

●韓国企業はオーナー社長が多いので即断即決で物事が進むが、日本企業はボ
トムアップ式だから意思決定が遅い。
(オーナー経営者は時代遅れの存在だ、などと思っている人が多いようですが、
国際的に見てもけっしてそんなことはないと思いますぞ)

(溜池通信ダイアリー 2010/03/06)


かんべえ先生が、流行らせましょうと呼びかけられている事もあり、
私も経済には、素人ながら少し取り上げてみたいと思います。

カルガリーオリンピックでキムヨナ選手に浅田選手が敗れた事を契
機に、今までも、囁かれていた韓国脅威論が「韓国に学べ論」とし
て表に出てきました。

サムソンが液晶テレビやメモリーデバイス、ヒュンダイが自動車や
造船で日本のメーカーのライバルに成長しているのは、知る人ぞ知
る有名な事実ですが、日本の一般大衆には、ブランドとしての露出
が今まで大きくなかった事もあって知られているとは言えませんで
した。それが、此処へ来て、韓国がリーマン・ショックに上手く対
応出来たと言う評価。それに、日本が民主党政権のゴタゴタの中で、
景気回復が捗々(はかばか)しくない事に加えて、トヨタショックで
今まで磐石と思われた日本製品の質に対する疑問が生じた事による
不安もあって、急速に一般大衆レベルにもそういう認識が広がった
と言える様に思います。(例によって、日経新聞は、連載記事で大
きく「韓国に学べ論」を展開していますが...。)

この「韓国に学べ論」、韓国自身にとっても、耳ざわりの良い議論
であるらしく、早速、韓国マスコミでも大きく取り上げられていま
す。一応、そうは言っても、韓国は日本との貿易収支で大幅な赤字
がある事を指摘して、韓国は日本を凌駕できた訳ではないと慎重な
態度を装っていますが、そこはそれ、そこはかとない誇らしさが匂
って来る記事になっています。

勿論、韓国が今まで達成した事を認めるのに吝(やぶさ)かではあり
ませんが、例えば、今回のリーマン・ショックへの好対応が、一面
でウォン安による輸入品物価の大幅な高騰に喘ぐ国内弱者の犠牲の
上に達成されたものである事や、国内景気自体は、若年失業率が、
十年来の最高水準である事等を考えると中国同様の近隣窮乏化政策
で達成されたものであり、韓国の優位はそれ程磐石なものではない
様に思います。

しかしながら、その一方で、李明博大統領が、EUとのFTA交渉を一
気に妥結させたり、アブダビとの原子炉受注ビジネスに介入して成
功させた事に見られる様に、トップダウン的な政策決定がビジネス
チャンスを作り上げている事もまた事実です。かんべい先生も七つ
の理由の中にもオーナー経営者のトップダウン経営と官民連携の良
さを韓国の勝利要因に上げていますが、日本では、政治が経済の足
を引っ張っているのが実情であり、且つ、官僚も旧態然とした利権
調整の殻を破る事のできない事を見ると、残念な事に、政治セクタ
ーは、どうみても、当分は日本の劣勢は、確定と言わざるを得ない
のです。


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2010年3月15日月曜日

太平洋での潜水艦軍備競争:米国の海中での優位に対する中国の挑戦(3)


※晋級戦略ミサイル原潜。SinoDefence.comより転載

今回は、最終回で、中国の挑戦に対する米国の対応に関する提言と結論です。

米国での水中での優位を維持するには

過去16年間に亘って、中国が潜水艦隊を急速に増強してきたにも拘わらず、ま
た、戦闘司令官達が能力増強を要望していたにも拘わらず、米国はその潜水艦
隊を着実に削減してきた。米国の同盟諸国は、太平洋地域における安全保障環
境の変化に関して、尤もな懸念を表明してきた。

米国も、このバランスの変化を、少なくとも一部は認め、それを強調する様に
なった。海軍は2006年の4ヶ年防衛レビューに示された方針である60%の潜水
艦隊を太平洋に配備する事を正しく実行中である。しかし、縮小しつつある艦
隊の高い割合を配備する事は、潜水艦の合計数を増加させるより有効性が乏し
いのは明らかである。

縮小を停止し、太平洋における米国の海中での覇権の衰退を逆転させる事は、
米国の同盟国を安心させ、支援し、そして、この地域での米国の長期的な利益
を保護する事である。

米国は、以下の諸策を実施すべきである。

・攻撃型潜水艦をよりすばやく建造すること。
議会は、60隻の攻撃型原潜を配備する事を目標とし、ヴァージニア級潜水艦の
調達ペースを少なくとも一年に二隻とすべきである。しかしながら、新しい潜
水艦を新たに一年に二隻調達するだけでは、より急速に退役するロサンゼルス
級潜水艦を更新する事はできない。

・就役期間を延ばすために、ロサンゼルス級潜水艦の一部をオーバーホールし
て、近代化する必要がある。

オーバーホールと近代化には、追加予算が必要である。整備状況の良い古い潜
水艦を、予定通り、退役させるのではなく、就役期間を延長のは、「潜水艦ギ
ャップ」を、短期間で低コストで縮めるには、劇的に潜水艦の建造隻数を増加
させる事より有効だろう。

・より多くの潜水艦を前方展開すること。
現在、グアムに配備されている三隻に加え、東アジアに接近した場所、つまり、
グアム、ハワイ、可能であれば日本に、配備する事は、それらが一番必要とさ
れる場所での配置時間を極大化すると共に、その海域への往復時間を、極小化
する事になる。海軍は、潜水艦母艦を調達する事を考慮すべきである。潜水艦
母艦は、潜水艦にとって臨時の前進基地であり、乗員の交換や武器の補給を可
能とする。

・ディーゼル潜水艦の使用を再検討すること。
議会は、海軍に、地域司令官の要望と使用可能な潜水艦の隻数のギャップを埋
める為に、AIP推進攻撃型潜水艦の有効活用に関する研究を指示すべきである。
短期的には、国内生産が整うまでの間、同盟国から潜水艦を購入しても良い。
米国で通常型潜水艦の使用法を確立する事で、よりしっかりとした対潜訓練を
行う事ができ、米国に、先進的なディーゼル潜水艦を台湾に販売するというオ
プションを与える事になる。

・水中での戦力倍加要素の研究・開発・配備を進めること。
無人海中車両(UUV)により、既存の海中兵器、プラットホーム、センサーは、
航続力、可能性、強力さを増大することができる。しかしながら、UUVは、攻
撃型潜水艦を置き換えるものと考えてはならない。米国は、引き続き、予見で
きる将来に亘って、有人潜水艦を配備する事が必要であろう。そして、潜在的
な脅威の発達に対抗して、その能力を改善し拡張する必要がある。

・対潜水艦戦(ASW)能力を強化すること。
萎縮してしまった米国のASW能力は、とりわけ懸念材料である。訓練されたASW
要員を養成するには、数年に亘る集中的な訓練が必要とされる。議会は、ASW
能力を質的にも量的にも拡充する為、安定的でかつ十分な予算を手当てしなけ
ればならない。とりわけ、議会は、ASWプラットホームを量的に拡大するため、
P-8計画の加速と、DDG-1000級の建造や曳航式ソナーを装備したDDG-51級の改
装により、より多くの水上艦艇の建造を行うべきである。

・同盟国や友好国の潜水艦戦および対潜水艦戦能力を向上する為の共同訓練を
行うこと。

これらの努力は、より頻度の高い集中的な多国間演習や機動演習、技術の共有
や共同計画を包含するものである。友好的な外国海軍の能力や可能性を高める
事は、米国にとって、特定の緊急事態や作戦への米国の資源の割り当てを削減
できる事になり、それゆえ、米国の潜水艦を別の緊急の用途へ転用する事を可
能にする。

・軍事担当者間のチャネルを用いて、安全保障問題に関して、中国が透明性を
高める方向に勧奨すること。

軍事面に関して、中国が透明性を拡大することは、中国の海軍建設に関する懸
念や問題を解決したり緩和するのに役立つに違いない。より深く理解する事で、
将来発生する米国と中国の軍隊が関係する事件を防止できたり、緊張を弱める
事ができるかもしれない。中国が、国際的な共通慣行に反して、米国の軍事担
当者に、最近のミサイル防衛試験についての事前通知を行わなかったことは、
透明性を高める努力を弱め、答える事のできない多くの疑問を導くことになった。

結論

太平洋地域と東アジアにおける安全保障環境の変化は、米国の同盟諸国と友好
諸国に深刻な懸念を生じさせている。いくつかの国は、積極的な海軍建設に乗
り出しており、オーストラリアは、公けに、その軍事増強を太平洋における中
国と米国のバランスの変化に対応したものであると関連づけている。

米国海軍は引き続き、世界で最強であり、もっとも訓練が行き届き、もっとも
有力な潜水艦隊を保有している。しかし、その隻数は減少しており、その戦力
は、既存の作戦と、他に与えられた任務で余裕がなくなっている。とりわけ、
米国潜水艦隊が今以上に継続的に縮小すれば、米国の太平洋の海中での覇権が
脅かされ、それゆえ、東アジアや太平洋地域で海軍が効果的に作戦を実行する
能力が深刻に蝕まれる事態も考えられる。

米国がその潜水艦隊を再建し、海軍の対潜水艦戦能力が改善しなければ、太平
洋での米軍の優位は、引き続き、弱まっていくことになる。そして、それは、
米国と同盟国と友好国を、本来は、避ける事ができる政治的、経済的な危機に
導くかもしれない。


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2010年3月12日金曜日

太平洋での潜水艦軍備競争:米国の海中での優位に対する中国の挑戦(2)




昨日の続きです。

海軍も「海中の脅威の再出現」に直面して、そのASW能力の有効性が減退して
いる点を認めており、将来、より先進的なセンサーや対潜兵器を開発するとい
う目標を決定している。また、米国太平洋艦隊は、すでに伝えられるところで
は対潜訓練を増やしている。これらは、主にして潜水艦と長距離海上哨戒機か
らなる対潜プラットホームの調達という目標と共に、持続していかねればなら
ない重要な努力である。

中国

冷戦の終了以降、中華人民共和国の人民解放軍海軍(PLAN)は、海軍、とり分け
その潜水艦隊の勢力を劇的に増強し、能力を格段に向上した。その潜水艦隊は
「今では、人民解放軍海軍で、最も力強い戦力と考えられている。」
米国国防総省によれば、中国は、アジアで最大の海軍力を保有しているが、攻
撃型潜水艦も60隻(原子力推進6隻、ディーゼル推進54隻)保有している。
デーゼル推進潜水艦の半分以上は、最新型のキロ級、宋級、元級である。ある
専門家は、中国は今やロシアよりも多くの潜水艦を保有しており、その建造速
度は、素晴らしいと述べている。

潜水艦隊の増強

中国は、その沿岸を超えて戦力を投射できる信頼性の高い大洋海軍を建設する
という目標を実現する為に着実に前進している。中国が潜水艦戦に真剣に取り
組んでいる事を把握するには、2002年から2004年に、中国海軍が13隻の潜水艦
を国内で進水させると同時に、前例のない規模でロシアに潜水艦を発注した事
を考えれば充分であろう。実際、中国は、1995年から2005年に31隻の新しい潜
水艦を就役させた。この急速な進化を受けて、近海用に有力で強力なディーゼ
ル潜水艦の配備する事に対する評価も当初の懐疑から尊敬に変わった。
複雑な技術開発に対する中国の可能性について、海外でも、深刻に受取られる
様になった。

中国の攻撃型潜水艦隊の将来規模の予測は、58隻から88隻と幅広く
別れている。この予測の違いは、中国がどれだけ早く老朽潜水艦を
退役させるか、また、どの位、高価な原子力潜水艦を配備するか、
更に、外国製の潜水艦をどの程度購入するかに関して意見が異なっ
ている事による。近年、中国は、国内で設計、建造された四種類の
潜水艦を導入した。それらは、晋級(Type094)SSBN、商級(Type093)
SSN、元級(Type041/039A)SSP、宋級(Type039/039G)SSKである。
商級の後継艦が開発中と伝えられている。この規模の潜水艦の開発
と建造への投資が継続されている事から見て、70隻という予測レン
ジの上の方の数字が、来るべき将来の中国潜水艦隊の構成と考える
べきだろう。

パトロールの増加

中国の攻撃型潜水艦隊は、パトロール率を2006年の2回から2007年には6回に、
更に、2008年には12回に増加させている。これは、訓練の新しい目標が定めら
れ、それは、関係諸国、とり分け米国に対し、中国が太平洋における海軍大国
である事を誇示したいという願望がある事を示している。最近の二つの事件が、
その傾向を強調している。2006年10月26日、宋級潜水艦が沖縄近海で行動中の
空母キティホークの5海里以内に浮上したが、これはエスコート陣形の内側で
あった。また、2009年6月11日、中国の潜水艦が、フィリッピン近海で曳航式
ソナーを展開していたイージス艦ジョン・S・マケインと衝突した。これらの
事実が米国海軍のASW能力の限界と中国潜水艦の能力を示しているかどうかは
別にして、最も有益な情報として分類されるべきものは、これらの事件は、中
国の潜水艦の活動範囲が過去のそれと比べ、明らかに広範囲に配備されており、
また、より攻撃的に運用されている事を示しているという事である。

目的

いくつかの考慮要素と目的を考えると、中国の急速な攻撃型潜水艦隊の増強を
理解しやすくなる。基礎的な中国の防衛ニーズは、中国-台湾関係に「干渉す
る」米国の能力を制限し、太平洋で米国の優位に挑戦し、中国の戦略ミサイル
原潜による核抑止力を保護して、より大きな国際的な威信を得ることである。

まず最初に、中国の富と人口は、その東海岸に集中しており、中国が、その海
岸に沿って強力な海軍抑止力を展開する説得力のある理由を与えている。

それとは異なり、多くの安全保障の専門家は、「中国が潜水艦隊を増強する主
たる目標は、米国が台湾の代りに介入する事を遅延、または阻止する事である」
と主張している。中国は、台湾の「反逆した行政区」によって、苦しめられて
おり、1949年以降、(中国の観点からは)両岸関係に干渉している米国によって
苦しめられている。

台湾海峡を挟む関係が特に緊張した1996年には、米国は台湾に対する中国の攻
撃を阻止するために、二つの空母戦闘団を派遣した。中国がそれ以来、将来に
おける台湾海峡をめぐる紛争において、米国の軍事介入を躊躇させたり、遅延
あるいは妨害する海洋利用拒否能力の開発に高い優先順位を与えた事は驚くに
当たらない。米国防総省は、「キロ級、商級、宋級、元級潜水艦の購入と開発
は、中国人民解放軍の海中戦と通じた海洋利用拒否を重視する姿勢を描き出し
ている」と結論づけている。

人民解放軍海軍は、かってのソ連海軍の戦略、それは、攻撃的能力を保有する
大洋を航行する原子力潜水艦を用いて、急速に(ソ連にとって)好ましからざる
地政学的状況を克服するという戦略を模倣しているとも言える。類似の戦略は、
中国本土を取り囲む列島線による封鎖を打ち破ろうとする人民解放軍海軍の目
的に合致している。

海南島の新しい海軍基地は、人民解放軍海軍に、死活的な国際シーレーンへの
直接的なアクセスを与え、南シナ海の深海に潜水艦を密かに展開する事を可能
にする事で、新たな検討ポイントを付け加える事になる。

核抑止力の一環として、中国は、最大5隻の晋級戦略ミサイル原潜(SSBN)を建
造するものと予想されており、おのおの、中国近海から発射して米国に到達可
能な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)12基を装備していると見られている。
これにより、信頼のおける海洋配備の核抑止力が構成される。中国は、戦略ミ
サイル原潜の核抑止パトロールの護衛を攻撃型原潜に期待しているものと思わ
れる。

最後に、中国がグローバルな大国になる意図がある事は明白であり、原子力潜
水艦は、中国が大国の地位にある事の確認を世界に要求している事を示す顕著
な表れである事は、中国の常識と言える。また、強力な攻撃型潜水艦隊は、世
界をめぐる中国商船団を保護する上でも有用である。1993年のイン・ヒー事件
で、米国が化学兵器の原料をイランへ輸送していると疑われた中国の貨物船を
臨検すると譲らなかった時、中国の指導者に「いくら激怒しても、頼るものが
なければ無力だ」という事を再認識させた。

オーストラリア

オーストラリアは6隻のディーゼル電気推進潜水艦を保有しており、より広範
囲な海軍近代化計画の一環として、12隻の巡航ミサイルを装備した最新型通常
動力潜水艦に置き換える事を公表している。オーストラリア政府は、この増強
を中国の海軍力の増強と世界とりわけアジア太平洋地域で安定化の役割を担っ
ている米国の海軍力の優位の減退に対応したものと明白に表明している。

インド

地理的には、太平洋国家ではないものの、インドは、東南アジアと西太平洋に
影響範囲を拡大する事を試みている。インドは16隻のディーゼル推進の攻撃型
潜水艦を保有しており、最近、最初の攻撃型原潜を進水させたが、それは、ロ
シアのアクラ級を元にしたものである。インドは2隻目のアクラ級潜水艦をロ
シアからリースする予定があり、6隻のスコルピオ級ディーゼル潜水艦を建造
中である。インドの潜水艦戦力の増強と更新は、10年で、100隻の戦闘艦を増
強するというより大きな計画の一部である。インド国防省は、この計画につい
て、国家防衛の為の「戦略的必要性」と説明しているが、その多くは中国の海
軍建設に対抗したものと言える。「中国は素晴らしい勢いで海軍戦力を増強し
ている。そのインド洋に対する野心は明白である。」インド自身も大国になる
ことを切望している。そして、潜水艦は、列強の艦隊の肝要な部分とみなされ
ている。

ロシア

ロシアの潜水艦隊は、ソ連邦の崩壊以降、三分の二に縮小している。近年、ロ
シア海軍は、ソビエト後の危機から脱却したが、冷戦時代から残された数十隻
もの原潜を退役させる必要がある。2009年には、ロシアは17隻の攻撃型原潜と
20隻のディーゼル潜水艦を保有していたが、この内、5隻の攻撃型原潜と9隻の
ディーゼル潜水艦が太平洋艦隊に配備されていた。近年の国防予算の大規模な
拡大にも関わらず、「ロシア海軍は、資金不足に取りつかれており、作戦可能
な潜水艦を定期的にオーバホールする事とそれらを戦闘可能状態にするのがや
っとといった状況にある。」

日本

日本は、新しいそうりゅう型AIP潜水艦1隻を含む、最低16隻の最新の潜水艦隊
を維持している。日本は、歴史的に、潜水艦を16年の現役期間で更新してきた
が、それは、他国が潜水艦を退役させるペースに比べ非常に早いものだった。

韓国

韓国は12隻の攻撃型潜水艦を保有しており、2020年までに、潜水艦隊を27隻に
増強する計画がある。

北朝鮮

北朝鮮は、22隻の古い通常動力型潜水艦(この内、何隻が現役かは不明。) と
多くの小型潜水艦を保有している。これらの潜水艦は、理論的には、商船や、
洗練されていない水上艦艇に脅威を与える事できるが、北朝鮮の潜水艦は、海
域管制上、深刻な競争相手とは見なされていない。

台湾

台湾は2隻の攻撃型潜水艦を運用しており、潜水艦隊を増強し、更新する、国
内建造を含む様々な方法を探っている。2001年には、米国は台湾に、8隻の通
常動力潜水艦を含む武器パッケージ輸出を提案したが、米国は、最新の通常動
力潜水艦の設計に関する何らの権利を保有していない事から、この提案は、効
力を失ったものと見なされている。

東南アジア

中国とインドが原子力推進潜水艦を配備した文脈から、東南アジアの殆どの国
が、既存の潜水艦隊の増強の能力向上を図っている。インドネシアは、2隻の
潜水艦を保有しており、2024年までに12隻を建造する計画を発表している。
ベトナムは、6隻のキロ級潜水艦をロシアに発注している。シンガポールは最
近、2隻のアーチャー級AIP潜水艦で既存の4隻の潜水艦の内2隻を置き換えた。
2007年10月に、マレーシアは、フランス建造のスコルピオ級潜水艦1隻の引渡
しを受けた。2隻目は2010年に引渡される事になっている。タイは、現在、潜
水艦を保有していないが、何隻かを調達する事に関心を深めている。


次回は、中国の挑戦に対する米国の対応に関する提言と結論です。


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2010年3月11日木曜日

太平洋での潜水艦軍備競争:米国の海中での優位に対する中国の挑戦(1)


2月12日の以下のエントリー

潜水艦建艦競争が激化するアジア。惰眠を貪る日本?(2010/02/12)
http://ysaki777.iza.ne.jp/blog/entry/1457002/

で取り上げたヘリテージ財団のレポートですが、中国海軍に対する
米国海軍の動きについても、良く書かれているので抄訳する事にし
ました。原文は以下のURLで参照できます。
http://www.heritage.org/Research/NationalSecurity/bg2367.cfm

第一回は、総論と米国の動きについてで、次回は中国や他の諸国の
動きになります。

太平洋での潜水艦軍備競争:米国の海中での優位に対する中国の挑戦
by Mackenzie Eaglen and Jon Rodeback
The Heritage Foundation, February 2, 2010


要約

冷戦の終了以来、中国はその海軍、とりわけ潜水艦隊の拡張を図っており、
1995年以降、数十隻の攻撃型潜水艦を増勢した。同じ期間に、米国の攻撃型潜
水艦隊は、53隻に縮小し、2028年には、41隻に減勢するものと予想されている。
米国の艦隊は、既に、現在行われている作戦の需要で、余裕がなくなってきて
おり、オーストラリア、インド、その他太平洋諸国も、このバランスの移動を
認識して、自らの海軍の拡張、特に潜水艦隊の拡張に入っている。米国が艦隊
の減勢に終止符を打ち、反転させない限り、米国の太平洋における軍事的優位
は、弱まり続け、米国の利益と友好国や同盟国を支援する合衆国海軍のこの地
域での作戦実行能力は、非常に制約を受ける事になるだろう。

2009年4月、オーストラリアは、地域的な安全保障環境の変化、とり分け、太
平洋における米国の覇権の凋落と中国海軍の急速な発展に対応して、「第二次
大戦以降最大の軍備増強」を行う旨発表した。長い間、米国に最も忠実な同盟
国であり、友人であった国の一般向けの声明は、米国議会と米国の上級防衛担
当者に対し、目覚ましのベルと言えるものとなった。

中華人民共和国(PRC)は、地域的な海軍大国から世界的な大国へと急速に発展
してきており、「米国と中国、また、中国と日本の間で東アジアにおける安全
保障上の厳しい競争が生起する見通しが強まっている。」この地域の他の太平
洋諸国も、潜水艦の取得予定で明白に示されている様に、この安全保障環境の
変化に留意している。

オーストラリアの軍備増強は、潜水艦隊を現在の6隻から、より大型で、能力
の高い12隻へと増強するものであり、それに加え、「インド、マレーシア、
パキスタン、インドネシア、シンガポール、バングラデシュ、韓国も近代的な
通常動力潜水艦の取得を計画中」である。オーストラリアとインドは、その海
軍増強の少なくとも一部が中国の海軍建設に対する対抗処置である事をはっき
りと述べている。

これとは対照的に、米国の潜水艦隊は2028年まで縮小し続けると予測されてお
りこれによって、太平洋での事件に対する米国の影響力と形成力がさらに制限
される事になる。

米国の攻撃型潜水艦は海洋の支配と覇権の確立に重要な要素であり、他の軍事
資産と交換できるものではない。

その独特の能力は、軍事力に乗数効果をもたらすものであり、「体重を上回る
パンチ力」を可能とする。そして、東アジアと太平洋における米国の利益を保
護し、米国の盟邦を支え、安心させるために、米国は、太平洋で軍事バランス
を維持するより広範な政策の重要な構成要素として潜水艦隊の減勢を中止し増
強へと反転させなければならない。

水中のかくれんぼ

強力な武器システムとステルス能力の結合により、潜水艦には戦略的な抑止、
海洋管制と海洋利用拒否、戦場準備、監視と情報収集、特殊部隊上陸や陸上攻
撃を含む地上作戦に対する支援といった広範囲にわたる任務を成し遂げる特別
の適性がある。

ステルス能力は、効果的な水中活動の主要な成分である。それは、潜水艦が予
想外の方向から、突然の、破壊的な攻撃を行う事を可能とし、幽霊のように作
戦地域に出入する事を可能にしている。また、潜水艦は、発見された場合、攻
撃には脆弱である事から、ステルス能力は潜水艦の主要な防御能力でもある。

潜水艦は四種類に大きく分類される。これらは、ディーゼル電気推進攻撃型潜
水艦(SSとSSK)、原子力推進攻撃型潜水艦(SSN)、原子力推進巡航ミサイル潜水
艦(SSGN)と原子力推進弾道ミサイル潜水艦(SSBN)であり、主要な武装と推進シ
ステムによって区別される。

武装

攻撃型潜水艦の第一の任務は敵国の水上艦艇や潜水艦を発見し、撃沈する事で
海洋の支配力を確立する事である。最新の攻撃型潜水艦は、巡航ミサイルを発
射する事ができるが、これにより陸上攻撃能力が与えられた事になる。

SSGNは、海上覇権を確立する為の水上攻撃目標任務と陸上目標を攻撃する任務
の双方を行う事ができる巡航ミサイルを装備する。SSBNは、SLBM(潜水艦発射
弾道ミサイル)を発射する能力を持ち、米国とロシア、そして遠からず中国の
核抑止力を担っている。

推進機関

どの様な推進機関を保有するかで、航続距離、潜水維持能力、速度、敏捷性、
そして、危険な状況に探知されずに出入する静粛性と言った潜水艦の能力が大
まかに決定される。

多くの国は、ディーゼル電気推進潜水艦を配備している。このタイプの潜水艦
は水上ではディーゼルエンジンで推進され、水中では、電気バッテリーで航走
する。潜水中は、非常に静粛である。ロシアのキロ級潜水艦は、探知を避ける
能力の高さから「ブラックホール」と渾名された。しかしながら、この印象的
なステルス能力も航続距離と速度の制約と数日毎に潜望鏡深度あるいは水上で
バッテリーに充電する必要があるという犠牲によって齎(もたら)されたもので
ある。

いくつかの国は、非核、非大気依存(AIP)推進潜水艦(SSP)を実戦配備している。
その潜水艦は、ステルス性と速力は伝統的なディーゼル電気推進潜水艦と同様
ながら、一時に数週間潜水できる能力を持つ。この長期間潜水する能力は、明
白に、探知機会を減少させ、脆弱性を低下させる事になる。

原子力潜水艦の大きな長所は、そのほとんど無制限とも言える推進力である。
その推進力は、より高速の作戦速度と実質的に無制限の航続距離、及び数ヶ月
に及ぶ潜航能力を実現する。そしてその潜航能力は乗員用の糧食と貯蔵品、乗
員の持久力によってのみ決定される。
原子力潜水艦の大きな欠点は、原子炉がバッテリーパワーで動いている電気モ
ーターより本質的に騒音が高いということである。しかし、これは潜水艦の音
響特性を減少させる材料と設計によって軽減する事が出来る。
原子力潜水艦は、国際的な威信の源にもなっている。実際、国連安保理の常任
理事国五ヶ国以外には僅かな国を除き原子力潜水艦を保有していない。

対潜水艦戦

対潜水艦戦(ASW)とは、艦艇や航空機、潜水艦他を使用して敵国の潜水艦を探知、
追跡し、撃沈する戦闘である。潜水艦は、目標と同じ環境で運用される能力、
及び同程度の戦力と脆弱性を持つ事から、恐らく最高の対潜水艦戦用のプラッ
トフォームである。しかしながら、対潜ヘリコプターと哨戒機は、航続距離と
速度、及び獲物となる潜水艦からの脅威に対して、脆弱でないという有利さを
持つ。水上艦艇は、非常に能力の高い対潜プラットホームではあるが、潜水艦
からの攻撃に対してより影響されやすいと言える。

敵の潜水艦を破壊するか、少なくとも戦場から退場させる為には、まず、探知
する事が必要であり、通常はソナーによって行われる。アクティブソナーは、
第二次大戦時の映画で一般に良く描かれている様に、ピンによって探知目標
(通常は潜水艦)の正確な位置を知る事が出来る。しかし、同時に、それによっ
て、ソナー発振器の位置を露呈し、敵潜水艦に誰かが何かを探している事を警
告する事になってしまう。パッシブソナーは、潜水艦や他の艦艇の特徴的な音
響を音波や超音波を通じて「聞く」事に依存している。
最近のパッシブソナーは、艦艇に曳航されたソナーやソノブイ、その他水中セ
ンサーから得られた音響をフィルターに通したり、翻訳したりするのにコンピ
ュータを使用している。理想的には、パッシブセンサーは、ソナー探知により、
方位と位置とタイプを識別する事ができる。

航空機と衛星は、水面下すぐの処にいる潜水艦を探知する事ができる。また、
衛星は、水中の潜水艦を、水中航走時に水面上の発生する波のパターンによっ
て探知する事ができるが、これは他の要因、通常は荒れた海にによる「雑音」
によって制約を受ける。最新の対潜水艦戦は、高いスキルの専門家と広範囲の
訓練と先進の機器を要する挑戦的で高価な、非常な努力の賜物と言える。

太平洋の潜水艦隊

潜水艦隊とその配備は、冷戦の集結から劇的に変化した。1990年代を通じ、ロ
シアは、その潜水艦隊の殆どを実戦配備から退役させた。そして、米国も潜水
艦隊を着実に減勢した。米国の潜水艦が継続的に減勢している間に、中国は急
速に潜水艦隊を拡張し、更新した。軍事バランスの変化に対応して、他の太平
洋諸国も潜水艦隊を拡張し、近代化している。

米国

米国の攻撃型潜水艦は、1987年の102隻から2009年の53隻へと減少した。この
減少は、レーガン政権時代の600隻海軍(100隻原潜)計画以降、繰り返された海
軍構造改革計画の改訂によって齎された。ジョージ・H・W・ブッシュが唱え
た1991年計画では80隻となり、統合参謀本部1992年兵力研究では、目標を55隻
とされ、1997年の四ヵ年防衛レビュー(QDR)では、バーが更に下げられ、50隻
とされた。2001年のQDRでは、攻撃型原潜数は55隻に戻された。2006年のQDRで
は、2012年まで一年に建造する原潜の数を2隻に引き上げ、潜水艦隊の60%を
太平洋に配備する事で、この地域での米国の利益を保護する事としている。
海軍は、48隻の攻撃型原潜を含む313隻の艦隊を提案しているが、情報に通じ
た専門家は、この数値が米国のニーズに合致したものか疑問に感じている。

1999年の統合参謀本部(JCS)潜水艦戦力構造研究では、最適の攻撃型原潜数と
して、全ての軍事ニーズと情報収集ニーズを合わせると2015年で68隻、2025年
で76隻が必要と結論づけている。2015年で55隻、2025年で62隻の戦力では、安
全保障上、モデレートなリスクがあるとみなされた。しかしながら、現在の53
隻の攻撃型原潜は、2001年9月11日以前に所要とされたモデレートなリスクが
あるとみなされた水準すら下回っている。艦隊は、既に、過剰に展開されてお
り、海軍の長期的な調達計画ですら、攻撃型原潜の数は、2022年から2033年に
は、48隻以下となり、2028年から2029年には、41隻の底を打つこととなっている。

この予想される「潜水艦ギャップ」を軽減するため、海軍はヴァージニア級潜
水艦の建造時間を60ヵ月に短縮し、また、一部のロサンゼルス級潜水艦の耐用
年数を最高で2年間延長し、同様に配備日数を6ヵ月から7ヵ月延ばすことを検
討している。この計画の全てが上手くいけば、潜水艦隊の減勢は44隻~45隻で
底を打つ事となる。但し、この努力は、911以前に計画された、モデレートな
リスクシナリオに対応したものでしかない事には留意する必要がある。

怠られた対潜水艦戦能力整備

攻撃型原潜勢力の縮小は、効果的に水中の抑止力を維持する海軍の能力に挑戦
を強いると同時に、他のASWプラットホームの減少に示される海軍の対潜水艦
戦への努力にも陰を落としている。海軍は、173機の老朽化したP-3C哨戒機を
保有しているが、後継となるP-8Aは、2013年にならないと実戦配備される事は
ない。海軍は同様に、S-3Bバイキングを退役させているが、この機種は、空母
搭載の長距離対潜機としては唯一のものであり、更新は計画されていない。

これに加えて、「海軍はSOSUS-1950年代にソ連の潜水艦を探知する事を目標
に開発された戦域ベースの音響探知システム-の近代的な同等物を欠いている」
という指摘があるが、これは、ASW能力面での広範な弱点の象徴と言える。
冷戦中に配備された多くのシステムは、今日直面している脅威に対しては、限
られた有効性しか持っていない。例えば、冷戦期に設置された固定センサーは、
今世紀に紛争が発生しそうな場所には、設置されていない。さらにまた、より
多くの国が、米国の空母を脅かす事のできる先進の潜水艦を配備しており、米
国が介入する上でのコストをより高いものとしている。

海軍の戦力構造は、この進化する水中の脅威環境に適応したものでなければな
らない。2008年7月、劇的に変化した最近の脅威評価と海軍の戦闘能力に関連
する優先順位付けについて海軍高官が議会で証言した。バリー・マカルー中将
は、脅威環境に対する海軍の新しい認識を解説した。

急速に進化している伝統的あるいは、非対称的脅威は、戦闘指揮官
を増加する挑戦に晒している。国家レベルあるいは以前は限られた
脅威しか持たなかった非国家レベルの対象が、自身の沿岸域を超え
公海での潜水艦任務や、進歩した対艦巡航ミサイルや弾道ミサイル
を使用する能力を獲得しつつある。いくつかの歴史的に、地域的な
軍事的能力を備えているだけだった国が、海軍力を拡張し、グロー
バルな市場で競争する為、実行範囲と影響範囲を拡大している。
我々の海軍は、彼らが拡張する以上のペースで大洋での活動や能力
を拡張する必要がある。これには、海洋利用拒否戦略に対して公海
上での対潜水艦戦及び対弾道ミサイル戦能力の改善を継続する事を
必要とする。



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2010年3月10日水曜日

民主党政権に、非核三原則の厳格実施はできない?


佐藤元首相「核『持ち込ませず』は誤り、反省している」

日米の密約に関する調査で見つかった文書で、核兵器を「持たず、作らず、持
ち込ませず」という非核三原則を提唱した佐藤栄作氏が、その後「『持ち込ま
せず』は誤りであったと反省している」と悔やんでいたことが明らかになった。

この文書は、69年10月7日付の東郷文彦・外務省北米局長(当時)による
「首相に対する報告(沖縄関係)」。沖縄返還後の米国による核の再持ち込み
の可能性などを佐藤首相と議論した際の記録だ。このとき佐藤氏は「難しいこ
とが多いが、この苦労は首相になってみないと分からない」とも漏らしていた。

佐藤氏が最初に非核三原則を表明したのは67年12月の衆院予算委員会。翌
年1月27日の施政方針演説にも盛り込んだ。偶然にも、東郷氏が「持ち込み」
についての日米の理解のずれを記した「東郷メモ」を作成した日のことだった。
佐藤氏は2月5日にこのメモを閲読していた。佐藤氏は首相退陣後の74年
10月、三原則などが評価されて、ノーベル平和賞受賞が決まる。前月の「ラ
ロック証言」で、三原則への疑念が日本中を揺さぶる中での発表だった。

(朝日新聞 2010/03/10)

岡田外相、米に解釈たださず 核寄港「今後考えにくい」

岡田克也外相は密約の調査結果公表にあわせた朝日新聞のインタビューで、米
側との解釈のずれをただす必要はないとの考えを示し、その理由に米政府が水
上艦などへの核兵器の搭載を再開する可能性が考えにくいことを挙げた。

岡田氏は米政府の核政策について、「今は核の役割を低減しようというのが大
きな方向性なので、(水上艦からの核の撤去が)元に戻るということは非常に
考えにくい」と指摘。「それ以上に仮定の議論はすべきではない」とした。

政府はこれまで核搭載艦船の寄港の有無について、核の持ち込みに必要な「事
前協議」が行われていないことを理由に「ない」と説明してきた。だが、今回
の調査でこの立場が崩れたことになり、岡田氏は「なかったと考えたいと思う
が、証明する手だてはない」とした。

また、日本は米国の核の傘のもとにあるが、岡田氏は9日の記者会見で「核の
抑止力を肯定している」と言及。核兵器の存在を肯定も否定もしない米国の
「NCND政策」についても「米国の判断であり、理解している」と述べた。

(朝日新聞 2010/03/10)


もともと、非核三原則の内、「持ち込ませず」というのは、日本国
内に外国の核兵器を配備させないという意思を示したものです。
これに、核兵器の通過や一時保管も含める様な国会答弁をした事、
及び、それが実は、矛盾をはらんでいた事が、今回、「広義の密約」
とされた解釈が、日米間で暗黙に合意された背景にあります。

当時は、戦略核兵器とならんで戦術核兵器が大量に配備されていま
した。小さいものでは、大砲の弾にまで、核兵器が準備されていま
した。また、魚雷の頭部に装備する核弾頭や、潜水艦を攻撃する対
潜ロケットや対空ミサイルにも核弾頭が、配備されていました。

この様に、戦術核兵器が大量に配備されていた理由は、兵力的に西
側自由主義陣営が社会主義陣営に対し劣勢にあった事にあります。
その兵力の格差を核兵器という装備の質と技術によって埋めていた
事になります。

また、戦略思想としても、戦術核兵器であっても、その爆発規模が
通常兵器とは格段に異なる事から、一度使用すると容易に全面核戦
争を招くという認識が広まっていませんでした。その為、核兵器の
位置付けが単なる爆発規模の大きな弾頭という解釈で、幅広く核兵
器が配備されていました。これは、米国のみならず、ソ連について
も同様であり、特に、攻撃型潜水艦への核弾頭の搭載は、ソ連崩壊
まで、継続していました。

では、非核三原則の「持ち込ませず」のどこが矛盾をはらんでいる
のでしょうか?

冷戦下で、日本は被爆国として、非核三原則を振りかざしながら、
自らは手を汚す事なく、実際には、米国の核の傘で、守られている
という矛盾がありました。また、日米の同盟関係は、防衛に関して
は片務的といわれていましたが、アジア大陸での社会主義陣営の拡
大を抑制する自由主義陣営の不沈空母として、アジアに睨みを聞か
せる米軍の足場としての役割を果たす事が、求められていました。
その点で、米国が日本の防衛に抑止力を提供するという負担を行っ
たのと同様に、日本は、米軍の出撃拠点や補給拠点としての負担を
約束していた訳です。

現在では、米軍の艦船や航空機には、この種の戦術核兵器は搭載さ
れていませんし、オバマ政権は、保管中の核トマホーク用核弾頭の
廃棄を明言していますので、非核三原則との矛盾はありません。
しかし、冷戦当時は、米軍の艦艇と一部航空機は、核武装していた
事は確実でした。当時、もし、核搭載艦艇の寄港を日本が拒否して
いれば、出撃拠点、補給拠点としての、日本の価値や有効性は、大
きく損なわれていた筈です。しかも、当時の情勢を考えると、米国
の空母機動部隊を牽制したり、あるいは、米軍基地に戦術的奇襲を
行う為、日本の領海内にソ連の核兵器搭載艦艇が遊弋(ゆうよく)し
ていた可能性も非常に高かったと言えます。つまり、日本が「核を
持ち込ませず」を米国に対し厳格に適用していれば、同盟国には、
非核寄港あるいは通過を強要しながら、逆に敵国の核搭載通過は許
容するという、いびつな対応を余儀なくされる事になってしまい、
究極的には、日米安保体制を危うくするものになっていたに違いあ
りません。

国内の左翼陣営は、勿論、これらの事実を知りながら日米離反を狙
って、国民の核アレルギーを利用して非核三原則の"米国に対する"
厳格適用を狙っていた訳であり、そうする事で、社会主義陣営の利
益になるという認識であった事はいうまでもありません。

先程、記した様に、現在では、米国に関する限り、「持ち込ませず」
が、日米安保体制と矛盾する事はなくなりました。しかし、鳩山民
主党政権が、非核三原則の厳格適用を掲げるのであれば、矛盾は引
き続き残ります。それは、ロシアと中国の戦術核搭載艦艇をどの様
に取り扱うのかという点です。ロシアと中国にとっては、米国の艦
艇は、大きな軍事的脅威です。艦艇を含む通常兵器の質と量が、米
国に対抗できない両国にとって、それに対応する安価な対抗手段は
核兵器しかありません。日本の領海内には定期的に、ロシアと中国
の核搭載原潜が侵入している可能性が高いと考えるべきなのです。

2004年に、中国の漢級原子力潜水艦が我が国領海を侵犯するという
事件がありました。他国の領海を航行する潜水艦は、浮上して国旗
を掲揚する事で、無害航行が認められます。しかし、あの事件の様
に、潜行中の国籍不明の潜水艦が発見された場合は、強制浮上の上、
臨検する必要があります。実際には、日本は強制力のある行動を取
る事ができず潜水艦は自主的に領海から退去する形になりましたが、
あの艦に核兵器がなかった訳がないのです。日本は領海を侵犯され
た上、「非核三原則」を犯された事になります。

中国やロシアの原子力潜水艦が再び、日本の領海を侵犯した時、非
核三原則の厳格適用を主張する鳩山政権は、海上自衛隊に対し、潜
水艦の強制浮上と臨検を命令できるのでしょうか? もし、できな
いのであれば、米国に対してのみ非核三原則の厳格適用を行うのは、
ダブルスタンダードと言わざるを得ないのです。


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2010年3月9日火曜日

幻想から覚めた国民に民主党は何を見せる事ができるのか?


「内閣改造の発想ない」 支持率3割台突入で首相 打開策にも言及


鳩山由紀夫首相は8日朝、報道各社の世論調査で内閣支持率が3割台に下落し
たことについて、政治とカネの問題を念頭に「せっかく政権交代したのに民主
党らしさが見えず、前(の政権)と変わらないとの思いが国民の中に広がって
いる。批判を正面から受け止め、打開策を考えていく必要がある」と述べた。
政権浮揚のための内閣改造の可能については「今、内閣改造をするという発想
を持っているわけではない」と否定した。首相公邸前で記者団に答えた。

平野博文官房長官は同日午前の記者会見で「(平成22年度)予算が執行され
れば、政権に対する国民の理解も得られると確信している」と述べた上で、政
治とカネの問題については「党が企業・団体献金の禁止について今国会中に成
案を得るべく努力している。これが見えてくれば国民の理解は大きく得られる」
と語った。

(産経新聞 2010/03/08)


鳩山民主党政権の支持率が低下しています。発足直後には、70%以
上という圧倒的支持を誇った鳩山政権ですが、発足以降のほぼコン
スタントに支持率が低下し、今月始めの報道各社の世論調査でつい
に30%台に下落してしまいました。

上記の記事によれば、その原因と対策が「せっかく政権交代したの
に民主党らしさが見えず、前(の政権)と変わらないとの思いが国
民の中に広がっている。批判を正面から受け止め、打開策を考えて
いく必要がある」というのでは、支持率の下落理由が、良くわかっ
ていないのではという思いを深くします。

鳩山内閣の支持率が低下した原因は色々とあるとは思いますが、ま
ずは、鳩山首相自身の脱税問題に起因している事はいうまでもあり
ません。それを民主党らしさが見えていない事が原因と言うのは、
「からす」を「さぎ」と言う様なものでしょう。

それに加えて、民主党の陰のオーナー然として振舞っている幹事長
の小沢氏の存在があります。党内の権限を全て自分に集中した上、
党内に異論を許さない統制を引いている姿はグロテスクとしか言い
ようがありませんが、ご自身は、北朝鮮マンセーの日教組出身の輿
石氏を腰巾着にして結構幸せなご様子です。その内、誰かが「王様
は裸だ!」と言いそうですが、選挙にさえ勝てれば、そのまま行進
を続けていきそうな勢いです。党内民主主義さえろくに機能してい
ない民主党は、殆ど名前負け状態です。

勿論、小沢さんの政党助成金流用疑惑は国民全体を民主党に対する
疑惑の念を覚えさせていますが、禄な説明をしなかった小沢氏にと
って、その様な国民の思いは、子供手当てをばらまいて札束で横面
を張り倒せば、簡単に覆せる程度のものという認識なのでしょうか?
それでは、あまりに国民を馬鹿にしているとしか言えないのです。

一時は、人気を集めた「事業仕分け」で二番煎じも、用意している
様ですが、先の「事業仕分け」で民主党シンパの巡回人形劇団に、
満額の予算を付けた反面で科学振興予算に大鉈を振るった事で、日
本の将来を深く考えて仕分けを行ったのでは無い事が赤裸々になっ
てしまいました。至る所に無駄があるという選挙前の主張とは裏腹
に、実際の仕分けで出てきた資金は、予定の二十分の一という僅か
なものであり、それも技術立国日本の将来へ向かっての投資を削っ
て捻出したものでしかなかったのです。

もうこれでは、日本の将来をお先真っ暗にするのが、民主党としか
思えないというのが、政権発足後半年の民主党政権の総括ではない
でしょうか?この様な内閣は一日も早く退陣して欲しいものですが、
残念ながら、あと3年半は、この何とも無様な民主党内閣は継続し
ます。民主党の口車に乗った有権者の自民党へのお仕置きは、日本
国民全体に大きなツケを突きつけている様です。


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2010年3月8日月曜日

金星探査機「あかつき」、宇宙帆船「イカロス」打ち上げ日決まる


※上段CGが「イカロス」、下段が「あかつき」。JAXAWebサイトから転載

金星探査機「あかつき」5月18日打ち上げ

宇宙航空研究開発機構などは3日、日本初の金星探査機「あかつき」を搭載し
たH2Aロケット17号機を5月18日午前6時44分、鹿児島県南種子町の
種子島宇宙センターから打ち上げると発表した。

あかつきは、金星表面で吹き荒れる暴風などの謎を解明する狙いがある。ロケ
ットにはこのほか、太陽光を受けて進む宇宙帆船「イカロス」や大学で開発し
た衛星など5機も搭載される。

ロケットの打ち上げ可能期間として、地球―金星間の距離が最も短くなる同日
から6月3日までを設定しており、天候不順などで打ち上げが延びれば、次の
チャンスは1年後となる。

(読売新聞 2010/03/03)


日本初の金星探査機となる「あかつき」と、小型ソーラー電力セイ
ル実証機「IKAROS」が、5月18日に、種子島宇宙センターから、
H-IIA17号機で打ち上げられる事になりました。

金星探査機「あかつき」(PLANET-C)は、失敗した火星探査機「のぞ
み」(PLANET-B)に続く、日本で二番目の惑星探査機で、金星大気の
観測を行う事を目的としています。
(ちなみに、PLANET-Aはハレー彗星探査機「すいせい」であり、小
惑星探査機「はやぶさ」は、MUSES-Cという工学実験探査機です。)

金星は、地球のお隣の惑星で、大きさや重力が地球とほぼ同じであ
るにも関わらず、高温高圧の二酸化炭素の大気に包まれ、硫酸の雲
が浮かぶ、地球とはまったく異なる環境です。地球と金星の環境が
これほど異なった原因を調べるのが「あかつき」の目的であり、そ
の現象と原因が解明される事で、地球環境を人類は、更に詳しく理
解できる事になります。

計画では、「あかつき」は打ち上げられてから、約半年かけて金星
の軌道に到達する予定です。

「あかつき」と同時に打ち上げられる「イカロス」ですが、これは、
「あかつき」とは全く異なり宇宙帆船の先駆けとも言える実験機で
す。小型ソーラー電力セイル探査機は、ソーラーセイル(太陽帆)で、
超薄膜の帆を広げ太陽光圧を受けて進む宇宙船で、今までは、SF
小説の中でしかお目にかかる事が出来ませんでした。ソーラーセイ
ルは欧米でもミッションを検討中ですがまだ実現されていません。
「イカロス」は、光圧を受け止めるソーラーセイルに、同じく超薄
膜の太陽電池を装備し、この電力を用いて高性能のイオンエンジン
を駆動することで、ハイブリッド推進を実現すると言う全く新しい
コンセプトの宇宙機の先駆けと言えます。

今回打ち上げられる「イカロス」は、展開前こそ、直径1.6m、
高さ1m、重量315キロの小型探査機ですが、薄膜を展開すると
一辺20m四方という大きさになります。この正方形の帆の展開と、
薄膜太陽電池による発電の実現、更に、ソーラーセイルによる加速・
減速と膜面の方向を調整する事により、機動を制御する処までを実
証しますが、これらはいずれも世界初か、あるいは世界最先端の技
術実証になります。(残念ながらイオンエンジンは搭載されていま
せん。)

今回の打ち上げでは、「あかつき」「イカロス」の他にも、早稲田
大学、鹿児島大学、創価大学、UNISEC(大学宇宙工学コンソーシアム)
が各々製作した小型相乗り衛星も同時に打ち上げられます。この内、
早稲田大学、鹿児島大学、創価大学の小型衛星は、地球周回軌道に
投入されますが、UNISEC(大学宇宙工学コンソーシアム)の小型衛星
は、金星へ向かう軌道に投入されます。宇宙機関以外が製作した衛
星が月(38万km)を超えて金星を目指すこと自体、「世界初」の試み
となります。内容面でも金星へ向かう軌道の中で、UNISEC加盟の各
大学が製作した宇宙用コンピュータの内、「誰が最後まで生き残る
か」を競うという興味深いものです。

H-IIA17号機は、これらの非常に興味深いペイロードを打ち上げる
事になります。最近のH-IIAの打ち上げが非常に安定してきている
とはいうものの、米国でも、ロシアでも、中国でも、欧州でも、
何十回成功した後の打ち上げに失敗する事があるというのが、
ロケット打ち上げの宿命と言えます。それだけに、今回の打ち上げ
が無事に成功する事を心より祈りたいと思います。


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