2009年3月19日木曜日

ボーイング新型戦闘機F-15SEを発表!



※写真はFlight Globalサイト及びボーイングサイトから転載

ボーイング社は昨日、既存のF-15Eを大幅に改修し、スティルス機
能を付与したF-15SEを発表しました。まるでWindows98SEの様なネ
ーミングですが、Second EditionのSEではなく、Silent EagleのSE
だそうです。

2009/3/18付けのFlight Globalの記事によれば、F-15SEは、F-22や
F-35の様な、スティルス・コーティング、機内武器収納庫、統合デ
ジタルアビオニクス、傾斜尾翼と言った第五世代機としての特徴を
持っています。


主翼前縁には、スティルスコーティングが施され、前方からのレー
ダー電波の反射を抑え、15度傾けられた垂直尾翼によって側方から
のレーダー電波への反射が抑制されます。
また、コンフォーマル燃料タンクの内部に埋め込まれたミサイルや
爆弾は、全方位からのレーダー電波への反射を削減し、戦闘行動時
もクリーンな翼を維持する事ができます。

ボーイング社によれば、この結果、前方から見た時には、F-15SEは、
第五世代機と同様のレーダー・クロス・セクションを達成できるよ
うになる見込みです。しかしながら、ボーイング社はこれらのスティ
ルス効果が攻撃侵攻任務で予想される相手側の地上設置レーダーに
は、あまり意味をもたず、防御目的で使用する場合には有効である
としています。また、F-22が備えている赤外線スティルス対策も
F-15SEには施されていません。

搭載されるAPG-63(V)3レーダーは前方からのレーダー波に備え、や
や傾けられて設置されますが、索敵範囲や空力抵抗には影響を与え
ません。またBAEシステム社の統合電子戦装置を搭載する事も、こ
の機体の主要な新機能の一つとなっています。

ボーイング社によれば、飛行試験を2010年の第一四半期に、また、
引渡しは三年後からと予定しています。気になるお値段は、訓練費
用やスペア部品を含め一機当たり1億ドルになる見込みです。

また、ボーイング社は、米空軍を売り込みの対象としておらず、既
にF-15を採用している五ヶ国を販売対象としています。
また、既存のF-15E及び派生機は、F-15SEへの改造が可能となって
いるそうです。

今回のボーイング社の発表は、タイフーンか、F-35かの択一になり
つつあった空自のF-X商戦に大きなインパクトを与えるものと言
って良いでしょう。と言うより、日本のF-X商戦を念頭に開発が
進められたプロジェクトである様に思います。

ただ、個人的な感想を言えば確かに、第五世代機としての要素が大
きく取り入れられているものの、所詮は、第四世代機の改造機でし
かありません。日本は現在、既存のF-15Jの大幅な改修作業を進め
ている処でもあり、改めてこの機体を取得するのであれば、F-35が
取得出来るのを待っても良いのではないかと考える次第です。

(Windows95のユーザーが、WidowsXPが欲しいのだけれど、なかなか
入手できないので、MSからWindows98SEの購入を勧められている状態。
だけど、この間OSR2にレベルアップしたばかりだし、というのがア
ナロジーとしては適切である様な気がします。)


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2009年3月18日水曜日

祝 DD181「ひゅうが」就役!


※写真は、毎日新聞サイトより転載

海上自衛隊 「空母型」ヘリ搭載護衛艦、横須賀配備へ

海上自衛隊の新型ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」の引き渡し式が18日、
横浜市磯子区のアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド横浜工場で開かれた。
海外派遣も想定し、多目的任務をこなす初めての護衛艦で、船首から船尾まで
長く伸びた長い甲板を持つ「空母型」の形状が特徴。護衛艦では最大で、初め
て女性自衛官17人が乗り組み、母港・横須賀港に配備される。

ひゅうがは全長約197メートル、基準排水量1万3950トン。ヘリ3機が
同時に発着でき、周囲360度からのミサイル攻撃などに対応可能な国産の対
空武器「FCS-3」も初めて装備した。自衛隊全体の統合運用や大規模災害
時に対応可能なスペースや、女性専用の区画も設置。将来は女性のヘリ搭乗員
の乗艦も計画している。

引き渡し式では、武田良太・防衛政務官がメーカーから引き渡し書を受け取っ
た後、山田勝規艦長に自衛艦旗を授与した。【本多健】

(毎日新聞 2009/3/18)


自衛艦は、大体、年度の終わりである3月に就役するケースが多い
のですが、実質的に新しい艦種である「ひゅうが」が5年線表で、
きっちりと就役する処が、如何にも日本的な、ハード、ソフト両面
での品質の高さを象徴している様に思います。

古いエントリーで、「ひゅうが」の進水を取り上げましたが、外見
上は、進水時と比べ、CIWSが実装されているかどうか、甲板の塗装
が正規のものかどうか程度の違いしか判りません。
しかしながら、実態は、全く異なります。

家の建築で例えれば、進水時点では、棟上が終わっているが、内装
が殆ど行われていない状態で、外装だけを整えた状態です。悪い言
い方をすれば、ハリボテの様なものです。これが就役段階では、完
全に完成し、住人が入居した状態と言えます。

しかしながら、自衛艦の場合は、これで戦力化が完了した訳ではあ
りません。これから1~数年をかけて、初代「ひゅうが」乗員によ
って、訓練等を踏まえ、戦力化の為の各種の手順の整備が行われて
初めて実戦で100%の能力を発揮できる艦になります。

これらの手順は標準版が整備されているものの、各艦で、装備して
いる装備や機器が異なるので、厳密には各艦毎に異なっています。
その上、「ひゅうが」の場合は、新艦種の一番艦ですから、その艦
種として初めての手順も多いので、その作成には、通常よりも手間
も時間もかかる事になります。それだけに、初代乗組員は期待も責
任も大きい事になります。

新聞などでは、艦が就役するとあたかも直ぐに使えるかの様な表現
が使われる事も多いのですが、実際には、就役してから時間をかけ
て、本当に手作りで、実戦で使える艦になっていきます。
その意味では、戦後日本の空母運用は、本日、正に呱々の声を上げ
たと言える様に思います。


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2009年3月17日火曜日

太洋の海神P-8ポセイドン東へ


※CGは、Boeingのサイトから転載

米政府がインド政府への哨戒機売却を許可 米国の対印兵器取引で過去最大規模

ロイター通信によると、米政府は16日までに、ボーイング社製P8I哨戒機
8機のインド政府への売却を認可する方針を固め、米議会に通告した。メンテ
ナンスなども含めた取引総額は約21億ドル(約2000億円)に上り、米国
からインドへの兵器輸出としては過去最大規模になるという。

国務省が議会に通告した内容によると、2013年にも1号機が配備され、
2015年までに8機全部がインド側に届く。P8Iは民生用のボーイング
737を改造し、長距離用途に適しているとされる。インド海軍は同機の初の
海外ユーザーとなる見通しだ。(共同)

(産経新聞 2009/3/17)


開発が難航しているP-8ですが、初めての海外売却が決定しました。
米国海軍への配備も行われていない最新の機体であるにも係わらず、
議会が輸出承認を行ったのは、インド洋のシーレーンを管制するイ
ンドとの関係を強化しようとする米国の政策が、オバマ政権になっ
ても変化していない事を示しています。

今回、売却されるのは、P-8Iとなっており、米海軍向けのP-8Aとは
型式番号が変更になっていますので、インド向けに搭載機器のスペ
ックダウンが入っている可能性があります。プロジェクト総額は21
億ドルですが、この内、6.4億ドルは、保守、サポート費用ですか
ら、機体価格は8機で14億ドル。一機当たり200億円にも達してお
らず、100億円を超えていたP-3Cと比べても意外に安いとも思われ
ます。
ちなみに、やや小型の機体ですが、日本で開発中のP-1は一機120億
円程度になりそうと言われています。

少し、心配なのは、米海軍向けのP-8Aの開発が難航している事です。
こういう契約を結ぶ位ですから、ボーイングは、2013年1号機、
2015年に残り7機というスケジュールに自信があるのでしょうが、
元々、インドに売り込んでいた時と比べ、P-8Aの開発遅延がますま
す酷くなっていますから、日本向けの空中給油機KC-767やボーイン
グ787と同じ様な、引渡し遅延が懸念される処です。


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2009年3月16日月曜日

ソマリア海賊対策 日本は黒子に徹して、商船保護の実をあげよ


※写真は、47newsサイトからの転載
艦番号106が「さみだれ」113ガ「さざなみ」主砲のサイズが異なる点に注意

周瑜と諸葛亮? 海自派遣めぐり中国反応

海上自衛隊の護衛艦2隻が14日、日本関係の船舶を海賊から守るためにソマ
リア海域に向かったことを受け、中国のネットに「軍国主義の復活を警戒せよ」
といった反応が殺到した。一方、「この派遣は中国への対抗意識から行われた」
と分析する国際政治学者も多く、「中日両国の海軍が世界の海で競合する時代
の幕開けを意味する」といった見方もある。

15日付の中国各紙は、護衛艦が出港したことを伝えたほか、日本国内の学者
や野党などの反対意見を多く取り上げ、「日本の国内外で自衛隊の海外派遣の
制限緩和につながると心配する声が少なくない」などと伝えた。

中国メディアはこれまで自衛隊の海外派遣に神経をとがらせてきた。しかし昨
年12月、中国海軍がソマリアに向かった際に、新聞とテレビは「責任ある大
国として当然の行為」「世界平和に対する義務」などとその必要性を宣伝した
ため、今回、同じ行動をとる日本に対し、公式メディアは批判的コメントをし
づらいようで、日本を批判したり、警戒を表明したりする論評は少ない。北京
紙、北京晨報は「日本の憲法は海外に軍事力を派遣することを禁じているが、
1990年以後それが徐々に緩和された」と淡々と伝えた。

北京大学国際関係学院の梁雲翔(りょううんしょう)助教授は「日本は国際協
力という錦の旗の下、大国としての地位を守ろうとしている。自衛隊の海上で
の軍事力は決して弱くなく、今回のソマリアへの派遣は中国と競争する意味が
含まれている」との見方を示した。軍事問題専門家の戴旭(だいきょく)氏は
広州日報で、三国志の中で周瑜(しゅうゆ)が諸葛孔明(しょかつこうめい)
(名は亮(りょう))に対抗心を燃やしていたことを指す言葉「瑜亮情結」を
使って日本の気持ちを分析している。

一方、中国の各軍事系ネットには、ソマリアで展開する中国の軍艦と今回派遣
された海自の護衛艦の写真がはられ、「戦ったら、どちらが強いか」について
熱い議論が戦わされている。

(産経新聞 2009/3/15)


随分と時間がかかりましたが、海上自衛隊のソマリア派遣部隊が漸
く14日に、出発しました。13日には韓国の派遣部隊「青海部隊」
も出発しましたので、三週間後には、ソマリア沖で、日中韓の東北
アジア三国の派遣部隊が勢ぞろいする事になります。

上記の記事によると、中国では早速、日中の派遣部隊の戦闘力を比
較したり日本の派遣意図を忖度する議論が喧しい様ですが、何れも
本質を外しています。

今回の派遣の本質は、当然の事ながら、ソマリアの海賊から商船を
保護する事しかありません。海自の派遣部隊は、中国や韓国等他国
の部隊と共同行動により商船保護の実を挙げるべきであると思われ
ます。

残念ながら、現時点では日本は、正当防衛でなければ、武器を使用
できず、海賊が逃走中の場合にも、武器使用に制約があります。勿
論、こんな馬鹿げた制約は、中国、韓国を始め他国の部隊にはあり
ません。

その一方で、今回派遣された日本の二隻の護衛艦は、高性能の対潜
ヘリコプターを各々二機搭載するなど、他国と比べても、非常に強
力な哨戒、索敵能力を保有しています。

これらを考え合わせると、日本は、哨戒、索敵行動という言わば、
黒子に徹して、海賊を追い詰めた上で、華々しい実力行使は、日本
の様な制約のない他国の部隊に任せる事が合理的と考えられるので
す。

例え、日本の部隊の活動が目立たないものであっても、行動に法的
制約がある以上、それを甘受し、与えられた条件の下で商船保護の
実をあげるべきであろうと考える次第です。


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