※写真はS-400対空ミサイルシステム
極東に新対空システム配備 露、北朝鮮ミサイルに対応
インタファクス通信によると、ロシア軍のマカロフ参謀総長は26日、北朝鮮
のミサイル実験に対応し、ロシア極東地域に最新型の対空ミサイルシステム
「S400」を配備したと明らかにした。
北朝鮮のミサイル実験を現実の脅威とみなしていることの表れで、ロシアは引
き続き北朝鮮のミサイル発射に厳しい態度を取るとみられる。
参謀総長は、メドベージェフ大統領に同行して訪問したモンゴルのウランバー
トルで記者団に「北朝鮮のミサイル実験場や核施設はロシア国境から極めて近
い」と指摘。S400配備の目的は、北朝鮮のミサイル実験が失敗した場合に
破片などがロシア領に落下することを防ぐためだと説明した。具体的な配備場
所は明らかにしなかった。
S400は射程約400キロで、ロシア軍最新の対空ミサイルシステム。(共同)
(産経新聞 2009/8/26)
同盟国でも、最後の所は信じないというのが、ロシアの生き方とい
うのが世界で一般的なロシアに対する見解であると思いますが、そ
れが元同盟国で、世界から「ならず者国家」と目されている国で、
核ミサイルを開発しているかも知れない国であるならば、対抗措置
を取るのも当然と言えます。
既に以前から、弾道ミサイル防衛用に新型ミサイルを配備するとい
う意向をロシアは表明していましたが、今回明らかになったのは、
配備が始まったばかりの最新型対空ミサイルの極東配備を既に完了
しているというものです。
ロシアのミサイルは、システムの名称であって、弾体や発射機の型
式が異なっても、同じ名称で呼ばれる事がありますが、このS-400
についても同じで、弾体だけでも、3種類があるとされています。
射程距離400kmを誇るのは、40N6と呼ばれる弾体であるようです。
このミサイルは、長射程で、巡航ミサイルを攻撃する能力があり、
弾道ミサイルについても射程3500km、秒速4.8kmまでの中距離弾道
ミサイルであれば迎撃可能と言われています。
(出展、週刊オブイェクト http://obiekt.seesaa.net/article/119400823.html )
そういえば、2006年の北朝鮮のミサイル乱れ撃ちでは、実に7発の
弾道ミサイルがウラジオストック沖の日本海に撃ち込まれましたが、
事前にロシアの承認を得ていたのか定かではありませんでした。そ
の後のロシアの行動が明らかにミサイル迎撃に傾いた処を見ると、
少なく共、北朝鮮からの事前連絡が充分ではなかった可能性が考え
られる様に思われます。
もし、北朝鮮が米国向けに打ち上げたICBMが、万が一故障してロシ
アに落下したとしても、その落下速度はS-400の能力の範囲に収ま
る筈です。如何に元同盟国ではあっても、最悪の事態に対応出来る
様に予め準備しておくというロシアの姿勢は、危機管理の面では当
然と言えるのです。
一方、日本においては、他国との関係は「友愛」で当たると広言す
る政治家を党首とする政党が政権を握る勢いとなっています。
北朝鮮に対しても「対話」と「協調」で当たるそうです。また、こ
の政党は、政府予算から無駄を省く事で、実に13兆円もの資金を
捻出する事を予定していますが、以前は彼らの考える無駄な予算と
して防衛費を上げ、そこから五千億円を圧縮すると主張していた事
もありました。
折りしも、北朝鮮は、米国や韓国に対して宥和攻勢をかけています。
日米韓の結束を破る事を北朝鮮が意図しているのは明白と言えます。
しかし、何故か、日本に対してはアプローチがありません。これが
何故か言えば、自国に宥和的な新政権の発足を待っている事以外は
考えられません。日本に対しては、譲歩なしで制裁解除や経済援助
が獲得可能であると踏んでいる事になります。その上で、日本に対
しては、歴史問題等を楯にして上からの目線で対応すれば、南北の
民衆レベルからも支持喝采が得られると考えているのではないかと
思われるのです。
交渉において、相手が降りると判っている時ほど強い時はありません。
交渉が有利に展開できる事が判っているならば、あとはどれだけ利
益を拡大するかの問題になるだけです。「友愛」、「対話」、「協
調」、「平和」いずれも美しい言葉ですが、くれぐれも国益を蔑ろ
にしない事を祈念せずにはおれないのです。
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