2010年4月5日月曜日

韓国哨戒艦沈没 魚雷攻撃の可能性高まる。

哨戒艦沈没:高まる魚雷攻撃の可能性
北朝鮮、機雷を意図的に設置?


哨戒艦「天安」沈没の原因は、「外部からの衝撃」で固まりつつあり、またそ
の衝撃についても、地震波の大きさから見て、魚雷や機雷、爆雷など強力な爆
発物によるものと推定されている。金泰栄(キム・テヨン)国防長官による今
月2日の国会答弁で明らかになったように、韓国軍当局は機雷・爆雷よりは魚
雷の可能性を大きくみている。

■魚雷・機雷・爆雷、どう違うのか

魚雷・機雷・爆雷は、いずれも海の中で爆発する。少々乱暴に例えるならば、
魚雷はミサイル、機雷は地雷、爆雷は爆弾に該当する。魚雷と機雷は水の中で
水中の敵を狙い、爆雷は艦艇や航空機など水の上から水中の敵を狙う。魚雷は、
通常はスクリューなどを使って時速60-70キロ以上の高速で走り、数百メート
ル-数キロ離れた目標物を攻撃する。魚雷は、音を探知して攻撃する。敵艦艇
のスクリュー音を聞いて攻撃する受動型(パッシブ)ホーミング魚雷と、艦艇
に向け音を出し、その反響を追っていく能動型(アクティブ)魚雷、誘導され
ずに真っすぐ直進していく無誘導魚雷などがある。

これに対し機雷は、通常は推進装置を持たず、静かに水上を漂って艦艇と衝突
したり、または水中・海底に沈み、敵艦艇の音(スクリュー)、磁場・圧力の
変動によって動き出し、攻撃する。このため、射程距離は魚雷に比べはるかに
短い。爆雷は、魚雷・機雷に比べ、攻撃の方式や対象が制限される。水上艦艇
や航空機から落とされた後、水中数十-数百メートルの深さで、水圧によって
爆発する。

■軍はなぜ魚雷の可能性を大きくみるのか

韓国軍当局は、機雷や爆雷の可能性は低いとみている。まず、天安の船尾に積
まれていた爆雷の場合、爆発しても、船が中央から真っ二つになる結果にはな
り得ない。事故当時、天安の上空や海岸に疑わしい攻撃主体はいなかった、と
いう点から、外部の爆雷の可能性もない。

機雷は、流れてきて偶然天安にぶつかったケースと、天安を狙って設置したケ
ースという二つの可能性を推定できる。まず、韓国側が事件のあった水域に機
雷を設置したことはない、というのが韓国軍当局の説明だ。1950年の6・25戦
争(朝鮮戦争)当時に設置された機雷が海を60年間漂い、天安を真っ二つにし
た可能性は、言及する価値すらない。また1975年ごろ、ペンニョン島一帯に敵
の上陸を防ぐため機雷を設置したことがあったが、金泰栄国防長官は2日の国
会答弁で「電気式雷管が完全に除去された状態で、爆発の可能性はない」と語
った。北朝鮮の機雷が偶然流れてくることも、潮流の方向が南北逆さまなので、
可能性は薄いと分析されている。

北朝鮮や仮想の敵が天安を狙って意図的に機雷を設置した可能性もまた、あま
りにも「偶然に偶然を期待する作戦」であって、確率は小さいと分析されてい
る。天安が沈没した場所は、「天安がこれまで15回通ったことがある」という
程度で、それほど頻繁に行き来していた場所ではなく、むしろ一般漁船の通行
の方が多い。漁船を避け天安だけを狙おうとすれば、天安特有のスクリュー音
にだけ反応するようにした音響感応型機雷が必要だが、北朝鮮がそれほどの先
端情報や技術を持っているかについて、情報当局は懐疑的だ。

このため韓国軍当局は、魚雷攻撃の可能性が大きいと見ているわけだ。北朝鮮
が魚雷攻撃を行ったなら、アクティブ型・パッシブ型ホーミング魚雷などのう
ち、どれを使ったのか、魚雷攻撃を行ったのは小型潜水艦・潜水艇・半潜水艇
のうちどれなのか-といった点は、現段階では断定できない。ある消息通が伝
えたところによると、攻撃の正確さを向上させるため、魚雷発射直後は潜水艇
などから誘導し、目標物に2-3キロまで接近した後は、魚雷自体のソナー(音
響探知装置)を稼働させ攻撃した可能性が大きいという。

事件現場で魚雷の破片が回収されたとしても、攻撃手段の確認はまた別の次元
の問題だ。

韓国政府や軍当局は、「先月24日から27日にかけ、北朝鮮の潜水艇2隻が“行
方不明”になっていたが、今回の事件との直接的な関連性はまだ確認されてい
ない」という立場だ。

(朝鮮日報 2010/04/05)


一時、船体切断面がきれいな直線になっているという潜水士の話を
元に、老朽化による疲労破壊の可能性が高いとする説がありました
が、実際には切断面が、直線ではなくC字型になっていた事もあっ
て、急速にこの説を押す声は少なくなってきています。

実際、疲労破壊を起こした例として上げられるタンカーの例では、
船体延長工事の際に、溶接に不手際があった部分が、船首が波に乗
上げ浮力が増加した際に、切断しています。事故後の調査で、延長
工事の際、納期に迫られ雇用した臨時工主体の溶接が、全く基準を
満たしていなかった事が判っています。そして、それでも、そのタ
ンカーは工事後、13年たって、著しく悪化した海象に遭遇した結
果、船首切断事故に至ったのです。

今回、哨戒艦沈没事故が発生した状況は、波高4mと伝えられてい
ます。この波高は韓国海軍が認めた活動限界に近いのですが、厳し
くはあっても非常に危険な気象条件ではありませんでした。また、
破断した部位は、煙突の後部であり、これも、サギング(船体前後
が大きな波の山で支えられた状態)やボギング(船体中央が、波の山
に持ち上げられ他の支えがない状態)が発生した時しか考えられな
い部分です。しかし、沈没箇所の水深が40mと伝えられている処か
ら、その様な浅海で、太平洋で発生する様な疲労破壊を起こす大き
な三角波が発生するとは考えにくいのです。

哨戒艦の生存者の話では、爆発と思われる衝撃の後、下から10cm~
15cm程突き上げられたと言い、これは、通常の疲労破壊時の状況と
は異なる事が明らかです。

従って、残る可能性は外部衝撃説しかありえず、外部衝撃の原因と
しては、それが魚雷によるものであっても、機雷によるものであっ
ても北朝鮮の関与を疑わざるを得ないのです。

前回のエントリーでも述べていますが、韓国でも、外部衝撃説が有
力になっているにも拘わらず、マスコミや悪名高いネチズンの非難
の矛先は、あろう事か、適切な哨戒艦の救助が行えなかったとして、
被害者である海軍に向いており、加害者である北朝鮮を非難するも
のが誰もいないという状況です。特に、ネチズンの間では、左翼特
有の陰謀論が有力な意見となっており、それが、また、野党民主党
の北朝鮮擁護の主張と一致し、更に、それが、G20を前に事を荒
立てたくない李明博政権の姿勢とも一致するという誠に奇妙な構図
になっているのです。

現状を率直に評価すれば、哨戒艦「天安」の亡くなった将兵と家族
には、誠に申し訳ないのですが、「死に損」という表現が一番適当
である様に思われます。もし、このまま、韓国が北朝鮮に対し、な
んらの行動を起こさないのであれば、韓国海軍は、その士気に大き
な禍根を残す事になるのではと、他人事ながら気になってしまいま
した。


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