※写真はF-15K。Jetpics.comから転載
金総書記が中国に戦闘機供与を要請、拒否される 韓国紙報道
17日付の韓国紙、朝鮮日報は、北朝鮮の金正日総書記が5月に訪中した際、
中国の胡錦濤国家主席に最新鋭戦闘機の無償供与など軍事支援を公式に要請し、
拒否されたと報じた。北朝鮮内の消息筋が明らかにした。
消息筋によれば、中国側は、北朝鮮が攻撃された場合、十分に防御、支援する
ので北朝鮮があえて最新の兵器を保有する必要はないと説得したという。
朝鮮日報は、北朝鮮を脱出した元幹部の言葉を引用しながら、金総書記が哨戒
艦撃沈事件以降、米韓の軍事的攻撃の可能性に相当な危機感を持ち、韓国の
F15、F16戦闘機を防げる中国の最新鋭戦闘機を求めたと分析している。
(産経新聞 2010/06/17)
現在、韓国は最先端の戦闘攻撃機であるF-15Kの導入を推進し
ています。戦闘攻撃機と言いますが、実際には戦術爆撃機であると
言って良いでしょう。戦場で陸軍の攻撃を直接、間接に支援する役
割を持っています。元々F-15は制空戦闘機として開発されまし
たが、その優れた機体性能を利用して、空対空戦闘以外の兵器搭載
能力を強化し戦闘攻撃機とする為の大改造が行われました。その結
果、機体にぴったりとフィットした増加燃料タンクと機外兵装搭載
用パイロンを持つコンフォーマルタンクが増設され、エンジン推力
の増強やレーダーとFCSの機能が強化されたF-15Eが開発さ
れました。その最新型が韓国が導入中のF-15Kという訳です。
既に40機近くが配備されており、更に20機が追加導入される予
定となっています。
韓国は、北朝鮮に対する陸軍での量的劣勢に対し全般的な質的優位
と航空優勢によって対抗していますが、このF-15Kの導入によ
って、戦場での制空権を完全に韓国に奪われてしまうと北朝鮮が懸
念する事は理解できない事ではありません。その点で、金正日が、
中国に最新鋭戦闘機の無償供与を要請したという報道は理解できる
のです。しかしながら、中国もしたたかです。単純な軍事援助では、
一見、供与兵器の部品供給ルートを押さえたと思っていても、北朝
鮮が、イラン、シリアと言った「悪の枢軸」を経由し旧ソ連製兵器
用部品の闇供給ルートを通じて代替部品を取得する可能性も考慮し
たと考えられます。
そして、最新戦闘機を供与する替わりに、中国の戦闘機による抑止
力の傘を提供するという訳です。この場合、抑止力の信頼性は、北
朝鮮の中国に対する態度によって担保される事になります。つまり、
北朝鮮が中国のより強い影響下に入ると考えられるのです。
勿論、北朝鮮は韓国と比べ、量的優勢を確保しているというものの
質的側面では軍事面の全てで老朽化が目立っており、制空能力面で
の劣勢は、その一つに過ぎません。また、北朝鮮は、独自の核開発
を行う事で核抑止という最高レベルの抑止戦略で中国からの離脱を
現在も図っている処です。今回「北朝鮮が攻撃された場合、十分に
防御、支援するので北朝鮮があえて最新の兵器を保有する必要はな
い」と中国が主張したというのが事実であれば、このロジックは核
抑止に関するものと同じであり、中国の北朝鮮に対する嫌がらせと
も言えなくもありません。
そういう面では、北朝鮮への中国の影響力を強化すると言う中国の
施策は、直線的に実現に向かっている訳ではありませんが、北朝鮮
が、軍事の全ての分野で時代に取り残されつつあるのもまた事実で
す。その事実を活用しながら、長期的に目的を達成する事を中国が
考えている様に思われるのです。
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