中国国営新華社通信は18日、北朝鮮が5月に開幕する上海万博に「繁栄する
平壌」をテーマに出展、映像や模型などで「朝鮮人民の強盛大国建設」を宣伝
する計画を進めていると伝えた。北朝鮮が国際博覧会に出展するのは初めて。
北朝鮮のパビリオンは平壌の歴史文物や現代建築、民俗文化などを展示する。
万博期間中の9月6日は「北朝鮮デー」の活動も行われる見通しだ。
(産経新聞 2010/3/19)
<北朝鮮>デノミ失敗で責任者処刑か
聯合ニュースは18日、北朝鮮が昨年実施したデノミネーション(貨幣呼称単
位の変更)の実務責任者だった朝鮮労働党の朴南基(パク・ナムギ)前党財政
計画部長(76)が先週、責任を問われて処刑されたと報じた。複数の消息筋
の話として伝えた。朴前部長はデノミ失敗で朝鮮労働党から解任されていた。
報道によると、朴前部長は平壌・順安区域の射撃場で銃殺されたという。貨幣
改革の失敗で民心が悪化し、金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継体制作
りにも悪影響が出たため、反革命分子として処刑したという消息筋の話を伝えた。
北朝鮮は昨年11月末、旧貨幣100ウォンを新貨幣1ウォンとするデノミを
実施。インフレ抑制や計画経済への回帰を狙ったとみられるが、逆に物価暴騰
や流通の停滞を招いた。
(毎日新聞 2010/3/18)
北、デノミ失敗で党幹部逮捕か=韓国紙
17日付の韓国夕刊紙・文化日報は消息筋の話として、北朝鮮が昨年実施したデ
ノミ(通貨呼称単位の変更)の失敗で責任を問われ、労働党計画財政部長を解
任されたと伝えられる朴南基氏が、1月末に逮捕されたと報じた。
同紙によると、朴氏は1月末に平壌で開かれた貨幣改革報告大会の最終日に
「逆賊」と公の場で批判を受け、その場で逮捕された。同氏は、金正日総書記
が1月初めに行った発電所視察に随行して以降、公開活動がなく、後任も確認
されていないという。
(時事通信 2010/3/17)
日本では、党内では議論が出来ないとマスコミに幹事長の悪口を言
った副幹事長が解任され、それにコメントを求められた党首が愚に
もつかない逃げ口上を言ったりと党内民主主義の欠如を露呈した政
党がありますが、今日、取り上げるのは、そういう事とは関係なく
指導者の失政の責任を部下が代りに取らされたと言うありがちなお
話です。
北朝鮮のデノミの失敗に関しては、このブログでも、過去にも三回
程取り上げています。情報が限られていますので、アバウトな話に
なってしまいましたが、大筋では、想像した通りの状況になってき
ています。
悪い言い方をすれば、北朝鮮は貨幣経済から物々交換経済に退行し
ています。日本でも、第二次大戦後の混乱期に、そういう時期があ
りましたが、強力なインフレ対策が行われた事や、食料の緊急輸入
が行われたこともあって、通常の貨幣経済への回復が実現しました。
つまり、今回の経済混乱を収拾する為には、政治への信頼性を回復
する事が必要であり、その一番の有効な手段は、食料の充分な供給
を政府が責任を持って行う事なのです。政府と政府の発行する貨幣
への信頼が回復すれば、現在は退蔵されている物資が市場に供給さ
れる様になるという訳です。
北朝鮮が、外資規制を緩和し、中国からの資金導入を図ろうとして
いるのも、韓国を脅かして、金剛山観光を再開させようとしている
のも、全ては、餓死者の発生を抑える為に、食料買付を行いたいか
らに他なりません。但し、これらは北朝鮮がすぐにキャッシュを手
に出来ると即効性はありません。(金剛山観光の方は、手早くキャ
ッシュが得られるかも知れません。) 中国からの緊急輸入は手持
ち外貨の範囲行わざるを得ませんでした。しかし、その実態は伝え
られる報道で見る限り、必ずしも充分なものではなかったようです。
金正日は、ルクセンブルグに4800億円相当の資産を退避させている
と報じられています(ルクセンブルグは、その後否定)が、自分のお
金を国民の救済に提供する気はなかったようです。
それでも、事態は収拾しなければなりません。その対策の一つが、
身代わりの処刑です。デノミの実施担当者に全ての罪が擦り付けら
れ、サーチナによれば、朴前財政計画部長は「大地主の息子。革命
の戦列にもぐりこみ、故意に国家経済を窮地におとしいれた」反革
命分子として処刑されたそうです。ただ、これで、党と指導者の無
謬性が本当に守られたかという点には疑問符がつきます。
もう一つの対策は、敵を外に作る事で、内部の結束を図るという伝
統的な手段です。米韓合同演習を戦争準備と煽ったり、韓国に対し
高圧的に出るのも、敵を外に作って国民の不満を外部に向ける事が
目的に他なりません。
本来は、外国や国際機関に援助を求めるという策もあるのですが、
今回は、残念な事に、国連や韓国に援助を求める事は、口が裂けて
も言えません。昨年秋の段階で国連の申し入れた食糧援助を断って
いるからで、今更、援助を言い出すのは、金正日の面子の問題にな
っているのかも知れません。
国内で餓死者が出ている現状からすれば、一番上の記事の様に、上
海万博に「繁栄する平壌」というテーマで出展するのは、殆どブラッ
ク・ジョークの世界の様に思えますが、自国初開催の万博に過去最
多の参加国を集めたい宗主国様に媚を売ったり、貸しを作る事も、
金正日の中では重要なのでしょう。(物々交換への回帰や、万博へ
の初参加という処にも、百年以上時代が違う様な感じを受けます。)
勿論、朝鮮労働党のエリートしか居住を許されていない平壌は、食
料不足の中でも、繁栄を享受していると言えなくもありません。
北朝鮮国民の「苦難の行軍」は、可哀想な事に、まだまだ終わりそう
にありません。
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