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2008年12月8日月曜日

ネット世論に対するマスコミの恐れと傲慢

春秋(12/6)

アルバニアの女がベルギー人の重症麻薬中毒患者と偽装結婚してベルギー国籍
を得る。男にもう用はない。女は次にベルギー国籍を欲しがるロシア人の男と
偽装結婚して……。近く公開される映画「ロルナの祈り」が、ヤミの国籍ビジ
ネスの実態を描いている。

▼日本でも似たような悪事が跋扈(ばっこ)する。きのう成立した改正国籍法
をめぐり、そんな危惧が国会審議の土壇場で噴出した。外国人女性の子を日本
人のニセの父親が自分の子と認めれば、子に日本国籍が与えられてしまわない
か。ウソの認知によって国籍を売買する犯罪が横行する可能性は、もちろん絵
空事ではない。

▼驚いたのは先月下旬の1週間、インターネットのブログ(日記風の簡易型ホ
ームページ)に記された話題の断然トップが「国籍法」だったということだ。
背景は判然としないが、大半は改正反対論や慎重論だった。国会の動きを見る
と、ネット上を行き来する大量の情報も圧力団体になりうる時代になったらし
い。

▼改正法にはウソの届け出に対する罰則が盛り込まれた。不正に対処するに厳
しくあって当たり前である。ただ、本来日本国籍を取れるはずだった子供を救
うための法改正だ。コインの表裏のような話だが、「悪用される恐れ」ばかり
が強調されるのでは、角を矯めて牛を殺すことにもなる。

(日経新聞 2008/12/6)

12/5に国籍法が改正されましたが、その翌日、日経新聞の名物コラ
ムである春秋に、日経新聞としては珍しく、国籍法に関するコラム
が掲載されました。
日経新聞は子会社の日経BP社を使って、日本企業の中国進出ブーム
を無から有を生み出す手法で作り上げた過去がありますが、それは、
それとして横に置いたとしても、見過ごせない、論理的におかしな
文章に仕上がっています。

まず、第一段で、ベルギーでの国籍ビジネスの実態を描く映画を示
し、第二段では、今回の改正国籍法を巡る議論で、同様の国籍を売
買する不正の横行を懸念します。処が、第三段では、先週のインタ
ーネットのブログの話題のトップが国籍法だった事を示し、同時に、
それが意図的に形成されたものである事と、ネット世論の政治的影
響度の高さを圧力団体という言葉で懸念しています。
そして第四段では、不正対処は当然としつつ「悪用される恐れ」ば
かりが強調されるのでは、改正の意図が生かされない恐れがあると
結んでいます。

ここで、問題であると私が感じるのは、マスコミのネット世論に対
する恐れとそれでも、自分(マスコミ)の意見が正しいという傲慢で
す。

春秋子が書きたかった事は、国籍売買ビジネスの懸念を示す事では
なく、ネット世論が実際の法案成立に対して与えた影響に対する懸
念であり、且つ、そのネット世論が特定の背景の元に意図的に捻じ
曲げられて形成されたと言いたい様です。

しかしながら、私の見る限り、春秋子の懸念は杞憂である様に思わ
れます。ネット世論では、法律的な議論も踏まえて行われており、
最高裁判決についても、多数意見のみならず、少数意見についても
解説されており、また、海外での同様の法改正と、その結果として
国籍売買ビジネスが横行し、DNA鑑定が導入された事も簡単な判る
様になっています。インターネットは、その意味公正なアリーナと
も言えます。国籍法改正賛成派は、充分な反論ができず論破された
と言うべきです。

それは、このコラムでも同様です。論理的には、第一段と第二段は
つながりますが、それに対する回答や説明もないまま「改正の意図
が生かされない恐れがある」では、素直に納得できる人は少ないと
思われます。

今まではマスコミが良いといえば良いのだという「バカボンのパパ」
的傲慢が許されたのかも知れませんが、ポスト・インターネットの
世界では、マスコミにも相応の説明責任が求められている様に思わ
れます。

2008年12月5日金曜日

悪法成立!再改正の為の国民運動を!

改正国籍法が成立=違憲判決受け結婚要件削除

日本人の父と外国人の母の間に生まれた子の日本国籍取得の要件から父母の結
婚を削除した改正国籍法が、5日午前の参院本会議で、与党と民主党などの賛
成多数で可決、成立した。公布から20日以内に施行される。
採決では、国民新、新党日本両党などが反対。自民党の有村治子、衛藤晟一両
議員と山東昭子副議長(自民会派を離脱中)が棄権した。新党日本の田中康夫
代表は「DNA鑑定制度の導入と父親の扶養義務が明記されていない」と反対理
由を説明した。
最高裁の違憲判決を受けたもので、日本人の父の認知だけで国籍を取得できる
ようになる。改正法は、日本人男性に金銭を払うなどして虚偽の認知をしても
らい国籍を取得する「偽装認知」を防ぐため、偽装認知による届け出を行った
場合は1年以下の懲役または20万円以下の罰金を科す規定を新設した。 

(時事通信 2008/12/05)

はっきり言って、民主党の巣窟である参議院での否決は期待できな
かったので、今日の本会議可決に驚きはありません。まったく、日
本の政治家の頭のレベルと日本国をどう導こうとしているかその姿
勢が良く判る結果になったといえる様に思います。

感情的には如何ともし難いものを覚えますが、感情に任せばかりで
は芸がありません。その様な人間達を自分達の代表に選んだのは、
我々自身なのであり、いたずらに政治家”だけ”を批判するのは、
天に唾する行為になってしまいます。

改正国籍法は、20日後には有効になります。参議院での付帯決議
では、父親からの聞き取り調査、父子が写った写真の提出などの防
止措置や、施行後の状況の「半年ごとの法務委員会への報告」が要
請されており、この付帯決議が確実に実行されている事を、今後共
確認していく必要があります。

異常な数の国籍付与申請が提出された場合や、異常な数の認知が同
一人から提出されていないかチェックできる体制になっているかを
政治家を通してチェックする必要もあります。
法務省に対して行政手続きの開示を求める事もできます。そう言っ
た事実を積み上げていく事が、再改正の礎になります。

今回の国籍法の問題は、支持政党に関わらない超党派的な問題であ
ると考えます。問題意識を持った各々が、自分が支持する政治家を
通して、国籍法の厳格な運営と、DNA鑑定を導入する再改正に向け
て、長い戦いを行っていく必要があります。

その為にも、一歩後退に臆する事なく、再改正に向けた周囲に対す
る働きかけや、政治家に対する陳情を行っていきたいと思います。
我々一人、一人は、小さな小さな力しかもちませんが、その力を糾
合すれば、大きな力になっていきます。
心ある皆さん、頑張りましょう。

2008年11月28日金曜日

国籍法改正案衆院通過。でも、あきらめない。


国籍法衆院通過 法務委実質3時間、審議不十分の声

未婚の日本人の父と外国人の母の間に生まれ、出生後に認知された子の日本国
籍取得要件から「婚姻」を外す国籍法改正案は18日の衆院本会議で全会一致
で可決、参院に送付された。今国会で成立の見通しだが、これに先立つ同日の
衆院法務委員会の質疑では、与野党双方の議員からさらなる慎重審議を求める
声が出ていた。国家の構成員を決める改正案の重要性に比べ、国会での扱いの
あまりの拙速ぶりが目立った。

「重大法案についてはきちんと審議をすべきだ」(自民党の稲田朋美氏)
「もう少し慎重に時間をとりつつやってもらいたい」(民主党の石関貴史氏)
「徹底的にやるべきだ」(社民党の保坂展人氏)

18日の法務委では委員たちから審議の不十分さを指摘する意見が相次いだ。
改正案は偽装認知など闇ビジネスを誘発する懸念が指摘されるが、実質的な審
議はこの日午前に3時間行っただけ。改正案に慎重な自民党の赤池誠章氏が採
決に反対し、委員を村田吉隆氏に差し替える場面もあった。

採決が急がれたのは、自民、民主両党が12日、改正案を会期末までに成立さ
せる方針で合意したためだ。「与野党で合意したものをほごにはできない」
(与党議員)と、国民とは直接関係のない国会対策上の事情が大きい。

各党の法務委メンバーなど関係各議員のもとには、改正案に抗議し、慎重審議
を求めるファクスやメールが殺到した。その中には、DNA鑑定の導入や、父
子の同居・扶養の事実確認の必要性を訴えるものが多かった。このため、18
日の法務委では(1)父子関係の科学的な確認方法を導入することの要否と当
否について検討する(2)虚偽の届け出を行った者に対する制裁が実効的なも
のとなるよう努める-などの付帯決議を行った。だが、「努力目標」の付帯決
議では、国民の不安払拭(ふっしょく)には至りそうにない。

国籍法改正案は、最高裁が6月、同法の「婚姻要件」を違憲と判断したため準
備され、今月4日に閣議決定された。だが、次期衆院選対策で地元に張り付い
ていた多くの議員は法案の内容を知らないうちに、手続きは終了していた。

(産経新聞 2009/11/19)


国会での審議を期待を込めてみていた人にとってはショックが大き
かったかも知れません。しかも、反対者がいたにも関わらず、法務
委員会は、反対委員を差し替え、本会議は全会一致での通過と納得
がいかない向きも多いかと思います。私も全く同じです。

どの国でも、議会の審議方法や決議方法は独特のものがあり、初め
て、そのやり方を知った人間には戸惑うばかりです。ただ、実際の
議会の運営方法を批判しても仕方ありません。今まで、新聞記事だ
けで政治を眺めていた人間が、実際の法律の作り方を実体験した訳
ですから、そういう議会のルールを利用して、悪法の成立や、法律
改悪に抵抗する方法を学んでいくしかありません。

その意味で、今回の国籍法改正については衆院通過には間に合いま
せんでしたが、今度は参議院での委員会審議があり、本会議がある
訳ですから、政党を問わず、参院法務委員会の委員や各々の選挙区
選出の参議院議員に対して、国籍法の慎重な審議を訴える事が重要
であると思います。

議員だって馬鹿ではありません。委員会審議で法の不備を指摘すれ
ば、政府側委員(今回の場合は法務省の役人)だって、無視する訳に
はいかないのです。法案の実質的な審議は委員会で行われます。各
党の法務委員会委員に、対して、ブログのコメント欄、FAXを使
った意見表明を行いましょう。どの議員も基本的には、日本の国を
悪くしようとは考えていません。国籍法不備による、治安の悪化を
望んでいる議員はいないと考え、できる事をやりましょう。

もし、法案が参議院を通過しても、落胆する事はありません。法を
実際に運用する手順は政令で定められます。今回、付帯決議で指摘
された項目がどの様に政令に盛り込まれたかもフォローしていく必
要があります。また、法改正後に外国人の認知が異常に増加してい
ないかも継続的に調査を行う様にしなければありません。その上で
法改正が必要であれば、議員を動かしてドイツ型の修正案を通過さ
せていけば良いのです。

一回だけのチャレンジで、あきらめてはダメです。国籍法改正に対
しては長期戦で戦っていきましょう。