※CGは、SERVIS2パンフレットから転載
実証衛星2号機、打ち上げ成功=市販電子機器をテスト-経産省系団体、ロシアで
経済産業省の外郭団体「無人宇宙実験システム研究開発機構」の実証衛星
(SERVIS)2号機が2日午前10時59分(日本時間)、ロシアのプレ
セツク宇宙基地から「ロコット」ロケットで打ち上げられた。約1時間40分
後に目標軌道に投入され、打ち上げは成功した。同2号機は、安く高性能な自
動車用コンピューターや電池などを衛星にも使えるか試す。高価な宇宙専用部
品の代わりに使えれば、国産衛星の性能アップとコストダウンが期待できる。
2号機は、本体が大小の箱2個で構成され、重さ740キロ。太陽電池パドル
を開くと、幅は10.2メートル。地球を南北に周回する高度約1200キロ
の円軌道で1年間運用される。10種類の試験装置を搭載し、宇宙の強い放射
線による誤作動や劣化の程度を調査。2011年度中に部品の選定評価・設計
の第2次指針をまとめる。
(時事通信 2010/06/02)
無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)は、通産省の外郭団
体で、過去にも様々な無人宇宙実験用衛星の打ち上げを行っています。
特筆すべきは、USEFの打ち上げた衛星で過去一つも完全な失敗
がなかった事です。
一番最初に打ち上げたEXPRESS(自立帰還型無人宇宙実験システム)
こそ、予定した軌道投入が行えず、一時的に行方不明になりました
が、これも後日ガーナで回収でき再突入に関するデータ収集を行う
事が出来ました。
また、その次に打ち上げたSFU(宇宙実験・観測フリーフライヤー)
は、打ち上げ8ヶ月後にスペースシャトルで回収され、現在では、
国立科学博物館に展示されています。
それに続く、USER(次世代型無人宇宙実験システム)は、宇宙機
とカプセル部に分かれており、宇宙実験の結果製造された、超電導
材料をカプセル部を再突入させる事で、地上で回収する事に成功し
ています。
このUSERに続く、無人実験衛星がSERVISです。それまで
は、日本のロケットで打ち上げられていましたが、この衛星からは
ロシアのロコットで打ち上げられています。SERVISは、既に
一号機が2003年から2年間運用されており、民生部品・技術を適用
した実験機器を宇宙機システムに搭載し宇宙実証を行っています。
一号機で実証された機器は以下の通りです。
・ ベーン式推薬タンクシステム(VTS)
・ 統合航法センサシステム(INU)
・ 統合電力制御装置(PCDS)
・ 次世代パドル駆動装置(APDM)
・ 無調整化TTCトランスポンダ(ATTC)
・ オンボードコンピュータ(OBC)
・ スターセンサ統合型衛星制御装置(SIS)
・ リチウムイオンバッテリシステム(LIB)
・ 光ファイバジャイロ慣性基準装置(FOIRU)
今回打ち上げられた二号機で実証が行われる機器は次の通りです。
・ リチウムイオン電池実験装置(LIBA)
・ データマネージメント装置(ADMS)
・ 自律フォールトトレラント計算機(CRAFT)
・ リモートターミナル実験装置(PPRTU)
・ 高性能データ圧縮装置(HPDC)
・ 先進測位実験装置(APE)
・ 先進衛星構体実験装置(ASM)
・ 磁気軸受ホイール実験装置(MBW)
SERVIS二号機は、今後一年間運用される予定になっており、
これに次いで次世代のASNARO(先進的宇宙システム)が、2011
年度に打ち上げられる予定になっています。このシステムは、次世
代小型高性能衛星のプロトタイプとして、400kg級衛星の衛星バス
を民生品を活用して標準品として製造すると共に、地上解像度0.5m
の地球観測機能をアプリケーションとして搭載する事になっていま
す。
ただ、個人的には、この展開については疑問があります。宇宙利用
可能な民生品の宇宙実証から、それを使った小型衛星の標準衛星バ
スというのは、実用的と言えるのかも知れません。しかし、それ以
前のUSERの宇宙での材料製造技術と回収技術の確立を前提とす
れば、随分と変わった方向にUSEFは変化したと評さざるを得ま
せん。
確かにUSEFの推進してきた無人宇宙実験システムは、数々の成
果を上げており、宇宙を活用する実用的なアプリケーションである
とは言えますし、経済産業省がそれを推進すると理由もあると思わ
れますが、JAXAが推進しているISS宇宙実験室「きぼう」で
の実験との重複関係がある事は、誰が見ても否めない事実であると
思います。
更に踏み込んで言えば、USEFの機能そのものも、JAXAと重
複している事は明らかです。小型高性能衛星の標準衛星バスの確立
など、JAXAの仕事そのものと言って良い様に思われます。
組織も重複、実験設備も重複、成果の面では個別には各々十分とは
言いつつも、世界の宇宙産業にメイド・イン・ジャパンの一分野を
確立する様な芽が出たかと言えば、今の処は残念ながら、ないとし
か言えません。
宇宙関係予算の統一的運用を考えるとUSEFが、民主党の仕分け
に何故残る事ができたのか、素朴な疑問を感じざるを得ないのです。
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