※図表はAFPのWebサイトより転載
共同開発参加国との開発遅延に伴なう開発費用の増加について漸く
合意に達したかに見えたA400Mですが、実は、共同開発参加国の全
体調達数を10機以内で削減する事を含んでいるのが明らかになって
きました。調達機数を削減するのは、主として英国(3機)とドイツ
(6機程度)で、フランスは従来通りの機数を調達したいとしていま
す。なお、調達機数が減少した分、共同開発参加国以外からの受注
で補う事で、部材の生産調達効率の低下と費用の増加を避ける計画
です。
UPIの報道を抄訳してみました。
A400M:調達をより少ない機数にしたがっている各国
軍用輸送機A400Mの共同開発参加諸国は、遅延し、資金調達難に陥っているプ
ロジェクトへの開発費用を増やす為に、十機までの範囲で調達機数を減らす見
込みである。
英国は、今週、A400Mの発注数を3機減らし、合計22機とする事を発表した。
フランスは、50機の発注数量を維持する予定であるが、ドイツは、60機の発注
契約を維持するかどうか検討中であるとドイツの新聞が報じた。
他の、共同開発参加国の中では、ベルギー、ルクセンブルグ、スペインとトル
コも機数削減を検討中で、欧州の防衛当局者によれば、新しい契約は、早けれ
ば6月中に結ばれる予定となっている。
この発注機数の削減が、エアバス社の親会社であるEADS社と共同開発参加諸国
との間で結ばれた3月7日の合意の一部である事は明らかと言える。この合意で
は、共同開発参加国は、新たに、27億ドルの追加支出と共に、開発遅延による
新引渡し計画に関して遅延損害金を求めないとしていた。
この総額48億ドルの緊急援助計画は、速やかに財務立て直しが合意されない限
り、A400M軍用輸送機の開発から手を引くと言うEADS社からの脅迫により交渉
が行われたもの。
2003年に結ばれた当初の契約では、180機のA400Mを290億ドルの固定価格で製造
する事となっていた。技術開発の遅延と開発費用の高騰、それに加え政治的失
敗からプロジェクトの大幅な遅延を招き、処女飛行が漸く昨年12月にスペイン
のセビリアで実施された状況にある。
プロジェクトは現在では、当初の計画と比べ、開発コストは五割増しとなり、
開発スケジュールの遅延も3~4年に達している。共同開発参加国は、新輸送
機を真剣に必要としている。英国は、アフガニスタンへの輸送任務で擦り切れ
そうになっている、ハーキュリーズとC-17からなる輸送機隊の近代化を必要と
している。また、フランスとドイツは、製造から40年を経て、低速で柔軟性を
欠くC-160トランザール機の部隊を更新する新輸送機を必要としている。
エアバス社によれば、A400Mは、同じターボプロップ四発で、非常に人気の高
いC-130ハーキュリーズと比べても、二倍の輸送力を持ち、ジェットエンジン
装備のボーイングC-17より燃料効率が高いと主張している。
その一方、共同開発参加国の高官は、プロジェクトに関連する経営管理面での
失敗について厳しく批判している。「組織管理と経営管理面で問題があったの
は明らかだ。」「EADS社とエアバス社は、開発組織に遅延原因があるとしたが、
プログラム管理面で彼らはもっと働くべきだった。」「EADS社は、かれらの企
業文化を一新する大きな努力が必要だろう」とフランス兵器調達局のローラン・
コレビオンは語っている。
(UPI.com 2010/03/31)
http://www.upi.com/Business_News/Security-Industry/2010/03/31/A400m-Nations-want-fewer-planes/UPI-85581270046888/
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