2009年3月13日金曜日

MDに撃ち落された北朝鮮


※図は毎日新聞サイトから転載

北朝鮮 衛星発射で秋田沖など危険区域 IMOに事前通告

北朝鮮が国際海事機関(IMO、本部ロンドン)に対し、4月4日から8日の
間に打ち上げると事前通告した実験通信衛星は、日本海・太平洋の方向に発射
されることが12日、分かった。日韓両政府が明らかにした。通告は、「ロケ
ット」の1段目が日本海に、2段目が太平洋に落下する内容。日本海に向け発
射されれば、98年の長距離弾道ミサイル「テポドン1号」と同様に、日本列
島を飛び越える可能性が高い。

IMOから両政府に入った連絡によると、4月4~8日の期間中、北朝鮮は午
前11時から午後4時(日本時間)まで、秋田県西方沖の日本海や、日本列島
から東へ2000キロ以上離れた太平洋に船舶や航空機が接近しないよう危険
区域を設定した。

北朝鮮は98年と06年に長距離弾道ミサイル発射実験をしたが、国際機関に
事前通告したのは初めて。

北朝鮮は咸鏡北道花台郡舞水端里(ハムギョンプクドファデグンムスダンリ)
のミサイル発射基地で長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準備を進め
ているとみられるが、同国は実験通信衛星「光明星2号」を積んだロケット
「銀河2号」だと主張している。

12日の朝鮮中央通信によると、北朝鮮はIMOのほか国際民間航空機関
(ICAO、本部モントリオール)にも打ち上げに関する情報を通告した。
IMOは船舶の安全、ICAOは航空機の安全確保のため、締約国にミサイル
発射などの事前通告を義務化。北朝鮮は、国際社会の批判をかわすため、ルー
ルに沿った手続きをとった可能性が高い。

◇海保が航行警報

北朝鮮が人工衛星の打ち上げを国際海事機関(IMO)に通告した問題で、海
上保安庁は12日深夜、航行警報を出した。4月4~8日の午前11時~午後
4時にかけ、秋田沖約130キロの日本海上(南北20キロ、東西250キロ)
と銚子沖約2150キロの太平洋上(南北160キロ、東西800キロ)を危
険区域に設定。付近を航行する船舶に注意を呼びかけた。

政府も12日夜、打ち上げに関する情報収集のため、首相官邸に情報連絡室を
設置。外務省も連絡室を開設した。河村建夫官房長官は「北朝鮮のミサイル関
連の動向については、引き続き重大な関心を持って情報の収集に努める考えだ。
今後とも、状況に応じて、適切な対応を取る」とのコメントを発表した。

(毎日新聞 2009/3/13)

記事の中では、ミサイル実験に対する批判をかわす為に、衛星打上
げの事前通告をしたのではという観測をしていますが、私は、もう
一つの大きな要素があると思います。

前回、前々回の弾道ミサイル実験では、事前通告など行わなかった
のに、何故か、今回は、必要な宇宙条約にも急遽加盟し、IMOに
も事前通告を行っています。

前回の「光明星1号」の打ち上げ?の際は、北朝鮮は、こういった
配慮を行っておらず、国際的な批判を完全に無視しました。98年、
06年と今年で、国際的な批判に質的な変化があったのかと言えば、
あまり明白な違いはありません。勿論、韓国の政権が保守派の李明
博政権に変わった事や、米国のオバマ政権が誕生した事が上げられ
ますが、両政権共に、北朝鮮が弾道ミサイル実験を行う事そのもの
に反対しているのであり、衛星打上げを通告したからと言って、両
政権との関係が大きく改善するとは、思われません。

それでは、一番大きな違いはなんでしょうか? それは、米国と日
本で、MDが実戦配備され、弾道ミサイルの撃墜が可能となった事
及び、今回の弾道ミサイル実験(衛星打上げ)で必要とあれば、ミサ
イル弾頭(衛星)を撃墜するという態度を両国が明確にした事です。

それに加えて、今回、北朝鮮は「本当に」衛星を打ち上げようとし
ているとも考えられます。つまり、北朝鮮の当局者から見て、通常
の弾道ミサイル実験では必ずしも必要ではない配慮が、絶対に必要
となる条件があるのです。

それは、衛星に「光明星」という名前がついているという事です。
「光明星」は言うまでもなく金正日の美称である「白頭光明星(ペ
クトゥグァンミョンソン)」にちなんだ名前です。北朝鮮の当局に
とって、金正日は命に替えて守らねばならない対象です。もし、日
米が「光明星」衛星を打ち落としたとなればどうなるでしょうか。
日米によって「金正日」が叩き落されたなど、恥ずかしくて、北朝
鮮では日米を非難する報道すらできない事になります。

その為、日米がMDを使って衛星(弾頭)を撃ち落す事がないよう、
急遽、必死の思いで、国際的な手続きを整えたのではないでしょうか?

ナチスドイツは、第二次大戦開戦直後、「ドイッチュラント」と名前
のついていたポケット戦艦を急遽「リュッツォ」と改名しました。
その理由は、ドイツの名を冠した艦が沈んだ時の、国民に対する心
理的、宣伝的影響を考慮しての事でした。

独裁国家は、独裁者や国家のイメージを重視しますから、北朝鮮の
今回の行動も同じ様な考慮が働いた結果と解する事は、一定の合理
性があると考えるのです。

今回の件は、日米のミサイル撃墜に対する準備と強い態度が、北朝
鮮を国際ルールに従わせた
訳であり、そう考えると、少しは溜飲が
下がる思いがします。


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2009年3月12日木曜日

不法移民に対しては厳正に対処すべし


※写真は東京新聞サイトより転載

お涙頂戴の情緒論を排す

フィリピン家族―森法相はここで英断を

一家は埼玉県蕨市で暮らしている。36歳の夫は、内装解体会社で後輩に仕事
を教える立場になった。38歳の妻は専業主婦。13歳の娘は、音楽の部活動
に打ち込む中学1年生だ。どこにでもいそうな3人家族。フィリピン人のカル
デロン一家である。
一家は17日に強制送還されるかもしれない。両親が90年代前半に、それぞ
れ偽造旅券を使って入国したからだ。妻は06年に不法在留で逮捕され、執行
猶予付きの有罪となった。昨年9月には一家の国外退去処分が確定した。
退去処分になっても、家族の事情や人道的配慮から法相が滞在を認める制度が
ある。この在留特別許可を一家は求めたが、認められなかった。

法務省の姿勢はこうだ。極めて悪質な不正入国だ。十数年滞在した事実はある
が、ほかの不法滞在者への影響を考えると厳格な処分で臨むべきだ。裁判所も
退去処分を認めている。法律論はその通りだ。だが、だからといって子どもの
幸福をないがしろにしていいわけはない。

彼女は日本で生まれ育ち、日本語しか分からない。「母国は日本。家族とも友
だちとも離れたくない」という。思春期のごく普通の女の子だ。

同じようなケースで、子どもが中学生以上だった場合には在留が認められたこ
とがある。「処分が出た時に長女は小学生。中学生になったのは訴訟で争った
からで、すぐに帰国した人との公平を欠く」という法務省の説明に、説得力は
あるだろうか。

法務省も、近所の親類に預けることを前提に長女だけに在留許可を出し、両親
が会いに来るときは再入国を認めるとの案も示した。そこまで配慮できるのな
ら、森法相はいっそ一家全員に在留特別許可は出せないものか。
彼女の望みをかなえることが、日本社会に不利益を及ぼすとは思えない。

長女の学校の友人や地域住民らからは、一家の残留を求める嘆願書が約2万人
分も集まっているという。蕨市議会は「長女の成長と学習を保障する見地から
一家の在留特別許可を求める」との意見書を採択した。
一家はすでに地域社会を構成する隣人として認められ、職場や地域に十分貢献
している。一人娘は将来、日本を支える一人になってくれるはずだ。

日本に不法に残留する外国人は約11万人とされる。日本社会に溶け込み、い
まさら帰国しても生計が立たない人々は多いだろう。在留特別許可も年1万件
前後認められている。

日本社会ではすでに外国人が大きな担い手になっている。今回のようなケース
はこれからも起きるだろう。いまの入管行政でそれに対応できるのか。社会の
一員として認めるべき外国人は速やかに救済する。そんな審査システムをつく
ることが検討されていい。

(朝日新聞 2009/3/12)

この処、カルデロン一家への在留特別許可に対する左翼系メディア
の押し込みがだんだんと喧しくなってきました。主婦層の同情を得
易いテレビ写りの良い女子中学生が対象になっている点も、大騒ぎ
の原因と言えますが、冷静に考えると、これは非常に変な話であり、
これで在留が認められるならば、今後この事例を前例とし、日本は
不法移民天国になってしまいます。

今ですら、韓国からの不法移民が大手を振って日本に入国し、一定
の時間が経る事で、在留特別許可を簡単に得ている現実があります。
そして、この不況の下、日本人には生活保護がなかなか許可されな
いにも係わらず、在日朝鮮・韓国人は、その三分の二が生活保護を
簡単に受給できているという実態があります。(勿論、税金は払っ
ていません。)

今回のカルデロン一家の場合、両親は、偽造旅券による不法入国で
あり、朝日新聞の言う通りに、家族全員に在留特別許可を与えた場
合、日本語しかできない子供がいれば、不法入国者は自動的に在留
許可が与えられる事になってしまい、実態としてはほぼ無制限に不
法移民に在留許可が与えられる事になってしまいます。

それでは、不法移民は、それ程の保護に値する清い存在なのでしょ
うか?

カルデロン一家の場合、元々の国籍はフィリピンです。従って、彼
らは、まずは、自国に対し貢献する義務がある筈です。勿論、経済
状態の違いがありますから仕事が得られないという事情はあるでし
ょうが、フィリピンに残って自国の繁栄に向けて努力している人々
からすれば、先進国に不法入国して高い生活水準を謳歌している自
国民は、祖国に寄与しない利己主義者、裏切りもの以外の何者でも
ありません。

不法移民の在留国側でも、不法移民の雇用者こそ、低賃金の労働者
を雇用できるメリットはあっても、本来、自国民に対して提供され
た筈の職場を奪っている事で、失業者を生み出し、さらにその失業
者に対する、社会給付によって社会に二重の負担をさせた上、更に
碌に税金を払う事もなく、社会保障制度のみを享受している訳で、
不法移民は三重四重にも在留国社会に負担をかけていると言えます。

従って、日本国と国民を守る為には、朝日新聞のご高説に対し、反
対を唱えざるを得ないのです。


朝日新聞社説の提起した諸点について小欄の意見は以下の通りです。

◎極めて悪質な不正入国に対し、ほかの不法滞在者への影響を考える
と厳格な処分で臨むべきか?

朝日 法律論はその通りだ。だからといって子どもの幸福をないが
   しろにしていいわけはない。

小欄 子供がかわいそうだと言って、法律をないがしろにして良い
   訳がない。子供の幸福と不法入国は本来無関係。子供の幸福
   を望むならば、そもそも不法入国を行うべきではない。また、
   いつでも帰国可能とする準備を行うのが親の責務。子供が日
   本語しかできないのは両親の責任。その程度の責任感しかな
   い人間に在留特別許可を得る資格があるのか疑問。

◎同じようなケースで、子どもが中学生以上だった場合には在留が
認められたことがある。「処分が出た時に長女は小学生。中学生にな
ったのは訴訟で争ったからで、すぐに帰国した人との公平を欠く」
という法務省の説明に、説得力はあるか?

朝日 明記していないが、説得力はない。

小欄 子供の適応性を考えれば、中学生を境に線を引き事には妥当
   性がある。また、処分時を基準にしないと、訴訟を行う事で、
   処分事態を有耶無耶にできる事になり、一層の不公正を助長
   する事になる。

◎森法相はいっそ一家全員に在留特別許可は出せないものか?
 在留特別許可も年1万件前後認められている。

朝日 一家全員に在留特別許可をだすべき。日本社会に不利益を及
   ぼすとは思えない。

小欄 既に一家は、不法入国を行い、その後も不法滞在を続けた事
   で日本国に大きな負担を強いている。それを許容すべきでは
   ない。また、在留特別許可を受けた者の生活保護受給率は、
   非常に高く、日本国と国民にとって大きな負担となっている。

◎日本社会ではすでに外国人が大きな担い手になっているか?

朝日 大きな担い手となっている。

小欄 人口比で言えば負担になりこそすれ、日本国の担い手になっ
   ているとは言いがたい。不法移民でなければ出来ない事があ
   る訳でもない。まずは日本国民の救済を優先すべし。



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2009年3月11日水曜日

北朝鮮はどうやって核実験なしに核兵器の小型化に成功したのか?


※写真はスカッド・ミサイル

北朝鮮が核兵器小型化に成功か 米情報機関が指摘

米国防情報局(DIA)のメープルズ局長は10日、上院軍事委員会に提出し
た書面で、北朝鮮が「核弾頭と弾道ミサイルを成功裏に一体化させられるかも
しれない」として、弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化技術獲得に成功
した可能性があるとの見方を示した。

DIAは北朝鮮が弾道ミサイルへの搭載を進めるため、小型核弾頭の研究を進
めているとみてきた。

昨年8月に脳卒中を起こしたとみられている金正日総書記の容体に関しては、
ほぼ回復しているようにみえると分析した。そのうえで、金総書記が急死した
場合、短期的には大混乱はおきずに「権力委譲は平穏に進む」との見通しを表
明した。ただ、北朝鮮は1人の権力者によって支配されてきたため、「長期的
には実力者間の権力争いで問題が大きくなっていく」と予測した。

また、ブレア国家情報長官は10日の上院軍事委員会公聴会で証言し、北朝鮮
が「人工衛星」と称して長距離弾道ミサイルを発射するとの見通しを示した。
長官は「(衛星打ち上げと)大陸間弾道ミサイルに使われる技術は区別がつか
ない」と述べ、北朝鮮が衛星打ち上げと主張しても、実際には長距離弾道ミサ
イル・テポドン2号の打ち上げとの見方を示した。

そのうえで、3段式のミサイルの場合、成功すればハワイやアラスカだけでな
くう米本土まで到達が可能になると指摘した。

一方、ブレア長官はイランの核開発に関しては、イランが高濃縮ウランの製造
を開始すれば、最短で2010年から2015年の間には核兵器生産に必要な
量の製造が可能との見方を示した。

(産経新聞 2009/3/11)

米国の情報機関の長が議会で報告した内容に疑義を挟むのは、蟷螂
の斧と言うべきなのかも知れませんが、常識から見てどうしても疑
問が残ります。

北朝鮮は、過去、不完全な核実験を一度しか行っていません。
核実験は無目的に行うのではありません。実用的な弾頭の完成だけ
とっても、核分裂物質の成形加工、中性子反射材と核分裂物質との
配置、配分、安全装置の設定、解除方法等々、最終的に核実験をし
なければ、確認できない項目は数多くあります。実際に、核の破壊
力を誇示したり、爆発それ自体の影響を調査すると言ったもの目的
以外に、過去各国で行われた数百回の核実験にはそれなりも理工学
的目的が設定されていた筈です。

北朝鮮だけが、一回の不完全な核実験だけで、弾頭小型化を完成さ
せたというのは、実験なしに実用弾頭を完成できたと言う事であり、
技術的に見て、あまりにもナンセンスとしか言いようが無い訳です。

では、北朝鮮が技術開発したのではない可能性はどうなのでしょう
か?まず、他の核保有国から弾頭の設計図そのものが流出した事が
考えられます。しかし、これらは、何れの国でも、国家最高機密で
す。当然充分な保安措置が取られている筈です。また、核弾頭設計
図を北朝鮮が入手できたとしても、ニセの設計図を掴まされた可能
性がある訳ですから、実際にそれが稼動するかどうか確認する為の
核実験が必要になります。

報道では、小型化技術獲得に成功とありますが、北朝鮮が弾頭その
ものを入手していた場合はどうでしょうか?
北朝鮮の弾道ミサイルの元になったのは旧ソ連のスカッド・ミサイ
ルですが、スカッドには、核弾頭を搭載可能なものがあります。
(スカッド-A、-B、-D) ですから、それらに搭載する実戦用
核弾頭を北朝鮮旧ソ連の崩壊の混乱期にロシアから入手していれば、
問題はミサイル側だけなので、「核弾頭と弾道ミサイルを成功裏に
一体化させられるかもしれない」と言えるのかも知れません。

つまり、DIA局長の言葉が正しいとすれば、それは北朝鮮が製造
したものではなく、旧ソ連またはロシアが製造し、北朝鮮が秘密裏
に獲得した弾頭であり、DIAはその情報をロシアから入出したの
ではないかと思われるのです。


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2009年3月10日火曜日

ミサイルを撃ち落されても実は原因が判らない北朝鮮...


※中国の衛星追跡艦 遠望5号 「日本周辺の軍事兵器」サイトから転載

ミサイル迎撃なら日米韓に報復=南北の通信遮断-北朝鮮

北朝鮮の朝鮮中央通信によると、朝鮮人民軍総参謀部スポークスマンは9日、
北朝鮮が「人工衛星」と称して発射準備を進めている長距離弾道ミサイルを日
米韓が迎撃すれば、「(日米韓の)本拠地に対する正義の報復打撃戦を開始す
る」との声明を発表した。朝鮮通信(東京)が伝えた。
声明はさらに、9日に始まった米韓合同軍事演習を「北侵戦争演習」と非難。
韓国との間で唯一残っていた連絡網である軍当局間の通信回線を9日から20日
までの同演習期間中、遮断すると宣言した。
これまでも北朝鮮は米韓合同軍事演習に反発してきており、5日には北朝鮮周
辺の日本海上空を通過する韓国の民間航空機の「安全を保証できなくなった」
との声明を出し、緊張を高めている。9日の声明はミサイル迎撃について「わ
れわれの平和的な衛星に対する迎撃はすなわち戦争を意味する」と主張した。

(時事通信 2009/3/9)


寝言は寝て言え第3弾です。
発射準備を進めている長距離弾道ミサイルを日米韓が迎撃すれば、
「本拠地に対する正義の報復打撃戦を開始する」との声明を発表し、
いつもながら威勢の良い北朝鮮です。

しかし、本気で、これを理由に戦争を開始しようとした場合、実は
非常に原始的な問題点を北朝鮮は抱えています。それは、衛星を打
ち落とされても、それを認識する方法がないと言う事です。
つまり、衛星にしても、ミサイルの弾頭であっても、日米に迎撃さ
れて破壊されたのか、それとも、衛星なり、弾頭なりが故障したの
かを北朝鮮は、知るすべがないと言う点です。

通常、人工衛星であっても、ミサイル発射実験であっても、ペイロ
ードは、地上に自分の姿勢や加速度等をテレメトリー情報として、
送信しています。(実戦配備された弾道ミサイルについては、この様
なデータリンクはありませんが、実験目的では装備しています。) 
そして、このデータを解析する事で、衛星なりミサイル弾頭なりが、
正しく飛行しているかどうかを知る事が出来ます。

テレメトリーデータは、日本の衛星の場合はSバンド帯域で衛星か
ら送信されています。この帯域の電波は極超短波であり、直進性が
高いので、見通し外での受信が難しいのが特徴です。H-IIAの打ち
上げでも、小笠原地上局とクリスマス島地上局の間でテレメトリー
が受信できないギャプがあります。

弾道ミサイル実験などでは、この様なギャップが発生しない様に、
地上局を補う意味から、上掲の様なミサイル/衛星追跡艦で、テレ
メトリーを受信すると共に、レーダーにより衛星/弾頭を追跡出来
る様にしています。これは米国、ロシア、フランス、中国いずれも
同じで、同種の艦を保有しています。

これに対して、北朝鮮の場合は、この様なミサイル/衛星追跡艦を
保有しておらず、テレメトリーが止まっても、その原因を特定する
事ができないのです。また、北朝鮮は、日本の様に、小笠原諸島や
マーシャル諸島に地上局を持っている訳もなく、今回は中国もミサ
イル実験に反対しているので、ミサイル/衛星追跡艦を借りる事も
出来ません。

1998年のミサイル実験では、北朝鮮は、人工衛星「光明星1号」を打
ち上げたと発表し、大恥をかきましたが、その理由は、この辺にも
あります。

打ち上げてもいない人工衛星を打ち上げたと主張するのは、まだし
もカワイイ誤りと言えますが、人工衛星のテレメトリーが故障した
せいで戦争を仕掛けられたというのは、堪ったものではありません。
本当に戦争を仕掛けるのであれば、ミサイル実験をする前に、自力
で日米が迎撃を行ったかどうか観測手段程度は整備して欲しいもの
だと思います。


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2009年3月9日月曜日

漸くミサイル・ギャップに気がついた韓国


※画像は中央日報サイトから転載

韓国のミサイル戦力、北朝鮮の10%水準

「06年7月5日午前3時以降、7発の北朝鮮ミサイルが旗対嶺(キッテリョ
ン)基地から移動発射台を通じて30分間隔で発射された。 当時、盧武鉉
(ノ・ムヒョン)政権の青瓦台(チョンワデ、大統領府)は1発目の20分後、
米国からの通報でこの事実を知った」(外交安保研究院の尹徳敏・安保統一研究部長)  

この言葉は現在の韓国ミサイル戦力の問題を圧縮している。 ▽北朝鮮がミサ
イルを発射できないほどの抑制力を確保していない▽ミサイル発射情報を独自
で確保できない▽したがって戦争が起きても北朝鮮ミサイルを先制攻撃したり
防御することができない--という点だ。

このため最近の北朝鮮ミサイル発射の動きと関連し、軍の一部では政府の「ミ
サイル戦略」に対して批判の声が強まっている。

匿名を求めた軍関係者は「軍が南北ミサイル火力評価をしたところ、『韓国は
北朝鮮の10%水準』という結果が出たと聞いている」と述べた。この関係者
は「ミサイルの部分で韓国は事実上、北朝鮮に対応無策」とし「軍も問題点を
把握しているが無気力だ」と語った。尹部長も「北朝鮮のミサイルの前で韓国
の在来式戦力は無意味になった」と述べた。巡航ミサイル開発、パトリオット
ミサイル導入など韓国の先端戦力確保努力にもかかわらず、現実はなぜこうな
っているのか。

北朝鮮には射程距離の順にフロッグ・スカッド・ノドン・テポドンのミサイル
がある。フロッグは短距離用で、テポドンは射程距離が2500キロ以上の長
距離であるため米国・日本用だ。韓国にとって実質的な脅威であるスカッドと
ノドンは2個師団で編成されている。1個師団は射程距離340-550キロ
のスカッドB(北朝鮮名・火星5号)とスカッドC(火星6号)600基で武
装している。別の師団には射程距離1300キロのノドン1号200余基があ
る。ここに国防白書が最近紹介した新型中距離弾道ミサイル(IRBM)が含
まれる可能性がある。政府当局者は「射程距離2500-4000キロの
IRBMは沖縄とグアムの米軍基地を狙うが、この基地は有事の際、韓半島増
援と関連があり、結局は対南用となる」と述べた。

韓国は06年10月創設の誘導弾司令部が保有する弾道弾ミサイル玄武(ヒョ
ンム)2、3と天竜(チョンリョン)などを改良した巡航ミサイルで対応する。
「K-2」と呼ばれる玄武2は開発15年目の1987年に実戦配備された韓
国初の地対地ミサイルだ。公開されていないが500基が生産されたという観
測がある。問題は180キロという射程距離だ。北朝鮮の放射砲を覚悟し、休
戦ライン付近に配備されているが、平壌(ピョンヤン)には届かず、北朝鮮全
域への打撃は到底望めない。それでK-3ミサイルが登場した。

98年に北朝鮮の人工衛星が打ち上げられた後、韓国はミサイル関連技術輸出
規制(MTC)に加入し、射程距離を延長した。これに基づき開発されたミサ
イルが‘K-3’と呼ばれる射程距離300キロの玄武3だ。100基が実戦
配備されたと伝えられている。これより長い射程距離の弾道ミサイルはない。
休戦ラインから300キロ以上の地域を打撃できる韓国の弾道ミサイルはない
ということだ。

このため問題が発生する。 短い射程距離だけではない。 北朝鮮はミサイル基
地を山岳の北側斜面に集中配備し、南からの弾道ミサイル攻撃から免れる点も
問題だ。両江道(リャンガンド)ヨンジョ洞のミサイル基地は中国側の傾斜面
にある。こうした事情を総合して射程距離1000キロのクルーズミサイル天
竜と玄武3の変形ミサイルなど巡航ミサイルが登場した。しかしいつ実戦配備
されるかは明らかでない。軍関係者は「量産の話は聞いたことがない」と語った。

玄武では地下ミサイル基地破壊が難しく、スカッド発射台が移動するため把握
が難しいという問題を解決するレベルで先端貫通型ミサイル「エイタクムス」
(ATACMS)も100基ほど導入された。しかしエイタクムスの射程距離
は300キロにすぎない。

要するに攻撃部門では、射程距離300キロの玄武3弾道ミサイル100基と
エイタクムス100基が、射程距離340キロ以上のスカッド・ノドン800
基に対抗するということだ。南のミサイルは平壌の北側に並ぶミサイル基地ま
で届かないが、北朝鮮は済州道(チェジュド)まで攻撃できる状況だ。スカッ
ドの正確度が落ちるとはいえ、外交部当局者、軍関係者ともに「スカッドは核
弾頭や生化学弾頭を搭載できるという点で怖い」と指摘する。

国防研究院懸案研究委員会のキム・テウ委員長は「これまで攻撃ミサイルには
投資が少なく、防御に比重が置かれたために生じた事態」とし「防御と抑制的
攻撃力の均衡を保ち、北朝鮮とのミサイルギャップを縮小する必要がある」と
述べた。抑制のためのミサイル戦力確保が第1段階であり、防御が第2段階と
いうことだ。

別の軍関係者は「この際、玄武3ミサイルとクルーズミサイルを大量生産し、
米国との射程距離再交渉を通して北朝鮮ミサイルへの対応を進めなければなら
ない」と提示した。

第17代国会国防委幹事を務めた黄震夏(ファン・ジンハ)議員(ハンナラ党)
も「北朝鮮ミサイルの脅威が強まっているため、玄武3などミサイルをさらに
開発しなければならない必要性が当然生じる」とし「北側に‘悪事を働けば何
倍もの罰を受ける’という点を知らせる必要性がある」と述べた。

国防研究院安保戦略センターのチャ・ドゥヒョン博士も「北朝鮮に‘攻撃すれ
ば亡びる’という認識を与えられるよう‘恐怖の均衡’を保つことが重要だ」
とし「弾道ミサイルを追加開発し、巡航ミサイルの弾頭重量を増やし、火力を
強化する問題を検討しなければならない」と話した。

(中央日報 2009/03/06)



進歩派10年支配の間、韓国の国防費は伸び続けました。ただ、日本
を仮想敵国と考えている様な、ミサイル駆逐艦や、強襲揚陸艦、潜
水艦の整備には熱心でしたが、北朝鮮に対抗する師団防空用のミサ
イル整備や、対砲レーダーの整備、戦力倍増要素となる師団、連隊
単位の情報システム構築や早期警戒機の導入には何故か及び腰であ
り、戦力整備の焦点が分散している様な印象を受ける事が多かった
のです。記事にもある様に、現在、北朝鮮が唯一、韓国に優越する
のが、弾道ミサイル戦力です。韓国はこれに対し、短距離ミサイル
である対空ミサイル、ナイキ・ハーキュリーズ改造の玄武2,3と
ATMCMSで対抗しているだけなのです。

弾道ミサイルに関しては、米国から韓国に対し、長く、射程距離に
関する制限が付けられていたと言います。恐らく、韓国から北朝鮮
を挑発する様な事態を避ける意図があったのかと思われますが、こ
の分野への韓国の参入は、意図的に遅らされた様にも思えます。
今でこそMDが実用化していますが、長い間、弾道ミサイルへの対
抗策は弾道ミサイルしかありませんでした。

ヨーロッパで、ソ連が移動式中距離弾道弾SS-20を配備したのに対
し、米軍は、パーシングS/MRBMの配備で対抗しました。この対比で
考えれば、北朝鮮のスカッド、ノドンに対しては、韓国は、パーシ
ングで対抗すべきであったのに対し、これへの対処を行われていま
せん。更に、北朝鮮の弾道ミサイルが、着弾までの時間が短い奇襲
兵器である為、その早期警戒態勢整備が重要になりますが、韓国は
これに対しても、充分な対応を取ったとは言い難いのです。

それに対して、対北朝鮮用の軍備としては、殆ど意味を持たない海
上兵力整備に1兆円(一隻、400億円の駆逐艦3隻、500億円の駆逐艦
6隻、1500億円のイージス艦3隻、800億円の強襲揚陸艦1隻)近い
資金を投入したのです。正面兵力整備の1兆円は非常に大きな金額
です。まさに国家の命運を決める資金であったと言えます。そして、
左翼政権は、意図的に日本との竹島問題での対立を煽り立て、日本
を仮想敵国視する事で、この無意味な投資を正当化したのだと言え
ます。それは、韓国の「主敵」北朝鮮から、国民の目を逸らす策略
であったとすら言えます。

その間、北朝鮮は、弾道ミサイルと核開発に「だけ」焦点を当てた
軍事力整備と自国民を犠牲にした外国援助の獲得の戦いを実施して
いたのです。それは、まさに金正日体制サバイバルの為の戦いであ
ったと言えます。

軍事力の整備には時間がかかります。一度失った時間は元には戻り
ません。今、韓国は北朝鮮の弾道ミサイルの脅威の前に無力な姿を
晒らしていると言えます。その意味で、本当の脅威から目をそらし
続けた、韓国の左翼政権による対北軍事力整備の失われた10年の
本当の影響はこれから明らかになると言える様に思います。



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