2008年12月26日金曜日

護衛艦ソマリア派遣 今のままでは自衛隊は日本商船隊を守れない!




※写真はAFPサイトから転載

日本から護衛艦派遣 ソマリア沖 麻生首相、対応明言

政府は25日、海上警備行動発令によるアフリカ・ソマリア沖での海賊対策に
ついて、日本から新たに護衛艦を派遣する方針を固めた。インド洋に派遣され
ている海上自衛隊の護衛艦を活用すると補給活動に支障が出る可能性があり、
海賊対策に特化した派遣の方が、より実体的な任務が行えると判断した。ただ、
派遣準備に十分な時間が取れないなどの問題もあり調整を急ぐ。

麻生太郎首相は同日夜、首相官邸で記者団に対し「取り急ぎ日本も対応すべき
だ。取り急ぎということであれば海上警備行動で対応する」と述べ、海警行動
の発令で海自艦艇をソマリア沖に派遣することを正式に表明した。

さらに首相は「他国の船は助けませんではいかがか」と述べて、海賊対策の一
般法の早期制定に意欲を示した。

政府は護衛艦1、2隻に補給艦1隻の陣容を検討。ソマリア沖の海賊多発海域
に艦を配置し、通行する日本関係船舶から危険情報が入った場合に現場に急行
することを想定している。

また、一義的に海上での治安維持を担当する海上保安庁との連携を強化するた
め、日本で海上保安官を同乗させて出航する。武器使用については、警察官職
務執行法を準用し威嚇射撃や海賊側と同程度の武器での応戦を認める。

アジア諸国のうち、中国は海軍艦艇をソマリア沖のアデン湾に派遣、海賊対策
で各国と足並みをそろえる姿勢を強めており、日本の存在感を示す意味でも海
賊対策に特化した護衛艦の派遣は重要となりつつある。ただ、日本籍船の護送
任務を優先する外務省と、海域での警護を念頭に置く防衛省との調整はついて
おらず、年内にも派遣する政府調査団の報告を踏まえ、さらに検討を進める。

(産経新聞 2008/12/26)

}}}

外務省が何も判っていない事が良く判るのが、記事の一番最後の部
分です。国土交通省の海事レポートに書かれていますが、実は、我
が国商船隊を船籍別にみていくと、パナマ籍1,563 隻(商船隊全体
に対するシェア70.3%)、6,106 万総トン(同68.7%)、リベリア
籍109 隻(同5.0%)、443万総トン(同5.0%)など、いわゆる便
宜置籍船がほとんど(平成19年度版海事レポート概要P18)であり、
日本船籍の船は、全体で2200隻の内、わずか95隻。割合にして0.5%
以下でしかないのです。

外務省の言う日本籍船だけを護送する事が如何に無意味か良く判る
と思います。法改正が行われていない現時点では、海上警備行動発
令で救える船は、殆ど存在しない日本籍船しかなく、我が国商船団
の大半を占める便宜地籍船を守る事はできないのです。

その意味で麻生首相の「他国の船は助けませんではいかがか」と言
う発言は間違いです。「我が国の商船隊を守る為には、外国籍船を
守らなければならない」というのが実情なのです。

では、海賊に襲われた、日本の船会社のパナマ船籍船を海上自衛隊
が救う場合は、これに加えてどんな問題があるでしょうか?

実は日本籍船と便宜地籍船では、大きな違いがあります。船の世界
には旗国主義というのがあります。以下はWikipediaからの引用です。

旗国主義(きこくしゅぎ)とは、刑法の場所的適用範囲に関する立
法主義の一つで、自国船舶・自国航空機内における犯罪に対しては
犯人の国籍を問わず自国の刑法を適用するもの。日本の刑法では刑
法第1条2項の規定で旗国主義を採用している。なお、旗国主義は国
家の領土主権の効果が自国船舶・自国航空機内にも及ぶと構成する
ものであるから属地主義の一種ということができる。


つまり、僅かな日本籍船は、日本国の刑法を適用できるが、便宜地
籍船では、日本国の刑法は適用できないのです。
ですから、日本船籍の船が襲われた場合は、日本国刑法を適用して
逮捕可能なのですが、外国籍船、例えばパナマ船籍の船の場合は、
日本の主権が及びませんし、パナマの官憲が海賊を退治してくれる
訳でもありません(パナマは船舶を所有、置籍する為の税金を低く
抑え、船籍登録を促すだけの機能しか持っていません)ので、自衛
隊が海賊を捉えても、本来、法執行を行うべき主体に引渡しができ
ない事から、折角捉えた海賊を釈放せざるを得なくなります。

加えて、自衛隊が、この記事が書いている様な海賊側と同程度の武
器での応戦をした場合にも大いに問題が発生する可能性があります。
つまり、ソマリアの海賊が、実は、軍隊が使用する様な重機関銃や
ロケット弾で自衛隊を攻撃し、自衛隊が同程度の兵器(実際には、
バルカン・ファランクスか自動小銃しかありませんが)で応戦した
場合、ソマリアの海賊の武装の程度を知らない(知ろうとしない)日
本のマスコミは、武器使用の不適切をあげつらい、現場の指揮官(
護衛艦の艦長)に非難を集中する可能性が極めて高いと言えるでし
ょう。

この様な、事態を避ける為には、交戦規則をきちんと定める必要が
ありますが、根拠法が現行の自衛隊法の海上警備行動だけでは、現
場が納得できるほど明快な交戦規則を本当に作れるのか、非常に疑
わしいとしか言えないのです。

結論から言えば、今回の海上警備行動発令だけで、できる事は非常
に限られており、多国籍海賊対策オリンピックに参加する事に意義
があったいう程度の効果しかないと言えます。
護衛艦は、実際には、日本商船隊を保護する事はできず、自艦が海
賊に攻撃されても、碌に応戦も出来ず、ただ逃げまわるだけと言う
事になりかねません。
しかも、それ以上の事を行えば、今度は護衛艦長が処分の対象にな
ってしまうという悲惨な結末に至る可能性も高いのです。

現場にそんな状態を押し付けるだけでは、政治はやるべき事を行っ
ているとは言えないでしょう。それだけに政治はシビリアンコント
ロールを実現する為にも、自衛隊法の改正を一日も早く実施する必
要があると考えます。

こういう恩知らずな国が隣国であるという不幸




【社説】世界の通貨戦争…北東アジアの協調が解決策だ

国の経済がぐらつくと、その国の通貨も価値が墜落するのは避けられない現象
だ。いまの米国のドルがそれだ。米国の巨大な貿易・財政赤字に加え、ゼロ金
利まで加勢し、ドルの体面は話にならない。各国の外貨準備高でドルの割合が
目立って減っており、国際債券市場ではユーロ建て債券がドル建て債券を圧倒
している。より安全な通貨に集まるが金の生理だ。低い利子率に為替差損まで
覚悟して国際資金がドルに集まり続けることを期待するのは無理だ。こうした
流れならば世界の通貨戦争は避けられない。 

もちろんドルの存在感が短期で崩壊しないのは明らかだ。しかしドルの覇権に
対する挑戦は徐々に大きくなっている。フランスのサルコジ大統領は、「ドル
はこれ以上唯一の基軸通貨ではない」としてユーロを含む多極体制への転換を
求めた。こうした自信は通貨の価値が大きく高まったユーロを背景にしている。
ドルの覇権にとって最大の脅威となるのが中国だ。中国は2兆ドルの外貨準備
高を武器に、「われわれが米政府債券を買い続けるとは期待しないように」と
圧迫している。中国はまた、香港・マカオはもちろん、東南アジア諸国連合
(ASEAN)10カ国の貿易で人民元取引を初めて認めた。人民元の国際化
を進めようとする措置だ。日本もまた手をこまねいてばかりいるわけではない。
ただ日米同盟を意識し、公開的な動きを差し控えているだけだ。円共栄圏は日
本の長い夢でもある。 

世界の通貨戦争が激しくなる場合、韓国も火の粉が降りかかる。ドル安は国際
原材料価格を刺激し、再度ハイパーインフレを呼び起すかもしれない。機軸通
貨が揺さぶられることに備え、外貨準備高と決済通貨を多様に分散させる必要
もある。そうすればウォンの安定を期待することもできる。 

しかし世界の主要通貨の角逐戦は、韓国に新たなチャンスでもある。韓国が日
米中との通貨スワップに相次いで成功したのも、これら3カ国の神経戦による
反射利益だという点は否定しがたい。基軸通貨が変われば世界経済の地形図が
根本的に変わることになる。これに備え韓中日の北東アジア連帯に格別に神経
を使うべきだ。今のところ、最も効果的な解決策だ。3カ国の通貨スワップ限
度をあらかじめゆったりと確保し、アジア通貨基金(AMF)創設も加速すべ
きだ。もちろん最も重要な防護壁は内部の免疫体系だ。強力な製造業と強固な
金融システムこそ世界金融の津波からわれわれの生存を図る最高の防波堤にな
るのだ。   

(中央日報 2008/12/26)

まず、現状認識がおかしいですね。
この記事は米国とドルがぐらついていると冒頭に述べ、フランスの
サルコジ大統領が「ドルが唯一の機軸通貨ではない」との発言を引
用していますが、皮肉な事に、実際に通貨危機に陥って下落してい
るのはドルではなく、ウォンであり、ユーロなのです。
「国の経済がぐらつくと、その国の通貨も価値が墜落するのは避け
られない現象だ。」とするならば、韓国は自国を一番心配しなくて
はいけない事になります。

ウォンが売り圧力をかけられ、危機感を感じた韓国が必死になって
頭を下げて回ったからこそ、米国にせよ、日本にせよ、中国にせよ
通貨スワップ増額を了解し、一応の危機回避が得られているに過ぎ
ません。日本にせよ、中国にせよ、現時点で韓国が通貨危機を起こ
し経済破綻する事にメリットがなかった事から、今回は協力してい
ますが、韓国がそれを日中を手玉に取った韓国の外交手腕の勝利な
どと認識しているのであれば、今後もお付き合いする必要は無い訳
です。その点は、韓国は痛切に認識する必要があります。
韓国自身が、その弱さを認識して、自国の経済体質を改善しなけれ
ば、危機は何度でも韓国経済を襲うことになるでしょう。その時に、
いつも米国や日本や中国が韓国に協力するかどうかは、危機が去っ
た後に韓国がどの様に発言し、行動するかによるのだろうと思うの
です。



2008年12月25日木曜日

ライス国務長官、政治家は結果です。




※写真は、AFPサイトから転載

北朝鮮、信用していない」=過剰譲歩批判に反論-米国務長官

【ワシントン21日時事】ライス米国務長官は21日、NBCテレビのインタビュー
番組で、「もちろん北朝鮮を信用していない」と述べ、北朝鮮の非核化をめぐ
る交渉で、米政府が北朝鮮の約束を信頼して過剰に譲歩しているとの批判に反
論した。
ライス長官は「誰も北朝鮮を信頼していないからこそ、核検証の枠組みを交渉
している」と指摘。「枠組みの80%は合意したが、北朝鮮は科学的手続きの要
素を明確にする最後の20%に同意しようとしない」と述べ、核検証枠組みの文
書化失敗は北朝鮮側に原因があると強調した。


(時事通信 2008/12/22)


貴女がたとえ北朝鮮を信用しなかったとしても、実際にやった事は、
北朝鮮をテロ指定国から解除した事でした。貴女の役割は、ブッシ
ュ大統領をダブルスタンダードの汚名から解放する事であった筈な
のに、実際にやった事は、北朝鮮に餌しか与えなかった事で、イラ
ク戦争から大義と名分を失わせ、ブッシュ大統領の罪、大失敗とし
て歴史に刻み込んだだけです。

また、国務長官として、忠実な同盟国とその国民を裏切り、米国へ
の信頼、同盟への信頼を傷つけた事で、貴女は米国の国益を損なっ
たと言えます。

歴史は、貴女を、信頼すべからざる相手を信頼し、経済援助と外交
的譲歩をただ取りされ、北朝鮮に外交的にしてやられれた「無能」
な国務長官として、記録する事になるでしょう。

2008年12月24日水曜日

中国が空母機動部隊を作るとして、いくらかかる?




空母建造「真剣に研究」中国が初めて確認

【北京=野口東秀】中国国防省の黄雪平報道官は23日、記者会見し、国産航
空母艦の建造について「空母は国家の総合力の体現であり、海軍の具体的な要
求」と表明、空母建造を検討していることを、軍当局者として公の場で初めて
確認した。中国軍事筋によると、中国軍はテスト艦載機の発注など空母建造の
準備にすでに着手している。空母を保有すれば、中国脅威論が高まるのは必至
だが、中国は米国を牽制(けんせい)できる海軍力の確保を目指している。

黄報道官は空母建造について「中国政府は各方面の要素を総合し、関係する問
題について真剣に研究、考慮している」と述べた。また、「中国には広い沿海
部がある。領海主権と沿海部の権益を守ることは中国軍の神聖な職責だ」と、
国際社会の懸念に左右されずに建造することを強調した。

今回の発言は、空母建造をめぐり国際社会の反応を探る狙いと正当性を強調す
る意味があるとみられる。

中国の空母については、カナダの軍事研究機関が衛星写真の分析から上海で建
造される可能性が高いと伝え、キーティング米太平洋軍司令官は18日、中国
が建造を「真剣に検討している」と指摘していた。

中国が空母保有を目指す背景には、太平洋を米国と二分した形で“支配”する
という狙いがある。東シナ海から南シナ海、さらにはインド洋などでの影響力
を高める目的もあるとみられる。中国軍内では「経済力に見合った国防力が必
要であり、その象徴は空母」との主張が支持を得ている。

(産経新聞 2008/12/23)

記事にもある通り、中国は空母の建造を真剣に検討している様です。
それでは、中国が米国と対抗して、空母機動部隊を建設し、西太平
洋をその勢力下に置こうとした場合、どの程度のお金が必要になる
のか考えてみましょう。
別に特別の知識や情報がある訳でもありませんので、超アバウトな
ものになってしまうでしょうが、まあ、年の瀬のお遊びと言う事で
ご勘弁下さい。

まず、空母の所要隻数です。中国には、北海艦隊、東海艦隊、南海
艦隊の三個艦隊があります。
この各艦隊に、空母を一隻づつ配備すると仮定すると三隻が所要隻
数となります。

通常、艦船一隻を任務につけて置く為には、三隻が必要となると言
います。一隻が任務についており、一隻は任務地への往復の最中、
もう一隻は、整備休養中という訳です。こういう点からも、三隻と
いう数は、居心地の良い数字です。長い期間は無理ですが、有事の
際には、三隻全部を同時に、洋上に展開する事も出来ます。

と言う訳で、中国が見得の為に、空母を一隻だけ整備するのではな
く軍事的に意味のあるものとする為には、最低でも空母三隻を整備
する必要があると言う事になります。

では、空母を三隻だけ整備すれば良いかと言うとそうではありませ
ん。通常、空母は一隻だけで活動するのではなく、数隻の駆逐艦で
護衛する必要があります。米海軍の空母打撃群では、6~8隻のイ
ージス巡洋艦やイージス駆逐艦が護衛につきます。米軍の場合は、
水上部隊だけではなく、攻撃型原潜も2隻、空母の護衛についてい
るようです。

米海軍の場合は、水上護衛艦全てがイージス艦ですが、中国の場合は
対空駆逐艦と汎用駆逐艦の組み合わせになると思われます。隻数は
各々2隻、4~6隻という処です。仮に、空母護衛用に護衛艦の内
半数を新造するとします。すると一隻の空母に対し、イージス駆逐
艦1隻、汎用駆逐艦が2隻が新造される事になります。また、攻撃
型原潜は保有隻数は少ないので、全て新造する事にします。

中国が空母以外に建造する必要のある艦船は、イージス駆逐艦が3
隻、汎用駆逐艦が6隻、原子力潜水艦が6隻と言う事になります。
本当は艦隊補給艦も必要ですが、ここでは数えない事にします。
空母には、勿論、艦載機を積まなければなりません。空母一隻辺り
60機程度を搭載するとします。本当は、中国がどの種類の艦載機
の組み合わせにするか考えないといけないのですが、ここでは話を
簡単にする為に、Su-33のみで構成するものとします。60機が三隻
分で、180機が必要となります。(予備航空隊を準備しておくとすれ
ば、あと60機ほしい所ですね。)

取敢えずのお買い物はここまでですが、艦船を買っただけではいけ
ません。艦隊を運用したり保守したりする費用が必要です。
大体新造費用の一割程度は毎年かかります。

では、全部で幾らかかるでしょうか。
米軍の空母は一隻、4000億円と言いますが、中国製なので半分の
2,000億円とします。三隻で、6000億円が必要になります。
イージス駆逐艦も、米軍の半分と見て、500億円。三隻で1,500億円。
汎用駆逐艦は一隻250億円で、6隻で1,500億円。
攻撃型原潜は一隻500億円で、6隻で3,000億円。
空母艦載機は、一機30億円として、180機で5,400億円。
空母と護衛艦と艦載機の合計は〆て、17,400億円となります。
運用経費は、毎年、2,000億円程度でしょうか。

2003年度の中国の国家予算は、歳入は1.9兆元、歳出が2.2兆元。
日本円に直すと歳入は25兆円、歳出は29兆円となります。
空母機動部隊建設の歳出に占める割合は、5%程度、運用経費は、
0.6%程度になります。

まあ、三個機動部隊という最少構成ですが、現在の中国であれば、
無理なく支出できる範囲に入るのではないかと思います。
過去20年に亘る中国の経済発展の大きさをひしひしと感じる試算に
なった様に思います。



2008年12月22日月曜日

日本の経済水域が本土の二倍分広がる?



※CGは、総合海洋政策本部プレスリリースからの転載
大陸棚限界の延長に関する説明図は、海上保安庁サイトから転載

「大陸棚の限界に関する委員会」に提出する大陸棚の限界(案)の概要
平成20年10月31日
総合海洋政策本部事務局

1.「海洋法に関する国際連合条約」は、沿岸国の大陸棚を、領土の自然の延
  長をたどって大陸縁辺部の外縁までの海底及びその下とし、これが沿岸国
  の領海基線から200 海里を超えて延びている場合には、当該大陸棚の限界
  に関する情報を、「大陸棚の限界に関する委員会」(以下「委員会」とい
  う。)に提出し、その勧告を受けることとしている。

2.同条約が規定する大陸棚の限界を明らかにするため、内閣官房の総合調整
  の下、平成16 年度から政府一体となって行った大陸棚調査(本年6 月完了)
  の成果を取りまとめた。その結果、 付図に示す7つの海域で、領海基線か
  ら200 海里を超えて大陸棚が延長していると考えられるため、その限界を
  委員会に提出するものである。

3.これらの海域のうち、オレンジ色で範囲を示す海域については、相対国の
  延長された大陸棚と重なる可能性があり、我が国と当該国の双方が必要に
  応じ、協議の上、延長された大陸棚の境界画定を行う必要がある。

(総合海洋政策本部 2008/10/31)


本日は連休の谷間と言う事で小ネタにしたいと思います。
旧聞に属しますが、あまり報道がされていたとも思いませんので取
り上げたいと思います。平たく言えば、特定の条件の下で、EEZ(排
他的経済水域)を領海から200海里以上に広げる事が出来るというも
のです。

この大陸棚の延長に関しては色々と細かな条件がついているのです
が、要は、海洋調査を行って、200海里内の海洋地形との連続性を
明らかにした上で、国連「大陸棚の限界に関する委員会」に申請する
と調整の上、認めるかもしれないよと言う事です。

今回、日本が申請するのは、上記の地図上に記載された7ヶ所で、
面積は合計で日本の国土の約二倍に相当する約70万平方kmになります。

ただ、7ヶ所の内、4ヶ所については、パラオ及び米国と主張が対
立する可能性のある領域であり、日本の主張が全て認められるとは
限りません。ただし、隣接地との対立がない領域については、日本
側はかなり細かい海洋調査を行っているので、まず認められるだろ
と思われます。

この申請を行う為に、海上保安庁は、昭和58年から25年に及び地道
な海洋調査を行ってきました。その調査距離の総延長は約108万
km(地球約27周)にも及んだそうです。
海上保安庁の地道な努力に敬意を表したいと思います。