2009年12月11日金曜日

習近平氏の天皇陛下との会見に賛成する

習近平国家副主席が陛下と会見へ

14日から来日する中国の習近平国家副主席が天皇陛下との会見を行うことが
11日決まった。政府関係者が明らかにした。

(産経新聞 2009/12/11)


特例で天皇会見を要請 副主席訪日で中国政府

中国政府が14日に訪日予定の習近平国家副主席と天皇陛下との特例的な会見
を日本側に求めていたことが11日、複数の政府関係者の話で明らかになった。
平野博文官房長官は午前の記者会見で、「日中関係は政治的に重要なので(宮
内庁に)お願いした」と述べ、応じる方向で調整していることを認めた。

習氏は胡錦濤国家主席の有力後継候補とされている。中国は陛下との会見に向
けた所定の手続きをとっていないが、会見を実現できなければ習氏の体面を傷
つけ責任を問われかねないと判断、働き掛けを強めている。

外国要人と陛下との会見については、1カ月前までの文書での正式申請が前提。
関係者によると、中国側からの申請は11月下旬だったが、鳩山由紀夫首相は
民主党の小沢一郎幹事長らの働き掛けを受けて、9日に平野氏に会見が実現で
きないか検討を指示したとされる。

平野氏は「要人が来るので、お会いできないかと(陛下に)お願いするのは政
治利用でも何でもない」と強調。宮内庁幹部は「ルール違反であり、天皇陛下
の負担軽減の問題もある」と指摘しながらも、首相官邸の意向に配慮する考え
を示した。

(共同通信 2009/12/11)


習近平氏の天皇陛下との会見について、通常の陛下の会見ルールに
則って行われていないという事で反対の方が多いと思いますが、
私は、陛下の健康問題や他のスケジュールとの問題がなければ、習
近平氏との会見に応じるべきであると考えます。

共同通信の記事では、習近平氏は、胡錦濤国家主席の有力後継候補
とありますが、実際には余程の事がなければ、確実に国家主席に就
任する事が確実な、中国の次代の指導者です。バックグラウンドが
太子党なので、中国国内でも、あまり人気はありませんし、胡錦濤
主席からすれば、習氏の対抗馬であった同じ団派の李克強第一副首
相を望ましいと思っているとも一時は伝えられましたが、現在では、
胡錦濤主席-温家宝首相体制の次は、習近平主席-李克強首相の体
制という事で衆目が一致しています。(ちなみに李克強氏は若い頃
に訪日経験があり、その時、小沢一郎氏宅に三日間ホームステイを
したそうです。)

そういう中国の次世代の指導者を、天皇陛下のお人柄に触れさせる
事は、早ければ早い程良いと思うのです。勿論、習近平氏が、陛下
との会見で、江沢民の様に何も感じないという事もありえますし、
前回の陛下の訪中が、天安門事件に対する欧米諸国の制裁破りに使
われた様に露骨な政治目的であれば、拒否すべきであるのは勿論で
すが、少なくとも今回、それには該当しないのです。

天皇陛下との会見をアレンジするのが、日本国としての最大限のも
てなしならば、ここでそれを出し惜しみする意味はありません。
逆に、ここで会見を拒否して相手のメンツを潰せば、日本に批判的
な中国指導者をわざわざ作り上げる事になってしまいます。
そうであれば、民主党政権は、この機会をせいぜい高く売りつける
事で、中国から幾許かでも外交的ポイントを獲得すべきだと思われ
るのです。


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小沢氏の"人民解放軍司令官"発言を失言と報じないマスコミ

小沢氏「私は人民解放軍の野戦軍司令官」

民主党の小沢一郎幹事長を名誉団長とする同党訪中団は10日午後、北京に到
着した。小沢氏は同日夕、北京市内の人民大会堂で胡錦涛(こきんとう)中国
国家主席と会談し、日中関係の強化や民主党と中国共産党の政党間交流の促進
を協議した。小沢氏と胡氏の会談は政権交代後は初めて。昨年5月の胡氏来日
時に続き4回目となる。会談は約30分間で、輿石東参院議員会長と山岡賢次
国対委員長が同席した。

訪中団は、民主党国会議員約140人を含む総勢600人超が参加する異例の
訪問団となった。小沢氏のライフワークである日中交流事業の「長城計画」と
民主党と中国共産党の「交流協議機構」の行事を兼ねており、航空機5便に分
かれて北京入りした。小沢氏は到着後、中国側が用意した巨大な黒塗りのリム
ジン車に乗り込むと、添乗員の掲げる旗に従った同行議員らが、チャーターし
たマイクロバスで長い車列をつくって市中心街に向かった。

「140人以上の国会議員が参りまして、(胡氏が)大変お忙しい中、それぞ
れの議員とツーショットを撮っていただき本当にみんな喜んでいます。友好発
展のため、ご理解いただきたい」

冒頭、小沢氏は笑顔でこう語りかけた。会談に先立ち、訪中団は、胡氏ら中国
要人との恒例の記念撮影を行っていた。

胡氏は「小沢氏は中国人民の古くからの友人で、中日関係発展のため数多くの
貢献をしてきた。今日は新しい友人がいっぱい生まれるだろう。それを日中関
係に役立てたい」と語った。

小沢氏は来夏の参院選について、「こちらのお国(中国)にたとえれば、解放
の戦いはまだ済んでいない。来年7月に最後の決戦がある。私は人民解放軍の
野戦軍司令官として頑張っている」と語った。

自民党との戦いに言及した小沢氏は、両国の「最高実力者」同士の顔合わせだ
ったにもかかわらず、東シナ海のガス田問題など懸案をめぐる突っ込んだ議論
は避けた。理由は、「政治的課題を議論しにきたわけではない」(小沢氏)と
いうものだった。

小沢氏は11日に韓国・ソウルへ単独で移動し、12日に李明博(イミョンバ
ク)大統領と非公式夕食会に臨み、13日に帰国する。

自民党の谷垣禎一総裁は10日の会見で「これだけ大勢の国会議員が国を留守
にするというのは異例だ。自民党だったらこういう発想はしない」と語った。

(産経新聞 2009/12/10)


日本の政治家は、海外に出ると訪問国にリップサービスをしたくな
る様で、小沢幹事長もその例外ではありません。過去にも北朝鮮を
訪れた際、恒例のマスゲームを見せられて、「日本もこんな国にし
たい」と述べています。ある意味、それは、本気だった様で、前国
会で、鳩山首相の所信表明演説に対し、民主党議員全員にスタンデ
ィングオーベーションをさせ自民党をして、ヒトラーユーゲントの
様だと言わしめています。

その例からすれば、今回の「人民解放軍の野戦軍司令官として頑張
っている」という言葉も、半ばは、中国の為に、あるいは、中国の
野戦軍司令官になったつもりで、日本の体制を中国の様な独裁制に
導きたいという本音が現れたと言えなくもないのかも知れません。

言わずもがなの説明になりますが、人民解放軍は中国共産党の軍隊
であって、中国という国家の軍隊ではありません。いうなれば、共
産党の私兵に過ぎません。さらに、小沢氏は、民主党幹事長として
自衛隊の最高指揮官である鳩山首相につぐ最高権力者の一人です。
その小沢氏には、自衛隊の最高指揮官としていつでも振る舞える見
識と矜持を求めたいのですが、ご本人は中国共産党の私兵の一司令
官という自己認識しかないとは非常に残念と言わざるをえないのです。

小沢幹事長は、ある意味、鳩山首相以上の独裁的な力を持つ権力者
です。党の運営を牛耳る事で、政府そのものをその権力の下に置く
というやり方は、共産党独裁の手法と相通じるものがあります。与
党の質問を認めなかったり、議員立法を否定するのも同じ文脈と考
えると良く理解できます。その強権的手法は、スターリン的政治家
と言えるかも知れません。共産党以上の共産主義者である日教組代
表身の輿石参議院議員会長が小沢氏に違和感なくべったり張り付い
ているのも、その共産主義的体質が、小沢氏のスターリン的体質と
一致しているからとすれば、納得ができます。

非常に残念な事は、この様な、政治の素人でさえ感じる、小沢氏の
共産党独裁的政治手法や、その指向を匂わせる様な失言に対し、多
くのマスコミが批判的に報道せず、逆に、小沢氏に対し、極めて迎
合的な報道に終始している事です。

日本のマスコミ人は、社会主義的性向を持つこと衆目の一致する処
ですが、独裁主義的権力に対して迎合的であり過ぎる点でも、戦前
戦後を通じて、反省がないと思われてなりません。自民党の様に様
に、民主主義的ルールに従って、権力を制限的に運用しようとする
勢力に対してはマスコミは居丈高に振る舞いますが、小沢氏の様な
独裁的権力者には、擦り寄って利権のおこぼれに預かろうとします。
田中角栄、金丸信両氏の全盛期に如何にマスコミが平身低頭してい
たか覚えている方も多いと思いますが、小沢氏に対して、マスコミ
は自民党幹事長時代に続いて二回目の平身低頭ぶりを示している様
に思います。

この、他のマスコミが批判を避けて通る独裁主義的権力に批判の矢
を投じ続けている一点だけをとっても、産経新聞のリベラリズムの
存在意義と貴重さを感じるのです。


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2009年12月10日木曜日

民主党大訪中団にせまる中国最大の諜報工作「長城計画」

過去最大の訪中団

「一度にこれだけの国会議員が外国を訪問するのは聞いたことがない。中国に
限らず過去最多だろう」

外務省関係者が異口同音に語る一大イベントが10日、北京で幕を開ける。民
主党と中国共産党の定期交流事業と、小沢が自民党時代から手掛けてきた草の
根交流「長城計画」の合同プログラムだ。

今年は民主党国会議員143人が参加する。各議員が募った後援会関係者や秘
書を含めれば626人が厳冬の北京に赴く。

先の衆院選で初当選した約140人の小沢チルドレンのうち約80人も参加す
るが、内実は「ただの物見遊山」(党関係者)。党内からも「米国を軽視して
中国に傾斜しすぎているのではないか」(若手議員)といった声が出るほどだ。
民主党政権が米国から聞こえる声を突き放し、中国からの声ばかりに耳を傾け
ようとしている姿。だが、そこに明確な理念や政策は見えず、漠然としたアジ
ア重視があるだけだ。

新・民主党解剖 第2部覇者の憂鬱(3)日米同盟より中国重視より抜粋

(産経新聞 2009/12/10)


民主党小沢幹事長の権力を誇示する600人以上という訪中団の規
模以外は、中身は、あまり注目されない日中交流プログラム「長城
計画」ですが、中国共産党が何故、積極的にこのプログラムを推進
しているのでしょうか。

記事にも書かれている様に、小沢幹事長と胡錦濤主席の会談を除け
ば、内実は「ただの物見遊山」とされています。
勿論、中国側要人と参加者が親しく交流する機会もあるでしょうし、
躍進する中国経済のダイナミズムをプログラム参加者に実感させる
という本当の交流目的もあるでしょう。

しかし、そんな形而上学的な親善交流を中国共産党が目指している
と本気で信じているは、国際関係にウブな日本人だけかも知れません。

私は、民主党いや、日本の次代を担う、エリート層を大量に中国に
連れてくる事それ自体が中国側の目的だと解釈しています。つまり、
理由はどうであれ、中国に滞在させる事が目的なのです。

中国に一度でも行かれた方は、良くご存知と思いますが、外出先か
らホテルの部屋に戻るとすぐに電話が鳴り、マッサージ等を理由と
したお誘いが女性からかかってきます。通常の旅行者の場合は、本
当のマッサージもありますが、大抵はただの売春婦です。しかし、
ここで重要なのは、中国の場合、ホテルの部屋には、カメラがまず
確実に仕掛けられており。電話も盗聴されていると言う事です。通
常のビジネス客や旅行者であれば、盗撮、盗聴されていた所で問題
にもなりませんが、「長城計画」で連れていかれたエリート層にと
っては、将来、大きな問題に発展する可能性が出てきます。

つまり、そうした機会に相方になった相手が、ある日突然、日本に
赴任してきたり、あるいは、中国の関係者から証拠をたてに協力を
強制されたりという事が発生する訳です。これが諜報工作で言うハ
ニートラップです。

中国のこの種のハニートラップ工作については、事前に諜報工作に
ついて教育を受けている職業外交官ですら、簡単に落とし込まれる
程高度なものです。その為、元々その種の免疫のない、政治家の卵
が落ち込むのは、寧ろ、当然と考えられます。実際、小沢幹事長自
身の周辺にも、中国の工作員がいる事が噂されていますし、故橋本
首相の秘書兼愛人が中国共産党の工作員であった事も有名です。

また、要人ではありませんが、上海総領事館の電信担当者がこの工
作のターゲットになり、外交暗号の漏洩を強制されたケースや、海
上自衛隊の隊員が、内部情報の漏洩を強制されたケースも明らかに
なっています。(いずれも当事者は自殺)

つまり、この一見無害な日中交流プログラム「長城計画」は、日本
の将来の指導者層を大量に中国製のハニーポットに落とし込む罠で
ある可能性が極めて高いと思われるのです。そして、これにより、
中国は金額に換算できない程、貴重な諜報工作ルートを大量かつ継
続的に確保できるという訳です。

民主党の小沢幹事長が、意図的にその計画に加担しているとは思い
ませんが、結果として訪中団員を、その様な危険に晒し、間接的に
かも知れませんが、売国的行為に加担している事にどの様な所感を
持っているのか是非、聞いてみたいものだと思わるのです。


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2009年12月9日水曜日

中国は、鳩山朝貢外交の弱腰を見切っている

ガス田「白樺」中国が掘削施設完成…海自確認

日中両政府が共同開発で合意した東シナ海のガス田「白樺」(中国名・春暁)で、
中国が天然ガスの掘削施設を完成させていたことが、海上自衛隊のP3C哨戒
機の監視活動で、8日までに確認された。

防衛省では「いつでも採掘できる状態」としている。

中国は今年7月、突然、白樺施設に建設資材などを搬入した。日本政府の問い
合わせに対し、中国は「施設の維持管理のため」などと回答したが、その後も
施設建設を続けていた。

防衛省は連日、P3C哨戒機で監視しているが、すでに高さ100メートルを
超す掘削櫓(やぐら)などが造られている。建設は10月末に終了、食料など物
資の搬入も済ませ、12月からは、それまでの倍以上の十数人の作業員の活動
が確認されている。

白樺は東シナ海の大陸棚の境界として日本が主張する「日中中間線」に隣接す
るガス田で、昨夏、中国が開発中の白樺に、日本が出資し、共同開発すること
で合意した。しかし、具体策は協議されておらず、中国は今年5月、大陸棚の
延伸を「沖縄トラフ(海溝)」まで求める文書を国連に提出、日本の主張を拒否す
る姿勢を明確にしている。

白樺で進む施設建設に対し、鳩山首相は就任直後、中国の温家宝首相に「憂慮
している」と懸念を示したが、抗議はしていない。

防衛大学校の村井友秀教授(国際政治)は「中国は日米関係の悪化をにらみな
がら、掘削を始める可能性もある。日本はガス田に加え、尖閣諸島のパトロー
ル活動など実効支配を強化する必要がある」と話す。

(読売新聞 2009/12/09)

この記事によれば、中国によるガス田掘削施設の建設が本格化した
のは、今年の7月ですから、衆議院選挙で民主党が圧勝しそうだと
いう評価が有力になってきた時期です。
勿論、建築資材の準備は、それ以前から行われてきたでしょうが、
現地への運び込みは、日本政府が、選挙戦に忙殺されているのを見
透かした様なタイミングで行われており、その後は、民主党政権が、
中止に向けた実力行使を行なう事がない点を見切った上で、建設を
本格化させたと言わざるをえません。

それにしても、この手の情報は防衛省だけでなく、首相官邸や外務
省、国土交通省にも、定期的に報告されていた筈であり、鳩山首相
を初め、岡田外相、前原国交相といった政権幹部も、それを全く無
視していた事になります。そして、これと、中国の民主党内閣が何
の行動も取らない事を見透かした行動を考え合わせると、両者の間
に、何らかのコミュニケーションがあった事すら邪推したくなるの
です。

しかも、中国に、この様な火事場泥棒的な仕打ちをされても、民主
党の小沢幹事長は、政治家や財界人等、合計600人以上を引き連
れて、わざわざ、中国に頭を下げにいくというのですから、あきれ
果ててしまいます。この何の役にもたたない中国訪問の為に、国会
の会期延長期間が短縮され、その結果、北朝鮮に対する追加制裁法
案が廃案になってしまったのですから、既に本末が転倒しています。

鳩山内閣が国益を守る気がない点は、もともとそういう人物であり、
そういう政党であると思っていますので、大きな失望はありません
が、それにしても、政権発足後、わずか100日で、日米同盟を動
揺させ、中国にEEZ内のガス田を黙って譲り渡すなど、これから民
主党が政権を維持し続ける四年間で、どれだけの日本の国益が流出
し、日本の存在基盤が破壊されるのか、薄ら寒く感じざるを得ない
のです。

このままで行けば、遠からず、日本という国は、独立国として存続
しなくなるか、あるいは影響力を全く失った国際的サンドバックま
たはスケープゴーツとしてのみ存続を許される国になってしまうの
ではないかと懸念されてならないのです。


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2009年12月8日火曜日

普天間処理で米国に不信感を与える鳩山首相の愚

<スコープ>首相 外相 意見対立 深刻に

米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、鳩山由紀夫首相と岡田克也外相の意見
対立が深刻になった。首相は、連立相手の意向を踏まえ、沖縄県外への移設に
傾斜。対する岡田氏は、対米関係を維持するには、現行移設計画で年内決着を
図るほかないと思い詰める。政府方針を決める最終段階で、政権は抜き差しな
らない局面を迎えた。

首相は七日、近く政府方針をまとめ、米国に伝える考えを記者団に示した。二
〇〇六年の日米合意に基づき沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿
岸部に移設する現行計画については「米国からそういう要求は来ている」と述
べた。

その上で、沖縄県民の県外移設への期待感、社民、国民新両党との連立の重要
性を指摘し、辺野古移転は「簡単ではない」と二度繰り返した。米国の要求に
屈しない「対等な日米関係」を探る姿勢を示す思惑もある。

首相の周辺では、米国の反発を覚悟の上で、時間をかけて交渉すべきだとの意
見が強まりつつある。平野博文官房長官は記者会見で「辺野古だけではなくほ
かもないのか、今までの(日米合意の)検証作業をみたときにどうなのかとい
う考え方を、首相自身が出すのではないか」と説明した。

一方、米国との交渉当事者として「圧力」を直接受ける岡田氏は先週末の沖縄
訪問時、自ら提案した米軍嘉手納基地統合案について「非常に難しい」と地元
メディアに断念を表明。記者会見では「合意が実現できないときに(日米の)
信頼関係がどれだけ維持されるのか。日米関係の現状に非常に強い危機感を持
っている」と述べた。

外交の責任者が、日米関係が危機的状況にあると認めるのは異例だ。それほど
岡田氏は追い詰められ、現行計画以外に選択肢は残されていないとの苦悩をに
じませる。六日午後に首相を公邸に訪ね、一時間余り会談した際には、首相の
説得を試みたとみられる。

ただ、政府・与党に岡田氏を後押しする声はなく、孤立感が深まっている。
「岡田氏はなぜ米国や外務省の言いなりになっているのか、ということだ」
首相に近い中堅議員は首相の内心をこう代弁してみせた。

(東京新聞 2009/12/08)


この記事を読むと、岡田外相は馬鹿は馬鹿なりに、真剣に職責を果
たそうとしている事が分かります。少なくとも、日米同盟体制と言
う日本外交の基軸を揺るがせにしないように動いていると言う事です。
それに対して、鳩山首相は、普天間問題で日米に不協和音が出ても
日米同盟体制は揺るがないという楽観論を持っているか、日米同盟
が揺らいでも構わないと考えている様に見えます。

ただ、そうであれば、オバマ大統領との会談で「Trust me」と言っ
た言葉や、あるいは新聞報道に惑わされないでくれと私信を託した
りしたのはどういう意味だったのかと言う事になります。
オバマ大統領にしてみれば、鳩山首相を信用した挙句に、ハシゴを
外され、米軍再配置という米国の世界的な政策展開に大きな齟齬を
生じそうになっています。

元々、鳩山首相は米国から見て、信頼に足る実績がなく、民主党が
選挙に勝利して以降も、米国との「対等な関係」という不適切なメ
ッセージの発信や、あるいは、「米国抜きの東アジア共同体の提案」
と言った、反米的な行為が目立っていた訳です。その上で、既存の
日米合意を無視する様な行動をとっているのですから、その人間を
信頼する方が馬鹿と言う事になってしまいます。最近では鳩山盧武
鉉説が、ワシントンのコンセンサスとなりつつあるという報道が流
れていますが、そう言われても仕方なしと言わざるを得ないのです。

今更ながらですが、普天間問題に関する日米合意は、そもそも日本
側から持ち出したものです。そして、普天間からの飛行場施設の県
内移設を前提として、海兵隊のグアム移転が計画されたのです。
グアムに移転する海兵隊は8000人で、沖縄に駐留する在日米軍の約
四分の一に相当します。従って、実現すれば、沖縄の負担軽減に大
きく役立つ事は言うまでもない話なのです。そうであるからこそ、
海兵隊のグアム移転費用の約6割を日本側で負担する事にもなって
いるのです。

もし、鳩山首相が、この合意を破棄して、再度、沖縄駐留米軍の削
減を米国と交渉をするのであれば、筋を通して行うべきです。通常
のビジネスプラクティスで考えても、一度合意した内容が状況の変
化等で履行できなくなるのは、良くある話です。契約の内容にもよ
りますが、それをどの様に変更するかは、誠心誠意を尽くした交渉
によるべきであって、騙し討ちによるべきではないのは当然の話で
す。正しく、鳩山首相が国民に信を問うた上で、オバマ大統領に筋
を通して申し入れを行うべき話と思われます。鳩山首相が、米国と
の「対等の関係」を希望するのであれば、不信を根拠にするのでは
なく、信頼を根拠として行うべきであり、閣内不統一、国論不統一
のままになし崩し的に合意を破棄に至らしめるのは日米関係にとっ
ても最悪の結果であると言わざるを得ないのです。


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2009年12月7日月曜日

岡田外相の外交センスの無さを悼む

日米協議「もう限界」 岡田外相、普天間解決に危機感

岡田克也外相は5日、那覇市で地元紙の沖縄タイムス社の岸本正男社長らと会
談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐる日米協議につ
いて「2カ月間みっちりやってきた。もう限界だ」と述べた。鳩山内閣は年内
決着を見送ったが、同県名護市辺野古に移設する日米合意の履行を求める米側
の反発は強く、辺野古以外にこだわれば移設そのものが困難になるとの厳しい
認識を示したものだ。

同席者によると、岡田氏は岸本氏との会談で、これまで模索してきた嘉手納基
地への統合について「難しい」と表明。「(現行計画は)日米間で煮詰まって
いた話。元に戻って議論とはならない」「選択肢はもうない」などと、辺野古
移設を受け入れるしかないとの考えを示した。

岡田氏はこの後の記者会見で、「合意が実現できない時に(日米間の)信頼関
係がどれだけ維持されるのか。日米関係の現状に、非常に強い危機感を持って
いる」と語った。また、問題の先送りは解決につながらないとも強調。「外相
として打開しなければいけないと思っている。打開につながる決断が何か、首
相を含めて協議している」と語り、ぎりぎりの妥協策を探りたい意向だ。

ただ、鳩山政権は、辺野古移設を決断すれば、社民党を含めた連立政権がもた
ないと判断している。新たな策を見つけるのは極めて困難な情勢で、対米交渉
上、新たな移設先の検討の余地がないなら、移設問題は暗礁に乗り上げる可能
性が高い。

日米作業部会に出席した米政府当局者らと4日に会った民主党関係者によると、
当局者らは移設が進まなければ普天間飛行場の老朽化した施設を更新する予算
措置を取る可能性を伝えた。岡田氏の発言の背景には、こうした措置が取られ
れば、現状の固定化につながるとの危機感があると見られる。

(朝日新聞 2009/12/6)



この記事を読んで、今更ながら岡田外相の外交センスを疑ってしま
いました。彼はどうも、本気で、辺野古沖ではない解決策があると
考えていたようであり、日本が強くでれば、米国は折れると考えて
いた様なのです。一体どういう根拠で、そう考えていたのか定かで
はありませんが、岡田外相は民主党の中では真面目で勉強家との評
判もあったにも関わらず、その程度の事すら理解していないという
事であれば、民主党有力議員の勉強ぶりが心配になってしまいます。

まあ、鳩山内閣のロールモデルである韓国の盧武鉉政権の当時の外
相が国連の事務総長をやっているのですから、徹底した反米をやれ
ば、それに溜飲を下げる内外勢力があるのでしょうから、将来、国
連で何かポストにありつけるかも知れません。ただ、今の事務総長
は、就任以前にも「うなぎ」のあだ名で呼ばれていた程のしたたか
な外交官でしたから、岡田外相には、外交素人の米国駐日大使に怒
られたからと言って、首相官邸に駆け込んだり、憔悴してしまうの
ではなく、しっかり日米密約を暴いた上で、非核三原則とやらの
「現実的な適用」を、中国、ロシア相手にもやる位のタフさを見せ
て欲しいものだと思います。

勿論、領海侵犯したり、海峡を潜水して通過する中露潜水艦は核兵
器を装備していない筈もありませんし、非核三原則を徹底するので
あれば、強制的に核搭載艦艇を排除する必要があるのですが、岡田
外相が、同盟国に甘えるだけでなく、その辺の強制排除方法の勉強
をしてくれているものと是非期待したいと思います。

それにしても、岡田外相にしても、鳩山首相にしても、どちらもそ
の職を全うできていない訳で、それでも支持率60%内外を維持して
いる事が不思議でなりません。鳩山内閣支持者は、頭を土の中に突
っ込んで見たくないものを見ない行動をとるダチョウか、あるいは、
あれは馬かと皇帝に問われて、鹿と答えた秦の高官と同じだと言っ
ておきましょう。


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