※写真は、Wikipediaから転載
インド、GSLV-D3ロケット打ち上げ失敗
インド宇宙研究機関(ISRO)は現地時間4月15日16時27分(日本時間19時57分)、
インドの通信試験衛星「GSAT-4」を載せたGSLVロケット(GSLV-D3)を、サテ
ィッシュ・ダワン宇宙センター(SDSC)から打ち上げたが、3段目のエンジン
が正しく動作せず、打ち上げに失敗した。
ISROによると、ロケットの初段と第2段は共に正常で、打ち上げから約5分後に、
第3段エンジンが点火し、約12分間燃焼する予定だったが、エンジンに動きが
なく、ロケットはそのまま失速し、衛星と共に海面に落下した。
今回の打ち上げに使用された第3段エンジンは、インド初の国産極低温エンジ
ンだった。エンジンが点火したかどうかはまだ確認されていないため、ISROは
今後、失敗の原因を究明し、次回の極低温エンジンの打ち上げ試験について検
討する。
なお、GSLVロケットの打ち上げは2007年9月以来、実に2年半ぶりだった。
(sorae.jp 2010/04/16)
GSLVロケットは、インドが、静止衛星打上げ用に開発した大型ロケ
ットです。日本のH-IIAと比較すると、サイズと重量では同等、衛
星打ち上げ能力では大体半分程度の能力があります。
GSLVロケットは、三段式で、第一段は末端ヒドロキシル基ポリブタ
ジエン(HTPB)を使用した固体燃料ロケット、これに四基のVikas液
体燃料エンジン(四酸化二窒素とジメチルヒドラジン)を使ったロケ
ットブースターが付加されています。第二段も、ブースターと同じ
系列のVikas液体燃料エンジン。第三段は、液酸液水エンジンを使
用すると言う、一見、複雑な構成を取っています。
GSLVロケットの開発コンセプトは、並行して打ち上げられている先
代の衛星打ち上げロケットであるPSLVロケットの一段目と二段目を
使用し、且つ、二段目を若干改造した四基の液体燃料ブースターロ
ケットを使用する事で、推力を高めると同時に、経済性と信頼性を
確保する。また、高性能の液酸液水エンジンを第三段に装備する事
で運用の柔軟性を高める事であったと思われます。当初は、この液
酸液水ロケットを自前開発する事で、技術的な高度化を狙っていま
したが、途中で、ロシアから輸入する事になりました。
インドは第三段エンジンはロシアから合計7基を輸入しており、五
号機までは、それを使用してきました。それに加え、インドはロシ
アからこの液酸液水エンジン技術そのものも購入しようとしました。
しかし、インドが核兵器開発を推進している処から、国際的な制裁
の一環として、米国の圧力もあってロシアは、インドへの技術移転
を拒否する事になります。
この為、インドは高性能の液酸液水エンジンの自国開発を余儀なく
される事になりました。元々インドは、このプロジェクトが発足す
ると同時に国産技術による液酸液水エンジンの開発に着手していま
したので、その開発を再度加速する事で、この事態に対応しました。
その結果、一応、実用に耐える国産の液酸液水エンジンが完成し、
その国産液体燃料エンジン搭載した最初のGSLVとなったのが、今回
打ち上げられたGSLV6号機という訳です。
細かく言えば、ロシア製の第三段ロケットエンジンを付けたロケッ
トをGSLV Mk.1と言い、国産の第三段エンジンを付けたものをMk.2
と言って区別しています。
今回は、失敗しましたが、今年から来年にかけ、GSLVは、二回の打
ち上げが予定されています。その二回分は、ロシアから輸入した第
三段ロケットが、使用される予定です。今の処、その後の打ち上げ
には、国産液体燃料エンジンが使用される事になっています。
GSLVは、これまでの6回の打ち上げられていますが、その結果は、
成功2回、部分的成功2回、失敗2回と必ずしも芳しいものではあ
りません。
今後インドの大型衛星打ち上げが順調に行えるかどうかは、インド
国産の液酸液水エンジンを含めGSLVが、充分な信頼性が得られるか
どうかにかかっている様に思われます。
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