今回は、最終回で、中国の挑戦に対する米国の対応に関する提言と結論です。
米国での水中での優位を維持するには
過去16年間に亘って、中国が潜水艦隊を急速に増強してきたにも拘わらず、ま
た、戦闘司令官達が能力増強を要望していたにも拘わらず、米国はその潜水艦
隊を着実に削減してきた。米国の同盟諸国は、太平洋地域における安全保障環
境の変化に関して、尤もな懸念を表明してきた。
米国も、このバランスの変化を、少なくとも一部は認め、それを強調する様に
なった。海軍は2006年の4ヶ年防衛レビューに示された方針である60%の潜水
艦隊を太平洋に配備する事を正しく実行中である。しかし、縮小しつつある艦
隊の高い割合を配備する事は、潜水艦の合計数を増加させるより有効性が乏し
いのは明らかである。
縮小を停止し、太平洋における米国の海中での覇権の衰退を逆転させる事は、
米国の同盟国を安心させ、支援し、そして、この地域での米国の長期的な利益
を保護する事である。
米国は、以下の諸策を実施すべきである。
・攻撃型潜水艦をよりすばやく建造すること。
議会は、60隻の攻撃型原潜を配備する事を目標とし、ヴァージニア級潜水艦の
調達ペースを少なくとも一年に二隻とすべきである。しかしながら、新しい潜
水艦を新たに一年に二隻調達するだけでは、より急速に退役するロサンゼルス
級潜水艦を更新する事はできない。
・就役期間を延ばすために、ロサンゼルス級潜水艦の一部をオーバーホールし
て、近代化する必要がある。
オーバーホールと近代化には、追加予算が必要である。整備状況の良い古い潜
水艦を、予定通り、退役させるのではなく、就役期間を延長のは、「潜水艦ギ
ャップ」を、短期間で低コストで縮めるには、劇的に潜水艦の建造隻数を増加
させる事より有効だろう。
・より多くの潜水艦を前方展開すること。
現在、グアムに配備されている三隻に加え、東アジアに接近した場所、つまり、
グアム、ハワイ、可能であれば日本に、配備する事は、それらが一番必要とさ
れる場所での配置時間を極大化すると共に、その海域への往復時間を、極小化
する事になる。海軍は、潜水艦母艦を調達する事を考慮すべきである。潜水艦
母艦は、潜水艦にとって臨時の前進基地であり、乗員の交換や武器の補給を可
能とする。
・ディーゼル潜水艦の使用を再検討すること。
議会は、海軍に、地域司令官の要望と使用可能な潜水艦の隻数のギャップを埋
める為に、AIP推進攻撃型潜水艦の有効活用に関する研究を指示すべきである。
短期的には、国内生産が整うまでの間、同盟国から潜水艦を購入しても良い。
米国で通常型潜水艦の使用法を確立する事で、よりしっかりとした対潜訓練を
行う事ができ、米国に、先進的なディーゼル潜水艦を台湾に販売するというオ
プションを与える事になる。
・水中での戦力倍加要素の研究・開発・配備を進めること。
無人海中車両(UUV)により、既存の海中兵器、プラットホーム、センサーは、
航続力、可能性、強力さを増大することができる。しかしながら、UUVは、攻
撃型潜水艦を置き換えるものと考えてはならない。米国は、引き続き、予見で
きる将来に亘って、有人潜水艦を配備する事が必要であろう。そして、潜在的
な脅威の発達に対抗して、その能力を改善し拡張する必要がある。
・対潜水艦戦(ASW)能力を強化すること。
萎縮してしまった米国のASW能力は、とりわけ懸念材料である。訓練されたASW
要員を養成するには、数年に亘る集中的な訓練が必要とされる。議会は、ASW
能力を質的にも量的にも拡充する為、安定的でかつ十分な予算を手当てしなけ
ればならない。とりわけ、議会は、ASWプラットホームを量的に拡大するため、
P-8計画の加速と、DDG-1000級の建造や曳航式ソナーを装備したDDG-51級の改
装により、より多くの水上艦艇の建造を行うべきである。
・同盟国や友好国の潜水艦戦および対潜水艦戦能力を向上する為の共同訓練を
行うこと。
これらの努力は、より頻度の高い集中的な多国間演習や機動演習、技術の共有
や共同計画を包含するものである。友好的な外国海軍の能力や可能性を高める
事は、米国にとって、特定の緊急事態や作戦への米国の資源の割り当てを削減
できる事になり、それゆえ、米国の潜水艦を別の緊急の用途へ転用する事を可
能にする。
・軍事担当者間のチャネルを用いて、安全保障問題に関して、中国が透明性を
高める方向に勧奨すること。
軍事面に関して、中国が透明性を拡大することは、中国の海軍建設に関する懸
念や問題を解決したり緩和するのに役立つに違いない。より深く理解する事で、
将来発生する米国と中国の軍隊が関係する事件を防止できたり、緊張を弱める
事ができるかもしれない。中国が、国際的な共通慣行に反して、米国の軍事担
当者に、最近のミサイル防衛試験についての事前通知を行わなかったことは、
透明性を高める努力を弱め、答える事のできない多くの疑問を導くことになった。
結論
太平洋地域と東アジアにおける安全保障環境の変化は、米国の同盟諸国と友好
諸国に深刻な懸念を生じさせている。いくつかの国は、積極的な海軍建設に乗
り出しており、オーストラリアは、公けに、その軍事増強を太平洋における中
国と米国のバランスの変化に対応したものであると関連づけている。
米国海軍は引き続き、世界で最強であり、もっとも訓練が行き届き、もっとも
有力な潜水艦隊を保有している。しかし、その隻数は減少しており、その戦力
は、既存の作戦と、他に与えられた任務で余裕がなくなっている。とりわけ、
米国潜水艦隊が今以上に継続的に縮小すれば、米国の太平洋の海中での覇権が
脅かされ、それゆえ、東アジアや太平洋地域で海軍が効果的に作戦を実行する
能力が深刻に蝕まれる事態も考えられる。
米国がその潜水艦隊を再建し、海軍の対潜水艦戦能力が改善しなければ、太平
洋での米軍の優位は、引き続き、弱まっていくことになる。そして、それは、
米国と同盟国と友好国を、本来は、避ける事ができる政治的、経済的な危機に
導くかもしれない。
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