※CGはCNSA製作のものをSpaceflight Nowから転載
日本でも、中国の月探査機が月軌道に投入された事が簡単に報じら
れましたが、Spaceflight Nowに少し詳しい記事が掲載されました
ので抄訳します。
中国が嫦娥2号を月軌道に投入
地球を離れて五日、中国の二番目の月探査機は、水曜日の早朝、月を巡る初期
の軌道にすべりこみ、少なくとも半年に亘る科学観測の為の準備を整えた。
国営新華社通信によれば、無人の嫦娥2号オービターは、推進システムの噴射
をグリニッジ標準時で水曜の午前3時06分(東部夏時間火曜日午後11時06分)か
ら約30分行った。この噴射により、月の重力が嫦娥2号を捉え、周期12時間の
楕円軌道に載せる事になった。運用軌道である月面上空100km(60マイル)の軌
道に載せるまで、あと二回の減速操作が計画されている。
中国の報道機関によると、嫦娥2号は、最終的に月面から15km(9マイル)以内
に接近する予定である。
嫦娥2号は、グリニッジ標準時の10月01日11時に西昌発射場から長征3Cロケッ
トで打ち上げられたが、これによって5500ポンドの衛星を地球から月に到達さ
せる事になった。なお、10月01日は、中国共産党政権による61回目の建国記念
日であった。
嫦娥2号は112時間で地球から月に到達したが、これは2007年に嫦娥1号が月
に到達した時と比べ、半分以下の時間となっている。中国の先駆的なオービタ
ーである嫦娥1号は、月への旅に12日を要した。
嫦娥2号の打ち上げには、地球軌道から脱出する為の余分のエネルギーを供給
する液体燃料ブースター二基を搭載し、より強力な長征3Cロケットが使用され
た。長征3Cは、探査機をより高い軌道に投入したが、これは、嫦娥2号が、月
への旅の間に少ない燃料しか使用しないという事を意味する。
余分の燃料が、探査機のタンクに残された事で、6ヶ月の基本探査計画の期間
を超えて探査機の運用を行う事ができるようになる。
嫦娥2号は、嫦娥1号が失敗した場合の地上予備機として製作された。
新華社の報道によれば、嫦娥1号の解像度が400フィートであったのに対し、
嫦娥2号の画像の最高解像度は10m(32.9フィート)に達する見込みである。嫦
娥2号は、低い軌道を周回する事でよりシャープな映像を取得する事ができる。
中国当局は、嫦娥月探査計画の名前を月の女神からとった。
嫦娥2号は、2013年に予定されている中国の次の月探査計画であるロボット探
査機を月表面に軟着陸させる計画の着陸候補地の地図を作成する予定である。
中国の長期計画には、その他探査計画として、月から土壌や岩石を持ち帰るプ
ロジェクトがある。
新華社によれば、134百万ドルの月面探査の基本計画が終われば、嫦娥2号は
拡張探査フェーズに入る。中国当局は嫦娥2号の拡張探査フェーズについて三
つのシナリオを検討している。その中には、中国の技術者に地球から遠く離れ
た場所での探査機運用を経験させる為、探査機を月から離脱させ深宇宙へ送る
事が含まれている。また、新華社が、主任設計者として紹介しているHuang
Jiang chuan氏は、探査機の推進材は、嫦娥2号を地球軌道に帰還させる事も
できるとしている。また、嫦娥2号は、引き続き、月にあって、科学データを
送り続け、その後、月表面への着陸や衝突を行う事もできる。
なお、嫦娥1号は、2009年3月にその使命を終え、月に衝突させられている。
(Spaceflight Now 2010/10/06)
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