2009年7月10日金曜日

巧妙に北朝鮮への制裁実施を回避する民主党

※写真は、輿石民主党参議院代表

民主、13日に不信任決議案提出で調整

民主党は9日、内閣不信任決議案の衆院への提出について、12日に投開票を
迎える都議選直後の13日に提出する方向で調整に入った。同日に幹部会を開
き、麻生太郎首相や自民党内の動向を見極めた上で、参院への首相問責決議案
の提出を含めて最終判断する。

不信任決議案提出を都議選直後とするのは、選挙戦で民主党の躍進が予想され
ることから、「次期衆院選に都議選の勢いを持ち込むため、麻生政権のふがい
なさを世論に印象づける」(幹部)狙いがある。鳩山由紀夫代表は9日、記者
団に、「都議選(の結果)をみて判断する」と述べた。

不信任決議案や問責決議案を提出した場合、野党側は通常、国会審議をボイコ
ットする。ただ、9日の幹部間協議では、参院で審議中の臓器移植法改正案に
ついては13日中の採決に応じる方向で調整しているが、「議員立法なので党
議拘束はかかっていない」(幹部)として、不信任決議案や問責決議案とは切
り離して対応する方針を確認した。これまで党内では、同改正案が成立するま
で不信任決議案や問責決議案の提出は先送りする案が浮上していた。
北朝鮮関係船舶への立ち入り検査を可能にする貨物検査特別措置法案は、不信
任決議案や問責決議案の提出に伴う審議拒否で、廃案に追い込むことも辞さな
い構えだ。

(産経新聞 2009/7/10)


民主党に期待など一切していないのですが、やはりという感想を持
った記事です。北朝鮮関係船舶への立ち入り検査を可能にする貨物
検査特別措置法案については、海保による検査実施を主体としたり、
旗国の同意を必要とするなど法案成立を確実にする為、野党の意見
を加味した骨抜き法案になっていました。そしてそれを評価し、昨
日までは、鳩山代表も成立に協力すると述べていた法案だった筈です。

それが一日にして廃案に持ち込むという構えとはどういう事でしょ
うか?元々、民主党の支持母体には日教組や自治労と言った、北朝
鮮にべったりの組織があります。特に輿石代表代行兼参議院代表は
日教組代表出身であり、この労組とのパイプから参議院代表に納ま
っている訳です。そして、その権力を行使して、北朝鮮に対する制
裁を実施不可能にしてしまったと言えます。

記事にある不信任決議には、実は何の意味もありません。自民党は、
衆議院で三分の二を占めているのですから不信任が通過する筈がな
いのです。参議院は、問責決議案は成立するかもしれませんが、拘
束力はありませんから意味がありません。つまり、わざわざ、今、
不信任決議を持ち出したのは、貨物検査特別措置法案を廃案に持ち
込む為としか言えない事になります。

残念な事に、民主党に北朝鮮シンパがいる事を何故かマスコミは、
報じません。産経新聞ですら記事の付け足しの様な形でしか取り上
げませんが、実際には、これは、北朝鮮の二回目の核実験に対する
制裁を骨抜きにする以外の何者でもないと考えます。

愚にもつかぬ漢字の読み方や、ホテルのバーを使ったかどうかとい
った卑小な事柄で首相の足を引っ張り、メディアスクラムで貶める
はかりで、反日的行為とも言える、野党の動きを報じないのでは、
悪質な世論誘導としかいえません。

近々にも実施されるであろう総選挙では、その様な、北朝鮮に宥和
的な民主党の勝利が確実視されていますが、野党に対する、まとも
な批判さえ行わないマスコミや、ワイドショーに踊らされている国
民世論を見るにつけ、日本は、確実に亡国の道を辿っている様に思
えてならないのです。


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2009年7月8日水曜日

与那国島よりも下地島に統合部隊を配備すべし


与那国に陸自配備検討 防衛省 中国など反発の恐れ

防衛省は一日、陸上自衛隊の部隊を南西諸島の国境にある与那国島に配備する
ことを検討する方針を固めた。同省首脳が明らかにした。日本防衛の重点を旧
ソ連を仮想敵国とした北方から南西諸島に移す配置見直しの一環。年末に決定
する新「防衛計画の大綱」に反映させたい考えだが、周辺には中国が領有権を
主張する尖閣諸島があり、中国の反発も予想される。
沖縄県には現在、那覇に陸上自衛隊第一混成団が置かれている。混成団は島し
ょ防衛を打ち出した現大綱に基づき、本年度末に旅団に格上げされ、約千八百
人から二千百人へ増強される。しかし、与那国など先島地方は沖縄本島から約
五百キロ離れており、部隊配備を検討することとした。
外間守吉・与那国町長は先月三十日、浜田靖一防衛相を訪ね、陸自誘致の要望
書を手渡した。浜田氏は「国境の島である与那国島は国防上も重要」と積極的
に検討する考えを表明。近く与那国町を視察する意向も伝えた。
与那国島への部隊配備は以前も検討されたことがあるが、インフラ面の不備な
どから見送られた経緯がある。また、与那国町は台湾との直接航行で振興を目
指す「国境交流構想」を推進中で、地元には部隊配備で周辺国を刺激し、構想
が停滞すると心配する声もある。

(東京新聞 2009/7/02)


上の地図を参照して頂きたいのですが、与那国島は正に国境の島と
言えます。与那国島から台湾は僅か100km、その一方、沖縄本島は、
500kmの彼方にあります。与那国島に一番近い大都市は、那覇では
なく台北なのです。この様な国境の島に、今まで、自衛隊が配置さ
れてこなかった事が問題です。北海道は勿論ですが、対馬にも、硫
黄島にすら自衛隊は配備されています。与那国島の大きさは、硫黄
島よりも大きいのですから、自衛隊を配備できない理由はありません。

勿論、それ程大きな島ではないですから、対馬警備隊よりも小さな
規模になると思われます。現在の構想では、陸自の部隊を配備する
だけであるようですが、それであれば、精々、中隊規模になるので
はないかと思われます。与那国島の位置関係からすれば、それを行
う意味はあると思いますが、それだけで先島諸島の防衛が完結する
訳ではありません。尖閣諸島を含む先島諸島全体の防衛を考えるの
であれば、寧ろ、下地島にある空港の有効活用を考えるべきです。

下地島空港は、実質民間パイロット専用の訓練空港になっています
が、3000X60mの滑走路という第一級の設備を備えています。
しかしながら、近年では、民間パイロットの訓練へのシュミレータ
利用が拡大しており、利用度は傾向的に低下しています。この為、
現地でも自衛隊の誘致の動きがあったのですが、在日米軍が関心を
示した事もあって、反対運動が起こり誘致決議が撤回されてしまい
ました。

ただ、既に大規模な滑走路が存在しているのは、空自や海自の航空
機運用上は大きな利点です。尖閣諸島有事の際に、この施設を自衛
隊が利用可能か否かで、問題の行方が決まる程の違いが出てきます。
現在の海保だけの対応では、侵入を阻止できない場合に備え、高速
ミサイル艇や、輸送艇、ヘリコプターを備え、陸自部隊と共同で、
尖閣諸島警備を実行する統合運用部隊を下地島に是非設置すべきで
はないかと考えます。

その意味で、空自または海自の基地設置を粘り強く働きかけていく
必要がありますが、その有事の際に陸自は、与那国島にいるという
のでは空自海自との連携が上手く行くとも思われません。
与那国にも国境警備隊は必要ですが、主力は、空自、海自と共に、
下地島にあって機動的に、尖閣列島をサポートするというのが、あ
るべき姿ではないかと考える次第です。


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2009年7月7日火曜日

本格化する日本のソマリア沖海賊対策

※写真は、ソマリア沖でピースボートを護衛する護衛艦DD106「さみだれ」
「大石英司の代替空港」から転載

海賊対策、海自第2次部隊の2護衛艦が出港

アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で、新たに成立した「海賊対処法」に基づい
て活動する海上自衛隊の第2次部隊が6日午後、横須賀と舞鶴の各基地を出港
した。
横須賀基地の「はるさめ」、舞鶴基地の「あまぎり」の護衛艦2隻で、隊員は
計約420人。同法が施行される今月24日頃に現場海域に到着し、第1次部
隊と交代する。
海賊対処法では、警護対象が日本関係船だけだったのが外国船にも拡大され、
海賊船を制止するための船体に向けた銃撃が可能になった。
警護対象の拡大で、近くを航行する商船からの救援要請に対処するケースが増
えるとみられる。

両艦を指揮する在原政夫1等海佐(48)は横須賀基地で記者会見し、「武器
使用の前に海賊の接近を避けられればそれに越したことはない。武器使用基準
を適切に実施したい」と語った。

同基地では6日、浜田防衛相が出港行事で、「任務は大変厳しいが、国の代表
として頑張ってもらいたい」と訓示した。乗員の夫を見送りに来た主婦(30)
は「海賊が増えているようなので心配」と不安そうに話した。

(読売新聞 2009/7/6)


いつもお邪魔している大石英司先生のブログに面白い写真が掲載さ
れていましたので、転載させて頂きます。
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2009/07/post-b71d.html

ピースボートの船であっても、依頼があれば護衛するのが、自衛隊
の使命ではあるとは思いますが、日頃、目の仇にしていた自衛隊に
護衛させ、その上で、感謝のコメントすら発表しなかったピースボ
ートのあり方は、正にサヨクの本質を表したものとしか言い様があ
りません。流石に刑事罰をうけた後ものうのうと議員をやっている
辻元清美が実質オーナーをしているだけの事はあると思います。
厚顔無恥とはこの事と思われてなりません。

なお、この件については、以下に関連のエントリーがありますので
参照して下さい。
「ピースボートも本音は怖かったソマリア海賊」
http://ysaki777.iza.ne.jp/blog/entry/1036135/

さて、マスコミ的には小さな扱いでしかなかったのですが、昨日、
ソマリア海賊対策第2次部隊がソマリアに向け日本を後にしました。
第一次部隊が、自衛隊法に基づく海上警備であった事から、日本関
係船舶の護衛しかできませんでしたが、今回の部隊は、先月24日
に成立した「海賊対処法」に基づき、他国船舶の護衛が漸く可能と
なりました。第一次部隊も、実際には、大音量を発する装置を使用
して海賊を追い払うなど、外国船籍の商船の保護を行ってきました
が、根拠法がなく、実態を明らかにすれば、馬鹿な野党が騒ぎ出し
て、殊更にそれを政局のネタにしようとしていましたので、自衛隊
は、誠に静かにソマリア沖での護衛の任を果たしてきたと言えます。

それに対し、第二次部隊は大手を振って、多国籍部隊の一員として
国際海上交通の安全に寄与できる様になった訳で、誠に慶賀に耐え
ません。ソマリアの現状は、当初、サヨクが主張していた様な、無
政府状態に窮乏化したソマリア漁民の最後のあがきなどではなく、
国際マフィアの資金獲得手段という性格がますます明らかになって
きています。その点でも、自衛隊のソマリアでの空海両面の活動に
期待したいと思います。


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2009年7月6日月曜日

新型スカッド「特に日本に脅威」は本当か?

※画像は、北朝鮮のミサイルの射程範囲の大きさ 防衛白書から転載

【北ミサイル】3発は新型スカッドか 「特に日本に脅威」韓国紙

韓国紙、朝鮮日報は6日、政府筋の話として、北朝鮮が4日に南東部の旗対嶺
から連続発射した弾道ミサイル7発のうち3発は、射程を千キロに伸ばした新
型スカッドとみられると報じた。事実であれば日本の首都圏近くまで届く射程
で、同紙は「特に日本にとって脅威」と指摘している。
同紙によると、短距離のスカッドC(射程約500キロ)改良型と推定されて
いる。日本のほぼ全域を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程約
1300キロ)2発とともに、旗対嶺から約420キロの日本海の同じ水域に
着弾。いずれもわざと短く飛ばしたとみられ、ノドンも精度が向上していると
いう。(共同)

(産経新聞 2009/7/06)

【北ミサイル】命中精度がアップ?

【ソウル=水沼啓子】北朝鮮が4日に発射した弾道ミサイル7発のうち約5発
が、発射台から約450キロ離れた日本海上の同じ地点に着弾していたことが
5日、明らかになった。韓国の聯合ニュースが韓国政府筋の話として伝えたも
ので、誤差が大きいとされていた北朝鮮のミサイルの命中精度が向上している
ことを示している。

同じ地点に着弾したのは、短距離弾道ミサイル「スカッド」(射程300~
500キロ)の改良型と中距離弾道ミサイル「ノドン」(同約1300キロ)
とみられる。発射された7発中3発は飛行速度が極めて速く、ノドンの射程を
短くして発射した可能性が指摘されている。
現在、スカッドは200~300基、日本のほぼ全土を射程に収めるノドンは
約200基が配備済みとみられる。オーストラリアのスミス外相は地元メディ
アに「最大の懸念は(北朝鮮が)射程や精度を向上させていることだ」と述べ、
ピンポイント攻撃には不向きとされてきたスカッドとノドンの性能が改善され
ているとの認識を示した。韓国軍も来年、発射の兆候を探知しにくいスカッド
による攻撃に備え、弾道ミサイル早期警報レーダーを導入する計画だ。
また、聯合ニュースは、4日に発射されたミサイル7発の価格を計3400万
~4600万ドル(約33億~45億円)と推定。北朝鮮が今年発射したミサ
イルの総額は3億4400万ドル(約334億円)を超えるとみられる。

(産経新聞 2009/7/05)


米国では、SCUD-ERという新しいミサイルのコードが付いています
が、北朝鮮が今回発射したミサイルは、射程500キロのスカッドの
射程距離延長型という情報があるようです。実際に飛行した距離は
450kmですから、それを確かめるすべはありません。命中精度が向
上したという話も、北朝鮮が、目標をどこに設定していたのか明ら
かではありませんので、それもどの程度確かなのか不明なのですが、
弾着観測をした韓国が言うのですから、まあ信じる事にしましょう。

では、この射程1000kmのSCUD-ERは、報道の通り、本当に「特に」
日本にとって脅威なのでしょうか?
一般論で言えば、命中精度が向上したり、射程距離が延長される事
は、脅威の増大要素と言えます。しかし、北朝鮮の場合は、今まで
の命中精度が酷すぎたという点が指摘できます。ノドンの場合は、
CEP(半発必中界)は2000m~4000mです。半発必中界というのは、発
射した半分が目標からCEPで示された半径の円内に落ちる(残りは更
に外れる)。という概念ですから、北朝鮮のミサイルの命中精度の
度合いが判ろうというものです。

ちなみにSCUDの方ですが、今までは概ね射程に比例して半発必中界
も広がっており、射程1000kmで計算すると、1400m~2000mになります。
ノドンに比べれば、大分良くなっていますが、それでも、現在の
SRBMとしては、それ程、良好とは言えません。
(ちなみに、米国が1969年に配備を開始したPershing Iミサイルは、
射程、740kmでCEPは150mと言われています。また、これを改良した
Pershing IIは、1984年に配備が開始され、射程1600km、CEPは、30m
という精度を持っていましたが、現在では両方共、既に廃棄されて
います。)

簡単に言えば、北朝鮮のミサイルは、広域目標しか狙えないという
事になります。典型例では都市攻撃には使えるが、例えば、港湾施
設を狙ったり、自衛隊や在日米軍基地、飛行場や原発や製鉄所、工
場をピンポイントで狙ったりするのは不都合という事になります。
それは、ノドンであってもSCUDであっても変わりません。(Pershing
の150mや30mというCEPであれば、それが可能となります。)
命中精度が二倍に向上しても同じです。勿論、核弾頭を装備すれば
多少命中精度が悪くても弾頭威力で、カバーできますが、核弾頭を
使うのであれば、命中精度を向上させる意味がない事いなります。

笑い話の類になってしまいますが、今まではミサイルを迎撃するに
も、どこに飛んでくるのか判らなかったので、狙いをつけるのが困
難であったものが、今度は、ちゃんと目標めがけて飛んでくるので
ミサイル防衛が容易になったとすら言えるかも知れないのです。

それに、上記の記事では、北朝鮮はSCUD200~300基、ノドン200基を
配備済みと書かれていますが、SCUD-ERは、これから数が増えるか、
あるいは、今までのSCUDを改修して再配備する事になります。従っ
て、ある日突然、全てのSCUDが日本に届く様になる訳ではありませ
ん。また、ノドンやSCUD-ERが通常弾頭であるならば、日本に届く
ミサイルの数が200発が300発になっても、それによる損害の増加は
大騒ぎする程のものではありません。命中精度の低い通常弾頭ミサ
イルによる損害の程度は知れています。その一方で、核弾頭装備で
あれば、200発の核弾頭を日本向けに準備しているのであれば、既
にオーバーキル状態であり、それが300発になってもオーバーキル
が変わる訳でもないので、それもあまり意味がないと言える様に思
います。
(例えば、200発の核弾頭で9000万人が死んでいる処へ、100発の核
弾頭を追加して、死者の数を950万人にしても軍事的に見て、あま
り意味のある行為ではないと言う事です。)

従って、今回、北朝鮮のミサイルの精度、射程が向上した事は、北
朝鮮のミサイルセールスの宣伝文句に使うには結構でしょうが、日
本に対する脅威が増加したとパニックになる様な内容では全くない
と言える様に思います。
それよりも寧ろ、中朝国境から釜山や済州島を狙える短距離弾道ミ
サイルが出現したと言う意味の方が大きいと言えるのかも知れません。


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