2010年5月28日金曜日

自分の領土問題認識があやふやなのに、国民の国防意識の無さを嘆く首相とは....

尖閣は「未解決問題」? 首相また落第答弁

27日の全国知事会議では、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)
移設問題で協力を求める鳩山由紀夫首相と知事らの議論がまったくかみ合わな
い場面が目立った。
特に首相は、尖閣諸島の領有権問題をはじめ沖縄県が置かれた安全保障環境や
その歴史に関する“落第答弁”を連発。安保政策に関する首相の不勉強が、普
天間問題迷走の主因といえそうだ。

尖閣諸島をめぐり日中間で衝突が起こった際、日米安全保障条約が発動される
かどうか-。知事会議の席上、東京都の石原慎太郎知事がこんな質問をすると、
首相は次のように答えた。

 「(米国に)確かめる必要がある」

だが、この問題は麻生前政権時代にすでに決着済みの話だ。麻生太郎首相や河
村建夫官房長官が国会答弁や記者会見で、「安保条約は適用される」との米公
式見解を確認したことを明らかにしている。

首相はこうも述べた。「(米国は尖閣諸島の)帰属問題に関しては、日本と中
国の当事者同士でしっかりと議論して、結論を見いだしてもらいたいというこ
とだと理解している」

未解決の問題として、これから中国と話し合うかのような発言だが、政府見解
は「解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」というもの。首相自ら中
国側につけいるすきを見せた格好だ。

また、昭和47年の日本復帰から今年5月15日で38年がたった沖縄県につ
いて、首相は「復帰後27年」と述べた。単純な言い間違いであってほしいが…。

このほか、神奈川県の松沢成文知事から「首相の(防衛)方針が全く見えない」
と指摘されると、首相は「米軍のプレゼンス(存在)を今大きく減らすことが
許される状況ではない」と述べ、最近になって「学べば学ぶにつれ」分かって
きたという「抑止力」論を展開。

ただ、首相は26日夜、平時は米軍は日本に駐留せず有事に駆けつければいい
とする持論「常時駐留なき安保」について記者団に問われ、「封印している」
と述べ、撤回はしない考えを改めて強調している。首相の「抑止力」に関する
本当の認識は不明だ。

知事会の麻生渡会長は会議終了後の記者会見で「(首相は)途中、何を言って
いるのかと思った。そもそも、どんな種類の訓練がどういう事情で必要か分か
らない」と困惑の表情を浮かべた。

(産経新聞 2010/05/27)


「国民は国を守る発想持つべき」 鳩山首相

鳩山由紀夫首相は26日夜、日本の安全保障に関し「この国はこの国の人々で
守るという、すべての国にとって当たり前の発想が今の日本にはない」と危機
感を示した。同時に「それが自然かどうかという発想は国民一人一人が持ち続
けるべきではないか」と指摘した。

記者団が米軍普天間飛行場移設問題に絡めて「(常時)駐留なき安保という考
え方は変わったのか」と質問したのに対し、「その考え方はいま封印している」
とした上で根底の考え方として言及した。官邸で記者団の質問に答えた。

(共同通信 2010/05/26)


普天間移転問題では、解決策として辺野古周辺しかない事に気がつ
いた点で漸く合格点に近づいた鳩山首相ですが、今度は、領土問題
に関して知識が無い事を暴露してしまいました。相手が文句を言え
ば未解決の領土問題になるのでは、その内、対馬も領土問題になっ
てしまうのかも知れません。

日本の立場は、記事にもある通りですが、尖閣諸島の領有権問題に
関しては、中国は尖閣諸島が米国の施政権下にある時には一切、問
題にした事はありませんでしたが、日中平和条約締結交渉中に突然
問題にしてきました。そして、この中国の領有権主張が、尖閣諸島
に海底資源の存在する可能性が明らかになった事と関連していると
いう事は周知の事実になっています。しかしこの日本国内閣総理大
臣殿は、それもご存知無い様です。私には漢字の読み間違いよりも
余程大きな首相の資質に関わる問題だと思いますが、産経新聞以外
のマスゴミは、報道の価値がないと思ったのでしょうか、それとも、
重大な国家機密を漏洩する事を恐れたのでしょうか。

週刊誌によれば、鳩山首相は、北方領土問題の解決も目指している
そうですが、普天間の海兵隊が抑止力の一翼を担っている事を最近
になって理解した首相は領土問題についても、これから勉強するの
かも知れません。ついでですから、北方領土問題で祖父の鳩山一郎
がどんな失敗をしたかについても学んで欲しいものだと思います。

もっとも、鳩山首相の場合、勉強したとしても、どうも一夜漬けの
ものらしく、理解が不十分である様子です。普天間の海兵隊が抑止
力として重要であれば、自分の年来の主張である「駐留なき安保」
は成立しないという矛盾にはどうも気がついていない様です。それ
とも首相お得意の金星辺りのオペレーションリサーチでは、矛盾し
ないのかも知れませんが...。

また、そういう認識の甘さは横において、「この国はこの国の人々
で守るという、すべての国にとって当たり前の発想が今の日本には
ない」という危機感は立派なもんだと思います。しかし、凡人には
その発想は「日本は日本人のものではない」という過去の発言と矛
盾する様にも聞こえてしまうのです。あるいは、日本に住む外国人
に国防の義務を担ってもらい日本人はそれを見習えという首相の高
度な政治的判断なのでしょうか。それとも、「日本は日本人だけの
ものではないけれど、日本を守るのは日本人だけ」なのでしょうか。
いずれにせよ非常に興味深い認識であると思います。ただ、問題な
のは、これが政治学上の問題というより心理学上あるいは、精神病
理上の問題なのかもしれないという事です。

我々は、この首相の下で、これからもやっていけるのかどうか、
7月の参議院議員選挙で明らかにする必要があると思うのです。


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2010年5月27日木曜日

手作り衛星は元々難しい。失敗を恐れずチャレンジを

金星探査機「あかつき」:相乗りの衛星3個所在不明

21日に鹿児島県種子島から金星探査機「あかつき」とともに打ち上げられた
相乗り小型衛星4個のうち、鹿児島大の「KSAT」など3個が所在不明にな
っていることが26日、宇宙開発委員会への連絡で分かった。不明なのはKSAT
のほか、全国22の大学と高専が参加した「UNITEC-1(しんえん)」、
早稲田大の「WASEDASAT2」の2個。残る創価大の「Negai☆」
は電波が受信できている。

(毎日新聞 2010/05/21)

今回、金星探査機「あかつき」、小型ソーラー電力セイル実証機
「イカロス」と同時に打ち上げられたピギーパック(相乗り)衛星は、
4個ありますが、その内、創価大の製作した「Negai☆」を除
く三個が地上局との交信が出来ず、行方不明になっています。

この内、大学、高専連合の「UNITEC-1」は、5月21日に
は、交信できていましたが、22日午前3時以降は、交信できてい
ない状況です。同じく、鹿児島大学の「KSAT」も21日に一旦
交信できていましたが、その後は、交信出来ていません。早稲田大
の「WASEDASAT2」に至っては、打ち上げ以降は、交信が
できない状況が続いています。

創価大学の「Negai☆」については、27日まで連続で受信さ
れていますが、一回当りの交信時間は数分から十数分となっています。
「KSAT」や「WASEDASAT2」についても、軌道はほぼ
同じですから、交信チャンスは、ほぼ同じであると考えられます。

それに対して、「UNITEC-1」は金星への軌道を飛行してい
ますので、交信チャンスは一日一回になります。先行する「あかつ
き」の運用報告を見ていますと、既に、地球からの距離は、200
万キロ以上になっています。

ピギーパック衛星が行方不明になりがちなのは、衛星がそもそも小
さいので、衛星が発信できる電波の強度が低い事があげられます。
また、受信局側も、例えば「あかつき」の場合、直径64mのパラ
ボラアンテナを持つ臼田宇宙空間観測所や同じく直径30mと20
mのパラボラアンテナを持つ内之浦宇宙空間観測所で交信を行って
います。

それに比べ、例えば、今回、UNITEC-1用に、大学、高専連
合が準備できたのは、九州大学に設置した2.4mのパラボラアン
テナでしかありません。2.4mと30mのパラボラアンテナでの
受信できる電波の強度は、156倍もの違いがあります。従って、
受信そのものが大変という事になります。

また、地球低軌道を周回する場合は、上記の交信、受信出力の問題
の他、一度の交信チャンスに交信できる時間が短いという難点があ
ります。例えば、「Negai☆」は一日に地球を16回周回しま
す。これは地球一周に1.5時間しかかからない事です。その分、
日本から見て、衛星は、見えたと思うとあっという間に見えなくな
ってしまう事を意味します。

今回、唯一継続して交信に成功している創価大の場合、大学内のみ
ならず、石垣島や八丈島にも通信局を設置し、交信可能時間を長く
している事が成功につながっている様に思われます。

もともとピーギーパック衛星のさきがけとなった缶サット(Cansat)
は、コーラ缶の大きさの「超小型衛星模型の設計・製作・運用を学
生自身が行うことで衛星開発に必要な知識と技術を獲得する事」を
目的としていました。打ち上げも模型ロケットを使用し、軌道に乗
せるなど夢物語でした。それが、キューブサットに発展し、実際に
軌道に乗せる処まで、発展して来た訳です。元々、衛星の設計、製
作、打ち上げ、運用を学生に経験させる事によって、宇宙技術の基
盤をより広いものにする事が目的である訳ですから、成功するかし
ないかは、二の次と言って良いとすら言えます。

今回交信に失敗したチームも成果に良否に拘らず、是非再度の打ち
上げに挑戦して欲しいものだと思います。

以前に、ピギーパック衛星の失敗を取り上げて、打ち上げ失敗と報
道した新聞社がありましたが、「あかつき」打ち上げにとっては、
ピギーパック衛星は、「おもり」の位置付けしかありません。マス
コミも、ピギーパック衛星の失敗を大きく取り上げすぎない様にし
て欲しいものだと思います。


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2010年5月26日水曜日

韓国哨戒艦撃沈事件 北朝鮮の戦闘態勢は、どこまで本物か?

金総書記が戦闘態勢指示 米韓合同演習で牽制へ

北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈事件をめぐって、韓国の脱北者団体「NK知識人
連帯」は、金正日(キムジヨンイル)総書記(69)が全軍や人民保安省に万
全の戦闘態勢に入るよう指示したとの情報を明らかにした。一方、米国防総省
は24日、北朝鮮の潜水艦探知や海上封鎖を目的とする米韓両軍の軍事演習を
近く実施する方針を明らかにした。バラク・オバマ米大統領(48)はこの日、
北朝鮮政策の見直しを関係省庁に指示、金融制裁の強化やテロ支援国への再指
定など、独自の制裁措置発動について検討する方針を示した。

■「宣戦布告に当たる」

国防総省が韓国軍と合同で実施すると表明したのは、対潜水艦軍事演習と、大
量破壊兵器拡散防止構想(PSI)に基づく海上封鎖訓練。韓国が昨年5月、
PSIへの全面参加を表明した際、北朝鮮は「宣戦布告に当たる」と反発して
おり、緊張が一段と高まりそうだ。

米韓両軍の連携をめぐっては、ホワイトハウスが24日未明、オバマ大統領が
北朝鮮の攻撃に備え、韓国軍との協調を米軍に指示したことなどを柱とする声
明を発表した。

国防総省のブライアン・ホイットマン報道官はロイター通信に対し、2012
年に米国から韓国への移管が予定されている朝鮮半島有事の際の作戦指揮権に
ついて、「まだ決定事項ではない」などと述べ、北朝鮮を牽制(けんせい)した。

米国政府は2008年10月に北朝鮮のテロ支援国指定を解除したが、「テロ
対策に協力不十分な国家」の指定は継続し、北朝鮮企業との商取引を禁じるな
どの経済制裁を続けている。

■主敵の概念復活

オバマ政権は国務省や財務省などに、北朝鮮の企業や個人に対する現行制裁の
実効性を洗い直し、さらなる金融制裁の強化に向けた制裁リストの追加を検討
する方針とみられる。

オバマ政権は、韓国政府が表明した国連安全保障理事会への問題提起を全面的
に支援しながら、北朝鮮を揺さぶる効果的な対抗策を模索していく意向だ。

一方、北朝鮮と韓国の南北軍事実務会談の北朝鮮代表は25日、韓国海軍の艦
艇などが黄海の南北境界水域で北朝鮮水域を侵犯する挑発行為を続けていると
主張、「侵犯行為が続くなら、われわれの領海を守るための軍事的措置が実行
される」との通知文を韓国側に送付した。

また、韓国の聯合ニュースはこの日、韓国政府が北朝鮮を国防上の「主敵」と
する概念を復活させる方針を固めたと報じた。政府当局者の話として伝えた。

韓国政府は1995年から国防白書で「北韓(北朝鮮)は主敵」と表現してき
たが、対北朝鮮「包容政策」を取った盧武鉉(ノムヒヨン)前政権時代、公表
する文書で「主敵」と明記するのは避けることにし、2005年に刊行された
04年版の国防白書から「主敵」の記述を削除していた。

(産経新聞 2010/05/26)


韓国の李明博政権の制裁発表に対し、北朝鮮は、南北関係の断絶を
宣言するなどエスカレーションを始めました。

北朝鮮の交渉戦術は、いつもそうですが、自分から緊張関係を高め
る行為を行い、その立場を変更させる為に譲歩を求めるというもの
です。これが上手くいくと、自分の立場を聊かも損ねる事なく相手
側の譲歩を引き出せます。

これが一番成功した例としては、ブッシュ政権のテロ支援国指定解
除があげられると思います。米国が北朝鮮に手玉に取られた一例で
すが、それが外交上の大失敗と米国のオバマ政権の反省材料になっ
ているのですから、短期的な成功事例ではあっても、長期的な成功
事例とは言えないのかも知れません。

さて、例の如く、北朝鮮は、韓国との関係を断絶した上で、上の記
事によれば、戦闘態勢に入る様、金正日が指示を出した様ですが、
どこまで本当なのでしょか。

軍事用語では戦争準備に入る事を動員(Mobilization)と言います。
動員によって軍隊は平時編制から軍時編制に移行します。欠員は召
集され、武器庫は開かれて武器弾薬が配布され、いつでも戦争に移
れる様に準備します。この兵員の召集と軍需物資の配布は、大変な
量の輸送需要を発生させますので国内の交通機関は、全て軍用に利
用される様になります。

北朝鮮は、もともと、動員を行わなくても、完全に兵員が充足され
ていると言われていましたが、実際には、農繁期の応援や施設の建
設に転用されており、実際の動員が行われれば、大量の人員や物資
の移動が発生する上、この移動コストは唯でさえ弱体化している北
朝鮮の経済的な苦境を倍化させる事は確実です。

今回の戦闘態勢の指示が本物かどうかは、北朝鮮の交通機関の動き
を観察するだけで明らかになる筈であり、そういう事実があれば、
即座に報道対象になると考えられます。

私は、北朝鮮の強硬な反応は外交的なポーズ(ブラフ)であると考え
ていますが、そう言い切れない一面もあります。それは、北朝鮮が
南北の関係断絶は、開城工業団地にも及ぶと言った点です。
北朝鮮は、開城工業団地から毎年40億円に相当する外貨収入を得
ていると言いますから、これを失う事は、非常に痛手になる筈です。
李明博政権も、インパクトの大きさから、これを制裁の通商関係断
絶の対象から外した程なのです。

その様な犠牲を払っても、金正日が強攻策をとってきたのは、今回
の一連の動きに政治的に重要な事項が絡んでいると考えられます。
例えば、金正日、金ジョンウンの権力継承に関係があるのかも知れ
ません。

その意味で、金正日がどこまでエスカレーションを計画しているの
か、単に軍事面のみならず、人的、物的な移動を含む各種の情報を
総合して冷静に判断したいものだと思います。

2010/5/26追記
北朝鮮の発表した開城工業団地関連の措置は、「南北経済協力協議事務所の凍
結・閉鎖および南側関係者の全員追放」で、開城工業団地の閉鎖ではありませ
んでした。やはり北朝鮮はへたれてますね。


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2010年5月25日火曜日

韓国哨戒艦撃沈事件 北は韓国側の宣伝放送再開に報復するか?

軍、北「拡声器照準撃破」→金泰栄長官「自衛権発動」

金泰栄(キム・テヨン)国防省長官は24日、国防部が対北心理戦を再開する
と発表したことについて、北朝鮮軍が拡声器などを照準撃破射撃するとして挑
発した場合、自衛権を発動して直ちに対応するという立場を明らかにした。

国防部はこの日2004年6月15日に中断した対北FM放送である「自由の
声」を6年ぶりに再開した。また25日から対北チラシを風船につけ、北朝鮮
地域に放す予定だ。

北朝鮮人民軍前線中部地区司令官はこれに対し「拡声器のような心理戦の手段
を新たに設置する場合、それをつぶすための直接照準撃破射撃が開始される」
と脅やかした。

(中央日報 2010/05/25)



いつもながら大口を叩く北朝鮮ですが、韓国が今回の事件の報復の
一環として行う、国境地区での拡声器による宣伝放送の再開に対し
拡声器を照準射撃し撃破すると脅しをかけています。

北朝鮮のいつもの手ですが、韓国の出方に脅しをかけて、韓国の対
応策を縛ろうという訳です。ただ、このタイミングで、韓国側が報
復を控える事は政治的にできません。統一地方選挙が近いので、こ
こで報復(注)を延期したり緩和する事は、李明博大統領が漸く打ち
出した対北強行政策が腰砕けである事を示す事になり、世論の離反
を招いてしまいます。

(注)韓国は哨戒艦沈没に関して、以下の7項目の制裁を
行うとしています。
・開城工業団地を除く南北経済協力事業と北朝鮮との交
流を全面的に中断する
・北朝鮮の攻撃への自衛権の発動
・北朝鮮への心理戦を再開
・北朝鮮商船の韓国海域の航行禁止
・韓米の対潜水艦演習
・PSI演習の強化
・国連安保理での協議

一方、野党民主党は、今回の哨戒艦撃沈事件に関して、事件発生以
来、終始、北朝鮮を非難する事を避け、事件発生の責任を李明博政
権の対北政策の誤りを指摘するだけでした。ここへ来て、民軍調査
委員会の結果を受けて、漸く、対北非難の声を上げる様になりまし
たが韓国国民の目からみれば民主党のへたれぶりは全く容認できな
いと言う事になります。

李明博政権とすれば、ここは強攻策をちらつかせていれば、北朝鮮
からの攻撃があっても、民主党との比較で黙っていても、選挙戦の
勝利が得られ、政権基盤を強化できるのですから、弱腰の対応を取
る理由は全くないと言えます。

それでは、北朝鮮は、拡声器に対する報復を行わないのでしょうか?
もし、拡声器に対する照準射撃を行わなければ、今度は、北朝鮮が
実際には、弱腰である事を認める事になってしまい、韓国が、安心
して制裁実施を行える様になってしまいます。そうなっては、折角
細心の注意をはらって実施した哨戒艦撃沈が、薮蛇の結果を招く事
になります。

北朝鮮側は、金正日の威信を守る為にも、弱みを見せられません。
幸い、韓国側のリアクションは予想可能です。攻撃を受けたとして
も、北朝鮮以上にやり返す事は控えるであろう事が予想できます。
つまり、韓国が北側に対して砲撃を返すとしても同程度であると期
待できます。北側からすれば、その程度であれば、国内の体制引き
締めにも有効である上、中国への言い訳や援助の引き出し用に使え
ると考えるかも知れません。現時点に限って言えば、南北双方とも
に砲撃を交換する程度の限定したエスカレーションは好ましいとす
ら言えます。

その様な観点からすれば、今後、南北朝鮮の間で、限定的な砲火の
交換が行われる可能性が大いにあると考えるべきであり、その様な
事態が発生しても、我が国としては、右往左往する事なく、冷静に
対処すべきであろうと思われるのです。


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2010年5月24日月曜日

民主党政権の生煮え政策 つけは、結局、税金に!

鳩山首相「辺野古付近にお願いせざるを得ない」普天間飛行場代替地で

鳩山由紀夫首相は23日午前、沖縄県の仲井真弘多知事と会談し、米軍普天間
飛行場(同県宜野湾市)移設問題について「国内および日米の間で協議を重ね
た結果、普天間飛行場の代替地そのものは沖縄県内に、より具体的に申し上げ
れば、名護市辺野古付近にお願いせざるを得ないという結論に至った」と述べた。

(産経新聞 2010/05/24)

自民党が10年以上の時間をかけ地元対策を行い、地元民、市、県、
米軍の合意を取って進めていた普天間基地移設を、党利党略から、
蹴飛ばし「最低でも県外」と地元の期待を高めるだけ高めた後、や
はり駄目でしたと言えば、非難されるのは当たり前です。

民主党の政策には、本当にこういった実効の伴わない生煮え政策が
多く、所要費用の割に、効果が疑問なものが多い様に思われてなり
ません。

多国籍のアフガニスタン支援策として年間数十億円の負担でインド
洋で行っていたテロ対策の給油活動を停止し、その代わりに5000
億円もかけてアフガニスタンの民政支援を行う事になりましたが、
汗をかかずに金で解決するのかと現地での評判が悪い事は、ご承知
の通りです。子ども手当も、外国にいる外国人の子供にもお金を出
すなど、効果の割には、巨額の費用を要する悪政以外の何者でもあ
りません。税金ではなく、赤字国債で賄われているので、判らない
だけで、いずれその返済は増税で賄われなければならないのです。

今回の普天間問題でも、恐らくは、自民党案通りに進めていたもの
に比べると時間もお金も余計にかかる事は確実です。自民党案に反
対していたのは、知事一人だけでした。埋め立ての認可さえでれば
埋め立てが開始できる状態でした。名護市の市長も地元も了解して
いたのです。当然、地元振興費として費用はかかりますが、それも
既に決着していたのです。

それに対し、民主党と鳩山首相が、基地県外移転の期待度をあげて
しまった為に、元の案に戻す為だけに、巨額の費用を要する事にな
ります。辺野古の地元は今でも移転賛成が多い様ですが、名護市の
市長は反対派に変わっています。反対派の市長を納得させるには、
誠意の他は、お金しかありません。

地元の気持ちをお金で買うのかという議論もありますが、成田空港
の例を見ても判りますが、日本の現在の体制では強権など振るう事
は不可能です。そうであれば、国が意思貫徹の為に使えるものは、
継続的な説得とその誠意の裏づけとしてのお金しかないのです。

沖縄で、今まで想定していた以上の資金を更に費やして、地元の説
得を行わないといけません。埋め立て工事も、コストがかかる方法
で施工する事で地元の企業に資金を回さないといけません。沖縄の
負担を減らす為に、訓練の一部を本土で実施する場合も、実施する
場所の自治体に資金援助を行う事で誠意を見せないといけません。
政策の実行を真面目に非効率に行うという奇妙な光景が沖縄で具現
化する事になります。これが太田中将の希望した沖縄への「ご高配」
なのでしょうか?ごね得以外の何者でもない、沖縄の倫理を破壊す
る愚劣な政策としか思えないのです。

更に、こういう事ばかりやっていれば、お金はいくらあっても足り
ない事は明白です。自民党内閣は、リーマンショック後の特殊な一
時期の対応として、巨額の財政赤字を許容しましたが、民主党内閣
は、選挙の票を得る為に、巨額のばら撒きを継続的に実施するつも
りです。この手の政策は戸別所得補償制度の創設や温暖化ガス対策
などでますます拡大する見込みです。民主党があと3年政権を担っ
た後で、何が残るのか、それが国民が政府から資金を引き出す事や
あるいは首相に倣って脱税にのみ、汲々とする荒涼とした景色で無
い事を祈るのみです。


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