2009年6月12日金曜日

「弾道ミサイル及び巡航ミサイルの脅威」(上)


米国国立航空宇宙情報センター(NASIC)から「弾道ミサイル及び巡航ミサイルの
脅威」の新版が発表されましたので、ご紹介します。
弾道ミサイル及び巡航ミサイルについての動向が非常に完結に、且つ、素人に
も判り易く説明してあると思います。英語も平易で写真や図も豊富ですので、
原本にもあたられる事をお勧めします。
http://www.fas.org/irp/threat/missile/naic/NASIC2009.pdf


国立航空宇宙情報センター(NASIC)
ライト・パターソン空軍基地
NASIC-1031-0985-09

BALLISTIC AND CRUISE MISSILE THREAT
  弾道ミサイル及び巡航ミサイルの脅威

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TABLE OF CONTENTS(目次)
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Key Findings(主要な発見)
Threat History(脅威の歴史)
Warheads and Targets(弾道と目標)
Ballistic Missiles(弾道ミサイル)
Short-Range Ballistic Missiles(短距離弾道ミサイル)
Medium-Range andIntermediate-Range Ballistic Missiles(中距離及び準中距離弾道ミサイル)
Intercontinental Ballistic Missiles(大陸間弾道弾)
Submarine-Launched Ballistic Missiles(潜水艦発射弾道ミサイル)
Land-Attack Cruise Missiles(陸上攻撃巡航ミサイル)
Summary(要約)

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Key Findings(主要な発見)
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多くの国で、弾道ミサイルや巡航ミサイルシステムは費用対効果の高い兵器で
あり、国力のシンボルであるとみなされている。それに加えて、それらは合衆
国の空軍力に対して非対称な脅威を与えている。

多くの弾道ミサイルや巡航ミサイルシステムは大量破壊兵器を装備している。

北朝鮮は、ICBM(大陸間弾道弾)として開発された場合には、核弾頭を装備し米
国に到達可能なTD-2(テポドン2)の開発を継続している。また、中距離弾道弾
(IRBM)と、新しい固体燃料短距離弾道ミサイルも開発されている。

イランは、Shahab 3(シャハブ3)準中距離弾道ミサイル(MRBM)を改造し、射
程距離と有効性を拡張し、より射程距離の長いミサイル開発に向けた技術と能
力を高めている。2008年には、イランは二段式固体燃料MRBMの発射実験を行っ
た。2008年後半から2009年前半にかけ、イランは長距離弾道ミサイル技術のた
たき台として用いることができる多段式人工衛星打上ロケット(SLV)を発射
した。十分な外国からの援助が得られれば、イランは、2015年までには合衆国
に到達するICBMを開発し、テストすることができると思われる。

中国は、世界で最も活発で多様な弾道ミサイル開発計画を保有している。
中国は攻撃用ミサイルの開発とテストを行っており、新たなミサイル部隊を編
成し、特定のミサイルシステムの質的改善を図っており、また、弾道ミサイル
防衛網への対抗手段を開発している。
中国の弾道ミサイルは、ミサイルの数とタイプの両面で拡大している。
CSS-10 Mod 1(DF-31)とCSS-10 Mod 2(DF-31A)の両ICBMが追加されると共
に、台湾周辺で新しい戦域ミサイルの配備が続いている。
新しいJL-2潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も、開発中となっている。
将来のICBMは、恐らく、MIRV(複数個別誘導再突入体)を装備するものが含まれ、
合衆国に到達できる核弾頭の数は、15年以内に100個を上回るものに拡大する
に違いない。

インドとパキスタンは、新しい短距離と長距離の弾道ミサイルを開発し続けて
いる。パキスタンは2004年以降6回に亘って固体燃料のShaheen 2(シャヒーン2)
MRBMをテストした。そして、インドは2006年以降3回、新しい固体燃料推進の
Agni III(アグニ3)IRBMをテストした。インドによれば、固体燃料のAgni II
(アグニ2)MRBMの配備準備が完了している。

ロシアは、引き続き2000個を上回る核弾頭を合衆国に到達可能なミサイルに配
備している。ロシアの戦略ロケット軍は、軍備管理による制限と資源の不足に
より数的には縮小しているものの、新しいICBMとSLBMシステムの開発が進めら
れており、ロシアは合衆国外では、最大の戦略弾道ミサイル戦力を保有してい
る。

陸上攻撃巡航ミサイルは (LACMs)は、軍事作戦に大きな脅威を与えることがで
きる非常に効果的な兵器システムである。
少なく共、10年以内に海外の九ヶ国がLACMの生産に携わる事になると予想さ
れ、多くのミサイルが輸出可能になると見込まれている。

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THREAT HISTORY(脅威の歴史)
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合衆国とその領域に関してと同様に、弾道ミサイル及び巡航ミサイルは、海外
における米国と同盟国の軍隊に対しても、重大な脅威となる。
有人の航空機での攻撃が非現実的であるか、あまりに高くつくような恐るべき
防空システムを保有する敵に対しても効果的に使用することができるので、ミ
サイルは多くの国にとって魅力的である。
それに加え、ミサイルは、抑止や強制の道具としても使うことができる。ミサ
イルは、有人の航空機に対して、保守や訓練、補給に関する要求でも有利さを
持つ。少数の使用であってもミサイルは、破壊的でありえる。何故なら、ミサ
イルは化学兵器、生物兵器、核兵器を弾頭に装備する事ができるからである。
弾道ミサイルと巡航ミサイルの脅威はミサイル技術の拡散により継続的に増加
している。20ヶ国以上が弾道ミサイルシステムを保有しており、ミサイルは、
合衆国の軍隊が関与する将来の紛争でも脅威となる。
弾道ミサイルは過去25年の間、イラン・イラク戦争、アフガニスタン内戦、
イエメン内戦、1991年と2003年のペルシア湾紛争、チチェンとグルジアでのロ
シアの軍事行動と言ったいくつかの紛争で使われている。
LACMは、拡散が広まっているとは言えないが、今後10年で、20ヶ国が保有す
る事になると思われる。

合衆国空軍は、他の軍とも共同で、弾道ミサイルと巡航ミサイルの脅威に対し
抑止や、必要に応じて、活発な抑制を通して対処する役割を持っている。
この脅威の抑制には、発射前や飛行中のミサイルシステムへの攻撃や、支援イ
ンフラへの攻撃が含まれる。この文書には、現存及び計画中の主要な海外の弾
道ミサイル及び巡航ミサイルの情報が含まれている。
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誘導された巡航ミサイルと弾道ミサイルは、第二次大戦中にV-1号巡航ミサ
イル及びV-2号弾道ミサイルとしてドイツによって、英国及び北部ヨーロッ
パを目標とする攻撃に初めて用いられた。これらのミサイルは不正確だったが、
その使用により数万人もの連合国側の犠牲者が出た。
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WARHEADS AND TARGETS(弾頭と目標)
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弾道ミサイル及び巡航ミサイルは、通常弾頭あるいは非通常弾頭を装備する事
ができる。通常弾頭は(例えばTNTの様な)化学爆薬で満たされており、爆薬と
結果として生じる金属ケースの破片の爆発を致死のメカニズムとしている。
非通常弾頭には、大量破壊兵器(核・生物・化学兵器)が含まれると共に、致死
性ではない弾頭、比較的新しい種類の兵器で人を殺傷するよりも武器を使用不
能とするよう設計されたものが同様に含まれている。
通常弾頭と、生物、化学兵器は、単一の弾頭、あるいは、子弾頭(広い地域に
散らばる様、高度をとって発射される複数の小さな小型爆弾)として成形され
ている。

通常弾頭は、特定の種類の目標のために最適化することができる。例えば、子
弾頭は飛行場の滑走路にクレーターを作ったり、装甲車両を破壊するのに用い
られる。貫通弾頭は、比較的少量の爆薬をぶ厚い金属ケースに覆った形で使わ
れるが、バンカーといった強化構造物を貫通する事ができ、内部を破壊する。

多くの長距離弾道ミサイルや、いくつかのタイプのLACMは、核弾頭を装備する。
これらの弾頭の殆どは、第二次大戦中に使用された原子爆弾と比べ、数十倍か
ら数百倍の爆発力を持っている。化学兵器と生物兵器は、多くの第三世界諸国
にとって魅力的であろう。何故なら、核兵器に比べ容易に製造する事ができる
為である。化学兵器と生物兵器戦争のプログラムを持つ多くの国は、弾道ミサ
イル及び巡航ミサイルを保有している。これらの兵器を都市部や軍事基地の集
中した地域に使用する場合は正確性はあまり重要ではない。
化学・生物兵器は、大量の犠牲者を作り出し、民間人をパニックと混乱に誘導
し、軍事作戦の遂行能力を深刻に低下させることができる。

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BALLISTIC MISSILES(弾道ミサイル)
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作戦可能な弾道ミサイルは、サイロや潜水艦や陸上を移動する発射台に配備さ
れている。移動式のミサイルは、隠すことができ、それにより生存性を大幅に
高める事ができるので、多くの国で好まれている。
多くの短距離弾道ミサイルでは、弾頭が爆発するまで、ミサイルの形状はその
ままである。長距離弾道ミサイルでは、弾頭は分離された再突入体に含まれる。
いくつかの長距離弾道ミサイルは、MIRV(複数個別誘導再突入体)を装備してお
り、ミサイル一基につき10個程度の再突入体(RV)が備えられている。再突入体
は、地球の大気圏に、ICBMの場合、一秒間に4~5マイルという非常な高速で
再突入する。
弾道ミサイルは、固体燃料または液体燃料がロケットの推進システムとして用
いられる。近代的なミサイルシステムは、補給面での要請と運用の単純の為に、
固体燃料が使用される傾向にある。しかしながら、いくつかの第三世界諸国で
は、液体燃料技術を入手するのがより容易である事から、新しい液体燃料ミサ
イルの開発が続けられている。



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2009年6月11日木曜日

北朝鮮の肩を持つ事で自分の首を絞める中ロ

※写真は国連安全保障理事会

北核実験 7カ国が制裁決議案に合意、週内採択へ

2度目の核実験を強行した北朝鮮への対応を協議していた国連安全保障理事会
常任理事国5カ国と日本、韓国の7カ国は10日、北朝鮮に対する非難と制裁
措置を盛り込んだ決議案で合意に達した。7カ国は、引き続き同日午前に招集
された安保理の非公式協議にこの合意案を提示、週内の決議案採択を目指す。

決議を採択する見通しがついたことで、国際社会は北朝鮮の挑発行為について
厳しい姿勢を示したかたちだ。しかし、核実験実施から決議の採択まで3週間
近くもの時間を費やしたことは、北朝鮮をめぐる国際社会の思惑の違いをも浮
き彫りにすることにもなった。

協議は、強い制裁措置を主張していた日米が、慎重な対応を求める中国に配慮
を示した結果、9日の時点で双方が合意した。ただ、ロシアが細部でさらなる
調整を求めた結果、10日の大使級会合で7カ国が最終的に合意に達した。

合意内容の詳細は明らかになっていないが、強い制裁措置を求めていた当初の
日米案からは、北朝鮮の暴発を恐れ慎重な対応を求める中国に配慮するかたち
で、後退した内容になったとみられる。焦点となっていた北朝鮮に出入りする
船舶に対する貨物検査(臨検)では、日米が求めていた各国への自国領内での
臨検実施義務化が見送られるもようだ。

一方で北朝鮮はすでに、決議が採択されれば「強硬な非常措置をとる」と警告
しており、さらなる長距離ミサイルの発射などの動きも見せている。国連外交
筋は、長距離ミサイル発射の場合は再び安保理緊急会合が招集されるとしてお
り、北朝鮮情勢をめぐっては引き続き、緊迫したやりとりが国連を舞台に続く
ことになりそうだ。
(産経新聞 2009/6/10)


以前にも、述べている事ですが、大事な事なので、繰り返します。
今回の安保理協議で一番おかしいのが、中ソが北朝鮮の肩を持ち、
結果的に北朝鮮の核保有国化に手を貸してしまっている点です。

もし、北朝鮮が核保有国としてのステータスを得る事ができたとし
て、それは何を意味するのでしょうか。それは核拡散防止条約(NPT)
を批准した国であっても、北朝鮮の様に上手く立ち回れば、国際社
会は、核保有を認めるという事です。

現在、五大国(P5)以外に、インド、パキスタン、イスラエルという
事実上の核保有国がありますが、これらの三ヶ国は元々NPTを批准
していませんでした。つまり核を保有する意思を隠しておらず、そ
れによる不自由を甘受した上で核保有を実現したと言えます。
しかし北朝鮮はちがいます。NPTを批准する事で、NTP批准国は、
IAEAを通じて原子力平和利用に関する情報へのアクセスが許容され
ます。北朝鮮は、そこで得た情報に、パキスタンのカーン博士の核
の裏ネットワークを通じた技術情報と資材によって、核保有を実現
したのです。

パキスタンの核開発は、カーン博士の核の裏ネットワークを作り出
しましたが、北朝鮮が核保有に成功すれば、イラン、シリアが後に
続く事は目に見えています。そうなると、第二第三のカーン博士や
裏ネットワークが出現しておかしくありません。一部の報道によれ
ば、北朝鮮は、「米国を嫌っている国」への核拡散の意図があると
伝えられています。北朝鮮は、現在でさえ、ニセ札、覚醒剤、ニセ
タバコ、武器等の非合法製品の輸出に手を染めているとされていま
す。既に地下組織への販売ルートは整っており、今度は、核兵器も
製品リストに加わる事になります。

米国にとっては、許しがたい事でしょうが、これは同時に中ソにと
っても許しがたい事態である筈です。中ロ両国はある種の「帝国」
であり、国内に少数民族問題や民族紛争を抱えています。北朝鮮や
その他のならずもの国家やテロ組織から、中ソの現政権に反対する
勢力に核兵器が流れないという保証はどこにもなく、中ロ両国が、
反対勢力を厳しく弾圧する抑圧体制を敷いているだけに、それに対
する反対派も先鋭化していると言えます。それだけに非政府組織に
よる核使用の可能性は、米国に対するより、中ロの方がより高いと
すら言えるのです。

これに加え、現在のNPT体制下で、中ロは持てる国としての特権を
認められています。しかしながら、北朝鮮に続く国が増加する事で
核保有国の特権が空洞化する事になり、最終的には、特権そのもの
に意味がなくなる事になります。そして、現在の国連常任理事国が
全て核保有国である事に見られる様に、核兵器を保有する事による
非核保有国に対し軍事的にもっていた絶対的な優位が、核の保有量
の違いという相対的な優位に転化してしまう事にもなりかねないの
です。
総合国力で考えれば、米、英、仏は、経済的にも高い国力がありま
すが、中、ロは軍事力がその総合国力に占める割合が高いだけに
NPT体制の崩壊による影響はより深いと言えます。

以上の二点から考えても、中ロが今回の安保決議で北朝鮮への強い
制裁決議を回避した事は、まさに天に唾する行為であるとしか言え
ない様に思われてなりません。


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2009年6月10日水曜日

北朝鮮はこのところ、何を主張しているのか?

※写真は、産経新聞サイトより転載

テポドン発射から核実験まで、密度の濃い期間の電波浴をお楽しみ
下さい。当初は人工衛星発射と言っていたのが、核実験後はミサイ
ル発射と言っているのが、ご愛嬌です。(ミサイル発射というのが
短距離ミサイルの事であれば別ですが...)

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【盧前大統領死亡】「自殺は計画的政治虐殺だ」 北の対韓機関

北朝鮮の対韓国窓口機関「祖国平和統一委員会」は9日、韓国の盧武鉉前大統
領の自殺について「米国と、南朝鮮(韓国)の親米・保守勢力による計画的な
政治テロ、政治虐殺だ」と文書で主張した。朝鮮中央通信が伝えた。
北朝鮮メディアが盧氏の自殺を「政治テロ」と断言、米国非難と関連づけて報
道したのは初めて。(共同)
(産経新聞 2009/6/10)
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北朝鮮:挑発行為受ければ核兵器行使と警告-AP通信

AP通信は9日、北朝鮮が挑発行為を受ければ核兵器行使を伴う「容赦ない攻
撃」を実施すると表明したと報じた。
(Bloonberg 2009/6/9)
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【北核実験】「決して見過ごせない」 北朝鮮が日本の制裁強化に警告

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は8日、日本が北朝鮮の2回目の核実
験実施を契機に単独制裁の強化を検討していることを「決して見過ごせない」
と非難、「強力な対応措置が伴うことを警告する」との論評を掲載した。朝鮮
中央通信が伝えた。
論評はまた「われわれの核実験やミサイル発射は正当防衛措置」「核実験は朝
鮮半島やアジア、世界の平和に寄与」などと主張した。(共同)
(産経新聞 2009/6/9)
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「全面戦争は時間の問題」 北朝鮮紙、韓国に警告

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は6日、韓国が米国主導の大量破壊兵
器拡散防止構想(PSI)への全面参加を決めたことについて「われわれの自
主権への挑戦で売国行為」と非難、「PSI参加が武力衝突と全面戦争へとつ
ながるのは時間の問題だ」と警告する論評を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。
北朝鮮は今年2月にも、同通信の論評で「物理的衝突だけが時間の問題として
残っている」と韓国をけん制したことがあるが、今回は「全面戦争」まで言及
し韓国のPSI参加に強い反発を示した。
この日の論評はまた、「無分別な挑戦には強力な報復で立ち向かうのが、われ
われの革命的気質であり、想像もできない報復打撃で残るのは灰だけだ」と強
調した。(共同)
(産経新聞 2009/6/6)
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【盧前大統領死亡】「李明博政権が追い詰めた」 北朝鮮紙が非難

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は5日、韓国の盧武鉉前大統領の自殺
に関連し、李明博政権が盧氏を「心理的に圧迫して死に追いやった」と非難す
る論評を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。
北朝鮮メディアが、盧氏の自殺と李政権非難を関連付けて取り上げるのは初めて。
論評はまた「朝鮮半島の平和は、われわれの自衛的な核抑止力で守られている」
と強調、「米国の核の傘が韓国を守っている」との李政権の主張は「現実を判
断する初歩的な能力もない者の詭弁(きべん)」と指摘した。(共同)
(産経新聞 2009/6/5)
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【北核実験】北、軍事的強硬対応は正当と論評

 ラヂオプレスによると、北朝鮮の朝鮮中央放送は28日夜、韓国の大量破壊
兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加表明に対し、北朝鮮軍部などが27
日に「軍事的な強硬対応」を発表したことを「極めて正当なものだ」と主張す
る論評を放送した。
論評はまた、「わが国は、米帝と李明博一味(韓国の李政権)のわずかな敵対
行為にも、直ちに強力な報復打撃を加えるだろう」と強調した。(共同)
(産経新聞 2009/5/29)
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「日本全土が報復圏内」「修羅場に」と警告 北朝鮮

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は29日、自民党内で敵基地攻撃能力
保有論が取り上げられ、麻生太郎首相が法的な可能性に言及していることなど
を「再侵略の野心の表れ」と非難、「日本が再侵略戦争を起こすなら、全土が
報復打撃の圏内となる」と警告する論評を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。
論評はまた、「日本の主要都市である東京、大阪、横浜、名古屋と京都には、
日本の人口の3分の1以上が住み、工業の基幹部分が集中している」とした上
で、「強力な反撃が行われれば、日本は修羅場になるだろう」と強調した。(共同)
(産経新聞 2009/5/29)
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【北核実験】国連決議あっても「認めない」と北

北朝鮮の外務省報道官は29日、2回目の核実験実施に対し国連安全保障理事
会が決議や決定を出しても「認めない」と言明、制裁決議などが採択された場
合は「さらなる自衛的措置が不可避となる」と警告する談話を、朝鮮中央通信
を通じ発表した。
報道官はまた、今回の核実験は「衛星打ち上げ」に対する安保理議長声明やそ
の後の制裁に対する「自衛的措置の一環」と強調。「事態がここ(核実験)ま
で進んだのは、米国と追従勢力にすべての責任がある」と述べ、米国などを非
難した。
さらに北朝鮮は核拡散防止条約(NPT)やミサイル関連技術輸出規制(MT
CR)などの国際法の規制を受けずに「国家の最高利益が侵害される場合には、
核実験やミサイル発射をいくらでも行う権利を有している」と主張した。(共同)
(産経新聞 2009/5/29)
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【北核実験】北朝鮮が米国と国連を批判「二重基準」

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は28日、米国が核問題や人権問題な
どで「自国に従う国には問題があっても黙認し、従わない国々には強圧的に対
応する二重基準の政策を展開している」と非難する論評を掲載した。朝鮮中央
通信が伝えた。
論評はまた、国連安全保障理事会に対し「公正性を失い二重基準政策に走れば、
国際機構としての存在意義を失うことになる」と指摘した。今回の核実験には
触れなかったが、安保理の制裁論議をけん制したとみられる。(共同)
(産経新聞 2009/5/28)
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【北核実験】北朝鮮の「宣戦布告」声明文の要旨

北朝鮮の朝鮮中央通信が27日伝えた朝鮮人民軍板門店代表部の声明文の要旨
は次の通り。
1、韓国の大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)全面参加をわれわれに対する
  宣戦布告とみなす。
1、われわれの船舶に対する取り締まり、検査など、いかなるささいな敵対行
  為も、わが共和国の自主権への容認できない侵害とみなし、即時に強力な
  軍事的打撃で対応する。
1、わが軍はこれ以上、休戦協定に拘束されない。休戦協定が拘束力を失えば、
  朝鮮半島は直ちに戦争状態に戻り、わが革命武力は軍事的行動に移る。
1、黄海上の米韓軍艦および一般船舶の安全航海を担保できない。
(産経新聞 2009/5/27)
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【北核実験】北、包囲網に反発「直ちに強力な軍事的打撃で対応する」

北朝鮮の朝鮮人民軍板門店代表部は27日、韓国が米国主導の大量破壊兵器拡
散防止構想(PSI)への全面参加を26日に決めたことを「宣戦布告と見な
す」と非難する声明を、朝鮮中央通信を通じ発表した。
核実験実施で今後予想される国際的な圧力包囲網へのけん制とみられる。
声明は、PSIに伴う北朝鮮船舶への臨検などは「わが国への容認できない自
主権侵害と見なし、直ちに強力な軍事的打撃で対応する」と表明。さらに朝鮮
戦争休戦協定について「もはや拘束されなくなり、わが革命武力は軍事的行動
に移るだろう」とした上で、黄海の南北境界水域での船舶の安全航行や、同水
域で韓国領となっている五つの島の法的地位も「保証できなくなる」と警告し
た。(共同)
(産経新聞 2009/5/27)
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【北核実験】「強大な国力を誇示」と強調 平壌で祝賀大会

北朝鮮の朝鮮中央通信によると、平壌で26日、2回目の核実験の成功を祝う
市民大会が開かれた。大会では朝鮮労働党の崔泰福書記が演説、「強大な国力
を誇示した」と「実験成功」の意義を強調した。
崔書記は「今回の核実験は、米帝の核先制攻撃の脅威と制裁圧力策動がさらに
甚だしくなっている状況で、共和国(北朝鮮)の最高利益を守り、国と民族の
尊厳と自主権を固守するための快挙」とも指摘した。
ラヂオプレスによると、祝賀大会を報じた北朝鮮の朝鮮中央放送は「すべての
演説者は、偉大な領袖・金日成同志の誕生100周年にあたる2012年に強
盛大国の大きな扉を開くという党の崇高な構想と意図を輝かしく実現していく
ことを強調した」と伝えた。
北朝鮮では2006年10月の1回目の核実験の際も、平壌をはじめ全国各地
で祝賀大会が開かれた。今年4月に長距離弾道ミサイルを発射した際も、平壌
の金日成広場で「人工衛星打ち上げ成功」を歓迎する市民大会が開かれた。
(産経新聞 2009/5/27)
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【北核実験】「敵視政策に変化なし」 北朝鮮紙、オバマ政権を非難

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は26日、オバマ米政権が北朝鮮に対
し「ブッシュ前政権の無謀な軍事的圧殺政策をそのまま踏襲している」と主張、
「敵視政策に少しも変化はない」としてオバマ政権をあらためて非難する論評
を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。
論評は25日に行った2回目の核実験には言及しなかったが、「われわれには
核兵器より威力ある一心団結(の体制)があり、必勝不敗の軍事力がある」と
し、「米帝の先制攻撃策動に備え、万端の戦闘準備態勢を備えている」と強調
した。
また労働新聞は26日、2回目の地下核実験の「成功」を伝えた25日の朝鮮
中央通信の報道を1面に掲載した。2006年10月の核実験の際は、実施を
伝えた同通信の報道を3面に掲載していた。(共同)
(産経新聞 2009/5/26)
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【北核実験】北朝鮮の党機関紙「当然の選択」

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は25日の論評で、核再実験と大陸間
弾道ミサイル(ICBM)の試射は「帝国主義侵略勢力の軍事的脅威の強まり
に対抗し、朝鮮半島の平和と民族の安全を守るための当然の選択」と強調した。
同紙はまた別の記事で「平和的な核エネルギーの開発と利用は、今日の世界で
一つの流れとなっている」と主張した。
いずれも同日の核再実験実施には言及していないが、掲載当日に実験が行われ
た点が注目される。(共同)
(産経新聞 2009/5/25)
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【北核実験】「脅し続けるなら、新たな核実験も」北朝鮮当局者

在モスクワ北朝鮮大使館当局者は25日、イタル・タス通信に対し、北朝鮮が
核実験を実施した事実を確認した上で、「米国やその同盟国が北朝鮮に対する
脅しを続けるのなら、新たな核実験を行う可能性がある」と述べた。
(産経新聞 2009/5/25)
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【北核実験】「地下核実験を成功裏に実施」北朝鮮発表全文

25日の朝鮮中央放送と平壌放送は正午の定時ニュースで、第3項目に、朝鮮
中央通信社が報道した「いま1度の地下実験を成功裏に実施」との発表を伝えた。
全文は以下の通り
     ◇
わが方の科学者、技術者らの要求に従い、共和国の自衛的核抑止力を各方面か
ら強化するための措置の一環として、主体98(2009)年5月25日、い
ま1度の地下核実験を成功裏に行った。
今回の核実験は、爆発力と操縦技術において新たな高い段階で安全に実施され、
実験の結果、核兵器の威力をさらに高め、核技術を絶えず発展させる上での科
学技術的問題を円満に解決することになった。
今回の核実験の成功は、強盛大国の大きな扉を開くための新たな革命的大高潮
の炎を力強く燃え上がらせ、150日戦闘に一丸となって立ち上がったわが軍
隊と人民を大きく鼓舞している。
核実験は、軍事優先の威力で国と民族の自主権と社会主義を守護し、朝鮮半島
と周辺地域の平和と安全を保障する上に寄与するであろう。(RP)
(産経新聞 2009/5/25)
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北朝鮮紙が論評「国民のための政治期待できず、日本の未来明るくない」

北朝鮮の内閣などの機関紙「民主朝鮮」は21日、民主党の代表交代や、鴻池
祥肇前官房副長官が週刊誌に女性問題を報じられ辞任したことなど、最近の日
本の政局を紹介しながら、「今後の選挙結果がどうなるか断定できないが、国
民のための真の政治は期待できず、日本の未来は明るくない」との論評を掲載
した。
北朝鮮メディアが、民主党の小沢一郎代表の辞任と鳩山由紀夫幹事長の代表就
任を伝えるのは初めて。
論評は「今後行われる衆議院選挙は、麻生太郎首相と鳩山代表の対決になる見
通し」としたが、政権交代の行方と日朝関係には言及しなかった。(共同)
(産経新聞 2009/5/21)
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北朝鮮が道路管理を要求 違反すれば罰金

韓国統一省は21日、北朝鮮の中央特区開発指導総局が先月末、開城工業団地
にある道路の管理義務と罰則を明記した細則草案を送付してきたことを明らか
にした。
中央日報によると、草案には44の条項が記載され、大半が韓国側に順守を求
める内容。環境汚染や道路を損傷させる恐れのある車の通行を禁止し、入居す
る企業に道路使用料を徴収、自転車道や街路樹などを備えた「最上級」の道路
を建設することも韓国側に求めている。違反した場合には最高1万ドル
(約94万円)の罰金を科すとしている。
同省は、草案について「現在、南北間で協議を進めている」としている。
(産経新聞 2009/5/21)
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「戦争で南朝鮮は火の海、廃虚に」北の委員会が報道官談話

北朝鮮の対韓国窓口機関「祖国平和統一委員会」は18日、韓国の外交通商省
が北朝鮮の核問題や「衛星」打ち上げを国連などで非難し南北関係を破綻させ
たと主張、「このままでは戦争が起き、南朝鮮(韓国)が火の海、廃虚となる
のは避けられない」と警告する報道官談話を出した。朝鮮中央通信が伝えた。
韓国の李明博政権が南北関係の進展と核問題を一体化させ、北朝鮮との懸案に
ついて、国連や日米などとの多国間外交を通じて取り組もうとする姿勢をけん
制したとみられる。
談話は、外交通商省が韓国政府の中でも「最も悪質で無分別な反民族的集団」
と非難。開城工業団地で韓国側職員が拘束されている問題を、国連人権委員会
に持ち込もうとしていることについても「立場をわきまえず介入している」と
批判した。(共同)
(産経新聞 2009/5/19)
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米に対話前の謝罪要求 北朝鮮

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は19日に掲載した対米論評で「米国
は(北朝鮮との)対話を持ち出す前に、これまで合意した内容を覆し、わが国
の自主権を侮っていることについて謝罪すべきだ」と主張、米オバマ政権に対
北朝鮮政策の根本的な転換を求めた。朝鮮中央通信が伝えた。
論評は「オバマ政権がスタートして以降の(対北朝鮮)政策は、過去(の敵視
政策)と少しも変わらず、より凶悪な方法で強化されている」と非難。米国が
北朝鮮との対話を呼び掛けるのは「火を放つのに有利な条件をつくるためのジ
ェスチャーにすぎない」と指摘した上で「米国の侵略策動に対処し、自衛的な
核抑止力をさらに強化するのはわれわれにとって最重要の課題だ」と強調した。
(共同)
(産経新聞 2009/5/19)
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北朝鮮、相変わらず「衛星は現在も稼働」

北朝鮮の朝鮮中央通信は18日、先月打ち上げられた試験通信衛星「光明星2
号」が現在も軌道で正常に稼働しているとする記事を配信した。社会主義経済
建設で科学者や技術者が大きな役割を果たしている、と紹介する記事の中で主
張した。
一方、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は同日、米韓の対北朝鮮政策を批判した
論評で、オバマ米政権もブッシュ前政権の敵視政策を継続していると主張。
「向き合っても得るものはあるのか」とし、政策転換がない限り対話には応じ
ない立場をあらためて示した。(共同)
(産経新聞 2009/5/18)
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北朝鮮、開城工業団地の契約無効を宣言

北朝鮮は15日、南北経済協力事業として運営されている開城工業団地の契約
無効を一方的に宣言し、韓国側に提示した賃上げなど新たな条件を受け入れる
意思がなければ団地から撤退してもよいとの立場を表明した。韓国の李明博政
権への揺さぶりが狙いとみられる。
北朝鮮は4月21日に開かれた南北政府間協議で、工業団地の土地使用料支払
いの前倒しと従業員の賃上げなど契約の全面的な見直しを韓国側に通告。2回
目の南北協議の日程調整が進められる中、韓国側が工業団地内で3月末に拘束
された韓国人男性職員の釈放問題に関する協議開催を求めていた。
北朝鮮側は、これに「不当な問題」と反発。日程調整が難航していた。
韓国政府は15日午前、南北協議を18日に開くことを北朝鮮側に提案したと
ころ、この日午後になって北朝鮮側から契約無効の通知文が届いたという。通
知文は「今後の事態がどのように険悪に発展するかは、全面的に南側の態度に
かかっている」と警告した。
これに対し、韓国統一省報道官は論評を発表し、「無責任な行動だ」と北朝鮮
を非難。「北朝鮮の一方的な措置を受け入れられない」として、南北協議に応
じるよう北に求めた。
2000年に締結した南北間の合意により、工業団地は、韓国の政府や民間企
業などが7300億ウォン(約550億円)を投資して開発。韓国の進出企業
は現在約90社で、北朝鮮の従業員約3万9000人と韓国側関係者
約1000人が勤務している。
(産経新聞 2009/5/15)
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北の朝鮮中央通信、米に核軍縮率先を要求

北朝鮮の朝鮮中央通信は12日、「米国が核軍備競争を終息させようとするな
ら、世界最大の核保有国である自らの核政策を直ちに是正すべきだ」と米国に
核軍縮を率先して行うよう要求する論評を出した。
オバマ米大統領が4月にプラハで行った核軍縮演説には言及しなかったが、同
演説を念頭に置いた論評とみられる。
論評はまた「核を持った相手には核だけが通用する」とした上で「日増しに露
骨になる米国の核戦争策動に対処し、われわれが自衛的な核抑止力を備えるこ
とは正当だ」と主張した。(共同)
(産経新聞 2009/5/13)
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「オバマ政権と向き合っても成果ない」 北労働党機関紙

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は12日、「衛星打ち上げ」に対する
国連安全保障理事会の議長声明の不当性を強調、「国連安保理が直ちに誤りを
認め謝罪しなければ、核(再)実験と大陸間弾道ミサイルの発射試験を含む自
衛的な対応措置を講じざるを得ない」とあらためて警告する論評を掲載した。
朝鮮中央通信が伝えた。
論評はまた、オバマ米政権が「ブッシュ前政権と同じ旧態依然の(対北朝鮮)
敵視政策を展開している」と非難、「そのような相手と向き合っても成果はな
い」と主張した。(共同)
(産経新聞 2009/5/12)
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「南北対話は論議の余地なし」 北朝鮮、韓国に反発

北朝鮮の対韓国窓口機関「祖国平和統一委員会」は9日、報道官談話を通じ、
韓国政府が北朝鮮の人権問題を提起したことについて、「わが方(北朝鮮)の
尊厳と体制を全面否定したものだ」と非難し、「われわれを公然と中傷、冒涜
し、露骨に否定した状態で北南間の対話について論議する余地すらない」と主
張した。韓国の聯合ニュースが伝えた。
4月21日に開催された南北の政府間協議を受け、次回協議は早ければ来週中
にも開催されることが予想されていたが、今回の談話からは、協議が開催され
るかは不透明だ。
米ワシントンで4月下旬に開かれた北朝鮮の人権弾圧に抗議する行事「北朝鮮
自由の週」に、今回初めて韓国政府を代表して諸成鎬(チェ・ソンホ)北朝鮮
人権大使が参加。韓国政府の対北人権政策の方向性と北朝鮮の人権改善に向け
た政府の取り組みを説明した。
北朝鮮は談話の中で、この行事に参加した諸大使が「脱北者定着村建設」に触
れたことなどをとくに問題視し、「われわれの度重なる警告にもかかわらず、
反共和国(北朝鮮)人権騒動で一層狂奔している」と批判した。
(産経新聞 2009/5/9)
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北の専門機関が「光明星2号」目的は達成と発表

北朝鮮の朝鮮宇宙空間技術委員会は7日、試験通信衛星「光明星2号」の打ち
上げから1カ月過ぎたことを受け、「試験通信の目的を十分に達成した」など
とする報道官談話を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。
談話はまた「今後の実用衛星発射のための科学技術的な土台作りに大きな進展
があった」と指摘。時期は明示しなかったものの、実用衛星打ち上げを計画し
ていることも示唆した。
4月5日に打ち上げた「光明星2号」が軌道に進入、通信が行われていると専
門機関が強調することで、「平和目的」との主張を支える狙いがあるとみられ
る。長距離弾道ミサイルの発射だったとする国際的な批判には触れなかった。
(共同)
(産経新聞 2009/5/8)
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北朝鮮が米政権を名指しで初非難 「わが国への敵視政策に少しも変化はない」

北朝鮮の外務省報道官は8日、「オバマ米政権がスタートし100日間の政策
動向を見守ったが、わが国への敵視政策に少しも変化はないことが明白になっ
た」と述べ、オバマ政権を名指しで初めて非難した。朝鮮中央通信を通じ語った。
報道官はまた、「われわれを変わりなく敵視する相手と向き合っても、何も生
まれない」と指摘、米国の政策転換がない限り対話する意向のないことを示唆
した。
北朝鮮は4日、外務省報道官が朝鮮中央通信を通じ、「現在の米政権」との表
現でオバマ政権非難を開始した。6カ国協議再開に向け、7日から日中韓など
参加国への歴訪を始めた米国の北朝鮮担当、ボズワース特別代表の動きをけん
制する狙いもあるとみられる。(共同)
(産経新聞 2009/5/8)
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「力には力で対抗」北朝鮮機関紙がオバマ外交を非難

北朝鮮の内閣などの機関紙「民主朝鮮」は7日、オバマ米政権の外交政策を
「本質においてブッシュ前政権と少しも変わらない単独主義的政策を実施して
いる」と非難した上で、「米国の力の政策には力で対抗するのがわれわれの固
い意志、信念だ」とする論評を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。
北朝鮮は4日、外務省報道官の談話を通じてオバマ政権への本格的な非難を開
始しており、同紙の論評も非難攻勢の一環とみられる。
論評はまた「米国は自分の力を過信して国際的な正義と公正を踏みにじる国際
社会のごろつき」などと主張した。(共同)
(産経新聞 2009/5/7)
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金総書記、列車で2カ月間移動生活「人民経済が心配で家に帰って安心して眠れない」
労働党機関紙

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は7日の論評で、金正日総書記が経済
再建や国民生活向上のため「昨年末から約2カ月間、家に戻れず列車で生活し
ながら、人民経済のさまざまな部門で現地指導を続けている」とする発言を伝
えた。
発言時期は今年2月の「意義深い祝日」としており、同月16日の金総書記自
身の誕生日での発言とみられる。
金総書記は「この2カ月は旧正月など祝日も多く、家で家族と休みたいという
思いもなくはなかったが、人民経済が心配でそうはできなかった」と述べ、経
済再建までは「家に帰って安心して眠れない」と話したとも伝えた。(共同)
(産経新聞 2009/5/7)
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「意識かすむ時もある」金総書記、疲労を吐露

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は4日付で、金正日総書記がある党実
務者と面談した際、「仕事が多く疲れることは事実だ。私がどんな仕事もてき
ぱきと片付けると話す人もいるが、そうではない」とした上で、「時には数時
間も精神を集中し考えようとすれば、意識がかすむ時もある」と語ったとする
記事を掲載した。
発言時期は「ある年の暑い夏の昼食時間」としたが、健康が悪化したとされる
昨年8月かどうかは不明。金総書記が自らの健康状態に立ち入り、心情を吐露
する発言が紹介されるのは異例。
同紙はまた、金総書記が「長時間考えた末、明け方に明白な答えを探し当てる
喜びは何事にも替え難い」と話し、「一生涯、仕事に没頭しようと思う。これ
が私の最大の幸福であり喜びだ」と語ったとも伝えた。(共同)
(産経新聞 2009/5/5)
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北朝鮮が米政権への本格非難開始 「政策に変化なし」

北朝鮮の外務省報道官は4日「現在の米政権」の対北朝鮮政策はブッシュ前政
権と「少しも変わりはない」と指摘、オバマ政権を初めて本格的に非難する立
場を朝鮮中央通信を通じ表明した。
北朝鮮は「衛星打ち上げ」に対する国連安全保障理事会の議長声明採択後、使
用済み核燃料棒の再処理着手や核再実験の方針表明など段階的に緊張をエスカ
レート。この過程でも米国を非難してきたが、北朝鮮当局が公式に「現在の米
政権」とオバマ政権を念頭に非難の対象として言及したのは初めて。(共同)
(産経新聞 2009/5/4)
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国民総動員態勢を提示 「150日戦闘」と北朝鮮

北朝鮮は4日、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」の社説を通じ、経済分野を中心
に国民総動員態勢を図る「150日戦闘」を全国民に提示した。今年9月の建
国記念日や10月の党創建記念日を目標にした経済再建策とみられるが、一定
の成果を示すため今後、核再実験や長距離弾道ミサイルの再発射などの動きを
本格化させる可能性もある。
北朝鮮で期間を区切り生産や建設の目標達成を促す経済運営方式は「速度戦」
と呼ばれており、これまで1970年代の「70日戦闘」「100日戦闘」や
80年代の「200日戦闘」などが代表的。最近では、2005年の党創建
60周年を前に「100日戦闘」が展開された。
社説は今回の「150日戦闘」が、故金日成主席の生誕100周年となる
2012年に「強盛大国」を建設するための「闘争を左右する」と意義を強調
している。(共同)
(産経新聞 2009/5/4)
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「盗人たけだけしい」 韓国人拘束非難に北が反論

北朝鮮の開城工業団地を統括する朝鮮中央特区開発指導局の報道官は1日、北
朝鮮当局による韓国企業、現代峨山の韓国人男性職員の拘束を韓国が非難して
いることについて「盗っ人たけだけしい」と反論した。朝鮮中央通信を通じ表
明した。
男性職員は北朝鮮の政治体制を非難したとして拘束された。報道官は職員が
「われわれの自主権を侵害し、法に抵触する重大な行為を犯した」として拘束
の正当性をあらためて強調、「引き続き詳しく調査している」とした。
さらに、韓国が非難を続けるなら「事態はさらに厳しくなり、開城工業団地の
事業にも不利になる」とけん制した。(共同)
(産経新聞 2009/5/1)
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6カ国関連条項を除外 非同盟閣僚級会議でと北朝鮮

北朝鮮の外務省報道官は1日、キューバで4月30日閉幕した非同盟諸国会議
の閣僚級会議で採択された最終文書で、これまで記載されてきた6カ国協議を
含む朝鮮半島関係の条項が除外され、同協議が「もはや必要なくなった」とす
る北朝鮮の主張が会議で理解を得た、と表明した。朝鮮中央通信を通じ述べた。
報道官はまた、「会議の参加国は、破綻(はたん)した(韓国との)北南関係
も言及する必要がないと認めた」とした。北朝鮮は今回の会議に、朴宜春外相
率いる政府代表団を派遣している。(共同)
(産経新聞 2009/5/4)
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大阪生まれの李明博大統領非難 北朝鮮紙「民族の魂を大阪に埋めた」

北朝鮮の内閣などの機関紙「民主朝鮮」は23日、韓国の李明博大統領が日本
の歴史教科書検定問題を非難しない姿勢を見せているとした上で「生まれると
同時に民族の魂を大阪に埋めた」李大統領を「除去する(退陣させる)闘争を
強化すべきだ」と主張する論評を掲載した。朝鮮中央通信が伝えた。
論評は日本の歴史認識を問題視しない李大統領は「日本の反動勢力の再侵略の
野望に同調しているとんでもない親日逆賊だ」と批判した。
北朝鮮メディアは、今年1月にも李大統領を「日本に忠実な日本人」と批判し
たことがある。(共同)
(産経新聞 2009/4/23)
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「繁栄のため、疲れても我慢する」 金総書記の発言紹介

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は17日、試験通信衛星「光明星2号」
打ち上げの意義を取り上げた論評で、金正日総書記が国家繁栄のため「疲れて
いても我慢する」と語ったとのエピソードを紹介した。
発言時期は不明だが、金総書記は「人間は体を気遣わねばならないが、私には
そのような時間はない」とした上で「私も疲れれば眠気に襲われるが、祖国と
人民の運命を背負っているという使命感、われわれがより多く仕事をしてこそ
国が繁栄し、人民が幸福になるという責任感から」と理由を説明したという。
論評はさらに「核保有国の空に打ち上がった光明星2号は帝国主義の敵との決
戦で勝利を宣言した戦勝の祝砲」と強調した。(共同)
(産経新聞 2009/4/17)
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【北ミサイル】「この程度の情報力でミサイルを迎撃するのか」 北「労働新聞」

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は10日、試験通信衛星「光明星2号
」打ち上げの意義を扱った論評で、「電波妨害をはじめ、あらゆる障害の中で
も、衛星から発せられる信号は各地ではっきりと観測されている」と指摘した。
論評は、「われわれの衛星を否定しようとする(日米韓などの)卑劣な策動は
現在も続いている」と主張。また発射をめぐる日本の誤情報発表について、
「この程度の情報力で(北朝鮮の)ミサイルを迎撃するのか、というあざけり
を受けざるを得なかった」と批判した。
同日の「労働新聞」は、通常より2面増やした8面で構成、9日に平壌で行わ
れた最高人民会議第12期第1回会議の結果を伝えた。(共同)
(産経新聞 2009/4/10)
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軌道に沿い周回

「『銀河2号』により『光明星2号』を軌道に進入させることに成功した。
『銀河2号』は『光明星2号』を自らの軌道に正確に進入させた。『光明星2
号』は40・6度の軌道傾斜角で、地球から最も近い距離が490キロメート
ル、最も遠い距離が1426キロメートルの楕円軌道に沿って回っており、周
期は104分12秒だ。衛星は自らの軌道に沿って正確に回っている。衛星か
らは不滅の革命頌歌「金日成将軍の歌」と「金正日将軍の歌」の旋律と測定資
料が470メガヘルツで地球上に伝送されており、衛星を利用してUHF周波
数帯域で中継通信が行われている。衛星は宇宙の平和利用のための科学研究事
業を推進し、今後、実用衛星発射のための科学技術的諸問題を解決する上で決
定的な意義を有する。偉大な領導者、金正日同志の雄大な構想に従い、父なる
領袖(故金日成主席)の誕生100周年にあたる2012年までに、何として
も強盛大国の大きな扉を開くための新たな革命的大高潮の炎が全国に強く燃え
広がっている激動の時期に収められた宇宙科学技術の飛躍的な発展を象徴する
今回の衛星発射の成功は、総進軍の道に一丸となって奮い立ったわが人民を大
きく鼓舞している」(4月5日、朝鮮中央通信)
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「平和的衛星打ち上げに難癖をつけることは、国際宇宙条約が当事国に同等に
付与している主権国家の自主的権利に対する乱暴な蹂躙(じゆうりん)行為で
あり、国際法に対する無知の表れだ。国連安保理でわが方の人工衛星打ち上げ
問題が取り上げられること自体が、すなわち6者会談(6カ国協議)の崩壊を
意味する」(4月1日、民主朝鮮)
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「日本は、衛星が打ち上げられた場合、独自の追加制裁を講じ、国連安保理に
上程するだろうとわめいている。彼らは衛星を迎撃すると豪語し、騒ぎ立てて
いたが、今や運搬ロケットから段階別に分離する『残骸(ざんがい)が日本の
領土に落ちた場合のみ』と言葉を変える哀れな境遇となった。日本が迎撃をし
ようがしまいが、わが方は恐れない。日本が迎撃へと進んだ場合、わが軍隊は
最も強力な軍事的手段によってすべての迎撃手段とその牙城を無慈悲に粉砕す
るであろう」(3月31日、朝鮮中央通信)
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「国際社会は、主権国家の平和的衛星打ち上げについて共感し、期待を表して
いる。わが共和国は、他のすべての衛星打ち上げ国と全く同様の国際的手続き
と慣例に従い衛星を発射する。これを広範な国際社会が評価している」
(3月29日、労働新聞)
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「国連安保理が議長声明であろうと、たった一言でも非難する文書のようなも
のを出すのはもちろん、上程して取り上げること自体が乱暴な敵対行為だ」
(3月26日、北朝鮮外務省)
-------------------------------------------------------------
「米国とその一部追従勢力は、衛星運搬ロケットが長距離ミサイルと技術が区
別されないため、わが方が衛星を発射すれば自分らにとって脅威になるという
論理を展開し、国連安保理で問題視しなければならないと騒いでいる。米国、
日本をはじめ、わが方の衛星発射に言いがかりをつける国々はすべてわが方よ
り先に衛星を打ち上げた国々である。衛星発射の技術が長距離ミサイル技術と
同じならば、それらの国々こそミサイル技術も先に開発し、より多く蓄積して
いることを物語っている。国連安保理が他国の衛星発射問題を取り扱い問題視
したことはない」(3月24日、北朝鮮外務省)
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「日本反動らは最近、敵国の弾道ミサイル発射を即座に探知できる早期警戒衛
星まで開発しようとしている。彼らの世界征服の野望がどの程度まで至ってい
るかを如実に示している」(3月23日、労働新聞)
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「衛星迎撃への即時対応打撃戦は堂々たる自衛的措置である」
(3月12日、労働新聞)
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「平和的衛星に対する迎撃は戦争を意味する。迎撃に対しては、最も威力ある
軍事的手段による即時の対応打撃で応える」(3月9日、朝鮮人民軍総参謀部)
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「(衛星発射は)国際的に公認された自主的な権利だ。わが共和国はすでに、
久しい前に堂々たる衛星発射国となっていた」(2月27日、朝鮮中央放送)
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環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/






2009年6月9日火曜日

米人記者逮捕事件の不思議

※写真は、Reutersサイトより転載

北朝鮮、米人記者に労働教化12年=オバマ大統領「深く憂慮」

朝鮮中央通信は8日、北朝鮮の中央裁判所(最高裁に相当)が、拘束中の米国
人女性記者2人に対し、12年の労働教化刑を言い渡したと伝えた。オバマ米政
権が北朝鮮の核実験を受け、テロ支援国再指定検討など制裁強化の動きを見せ
ている中、米国への挑発を強めた形だ。今後、米国は身柄解放に向け、北朝鮮
との交渉を働き掛ける方針だが、難航するとみられる。
同通信によると、裁判は4日から8日まで続けられ、2人に対して「朝鮮民族敵
対罪と不法出入国罪の有罪を確定」したという。
これを受けて、ホワイトハウスはオバマ大統領が「(判決を)深く憂慮してい
る」と明らかにした。その上で2人の解放実現に向け、全力を尽くす方針を強
調。米国務省も北朝鮮に対し、2人の即時解放を改めて呼び掛けた。
判決を受けたのは、米ケーブルテレビ局のローラ・リン、ユナ・リー両記者。
2人は3月17日、中朝国境地帯で脱北者問題を取材中に捕らえられ、その後、
「不法入国と敵対行為」などの罪で起訴。朝鮮中央通信は6月4日に「裁判を4
日午後3時から始める」と異例の事前報道を行っていた。
今後の日程は明らかとなっていないが、これで判決が確定する可能性が高い。
北朝鮮の刑法では、朝鮮民族敵対罪は5年以上の労働教化刑で、特に、事案が
重大な場合は10年以上としている。
(時事通信 2009/6/09)


今回の報道で、北朝鮮には、朝鮮民族敵対罪という犯罪と、不法出
入国罪という犯罪があるのが判りました。北朝鮮に対して外国人が
取材する事が何故、朝鮮民族敵対罪になるのか判りませんし、北朝
鮮に入国してもいないのに、不法出入国罪に問われるのか理解でき
ないのですが、それにも増して、我々外部の人間は、北朝鮮の刑法
や刑事訴訟法を読む事が出来ても、北朝鮮国内では、絶対機密にな
っており、住民は、その内容を知る事すらできないである点は余程
問題であると思われます。法律が公開されていなければ、事前でも
事後でも、為政者の思う通り法律を作る事が出来る訳で、誰であっ
ても明確な根拠なく犯罪者として逮捕する事が可能になります。こ
れだけをとっても、北朝鮮が法治国家ではなく、前近代的な専制国
家であると言えます。

更に、報道によれば、二人の記者は、国境の中国側で北朝鮮の官憲
に逮捕されたそうですから、中国領でも北朝鮮の国境に近い部分で
は、北朝鮮側が管轄しており、一定の逮捕権も持っているようです。
しかし、その様な事実は、同じく、公開されていないという点で中
国が北朝鮮と同様な問題点を持っている事を示しています。

法律的な面でも、この事件は興味深いのですが、政治的には、より
興味深い側面があります。元々事件が発生した時から言われた事で
すが、北朝鮮は、この二人の記者を人質として利用すると考えられ
ています。つまり、米国が北朝鮮に対する敵対行為を止めたら記者
を解放すると言う訳です。そして、記者解放の為の交渉に当たって
相手側の大物政治家を要求し、その政治家と、記者解放以外の北朝
鮮との関係全般について大枠で合意してしまうという手法を使う事
が懸念されています。クリントン政権時のカーター元大統領との交
渉や、富士山丸事件での金丸副総裁との直接交渉などが、この典型
例です。

今回の場合は、逮捕された記者の所属するカレントTV社の経営者
には、アル・ゴア元副大統領がおり、オバマ政権は北朝鮮との記者
解放交渉をゴア氏に任せるという話も出ているようです。既に過去
の例もあるので、例えゴア氏が交渉に出るとしても、カーター氏の
轍を踏む事はないと思われますが、今回有罪を宣告された記者が各
々、中国系と韓国系である事や、事件が発生したタイミングが北朝
鮮がミサイル発射や核実験を行う直前であった事を踏まえると、事
件そのものが北朝鮮が対米直接交渉を実現する為に準備した一種の
舞台装置ではないかという疑念も考えずにいられないのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/






2009年6月8日月曜日

「戦うべき時は戦う覚悟を」との首相発言を初めて聞いた。しかし...。

※街頭演説する麻生首相。読売新聞サイトより転載

「対北、戦うべき時は覚悟を」…麻生首相が演説

麻生首相は7日、東京都議選(7月12日)の立候補予定者の応援で訪れた武
蔵野市のJR吉祥寺駅前で街頭演説し、弾道ミサイルの発射準備を進める北朝
鮮に関し、「戦うべき時は戦わねばならない。その覚悟を持たなければ、国の
安全なんて守れるはずがない」と述べ、制裁強化などで圧力を強める姿勢を強
調した。

また、民主党が海賊対処法案に反対していることについて、「ソマリア沖を通
って日本にものを運んでくる船が海賊に襲われる。守るのが当たり前だ。どう
してこれが反対か理解できない」と批判した。

(2009年6月7日19時31分 読売新聞)

別に勇ましい発言を聞きたい訳ではないのですが、北朝鮮との関係
で、この「戦うべき時は戦う覚悟を」という言葉が日本国内閣総理
大臣の口から出たのを初めて聞いた様に思います。

勇ましいというよりも重い言葉ですね。そういう覚悟が自分にある
かどうかを胸に手を当てて考えると、確かにあるとは言えないとい
うのが私を含む大方の本音でしょうし、為政者が国民に対し簡単に
「覚悟」、「覚悟」と言って欲しくもないとも思います。しかしな
がら、北朝鮮の現状は、そういう覚悟を六十年ぶりに日本国民に求
める程、深刻なのかも知れません。

現状では、北朝鮮は数個の核兵器を保有しているだけで、それを弾
道ミサイルに搭載する事もできないと思われますが、国際社会が北
朝鮮への非難決議もできずに「会議を踊って」いる中で、全力で、
核弾頭の小型化や、弾道ミサイルの改善に力を注いでいる事に間違
いはありません。北朝鮮が日本を射程に収めているノドンにしても
弾頭重量は1トンはあり、通常弾頭であっても1トン爆弾といえば
相応の爆発力は持っています。それが百五十発~二百発場合によっ
ては落ちてくるかも知れないのです。勿論、現在整備中のMDによ
って落とせる部分もありますが、半分は打ち洩らす可能性があります。

以前にも書きましたが、第二次大戦中、ドイツはロンドンに向け
1,308基のV-2号を発射しましたが、その成果は、死者2,754名、負
傷者6,523名でしかありませんでした。MDを掻い潜って日本に着
弾するノドンの数が百発程度とすれば、ロンドンの場合の五分の一
から十分の一程度の損害、即ち、死者300名~600名、負傷者700名
~1500名程度の損害が予想されます。大きな数字ですが、阪神淡路
大震災の被害などとは比べ物にならない数字でしかありません。日
本は十分耐える事が出来ます。

ただ、ここで考えないといけないのは、北朝鮮が日本を攻撃する場
合は、日本を戦争に引き込みたい時でもあるという事です。
例えば、北朝鮮が単独で韓国を攻撃したが、進行がはかばかしくな
く逆に、戦争を拡大する事で、中国を北朝鮮側に参戦させる為に、
日本を攻撃するケースや、あるいは、日本を戦争に引き込む事で、
共同の敵が出来たとして韓国との間で休戦を成立させようとする場
合です。

こういった時には、日本は攻撃をうけ、被害がでながらも反撃を自
制しなければなりません。これには、戦う以上の勇気(自制心)が必
要になります。為政者にとっても死活の決断に迫る事になるでしょう。
従って、政治家には、「戦うべき時は戦う覚悟を」を、しかし「戦
うべきでない時には、戦う事を諦める事を国民に説得する勇気を」
求めたいと思います。


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