地球帰還、ほぼ確実に=小惑星探査機「はやぶさ」-宇宙機構
小惑星「イトカワ」への着陸成功後、数々のトラブルを乗り越えて地球帰還を
目指す探査機「はやぶさ」について、宇宙航空研究開発機構は27日、地球のご
く近くを通過する軌道への投入に成功した。今後も、大気圏突入に向けた軌道
の微調整を続けるが、寿命が懸念されていた航行用のイオンエンジンの連続運
転を終え、目標とする6月の地球帰還はほぼ確実になった。
はやぶさは小惑星の岩石試料を採取し、地球に持ち帰るのが目標。2003年5月
に打ち上げられ、05年11月にイトカワ着地に成功したが、燃料漏れや姿勢制御
装置の故障などが続発。当初の予定を3年延期して今年6月の地球帰還を目指し
てきたが、最後に残ったイオンエンジンも寿命が危ぶまれていた。
27日午後、神奈川県相模原市の運用管制室で、管制チームがイオンエンジンの
運転を止める指令を送信。約5分後に停止が確認されると、管制チームはほっ
とした表情で喜び合った。
はやぶさは地球の高度約1万4000キロを通過する軌道に入っており、今後は、
岩石試料を採取できた可能性のあるカプセルを回収するため、大気圏突入に向
けた微調整を続ける。
(時事通信 2010/03/27)
懸念されていた、綱渡りのイオンエンジン運用が漸く終わりました。
これからは、イオンエンジンを使用しない軌道修正のフェーズに入
ります。現時点で、「はやぶさ」は、地球中心から二万キロ離れた
場所を通過する軌道に入っています。上の記事では一万四千キロと
書かれているのは、二万キロから地球半径である六千キロを差し引
いた数字です。これから、一万四千キロから数百キロに階段を一段
ずつ下りていく様な微妙な軌道修正を行っていく事になります。
「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーであるISASの川口教授は、
3/9のコメントの中で、今後のリスク要因として以下の5点をあげて
います。
1.ホイールの寿命、
2.イオンエンジンの運転性、
3.漏洩燃料の再ガス化、
4.イオンエンジン運転中の軌道決定、
5.耐熱材の状態、火工品の環境、分離バネの経年変化です。
この内2.と4.のイオンエンジンの運転性と軌道決定については今回
の運転終了でクリアする事が出来ましたが、残る3点については引
き続き残っています。
そして、それに加えて、これからの運用、その一つ一つが、これま
でとは違い、やり直しの効かない一回しかチャンスの無いものにな
る難しさを指摘されています。「シャトルの再突入に延期はありま
すが、「はやぶさ」の再突入には延期はないのです」という言葉は、
それを端的に表したものと言えるでしょう。
「はやぶさ」は第二宇宙速度(約11.2km/秒)を超える惑星間航行速
度で飛行しています。そして、その速度のまま、地球大気に突入す
る事になります。予定されたタイミングで帰還カプセルの放出が行
われれば、首尾よく地表での回収が可能ですが、突入角度が少し変
わるだけで、角度が深ければ、燃え尽きる可能性が出てきますし、
加工品(爆発ボルト)が作動しなくなる懸念も出てきます。逆に、角
度が浅ければ、再度宇宙に跳ね返される可能性があります。
今まで、NASAが行った再突入に比べても、「はやぶさ」の再突入は、
より厳しい条件と言えます。しかも、帰還カプセルに「イトカワ」
のかけらが入っているとは限らないのです。
ただ、たとえそうであっても、「はやぶさ」の帰還カプセルを回収
する事は現時点での、日本の宇宙往還技術と総合科学としての宇宙
工学の頂点を示すものになる事は間違いありません。
「はやぶさ」の無事な帰還を心から祈念したいと思います。
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