※写真はミストラル
日本の領土要求が購入理由
インタファクス通信などによると、ロシアのポポフキン国防次官は7日、フラ
ンスからのミストラル級強襲揚陸艦の購入が必要な理由として、北方四島に対
する日本の領土要求を挙げた。
同次官は「極東には、ロシアの視点では解決済みだが、日本の視点では未解決
の問題がある」と指摘。もしミストラルのような艦船がなければ、サハリンな
どに数千人規模の将兵を展開、維持する必要に迫られると述べた。
ロシアはフランスからミストラル4隻の購入について交渉中とされるが、同次
官は、1隻は完成艦としてフランスから引き渡しを受けるが、残りはフランス
の技術を導入して自国で建造する方針だと説明した。
ロシア側は最近、日本の領土要求がロシアにとって脅威になっていると表明し
ている。(共同)
(産経新聞 2010/04/07)
最初に結論を言ってしまえば、ミストラル級取得の本当の狙いは、
グルジア等のカフカス諸国やバルト3国、旧CIS諸国や東ヨーロ
ッパ諸国などへの軍事介入用と思われます。
日本との領土紛争に備える為にミストラル級を取得すると言うロシ
ア国防次官のコメントは、ロシアの自国への軍事介入に疑念を持つ
東ヨーロッパや旧CIS諸国、及び、ロシアの影響力拡大を懸念す
る欧米諸国を韜晦する為の発言に過ぎません。
日本が本気になれば、ミストラル級4隻をロシアが極東に集中配備
した処で、その存在が、日本の意図を挫くものにはなりませんし、
本当に紛争になった場合でも、日本にとってミストラル級を排除す
るのは、それ程、難しい事ではないと考えられるからです。
(それが理由かどうかは別にしても、ソ連は最後までこの種の強襲
揚陸艦を保有しませんでした。)
少し、詳しく書きますと、ミストラルは多用途強襲揚陸艦です。乗
員以外に900名の兵員の他、数十両の戦車、装甲車、自走砲等の戦
闘車輌を搭載でき、それを10機以上搭載している輸送ヘリコプター
や、艦内に収容している揚陸艇、または、エアクッション揚陸艇を
使用して、敵前上陸を行う事が可能となっています。
この様に書くと非常に立派な艦の様に聞こえますし、実際立派な艦
ですが、北方領土で、自衛隊の侵攻を迎え撃つのに整備するという
事になると少し首を傾(かし)げてしまいます。つまり、強襲揚陸
(敵が待ち構えている処に無理やり上陸する事)が得意な艦である訳
ですから、自衛隊が北方領土を先に占領するか、あるいはロシアが
北海道に揚陸するのでなければ、出番が無い事になります。
自衛隊が侵攻する前に、兵員を輸送するのであれば、平常通り、北
方領土の港湾施設が使えますので、通常の輸送船を使用した方が余
程効率が良い筈なのです。
つまり、強襲揚陸艦自身は、固有の兵装はそれ程強力ではありませ
ん。対空ミサイル発射機が二基と同じく30mmと12.7mmの機関砲が各
々二基、四基しかありません。つまり、個艦防御用兵器しかない訳
で、この艦で輸送する場合は、強力な護衛艦隊が必要となります。
つまり、トータルの輸送コストが高くついてしまう事になります。
また、護衛が必要ない状況で、この艦を輸送用に使うのであれば、
この艦の保有するヘリコプターや、揚陸艇用の設備は、輸送という
観点からは無駄と言う事になります。
北方領土で、日本との戦端が開かれた後に、この艦を使って、兵員
や戦闘車輌を運ぶ場合は、北方領土に近接した場所から、航空自衛
隊のF2支援戦闘機や海上自衛隊の艦艇によって、百発規模の巡航ミ
サイルによる飽和攻撃が数回は反復される可能性があります。その
為、余程、強力な護衛艦隊を編成しなければ、とても、その攻撃を
回避する事が難しいと思われるのです。まして、ミストラル級は、
割り切って言えばティッシュペーパの箱が海に浮かんでいる様なも
ので、非ステルス形状なので、巡航ミサイルの格好の標的と言えます。
(尤も、自衛隊の戦略としては、北方領土にロシアの大規模な兵力
を上陸させた上で、海空兵力で北方領土を封鎖してしまった方が効
率良いと思いますが...。)
勿論、日本は、憲法第九条によって、「武力の行使は、国際紛争を
解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」事になっていま
す。ロシアもこれを重々承知しています。
それに、もし、日本が通常兵器でロシアを圧倒しても、ロシアには、
核兵器による恫喝を行うという最後の手段が残されています。
つまり、今回のコメントは、ロシアが日本をだしにコメントしても、
日本側から、それを理由に何らの軍事・外交的アクションが取られ
る事が無い事を見切った上での発言であったと考えられるのです。
以前は、日本が太平洋戦争で、徹底した抗戦を行った事から、多少
の遠慮やおっかなびっくりもあった様にも思われますが、昨今は、
中国、韓国同様、日本の外交的弱腰を見切った態度を取るのが、日
本に対する非友好諸国の流行(はや)りなのかも知れません。
現政権に至っては、そんな中で、安全保障面を頼っている米国との
関係を自ら破壊する事で、自国の足場をより不安定化させているの
ですから、なにおかいわんやですね。
環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/
var gaJsHost = (("https:" == document.location.protocol) ? "https://ssl." : "http://www.");
document.write(unescape("%3Cscript src='" + gaJsHost + "google-analytics.com/ga.js' type='text/javascript'%3E%3C/script%3E"));
try {
var pageTracker = _gat._getTracker("UA-6610190-1");
pageTracker._trackPageview();
} catch(err) {}
0 件のコメント:
コメントを投稿