2010年2月19日金曜日

向かい風を受ける様になった中国


【国際情勢分析】中国は責任ある大国か

経済や軍事で力を増す中国と、超大国といわれた米国の不協和音が鳴りやまな
い。イランの核開発問題などで、米国は中国に責任ある行動を求めているもの
の、中国の協力が得られないことが理由の一つだ。米中「G2時代」が到来し
たといわれる中、現実には米国だけでは中国を御することはできないとの指摘
もされている。

■イラン制裁に難色

まずイラン問題。国際社会の制止を無視して核開発を続けるイランは最近、濃
縮度20%のウラン製造に成功したと発表した。国連安全保障理事会は、イラ
ンへの制裁を検討しているものの、拒否権を持つ中国が難色を示している。

このままイランが核武装してしまえば、その責めは誰が負うのか。オーストラ
リア議会外交小委員会委員長のマイケル・ダンビー氏は、2月11日付の米紙
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)・電子版への寄稿で、「もし戦争
が起きたら、その責任の多くは中国政府にあることになろう」と論じた。

貧富の格差が大きい中国では、「国民は生活水準の恒常的向上を期待するよう
になっており、これが中国共産党政権の最大の弱み」(WSJ)である。従っ
て、共産党政権はエネルギー獲得に躍起で、「支配と確実性を手に入れるには、
特定の産油国、できれば、欧米と政治的に対立し、欧米以外の国の擁護と友情
を必要としている国と取引すること」(WSJ)を望んでいる。

国連安保理の議論がまとまらず、イランの暴走を許せば、その軍事力の矛先は
欧米に向くかもしれないし、イスラエルがイランに先制攻撃する恐れもある。
その場合「戦争という重大な危機がもたらされることになる」(WSJ)という。

■台湾情勢への幻想

次に米国の台湾への武器売却問題。バラク・オバマ米政権の売却決定で、中国
は米国に激しく反発している。米シンクタンク、ブルッキングス研究所のリチ
ャード・ブッシュ上席研究員は、2月11日付の米紙ロサンゼルス・タイムズ
(LA)・電子版への寄稿で、米政府が中台統一を妨害しようとしていると中国の
関係者は思いこみがちだが、「これほど間違った見方はない。米国が台湾の防
衛を支援するのは、台湾が不安を抱いているからで、その不安は中国がとった
政策の結果だ」と中国責任論を展開した。

台湾では、独立を模索した陳水扁(ちん・すいへん)政権に代わり、対中融和
派の馬英九(ば・えいきゅう)政権が誕生し、台湾有事の危機が和らいだとみ
る米国は胸をなでおろしている。

だが、実際には中国の軍備増強は休むことなく続いており、ブッシュ氏は、米
中台のいずれの利益にもならないのに、「なぜ中国は、緊張緩和という新たな
プラスの現実に合わせて変わろうとしないのか」(LA)と疑問を投げかけた。

とはいえ、覇権国家への野望が見え隠れする中国にこうした理性を求めるのは
むなしい。さらにそれが、米国で中国、台湾通として知られるブッシュ氏の見
方であるというのだから、米国は台湾情勢に甘い幻想を抱いているのかもしれ
ない。

■「G2論」の空虚さ

米エール大のジェフリー・ガーテン教授は2月9日付の英紙フィナンシャル・
タイムズ・アジア版への寄稿で、「米国は10年前とは比べものにならないほ
ど弱体化している」と指摘。「中国のその凝り固まった立場から動かすことが
できる唯一の方策」は「多国間協定の網を作り上げること」であり、欧州や日
本、新興の大国と協力して当たるべきだと説いた。米国の威光の陰りと中国の
責任感のない対応は、「G2論」の空虚さを物語っている。

(Sankei IZA 2010/02/19)


輝かしい北京五輪の成功、リーマンショックを物ともしない経済の
大躍進、次々に中国企業の手に落ちる世界の資源、中国を更なる成
功に導く共産党の指導力、オバマ民主党政権ですら人権問題を指摘
できない程の政治的存在感、ダボス会議で世界に指導的エリートか
らも持て囃されるG2国家の旗頭、胡錦濤主席、温家宝首相。
2008年~2009年の中国は、まさに我が世の春を謳歌していて、全く
陰りがない印象すら与えていました。

しかし、2010年に入ってから、中国を取り巻く環境は一変しました。
コペンハーゲンで行われたCOP15を契機に、中国に対する欧米の風
圧が一変したのです。この会議で、中国は、ベネズエラやキューバ、
スーダンと言った反欧米国家を使って、米欧主導による二酸化炭素
排出規制合意を徹底的に阻みました。また、欧米各国が首脳を送っ
て合意形成に務めたのに対し、中国は交渉担当者しか派遣しないと
いう非礼を敢えてした上で、上記の様に交渉が暗礁に乗り上げる様
に影で糸を引いていた訳です。欧米各国から見て、黒幕は明らかで
あり、その非協調的態度は、欧米各国に中国異質論を再確認するも
のとなりました。

もともと中国の経済発展は、為替レートを市場実勢に任せず、意図
的に人民元を低く抑える事で、他国の市場を奪う近隣窮乏化政策に
よるものでした。また、2009年に鉄鉱石の価格交渉で、鉱山会社リ
オ・ティントの中国駐在員をスパイ容疑で逮捕勾留する等、非常識
とも言える価格交渉態度にでました。それに輪をかけたのが2010年
初に明らかになった中国からGoogleへのサイバー攻撃と違法アクセ
スです。一時は、中国当局の検閲を甘受してでも中国市場に進出し
ようとしたGoogleでしたが、この事実により撤退に向け舵を切りま
した。また、リオ・ティントは2010年の鉄鉱石の価格交渉プロセス
から最大需要家であるにも関わらず中国を排除し、日本との交渉結
果を中国に提示し、受け入れなければ中国への輸出を行わないとい
う態度に出るようになりました。

中国に対する更なる圧力になったのが、米国による台湾向けの武器
売却です。最新鋭戦闘機や潜水艦と言った派手な兵器の供与は手控
えられましたが、パトリオットPAC3は、明らかに台湾に向けられた
中国の弾道ミサイルから台湾を防御する事を目的にしたものでした。
記事にも取り上げられて様に、中台関係の緊張緩和にも関わらず、
戦力の増強を継続する中国に対するオバマ政権からの警告とも言え
る決定でした。

これに対し中国は、米国との軍事交流を停止する他、兵器を供給す
る企業を禁輸対象とする等、過剰反応とも言えるリアクションを見
せました。それに対し、オバマ政権も、今まで控えていたダライ・
ラマ14世との首脳会談を急遽実現する等、政治的エスカレーション
に進んできています。それは、米中二ヶ国による世界支配(パック
ス・シナエ・アメリカーナ)構想である「G2論」の幻想を吹き飛
ばすものであったと言えます。

我が国においても日本経済新聞グループや多くの左翼系メディアの
ように、中国の近年の経済発展に幻惑される企業や人士が多かった
のですが、一歩引き下がって冷静に考えれば、この動きは、まさに
第二次大戦直前に、ドイツの勢力拡大に眩惑され、バスに乗り遅れ
るなと、それまでの対英米協調路線から三国同盟へ国策を誤って行
った経緯を彷彿させる動きであると言えます。

それにしても、民主党政権が発足してから4ヶ月足らずであるにも
関わらず、与党の幹事長が、百数十人の国会議員を引き連れて中国
を訪れ、朝貢外交を行い、米国の大統領が、日本との付き合い方が
分からないと韓国大統領に愚痴る時代になってきました。

残念ながら、民主党には、最低でも、あと3年半、日本を自由に統
治できる権利が与えられています。その時間が日本にとって取り返
しのつかないものにならない様、心から祈りたいと思います。


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2010年2月18日木曜日

スター・ウォーズを意識した?国際宇宙ステーション「展望デッキ」



※写真上は、今回国際宇宙ステーションに設置された「展望デッキ」
野口聡一さんの簡易ブログ「ツイッター」より転載。
写真下は、映画「スターワォーズ」からミレニアム・ファルコン号の銃座

国際宇宙ステーションに「展望デッキ」設置

[ケープカナベラル(米フロリダ州) 15日 ロイター] 国際宇宙ステー
ション(ISS)に滞在する宇宙飛行士たちが、現地に「展望デッキ」を設置
した。デッキからは、ISSの全景のほか眼下に地球を一望することができる。

スペースシャトル「エンデバー」のクルーは、ISSのロボットアームを使用
し、イタリア製のモジュールである「キューポラ」を今回地球から持ち込んだ
モジュールの「トランクウィリティー」に接続する作業を行った。

ロボットアームの操作担当者はこれまで直接外の景色を見ることができず、カ
メラからの映像のみに頼って作業を行ってきたが、テリー・バーツ宇宙飛行士
によると、今回の新モジュール設置によって今後は視界が大きく広がるという。

(ロイター 2010/02/16)


映画「スター・ウォーズ」では、この多角形に中央が円形のデザイン
が結構出てきます。例えば、写真で示したミレニアム・ファルコン
号の銃座以外にも、同じミレニアム・ファルコンの操縦席も、八角
形の上半分が透明窓になった形ですし、ダースベイダーの搭乗機で
あるタイ・ファイターの操縦席がやはり、八角形になっています。
探せばもっとあるかも知れません。

材料工学の発展度合の違い(?)を反映してフレームの太さは大分違
いますが、今回、国際宇宙ステーションに展望窓を設置する上で、
隠れ(?)SFファンでもあるデザイナー氏が、意識して「スター・ウォ
ーズ」の八角形のモチーフを少し変えて採用したのではないかと思
いたい処です。

勿論、正式に照会すれば、展望デッキの形状について合理的な理由
が回答として返ってくるとは思いますが、宇宙ファンの多くは、多
かれ少なかれSFファンでもある可能性が高いと思いますので、デザ
イナーも仲間の一人と、国際宇宙ステーションに今までより少し多
めの共感を持って頂ければと思います。


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2010年2月17日水曜日

実用に一歩近づいたエアボーン・レーザー

※YAL-1 http://www.sargentfletcher.com/spp.htm より転載

上空からミサイル破壊実験成功=ジャンボ機でレーザー照射-米国防総省

米国防総省は14日までに、上空のボーイング747型ジャンボ機から高出力のレ
ーザーを照射して、発射直後の弾道ミサイルを破壊する実験に成功したと発表
した。ミサイル開発を進めるイランや北朝鮮をけん制する狙いもあるとみられる。

これは発射直後の上昇段階のミサイルを迎撃するエアボーン・レーザー(ABL)
計画の実験。宇宙空間を飛行(ミッドコース)中のミサイルを迎撃するイージ
ス艦搭載の海上配備型迎撃ミサイルSM3と合わせて、重層的な迎撃体制を構築
することを目指している。

(時事通信 2010/02/14)


地下サイロや移動式発射装置から打ち上げられ、上昇していく禍々
(まがまが)しいICBM(大陸間弾道弾)。上空を飛行するジャンボジェ
ット機。そのジャンボ機の機首から発射される一条の激光。
爆発するICBM。

といったSF小説に出てきそうな情景が浮かんできそうですが、実際
には、現時点のABLは、一撃で、ミサイルを破壊できるものでは、
まだまだ無いようです。現時点のABLが狙っているのは、ミサイル
の外殻をレーザーで熱する事で変形させ、それによってミサイルに
空気力学的な変形を生じさせ破壊に導くというものです。

これは、機上に搭載した燃料から化学反応を通して取り出す事が出
来るエネルギーの密度に限界がある事、また、レーザーを発射する
機体から標的であるミサイルまで空気中をレーザーが通過する事に
より、レーザーの減衰が発生し、ミサイルを瞬間的に破壊できる様
な熱エネルギーを伝達できないことによるものです。

加えて、ABLは、ミサイルの燃料がまだ消費されておらず、速力も
遅いブースト段階を狙いますが、その為には、レーザー発射機は、
ミサイルが発射される場所に可能な限り接近する必要があります。
しかし、ミサイル発射地点は必ずしも国境近くにはなく、場合によ
って相手国領空深く侵入せねばならず、接近する事自体が非常に困
難です。現在、レーザー発射機に使われているのは、ジャンボジェ
ット機ですが、ICBMやIRBMを保有する国が当然保有していると考え
られる近代的防空システムにとっては、比較的簡単に対処が可能な
目標である様に思われます。

勿論、対空システムに対処する為、レーザー発射機以外にも、電子
戦機や、護衛戦闘機が随伴しているかも知れませんが、そういう大
きな編隊を構成していれば、さらに発見は容易になります。そして、
その様な編隊の接近自体がミサイル発射を抑制させると思われるの
です。

今回の実験で、発射直後の弾道ミサイルを破壊する実験に成功した
事自体はABLの完成形に向けての大きなブレークスルーであると評
価できる様に思われます。しかし、対ミサイルレーザーの更なる高
出力化と小型化によって、スティルス機(例えばB-2)に搭載可能に
なれば、本来の使い方が出来るのでしょうが、今の状態では、まだ
まだ実験段階を超えていない様に思われるのです。


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2010年2月15日月曜日

空中警戒管制機の導入進む韓国空軍

※http://www.spyflight.co.uk/737aewc.htmから転載

やや旧聞に属しますが、今月9日に韓国空軍向けの737型空中警戒管
制機の一号機がボーイング社から韓国に引渡されました。但し、こ
の機体は、MESAレーダを装備していないクリーン状態のもので、
これから韓国内で、ノースロップグラマン社製のレーダーと制御装
置、管制卓等を一年をかけて装備される見込みです。以下、これを
報じたUPIの記事を抄訳しました。

韓国が最初の早期警戒機を入手

ボーイング・インテグレーティド・デフェンスシステム社(ボーイングIDS社)
は、空中警戒管制機四機の内の最初の一機を韓国に引渡した。
韓国防衛調達計画監督庁の声明によれば、韓国のKAI社が、来年の韓国空軍へ
の最終引渡しに備え、機体の改造を担当する。
この改造作業の中で、KAI社は、ノースロップ・グラマン社のLバンド多目的電
子スキャンアレーレーダーを装備する。

三年前に締結された16億ドルの計画の下で、ボーイングIDS社は2012年までに
四機の737早期警戒機を韓国に引き渡す事になっているが、その2012年には、
米軍から韓国に戦時作戦統制権が引渡される事が予定されている。

韓国には北朝鮮からの侵攻の可能性に対処する為に、28500名の米軍が駐留し
ている。南北朝鮮は、1950-53年の朝鮮戦争以降、平和条約ではなく、休戦協
定によって戦争が停止されており、理論的には、戦争状態が続いている。

最初の737型機は、シアトルのボーイング社施設から韓国南部の泗川市にある
KAI社施設に空輸される。
41000ftの高度を最高速度340ktで飛行する能力を持つ同機は、管制乗員向けに
6基の共通管制卓を持つ。専門家によれば、その柔軟性と支援能力は、民間機
の航空管制によく似ていると言う。
「737型空中早期警戒管制機は、韓国が、米国から戦時作戦統制権の移譲を受
け、独自の情報集約と探査監視能力を構築する上での核となる役割を果たす事
になろう」とディフェンスニュース紙は述べている。

この機体は、戦闘機による迎撃や地上の目標物へ低空で侵入する戦術空軍の攻
撃を空中で管制し統制する役割を果たす能力を保有している。
この機体は、この小さな共和国が、無人機、RF-4C偵察機、Hawker800型機によ
る偵察航空団を構築する計画の一翼を担う事になる。

(UPI通信 2010/02/09)


空中警戒管制機は、空軍の主要な戦力倍増要素の一つと言われてい
ます。米国、NATO、日本は、ボーイング707や767をベースとしたE-3、
E-767AWACSを装備していますが、この機体は、新しいだけあって、
E-3とE-767のロートドームとは異なり、レーダーアンテナは可動部
のない固定式の電子走査レーダーを搭載しており、機体は小さいも
のの能力的には既存のAWACSと遜色がないと見られています。
元々は、オーストラリア空軍向けに開発され、韓国空軍の他、トル
コ空軍も導入を予定しています。
(なお、似たような電子スキャンレーダーを持った早期警戒管制機
を中国も開発中です。)

今まで、この種の早期警戒管制機は、北東アジアでは、日本と米国
しか保有していませんでしたが、今回の韓国の737型空中警戒管制
機導入により、日韓の空軍戦力の格差は大幅に縮小する事になるも
のと思われます。

勿論、ハードウェアとしての空中警戒管制機を導入するだけで戦力
が倍増する訳ではなく、空中警戒管制機の能力を100%引き出す為に
は、実際の運用経験を重ねる必要があるのですが、韓国が徐々にそ
の能力を高めていく事は間違いありません。

韓国は、この処、経済危機にも関わらず、陸海空戦力の近代化を急
速に進めています。過去10年、日本は、隣国の軍備拡張や近代化
に関係なく独自の基準で軍備の整備(特にMD整備)を進めてきまし
たが、戦力が相対的なものである以上、そろそろ、北朝鮮以外の隣
国の動きにも対抗したMD以外の戦力整備を行う必要が出てきてい
る様に思われてなりません。


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2010年2月12日金曜日

潜水艦建艦競争が激化するアジア。惰眠を貪る日本?

※朝鮮日報Webサイトより転載

太平洋で激化する潜水艦競争
太平洋の海面下で各国による潜水艦競争が激しくなっている。


米国の保守系シンクタンク・ヘリテージ財団は今月2日に発行した報告書で、
米海軍が衰退する中で、中国と韓国による潜水艦戦力の増強が注目される、と
指摘した。2025年には太平洋で、米国の攻撃型潜水艦は30隻から27隻に減るの
に対し、中国は78隻、韓国は26隻を保有することになるからだ。

同財団のマッケンジー・イーグレン氏とジョン・ローデバック氏は、共同で
『Submarine Arms Race in the Pacific』と題した報告書を作成し、各国の戦
力変化について指摘した。その中で、米国とロシアは退潮、中国と韓国は浮上、
インドやオーストラリアなどが新たに登場すると要約した。太平洋で主導権を
握ろうとする沿岸各国が、相次いでディーゼル潜水艦や原子力潜水艦、巡航ミ
サイル潜水艦(SSGNs)、弾道ミサイル潜水艦(SSBNs)など攻撃型潜水艦を増
やしているとされる。

中でも中国の成長ぶりは著しい。英紙フィナンシャル・タイムズは、中国海軍
は兵力25万5000人、駆逐艦26隻、フリゲート艦49隻、揚陸艦58隻を保有し、規
模の面では既に世界的水準にあると評価した。特に、1995年からは潜水艦の建
造に集中し、2005年までの10年間に31隻を新たに建造した。現在は原子力潜水
艦6隻やディーゼル潜水艦50隻など、計60隻を保有している。

韓国の潜水艦数も大幅に増加した。1993年に209級(1300トン級)の「張保皐
(チャン・ボゴ)艦」を導入して以降、昨年末に配備された214級(1800トン級)
の「安重根(アン・ジュングン)艦」に至るまで、合計12隻を保有している。
また、2012年から2018年までには214級6隻、排水量3000トン級の新潜水艦9隻
などを独自開発し、保有隻数の面では中国に次いでアジア第2位となる。

注目はオーストラリアとインド。両国は、自国の海軍力強化が不可避だと主張
する。これは、アジア太平洋地域で米国の軍事的優位が失われ、中国の海軍力
が急成長しているからだ。オーストラリアは現在6隻ある潜水艦を12隻へ、イ
ンドは17隻を24隻へ拡大する計画だ。その一方で、既存の戦力の維持すら手に
余るロシアと、戦力増強の意思がない日本、旧式の潜水艦を保有する北朝鮮に
ついては、今後大きな影響力はないものと分析した。

米国は、『2010QDR』(4年ごとの国防計画見直し)で、「広い範囲の地域に海
軍力を配備し、軍事力の投射を継続する」と宣言した。そのためには、「潜水
艦基地をハワイやグアムなどに前進配備し、同盟諸国との作戦遂行能力を強化
するとともに、対潜水艦兵器の開発が必須となる」とヘリテージ財団は強調した。

(朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2010/02/06)


記事で言及されているThe Heritage Foundationの報告書は以下で
参照する事ができます。

Submarine Arms Race in the Pacific:
太平洋での潜水艦軍拡競争
The Chinese Challenge to U.S. Undersea Supremacy 
米国の水中での優位に挑戦する中国
http://www.heritage.org/Research/NationalSecurity/bg2367.cfm

まさに表題の通りなのですが、報告書の内容を要約すれば、増大す
る中国の潜水艦戦力に対し、減少していく一方の米海軍の潜水艦戦
力を嘆き、このままでは、米国はアジア太平洋地域で、米国が望む
作戦行動を展開する事が出来なくなるのでは警鐘を鳴らしています。
その中で、中国の戦力拡充に対し、ロシアと日本を除くアジア太平
洋諸国が、潜水艦戦力を拡充し対抗している事を指摘しています。
いわんや米国おやという訳です。

大筋では、論文の内容は首肯できるのですが、多少割り引く必要の
ある部分もあります。その一つは、中国の潜水艦戦力です。ヘリテ
ージ論文では2025年の攻撃型潜水艦の隻数を78隻としていますが、
globalsecurity.orgでは、5隻の戦略原潜と二隻の試験艦を含む
2020年の潜水艦戦力全体で78隻としています。また、この中には、
明級潜水艦12隻が含まれているものと思われますが、このクラスは、
1970年代後半から建造が開始されたもので、近代化改装も行われて
いますが、流石に2020年には、有効な戦力とは言えなくなっている
様に思います。この様な老朽艦や試験艦を差し引くと、2020年段階
では、宋級、元級、キロ級攻撃型潜水艦と商級攻撃型原潜の合計で
ある60隻を比較対象とするべきと考えます。

また、韓国の潜水艦戦力についても、2009年の12隻から2025年に
26隻と二倍以上に増加するとしていますが、この数は、チャン・ボ
ゴ(209)級9隻、ソン・ウォンイル(214)級9隻、KSS-III級8隻を
指している様ですが、KSS-III潜水艦の就役は、2020年からで、そ
の時には、チャン・ボゴ級の艦齢は、25年を超える事から、韓国海
軍はチャン・ボゴ級をKSS-IIIで更新するものと考えられます。
従って、韓国の潜水艦保有隻数は、2025年でも18隻と考えるのが正
しい様に思われます。

この様な、指摘はありますが、潜水艦戦力の近代化を中国が着実に
実行しているのは確かですし、その脅威の増大に対して、アジア太
平洋諸国が対抗しつつあるのも事実です。特に、今まで潜水艦を配
備していなかったベトナムがロシアから6隻のキロ級を導入したり、
マレーシアが、最新鋭のスコルピオ級を増勢しようとしている点、
過去長期に亘って6隻を維持してきた潜水艦隊の倍増を決定した豪
州、ロシア製と国産の原潜を整備し、日本を凌駕する24隻の攻撃型
潜水艦を整備しているインドが注目されます。また、隻数では変わ
らないものの、シンガポールやインドネシアも既存艦の更新や近代
化を実施したり、計画したりと、アジア・太平洋地域は潜水艦に関
しては、世界でも、最もホットな地域になっているのです。

その中で、一見、中国の戦力拡大を全く無視している様に見えるの
が、我が国です。ヘリテージの論文でも、日本は脅威の増大に反応
せず、歴史的な潜水艦枠である16隻を維持するものと予想してい
ます。しかし、実際には、潜水艦そのものは、そうりゅう型の着実
な増勢で能力が向上すると共に、5番艦以降では新型電池装備とな
る事で戦力は格段に強化されます。また、中国の場合は、広大な東
シナ海と南シナ海に面しており、ソ連の時の様なチョークポイント
での待ち伏せが見込めない事から、潜水艦の多少の増勢よりも、寧
ろ、P-2哨戒機の実戦化と配備により、中国潜水艦を検知し、追跡
する能力の向上や、P-2が最大8基装備できる対艦ミサイルによる
中国のシーレーンを威圧する効果の方が、より効率的であると海自
は考えているのかも知れません。


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2010年2月10日水曜日

強襲揚陸艦購入で西側技術の導入に向かうロシア

※ミストラル艦上に着艦したロシア海軍のKa-29強襲輸送ヘリコプター
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/40566572.htmlより転載

ヘリ空母機能持つ仏最新鋭艦、露に売却へ

フランス国防省高官は8日、ロシア政府が購入を打診していた仏海軍の最新鋭
強襲揚陸艦「ミストラル」級(排水量2万1300トン)について、ロシア向
けに1隻を売却する方針を表明、さらに3隻の建造を検討中であることを明ら
かにした。ヘリコプター空母としての機能を持つ攻撃型艦船を北大西洋条約機
構(NATO)加盟国がロシアに売るのは極めて異例。米国やバルト海沿岸の
NATO加盟国に加え、グルジアなどが安全保障上の懸念を表明している。

ロシアは2008年夏にグルジアに侵攻した際、兵員派遣に手間取った経緯が
あり、大量の要員や装備品をヘリで短時間に前線展開できるミストラル級への
関心を強めたとされる。購入は、ロシア軍の展開能力を高めることになるため、
ロシアの周辺国が仏政府に対して懸念を通告していた。

訪仏中のゲーツ国防長官は8日、フランスのモラン国防相と会談した際、「東
欧やバルト海などロシアと接する国々が懸念している」と伝達した。

ミストラル級の推定価格は1隻あたり最大5億ユーロ(約650億円)。仏政
府が売却に応じたのは武器輸出による外貨獲得に狙いに加え、NATO内にあ
っても仏独自の軍事戦略を維持しようとする仏政府の姿勢の表れと見られている。

(読売新聞 2010/02/09)


旧ソ連は、第二次大戦後、様々な種類の艦艇を設計、建造しました
が、最後まで物になら無かったのが、空母と強襲揚陸艦でした。
長くソ連海軍の司令官の職にあったセルゲイ・ゴルシコフはその著
書「海軍戦略」の中で、揚陸戦の重要性について繰り返し述べてい
ますが、実際には、ロシアが大規模な揚陸戦を行ったありませんで
した。その為、揚陸戦の実際について経験が乏しかった事から、建
造した揚陸艦艇も、アリゲータ級の様に米国が第二次大戦時に建造
した戦車揚陸艦(LST)の二番煎じの様な艦や、イワン・ロゴフ級の
様な、中途半端な揚陸艦になってしまいました。

旧ソ連時代には、兵器の開発と製造に人的、物的資源を優先して配
分し、全てを自国開発兵器で揃える事ができましたし、ソ連崩壊後
は数少ない競争力を持つ分野として比較優位を維持出来ていました
が、ロシアが、資本主義経済をもとにした民主主義体制になり、兵
器についても、国際競争の下に置かれる様になった事で、兵器製造
の点でも比較優位が維持できる分野は徐々に縮小してきました。

その中で、ロシアの水上艦艇建造能力は、長年の予算不足の影響も
あって、旧ソ連時代の艦艇設計・建造能力を維持できておらず、
インドと契約したキエフ級空母四番艦アドミラル・ゴルシコフ改め
バクーの売却に伴なう改造も、工期、費用共に大幅な超過を余儀な
くされている状況にあり、特に大型艦艇の建造能力には、疑問符が
つく状態になっているのです。

その様な視点から見れば、今回の「ミストラル」級強襲揚陸艦のフ
ランスからの購入は、ロシア海軍にとって、一番弱く、経験の乏し
い部分を補う上で、非常に合理的な選択であると言えます。その上、
艦艇設計や建造に関わる、西側の設計思想や技術、また最新艦艇に
は必須のC4ISR関連機器やシステムについて、西側技術を大幅に取
り込む事ができると考えられます。今回の契約でロシアがどこまで
電子技術導入を行うか不明ですが、場合によっては、従来のロシア
国産の電子機器・電子兵器に代わって、西側の兵器体系が、ロシア
艦艇に搭載される様になる可能性すらあると考えられるのです。

ヨーロッパ諸国は過去に、中国に、艦艇や技術を売り込んだ事もあ
り、中国の艦艇のCIC設備はイタリア製とフランス製機器のライセ
ンス生産品が混在していると言いますが、ロシアについても、同じ
道を辿るのかも知れません。


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2010年2月9日火曜日

ペイリン発言を軽視するな。日米関係は確実に悪化している!

※産経新聞Webサイトから転載

日米関係「最悪の状態」=オバマ外交を批判-ペイリン氏

2008年の米大統領選で共和党の副大統領候補だったペイリン前アラスカ州知事
は6日、南部テネシー州で開かれた保守派連合「ティーパーティー」の全国大
会で演説した。オバマ大統領の外交政策を批判し、日米関係について「日本は
アジアの重要な同盟国なのに、最悪の状態になっている」と述べた。

北朝鮮やイランに対する外交方針に関しても、「オバマ大統領はこの1年間、
敵対する体制に手を差し伸べているが、成果を上げていない」と指摘した。
また、経済対策について、「オバマ大統領とペロシ下院議長の政策は、国の負
債を拡大させ、国を危険にさらす」と批判した。さらに、マサチューセッツ州
連邦上院議員補欠選挙での共和党の勝利は、一層良いことが起きる兆候だと指
摘し、「米国は新たな革命の準備ができている。みなさんはその一翼を担って
いる」と呼び掛けた。

(時事通信 2010/02/08)


大石英司氏の様な民主党を支持する有力なブルガーの中には、普天
間問題を始めとする日米の外交上の不協和音について、あの程度は
米軍が駐留する他国では当たり前の様に起こっており全く問題にな
らないと述べ、殊更に、その影響を過小評価しようとする方がいます。

鳩山民主党政権の外交上の失点と捉えられるのを避けたいという意
向の現れとも思われますが、やはり、鳩山民主党政権発足後、日米
関係は確実に悪化している事は、明確に認識する必要があります。

ペイリン氏の事を、外交を知らない半素人の政治家と揶揄する向き
がありますが、逆に言えば、その様な半素人の目にも日米関係の悪
化がはっきり見える様になっている訳で、日米関係の悪化はそれ程
深刻であると言えます。

二国間関係は、首脳レベル、政府レベル、政党レベル、政治家レベ
ル、企業レベル、国民レベルと重層的な関係になっていますので、
首脳レベルや政党レベルが悪化していても、それ以外のレイヤで強
固な信頼関係があれば、なお、関係悪化を表面化させずにすみます。
日米関係の現状は、首脳レベルや、政党レベルで悪化しているのを、
政府の上級官僚のレベルで悪化を食い止めようとしている段階であ
る様に思います。

しかしながら、例えば、トヨタ問題の様に、日米関係が良好であれ
ば、単なるリコール問題ですんだものが、米国の経済不安の捌け口
としてスケープゴーツ(生贄羊)にする様な動きを米国政府、とりわ
け政治家である運輸長官がとっているのは、日本をその様に扱って
良いと米国政府や政権党が考えている事を示しています。

この様な事態は、小泉-ブッシュ時代には考えられなかった事です。
勿論、共和党時代でも、経済摩擦や貿易摩擦は存在していましたが、
その影響を両国関係全体に波及するのを避けようとする方向に日米
両国政府によるベクトルが働いていました。しかしながら、現在は
そのベクトルが両国で弱まっています。

昨年のCOP15以降、固くなに欧米との協調を拒否しながら近隣窮乏
化政策を続ける中国に対して、欧米各国で中国異質論が表面化して
いるのが、2010年の国際政治の顕著な変化です。オバマ政権も、そ
れまでの協調一辺倒の対中政策から、中国と対抗する事も避けない
方向に外交政策を転換しつつあります。その様な世界的な認識転換
が行われている中で、政権党の書記長(幹事長の英訳はThe chief
secretaryは書記長、総書記になります)が、国会議員百数十名を引
き連れ中国の国家主席に謁見させるのは、日本の外交政策が、大き
く中国に傾斜しつつある事を示すものと米国政府が認識した事に間
違いありません。

この状況は、連戦連勝のナチドイツに擦り寄り、三国同盟を結んで
英米に敵対する事になった第二次大戦直前の状態を、擦り寄る相手
をドイツの代わりに中国にするだけで繰り返している様な気がして
ならないのです。そして、米国が日英同盟破棄に外交努力を傾けた
のと同様に今度は、中国が日米同盟破棄に外交努力を傾けていると
言う訳です。

鳩山首相の外交ブレーンである日本総研の寺島実郎氏が普天間問題
で調整を図ろうと訪問したワシントンで米政府高官から総スカンを
喰らったのは、日米中二等辺三角形外交の提唱者であり、日米同盟
を破棄を画策する中国の手先と目されたからに他なりません。

鳩山首相が意図してかどうかは分かりませんが、結果として、オバ
マ大統領の信頼をトラストミー事件で失った他、訪日中のオバマ大
統領を置き去りにしてシンガポールに出発する等、表面上の言葉は
どうであれ、オバマ大統領に鳩山首相の信頼性について強烈な印象
を与えたと考えるのが普通です。

今回のペイリン前アラスカ州知事の発言は、日米関係の悪化をオバ
マ政権の失政として批判するものですが、冷静に見れば、日米政府
間合意を破棄しようとしている点で、日米関係悪化の原因と責任が
日本側により大きい事は明確です。それだけにペイリン発言は、寧
ろ、今後、方向を変えて米国の政治家、米国民の非難の矛先を中国
と同時に日本に向ける切っ掛けになる可能性すらあるのではと懸念
されるのです。


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2010年2月8日月曜日

IRBM(中距離弾道弾)配備を推進するインド

※アグニ3の発射実験。「弾道ミサイル及び巡航ミサイルの脅威」から転載

インド、弾道ミサイル発射実験成功 中距離「アグニ3」

PTI通信によると、インド国防省筋は7日、核弾頭搭載可能な中距離弾道ミ
サイル、アグニ3(射程3千キロ)の発射実験を同国東部オリッサ州沖の島で
実施し、成功したと明らかにした。アグニ3は中国の主要都市の一部を射程に
入れる。

インドのアグニ3発射実験は今回が4回目。2006年7月の最初の実験は失
敗したが、07年4月と08年5月の実験はいずれも成功している。(共同)
(産経iza 2010/02/07)


現在、インドが配備しているアグニ2は、MRBM(準中距離弾道弾)
の射程である1250マイルの射程距離しか持っていない事から、中国
の一部を射程に収めているとは言うものの、まず、パキスタン向け
と言って良いと思います。

これに対し、今回で4回目になるテストを成功させた、アグニ3は
名前こそ、アグニ2と似ていますが、実は、全く異なるミサイルです。
アグニ2が、細長い、如何にも、射程を延長する為に、ロシア製の
SCUDを二段重ねにした様に見えるのに対し、アグニ3は直径がより
大きく、将来ICBM(大陸間弾道弾)に発展する余裕を持たせたミサイ
ルとして開発されている様に思われます。

アグニ3の射程を、米国は2000マイル以上と見積もっていますが、
この射程は、アグニ2に比べ約倍近いとはいうものの、中国の全域
を納めるのに不十分であり、中国向けの弾道ミサイルとしては、中
途半端な印象は免れません。従って、配備当初は、現状の射程距離
であっても、配備後には、更に射程を延長するものと見込まれてい
ます。

インドの弾道弾配備が進むと、実は我が国にも影響が出てきます。
つまり、インドの脅威を受ける様になる中国ですが、対抗上、イン
ドを射程に納めるミサイルを配備する必要が出てきます。インドが
配備可能な弾道ミサイルとしては、アグニ2と同程度の射程を有す
るCSS-2,CSS-5を前進配置するか、貴重なICBMの一部をインド向け
に振り向けるしかありません。

恐らくは、当面は、配備数に余裕のあるMRBMの前進配置で対応し、
その内に、射程3000マイル程度のミサイルを配備するものと思われ
ますが、元々、射程の長いCSS-5の長射程型は、日本向けと見られ
ていました。この為、一時的とは言え、中国の日本向け核戦力の脅
威が、低下する可能性があるのです。

また、相互抑止の観点からすれば、中国にとって、アメリカやロシ
アは、核抑止ゲームのベテランであり、ある意味で中国が見習うべ
きゲームの師匠とも言え、相互抑止の信頼性が高かったのに対し、
中国がゲームに習熟した時、新規に参入するインドやイラン、北朝
鮮の様な、核ゲームの素人は、行動が予測できずリスクが高まる事
になります。中国にとっては、相互確証破壊(MAD)戦略による相互
抑止が効きにくくなる事になります。それへの対抗策としては、核
ミサイルに多めに配備すると同時にMDを配備する事になります。

中国は、今年1/11にMD実験を行っていますが、このMDの対象は、
インドという事なのかも知れません。中国はかって、日本のMD配
備を地域軍拡を促進すると非難してきましたが、インドの核戦力の
充実によって、日本にとっての北朝鮮の核ミサイルがMDを促した
のと同様の立場に立つことになったのは、如何にも皮肉な結果であ
る様に思われるのです。以前、日本のMDを非難した誰かさん達は
中国のMD配備を非難しないんでしょうか。


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2010年2月5日金曜日

福徳岡ノ場4年半ぶりに噴火 新島できるかな?


※第四紀火山データベースから転載
中央下の尖った島が南硫黄島。その上の平坦な頂上を持った高まりが福徳岡ノ
場、その更に上の高まりは、北福徳堆(たい)。

海底火山 福徳岡ノ場が噴火 4年半ぶり 南硫黄島沖

3日午前7時45分ごろ、南硫黄島(東京都小笠原村)の北北東約5キロにあ
る海底火山「福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)」から白煙が立ち上っているの
を第3管区海上保安本部(横浜市)の巡視船が見つけた。05年7月以来約4
年半ぶりの噴火で、火山活動が活発化している。

3管によると、現場は東京の南約1300キロ。1904年、14年、86年
の3回、海底が隆起して新島を形成したが、いずれも海没した。50年ごろか
ら常に海域が変色しており、昨年12月にも黄緑色に変わったことが確認され
ていた。

(毎日新聞 2010/02/03)


福徳岡ノ場は、日本の海底火山の中でも有数の活発な活動を行って
いる火山です。直径10km、高さ2000mを超える北福徳カルデラの中
央火口丘です。ちなみに南硫黄島は、それ自体は成層火山ですが、
カルデラ縁にできた寄生火山と言える様に思われます。これは福徳
岡の場の北に位置する北福徳堆も同様です。

福徳岡ノ場の活動は活発と書きましたが、火山活動に起因する変色
域の出現は殆ど毎年の事であり、噴火も20世紀に入って以降、7回
起こっています。1904年、1914年、1973年、1974年、1986年、1992
年、2005年の7回で、今回の噴火は8回目と言う事になります。

(1974年以降は、12年+6年の合計18年の噴火サイクルがある様にも見
えます。その噴火サイクルからすれば、今回の噴火は予定より1年
早かったと言えるのかも知れません。)

この内、1904年、1914年、1986年には新島が出現しています。これ
らの新島は、いずれも新硫黄島と命名されています。今回もし、島
が出現しても、同じ名前になるものと思われます。

1914年の際には、一時、高さ300m、周囲11.8kmの堂々たる島に成長
しました。しかし、これは翌々年には消滅しています。一番最近の
1986年の新島も、わずか二ヶ月ほどで消滅しています。

硫黄島の北に位置する西ノ島の1973~74年噴火でもそうでしたが、
火山弾や火山礫が集積しただけの火山島は、太平洋の荒波によって
比較的簡単に侵食されてしまいます。火山島として半永久的に残る
為には、溶岩の噴出でよって、火山礫がしっかりと火山本体に溶着
しなくてはならないのです。

今回の噴火で、新島が出現するかどうかは、五分五分と言った感じ
ですが、新島が島として残る為には、溶岩噴出があるかどうかにか
かっていると言って過言ではない様に思われます。

なお、福徳岡ノ場は、硫黄島の南南東55km、南硫黄島の北北東5kmに
位置しており、完全に我が国の領海内にあります。従って、我が国
にしか領有権がありません。どこかの国が勝手に領有権を主張する
事はありませんのでご心配なく。もっともその分、EEZ(排他的経済
水域)が今以上に広がる事もありません。


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2010年2月4日木曜日

北朝鮮デノミ失敗のつけ

※北朝鮮新ウォン紙幣 http://www.kaigai-kouza.com/repo...t_5.html より転載

北朝鮮デノミ:貨幣改革失敗で朴部長解任=日本メディア

毎日新聞は3日、北朝鮮の朴南基(パク・ナムギ)労働党計画財政部長(76)が、
昨年12月に断行された貨幣改革の失敗に関する責任を問われ、先月20日ごろ解
任されたと報じた。同紙は「北朝鮮政権に近い関係者」の言葉を引用し、中国・
北京発の記事でこうした内容を報じた。

同紙は、金正日(キム・ジョンイル)総書記が昨年、住民の労働力を総動員し
た「150日間戦闘」などを挙げ、「デノミネーション(貨幣呼称単位の変更)
の失敗で、(150日間戦闘などの)成果が台無しになった」と語った、と伝えた。

また同紙は、金総書記が朴南基部長の解任を指示したほか、映画や舞台公演を
担当する崔益奎(チェ・イクギュ)労働党映画部長も同時期に解任したと報じた。

この日、韓国の安全保障部局の当局者は、北朝鮮経済を24年間率いてきた朴南
基部長の失脚情報に関連し、「北朝鮮が貨幣改革の失敗を自ら認めたという意
味だ」と語った。「金総書記が激怒したようだ」(北朝鮮消息通)という話も
出ている。

朴南基部長は1986年12月、人民経済を総括する国家計画委員長に登用されて以
降、北朝鮮の計画経済を最前線で指揮してきた。2000年代初めに金総書記が市
場経済の要素を一部導入した際には、朴奉珠(パク・ボンジュ)首相に押され
たこともあったが、市場の弊害が続出したことを受け、05年7月に党計画財政
部長へと復帰した。朴南基部長は06年末、金総書記に対し、「内閣(朴奉珠首
相)が資本主義の幻想を抱いてだめにしたものを直し、再び社会主義の原則に
依拠した経済管理制度を確立する」と報告した。翌年07年4月、朴奉珠首相は
解任され、順川ビナロン(北朝鮮が命名した合成繊維)連合企業所の支配人に
左遷された。

朴南基部長は昨年、金総書記の現地指導に123回随行したが、今年は先月3日以
降、1カ月以上にわたり金総書記の随行者名簿から除かれている。一部では、
朴南基部長は貨幣改革失敗の「スケープゴート」だという分析を提起していた。
幹部クラスのある脱北者は、「90年代中盤に大規模な餓死が起こり、民心が悪
化したことを受け、金総書記は党の農業秘書である徐寛熙(ソ・グァンヒ)を
米国のスパイだと決めつけ、平壌市民の目前で公開処刑し、自分に向けられた
住民の不満を徐寛熙にかぶせたことがある」と語った。

今回の貨幣改革も、実務は朴南基部長が担当していたが、金総書記の指示によ
り、金総書記の三男ジョンウン氏の後見人として知られる張成沢(チャン・ソ
ンテク)労働党行政部長が主導したと分析されている。貨幣改革の失敗に伴う
住民の不満が金総書記や張行政部長に集中することを防ぐため、朴南基部長を
犠牲にした、と観測されている。

一方、毎日新聞の「崔益奎・労働党映画部長更迭」報道と関連し、北朝鮮消息
通は、「まだ不確実な情報の水準で、はっきりしていない」と語った。反面、
韓国政府の当局者は、「崔益奎部長は住民に対する宣伝・扇動業務も担当して
いただけに、貨幣改革を住民にきちんと広報しなかったという責任を問われた
可能性もある」と語った。

(朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2010/02/04)


蜥蜴の尻尾切りそのものと言われても過言ではないでしょう。今回
のデノミが、金正日の指示と承認の下に行われたのは、確実ですが、
この最高指導者が政策の責任を問われる事は有り得ません。従って、
直接実務を担当する分野の責任者が代わりに責任を取らされると言
う訳です。

前回の市場経済化?の失敗については、首相が責任を取らされたの
に対し、今回は、労働党計画財政部長ですから、格下が責任を取ら
された形になっていますが、これは、記事にも書かれている通り、
責任者が、金正日の妹婿であり、責任を問う訳にいかず、また、そ
れ以外の上級幹部も上手く責任逃れができた結果と言えそうです。

あるいは、デノミによる混乱は、市場経済化?ほど、社会主義経済
の原則に対して大きな影響ではなかったと評価しているのかも知れ
ません。

確かに、市場経済化の行き着く所、中国の様に、資本主義と変わる
処がない様になってしまうのに対し、今回のデノミは、市民の混乱
こそ引き起こしたものの、市中に退蔵されていた旧紙幣を無効化す
るという目的は果たされており、国民の混乱や、経済困難は一時の
ものと割り切る事ができているのかも知れません。

これに関連して、面白いニュースがサーチナで流れています。最近
になって、労働者への給与が旧ウォンと同じ金額の新ウォンで支払
われており、給与が100倍になったと喜ばれているというものです。

これは、デノミ実施後、わずか二ヶ月で価格が100倍になったと言
う事であり、噂されていた激しいインフレが事実として裏付けられ
たものと言えるでしょう。

今回のデノミでは、10万ウォン以上の新ウォンの交換は許されてお
らず、自由市場での商売を通じて市中に蓄えられていた旧紙幣によ
る蓄財をデノミによって国家が取り上げる事が目的の一つになって
います。労働党員や、政府幹部は、外国の銀行に外貨口座を持って
おり、デノミの影響はなかったと言われています。

その一方で、旧貨幣が無効になることが判った時点で、強烈なイン
フレが発生することの影響は無視されていたと言えます。何故なら
ば、無効になるのは、旧ウォンであり、それは予定されたものだっ
たからです。しかしながら、影響は旧ウォンに留まる事はありませ
んでした。旧ウォンが無効にされそうになった段階で物に対する巨
大なニーズが発生します。その結果として売り惜しみが発生し、そ
れは、新ウォンに対しても当てはめられる事になります。物の供給
が、紙幣の発行量に対して少なくなれば、当然インフレになります。

これに加え、新ウォン紙幣の供給が遅れた事で、経済がますます混
乱する事になりました。旧貨幣は無価値なので売買に使用できず、
新貨幣はないのですから、物を買うには物を使うしかありません。
北朝鮮は貨幣経済から物々交換経済に退歩する事になりました。

経済の混乱を見て、新ウォンの交換限度を緩和する彌縫策は、次の
規制緩和を予想させる事で、更に売り惜しみを拍車をかけ、新ウォ
ンに切り替わって後も、インフレを亢進する事になりました。

この様な経済的混乱は、物資の売り惜しみの形で、まだ継続してい
ます。既に、餓死者の発生が、報道されていますが、基本的には物
資退蔵が続く限り、インフレと経済の混乱は継続する事になります。
解決法は、貴重な外貨の流出になってしまいますが、政府による、
物資の中国からの緊急輸入しかありません。そして、それを新ウォ
ンで安価に供給し、新ウォンに対する信頼を回復するしかないと思
われます。

旧ウォンを無効にした事で、巨大な購買力が政府に移転されたので
すから、政府には、それを行う義務がある筈です。そして、それを
行わない限り、北朝鮮が再度、貨幣経済に完全に復帰する事はない
と思われるのです。(貨幣価値が不安定な場合、蓄財の対象として
は物資を選択するしかない為。) そして、それまでの間、北朝鮮
国民の困窮はまだまだ継続すると思われるのです。


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2010年2月3日水曜日

韓国、初の外洋機動艦隊を編成

※朝鮮日報Webサイトより転載


韓国軍:「機動戦団」創設、大洋海軍時代の到来
世界全域で作戦遂行、世宗大王艦など「先端戦闘艦」7隻で構成


有事の際、世界全域のいかなる軍事的状況においても迅速かつ完ぺきな作戦遂
行ができるよう、イージス艦や大型駆逐艦などによる韓国海軍初の「機動戦団」
が、1日に創設された。韓国海軍はこの日、釜山の海軍作戦司令部で、丁玉根
(チョン・オククン)参謀総長が主管する、初の機動戦団「第7機動戦団」の
創設式を挙行した。

1945年、海防兵団という名前で第一歩を踏み出した韓国海軍は、装備する艦艇
が小さくて古く、主として韓半島(朝鮮半島)近海で作戦を遂行することしか
できなかった。しかし2002年以降、世界のどこにでも出動し、作戦を展開でき
る4500トン級の韓国型駆逐艦(KDX2)が続々と進水し、「艦艇の花」と呼ばれ
るイージス艦「世宗大王艦」(7600トン級)までを保有するに至り、今回大洋
海軍として活動できる機動戦団を創設することになった。海防兵団として出発
してから、実に65年目にして実現した。

機動戦団は、有事の際に南北間の衝突はもちろん、マラッカ海峡など韓国の主
要な海上物資輸送路の保護作戦、世界の主要な紛争地域での国連平和維持活動
(PKO)の支援作戦を展開できる、一種の戦略機動部隊だ。平常時は韓国の近
海で北朝鮮の挑発に対応するなど、韓半島内の有事に備えつつ、必要があれば
世界のどこにでも出動し、作戦を展開する「戦略的柔軟性」を備えた戦力だ。
この日の創設式で丁海軍参謀総長は、「機動戦団の創設は、沿岸海軍から大洋
海軍に本格的に発展していることを示す信号弾」と強調した。

機動戦団の創設は、中国や日本など周辺の大国が1990年中盤以降、海軍力の増
強に拍車をかけていることにも影響を受けた、と評価されている。離於島や独
島(日本名:竹島)などをめぐる海洋紛争の可能性に備え、また原油・穀物・
原材料など韓国の主要な戦略物資の99-100%が海を越えて輸入されているこ
とを考慮し、海上輸送路の保護のためにも機動戦団の必要性は高い、と海軍関
係者は説明した。

現在、第7機動戦団は海軍初のイージス艦「世宗大王艦」、忠武公李舜臣(イ・
スンシン)艦など4500トン級の韓国型駆逐艦6隻を合わせ、計7隻の大型水上艦
で構成されている。韓国海軍が保有する艦艇の中で最も大きく、強力な戦闘艦
がすべて属している。第7機動戦団は71・72の2戦隊に分かれ、釜山および鎮海
海軍基地に配備される。今年8月にイージス艦2番艦「粟谷李珥(イ・イ)艦」
が実戦配備されれば、各戦隊はイージス艦1隻、4500トン級駆逐艦3隻で構成さ
れる。2012年に配備されるイージス艦3番艦、2019年から2026年にかけて戦力
化される5600トン級のミニ・イージス艦「KDX2A」6隻も、機動戦団に属するこ
とになるとされる。

さらに、2014年に済州海軍基地が完成すれば、第7機動戦団はこの済州基地を
母港として、済州島南方の東シナ海や南シナ海でも本格的な遠距離作戦能力を
備えることになる。海軍関係者は、「機動戦団の本格的な作戦のためにも、済
州海軍基地の建設を迅速に行わなければならない」と語った。海軍はもともと、
2-3の機動戦団で構成される「(戦略)機動艦隊」を目標としてきたが、予算
問題や陸・空軍のけん制などにより、時期が遅れている。

なお、第7機動戦団の初代戦団長には、イ・ボムリム中将(海士36期)が任命
された。

(朝鮮日報 2010/02/02)


従来、韓国海軍は、東海、南海、西海艦隊の三個艦隊編成でしたが
今回、それとは別に「機動戦団」が、大型艦艇を中心に編成されま
した。

少し理解しにくいかも知れませんが、昨年に大幅な編成の変更が行
われる以前の、地方隊と護衛艦隊で構成されていた日本の艦隊編成
と良く似た形になったとも言えます。
つまり、従来の艦隊が、地方隊に位置付けとなり、今回編成された
機動戦団は護衛隊群の扱いという訳です。

もっとも機動戦団は、米国のタスクグループ的な性格を持っており、
必要に応じて、通常所属しているKDXII、KDXIII合計7隻の駆逐艦
と艦載ヘリコプター部隊に加え、強襲揚陸艦である独島艦や潜水艦、
果てはP-3C部隊が編入される事も想定されています。

もともと、2001年に当時の金大中大統領が「戦略機動艦隊」の設置
について言及した時には、2~3個の「戦略機動艦隊」が、設置さ
れる事が計画されていました。しかし、それ以降のリーマンショッ
ク等の経済危機もあり、そのスケールは若干縮小され、現在の建艦
計画に落ち着いたと言えます。

寧ろ、計画が縮小されたのは、北朝鮮を主敵とする韓国が本来重視
すべき揚陸艦艇であり、外洋艦隊を構成するイージス艦2隻や新鋭
駆逐艦6隻の整備、また、世界的にも最新鋭潜水艦と言える214級
潜水艦9隻の整備が着々と実行されている事に、外洋艦隊に対する
韓国海軍の宿願とも言える思いがこもっている様に思われるのです。

今回の機動戦団の創設は、韓国内では韓国の海上輸送路の保護のた
めと説明されている様ですが、実際には、韓国が米国との同盟関係、
日本との友好関係を前提とすれば、日米のシーレーン防衛を頼って
も構わない部分です。その部分で、あえて韓国の独自の兵力を巨額
の費用を使って整備している訳であり、全く非合理的な軍事力整備
を継続していると言わざるを得ないのです。


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2010年2月2日火曜日

宇宙開発計画の主役に躍り出た民間打上サービス

※ドラゴン宇宙機(有人構成) SpaceX社Webページより転載

米予算教書 有人月探査計画は打ち切り

予算教書には、有人月探査計画の予算は盛り込まれず、計画は事実上、打ち切
られることが決まった。深刻な財政、雇用情勢に宇宙計画がのみ込まれた形で、
米航空宇宙局(NASA)は今後、民間企業のロケット開発を支援していく。

有人月探査計画は2004年、ブッシュ前大統領が「コンステレーション計画」
として打ち出し、NASAは1972年以来となる有人月探査を20年までに
実現することを目指していた。だが、オバマ大統領は就任前から「計画を5年
遅らせれば、教育予算がまかなえる」と否定的だった。有人宇宙船を運ぶ次世
代ロケット「アレス」の開発も併せて打ち切る。

その代わり、宇宙開発関連予算として今後5年間で59億ドル(約5312億
円)を計上。NASAはこの予算内で、民間企業によるロケットの開発と打ち
上げを支援し、宇宙飛行士を民間ロケットで宇宙へ送り出す計画だ。

ただ、民間への事業委託に対しては、安全性や科学技術の流出、雇用悪化への
懸念から、議会を中心に批判が根強い。AP通信は「アンクル・サム(米国)
は、タクシーにでも飛び乗るように宇宙飛行士の搭乗料金を支払うことになる」
と皮肉っている。

一方、野口聡一さんが滞在する国際宇宙ステーション(ISS)については、
20年まで5年間、運用を延長するための予算を確保する。

(産経新聞 2010/02/02)


予算教書が正式に発表になりました。発表された米国の宇宙開発計
画は、概ね、今まで報道された内容と同じです。今まで91億ドル
を費やしたコンステレーション計画には引導が渡されました。コン
ステレーション計画の幕引きには更に25億ドルを要する見込みです。
大型計画は、計画中止にすら多大なコストを要します。

その一方、民間企業による有人打ち上げロケットや貨物打ち上げサ
ービスには、59億ドルが投入されます。
今まで、民間企業の打ち上げサービスは、あくまで、NASAの主力ロ
ケット開発の端境期に、NASAの打ち上げを補完するというのが、そ
の位置付けでしたが、今回の発表では、国際宇宙ステーション(ISS)
への補給の主役に昇格する事になります。つまり、NASAの次期有人
打ち上げロケットは、最早存在しないのです。

NASAはこの民間打ち上げサービスにより、早ければ2016年には、ISS
への打ち上げを目論んでいるようですが、このタイムフレームで有
人打ち上げが実現可能な民間企業は、SpaceX社のドラゴン宇宙機し
かありません。しかも、ISSの運用は、取敢えず2020年まで継続さ
れただけであり、元々有人宇宙機への発展を考慮してドラゴン宇宙
機を設計していたSpaceXは別として、他社が、わずか4年のISS運用
の為に、有人宇宙機を開発するかどうかは、疑問とせざるを得ない
のです。(可能性があるのは、SpaceX同様、ISSへの補給業務を請
け負っているOSC社のシグナス宇宙機程度ではないかと思われます。)

有人打ち上げを独占する事になるかも知れないSpaceX社ですが、謳
い文句は魅力的です。SpaceX社は、宇宙飛行士一名のISSへの輸送
単価を2000万ドルで請け負えると豪語しています。それが実現でき
れば、2016年まで使用するロシアのソユーズによる宇宙飛行士打ち
上げサービスの単価5000万ドルに比べ大幅なコストダウンが図れる
事になります。

しかしながら、ドラゴン宇宙機の打ち上げに使用されるSpaceX社の
Falcon9ロケットは、まだ試験機の打ち上げすら行われていない状
況なのであり、Falcon9とエンジンを共用するFalcon1ロケットすら、
過去、5回の打ち上げ成功率は40%と、必ずしも技術的に完成した
と言える様な段階ではないのです。さらに、NASAの開発遅延とは比
べものにならないとは言え、Falcon9の開発そのものも、目標スケ
ジュールに対しては遅れ気味で推移しています。

Falcon9の一号機の打ち上げは、今月に予定されていますが、その
スケジュールは未だ確定したものではありません。勿論、一号機か
らミッションペイロードとしてドラゴン宇宙機が搭載される他、有
人打ち上げが行われるまでに、商業軌道輸送契約で10機以上が打ち
上げられる予定であり、打ち上げロケット、宇宙機共に、有人打ち
上げまでに信頼性が向上する事は間違いありませんが、それでも、
それらの打ち上げが失敗なしに行われる保証は全くありません。
一度でも失敗すれば、2016年の有人打ち上げと言うスケジュ-ルを
実現するのは厳しいものになる事は確実と思われます。

その意味で、今回の米国の宇宙開発計画の変更は、NASAのロケット
開発のリスクを一民間企業へ振り替えたとも言えるものであり、今
まで以上に薄氷の上に乗った計画と言わざるを得ないのです。


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2010年2月1日月曜日

有人月探査計画より民間宇宙事業者を選んだオバマ政権

米政府、有人月探査を断念…ISSは5年延長

【ワシントン=山田哲朗】米国の有人宇宙探査計画を見直していたオバマ政権
は、1960~70年代のアポロ計画以来となる月面探査計画を中止すること
を決めた。

米メディアが28日、一斉に報じた。2月1日の2011年度予算教書に合わ
せて正式発表する。

米航空宇宙局(NASA)の予算は今後5年間で計約59億ドル(5300億
円)増額される。月探査の中止で浮いた予算と合わせ、現在、野口聡一さんが
滞在している国際宇宙ステーション(ISS)の利用は2020年まで5年間
延長される。

日本にとってはISSに飛行士を送り込むチャンスが増えるほか、ISSへの
物資補給で、より大きな役割を果たすよう国際的に期待されることになる。

一方、有人宇宙船を運ぶNASAの新型ロケット「アレス1」は開発を打ち切
り、民間企業が開発する新ロケットを活用する。

月とそれに続く火星探査は、ブッシュ前政権が04年に目標に設定した。しか
し景気悪化で予算が大幅に不足、オバマ政権は抜本的に見直す作業を進めてい
た。NASAは、比較的予算が少なくて済む小惑星探査などを検討するとみら
れる。

(読売新聞 2010/01/29)


実際の発表は、日本時間の本日(2/1)夜に発表される予算教書で明
らかになりますが、既に、いくつかの新聞社から、米国の新しい
宇宙計画の概要が報道されていますので、その内容をご紹介します。

まず、一番大きな方針変更は、有人月探査計画であるコンステレー
ション計画に関する予算が削られる事です。これは、開発中の打ち
上げロケットであるアレスI、アレスVの他、有人カプセルである
オリオン宇宙機についても適用されます。
(ただし、アレスVに相当するヘビーリフター(重量物打上ロケット)
は、より少ない予算で開発する方法が検討されるべきだとされてい
ます。)

これによって、開始から6年を経過し、既に91億ドルを費やした
オリオン計画は、何らの成果なく中断される事になります。

NASAは予算額こそ、現状よりも大きな金額が認められますが、その
金額は有人月探査計画を満足させるものではありません。

そして、地球低軌道への物資、人員の輸送に関しては、民間ベース
で行われる事が奨励される事になります。これは、宇宙開発のアウ
トソーシングとも言えるもので、この為に、5年間で数十億ドルが
支出されます。

政府は宇宙飛行士の為に、タクシーに乗せる様に、宇宙行きの座席
を買うだけで済む様になるという発想です。航空輸送の揺籃期に、
民間業者の航空郵便輸送を政府が積極的に支援した事が、民間航空
事業の育成に役立ったのと同様の発想によるものです。

地球低軌道への物資と人員輸送を民間に任せる事で、NASAは、地球
軌道より遠い遠宇宙探査や、より良い観測衛星による地球探査や研
究に集中する事ができると言うわけです。

国際宇宙ステーションは少なくとも2020年(従来は2015年)まで運用
期間が延長されます。

ただし、それ以外の計画については、まだ、固まっている訳では無
いようです。特に有人宇宙探査計画については、有人の小惑星や火
星の月探査、あるいは、恒久月面基地ではなく、ごく小規模な月面
での有人活動といったものから選ばれる事になる見込みです。
いずれにせよ、それが決定されるまで、NASAには新しい大型開発計
画がなくなってしまう事になります。

有人月面探査計画を実現不可能にした実質的な要因は国際宇宙ステ
ーション(ISS)であり、米国にはこのISSの延命と有人月面探査を同
時に行う余裕はないという実際的な決断が今回の計画変更につなが
ったというべきでしょう。

NASAの宇宙開発は、ある側面からすれば、高給を取るNASA技術者や
宇宙関連産業従事者に雇用機会を与える事でもあります。今回の大
幅な宇宙開発計画の変更は、間違いなく、米国の産業に対し大きな
影響を与える事になります。しかし、米国での宇宙事業従事者の雇
用の為に過去最大の宇宙開発計画の成果であるISSを完成後わずか
数年で放棄するのも、余りに非合理です。コンステレーション計画
の断念は、宇宙ファンには残念な事件ですが、オバマ政権は合理的
な指導力発揮したというべきではないかと考える次第です。


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2010年1月29日金曜日

日本には謎の鳥がいる。

カモかチキンかサギなのか ハトは5月が正念場

■ネット飛び交う「謎の鳥」
鳩山由紀夫首相の政治姿勢を皮肉ったとみられる文章がネット上で話題になっ
ている。
「日本には謎の鳥がいる」で始まる短い「落書(らくしよ)」。だれが考案し
たかは不明の「よみ人知らず」で、元になった文に多くの人が手を加えていっ
たらしい。
「ものを言わせたら『アホウドリ』」「押しの強い相手からは『チキン』に見
える」などのバージョンもある。「チキン」には、英語の俗語で臆病者という
意味がある。

日本には謎の鳥がいる。正体はよく分からない。
中国から見れば「カモ」に見える。
米国から見れば「チキン」に見える。
欧州から見れば「アホウドリ」に見える。
日本の有権者には「サギ」だと思われている。
オザワから見れば「オウム」のような存在。
でも鳥自身は「ハト」だと言い張っている。
それでいて、約束をしたら「ウソ」に見え
身体検査をしたら「カラス」のように真っ黒、
釈明会見では「キュウカンチョウ」になるが、
実際は単なる鵜飼いの「ウ」。
私はあの鳥は日本の「ガン」だと思う。


■駆け巡る退陣説

鳩山由紀夫首相(62)の5月退陣説が民主党内を駆け巡っている。自身の偽
装献金問題や小沢一郎幹事長(67)の土地購入をめぐる政治資金規正法違反
事件のために内閣支持率は落ち続け、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の
移設問題では5月末までに軟着陸させるのは不可能との見方が強い。そこで、
普天間問題に結論を出すタイミングに合わせ、夏の参院選をにらんだ「鳩山降
ろし」が発生するという読みだ。

(産経新聞iza 2010/01/29)


二条河原落書:この頃都に流行るもの…。
此頃都ニハヤル物 夜討(ヤトウ) 強盗(ゴウトウ) 謀綸旨(ニセリンジ)
召人(メシウド) 早馬(ハヤウマ) 虚騒動(ソラサワギ)
生頸(ナマクビ) 還俗(ゲンゾク) 自由出家(ママシュッケ)
俄大名(ニワカダイミョウ) 迷者(マヨイモノ)
安堵(アンド) 恩賞(オンショウ) 虚軍(ソライクサ)
本領ハナルヽ訴訟人 文書入タル細葛(ホゾツヅラ)
追従(ツイショウ) 讒人(ザンニン) 禅律僧 下克上スル成出者(ナリズモノ)
器用ノ堪否(カンプ)沙汰モナク モルル人ナキ決断所
キツケヌ冠上ノキヌ 持モナラハヌ杓持テ 内裏マシワリ珍シヤ
賢者カホナル伝奏ハ 我モ我モトミユレトモ
巧ナリケル詐(イツワリ)ハ ヲロカナルニヤヲトルラム
(後略)

この落書が書かれたのは、建武の新政(あるいは建武の中興)で後醍
醐帝が鎌倉幕府を倒し、天皇を中心とした政治に戻したものの、そ
の理想主義的な政治は、現実と噛みあわず、鎌倉幕府の統治よりも
遥かにレベルの低いものに留まっている事が判った頃のものです。
落書が流行るのは、政治に対する不満を表向き明らかにできない事
によるものです。ですから、20世紀に入ってこの種の政治風刺が一
番流行ったのが旧ソ連であった事も故無しとしません。

日本の場合は、政権に対する批判は自由ですが、「進歩派」あるい
は左派の側から政権を批判するのは民主党内の言論統制を見るとご
法度の様です。この平成ネット落書も、最初は、左派の側ながら政
権に対して批判的な人が思いついたのかも知れませんね。

記事に書かれた落書は、かなり洗練されたものになっていますが、
最初はもっとシンプルなものでした。私もエントリーにこそしませ
でしたが、ブログのコメント欄で取り上げた事があります。ソース
について開示しておくと、かんべえさんの「溜池通信」の1/12の欄
に、以下の様なものがネット上で流行っているジョークとして紹介
してありました。(同じものを、その少し前に、2ちゃんねるでも
見た記憶があります。)

日本には謎の鳥がいる。その正体はよく分からない。
中国から見れば、その鳥は「カモ」に見える。
アメリカから見れば、その鳥は「チキン」に見える。
日本国内では、その鳥は「サギ」だと思われている。
でも鳥自身は、自分のことを「ハト」だと言い張っている。


そして、かんべえ氏のオリジナルとして
個人的な意見だが、私はあの鳥は日本の「ガン」だと思う。
が追加されました。

少し変形しましたが、「ガン」のフレーズは、上の記事でも、しっ
かり生き残った様です。

この平成ネット落書が、二条河原落書の様に生き残るかどうかは、
鳩山内閣が今後、政治的な実績積み重ねる事ができるのか、あるい
は、後醍醐帝の新政の様に空中分解するかどうかにかかっている様
に思います。


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2010年1月28日木曜日

外国人地方参政権問題で地方自治体の意見に耳を塞ぐ民主党政権の傲慢

※写真は産経新聞Webサイトから転載

「地方の意見は関係ない」 官房長官が外国人参政権問題で

平野博文官房長官は27日の記者会見で、政府が永住外国人への地方参政権
(選挙権)付与を検討していることに対し、都道府県知事や地方議会から反対
表明や反対決議採択が相次いでいることについて「自治体のみなさんの決議・
意見は承知していないが、そのことと、この問題とは根本的に違う問題だ」と
述べた。参政権付与法案提出は、地方自治体の意見に左右されないとの見解を
示したものだ。
民主党は昨年の衆院選の政権公約(マニフェスト)で「地方主権」の確立を掲
げているが、平野氏は「(この問題)地方主権の考え方とはまったく違う」と
指摘。その上で「地方自治体の問題ではなく、わが国に住んでいる住民の権利
としてどうなのかという概念だ」と主張した。

(産経新聞 2010/01/26)


普天間問題でも、自治体の同意はいらないと言い出した平野官房長
官ですが、今度は外国人の地方参政権問題でも、地方の意見は聞か
ないと言い出しました。どうも、自分に反対の意見は徹底的に無視
してかかるというのが、民主党政権の基本的性格である事が、白日
の下に晒されて来ている様に思います。

さて、外国人の参政権については、憲法15条は、「公務員を選定
し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定し
ており、また、第43条では、「両議院は、全国民を代表する選挙
された議員でこれを組織する」とされている事から、外国人の国政
への参加は、憲法上禁じられていると解釈されています。また、こ
れを敷衍すれば、地方参政権も禁止されると解釈すべきですが、
1990年の外国人の参政権に係わる最高裁判決の傍論(判決理由には
入らない部分で、法的には何ら意味がない)で、地方参政権につい
て、「法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対す
る選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているも
のではない」と述べていた事から、にわかに永住外国人に対する地
方参政権付与問題が浮上してきたものです。(なお、この傍論は、
地方政治が、自治体の行動を通じて国政に影響を与えている実態を
無視したものであり、到底容認できるものではありません。)

実際には、永住韓国人の帰化による組織の衰退に危機感を持った在
日大韓民国民団(民潭)によって、地方参政権獲得運動が推進されて
いる経緯にあります。問題は前回の選挙で民潭が一段となって民主
党への選挙協力を行い、民主党を支持、支援する対価として、地方
参政権付与を民主党が約束した形になっている事です。これは韓国
による日本の内政への干渉に他なりませんし、そもそも外国人が、
日本で政治活動を行なう事、とりわけ「わが国の政治的意思決定又
はその実施に影響を及ぼす活動(は、以降中略)認めることが相当で
ない」とされ、最高裁判例(昭和53年のマクリーン事件判決)でも認
められていないのです。
(なお、民潭の綱領では、その最初に、「在日韓国国民として大韓
民国の憲法と法律を遵守する」と掲げており、民潭が韓国の政策の
下にある事を明白に示しています。 )

百歩譲って、民主党が、独自の判断で永住外国人に地方参政権を付
与する事を検討した時に、地方自治体の意見を聞く必要はないので
しょうか?平野官房長官は「地方自治体の問題ではなく、わが国に
住んでいる住民の権利としてどうなのかという概念だ」と強弁して
いますが、この問題に関して、地方自治体は、明らかに利害関係者
です。外国人の投票の結果を受けるのは、地方自治体に他なりませ
ん。また、地方自治体は、地方に於ける治安維持にも責任を負って
おり、永住外国人の実態に関しても一番情報を持っている筈です。
この自治体の意見を無視する事は、無謀以外の何者でもありません。

しかも、外国人の参政権の様な基本的人権に関する事は、政権が変
われば、簡単に覆す事ができる様な可逆的な政策ではありません。
参政権を与えない事が問題になるのではなく、それを剥奪する事が
国際的に大問題になるという非可逆的な政策なのです。言い換えれ
ば、参政権を付与する事自体が日本の国益を大きく損なう要因を作
り出すとも言えるのです。
その様な性格の問題であれば、超党派で合意を取るべきですが、上
記の平野官房長官の発言は、その点を無視しており、民主党の党利
党略しか考えていない様にしか思われません。これは、党益の為に
国益を外国に譲り渡す売国的行為としか言わざるを得ず、まさに民
主党政権の傲慢ぶりを示したものと言える様に思われるのです。


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2010年1月27日水曜日

普天間維持しか選択肢がなくなった民主党政権


平野長官、地元との同意なしで決定も 普天間移設問題で 
鳩山首相はゼロベースでの移設先検討を強調


平野博文官房長官は26日午前の記者会見で、沖縄県名護市長選で米軍普天間
飛行場(同県宜野湾市)の移設受け入れ反対派の候補が当選したことを受けた
移設先の検討作業について「(移設先の自治体と)合意をとらないと物事が進
められないものなのか。日本の安全保障にかかわってくる問題だ」と述べ、地
元の合意が得られなくても移設先を決めることがあるとの認識を示した。

また、市長選結果をめぐる「自治体の反対を斟酌(しんしやく)していたら何
もできなくなる」との自身の発言に反発の声が上がっていることに対し、「一
つの民意であることを否定したつもりはない」と釈明した。

一方、鳩山由紀夫首相は26日朝、普天間移設問題について「ゼロベースで移
設先を決めていくことに変わりはない」と述べ、名護市辺野古に移設する現行
案を選択肢から除外しない考えを強調した。首相公邸前で記者団の質問に答え
た。

(産経新聞 2010/01/26)


鳩山首相が重視すると言い続けた民意が名護市長選挙で、明白にな
りました。まさに、自縄自縛(じじょうじばく)と言えます。
折角、日米が合意し、地元の合意があった辺野古沖への移設を散々
に叩いて、沖縄県民に県外移設への期待を抱かせた挙句、県外へ移
設する事も、県内で移設する事もできず、更には、日米関係も悪化
させた上で、手の打ち様がなくなったというのが、今の状態です。

平野官房長官は、この問題は自分に任せてくれと鳩山首相に豪語し
た様ですが、残念ながら、もし、平野官房長官が先が見える人物だ
ったのであれば、最初から鳩山首相に進言して、辺野古移設を推進
すべきだったでしょう。そう出来なかった事自体が、平野氏の力の
なさを象徴している様に思います。鳩山民主党政権は、見栄を切る
事ばかりに熱心ですが、残念ながら最後まで、問題を解決する能力
はありません。鳩山首相も一見、丁寧に聞こえる意味不明な発言を
繰り返していますが発言に実質が伴っていない事は明らかです。

残念ですが、今のままでは、鳩山首相が明言した5月解決は、全く
期待できません。そもそも5月という期限は解決に向け何ら根拠が
あって切った期限ではありません。サミットが6月なので、それ迄
には別の案が出てくるかもしれないと鳩山首相が期待した期日でし
かないのです。

しかし、現実には、日米で移設実現に向け十年に亘って揉んだ案の
代替案なのですから、そんなに簡単に見つかる筈もありません。名
護の地元も民意が移設反対に転じた以上、普天間は「世界一危険な
基地」のまま、現状を維持するしか選択肢がありません。

それでは、普天間が現状維持で決まった後で、鳩山首相や民主党が
何らかの責任を取るのでしょうか?流石に、平野官房長官は、辞表
を提出するでしょうが、鳩山首相に慰留されて、辞表を撤回して、
お咎めなし。もとより、鳩山首相は責任など考えた事もないという
態度で「選挙で示された国民の付託に引き続き応えていきたい。」
とでも言うのではないでしょうか。

もともと民主党が政権を取れば、日本の癌である官僚をやっつけて、
埋蔵金を掘り出し、景気は一気に回復し、格差問題は簡単に解消す
ると景気の良い事を、言っていた筈です。勿論、政権が変わった位
で、日本の諸問題が簡単に解決するなど、中学生でも信じる事はな
いでしょう。しかし、少しでも良くなる事を期待して民主党に投票
した有権者が多かったのではないでしょうか。

政治家は結果責任が問われます。如何に良い意図で始めた事であっ
ても、結果的に公約が実現できない事がはっきりすれば、あるいは
その政策の副作用があまりに大きすぎる事が判れば、しっかりとそ
の責任をとるべきなのです。また、その意味で、有権者は、今年7
月の参議院選挙では、鳩山首相に失敗の責任を突きつけるべきなの
です。漫然と民主党に投票しつづければ、それは民主党が失敗した
政策を続ける事を了承した事を意味します。少なく共、参議院選挙
に勝利すれば、以降、6年に亘って民主党の国会における優位は動
かなくなります。有権者をそういう選択をするのかどうかを肝に命
じて、今後の推移を冷静に見続ける必要があると考えます。


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2010年1月26日火曜日

祝 XC-2(次期輸送機)初飛行!

※防衛省Webサイトより転載

空自次期輸送機CXが初飛行 岐阜基地

防衛省が開発を進める航空自衛隊の次期輸送機(CX)の試作機が26日、各
務原市の航空自衛隊岐阜基地で初飛行を行った。CXは現在の主力輸送機C1
の後継機で、日本の独自開発による航空機としては過去最大規模。

川崎重工を主契約社として、国内主要航空機メーカーが共同で2001年から
海上自衛隊の次期固定翼哨戒機(PX)と同時開発を進めてきた。初飛行は当
初、07年に計画されていたが、強度試験用として防衛省に納入された試作機
に強度不足が判明し、延期されていた。

全長・全幅とも約44メートルでC1の約1・5倍。12トンの貨物を積んだ
場合の航続距離が約6500キロと、輸送能力が大幅に向上。飛行管理などに
も最新鋭のシステムを搭載する。量産のめどが立てば岐阜、愛知などの航空機
産業に波及効果が期待されている。

試作機には防衛省がXC2の型式を付与。この日は午前10時20分ごろに離
陸した後、県内などの上空を約1時間飛行し、同基地に着陸した。今後も飛行
試験を重ね、3月末までに防衛省に納入される見通し。

(岐阜新聞 2010/01/26)



次期輸送機試作1号機の初飛行結果について

                            平成22年1月26日
                                 防衛省

次期輸送機については、本日、試作1号機が航空自衛隊岐阜基地を離着陸する
初飛行を実施した旨、製造会社である川崎重工業(株)より報告(注)を受けま
したのでお知らせいたします。

(注)川崎重工業(株)からの報告内容

初飛行日
平成22年1月26日(火)

離陸時間
午前10時21分頃、岐阜基地を離陸

着陸時間
午前11時33分頃、岐阜基地に着陸

飛行内容
離陸し、試験空域に進出後、機体システム確認、模擬着陸等を実施後、帰投、
着陸。試験結果は良好。



XC-2が無事初飛行に成功しました。
関係者の皆さんのご努力に深く敬意を表します
朝日新聞などは、「空自の国産次期輸送機、試作1号やっと初飛行」
という失礼な題をつけた様ですが、この機体は、ボーイング767
と同規模の機体であり、日本が製作した飛行機として史上最大のも
のです。ちなみに全長、全幅は各々約44mで、B-29の全長40m、全幅
30mを遥かに凌駕していると言えば、大きさについてご認識頂ける
と思います。また、最大離陸重量は、141㌧でB-29の60㌧の二倍以
上になります。

ちなみに、何度かエントリーでも書いていますが、この規模の機体
の開発には、各国共にてこずっており、米国ではボーイング787が、
二年以上の遅れを出しましたし、欧州では、XC-2と同じ軍用輸送機
であるエアバスA400Mの開発に4年近い開発の遅れを出しています。

機体の規模が大きくなると同時に、軽量化と機体強度のバランスが
非常に大きな問題になっており、三機種ともに重量超過が最大の問
題点となっています。XC-2の開発でも機体強度が不足して変形が発
生し、それを修正するのに、殆ど再設計に等しい作業が必要になっ
たと言われています。それでもXC-2は、最終的に重量超過は目標に
対し2㌧程度に収まると見込まれていますが、A400Mでは、これが、
初期ロットで5㌧以上になると言われています。また、ボーイング
787も初期ロットでは重量超過により航続距離が計画値をかなり下
回る予定です。

これらの機体は全て、カティアと呼ばれるコンピュータをフルに使
用した設計支援ソフトを使用して開発されていますが、この様な強
力なツールを使っても最新鋭機の開発には、困難が付き物である事
は是非ご認識頂きたいと思います。

ともあれ、XC-2の初飛行、本当におめでとうございます。


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XC-2ついに初飛行へ

※防衛庁Webサイトより転載

次期輸送機試作1号機の初飛行について

現在開発中の次期輸送機については、飛行試験への移行に向けて行う必要な確
認作業を全て終了しました。 
試作1号機の初飛行について、航空自衛隊岐阜基地において1月26日以降に
行う旨、製造会社である川崎重工業(株)より報告を受けておりますが、初飛行
は、当日の天候等の諸条件により直前に中止、延期される可能性が十分ありま
すので予めご了承下さい。
なお、初飛行に際して、当該飛行試験機に対して、「XC-2」の型式を付与
したところであります。

(防衛省 2010/01/25)


明日のエントリーは、祝初飛行と言う事になるかも知れません。
取り敢えず、本日にも、C-X改め、XC-2の初飛行が行われる可能性
がある点、お知らせします。

元々は、2007年9月に初飛行の予定でしたから、その予定から比べ
れば、2年4ヶ月遅れと言う事になります。同時開発のXP-1が順調
に開発が進んでいる事を考えると、恐らくは、川崎重工内でC-Xプ
ロジェクト担当者の心中は、この遅延期間の間中、針の筵だったの
ではないかと想像しますが、初飛行になんとかこぎつけた事を、ま
ずは賞賛したいと思います。

特に、軍用輸送機という同じ性格で、機体の規模もほぼ同じである
エアバスA400Mの開発が、七転八倒しており、開発費と量産コスト
も当初見込みと比べ大幅に超過する事が予想されている中、同種、
同規模の機体をより短い開発期間で、且つ、開発コストや量産コス
トの超過も大幅に小さく実施できた点は、素直に評価するべきでは
ないかと考えます。

なお、A400Mの単価は、開発費込みで250億円以上となる見込みで、
XC-2の予定単価である140億円に比べ、二倍の価格となる予想があ
ります。もっとも、A400Mのコストコントロールの失敗の要素とし
て、7ヶ国の共同開発で、エアバスミリタリー社をわざわざ設立
した上、全く機体の生産を行っていないにも関わらず、既に一万人
を雇用し、月間1億ユーロを費消しているという共同開発に由来す
る杜撰な経営も影響しています。その点で単純比較できないは勿論
なのですが、それでも、今後XC-2の開発が順調に進めば、XC-2は世
界軍用輸送機市場でも充分な競争力をもつ機体に仕上がる事が期待
されるのです。XC-2の今後を期待したいと思います。

ちなみに、今回の発表と同時に公表された、XC-2の主要諸元は以下
の通りです。
全長( m ) 43.9
全幅( m ) 44.4
全高( m ) 14.2
基本離陸重量( ton ) 120.1
エンジン CF6-80C2(ターボファンエンジン)


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2010年1月22日金曜日

権力の横暴とそれを看過するエセジャーナリスト


「まるで圧力団体」民主、検察&メディアに“あの手この手”

民主党の小沢一郎幹事長の「金脈」事件で、政府・民主党が検察やメディアへ
の攻勢を強めている。検察側に対して取り調べの録音・録画を義務づける刑事
訴訟法改正案(可視化法案)の国会提出を検討し始めたほか、「捜査情報漏え
い」調査チームなども発足。メディア側には、原口一博総務相が「報道は情報
源が不明確」とかみついたのだ。野党側からは「まるで圧力団体だ」との批判
が渦巻いている。

金脈事件に絡み、民主党は18日、検事出身の小川敏夫参院議員をトップとす
る「捜査情報の漏えい問題対策チーム」を立ち上げた。金脈事件の報道内容が
検察側のリークに依存するものだとして、国家公務員による守秘義務違反を追
及するのが狙いだ。

平野博文官房長官が対策チーム設置について「あまりにも一方的に情報が媒体
に出てきている。不公平感を感じる」と理解を示せば、石井一党選対委員長も
「情報がどこから出てくるのか。検察がリークをしていいのか。守秘義務があ
るはずだ」と指摘する。

また、民主党の高嶋良充参院幹事長は、捜査当局が捜査に支障があるとの理由
で抵抗している可視化法案の国会提出に関し、党幹事長室で対応を協議する考
えを表明。さらに、小沢氏の側近とされる松木謙公国対副委員長らは、衆院議
員の石川知裕容疑者の元秘書が自民党勉強会で証言した内容は虚偽が含まれる
として、元秘書への法的措置を検討していることを明らかにした。

一方、批判の矛先はメディアにも向けられた。

「『関係者(によると)』という報道では、検察と被疑者のどちらの関係者な
のか分からない。そこを明確にしないと公共の電波を使ってやるには不適だ」

原口総務相は19日の記者会見で、金脈事件報道の内容について、こう不快感
をあらわにした。放送局の監督権限を持つ総務相の立場だけに波紋を呼びそう
だが、それ以上に「最近、小沢氏との距離を縮めているだけに、政治的な意図
もあるのでは」(永田町事情通)との声もあがる。

こうした政府・民主党による攻勢に対し、自民党の谷川秀善参院幹事長は「圧
力をかける会でしょ。大政翼賛会みたいな話だ」と批判。自民党関係者も「小
沢氏と一緒に検察と闘う姿勢をここまで鮮明にしてしまえば、自ら有権者の
『民主党離れ』を加速させているようなものだ。小沢氏がこけたら党全体がこ
ける前代未聞の“珍現象”が起きるのでは」と話している。

(Sankei IZA 2010/01/21)


新聞記者が、入社してすぐにやるのがサツ回りです。地元の警察署
へ行って、報道すべき事件がなかったを確認し、警察の調べた事件
の内容を確認し、裏付けを取るべきものは取った上で、新聞記事に
するという記者としての基本中の基本になる仕事です。記者は、こ
れを行なう事でジャーナリストとしての基本を学びます。

さて、現在の日本で一番の権力者である民主党小沢幹事長の金脈問
題に焦点が当たれば、当たるほど民主党のドタバタが酷くなってい
ます。政権が交代し、自民党が、政権を取り戻した時に、時の権力
者が金脈問題を起こした場合、民主党は何と言って政府を追求する
のか将来が心配になってしまう程です。いまのままではどう言い返
されるか確実ですね。そうです。「あなた方に言われたくない。」
です。

さて、今回の問題点は上記の記事にも書かれている通りです。
第一には、刑事訴訟法を改正し、警察、検察の取調べの録音・録画
を義務付ける様にしようとしています。これは、現在小沢氏の取調
べを行っている検察にとって圧力以外何者でもありません。
第二には、警察、検察のメディアに対する情報漏洩問題です。最初
に述べた様に、その是非は別に、今まで、警察、検察への取材は認
められてきました。それを急に問題視する。あるいは、メディアへ
の情報提供を認めないというのは、今ですら国民に碌な説明を行っ
ていない権力者に有利に働く事は間違いありません。
第三には、ジャーナリズムの本質に関する点です。ジャーナリズム
は、ある意味で、権力者の秘密を暴く事が商売です。自由民主主義
国家においては、報道の自由は堅持されなければなりません。メデ
ィアによる取材は、それが違法なものでない限り、その自由が最大
限確保されなければなりません。それに対し放送に関する許認可権
限を盾にして圧力をかけるのはもっての他であり、もし、権力によ
る報道規制が許されるのであれば、マスコミが党の口舌である中国
の様な独裁国家と違いがないと言わざるを得ないのです。

現在の、刑事訴訟法に問題があるならば、それを正すのは、行なわ
れるべきですし、取調べの透明性がより以上に求められるのであれ
ば、そうすべきでしょう。また、警察や検察からの情報漏洩が問題
であれば、それも修正すべきでしょう。メディアの根拠のないニュ
ース配信が問題であれば、それに対する規制が必要かもしれません。
しかし、それは目下行われている日本の最高権力者の金脈疑惑に係
わる捜査の渦中で行われる事であっては決してならないことと断言
できます。もし、そんな事が許されるのであれば、権力者は、立法
権と行政権を使ってなんでも出来てしまう事になるからです。

この程度の話は、殆んどの人には自明であると思いますが、信じら
れない事に、こういう事をしている民主党を擁護するマスコミ関係
者やワイドショーのコメンテーターがいるのです。
特に鳥越俊太郎とかいう毎日新聞の記者くずれのコメンテーターの
コメントは、マスコミ人とは思えない程のものです。エセジャーナ
リスト賞があるなら、受賞は間違いありません。有田芳生氏は元々
は共産党員だったと思いますが、民主党権力に擦り寄っていく所は、
正に元共産党員の面目躍如と行った感を深くします。彼は今年の参
議院選挙に出馬予定だそうですから、それも宜(むべ)なるかなとい
う思いがします。エセジャーナリスト特別賞を差し上げる事にしま
しょう。

それに加えて、民主党政権を擁護するのに汲々としている朝日新聞、
毎日新聞、東京新聞には、新聞社としてジャーリストとしての良心
の所在がどこにあるのか問いただしたいと思います。そういえば、
「ジャーナリスト宣言」とか出していた新聞社がありましたが、あ
れは何かの冗談だったのでしょうか?

最悪なのが、テレビのワイドショーです。衆愚という言葉が一番適
当なのは、ここにでてくるイケメンコメンテーターですね。まあ芸
人と思えば良いのでしょうが、責任を取れない言説をまき散らして
欲しくないものです。もはや天然記念物なのかもしれませんが、ジ
ャーナリストにはジャーナリストとしての矜持を強く求めたいと思
います。

それにしても、結果論ではありますが、先の選挙で民主党に投票し
た有権者の罪深さに思いを致さざれるを得ないのです。


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2010年1月21日木曜日

日航再生 単純な格安航空会社化は、解決策にならない。


日航再生、国際線が焦点 事業戦略づくり急務

会社更生法を活用して再建を目指す日本航空にとって、今後は事業面の戦略が
焦点になる。財務や人員・路線削減などのリストラは進むが、企業の将来像が
見えないためだ。航空業界では、日米欧を中心に先進国の旅客需要が低迷する
一方、新興国は拡大する見通し。各国を代表する航空会社間の競争が激化する
なか、国際線のあり方を中心に事業戦略づくりが急務になる。

日航は19日にも会社更生法の適用を申請する。その後、同社を支援する企業再
生支援機構が中心となり更生計画をつくる。機構はこれまで財務リストラを先
行してきたため、具体的な事業計画づくりは遅れていた。国際線事業は国内線
に比べて収益の変動幅が大きい。景気の影響に加えテロや疫病の流行、五輪な
どのイベントや相手国との友好関係に左右されるためだ。このため航空業界で
生き残るのは(1)大きなネットワークを国内外に張り巡らせるメガ・キャリア
(2)収益性の高い1~2の国際線だけに特化する格安航空会社(LCC)
(3)国内線に特化した航空会社――のいずれかとの見方が多い。

(日本経済新聞 2010/01/12)


今日の日本経済新聞に、日航の再生は、格安航空会社(LLC)化し
かないという記事がありました。しかし、単純なLLC化は解決に
ならない事を論じてみたいと思います。

LLCの例として上がっていたのは、輸送人数では、全米一になっ
ているサウスウエストエアラインです。
LLCとは、効率性の向上によって低い運航費用を実現し、低価格
かつ簡素化された航空輸送サービスを提供する航空会社であると言
えますが、サウスウエスト航空は、このビジネスモデルを、もっと
も地道に展開してきた航空会社であると言われています。

その効率性の追求は、以下の様な手法で行われています。
1.路線及び機材の効率化
  ボーイング737やエアバスA320と言った中小型機による多頻度、
  低サービス、低料金運航。
2.運航コストの節減
  使用機種を一つのシリーズに統一し、機材購入コストを抑える
  と共に、保守費用や乗員訓練コストを抑制する。
  大都市周辺の地方空港を使い、多頻度運航、短い折り返し時間、
  定時性を実現する。
3.人件費の節減
  有資格の経験者のみを採用し、要員訓練費用を抑制する。訓練
  を有償化、あるいは訓練期間中の無給化を行なう。
  制服、備品の有償化。社員向け無償特典を廃止する。
4.機内外のサービスの簡略化(ノーフリル)
  座席クラスをエコノミーに統一。座席指定の廃止(予約定員制
  の自由席)。無償サービスの省略。客室設備の簡素化。機内食
  を有償化または廃止する。預り手荷物の無料枠の削減、有償化。
5.航空券販売コストの節減
  旅行代理店を通さない顧客への直接販売を基本としインターネ
  ット予約、Eチケットを活用する。販売価格のきめ細かい操作
  で、空席率を圧縮し、収益率を向上する。
6.航空運賃以外への収益源の拡大
  機体へのスポンサー広告の実施、命名権の販売。オリジナルグ
  ッズ等の販売。機内販売の積極化。航空会社ネームを活用した
  通信販売、クレジットカード事業。

日航の再建の為には、徹底したローコスト化が必要なのは勿論の事
です。しかし、ながら、上記の効率化を単純に当てはめられるかど
うかが問題です。

まず、路線及び機材の効率化ですが、日航はこれまでも赤字路線の
廃止を進めています。それは良いとして、中小型機による高頻度、
低料金運行が出来るかとなると、日本の場合は、そう単純にはいき
ません。日本の航空需要は、地方と東京を結ぶ羽田便が大宗であり、
そこが既に飽和している事が問題なのです。LCC化して需要がい
くら増加したとしても、簡単には増便が不可能であり、その様な市
場構造の中で輸送量を増強する為には、増便ではなく機材の大型化
しかなかったというのが、今までの経緯なのです。日航の機材構成
で大型機が多いのは、日本の国内市場に適応したものなのです。
その為、機材を小型化すれば、その分輸送量が低下するだけで、高
頻度運行による輸送量増加は期待する事ができないのです。

リーマンショック以降、航空需要は落ち込んでいますが、市場の構
造は全く変わっていません。羽田の増便枠は、来年度の羽田第四滑
走路の完成で、30%近く増加する見込みですが、その枠は瞬間的蒸
発してしまう状況なのです。

運行コストを低減する為に、首都圏の地方空港を活用する手法も日
本では使えません。茨城空港が、LCCの受け入れ先として手を上
げていますが、東京の中心部から2時間を要し、決してアクセスが
容易な場所とも言えない処から、この3月の開港にあわせて就役す
る国内線がない現状なのです。しいて可能性があるとすれば石原都
知事が提案している横田基地の民間共用化でしょう。横田基地の場
所であれば、LCCの就役が期待できます。しかし、これが可能に
なるには時間がかかる上、発着枠は羽田同様瞬間蒸発する事が確実
であろうと思われます。つまり、LCC的な手法を使う為には、比
較的中心部に近い場所に航空需要を大幅に上回る空港発着枠がなけ
ればなりませんが、東京には、そういう条件は成立していないと言
えるのです。(一方、関空、伊丹、神戸空港がある関西地域はLLC
が成立する余地があると言えます。) 従って、単純なLLC化は、
解決策にならないのです。

こういう路線構造を前提とすると、日航を再建する、最も確実な方
策として、まず、現状の機材を一番効率良く使うための施策が必要
となります。大型機が就役している路線では、なんとかして、赤字
をさけながら空席率を下げる施策が必要となるでしょう。そして、
その為には、柔軟な価格政策が必要となるでしょう。例えば、サー
ビスは同じですが、座席指定ができる現状と同じ価格のクラスと、
バーゲン価格の予約定員制クラスを路線の需給に応じて便毎に率を
調整して供給すれば、空席率の低下に寄与する事になります。

更に、なるべく現状の価格を維持しながらコスト構造については、
LLCに準じた施策を行なう事で、大型機を運航しても黒字が出る
体質にしなければなりません。上記の3~6の効率性の追求につい
ては、新生日航が確実に実施していくべき施策になります。日航民
営化以降進められてきた効率化を一層強力に推進していく必要があ
ります。更に、今回の破綻を契機として、日航の宿痾とも言える労
働問題と年金問題についてより踏み込んだ解決が行われない限り、
日航の再生は不可能だろうと考えるのです。


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2010年1月20日水曜日

日航破綻 46万人の株主を敵にまわす法的整理の愚かさ




JALが会社更生法適用を申請、事業会社で戦後最大の破たん


[東京 19日 ロイター] 日本航空(JAL)<9205.T>は19日、東京
地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと正式発表した。負債総額は、
2兆3221億円で、事業会社としては戦後最大の経営破たんとなる。
企業再生支援機構も支援決定を発表しており、再建を巡って揺れ続けた同社は
支援機構をスポンサーとして再生を図ることとなった。 
更生法を申請したのは、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、ジ
ャルキャピタルの3社。負債総額は2000年のそごうの1兆8700億円を
抜いて事業会社として最大規模。金融機関を含めても戦後4番目の大型経営破
たんとなった。

1951年に設立され1987年に完全民営化した日本のフラッグキャリアは
事実上国の管理下に入る。国内大手航空会社として初の破たんとなる。 

支援機構の発表によると、破たん後のつなぎ資金として支援機構と日本政策投
資銀行が6000億円の融資を実行し、資金繰りを支える。また、支援機構は
3000億円超の資本注入を実施するほか、取引金融機関などに対して債権カ
ット約7300億円を要請し、JALの債務超過を解消する。JALの株式は
100%減資し、上場廃止する計画だとした。
2012年度の売上高は1兆3585億円、営業利益は1157億円を計画し
ている。

(ロイター 2010/01/20)


日本航空が遂に破綻しました。負債総額2.3兆円とありますが、
負債は資産に回っている分がありますので、その大きさは気にする
必要はありません。寧ろ、債務超過8000億円という数字が問題
です。

この債務超過状態を解消する為に、09/03末に約2000億円あっ
た自己資本を減資によりゼロにし、更に、銀行からの借入と債権の
合計の内7300億円をカット。そして、支援機構から3000億
円のニューマネーを投入し再生するという訳です。

自己資本と債権カットで合計9000億円以上のカットとなります
ので、これだけで、債務超過状態は解消します。
では、何故更に3000億円を投入するかですが、これは資本の充
実と、当面の資金繰りに回るものと思われます。

現在のJALは、営業ベースでの赤字が続いています。その赤字を
補填する資金が必要になります。また、企業を運営するには、運転
資金が必要です。更に、再建の中で、企業規模を縮小するので、余
剰となった社員には退職金を払って辞めて貰う必要も出てきます。
その為の費用も必要となります。

しかし、再建中の企業ですから、多額の債権放棄を余儀なくされた
ばかりの銀行としては安易な貸出を行なう事などできません。その
為に、再生機構が資本金として、3000億円を投入して当面の資
金繰りを付け、更に企業再生を進め三年を目処に儲かる会社に体質
を改善させる事で再生を完了させます。その上で、再生機構は資本
金として投入した三千億円を株式を公開する事で、回収するという
計画になっています。

個人的には、今回の日本航空の破綻劇は、民主党政権、特に、前原
経済産業相のスタンドプレーが引き金を引いた
と思っています。オ
バマ政権がGMの再建を鮮やかに行った事で評価を上げたのを念頭
に置いて、確実に成功する企業再生案件とする為に、あえて救済せ
ずJALを破綻させたというものです。

JALを破綻させる為に、資産の大宗をなしていた280機に及ぶ
機材を二束三文に時価評価する事で、資産価値を低下させると言う
手段を用いました。しかも、この評価替えを行った「前原国交相直
轄チーム」のメンバーにはレポート作成後、JAL再生の為、役員
に登用するという約束まで行われていた模様です。再生しやすくす
る為には、資産評価を悪くした方が、身軽になって良いので、直轄
チームには、資産を厳しく行なうインセンティブが生じました。そ
して直轄チームは、JALに厳しい評価結果のレポートを出した後、
まるで用済みになってしまった様に、JALの役員の椅子を反故に
されているのです。その後、法的整理の話が出てきた時に、直轄チ
ームの元リーダーがそれに反対したのはお笑い以外の何者でもあり
ませんでした。

その様な、民主党の党利党略的なJAL破綻劇は横に置いても、
具体的な再建策の中にも問題があります。
今回の破綻により、JALの株主は2000億円の資産を減資によ
り100%喪失する事になります。これが、本当に正しかったかどうか
という問題です。株主が、正しい情報を得ていたかという点を見る
と、上記の様な、民主党の政治的な思惑は、一般の株主に知らされ
る訳もありませんし、新聞発表と、それを逐一否定する会社側の発
表、そのどちらを信じた株主も結果的に浮かばれなかった様に思わ
れます。従って、株主は最後まで正しい情報を提供されないままに、
JAL株式を二束三文でたたき売らねばならない事になりました。

また、JALの破綻の原因として、航空行政の過ちによる部分が非
常に大きかった事も事実です。利用者の無い空港が政治的決定によ
り、雨後の筍の様に建設され、JALは高い公租公課を支払わせら
れながら赤字路線への就航を余儀なくされたという点です。JAL
が国営航空会社であった伝統から政治的圧力に極めて弱い体質であ
った事も、安易な赤字路線就役を助長しました。

しかし株主は、これら全てを納得してJALの株式を購入したのだ
ろうと言われれば、確かにその通りです。それが株式投資のルール
です。しかし、その通りに法的整理で100%減資する事が正しい
かどうかは別の事です。例えば99%減資する事と比較すればどう
なるかです。

100%減資では、株主は一切の権利を剥奪される事になります。
それによって会社を倒産させた経営者を選んだ株主の経営責任を問
われる訳です。以後の経営への関与は拒否されます。そうされた時
に、実に47万人に及ぶ株主には、恨みしか残らないでしょう。
株主の多くはJALの利用者でもあった筈です。もし、私が株主で
あれば、権利の全てを剥奪され損害しか与えなかった航空会社をあ
えて利用する理由がありません。JALは株主という会社に忠誠な
大きな利用者層を失う事になるのです。

一方、99%減資の場合はどうでしょうか。保有株式数は百分の一
になるかも知れませんが、引き続き、会社への関与は残されていま
す。JALが再建されれば、株主自身の利益にもなります。この場
合は、JALは会社に忠誠な大きな利用者層を維持する事ができま
す。1%の減資幅の違いは20億円になります。2.3兆円のJAL
の負債総額からすれば、20億円は、ごく僅かな違いでしかありま
せん。

今回のJAL破綻劇については、上記の様な旧株主への細かな対応
を欠いているのは一例に過ぎず、その他にもGM再建とは比べ物に
ならない程、各種の準備を欠いたと言う批判が多く出ています。
民主党の経済政策の迷走を見るにつけ、JAL再生が本当に成功す
るかどうかまだまだ予断を許さない様に思われてならないのです。



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2010年1月19日火曜日

党内民主主義もなく共産主義政党化する民主党

「反小沢」マグマ蓄積 世論調査に民主は動揺

第174通常国会が召集された18日。報道各社の世論調査は、民主党の小沢
一郎幹事長の辞任を求める声が軒並み、7割を超えたことを報じ、党内に大き
な動揺が広がった。

「政治家は自分の立場を守ることを一切考えちゃいかん。みんなが国民の政治
への信頼を取り戻すために命を捨てるんだ」「思ったことを言えないなんて。
徳川時代だって言っていたはずだ。まして今は民主主義社会だ」
民主党の渡部恒三元衆院副議長は、国会内で報道陣に何度も取り巻かれると、
そのたびにこう強調した。

「小沢支配」の党内で、渡部氏だけは小沢氏に苦言を呈してきたが「批判はお
れだけでいい。若いみんなはしなくていい」とも周囲に語ってきた。だがこの
日は本音を語るように中堅・若手を促した。さらに「重い立場の人が自分より
国の政治が大事ですという大きな立場で決断することを望む」と事実上の辞任
勧告にまで踏み込んだ。

この発言を契機に、反小沢の動きが水面下で動き出す可能性が出てきた。

党執行部も世論調査に動揺している。平田健二参院国対委員長は「報道で世論
は大きく動く」とマスコミに八つ当たり気味。輿石東(こしいし・あずま)参
院議員会長は党の会合で「(国会は)いろんな予想できないことが起こり得る
かもしれない」と認めつつ団結を訴えるのが精いっぱいだった。

民主党の当選2回の衆院議員13人は18日、急遽(きゅうきょ)、国会内で
検察批判の会合を開いた。「石川知裕衆院議員の逮捕は不当だ」。世論の反発
を押し返そうと懸命だった。

世論の変化を感じ取る若手は多い。首都圏の若手議員は「街頭演説をしたが一
昨日からガラっと変わった。『小沢辞めろ』とやじられた」。小沢氏に批判的
な中堅は「有権者は鳩山と小沢以外の民主党議員は貧乏だって知っている。2
人を追い出せばいい」とまで語った。マグマは蓄積されつつある。(榊原智)

(産経新聞 2010/01/19)


石川衆議院議員や小沢氏秘書逮捕を受けて、民主党は動揺している
と上の記事は述べていますが、党内で小沢氏の進退を議論する動き
はなく、言論統制が更に進んでいると日経新聞は、朝刊の記事の中
で報じています。小沢氏を批判した若手議員が古手の議員から叱責
されたり、オフレコで小沢氏を批判していた議員も口を噤む様にな
っているようです。

民主党内では小沢氏に党内権力が集中しており、小沢氏を批判する
と人事で報復を受けるという認識がそうさせているようですが、も
しそれが事実であれば、民主党の党内民主主義はなくなったも同然
であり、共産主義政党と何ら変わる処がないと思われてなりません。

左翼の代名詞である日教組の元代表である輿石参議院議員が、喜々
として幹事長代行とかの肩書で、党内に目を光らせている様子を見
ると、スターリンに対するベリアの様に異分子摘発に勤(いそ)しむ
悪しき社会主義政党の伝統が民主党に結実している事を実感せざる
を得ません。

国民は、民主党がこんな政党である事を理解して投票した訳ではあ
りませんし、鳩山氏についても、小沢氏についても、献金疑惑の闇
がこれ程深いと思って政権を任せた訳でもありません。また、鳩山
氏にせよ、小沢氏にせよ、国民から負託された権力を行使するもの
として、委託者に対する説明責任がある筈ですが、それすらも行な
っておらず、「国民は理解している筈だと」強弁を繰り返すのは、
誠に見苦しい限りです。

一部のマスコミの世論調査でも、内閣支持率を不支持率が逆転した
と報じられていますが、マスコミ、特にTV系マスコミの強力な政
権に対する支援があって、この数字が出ているのであり、鳩山政権
を積極的に政権を支持するのは、既にコアな支持層だけになってな
ってきたとすら言えます。

この民主党の党内民主主義の惨状と比較すれば、多様な議論が許容
されていた自民党は、党内民主主義と言う点に関する限り、開かれ
た組織であったと言えます。その中で、一致団結金太郎飴と評され
た経世会(旧田中派)は異質な存在でしたが、今の民主党を見るにつ
け、その独裁国家にも通じる性質は小沢氏の極めて経世会的な性格
と、旧社会党の持っていた共産主義的な性格が野合した結果とも思
えるのです。

民主党政権を続けたい売国マスコミは、国民が、油断すれば、話題
を政治から外らせようと虎視眈々目を光らせています。民主党と金
という話題は、社会主義的思考が浸透したマスコミが最も取り上げ
たくないものなのです。その様な視点からすれば、今、この問題を
継続して取り上げるメディアは、ブログや掲示板、Twitterといっ
た草の根ネットワークしかないんのではないかと思われます。そし
て、全てのブロガーやネットワーカーには、改めて、この問題につ
いて注目し、取り上げて貰いたいものだと思われてなりません。


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2010年1月18日月曜日

資金不足で開発計画キャンセルの瀬戸際に立つA400M

※写真はAFPのWebサイトから転載

エアバス社CEOは、A400M軍用輸送機をキャンセルするかもしれないと語る

エアバス社の最高責任者トム・エンダーズは、A400M軍用輸送機の製造をキャ
ンセルする用意ができていると警告した。
欧州各国政府がより多くの開発資金を提供することができないならば、A400M
開発計画を終えることを考えるだろうとBBC Worldのインタビューで語った。

「我々は、大きな財政的援助なしに、この機体の開発を完了することができな
い」と、彼は語っている。
開発計画は、現在、当初の予算に比べ50億ユーロ(72億5000万ドル;£4.5bn)
超過となっている。その原因は重量超過とエンジン問題の結果によるものだ。

エアバス社は、追加融資を議論するために、今週末にA400Mを発注した各国の
代表と会談を行なう予定となっている。機体を発注した欧州の7ヶ国政府は、
その後、追加費用を支払うかどうか、1月末までには決定する。

価格設定の誤り

7ヶ国、ベルギー、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、スペイン、トルコと
英国は、全体で180機のA400M輸送機を発注している。
6年前、開発計画が始まる前に署名された契約の中で、エアバス社は固定価格
で機体を各国に売却することに同意した。
「我々は、大きい間違いを犯した。それは6ないし7年前に行った、この機体
の契約だ」「間違いをしたならば、それを繰り返してはいけない。我々は、来
る将来に更なる問題を発生させる様な決定を二度と行ってはいけない。」と、
エンダーズ語る。しかし、彼は開発計画を廃棄するべきかどうかについての最
終的な決定は、エアバス社の親会社であるEADS社の取締役会の決定であると付
け加えた。

A400Mは軍隊とその器材を積載する様に設計されている輸送機であり、欧州各
国の空軍で老朽化した軍用輸送機を更新する事になっている。当初の予定では
昨年に就役する事になっていたが、現在の計画では、早くとも2012年までは
就役する事がない事が明らかにされている。この遅延により、南アフリカは8
機の発注をキャンセルする事になった。

欧州各国は機体を製造したい国と、早期に使用することを望む国に別れている。
特に英国とフランスの間には開きがある。更に、ドイツの様に、コストを分散
する為に開発計画をゆっくり進めるのが望ましい国がある。

深刻な警告
A400Mの開発計画を諦めると約57億ユーロの前渡金の返却が必要となるが、
これは現在迄の開発で作った24億ユーロの損失の倍以上の数字となる。
引き返すにせよ、進めるにせよ非常に悩ましい事になる。
「A400Mに関するエアバス社のポーズは、開発計画を確実とするために資金提供
を確保するため政府からの援助を引き出す戦術だ。A400M開発計画が終了され
れば、エアバス社はその現金準備を帳消しに、その株価を壊滅させる数十億ユ
ーロの違約金に直面する事になる。」と、航空アナリストのサジ・アフマドは
言う。

しかし、開発計画を打切る事で同社が更なる損失を避けられると考えるアナリ
ストもいる。「そのうちに、EADS社が単純に逃げ出すことが良い様な分岐点が
来る」と、航空宇宙アナリストのジェイソン・アダムズは言う。
しかし、そうすることでエアバスは評判を傷つけ、最大のライバルであるボー
イングの評価を押し上げる事になる。そして、A400MライバルのC-17の発注リ
ストがふくらむ事になる。

(BBC World 2010/01/12)

やや旧聞に属しますが、A400Mの開発コスト超過とその資金供給に
痺れを切らしたエアバス社のCEOが、A400Mの開発をキャンセル
するかも知れないと語ったと報じられました。BBC Worldにそれに
ついての詳しい報道が出ていたので抄訳しました。

エアバスA400Mは、深刻な重量超過に悩んでおり、一号機はそれが、
12トンに達したと報じられています。この場合のペイロードは20
トン程度になります。今後、重量軽減策を進めると最大7トン程度
の削減が可能な見込みですが、初期生産分は5トンしか削減できず、
このままでは当初予定していた32トンの搭載能力を達成できない
見通しです。ドイツが時間をかけての開発を主張しているのは、
A400Mで輸送を期待していたプーマ装軌装甲車(31t)の輸送が現状、
見込めない事も影響していると思われます。

コストも問題で、当初180機の製造コストは200億ユーロ
(290億ドル)でしたが、現在では、更に110億ユーロを要する
と見込まれています。

今回の件は、当初の固定費用契約を盾にする欧州各国に対し、初飛
行したA400Mを人質にしたEADS社がコスト超過を認めさせようとして
いる構図であり、初飛行を2009年中に達成していなければエアバス
社の立場はもっと弱いものになっていただろうと想像できる事から
すれば、昨年12月の初飛行は、正に、このためのものであったと
いう感を深くします。

なお、110億ユーロのコスト増加が認められた場合、開発製造コ
ストの合計は310億ユーロとなり、一機当りのコストは、1.72
億ユーロ(2.5億ドル)となり、A400Mの二倍の輸送量を持つC-17
の2億ドルを上回る事になります。ちなみにA400Mの半分程度の大
きさであるC-130Jは70百万ドルと言われています。


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2010年1月15日金曜日

鳩山由紀夫、首相としての適正を欠く発言を連発!

小沢問題で首相「問題あっても国民は民主を選んだ」

鳩山由紀夫首相は15日午前、民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体をめぐ
る疑惑に関し、「国民の皆さんは『またか』という思いを感じていると思う」
とした上で、「私自身の問題もあったが、総選挙の前から出ていた話であり、
こういう問題があるにもかかわらず、民主党を国民の皆さんの多くが選んだ。
その責任を果たす」と語った。昨年8月の衆院選での同党圧勝で、自らと小沢
氏の政治資金問題を正当化したとも受け止められる発言だ。首相公邸前で記者
団に答えた。

首相は、小沢氏の説明責任について「国民の皆さんは説明責任が果たされてい
ないと思われると思う。ただ、検察の捜査中であり、本人が言えることには限
界がある」と述べ、小沢氏の立場に理解を示した。

(産経新聞 2010/01/15)

「地球から見れば、人間がいなくなるのが一番優しい」鳩山首相

鳩山由紀夫首相は14日、首相官邸で開かれた温室効果ガスの25%削減に向
けたイベントであいさつし、「地球から見れば、人間がいなくなるのが一番優
しい自然に戻るんだという思いも分かる」と述べ、独特の世界観を披露した。
首相は「いま1日100種類の命が失われている」と指摘し、生物多様性の重
要性を強調。その上で「人間が存在しているからこそ、このような地球になっ
ていることを謙虚に認めなければならない」「地球を襲っている人間という生
物が犯している大きな誤りの1つが、地球の温暖化現象だ」と語った。
 これまでも「国益も大事だが、地球益も大変大事だ」「日本列島は日本人だ
けのものじゃない」などと“友愛発言”を繰り返してきた首相。イベントでも
その精神を強調したかったようだが、さすがに「その結論(人間がいなくなる)
はとりたくない」との言葉を補うことは忘れなかった。

(産経新聞 2010/01/14)


鳩山首相が政治家として総理大臣に相応しくない事を示す発言を連
発しています。

まず、上の方の記事ですが、国民は、首相や、小沢氏の疑惑につい
ていまだ充分な説明を受けていません。首相は、しらをきりとおし
ただけであり、未だに満足な説明を行っていないのです。単に収め
るべき税金の一部を収めたにすぎず、時効にかかり、納税を拒否さ
れた事で、脱税を行った事を確定させてしまいました。これほど、
納税者を馬鹿にした首相は過去いなかったと言っても過言ではあり
ません。「ぼくんちお金持ち」では単なるスネオにすぎません。

それに、選挙前に言われていたのは、故人献金問題だけで今回の脱
税そのものは発覚してはいませんでした。しかも、選挙前は、マス
コミのほぼ全てが、麻生内閣の、今から思えば、本当に枝葉末節を
声高に批判していたのであり、とても、「私自身の問題もあったが、
総選挙の前から出ていた話であり、こういう問題があるにもかかわ
らず、民主党を国民の皆さんの多くが選んだ。」と言える様なもの
ではありませんでした。

もし、それだけの自信があるのなら、今すぐ解散し、総選挙を行っ
て国民に信を問うべきでしょう。そうできないのなら、鳩山首相は、
厚顔無恥、恥知らず、鉄面皮と言った言葉を免れる事はでき
ないでしょう。

二番目の記事の発言も、問題です。言葉そのものは理系首相の面目
躍如かも知れませんが、発言したタイミングに適切を欠いています。
まさに12日に、ハイチで大地震が起こり、数千~数万人の死者が
でている中での発言なのです。日本は阪神淡路大震災を経験し、そ
の際の村山内閣の無策で失わなくても良い命を失った苦い経験があ
ります。その様な経験があるにも関わらず、日本政府は、今回、災
害救援隊の自主的な派遣も行わず、政府機構が崩壊して、大統領や
首相が徒手空拳をかこっているハイチからのいつまでもこない救援
要請を、ただ待っていただけの無策で、中国の後塵を拝してしまっ
たのです。その様子は、官房長官のTwitterでのつぶやきで明らか
になってしまっています。まさに村山首相なみの無策ぶりでした。

鳩山首相の「友愛外交」とやらが、特亜三国向けのものでないのな
ら、まさにそれを示すべき、丁度その時に、首相は芸能人とエコご
っこ遊びをやっていたのです。その上、「地球から見れば、人間が
いなくなるのが一番優しい」とはブラックユーモアにしかなりません。

しかし、いくら批判しても、鉄面皮な鳩山首相には、反省も、改善
も期待できません。民主党政権は、それでも、衆議院を解散しない
限り、あと4年近く続くのです。鳩山首相の最初の発言は、詐欺師
の言い訳とも聞こえます。つまり「騙されるほうが悪い。」という
ものです。選挙で勝てさえすれば、何をやっても構わないというの
が小沢幹事長の持論ですが、鳩山首相も全く同じ詐欺師のスタンス
なのです。

そして、首相としての資格がない事がこれ程明白であっても、自民
党の時の様に首相の首を簡単に挿げ替える事はできません。
「一度やらせてみれば良い」と軽く考えて民主党に投票した人達に
は、猛省を促したいと思います。選挙一つで日本の運命が変わって
しまうのです。少しは民主主義の大切さを認識して欲しいと思いま
す。


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2010年1月14日木曜日

イラン核科学者爆死事件 真犯人はだれだ!

イラン核科学者爆死 裏に米との情報戦?

テヘラン大学の核科学者、マスード・アリモハマディ教授が爆殺された事件で、
英メディアは、アリモハマディ教授が昨年6月の大統領選後、学生の抗議行動
を支援していたため、改革派への見せしめとして暗殺された疑いが強いと伝えた。
イランでは2006年以降、核開発にかかわった核科学者や軍幹部の不審死や
失跡が相次いでおり、米国とイランの情報戦に巻き込まれたとの憶測も飛び交
っている。

現地からの報道によると、アリモハマディ教授は12日朝、自宅を車で出よう
とした際、駐車中のバイクに仕掛けられた遠隔操作式の爆弾が爆発。車は炎上
し教授は焼死した。通行人数人も巻き添えで負傷した。

教授の専門は核開発と密接に関連する核分裂ではなく、理論量子物理学や素粒
子物理学で、イランの核開発当局は「教授は核開発に関与していなかった」と
発表した。しかし、イラン外務省は声明で、イランの核開発を遅らせるため米
国とイスラエルが背後で関与したと非難。これに対し、米国務省は「ばかばか
しい」と一蹴(いっしゅう)した。

13日付の英紙フィナンシャル・タイムズは「核開発計画にかかわっていたと
するいかなる可能性よりも改革派の支援者だった事実の方が教授の死を説明で
きるだろう」と指摘した。(ロンドン 木村正人)

(産経新聞 2010/01/14)


イランの核科学者が、リモコン装置を使ったバイクで爆殺された事
で、イランと欧米の非難合戦が始まっています。
最初は、イラン外務省で、爆殺されたアリ・モハマディ教授がイラ
ンの核開発計画とは無関係としながらも、米国とイスラエルと関連
のある亡命者グループが暗殺を図ったと非難しました。13日には、
イランの国会議長であるアリ・ラルジャニも米国が背後にいると非
難しました。

これに対し、米国の国務省高官が、「ばかげている」として否定し、
更にCIAも当局者が「CIAがこの事件に関与しているとする主張は、
全くの誤り」と述べています。

その一方で、暗殺されたアリ・モハマディ教授がイランの改革派勢
力を支持していた事が判ってきました。上の記事にもあるイラン保
守派が改革派支持者に「見せしめ」をしたという説がロイターやAP
で報道される様になっています。

実際、アリ・モハマディ教授の未亡人が暗殺を「テロリズムの醜い
顔」とする声明文をハタミ前大統領のWebサイトに投書しているの
も教授の改革派との関連を示したものと言えます。今の処、ハタミ
前大統領は、暗殺を「テロリズムの犠牲者」とのみ述べているだけ
で、誰に対する非難も行っていませんが、名指ししない事で保守派
の圧力を回避しようとしているのかも知れません。また、今回の事
件が、本当に「見せしめ」であるとするならば、イラン国内で保守
派が改革派の動きに対し、危機感を持っている現れと言えるのかも
知れません。

イランは、昨年10月のジュネーブ合意で、国内で濃縮した低濃縮ウ
ランを海外に移送し、その替りに、原子炉用の核燃料に加工したも
のを受け取る事を西側と合意したものの、国内保守派の突き上げで、
それを反故にした事で、欧米諸国との緊張が高まっていました。

今回の暗殺事件に対する、イラン外務省の反応が素早いものであっ
た事も含め、昨年末の欧米との核交渉の決裂を受け、国内の改革派
に対し圧力をかけると同時に、米国とイスラエルの暗殺事件への関
与を非難する事で、国際的な制裁圧力をかわす事を狙ったとすれば、
今回の事件で一番の利益を得るのは、イラン政府と保守派と言う事
になります。殺人事件の真犯人として一番利益を受ける者を疑えと
言う推理小説のセオリーが、このミステリーの真相を示しているの
かも知れません。


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2010年1月13日水曜日

空自次期輸送機、二年遅れの初飛行へ

※CGは、precise3DModeling.comから転載

空自次期輸送機CX、今月にも初飛行

防衛省が導入を目指す航空自衛隊の次期輸送機(CX)開発計画で、同省やメ
ーカーが今月中にも、岐阜県各務原市の空自岐阜基地で試作機の初飛行を実施
する方向で調整していることが分かった。
複数の関係者が明らかにした。初飛行が成功し、安全性が確認されれば納品さ
れる。

CXは緊急援助や平和協力など海外での活動も想定し、防衛省が国産のC1輸
送機の後継として2001年度から開発に着手。川崎重工業を中心に、岐阜基
地隣の同社岐阜工場で開発している。

当初は07年9月に初飛行が予定されたが、機体の組み立てに必要な鋲(びょ
う)や胴体フレームの強度不足などの不具合が相次いで判明。開発スケジュー
ルが大幅にずれ込んでいた。

CXは全長、全幅とも44メートルでC1の1・5倍。
エンジンは米国製で日本が自主開発する機体としては最大規模となる。
航続距離や輸送量はC1の4倍でイラクに派遣された米国製のC130輸送機
の性能も上回る。

CXは既に完成した海自の次期固定翼哨戒機(XP1)と同時開発。将来的な
民間転用も検討されており、量産化されれば東海地方の航空機産業への波及効
果が期待される。

(中日新聞 2010/01/08)


先月(2009/12)には、A400MとBoeing787が、初飛行を果たしました
が、我が国の航空機開発で懸案となっていたC-X(次期輸送機)につ
いても、今月初飛行が実現できそうになった様です。

元々は、記事にもある通り、2007年9月に初飛行を予定していまし
たが、ロールアウトの後、ファスナーの取替や胴体部の強度不足に
よる変形が発見された事から、ファスナーの取替作業や強度設計の
変更に伴なう改修などを行っていたものです。

同時に、開発が進められていたP-X(次期哨戒機)の方も、C-Xで発生
したのと同様のファスナー問題はでたものの、機体強度の問題は出
ておらず、試験2号機も進空し、概ねスケジュール通り順調に飛行
テストが進められています。

P-XとC-Xは、一部の機体部品やアビオニクス等の電装部品の過半が
共通化されている他、機体設計用のソフトウェアも共通化されてい
るので、共通部品や航法等の共通サブシステムの検証負荷が削減で
きる他、開発手順そのものは、先行するP-Xで既に実行済の開発ア
プローチを更に改善した手法が取れますので、これまでとは異なり、
今後の開発は、粛々と遂行できる事が期待されています。そういう
見込みもあって、2009年度中の防衛省への納品が予定されているの
だろうと思われます。

ちなみに、C-Xですが、従来使用されてきたC-1と比べ、全長、全幅
とも44メートルで1.5倍。空虚重量で2.5倍、最大離陸重量で3.1倍
と大型化されています。この大きさの機体を開発した事は戦前、戦
後を通じて始めての事です。

C-Xの一番の特徴は、民間ジェット空路を使用できる速度性能であ
るMach0.84の巡航速度を実現している事です。通常、軍用輸送機は、
ずんぐりとした形状のものが多く、その形状もあって速度性能は、
低いものが多くなっています。例えば、C-5A、C-17の巡航速度は、
共にMach0.77。A400Mもプロップとしては早い速度ですが、それで
も、Mach0.72です。日本も使用しているC-130Hは、時速620kmに過
ぎません。

その為、民間ジェット機の飛行する高度を飛行すると高速の民間機
を妨害する事にもなるので、空気抵抗が高く、燃料消費も高い、一
段低い空路を燃料を補給しながら飛ばざるを得ず、ただでさえ低速
な輸送機が、より低速で飛ばざるを得ないという悪循環に陥ってし
まっている訳です。その為、この輸送機の速度性能改善は、米空軍
の次世代輸送機の課題にもなっている程なのです。C-Xが、民間空
路を飛行可能な速度性能を持つ事は、まさに時代を先取りしたニー
ズを実現していると言えるのです。


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