JALが会社更生法適用を申請、事業会社で戦後最大の破たん
[東京 19日 ロイター] 日本航空(JAL)<9205.T>は19日、東京
地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと正式発表した。負債総額は、
2兆3221億円で、事業会社としては戦後最大の経営破たんとなる。
企業再生支援機構も支援決定を発表しており、再建を巡って揺れ続けた同社は
支援機構をスポンサーとして再生を図ることとなった。
更生法を申請したのは、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、ジ
ャルキャピタルの3社。負債総額は2000年のそごうの1兆8700億円を
抜いて事業会社として最大規模。金融機関を含めても戦後4番目の大型経営破
たんとなった。
1951年に設立され1987年に完全民営化した日本のフラッグキャリアは
事実上国の管理下に入る。国内大手航空会社として初の破たんとなる。
支援機構の発表によると、破たん後のつなぎ資金として支援機構と日本政策投
資銀行が6000億円の融資を実行し、資金繰りを支える。また、支援機構は
3000億円超の資本注入を実施するほか、取引金融機関などに対して債権カ
ット約7300億円を要請し、JALの債務超過を解消する。JALの株式は
100%減資し、上場廃止する計画だとした。
2012年度の売上高は1兆3585億円、営業利益は1157億円を計画し
ている。
(ロイター 2010/01/20)
日本航空が遂に破綻しました。負債総額2.3兆円とありますが、
負債は資産に回っている分がありますので、その大きさは気にする
必要はありません。寧ろ、債務超過8000億円という数字が問題
です。
この債務超過状態を解消する為に、09/03末に約2000億円あっ
た自己資本を減資によりゼロにし、更に、銀行からの借入と債権の
合計の内7300億円をカット。そして、支援機構から3000億
円のニューマネーを投入し再生するという訳です。
自己資本と債権カットで合計9000億円以上のカットとなります
ので、これだけで、債務超過状態は解消します。
では、何故更に3000億円を投入するかですが、これは資本の充
実と、当面の資金繰りに回るものと思われます。
現在のJALは、営業ベースでの赤字が続いています。その赤字を
補填する資金が必要になります。また、企業を運営するには、運転
資金が必要です。更に、再建の中で、企業規模を縮小するので、余
剰となった社員には退職金を払って辞めて貰う必要も出てきます。
その為の費用も必要となります。
しかし、再建中の企業ですから、多額の債権放棄を余儀なくされた
ばかりの銀行としては安易な貸出を行なう事などできません。その
為に、再生機構が資本金として、3000億円を投入して当面の資
金繰りを付け、更に企業再生を進め三年を目処に儲かる会社に体質
を改善させる事で再生を完了させます。その上で、再生機構は資本
金として投入した三千億円を株式を公開する事で、回収するという
計画になっています。
個人的には、今回の日本航空の破綻劇は、民主党政権、特に、前原
経済産業相のスタンドプレーが引き金を引いたと思っています。オ
バマ政権がGMの再建を鮮やかに行った事で評価を上げたのを念頭
に置いて、確実に成功する企業再生案件とする為に、あえて救済せ
ずJALを破綻させたというものです。
JALを破綻させる為に、資産の大宗をなしていた280機に及ぶ
機材を二束三文に時価評価する事で、資産価値を低下させると言う
手段を用いました。しかも、この評価替えを行った「前原国交相直
轄チーム」のメンバーにはレポート作成後、JAL再生の為、役員
に登用するという約束まで行われていた模様です。再生しやすくす
る為には、資産評価を悪くした方が、身軽になって良いので、直轄
チームには、資産を厳しく行なうインセンティブが生じました。そ
して直轄チームは、JALに厳しい評価結果のレポートを出した後、
まるで用済みになってしまった様に、JALの役員の椅子を反故に
されているのです。その後、法的整理の話が出てきた時に、直轄チ
ームの元リーダーがそれに反対したのはお笑い以外の何者でもあり
ませんでした。
その様な、民主党の党利党略的なJAL破綻劇は横に置いても、
具体的な再建策の中にも問題があります。
今回の破綻により、JALの株主は2000億円の資産を減資によ
り100%喪失する事になります。これが、本当に正しかったかどうか
という問題です。株主が、正しい情報を得ていたかという点を見る
と、上記の様な、民主党の政治的な思惑は、一般の株主に知らされ
る訳もありませんし、新聞発表と、それを逐一否定する会社側の発
表、そのどちらを信じた株主も結果的に浮かばれなかった様に思わ
れます。従って、株主は最後まで正しい情報を提供されないままに、
JAL株式を二束三文でたたき売らねばならない事になりました。
また、JALの破綻の原因として、航空行政の過ちによる部分が非
常に大きかった事も事実です。利用者の無い空港が政治的決定によ
り、雨後の筍の様に建設され、JALは高い公租公課を支払わせら
れながら赤字路線への就航を余儀なくされたという点です。JAL
が国営航空会社であった伝統から政治的圧力に極めて弱い体質であ
った事も、安易な赤字路線就役を助長しました。
しかし株主は、これら全てを納得してJALの株式を購入したのだ
ろうと言われれば、確かにその通りです。それが株式投資のルール
です。しかし、その通りに法的整理で100%減資する事が正しい
かどうかは別の事です。例えば99%減資する事と比較すればどう
なるかです。
100%減資では、株主は一切の権利を剥奪される事になります。
それによって会社を倒産させた経営者を選んだ株主の経営責任を問
われる訳です。以後の経営への関与は拒否されます。そうされた時
に、実に47万人に及ぶ株主には、恨みしか残らないでしょう。
株主の多くはJALの利用者でもあった筈です。もし、私が株主で
あれば、権利の全てを剥奪され損害しか与えなかった航空会社をあ
えて利用する理由がありません。JALは株主という会社に忠誠な
大きな利用者層を失う事になるのです。
一方、99%減資の場合はどうでしょうか。保有株式数は百分の一
になるかも知れませんが、引き続き、会社への関与は残されていま
す。JALが再建されれば、株主自身の利益にもなります。この場
合は、JALは会社に忠誠な大きな利用者層を維持する事ができま
す。1%の減資幅の違いは20億円になります。2.3兆円のJAL
の負債総額からすれば、20億円は、ごく僅かな違いでしかありま
せん。
今回のJAL破綻劇については、上記の様な旧株主への細かな対応
を欠いているのは一例に過ぎず、その他にもGM再建とは比べ物に
ならない程、各種の準備を欠いたと言う批判が多く出ています。
民主党の経済政策の迷走を見るにつけ、JAL再生が本当に成功す
るかどうかまだまだ予断を許さない様に思われてならないのです。
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