※アグニ3の発射実験。「弾道ミサイル及び巡航ミサイルの脅威」から転載
インド、弾道ミサイル発射実験成功 中距離「アグニ3」
PTI通信によると、インド国防省筋は7日、核弾頭搭載可能な中距離弾道ミ
サイル、アグニ3(射程3千キロ)の発射実験を同国東部オリッサ州沖の島で
実施し、成功したと明らかにした。アグニ3は中国の主要都市の一部を射程に
入れる。
インドのアグニ3発射実験は今回が4回目。2006年7月の最初の実験は失
敗したが、07年4月と08年5月の実験はいずれも成功している。(共同)
(産経iza 2010/02/07)
現在、インドが配備しているアグニ2は、MRBM(準中距離弾道弾)
の射程である1250マイルの射程距離しか持っていない事から、中国
の一部を射程に収めているとは言うものの、まず、パキスタン向け
と言って良いと思います。
これに対し、今回で4回目になるテストを成功させた、アグニ3は
名前こそ、アグニ2と似ていますが、実は、全く異なるミサイルです。
アグニ2が、細長い、如何にも、射程を延長する為に、ロシア製の
SCUDを二段重ねにした様に見えるのに対し、アグニ3は直径がより
大きく、将来ICBM(大陸間弾道弾)に発展する余裕を持たせたミサイ
ルとして開発されている様に思われます。
アグニ3の射程を、米国は2000マイル以上と見積もっていますが、
この射程は、アグニ2に比べ約倍近いとはいうものの、中国の全域
を納めるのに不十分であり、中国向けの弾道ミサイルとしては、中
途半端な印象は免れません。従って、配備当初は、現状の射程距離
であっても、配備後には、更に射程を延長するものと見込まれてい
ます。
インドの弾道弾配備が進むと、実は我が国にも影響が出てきます。
つまり、インドの脅威を受ける様になる中国ですが、対抗上、イン
ドを射程に納めるミサイルを配備する必要が出てきます。インドが
配備可能な弾道ミサイルとしては、アグニ2と同程度の射程を有す
るCSS-2,CSS-5を前進配置するか、貴重なICBMの一部をインド向け
に振り向けるしかありません。
恐らくは、当面は、配備数に余裕のあるMRBMの前進配置で対応し、
その内に、射程3000マイル程度のミサイルを配備するものと思われ
ますが、元々、射程の長いCSS-5の長射程型は、日本向けと見られ
ていました。この為、一時的とは言え、中国の日本向け核戦力の脅
威が、低下する可能性があるのです。
また、相互抑止の観点からすれば、中国にとって、アメリカやロシ
アは、核抑止ゲームのベテランであり、ある意味で中国が見習うべ
きゲームの師匠とも言え、相互抑止の信頼性が高かったのに対し、
中国がゲームに習熟した時、新規に参入するインドやイラン、北朝
鮮の様な、核ゲームの素人は、行動が予測できずリスクが高まる事
になります。中国にとっては、相互確証破壊(MAD)戦略による相互
抑止が効きにくくなる事になります。それへの対抗策としては、核
ミサイルに多めに配備すると同時にMDを配備する事になります。
中国は、今年1/11にMD実験を行っていますが、このMDの対象は、
インドという事なのかも知れません。中国はかって、日本のMD配
備を地域軍拡を促進すると非難してきましたが、インドの核戦力の
充実によって、日本にとっての北朝鮮の核ミサイルがMDを促した
のと同様の立場に立つことになったのは、如何にも皮肉な結果であ
る様に思われるのです。以前、日本のMDを非難した誰かさん達は
中国のMD配備を非難しないんでしょうか。
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