※朝鮮日報Webサイトより転載
韓国軍:「機動戦団」創設、大洋海軍時代の到来
世界全域で作戦遂行、世宗大王艦など「先端戦闘艦」7隻で構成
有事の際、世界全域のいかなる軍事的状況においても迅速かつ完ぺきな作戦遂
行ができるよう、イージス艦や大型駆逐艦などによる韓国海軍初の「機動戦団」
が、1日に創設された。韓国海軍はこの日、釜山の海軍作戦司令部で、丁玉根
(チョン・オククン)参謀総長が主管する、初の機動戦団「第7機動戦団」の
創設式を挙行した。
1945年、海防兵団という名前で第一歩を踏み出した韓国海軍は、装備する艦艇
が小さくて古く、主として韓半島(朝鮮半島)近海で作戦を遂行することしか
できなかった。しかし2002年以降、世界のどこにでも出動し、作戦を展開でき
る4500トン級の韓国型駆逐艦(KDX2)が続々と進水し、「艦艇の花」と呼ばれ
るイージス艦「世宗大王艦」(7600トン級)までを保有するに至り、今回大洋
海軍として活動できる機動戦団を創設することになった。海防兵団として出発
してから、実に65年目にして実現した。
機動戦団は、有事の際に南北間の衝突はもちろん、マラッカ海峡など韓国の主
要な海上物資輸送路の保護作戦、世界の主要な紛争地域での国連平和維持活動
(PKO)の支援作戦を展開できる、一種の戦略機動部隊だ。平常時は韓国の近
海で北朝鮮の挑発に対応するなど、韓半島内の有事に備えつつ、必要があれば
世界のどこにでも出動し、作戦を展開する「戦略的柔軟性」を備えた戦力だ。
この日の創設式で丁海軍参謀総長は、「機動戦団の創設は、沿岸海軍から大洋
海軍に本格的に発展していることを示す信号弾」と強調した。
機動戦団の創設は、中国や日本など周辺の大国が1990年中盤以降、海軍力の増
強に拍車をかけていることにも影響を受けた、と評価されている。離於島や独
島(日本名:竹島)などをめぐる海洋紛争の可能性に備え、また原油・穀物・
原材料など韓国の主要な戦略物資の99-100%が海を越えて輸入されているこ
とを考慮し、海上輸送路の保護のためにも機動戦団の必要性は高い、と海軍関
係者は説明した。
現在、第7機動戦団は海軍初のイージス艦「世宗大王艦」、忠武公李舜臣(イ・
スンシン)艦など4500トン級の韓国型駆逐艦6隻を合わせ、計7隻の大型水上艦
で構成されている。韓国海軍が保有する艦艇の中で最も大きく、強力な戦闘艦
がすべて属している。第7機動戦団は71・72の2戦隊に分かれ、釜山および鎮海
海軍基地に配備される。今年8月にイージス艦2番艦「粟谷李珥(イ・イ)艦」
が実戦配備されれば、各戦隊はイージス艦1隻、4500トン級駆逐艦3隻で構成さ
れる。2012年に配備されるイージス艦3番艦、2019年から2026年にかけて戦力
化される5600トン級のミニ・イージス艦「KDX2A」6隻も、機動戦団に属するこ
とになるとされる。
さらに、2014年に済州海軍基地が完成すれば、第7機動戦団はこの済州基地を
母港として、済州島南方の東シナ海や南シナ海でも本格的な遠距離作戦能力を
備えることになる。海軍関係者は、「機動戦団の本格的な作戦のためにも、済
州海軍基地の建設を迅速に行わなければならない」と語った。海軍はもともと、
2-3の機動戦団で構成される「(戦略)機動艦隊」を目標としてきたが、予算
問題や陸・空軍のけん制などにより、時期が遅れている。
なお、第7機動戦団の初代戦団長には、イ・ボムリム中将(海士36期)が任命
された。
(朝鮮日報 2010/02/02)
従来、韓国海軍は、東海、南海、西海艦隊の三個艦隊編成でしたが
今回、それとは別に「機動戦団」が、大型艦艇を中心に編成されま
した。
少し理解しにくいかも知れませんが、昨年に大幅な編成の変更が行
われる以前の、地方隊と護衛艦隊で構成されていた日本の艦隊編成
と良く似た形になったとも言えます。
つまり、従来の艦隊が、地方隊に位置付けとなり、今回編成された
機動戦団は護衛隊群の扱いという訳です。
もっとも機動戦団は、米国のタスクグループ的な性格を持っており、
必要に応じて、通常所属しているKDXII、KDXIII合計7隻の駆逐艦
と艦載ヘリコプター部隊に加え、強襲揚陸艦である独島艦や潜水艦、
果てはP-3C部隊が編入される事も想定されています。
もともと、2001年に当時の金大中大統領が「戦略機動艦隊」の設置
について言及した時には、2~3個の「戦略機動艦隊」が、設置さ
れる事が計画されていました。しかし、それ以降のリーマンショッ
ク等の経済危機もあり、そのスケールは若干縮小され、現在の建艦
計画に落ち着いたと言えます。
寧ろ、計画が縮小されたのは、北朝鮮を主敵とする韓国が本来重視
すべき揚陸艦艇であり、外洋艦隊を構成するイージス艦2隻や新鋭
駆逐艦6隻の整備、また、世界的にも最新鋭潜水艦と言える214級
潜水艦9隻の整備が着々と実行されている事に、外洋艦隊に対する
韓国海軍の宿願とも言える思いがこもっている様に思われるのです。
今回の機動戦団の創設は、韓国内では韓国の海上輸送路の保護のた
めと説明されている様ですが、実際には、韓国が米国との同盟関係、
日本との友好関係を前提とすれば、日米のシーレーン防衛を頼って
も構わない部分です。その部分で、あえて韓国の独自の兵力を巨額
の費用を使って整備している訳であり、全く非合理的な軍事力整備
を継続していると言わざるを得ないのです。
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