2010年1月13日水曜日

空自次期輸送機、二年遅れの初飛行へ

※CGは、precise3DModeling.comから転載

空自次期輸送機CX、今月にも初飛行

防衛省が導入を目指す航空自衛隊の次期輸送機(CX)開発計画で、同省やメ
ーカーが今月中にも、岐阜県各務原市の空自岐阜基地で試作機の初飛行を実施
する方向で調整していることが分かった。
複数の関係者が明らかにした。初飛行が成功し、安全性が確認されれば納品さ
れる。

CXは緊急援助や平和協力など海外での活動も想定し、防衛省が国産のC1輸
送機の後継として2001年度から開発に着手。川崎重工業を中心に、岐阜基
地隣の同社岐阜工場で開発している。

当初は07年9月に初飛行が予定されたが、機体の組み立てに必要な鋲(びょ
う)や胴体フレームの強度不足などの不具合が相次いで判明。開発スケジュー
ルが大幅にずれ込んでいた。

CXは全長、全幅とも44メートルでC1の1・5倍。
エンジンは米国製で日本が自主開発する機体としては最大規模となる。
航続距離や輸送量はC1の4倍でイラクに派遣された米国製のC130輸送機
の性能も上回る。

CXは既に完成した海自の次期固定翼哨戒機(XP1)と同時開発。将来的な
民間転用も検討されており、量産化されれば東海地方の航空機産業への波及効
果が期待される。

(中日新聞 2010/01/08)


先月(2009/12)には、A400MとBoeing787が、初飛行を果たしました
が、我が国の航空機開発で懸案となっていたC-X(次期輸送機)につ
いても、今月初飛行が実現できそうになった様です。

元々は、記事にもある通り、2007年9月に初飛行を予定していまし
たが、ロールアウトの後、ファスナーの取替や胴体部の強度不足に
よる変形が発見された事から、ファスナーの取替作業や強度設計の
変更に伴なう改修などを行っていたものです。

同時に、開発が進められていたP-X(次期哨戒機)の方も、C-Xで発生
したのと同様のファスナー問題はでたものの、機体強度の問題は出
ておらず、試験2号機も進空し、概ねスケジュール通り順調に飛行
テストが進められています。

P-XとC-Xは、一部の機体部品やアビオニクス等の電装部品の過半が
共通化されている他、機体設計用のソフトウェアも共通化されてい
るので、共通部品や航法等の共通サブシステムの検証負荷が削減で
きる他、開発手順そのものは、先行するP-Xで既に実行済の開発ア
プローチを更に改善した手法が取れますので、これまでとは異なり、
今後の開発は、粛々と遂行できる事が期待されています。そういう
見込みもあって、2009年度中の防衛省への納品が予定されているの
だろうと思われます。

ちなみに、C-Xですが、従来使用されてきたC-1と比べ、全長、全幅
とも44メートルで1.5倍。空虚重量で2.5倍、最大離陸重量で3.1倍
と大型化されています。この大きさの機体を開発した事は戦前、戦
後を通じて始めての事です。

C-Xの一番の特徴は、民間ジェット空路を使用できる速度性能であ
るMach0.84の巡航速度を実現している事です。通常、軍用輸送機は、
ずんぐりとした形状のものが多く、その形状もあって速度性能は、
低いものが多くなっています。例えば、C-5A、C-17の巡航速度は、
共にMach0.77。A400Mもプロップとしては早い速度ですが、それで
も、Mach0.72です。日本も使用しているC-130Hは、時速620kmに過
ぎません。

その為、民間ジェット機の飛行する高度を飛行すると高速の民間機
を妨害する事にもなるので、空気抵抗が高く、燃料消費も高い、一
段低い空路を燃料を補給しながら飛ばざるを得ず、ただでさえ低速
な輸送機が、より低速で飛ばざるを得ないという悪循環に陥ってし
まっている訳です。その為、この輸送機の速度性能改善は、米空軍
の次世代輸送機の課題にもなっている程なのです。C-Xが、民間空
路を飛行可能な速度性能を持つ事は、まさに時代を先取りしたニー
ズを実現していると言えるのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/





0 件のコメント: