テヘラン大学の核科学者、マスード・アリモハマディ教授が爆殺された事件で、
英メディアは、アリモハマディ教授が昨年6月の大統領選後、学生の抗議行動
を支援していたため、改革派への見せしめとして暗殺された疑いが強いと伝えた。
イランでは2006年以降、核開発にかかわった核科学者や軍幹部の不審死や
失跡が相次いでおり、米国とイランの情報戦に巻き込まれたとの憶測も飛び交
っている。
現地からの報道によると、アリモハマディ教授は12日朝、自宅を車で出よう
とした際、駐車中のバイクに仕掛けられた遠隔操作式の爆弾が爆発。車は炎上
し教授は焼死した。通行人数人も巻き添えで負傷した。
教授の専門は核開発と密接に関連する核分裂ではなく、理論量子物理学や素粒
子物理学で、イランの核開発当局は「教授は核開発に関与していなかった」と
発表した。しかし、イラン外務省は声明で、イランの核開発を遅らせるため米
国とイスラエルが背後で関与したと非難。これに対し、米国務省は「ばかばか
しい」と一蹴(いっしゅう)した。
13日付の英紙フィナンシャル・タイムズは「核開発計画にかかわっていたと
するいかなる可能性よりも改革派の支援者だった事実の方が教授の死を説明で
きるだろう」と指摘した。(ロンドン 木村正人)
(産経新聞 2010/01/14)
イランの核科学者が、リモコン装置を使ったバイクで爆殺された事
で、イランと欧米の非難合戦が始まっています。
最初は、イラン外務省で、爆殺されたアリ・モハマディ教授がイラ
ンの核開発計画とは無関係としながらも、米国とイスラエルと関連
のある亡命者グループが暗殺を図ったと非難しました。13日には、
イランの国会議長であるアリ・ラルジャニも米国が背後にいると非
難しました。
これに対し、米国の国務省高官が、「ばかげている」として否定し、
更にCIAも当局者が「CIAがこの事件に関与しているとする主張は、
全くの誤り」と述べています。
その一方で、暗殺されたアリ・モハマディ教授がイランの改革派勢
力を支持していた事が判ってきました。上の記事にもあるイラン保
守派が改革派支持者に「見せしめ」をしたという説がロイターやAP
で報道される様になっています。
実際、アリ・モハマディ教授の未亡人が暗殺を「テロリズムの醜い
顔」とする声明文をハタミ前大統領のWebサイトに投書しているの
も教授の改革派との関連を示したものと言えます。今の処、ハタミ
前大統領は、暗殺を「テロリズムの犠牲者」とのみ述べているだけ
で、誰に対する非難も行っていませんが、名指ししない事で保守派
の圧力を回避しようとしているのかも知れません。また、今回の事
件が、本当に「見せしめ」であるとするならば、イラン国内で保守
派が改革派の動きに対し、危機感を持っている現れと言えるのかも
知れません。
イランは、昨年10月のジュネーブ合意で、国内で濃縮した低濃縮ウ
ランを海外に移送し、その替りに、原子炉用の核燃料に加工したも
のを受け取る事を西側と合意したものの、国内保守派の突き上げで、
それを反故にした事で、欧米諸国との緊張が高まっていました。
今回の暗殺事件に対する、イラン外務省の反応が素早いものであっ
た事も含め、昨年末の欧米との核交渉の決裂を受け、国内の改革派
に対し圧力をかけると同時に、米国とイスラエルの暗殺事件への関
与を非難する事で、国際的な制裁圧力をかわす事を狙ったとすれば、
今回の事件で一番の利益を得るのは、イラン政府と保守派と言う事
になります。殺人事件の真犯人として一番利益を受ける者を疑えと
言う推理小説のセオリーが、このミステリーの真相を示しているの
かも知れません。
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