2010年2月15日月曜日

空中警戒管制機の導入進む韓国空軍

※http://www.spyflight.co.uk/737aewc.htmから転載

やや旧聞に属しますが、今月9日に韓国空軍向けの737型空中警戒管
制機の一号機がボーイング社から韓国に引渡されました。但し、こ
の機体は、MESAレーダを装備していないクリーン状態のもので、
これから韓国内で、ノースロップグラマン社製のレーダーと制御装
置、管制卓等を一年をかけて装備される見込みです。以下、これを
報じたUPIの記事を抄訳しました。

韓国が最初の早期警戒機を入手

ボーイング・インテグレーティド・デフェンスシステム社(ボーイングIDS社)
は、空中警戒管制機四機の内の最初の一機を韓国に引渡した。
韓国防衛調達計画監督庁の声明によれば、韓国のKAI社が、来年の韓国空軍へ
の最終引渡しに備え、機体の改造を担当する。
この改造作業の中で、KAI社は、ノースロップ・グラマン社のLバンド多目的電
子スキャンアレーレーダーを装備する。

三年前に締結された16億ドルの計画の下で、ボーイングIDS社は2012年までに
四機の737早期警戒機を韓国に引き渡す事になっているが、その2012年には、
米軍から韓国に戦時作戦統制権が引渡される事が予定されている。

韓国には北朝鮮からの侵攻の可能性に対処する為に、28500名の米軍が駐留し
ている。南北朝鮮は、1950-53年の朝鮮戦争以降、平和条約ではなく、休戦協
定によって戦争が停止されており、理論的には、戦争状態が続いている。

最初の737型機は、シアトルのボーイング社施設から韓国南部の泗川市にある
KAI社施設に空輸される。
41000ftの高度を最高速度340ktで飛行する能力を持つ同機は、管制乗員向けに
6基の共通管制卓を持つ。専門家によれば、その柔軟性と支援能力は、民間機
の航空管制によく似ていると言う。
「737型空中早期警戒管制機は、韓国が、米国から戦時作戦統制権の移譲を受
け、独自の情報集約と探査監視能力を構築する上での核となる役割を果たす事
になろう」とディフェンスニュース紙は述べている。

この機体は、戦闘機による迎撃や地上の目標物へ低空で侵入する戦術空軍の攻
撃を空中で管制し統制する役割を果たす能力を保有している。
この機体は、この小さな共和国が、無人機、RF-4C偵察機、Hawker800型機によ
る偵察航空団を構築する計画の一翼を担う事になる。

(UPI通信 2010/02/09)


空中警戒管制機は、空軍の主要な戦力倍増要素の一つと言われてい
ます。米国、NATO、日本は、ボーイング707や767をベースとしたE-3、
E-767AWACSを装備していますが、この機体は、新しいだけあって、
E-3とE-767のロートドームとは異なり、レーダーアンテナは可動部
のない固定式の電子走査レーダーを搭載しており、機体は小さいも
のの能力的には既存のAWACSと遜色がないと見られています。
元々は、オーストラリア空軍向けに開発され、韓国空軍の他、トル
コ空軍も導入を予定しています。
(なお、似たような電子スキャンレーダーを持った早期警戒管制機
を中国も開発中です。)

今まで、この種の早期警戒管制機は、北東アジアでは、日本と米国
しか保有していませんでしたが、今回の韓国の737型空中警戒管制
機導入により、日韓の空軍戦力の格差は大幅に縮小する事になるも
のと思われます。

勿論、ハードウェアとしての空中警戒管制機を導入するだけで戦力
が倍増する訳ではなく、空中警戒管制機の能力を100%引き出す為に
は、実際の運用経験を重ねる必要があるのですが、韓国が徐々にそ
の能力を高めていく事は間違いありません。

韓国は、この処、経済危機にも関わらず、陸海空戦力の近代化を急
速に進めています。過去10年、日本は、隣国の軍備拡張や近代化
に関係なく独自の基準で軍備の整備(特にMD整備)を進めてきまし
たが、戦力が相対的なものである以上、そろそろ、北朝鮮以外の隣
国の動きにも対抗したMD以外の戦力整備を行う必要が出てきてい
る様に思われてなりません。


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