2009年4月17日金曜日

今度は韓国が7月に人工衛星打ち上げ


※写真は、朝鮮日報サイトから転載

威容を現した韓国初の宇宙ロケット

韓国初の宇宙ロケットKSLV1号の地上検証用機体(GTV)が15日午前、全羅南道
高興郡蓬莱面曳内里の羅老宇宙センターで、初めて発射台に取り付けられた。
航空宇宙研究院は今年6月初めまでGTVを発射台に取り付け、燃料や酸化剤を注
入する試験など発射前の過程を点検する予定だ。KSLV1号は今年7月末、ロシア
が製作した1段目ブースターを利用し、地上170キロの高さまで打ち上げた後、
韓国が自主開発した2段目の固体燃料ブースターで科学技術衛星2号を高度300-
1500キロの楕円軌道に投入する。研究院は6月初めにロシアから本物の1段目を
受領し、韓国で製作された2段目と合わせロケットを組み立てる予定だ。

(朝鮮日報 2009/04/16)


テポドン発射騒ぎも記憶に新しい処ですが、北に続いて今度は南も
人工衛星の打ち上げです。
韓国は当初は、自前で液体燃料(液酸・ケロシン)エンジンのロケッ
トの開発をしていたのですが、開発に時間がかかりすぎる事から、
ロシアの技術を大幅に取り入れたロケット開発に変更しています。
日本も宇宙開発事業団系の実用衛星打上げロケットは、米国からの
全面的な技術導入を行っていますので、導入先は別ですが、それと
良く似たロケット開発方針であると言えます。

日本の場合は、米国からの技術導入は理想的といわれる程、協力的
でスムーズであったと言われますが、韓国の場合は、ロシア側から
技術移転にはかなり制約がついている様で、製造技術だけの輸出は
拒絶されているようです。当初はかなり早い段階で、韓国で一段目
を製造する計画でしたが、少なくとも一号機に関しては、ロシアか
らの輸入となり、打ち上げ計画も半年以上ずれ込んでいます。

写真は、そのKSLV1の地上検証用の機体で、地上設備を点検する為
のものです。燃料注入のテストなども行う為、本物と同様に作られ
ています。一段目は、幅が広い部分で全体33mの内、26m近くを占め
ており、液体燃料(液酸・ケロシン?)エンジンRD-151を使用してい
ます。二段目は、韓国が国内で製造した固体燃料ロケットが使用さ
れています。(固体燃料ロケット技術については国産技術という説
とロシアから導入したという両説があります。)
ロケット全体の重量は140トンで、地球低軌道に100kgの衛星を
投入可能となっています。
4月5日に北朝鮮が発射したロケット「銀河2号」は3段で重量
70トン以上(推定)、全長32メートル(推定)と言われていま
すが、全長は略同じですが、重量は約2倍となっており、より強力
なロケットであると言えます。

記事にもある通り、本物は、6月に搬入され、7月の衛星上げに向
け準備が進められます。
この初回打ち上げですが、韓国南岸の全羅南道に新設された羅老宇
宙センターから南に向けて打ち上げられる予定で、日本の沖縄上空
を通過するコースが発表されています。流石に、北朝鮮と違って日
本に対して上空通過許可依頼が出されており、安全対策の説明も行
われていると思われます。そうでなければ、コースが外れた場合に
備え迎撃準備が必要になる処ですね。


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2009年4月16日木曜日

テポドン発射時にロシアが電子戦機を派遣したのは当然の話



写真上段は、IL-20 Coot-A Globalsecurity.orgより転載
写真下段は産経新聞サイトからの転載

露軍機がMD網偵察 北が発射時に情報収集機飛行

北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した際、ロシアの情報収集機が日米両国の
ミサイル防衛(MD)システムの運用を偵察していたことが15日、分かった。
北朝鮮からの発射時間帯の事前通報をもとに日本海で待機。日米のレーダー網
が実戦モードで照射した電波の周波数帯や、MD運用に伴う自衛隊各部隊の役
割分担に関する情報を集めたとみられる。日本海を舞台にした激しい情報戦の
一端が浮き彫りになった形だ。

偵察飛行を行っていたのは、ロシア空軍の電子情報収集機「IL20」。防衛
省によると、IL20はこれまでにも日本周辺への飛来が確認されている。先
月にも2度、日本海を偵察飛行しており、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(ス
クランブル)している。

北朝鮮のミサイル発射は今月5日午前11時半。IL20はその約30分前に
北海道沖から日本海を南下し、北朝鮮が設定したミサイルの1段目ブースター
(推進エンジン)の落下危険区域の上空を通過した。発射時には、さらに南下
したところで待機していた。

ミサイル発射を受け、探知・追尾のため、海上自衛隊のイージス艦3隻のSPY1、
地上に配備した空自の2基のFPS-5、4基のFPS-3改のレーダーが一
斉に照射。米軍も日本海と太平洋に2隻ずつ展開していたイージス艦、青森県
に配備しているXバンドレーダーを稼働させた。

IL20はMDでの各レーダーの電波の周波数帯、照射方法や探索パターン、
レーダー同士の任務分担などを確認したとみられる。周波数帯を把握されると、
妨害電波でレーダーが無力化される恐れがある。

MD任務の際、イージス艦はレーダーの機能をミサイル探知にシフトさせ、航
空機などを警戒する防空能力が手薄になる。航空機やほかの護衛艦のレーダー
で防空能力を補完するとされ、IL20は海・空自の部隊の連携などMDでの
「戦い方」を把握。海自のEP3、空自のYS11Eといった電子偵察機の情
報収集任務にも注目していた可能性が高い。

情報収集機が飛来した場合、訓練であればレーダーの照射を控える。だが、今
回は北朝鮮の発射に対処する実任務だったため、自衛隊はレーダー網をフル稼
働させざるを得なかった。空自戦闘機はスクランブルで警戒し、IL20は領
空侵犯はしていない。IL20は2、3時間にわたり、日本近海で偵察を続け、
隠岐の島(島根県)付近まで飛行した後、ロシアに戻っていった。

北朝鮮は発射当日、米中露3カ国に発射時間帯を事前に通報したとされ、ロシ
ア空軍は周到にIL20による偵察飛行の計画を立てたとみられている。

(産経新聞 2009/4/16)


ロシアのIL-20は、日本や米国が使用しているP-3Cと同じ様に、中
型のターボプロップ旅客機から軍用に転用された機体です。機体は、
P-3Cより多少大きいですが、略同程度の機体と考えて良いでしょう。

元々の旅客機型はIL-18 Cootと言い、対潜哨戒機はIL-38 May、
電子戦機はIL-20 Coot-Aといいます。
日本でもP-3Cを改造したEP-3Cという機体がありますが、同様の性
格の機体であると言えます。ターボプロップ機である為、速度は遅
めですが、長い滞空時間が得られる事が対潜哨戒機とニーズが一致
したものと言えます。

EP-3CがP-3Cに各種のレーダードームを追加した機体であるのと同
様、IL-20も胴体下部に一見、大型ミサイルにも見える長大なアレ
ーアンテナを装備しているのが特徴です。

今回の北朝鮮のミサイル実験は、日本や米国にとって、実戦同様の
素晴らしい訓練の機会を提供してくれましたが、記事にもある通り
ロシアにとっても、BMDを構成するSPY-1レーダー、Xバンドレ
ーダー、ガメラレーダー等が実戦モードで電波を発射した得がたい
機会であったのは間違いありません。勿論、今回だけの電子情報収
集で、対抗手段が講じられる訳ではありませし、レーダーの側も対
抗措置を取れるようになっていますが、今後、更に情報収集を行う
事で、北朝鮮や中国に対して、より完成度の高い電波妨害装置など
の売り込みを行う事は十分に考えられます。

現代戦では、実戦に至る前の段階で、平時から、今回の様な情報収
集戦が展開されており、今回、ロシアが電子情報収集(ESM)を行っ
た事で、今度は日米側が電子戦(ECM)能力をより高度なものに改善
する事が促がされ、それが更に、ロシアと北朝鮮による対電子戦
(ECCM)能力改善に繋がっていくという関係にあります。

その点、流石にロシアは抜かりなく手を打っていたと言えますが、
その一方で、もう一方の当事者である中国や北朝鮮がどの様な、
手を打っていたのか非常に興味深い処です。


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2009年4月15日水曜日

敵対国ロシアに利益を与える必要はない!


※写真はサハリン2。産経新聞サイトから転載。

サハリン1のLNG輸出、日本に支援要請 ロシア

ロシア政府が極東で建設を計画するパイプラインと液化天然ガス(LNG)輸
出基地について、日本に資金、技術両面で支援を求めていることが明らかにな
った。建設総額は5000億円規模と見込まれ、5月に訪日を予定するプーチン首
相が本格協議入りを打診する見込み。対ロ協力は資源調達先の多様化を目指す
日本のエネルギー政策と合致するが、北方領土問題を棚上げして経済協力が先
行することへの懸念も出そうだ。

日本外交筋によると、ロシアが支援を求めているのはサハリンとウラジオスト
クを結ぶパイプラインとウラジオ近郊でのLNG輸出基地の建設。日本のLNG
技術を導入し、米エクソンモービルや伊藤忠商事が出資する天然ガス・石油事
業の「サハリン1」が生産するガスをロシアが全量買い取って、大半を日本な
どに輸出する。ロシアはパイプラインとLNG基地の経営権も握る方向だ。

(NIKKEI NET 09/04/15)


このプロジェクトは、本来は、サハリンの天然ガスを中国や極東ロ
シアに移送できる様にする為のパイプラインを建設するものであり、
ウラジオストックにLNG基地を作る事で、更に、供給地の多角化
を可能とする事で中国に価格決定権を与えない様にしようと言うも
のです。サハリン2も接続できるので、現状、主に海路で搬出して
いるサハリン2の天然ガスもこのパイプラインで中国に輸出する事
も可能になります。

つまり、このプロジェクトはロシアの価格決定権や供給決定権を強
化するのみで日本にとって有利な事は全くないという事になります。

ロシアは、つい昨年までは、日本に求めるものは何もないと豪語し、
北方領土問題についても、突き放した態度を継続していた他、つい
先日の北朝鮮ミサイル問題でも、日本が要求していた国連決議の採
択に反対していた事は記憶に新しい所です。

その様な中で、今回の様な日本にとって利益がないプロジェクトに
巨額の経済援助を与える事は、ロシアが、日本を侮る事にお墨付き
を与える事になってしまいます。

つまり、ロシアは幾ら外交的に日本の利益をないがしろにしても、
日本からは何の報復もないし、ロシアが日本に対して外交的に譲歩
しなくても経済援助は得られることになってしまうのです。

このプロジェクトを推進しているのは経済産業省の官僚であると思
われますが、外交的に、最もやってはいけないとされる二元外交の
愚を犯している事になります。
対ロ対ソ関係では、日本は、過去、何度もこの二元外交によって外
交的な立場を切り崩されてきました。そして、その度に、煮え湯を
飲まされてきたのです。

もはや、外交的な愚策を繰り返すのは、終わりにして、日本の国益
を一元的に実現する体制を構築すべきであり、その為にも、今回の
プロジェクトは明確に拒絶すべきであると考えます。


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2009年4月14日火曜日

北朝鮮が六ヶ国協議に求めている条件とは何か?


「6カ国協議必要なくなった」=国連安保理声明に反発-北朝鮮

北朝鮮外務省は14日、国連安全保障理事会が北朝鮮の弾道ミサイル発射に関す
る議長声明の採択を非難するとともに、「6カ国協議はもう必要なくなった。
われわれの自衛的核抑止力を強化していく」と表明した。朝鮮通信(東京)が
朝鮮中央通信の報道として伝えた。
外務省声明は「実験用原子炉から抽出される使用済み燃料棒を再処理する」と
し、核活動を再開する方針を示した。 

(時事通信 2009/4/14)


例によって北朝鮮は、国連安全保障理事会が北朝鮮の弾道ミサイル
発射に関する議長声明を採択した事を受けて、六ヶ国協議を拒否す
る意向を表明してきました。いつもながらのストリップで、ミサイ
ル発射で注目を集めてから六ヶ国協議参加国に奉加帳を回してくる
のではないかと想像しています。そこで、北朝鮮は、何を目的に交
渉を行うのかについて考えてみました。

北朝鮮にとってのミニマムな勝利条件は以下の様なものなのではな
いかと思います。

1.北朝鮮が現在の支配体制(金体制での朝鮮労働党支配)を無期
  限に継続する事について各国の同意を得る。

2.主要国との正規の国交を開き、最大限の経済援助を各国(特に
  日本)から継続的に獲得する。

3.核施設を放棄する場合は、サラミ法を適用し可能な限り多くの
  代償を獲得する。しかし、実際には核弾頭は放棄せず査察も受
  け入れない。

4.ミサイル開発を放棄する場合は、可能な限り多くの代償を獲得
  する。しかし、実際には放棄せず、需要がある国への武器輸出
  を継続する。

5.偽札、偽タバコ、覚せい剤等の非合法輸出は、合法輸出の拡大
  により、不要となるまで継続する。


この内、3,4,5については、交渉の中で、北朝鮮は代償を取った上
で放棄を約束するでしょうが、過去、約束を守った事のない北朝鮮
がこの件についてだけ約束を守ると考えるのはナイーブ以外の何者
でもありません。協議参加国も、当然そういう前提で、形だけを整
え、そのコストを如何に少なく済ますかについて、長々と交渉する
事になるだろうと思います。勿論、資金を供給するのは、米国と日
本と韓国だけでしょう。

では、日本にとっての重要課題である拉致問題はどうなるのでしょ
うか。最終的には、日本側が一人当たり幾らか金を出して買い取る
事になるのかも知れません。

ただ、日本は六ヶ国協議の結論を拒否できます。私も可能な限り、
会議に参加し続けるべきとは思いますが、最後の最後に会議から離
脱する選択もあって良いのではないかと思われます。

上記の北朝鮮の勝利条件は日本にとって、何の意味もありません。
安全保障面では、北朝鮮の核は放棄されませんし、ミサイル開発も
停止される事は無いはずです。こんな無意味な合意に基づいて、日
本が巨額の資金を出す必要はないと思います。

米国は、事実上、核にしか興味がありませんが、北朝鮮が核を放棄
しない事も判っていますし、日本からの巨額の経済援助が実施され
れば、その多くが北朝鮮の武装強化に回るのは明らかですから、日
本の拒否を理由に会議から離脱する事すらあるかも知れません。

確かに時間が経てば経つほど、北朝鮮の核の武器庫は充実するかも
しれませんが、それ以上に北朝鮮の困窮は進むのです。
この際、会議を躍らせるだけ躍らせて、北朝鮮の困窮を進めるのが、
一番良い方法なのかもしれません。



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2009年4月10日金曜日


※写真は中国海軍旗 
http://blogs.yahoo.co.jp/kazuya840124/36800549.htmlから転載

中国、23日に国際観艦式 15カ国から外国艦艇参加

中国海軍は3日、創設60周年を迎える23日に山東省青島で国際観艦式を開くと
発表した。15カ国の外国艦艇を招き、計40隻以上の艦艇が参加する。中国海軍
が大規模な国際観艦式を開くのは初めて。軍備増強を進める海軍の威力を内外
に示すとともに、国際社会との軍事交流の進展をアピールする機会になる。

青島には海軍の北海艦隊の司令部がある。参加する外国艦艇は米国やロシア、
インドなどとみられる。日本は艦艇を派遣せず、海上自衛隊幹部らが記念式典
に出席する予定という。代表団を派遣する国は28カ国に上る。

式典は胡錦濤国家主席(中央軍事委員会主席)が演説する見通し。中国海軍は
長距離の洋上進出能力を高め、近海防衛から遠海に活動範囲を広げており、胡
主席が新たな方針を打ち出すかに注目が集まる。

(NIKKEINET 2009/4/3)

中国がまた傲慢さを出してきました。中国の軍部は余程日本を憎ん
でいるようですが、まさに江沢民政権時代の反日教育の成果と言え
ます。日本では、マスゴミが中国べったりの記事を流したり、媚中
派の政治家が、中国を礼賛する発言や行動を繰り返しているものの、
中国の真情はこういう時に現れます。いくら外務省がチャイナスク
ールの集まりであっても、この非礼を見過ごす様では、侮られるだ
けです。

実は、中国は、日本をかなり侮った行動を何度も行っています。
現に、中国は日本の意向を無視して、北朝鮮のミサイル発射問題で
も、安保理での非難決議に反対し軽い対応に留めようとしています。
今回の件も、日本が何も反応しなければ、今後ますます日本を軽視
した行動を取る事になるのは確実です。

こういう場合は、居丈高にならず、正確に同質で同程度の重みとな
る行為で、中国にお返しをするというのが一番です。
今回も艦船ではなく海自幹部が参加するとありますが、日本が不快
を示すのであれば、どうせ中国の示威行動なのですから海自幹部の
出席は取り止めとし、日本が実施する観閲式や観艦式に中国を招待
しないというのが、正しい対応と言える様に思います。

こういう事をいうと、日本は大人の行動を取るべきと言った反応が
でてきますが、日本の外交的な癖として、日頃は、こうした行為に
何も反応を見せず、ある時を境に激烈な反応を示すというのがあり
ます。第二次大戦時がそうですし、北朝鮮に対する反応も同じです。

日本的に言えば耐え難きを耐えているのですが、相手側からすれば、
昨日までの許容範囲と今日の許容範囲が著しく異なるので、日本に
対する行動予測が出来なくなってしまいます。その点からすれば、
逆に、ある日爆発するよりも日頃から反応してくれていた方が日本
の許容限界が判って良いのです。

中国も、日本を侮る事が、中国の利益に反すると理解すれば、そう
した行為を慎む事になるでしょうし、もし、ならなければ、中国の
不当性があらわになるだけです。日本にとっても損はありません。
中国に対する適度の報復行為は必須と考えます。


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2009年4月9日木曜日

国連脱退は愚策。核武装を考えないのは思考停止


※写真は、国連安保理。日経BPサイトから転載

自民・坂本氏「日本も核を」 党役員連絡会で発言

自民党の坂本剛二組織本部長が7日の党役員連絡会で、北朝鮮のミサイル発射
について「北朝鮮が核を保有している間は、日本も核を持つという脅しくらい
かけないといけない」という趣旨の発言をしたことが分かった。出席者による
と、坂本氏は国連安全保障理事会で日米が唱える新たな決議の採択が難航して
いることにも「国連脱退くらいの話をしてもよい」との考えを示したという。

坂本氏は8日、朝日新聞の取材に対し「日本は国際社会に対して国連を脱退す
るぞ、核武装するぞと圧力をかけるくらいアピールしないとだめだという例え
で言った。現実に日本が核武装できないのは知っている。私は核武装論者では
ない」と話している。

自民党の細田博之幹事長は同日、朝日新聞に「誰も本気で言ったとは思ってい
ない。核武装できるとも思っていない。特に問題視はしない」と語った。河村
官房長官は記者会見で「非核三原則をもった国としてそのような選択肢はあり
得ない」と述べた。

日本の核保有については、06年に自民党の中川昭一政調会長(当時)が「核
があることで攻められる可能性は低いという論理はあり得るわけだから、議論
はあっていい」と発言。麻生外相(当時)もこれを受けて「他の国は(核保有
議論を)みんなしているのが現実だ。隣の国が持つとなった時に一つの考え方
としていろいろな議論をしておくのは大事だ」と述べるなど、論議を呼んだこ
とがある。

(朝日新聞 2009/4/9)


朝日新聞も流石に、ブラフとしての核武装や国連脱退というニュア
ンスは消しきれなかった様です。しかし、例えそうでも、一昔前で
あれば役職停止くらいは喰らいそうな発言と言えますので、その点、
北朝鮮のミサイル実験の影響は大きいと言わざるを得ません。

今回のミサイル実験に関して、国連では、必ずしも、全面的に北朝
鮮を非難する議論になっていないのは報道の通りです。常任理事国
では中、ロの二ヶ国が新決議に消極的ですし、非常任理事国も三ヶ
国が中、ロに同調する始末です。

核実験よりインパクトが少なかった事、人工衛星打ち上げという北
朝鮮の主張が先進国の宇宙開発独占に反発する途上国の一定の支持
を集めたという面があります。

国連では、先進国は少数派である事を忘れてはなりません。
日本でサヨクの弱者擁護が一定の支持を集める様に、国連では、弱
者の恫喝は一定の支持を集める事ができるのです。
旧国連人権委員会が、北朝鮮での人権侵害の事実を無視し、日本で
の在日の土地占拠に支持を与えた事を忘れてはならないのです。

日本の多くの政治家は、こういう国連の現実を知らないか知らない
ふりをしています。その上で国民に国連幻想を振りまいています。
これは外務省も同じです。日本は国連分担金の実に20%近くを一国
で負担しているにも係わらず、国連に対する要求を行わない自己主
張のない国として、後進国の外交官からも軽く見られていると言っ
て過言ではないのです。

その意味では、国連脱退というより、分担金の不払い、分担の不公
正を主張するのが国連で日本の主張を貫徹する有力な武器であると
言えます。国連脱退は、百害あって一利もありません。

北朝鮮やイラン、イラクが国連を徹底的に利用している事を見習う
べきであって、国際連盟を脱退し、日本を国際的犯罪国の地位に置
き、国際的な自己主張の機会を奪った松岡洋右の二の舞をすべきで
はないのです。国連脱退は言及するにも値しない愚策以外の何者で
もありません。

国連に圧力をかけたければ、政府の閣僚ではない与党の有力政治家
が国連分担金の不払いを言及するだけで良いのです。すぐさま実施
可能な国連対策ですから即時実行すべきだと思われます。現在の国
連事務総長は反日外交を推進した韓国の元外相ですから、そのキリ
キリ舞する姿も結構見ものです。

もう一つの核武装ですが、北朝鮮を相手と考えた場合、実は、あま
り意味はありません。日本は、日米安全保障条約で十分守られてい
ます。また、日本はNPT保証処置の完全な履行国としてIAEAでも信
頼されており、査察も簡素化されている他、核保有国にしか認めら
れていない核燃料再処理や、濃縮ウラン製造まで認められている位
です。従って、むやみに核武装論を振り回す事で、非核国としては、
特権的な地位を享受している現状が逆に脅かされる事も考慮に入れ
るべきなのです。

しかしながら、北朝鮮や中国が日本を脅かすのであれば、短期間に
対抗措置としての核武装が行える事をあからさまでない形で示す事
は有効な対策であると言えます。
例えば、打ち上げが容易な新固体燃料ロケットの開発は、ICBM開発
と等価ですし、有人宇宙船の開発や、月や小惑星からの試料回収技
術の高度化は、核弾頭の再突入体の開発にも利用できます。
核保有国は日本のこういった動きを見逃す筈がなく、日本もそれを
知った上で、それを外交力に転換する必要があるのです。

核兵器を保有する為には、現状では、何が欠けているのかを知り、
それを埋める努力をしないのでは、核兵器保有をブラフに使う事す
ら出来ません。その意味からすれば、単なる核アレルギーで核保有
を考える事すらしないのでは、為政者として思考停止の謗りを免れ
ないと考えます。


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2009年4月8日水曜日

国民に対する背信行為を行う共産党と社民党


※画像は以下のURLより転載
http://pict.corich.jp/book_detail.php?book_id=396

【主張】ミサイル決議 この内容なら評価したい

北朝鮮の長距離ミサイル発射に抗議する国会決議が与党と民主党、国民新党な
どの賛成多数で衆院で採択された。

ミサイル発射は「明白な国連決議違反であり、容認できない」との立場を鮮明
にし、日本独自の追加制裁などを求めている。国権の最高機関として、発射は
許せないという毅然(きぜん)とした意思と姿勢を示す当然の決議内容だ。

共産党は反対し、社民党は棄権した。両党は文案調整で「ミサイル」や「国連
決議違反」などの文言を拒み続け、対北朝鮮制裁の強化にも慎重だった。

決議の根本には「断固たる抗議」や「国際社会の一致した意思」を明確にし、
日本の国益を守る考えがある。両党が北朝鮮擁護に回っている印象は否めない。

北朝鮮に自制を求めた3月末の国会決議では、民主党が社民党などの意向を大
幅に入れた。その結果、ミサイル発射が「弾道ミサイル計画に関連するすべて
の活動」の停止を求めた2006年の国連安全保障理事会決議に違反するとの
文言を削除することになり、決議内容は後退した。

今回、民主党は事態の重大さを認識したのか、野党共闘よりも決議内容を重視
した。「各党で考えが違い、どうしても乗れない部分がある」(参院幹部)と
判断し、文言を大幅に犠牲にすることを避け、多数決による採択としたのは当
然だろう。ただ、社民党への気兼ねから、決議の共同提出者とはならず、与党
の決議案に賛成する形をとった。

野党が多数を占める参院でも、8日に抗議決議が予定されている。ほぼ同趣旨
の決議案が、衆院と同様に与党と民主党などの賛成多数で採択される見通しだ。

残念なのは共産、社民両党の態度だ。いまだに「人工衛星」とする北朝鮮の主
張に耳を貸しているようにみえる。国連安保理での新決議採択に向け、日米韓
が他の理事国などの賛同を求めて外交努力を積み重ねるさなか、これに対抗す
る中国、ロシアと同一歩調をとっている。

米下院では、共和党が北朝鮮制裁法案を提出する方針を表明している。法案で
は、日本人拉致事件にも言及し、被害者の解放を求めているという。

日本は北のミサイルで直接脅威を受け、拉致問題では被害を受けた当事国だ。
自らの問題であることへの意識をさらに持ちたい。

(産経新聞 2009/4/8)


前回の参議院選挙結果を見ると共産党は、得票率7.5%、社民党は、
得票率4.5%を得ています。合計すれば、12%の国民は、この両党
を支持しているという事になります。

しかしながら、今回の北朝鮮非難決議に関する限り、両党は、日本
国民の安全よりも共産主義に対するシンパシーを優先する政党であ
るとしか言い様がありません。そういう政党が何故、国民の代表と
して国会に議席を持てるのか不思議で仕方がありません。

共産主義国家は、貧富の差が著しい社会である事は社会学的検証に
よって明白な事実と認識されています。皮肉な事に共産党政権下の
中国は、資本主義の牙城である米国よりも貧富の差が激しいのです。
その点では、社民、共産支持者は、そのお題目とは別に、マルクス
主義的社会を実現し、自らがノーメンクラツーラになる事を目標に
している利己主義者と言い換える事も出来ます。

今回のテポドン騒ぎでも、市ヶ谷や朝霞の自衛隊の基地へ行って、
パトリオットPAC-3の展開に反対していた勢力がありましたが、そ
の代表者は、北朝鮮や朝鮮総連に抗議の意思がない事を明らかにし
ていました。これまた、国民の安全より反日思想を優先している事
を明白に示していると言えます。

メンタリティーとしては、社民党や共産党はこの類の人間の集まり
です。また、日本のマスコミは長く、この手の人間独壇場であり、
近年、ますますその反日的、反国民的性格を強めています。それ故
に既に泡沫政党化した共産党や社民党の言説を自民党や民主党と同
じ重み付けで取り上げるのです。

それに加え、マスコミの主張を国会で質問させている例もあります。
社民党の福島党首が国会質問で執拗に食い下がり野党からも失笑を
受けた迎撃時の破片による被害問題を、朝日新聞は何と社説で、テ
ポドン迎撃の問題点として指摘しました。NBC兵器が搭載されて
いる可能性があっても破片落下の懸念を殊更大きく報道するのは、
そういう反対論拠を社民党に提供したからではないかとさえ思わせ
るのです。

今回のテポドン騒ぎで、野党勢力とマスゴミは、国民の安全よりも
誤報問題と言う些細なトラブルを殊更、大騒ぎする事で、政府、自
衛隊の体制構築の不備をあげつらいました。その上で、両党は北朝
鮮に対する非難の国会決議に際しても、国民の安全を蔑ろにする利
敵行為を働いたと言えます。

我々はこの様な背信行為を許すべきではないし、忘れる事もしては
ならないと考えます。そして、それを次回の国政選挙で政治に反映
すべきであると考えるのです。


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2009年4月7日火曜日

敵地攻撃用ミサイル配備による抑止力強化は必要か?


※準中距離弾道弾PershingII US Armyサイトから転載

敵地攻撃の検討を求める声 北ミサイル発射で自民部会

北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射を受け、自民党は6日、党本部で「北朝
鮮ミサイル問題に関する合同部会」を開いた。

山本一太参院議員は「日本の敵地攻撃能力は、自衛権(の範囲内)であれば憲
法に違反しない。能力、要件を本気で議論することが抑止力を増す」と強調。
土屋正忠衆院議員は「敵地攻撃に類する対応措置をとれるか考えるべき時期に
来ている」と指摘した。

(産経新聞 2009/4/6)


一言で言えば、「不要」であると考えます。
まず、保有しても使い道がありません。使用する状況を考えれば容
易に想像がつくと思いますが、現在の憲法が維持される場合、日本
側から予防戦争的に相手に仕掛ける訳にはいきません。また、核武
装も、日本が核攻撃を受けた後でないと、国内外の理解が得られな
いと考えます。つまり、最初の攻撃は甘受する必要があります。最
初の攻撃が北朝鮮から日本に加えられる攻撃であった場合には、日
米安全保障条約が発動される事になり、米国が北朝鮮を報復攻撃す
る事になります。このブログでも何度か取り上げていますが、それ
は北朝鮮にとって、体制崩壊を招く自殺行為となります。例え、日
本国内でのテロ行為であっても、バックに北朝鮮がいる事が明白で
あれば、それは、北による日本攻撃という点で同義という事になり
ます。

北朝鮮がそこまで、覚悟した上で、日本を攻撃するのであれば、そ
れは体制の存亡がかかった状況に基づくものであり、その際、日本
に非核攻撃兵器が多少有ったところで、抑止の面では、あまり違い
ないと考えられます。

それよりも、日本が攻撃された時に、確実に米国による報復が発動
されるように、米国との同盟関係が良好な状態としておく方が抑止
効果は高いと考えられます。寧ろ、攻撃兵器がある事で、米国との
関係で遠心力が働く事の方が余程有害と言って良いでしょう。

但し、北朝鮮による日本上空を通過するロケット(ミサイル)実験は
不快以外何者でもないのは事実です。このまま放置すれば、北朝鮮
は、既得権の様に、日本の上空を通過するミサイル実験を繰り返す
に違いありません。

それ既得権化させない為には、日本は日本上空を通過する打ち上げ
を許容しない事を明確にし、MDを一層強力なものにする事によっ
てその実行の意思を明らかにすべきです。
具体的には、以下の施策が考えられます。

1.DSP(赤外線早期警戒)衛星の配備
2.ABL(空中配備レーザー兵器)の配備
3.長距離用Xバンドレーダーの配備
4.GBI(地上発射型迎撃ミサイル)の配備


今回、北朝鮮が部分的にではあっても国際ルールに従ったのは、日
本が迎撃の意思を明確化した為であると考えられます。
北朝鮮に国際ルールを遵守させる為には、具体的な行動を通じてで
ないと意味がない事は、これまでの交渉からも明らかです。北朝鮮
が理解できる唯一の言葉が武力であるなら、日本としても、攻撃力
ではなく防衛力としてそれを見せつけるのが外交的にも得策と考え
ます。


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2009年4月6日月曜日

この10年、北朝鮮と日本は何をやったのか?


※画像は産経新聞サイトからの転載

「何も軌道に入らず」=北の打ち上げ失敗か-米防衛司令部

北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は5日、北朝鮮が人工衛星を軌道に乗せた
との主張について、「2段目以降は太平洋に落下し、何も軌道に乗らなかった」
と否定した。北朝鮮による打ち上げは失敗した可能性が高い。

NORADの分析によると、北朝鮮はテポドン2号を打ち上げ、一段目は日本海に、
弾頭の搭載物を含めた2段目以降は太平洋に落下した。
また、「テポドン2号は日本を飛び越えたが、日本への破片の落下はない」と
している。さらに「ハワイと米本土への脅威はなく、米軍は迎撃しなかった」
との見解も示した。「何の物体も軌道には入らなかった」としている。 

(時事通信 2009/4/5)


ここ一ヶ月のテポドン騒ぎも、結局、人工衛星を軌道に乗せる事に
失敗と言う事で、終わりになったようです。

少し遡ると、テポドンが最初に日本の上空を通過したのが、1998年
の8月の事です。この時は、テポドン1号の発射実験を行い、今回
と同じ人工衛星「光明星1号」を打ち上げたと主張していました。

二回目は、2006年7月で、他の6発のミサイルとともにテポドン2
号を発射しましたが、1段目が切り離れず、上空数キロで空中分解
したと言われています。

という事で、今回はテポドン発射3回目という事になります。
今回はテポドンにとっては、三度目の正直でしたが、三段目の切り
離しに失敗し、2、3段とペイロードは一緒になって太平洋に落下
したようです。

結果は一回目と同じでしたが、一回目がテポドン1号、二回目は、
テポドン2号、三回目はテポドン2号改良型となっています。

日本の衛星打上用のロケットは、同じ形式で最低でも数回の打ち上
げを行っています。人工衛星打ち上げロケットとしてみた場合、テ
ポドンはまるで手作りロケットであり、打ち上げ一回毎の間隔が開
き過ぎの上、一回毎にロケットの相違点が大きすぎるので、製品面
でも製造技術面でも落ち着く閑が無く、それが失敗に輪をかけてい
ると言って良いでしょう。加えて、北朝鮮は、公式には衛星打ち上
げに成功したと強弁しているので、失敗原因の追求も出来ない事に
なります。これで人工衛星が打ち上がったのなら、それ自体工学的
な奇跡と言えるでしょう。

良く言えば、北朝鮮は10年の歳月を費やして、確実な所で射程を
1000km~2000kmほど伸ばす事ができたと結論できます。

では、日本はテポドン1号上空通過以降何を実現したのでしょうか?
以下は、そのリストです、意外に実現したものが多い事に気がつく
と思います。私には、米国の核抑止以外にも、ここ10年で日本の安
全はかなり強化されたのではないかと考えています。

1.米国との早期警戒衛星(DSP)とのデータリンク
2.空中赤外線早期警戒機AIRBOSSの試験機配備。
3.情報収集衛星 光学衛星、レーダー衛星各二機、光学衛星実験
  機1機が軌道上に展開。
  収集データの分析組織も設立済で実地運用済。
4.新型レーダー(FPS-5)の実用機の配備1基(甑島)完了。その他
  三基も予算承認済。
5.既存レーダーの改良型(FPS-3改)の配備完了3基。今年度に配
  備4基。
6.イージス艦のBMD対応とSM-3装備 2隻完了。残る2隻
  の改造についても予算承認済。
7.イージス艦2隻の追加配備完了。
8.パトリオットPAC-3及びPAC-2GEM+(PAC-2改2型)一個高射群
  及び教導団へ配備完了。残る二個高射群へも展開予定。
9.日本に飛来する弾道ミサイルに対処する為の自衛隊法の改正完了。
10.弾道弾探知情報を全国自治体へ警告する連絡網「Em-Net
  (エムネット)」の整備完了。
11. SM-3による実射テスト2回。成功1回、失敗1回

なお、1998年8月以降、日本が打ち上げたロケットは21回で、
内失敗は3回でした。


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2009年4月3日金曜日

北朝鮮のミサイル報復は怖くない!




※画像は朝鮮日報サイトより転載

わずかの迎撃の動きにも報復打撃、北朝鮮が発表

【ソウル2日聯合ニュース】北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は2日、「重大報道」
を発表し、北朝鮮の長距離ロケット発射に対する韓米日の対応措置に関し
「わが革命武力は高度の戦闘準備態勢を整えており、敵対勢力がわれわれの平
和的な衛星に対するいささかの『迎撃』の動きでも見せようならば、直ちに正
義の報復打撃を加える」と述べた。
特に日本政府の対応方針を集中非難した。「日本が分別を失い平和的衛星に対
する迎撃行為を敢行するならば、わが人民軍隊は容赦なく、すでに展開されて
いる(日本の)迎撃手段だけでなく重要対象にも断固とした報復の大目玉を食
らわす」と警告した。

続いて米国に対し、被害を負うまいとするならば展開した武力を直ちに撤収さ
せるべきだと促した。韓国に対しては、「米日にへつらい、民族の誇りである
わが衛星の打ち上げを邪魔するまねをすべきでない」と主張した。

参謀部は、宇宙空間を平和的な目的に利用することは誰も干渉することのでき
ない主権国家の合法的な権利で、平和的な衛星打ち上げは国と民族の繁栄と人
類の進歩に向けた正義の事業だと、これまでの主張を繰り返した。

(YONHAP NEWS 2009/4/02)

日本の迎撃は「再侵略」、北朝鮮が軍事対応警告

【ソウル31日聯合ニュース】北朝鮮・朝鮮中央通信は31日、日本が「光明星2号」
を迎撃すれば、これを「再侵略」とみなし「最も威力のある軍事的手段で対応
する」と伝えた。論評を通じ、「日本が冒険的な迎撃に出る場合、われわれの
軍隊はそれを戦犯国日本が第二次世界大戦後約60年ぶりに鳴らす再侵略戦争の
砲声とみなす」と主張した。その上で、「最も威力のある軍事的手段であらゆ
る迎撃手段とその牙城を無慈悲に粉砕してしまうだろう」と警告した。
また、日本が北朝鮮のロケット発射に強硬な姿勢を見せるのは、6カ国協議を
乱し朝鮮半島の非核化を遅らせることで、核武装の野望を合理化することにあ
ると主張した。

(YONHAP NEWS 2009/4/01)

強力な軍事報復を警告=「日本の牙城を無慈悲に粉砕」-北朝鮮

【ソウル31日時事】朝鮮中央通信は31日の論評で、北朝鮮が「人工衛星」と称
して発射の準備を進めている長距離弾道ミサイルを日本が迎撃した場合、北朝
鮮は「再侵略戦争の砲声」とみなし、「最も強力な軍事的手段によってすべて
の迎撃手段とその牙城を無慈悲に粉砕する」と警告した。韓国の聯合ニュース
が伝えた。
論評は、日本が北朝鮮の衛星打ち上げをミサイル開発とみていることについて、
「相互尊重」をうたった2005年9月の6カ国協議共同声明を認めない立場を宣言
し、「6カ国協議のテーブルをひっくり返す行為だ」とけん制した。 

(時事通信 2009/3/31)

韓国PSI参加なら「断固対応」、祖国平和統一委

【ソウル31日聯合ニュース】北朝鮮の対韓国公式窓口、祖国平和統一委員会は
30日、韓国政府が北朝鮮のロケット発射問題を理由に大量破壊兵器の拡散防止
構想(PSI)に参加するならば、それは北朝鮮に対する「宣戦布告」だとし、
「われわれは即時に断固とした対応措置を取ることになると厳粛に宣布する」
と発表した。同日の報道官談話を朝鮮中央通信が伝えた。
談話は、北朝鮮はすでにPSIを「朝鮮半島に戦争の火の雲を呼び込む導火線」
と見ており、決して受け入れられないとの立場を明かしてきていると指摘。韓
国政府がPSI全面参加を検討することは、「われわれの尊厳と自主的権利に対
する乱暴な挑戦」であり「破局に至った北南(南北)関係を完全に壊し、全民
族を核戦争の惨禍に追い込もうという許し難い犯罪行為だ」と非難した。

これに先立ち、外交通商部の文太暎(ムン・テヨン)報道官は23日の定例会見
で、北朝鮮がミサイルを発射すれば朝鮮半島状況に変化があると述べ、これま
では朝鮮半島状況を考慮し、趣旨と目的に共感しつつも一部参加にとどまって
いたPSIについて、全面参加を検討中だと明らかにしている。

(YONHAP NEWS 2009/4/01)


寝言は寝て言え第四弾です。この処、北朝鮮による、香ばしい発言
が続いています。北朝鮮のこの手の恫喝発言は、北朝鮮の「悲鳴」
と考えれば良いのですから、「お願いだから迎撃しないでね。」と
言っていると解釈すれば良いと私は考えています。今回は間を置か
ずに恫喝発言が続いていますが、これは正しく「三詭九叩」の礼を
行っていると捉えるべきです。流石に「東方君子の国」ですね。
金正日が、這い蹲って日本に頭を下げていると考えると、とても痛
快ではないでしょうか。

私は、そう解釈しているのですが、一部では、北朝鮮の恫喝を真に
受けて、もし、日本が「テポドン」を迎撃すると北朝鮮が大量に配
備している「ノドン」で攻撃してくるのではないかと心配されてい
る方がいます。

元々、日本は、燃え尽きて切り離された、ロケットの各段や、弾頭
本体が、日本の領土、領海に落ちる場合のみ、「迎撃」をすると言
っているのですから、撃ち落されたくなければ、打ち上げに成功す
れば良いという事になります。

それに加えて、北朝鮮が「ノドン」で報復した処で、核弾頭を発射
できなければ、大した損害を与える事は出来ないのです。
一部の報道では、北朝鮮が弾頭の小型化に成功したというものもあ
りますが、常識的に考えて、核実験を行う事もなしに、弾頭小型化
が出来る訳もないのです。

また、「ノドン」自体も、射程距離こそ伸びていますが、弾頭搭載
量は1~1.2トンで、弾道ミサイルの元祖であるV-2号と大差があり
ません。

ちなみに、第二次大戦中、ドイツはロンドンに向け1,308基のV-2号
を発射しましたが、その成果は、死者2,754名、負傷者6,523名でし
かありませんでした。ノドンの配備数は150~200基と言われていま
すので、その全てが日本に発射されれば、十分の一程度の損害、即
ち、死者300名、負傷者700名程度の損害が予想されます。大きな数
字ですが、阪神淡路大震災の被害などとは比べ物にならない数字で
しかありません。日本は十分耐える事が出来ます。

その上、もし、日本を攻撃すれば、北朝鮮は米国による攻撃を覚悟
する必要があります。

ご存知の通り、米国は日本との間に安全保障条約を結んでいるので、
日本が攻撃に晒された場合、米国は反撃する義務があります。
(核報復するか、通常兵器によって攻撃するかは北からの攻撃内容
で決まります。)
もし、そうしなければ、米国が世界の各国と結んでいる相互防衛条
約はただの紙切れになってしまい紛争終了後、米国を信頼する国は
なくなります。

良く言われる、中国が、あるいはロシアが、日本を核攻撃した時に、
米国が自国の都市に対する攻撃を甘受しても条約を本当に履行する
のかという疑問は、実は北朝鮮に対しては当てはまりません。北朝
鮮の核ミサイルが多数、米国に到達する可能性は、今の処低いから
です。米国の諸都市は、未だ、北朝鮮の人質になっているとは言え
ないのです。

であれば、米国は、それ程のリスクを犯さなくても、条約上の義務
を履行し、北朝鮮という「ならず者国家」問題を完全に解決する事
が出来ます。その様に考えれば、現時点では、米国はまず確実に条
約上の義務を履行する事が期待でき、北朝鮮は崩壊する事になります。

しかも、その事を、北朝鮮が知っているという事が重要です。金正
日は、ルーマニアのチャウシェスク体制が崩壊した時のビデオを全
労働党幹部に見せたといいます。彼らにとって、体制崩壊は死であ
る事を徹底した訳です。であれば、日本に対し結果的に体制の死を
招く攻撃を行う事などとても出来ないと言う事になります。

北朝鮮の恫喝が「張子の虎」でしかない事が明らかになったと思い
ます。「ノドン」も怖くはありません。


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2009年4月2日木曜日

日刊ゲンダイと「逆神」神浦氏はどこまでトンデモだったか!?


“欠陥だらけ”日本のミサイル迎撃システム


来月4日にも発射される北朝鮮の長距離弾道ミサイル「テポドン2」。麻生政
権が初の「ミサイル破壊命令」を出して、マスコミは大騒ぎだ。しかし、騒げ
ば騒ぐほど、国民の血税が防衛費に化ける仕掛けだから冷静になった方がいい。

●「軍事ジャーナリスト」神浦元彰氏に聞いた仰天実情

弾道ミサイルを日本領空で迎撃する――映画のような話だが、結論からいえば、
その事態は「万が一」だし、結局、自衛隊は迎撃ミサイルを撃てない。軍事ジ
ャーナリストの神浦元彰氏が言う。

「北朝鮮は今回のテポドンに自信をもっている。2月2日、イランが人工衛星
打ち上げに成功しましたが、技術はすべて北朝鮮のものでした。だからこそ今
回、北朝鮮は発射期日やロケットの1段目と2段目ブースターの落下予定地点
を事前通告してきた。自信のあらわれです。ミサイルの正体は、北朝鮮が言う
ように試験通信衛星とみていいでしょう。ICレコーダーを入れた球体をミサ
イルの弾頭部に搭載、それが大気圏を突き抜け、地球を回りながら、電波を地
上に発信する。これに成功したら、北朝鮮は“そらみろ、人工衛星打ち上げに
間違いないだろう”と大はしゃぎしますよ」

“成功”されたら、日本の北朝鮮嫌い勢力は形無しだが、万が一、1段目ブー
スター切り離しに失敗したりして、テポドンが日本領空に落下してきた場合も、
「待ってました」とはいかない。

●「命中しない」「撃てない」

「1000キロの上空を飛ぶテポドンに対して、日本の迎撃ミサイルは高度
100キロしか飛ばない。間違って、日本に落下してきた場合だけに迎撃は可
能ですが、発射してもまず命中しない。コースが予測できる場合だけ迎撃は可
能ですが、制御不能になったテポドンを撃ち落とすことは、流れ弾にピストル
を撃つようなものなのです。日本政府はすでに、ミサイル防衛システムに
6400億円もの税金を投入している。命中しなかったら、何を言われるかわ
からない。だから、現場はいろいろと理由をつけて、迎撃ミサイルを撃たない
と思いますよ」(神浦氏)

鴻池官房副長官が「迎撃しても当たりっこない」と発言したのは、予防線とい
うことか。

が、ミサイル防衛に6400億円も血税をつぎ込みながら、役立たずで済むの
か。

「日本政府は、テポドンが失敗しないと踏んでいる。失敗しても、テポドンを
撃った北朝鮮は怖い国とキャンペーンを張ればいいし、さらに問題をミサイル
防衛強化論にスリ替えていくでしょう。実際、防衛省はあと4000億円かけ
て、九州にまで防衛システムを広げようとしています。どっちに転んでも損は
ないという計算ですよ」(神浦氏)

“無用の長物”に血税1兆円! 「フザケるな」ではないか。

そんなことなら、北朝鮮に1兆円差し出して、同盟国にしてしまった方が安上
がりというものだ。

(日刊ゲンダイ2009年3月28日掲載)


日刊ゲンダイは、オトーサンの暇つぶしには、もって来いの話題に
溢れている事が多いのですが、その様な中で、この処、政治外交面
で、トンデモサヨク的な傾向を強めています。馬鹿にして放置して
も良いのでしょうが、大昔に、当時のイエローペーパーの代名詞で
あった米国のハースト系新聞が人種的偏見から日本移民問題を大き
く取り上げ、それが、日米関係の悪化に大きな影響を与え日米戦争
の遠因になった事は、良く知られている事実です。そういう観点か
らすればいくらイエローペーパーであっても反論すべきは反論する
必要があるのかも知れません。

もう一点、元自衛隊員の「逆神」神浦元彰氏についてです。ネット
では、素晴らしい評判を簡単に見つける事が出来ますが、どの程度、
「逆神」ぶりなのか、今回の記事に基づいて少し、確認していきた
いと思います。

まず、使っている単語の問題ですが、試験通信衛星というのは、ど
ういう衛星なんでしょうか。
記事では「ICレコーダーを入れた球体をミサイルの弾頭部に搭載、
それが大気圏を突き抜け、地球を回りながら、電波を地上に発信す
る。」ものを言っている様ですが、通信衛星とは、そういう一方的
な放送をする衛星の事ではありません。一番原始的な通信衛星は、
衛星表面で電波を反射する事で、通常の地上波では届かない場所に
電話を届かせるものです。「北朝鮮のいっている試験通信衛星とは」
とか言った枕詞が欲しかったですね。

次に、これは記者の感想なのでしょうか、「“成功”されたら、日
本の北朝鮮嫌い勢力は形無しだが」と書かれていますが、日本が今
回迎撃態勢を整えているのは、ミサイルが予想の進路を飛ばず、使
用済みの第一段や第二段、あるいは弾頭部が日本に落下する場合に
備えての事です。北朝鮮が衛星打上に成功し、第一段や第二段が予
定の海域に落下するのであれば、当然な事として迎撃は行われない
事になります。

また、北朝鮮嫌いの方の中には、北朝鮮が人工衛星打ち上げに成功
するのを快く思わない方も多いでしょうが、別段「形無し」になら
ないといけない理由はないと思われます。

記事の中にもある通り「イランが人工衛星打ち上げに成功しました
が、技術はすべて北朝鮮のものでした」ので、今回、衛星打上に成
功する可能性は高く、その場合、SM-3が発射されない可能性は
高くなります。

次に、記事は、「万が一、1段目ブースター切り離しに失敗したり
して、テポドンが日本領空に落下してきた場合も、「待ってました」
とはいかない。」と続きます。しかし、これが、その次の神浦氏の
コメントと続かないのです。

神浦氏の発言は、「日本に落下してきた場合だけに迎撃は可能です」
と書かれていますし、「コースが予測できる場合だけ迎撃は可能で
す」と書かれています。現状日本が対処しようとしているのは、正
にこの様な場合に備えての事です。従って、迎撃は可能と解釈すべ
きです。制御不能になったテポドンがどこに落下するのかは予測不
能という意見については、確かに100%予測可能ではないものの、発
射からの飛行コースが捉えられている可能性が高いので、未来位置
の予測も可能なケースである確率が高いと考えられます。

但し、神浦氏の次の発言は当を得たものとは言えません。
「日本政府はすでに、ミサイル防衛システムに6400億円もの税
金を投入している。命中しなかったら、何を言われるかわからない。
だから、現場はいろいろと理由をつけて、迎撃ミサイルを撃たない
と思いますよ」

過去のエントリーにも書きましたが、MDの実験結果は成功率は8
割を超えています。同時に二発発射した場合の成功率は96%に達し
ます。さらに、今回は得がたい実戦訓練の機会であり、MDに投下
した巨額の支出を正当化する絶好の機会なのですから、その得がた
い機会を防衛省が見逃す訳もないのです。

なお、迎撃高度に関する問題ですが、神浦さんは、人工衛星に関し
て詳しいかどうか判りませんが、高度1000キロというのは立派な衛
星軌道です。例えば、国際宇宙ステーションは高度400kmの所に建
設されています。従って、もし、高度1000キロのミサイルを撃ち落
すシステムがあれば、それは衛星攻撃兵器としても使用可能な兵器
と言えます。

テポドンが、第一段、第二段を切り離す高度ですが、今年1月に打
ち上げられたH-IIA15号機のケースでは、第一段切り離し高度は310
kmでした。やや高い高度ですが、H-IIAの場合、第一段切り離しの
前に固体ロケットブースターを切り離しますが、この時の高度は、
54kmです。テポドンの第一段、第二段の切り離し高度は、この大体
54kmから310kmの範囲に入るのではないかと思われます。その点で
は、神浦氏の言うテポドンが高度1000kmを飛ぶという根拠が知りた
い処です。あるいは、総連系の極秘情報なのでしょうか?

ちなみにSM-3は、2008年2月に高度240kmの軌道を飛ぶ衛星の撃墜に
成功しています。1000kmは難しくても、100kmの高度しか届かない
という神浦氏の発言はこの部分では誤りと言えます。

なお、今回北朝鮮が打ち上げようとしているのが小型の人工衛星で
あり、通信衛星である事を考えれば、なるべく高度が低い方が電波
を良く捉える事ができます。また、イランが今年2月に打ち上げた
人工衛星の近地点高度は、258km(遠地点高度は364km)ですから、今
回の打ち上げでも、似たような軌道を通ると想像すれば、日本付近
での高度はSM-3の到達範囲内となる可能性はかなり高いと言えます。

神浦さんは、今回のミサイル迎撃について「流れ弾にピストルを撃
つようなもの」と言っています。MD反対派が良く似たような表現
を使いますが、ピストルは、撃った後、弾道を修正する事はありま
せん。しかしMDに使用される迎撃ミサイルは、飛行中、常に相手
の位置と自分の位置を計算し、飛行コースを変化させていきます。
また、陸海空の各種観測装置がそれをバックアップしているのです
から、鉄砲玉の表現は、全く当てはまらないとすら言えます。この
点でも、神浦氏の表現は、誤りであると言えます。

「北朝鮮に1兆円差し出して、同盟国にしてしまった方が安上がり
というものだ。」
記事の最後に、この一番印象深い言葉がありますが、実はこの言葉
は、前段となる神浦氏の言葉と殆ど繋がりがありません。神浦氏の
見解は全てが間違いという訳ではありませんが、それが全て正しい
ものであったとしても、結論として記事の最後の言葉には結びつき
ません。

何故なら、北朝鮮に一兆円差し出した処で、日本に対する不当行為
を停止する保証は全くないからです。恐らく、その保証はお花畑が
咲き乱れているであろう記者の頭の中にしかないのかも知れません。
しかし、良い実例があります。過去10年に亘り、度重なる北の背
信にも係わらず、無償の援助を続けてきた韓国は、それ以前と比べ
安全になったでしょうか。あるいは、北は南に対する態度を変更し
たのでしょうか?事実は、記者のお花畑の中にはなさそうである様
に思えてなりません。


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2009年3月31日火曜日

世界は北の核とどの様に共存するか?


作家の大石英司さんのブログを毎日拝見しているのですが、日曜日
のエントリーに非常に興味深い観測が載っていました。

本文は以下のエントリーを参照して頂きたいと思います。
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2009/03/post-a543.html

簡単に要約します。
①米国は北朝鮮が悪戯(核開発や弾道弾開発)をする度にご褒美をあ
げている。
②北朝鮮は、核を自主的に放棄する事は絶対にない。但し、米国向
けの外交的ポーズとして放棄のふりをするかも知れない。
③オバマ政権は現状、北朝鮮問題に深入りする余裕はないが、ヒラ
リーが次期大統領戦を睨んで得点稼ぎに動く可能性はある。但し、
本質的な解決にはならない。
④北の問題の核心は、北の持つ核技術、ロケット技術が世界に<安
く>拡散する事。
⑤北の核技術の拡散で最終的な脅威を被るのはイスラエル。
⑥核とロケット技術の拡散を防ぐには、イスラエルに訴えるしかな
い。また、それをアメリカのユダヤ・ロビーに的を絞って運動する
べき。
⑦それによって、米国政府を宥和策から強攻策に転換させるしかない。


核拡散防止条約(NPT)体制は、核保有国の数が増えれば、増える
程、偶発的な核戦争の可能性が高まる事を認識し、既存の核保有国
だけに核保有の特権を与え、それ以外の国の核保有を査察を通じて
厳格に統制するというシステムでした。

現在、NPTで認められた五ヶ国以外に、核を保有していると言わ
れている国は、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の四ヶ国
ですが、北朝鮮を除く三国は元々、NPT条約に加盟していません。
これに対し、北朝鮮は、NPTを批准し、それによってアクセスを
許されたIAEAの技術資料を用いて核開発を行うという悪どい条
約破りをやっています。

しかしながら、現時点では、この悪質な条約破りに対する決定的な
罰則は与えられていません。換言すれば、NPTを破っても核武装
の既成事実を作る事ができれば、多少の経済制裁はあっても軍事制
裁はない事になります。
現在までに判明している限りでは、パキスタンのカーン博士を中心
とした闇の核技術シンジケートがあり、北朝鮮の他、イランやシリ
アもメンバーになっており、相互に技術交換が行われていました。
今回のテポドン発射に際しても昨年、人工衛星を打ち上げたイラン
の技術者が招かれていると言います。

さて、北朝鮮からの輸出品で、国際競争力を持つものは多くありま
せん。中国との間で交易は盛んですが、それも、北朝鮮にハードカ
レンシーがある限りという条件がついています。そういう中で、北
のもつミサイル技術と核技術は数少ない有力な輸出品目と言えます。

北朝鮮のミサイルがイエメンに輸出されている事が、判明していた
様に、従来のカーン博士の闇ルートに加え、北朝鮮からの核技術拡
散が、既に始まっていると考えるのが自然です。中東地域は勿論で
すが、世界の紛争地域では北朝鮮の核技術が受け入れられる素地が
あります。

残念ながら、世界の多くの地域では、日本における様な核兵器アレ
ルギーはありません。
例えば、チチェンやグルジアと言った地域であれば、核兵器が提供
されれば、それを梃子に独立を達成しようという勢力が出てきてお
かしくないのです。

極端な事を言えば、海賊行為で資金を蓄積したソマリアの海賊が、
脅迫のネタに核兵器を使ったり、アルカイダが核兵器を入手し米国
を攻撃する事さえ考えられます。

世界に紛争の種は尽きない訳ですから、北朝鮮の核が拡散した世界
は、より不安で不安定なものになる事は間違いないと言えます。

それでは、その様な世界は、日本にどの様な影響を与えるのでしょ
うか。実は、こういった核兵器の拡散が起こっても、日本に対する
影響は意外に軽微なのです。何故なら、隣接国の殆どが、既に核保
有国であり、日米安保条約によって核抑止が長く機能しているから
です。北朝鮮ですら自国の消滅を覚悟する事なしに、日本を攻撃す
る事は出来ません。

日本は原則として、現状の日米同盟を機軸とした全方位外交を継続
していれば、核武装すら必要としないのではないかと思われるので
す。日本にとっては領土問題すら実は死活的重要性は持っていない
のかも知れません。日本の繁栄は領土に依存してはいません。尖閣
諸島、竹島、北方領土に日本の繁栄は全く依存していない事は、万
人の認める処です。最悪の場合、琉球諸島を放棄しても、日本は平
和と繁栄を維持できるのではないかと考える次第です。そこまで譲
ってしまえば、日本が対象となる国際紛争は殆ど考えられなくなり
ます。(まあ、反日教育と言う別の火種は考えられますが、既に解
決済の数十年前の事実に基づいて国際紛争を起こすのは世界から顰
蹙を持って受け留められるだろうと期待したいですね。)

ここまで考えると北朝鮮の核を見逃す事で、不利益を蒙るのは、皮
肉な事に、国内に多様な民族問題を抱える、ロシアや中国であった
り、世界的なヘゲモニーを維持したい米国であるという事になるの
かも知れません。


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2009年3月30日月曜日

弾道ミサイル防衛部隊 実戦配置開始!


※市ヶ谷の防衛省に配備されたPAC-3。
毎日新聞サイトから転載

北朝鮮ミサイル 迎撃弾部隊が東北へ 首都圏は設置完了

北朝鮮が「人工衛星」とする弾道ミサイルの万一の落下に備えた自衛隊の部隊
展開は29日も続き、航空自衛隊浜松基地(浜松市)の地上配備型迎撃ミサイ
ル(PAC3)の部隊が、秋田、岩手両県の自衛隊施設に向けて出発。首都圏
主要部を防護する部隊も発射装置の設置を完了させ、全国5カ所へのPAC3
の展開準備が進んだ。

29日朝に出発した浜松基地の部隊は、大型トレーラーに搭載された発射機の
ほか、射撃管制装置、レーダー、電源供給などの特殊車両で編成され、主に清
水港(静岡市)から海路で移動。30日にも、陸上自衛隊新屋(あらや)演習
場(秋田県)と同岩手山演習場(岩手県)などに到着するとみられる。

一方、首都圏では、市ケ谷駐屯地(東京都新宿区)内の防衛省本省横のグラウ
ンドに、PAC3弾頭8発を充てん可能な発射装置計2台が北西方向に向けて
設置された。首都圏ではこのほか朝霞(埼玉)、習志野(千葉県)両駐屯地へ
の展開も完了した。

打ち上げ予定のミサイルは3段式とみられ、北朝鮮は、秋田県の西方沖約130
~380キロの日本海に第1段目を落下させ、その後、東北地方北部上空を通
過すると説明している。守備範囲が半径約20キロで配備数も限られるPAC3
は、都市圏人口の比較的多い秋田、盛岡両都市圏とすでに配備済みの首都圏の
防護を優先する。

(毎日新聞 2009/3/30))


先週末は、政府による「破壊措置命令」を受け、海空の「迎撃部隊」
が配置場所に向かいました。パトリオットPAC-3の配置は一見、
陸自の仕事に見えますが、歴史的な経緯から実は空自の仕事です。
広域防空は空自、戦場防空は陸自と言う区分けになっています。

足の長い、SM-3装備の海自イージス艦は、日本海側の第一段落
下位置に配置され、第一段の落下位置がズレて日本領土、領海、領
空内に入った場合に備え、第二段の落下域に対しては、BMD機能
を持たないイージス艦が配置されました。これは、第二段の落下地
点の確認と第三段と弾頭(人工衛星)の軌道確認用の配置であると思
われます。

これに対し、PAC3は首都圏の三ヶ所に加え、テポドンの予想飛
行コースに当たる東北地方の秋田、岩手両県に配置されています。

SM-3、PAC3の部隊配置については以下のURLを参照して下さい。
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/rireki/2009/03/27siryou3.pdf

一応、北朝鮮の事前予告に従って配置するものの、首都圏の守りも
怠らないという体制ですが、今後、SM-3装備のイージス艦が更
に増えれば、(今年度、来年度に各一隻の追加が予定されています)
首都圏へ飛来しそうなコースについてもSM-3でカバーされる様
になるかも知れません。

在日米軍もSM-3対応のイージス艦5隻を日本海と太平洋に配置
している他、車力、三沢でも、Xバンドレーダーを稼動させている
筈ですし、万が一の場合に備え、アラスカや、ハワイでも、相応の
MD即応対応が取られていると思われます。

以前のエントリーでも、述べましたが、今回のテポドン騒ぎは、
MD実戦演習とでも言うべきイベントになってきています。
通常は机上演習であるとか、指揮所演習とか言った実戦部隊を動か
さない演習で済ませる事が多いのですが、なかなか上から下まで実
戦並みの緊張感を持った演習とは行きません。

その点、今回のテポドン発射は、たとえ、人工衛星打ち上げであっ
ても、過去二回打ち上げに失敗しているロケット(ミサイル)が日本
に向かって飛んでくるだけに探知、追跡、迎撃に手抜かりは許され
ません。

正に実戦に限りなく近い演習であり、配備された日米全部隊全体が
一丸となって対処できるかどうかが試される機会となります。
実際に迎撃されるかどうかは、テポドン次第ですが、これ迄、MD
配備に向け傾けられた努力の成果を是非見せて欲しいと思います。


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2009年3月27日金曜日

中国の軍拡継続を警戒する米国防省報告書




アジア太平洋 中国脅威 唯一の戦略核増強国 米国防総省報告書

■ICBM20基新配備

【ワシントン=古森義久】米国防総省は25日、「中国の軍事力」に関する年
次報告書を発表し、中国が戦略核戦力や東アジア地域での軍事能力、さらには
台湾の攻略能力などをいずれも増強しているという現状を明らかにした。報告
書はさらに、中国の軍事の態勢や戦略が不透明であり、アジア太平洋地域での
大きな不安定要因となっていることを指摘した。

                   ◇

同報告書は毎年一度、発表され、議会に送られるが、総括として中国がなお「
高度の外国製兵器の取得、防衛関連科学技術への急速度の投資、軍隊の組織的、
戦略的な改革などによって地域制圧の軍事能力や核、宇宙、サイバー戦争の軍
事技術を発展させ、アジア地域の軍事バランスを変えて、アジア太平洋地域を
も越える影響を発揮している」と警告している。

具体的には、米国本土にも届く戦略核戦力で中国が2006年以来、CSS4、
DF31などの大陸間弾道ミサイル(ICBM)計約20基を新配備したほか、
射程のやや短いCSS3を約20基、1隻に弾道ミサイル(SLBM)を12
基搭載した「夏」級潜水艦を新配備するなど、世界でも唯一、戦略核ミサイル
の増強を進めていることを指摘。また、西太平洋地域で水上艦、潜水艦、航空
機を増強し、対艦攻撃ミサイルや魚雷の強化で地域制圧の能力を高め、潜在敵
の側の航空母艦までを抑止する能力をつけ始め、東シナ海での尖閣諸島をめぐ
る日本との領土紛争への対処能力をも高めたことなどを強調した。

報告書によると、中国は台湾への攻撃、攻略の能力を依然として高め、台湾海
峡沿いの福建省などでは台湾に届く短距離弾道ミサイルの増強を継続。2008
年9月の時点で合計1150基にも達して、いまなお毎年約100基のペース
で新配備を続けている。

報告書は台湾の政権が変わり、独立を直接には目指さない国民党が政権を握っ
て、中国との政治的な緊張が和らいだのに増強がなお続いている点に懸念を示
し、「中国が台湾の独立を阻止するために攻略の軍事能力をつけることは理解
できるが、現在の増強は台湾をはるかに越えた有事までをも想定しているよう
にみえる」と指摘した。

一方で、中国海軍が航空母艦を保有する意思を公的に表明し、旧ソ連から購入
した旧式空母を活用し自国製の建造を目指す方針を進めていることを伝えてい
る。パイロット50人が空母艦載機の操縦訓練を受け始めたことも記している。

また、報告書は中国の人民解放軍の兵器装備や戦略作戦などがほとんど秘密に
され、透明性に欠ける点を批判的に取り上げ、国際情勢を不安定にする主要因
だと断じている。中国政府が公式に発表する国防費は08年度分は約600億
ドルで前年より17・6%の増加だが、外国からの兵器購入や航空宇宙での戦
争準備などの経費はそこには含まれず、実際は1050億~1500億ドルに
も達すると米側はみている。

(産経新聞 2009/3/27)

産経新聞の古森氏は、中米関係については、定評のあるニュースソ
ースです。
今回の記事でも、米国国防省の年次報告書「中国の軍事力」を上手
く纏めています。興味がある方は、以下のURLで、全文を読む事が
出来ます。


最初は、この報告書のエグゼクティブ・サマリーを抄訳しようかと
思ったのですが、上記の記事の方が、数段上手に纏めてありました
ので、それ以上という事であれば、あとは、原文を細かく見て行く
方が誤解がなくて良いのではないかと思います。

「中国の軍事力」は2000年以降、毎年一回、米国防省から議会への
報告書の形で纏められら公表されています。過去、同様の報告書と
して「ソ連の軍事力」がソ連崩壊まで、公表されていましたが、ソ
連軍事力の最新動向が盛り込まれており、米国内外の外交、安保担
当者、研究者の非常に有用な資料になっていました。「中国の軍事
力」は、まさにその中国版と言える報告書であると思います。

今回の報告書については、個人的には、中国第二砲兵学校で研究さ
れ、米空母対策として開発中の対艦弾道弾(ASBM)の概念説明図など
は面白いと思います。ただ、空母は、時速80kmで移動可能ですから、
弾道弾を終末誘導するには、弾道弾と観測装置及び両者のフィード
バックが余程上手く連動しないと上手く行かない様にも思います。
中国のC4ISRが、その様なレベルに達しているとDODが考えているの
であれば、それはそれで興味深い事です。

なお、この報告書が出る直前には、中国のEEZ内の公海で米国の海
洋観測船が中国船に執拗な追跡を受ける事件が起こっており、他国
の第一列島線内側の領域使用を拒否する中国の意思が明確に出てい
るのが、この報告書の指摘を裏付ける形となっています。

また、以下の記事に見られるように、この報告書に対して中国は素
早く抗議を行っていますが、その様に素早く、抗議を行うのも、中
国が痛い所を突かれたという意味ですので、報告書の視点はかなり
正鵠を得ているのではないかと考える次第です。


事実わい曲、誤った脅威を宣伝と中国 米国防総省報告書で


中国外務省報道官は26日、米国防総省が25日発表した、中国の軍事
力に関する年次報告書に関連し、事実をわい曲しており、中国政府
は断固反対するとの立場を示した。

報告書は、中国による長距離弾道ミサイルや対艦ミサイルの開発が
目立ち、地域の軍事バランスを乱していると指摘。また、ミサイル
開発の加速は海外資源確保や他国との領有権論争で中国を有利な状
況に置くとも分析していた。

同報道官は、米政府は中国の軍事的脅威に対する誤った考えを宣伝
し続けているとも主張した。

(CNN.co.jp 2009/3/26)


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2009年3月26日木曜日

潔く負けを認められない国民性も哀れ


※写真は、sportsnet.caからの転載

韓国紙「イチローは高慢」 “ダーティーサムライ”と批判

【ソウル=水沼啓子】日本が連覇を果たした第2回ワールド・ベースボール・
クラシック(WBC)について、25日付の「中央日報」はWBCの特集ペー
ジで、「勝利したがマナーで負けた“ダーティーサムライ”」との見出しで日
本チームを批判した。

同紙は日本について、「韓国との決勝戦で非紳士的なプレーが何回かあり、試
合後の記者会見場では一部の選手が高慢な態度をみせまゆをひそめさせた。優
勝チームらしいマナーとはほど遠い」と伝えた。

非紳士的と問題にしたのは、中島遊撃手が六回の守備で二盗を試みた走者の顔
にひざが当たったプレーと、七回の攻撃で一塁走者の中島が併殺を避けようと
二塁手に体当たりしたプレー。会見場での「高慢な態度」とはイチローを指し、
同紙は「イチローは試合後の記者会見場でいすのひじ掛けに片方の腕を乗せ、
斜めにもたれかかるように座りながら、質問に答えた。答える途中で一人で笑
った。勝者としての喜びや余裕と見るには見苦しい」と報じた。

「中央日報」は社説でもWBCを取り上げ、「韓国野球、本当によくやった」
と題して「(韓国代表チームは)収入が法外に少ない“いちばん腹を空かせた
チーム”だったが団結力と精神力で決勝にまで上がった」とし、「WBCで全
世界に誇示した韓国人の底力をもう1度発揮して、当面の経済危機を克服しよ
う」と主張している。

「東亜日報」は「スシだけを食べて、食あたりした」との見出しで、「韓国が
今大会で行った9試合中、5試合が日本と当たった」として、今回導入された
敗者復活戦がある対戦方法に疑問を投げかけた。同紙は「残念だが…あなたた
ちは我らのチャンピオン」と選手の健闘をたたえ、日刊スポーツも「偉大なる
2位」と、金寅植監督の采配(さいはい)などをたたえていた。

(産経新聞 2009/3/25)


WBCの最終戦を見ましたが、結果的には勝ったものの、日本チー
ムは、拙攻が目立った試合であったと思いましたし、先行されなが
らも執拗に追いついてくる韓国チームのガッツも素直に認めたいと
思っていました。

しかし、それにしても、上記のような記事を報じずにはいられない
韓国人のメンタリティというのは哀れとしか言いようがありません。

まあ、実力で及ばない時に、道徳的に自分の方が高い位置にあると
主張する事で、勝てなかった事を正当化するというのが韓国の通例
です。また、その為には、捏造をする事も厭わないという傾向があ
る民族であるという事は覚えておくべきだと思います。(これは北
朝鮮についても全く同じです。)

しかしながら、本当の実力を涵養するのであれば、勝者の粗を捜し
たり、言い訳するのではなく、何故負けたかを分析し、弱点を補強
される方が相手側からすれば、余程、怖い相手であろうと思います。

日本が相手の勝負となると韓国人の方でもわかっているけど、止め
られないというのもあるのかも知れませんね。

某巨大掲示板は、以下の様なニュースコレクションもありますから、
上記の記事で不愉快な思いをされた方は、口直しをされても良いか
も知れません。

●アメリカ
エンパイアステートビルに日本国旗のライトアップ WBC優勝で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090325-00000535-san-int
●キューバ
カストロ氏「イチローは世界最高の打者」 原采配も絶賛
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090325/amr0903251425012-n1.htm
●メキシコ
日本WBC優勝で大喜び
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6533414
●台湾
「韓国は4投手を投入したが、日本の攻勢を阻止できなかった」と日本の勝利をたたえた
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2009032400795


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2009年3月25日水曜日

アデュー! DDH141「はるな」



※上段写真はWikipediaより転載
 下段図面は「世界の艦船」サイトから転載

護衛艦「はるな」が退役 舞鶴で式典

海上自衛隊舞鶴基地の護衛艦「はるな」(4、950トン)が老朽化のため退
役するのに伴い、自衛艦旗返納行事が18日、京都府舞鶴市北吸の海自隊北吸
岸壁で行われた。隊員や市民ら約300人が参加し、初のヘリ搭載護衛艦とし
て36年間親しまれてきたはるなとの別れを惜しんだ。

はるなは1973年2月に就役し、98年3月に舞鶴に配備。2000年には
自衛隊初の海上警備行動で石川県・能登半島沖で不審船を追跡した。テロ対策
特措法に基づくインド洋での補給支援活動にも2度参加した。

行事では、艦尾の自衛艦旗が静かに降ろされ、星山良一艦長から方志春亀・舞
鶴地方総監に返納された。方志総監は「日本海の守りの要として活躍し、厳し
い海上勤務にあたる1人1人の命を見守り続けてきてくれた」と訓示した。
はるなに乗船経験のある元自衛官の渡邉浩さん(57)=同市亀岩町=は「入隊
時期とはるなの就役が重なり、一緒に歩んだという思いが強い。思い出がつま
り、とても寂しい」と見守っていた。
はるなの後は横須賀基地の護衛艦「しらね」が継ぐ。検査中で、秋ごろに舞鶴
に入港する予定。

(京都新聞 2009/3/18)


新造ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」の就役式が3月18日に行
われましたが、同日付けで初代のヘリコプター搭載護衛艦である
「はるな」の退役式典にあたる自衛艦旗返納行事が舞鶴で行われま
した。

記事にもある通り、「はるな」は、三次防の目玉装備として昭和42
年度艦として計画され、昭和47年度に完成し、就役しました。

当時、有人ヘリコプターを搭載する護衛艦(有人ヘリ搭載艦として
は砕氷艦「ふじ」があった)は、文字通り、初めてであり、基準排
水量も4750トンとそれまで最大であった「たかつき型」の3050トン
から一気に大型化し、また、旧帝国海軍の戦艦名を受け継いだ点か
らも従来の護衛艦とは一線を画する艦であったと言えます。特に、
マストと一体となったMAC構造の大型煙突からは排煙用の大型円形
パイプが二本突き出ており、竣工当時は、非常に斬新な印象を与え
ましたが、使用実績を踏まえ、二番艦の「ひえい」では、「たかつ
き」と同じ構造に改められ、「はるな」についても、後述のFRAM改
造時に改正されています。

「はるな」の装備は、当時最新の大型護衛艦であった「たかつき」
型の兵装の内、無人対潜ヘリDASHに替えて、有人大型対潜ヘリコプ
ターHSS2を三機を搭載したもので、この航空兵装関連装備を艦体後
部に集約した点に特徴があります。

「はるな」が建造された時期には、このように艦の前半部に通常の
軍艦同様の砲やミサイルを装備し、後半部を航空装備とし、ヘリコ
プターを複数搭載する艦が一種のブームであった時期であり、イタ
リアのアンドレア・ドリア級、フランスのジャンヌ・ダルク、ソ連
のモスクワ級等が、相次いで完成、就役していました。

しかしながら、「はるな」型の運用の実態や、諸外国でのその後の
建造状況を見ると、この種のハイブリッド艦型は必ずしも成功とは
言えなかったようで、後継艦としてはいずれもヘリコプター空母と
言える艦が導入されています。

「はるな」も同様で、大型ヘリを運用保守するには、格納庫、飛行
甲板共に過小であった事が「ひゅうが」型が現在の艦形になった理
由とされています。

「はるな」については、これ以外にも、後日装備となっていた可変
深度ソナーが最後まで装備されていなかった点や、システム化が個
々の装備レベルに留まっていた点、また対空ミサイルを装備してい
なかった点が欠点としてあげられますが、昭和62年にFRAM改装を行
い、システム面も含め、拡大改良型である「しらね」型に準じた兵
装を装備する事になりました。この改造の結果、艦齢が10年程度延
長されています。

なお、このFRAM改装時に導入され一新された電子機材は、今回「は
るな」が退役するに際しても廃棄されるのではなく、艦内火災を起
こし、CICを全焼した「しらね」に移植され、有効活用される事に
なっています。

他の多く自衛艦と同様「はるな」も、派手な活躍とは縁遠い艦でし
たが、第十雄洋丸事件での撃沈処分や、能登半島沖不審船事件での
不審船追跡にも参加している等、最後に至るまで、海上自衛隊の戦
力向上と我が国の安全に寄与した点は、高く評価できると思います。


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2009年3月24日火曜日

ミサイル防衛 政府高官がこの程度の認識では困ったもの


※写真は防衛庁サイトから転載

政府筋「7、8分たったら終わっている」北ミサイル迎撃に懸念

政府筋は23日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合に備える日本のミサイ
ル防衛(MD)システムについて、「(事前予告がなければ、ミサイル発射か
ら)7、8分たったら、浜田靖一防衛相から麻生太郎首相の所に報告に行った
ら終わってる」と述べ、政府内での迎撃手続きに時間がかかると、撃ち落とす
チャンスがなくなるとの見方を示した。
また、「『鉄砲の弾で鉄砲の弾を撃つようなもんだ。当たると思うか』と、石
破(農水相)と昔、話したことがある。すると、(石破氏は)『当たると思う』
と答えた」と、石破氏とのやりとりを紹介した。
さらに、政府筋は、「『実験で今から撃ちますよと言って、ぴゅーっと来るか
ら当たるんで、いきなり撃たれたら当たらないよ』と言ったら、石破氏は『そ
れは信じようよ』と語った」とも述べた。

(産経新聞 2009/3/24)


産経新聞と他の新聞のニュアンスは多少違いますが、昨日、政府筋
が、この様な事を述べたそうです。
ここでいう政府筋とは、マスコミ語法であり、内閣官房副長官や内
閣総理大臣秘書官を指します。内閣官房副長官は現在、松本純氏と
鴻池祥肇氏の二名です。発言の中で、石破氏とのやり取りを紹介し
ていますが、概ね同格というイメージを与えますので両氏の内で年
齢的に近い松本氏の可能性が高いのかも知れません。
もっとも、松本氏、鴻池氏共に安全保障関係の経歴はなく、技術的
な面の素養もなさそうです。

さて、この発言は、前段と後段に分かれます。この内、前段につい
ては、全くその通りで、いつ発射されるか判らない弾道ミサイルを
迎撃するミサイル防衛を行う上で、発射から迎撃までのリアクショ
ンタイムを極力短縮する必要があります。ミサイルが発射されてか
ら、防衛相や総理に判断を求めている時間はありません。

米軍の早期警戒衛星情報受信から迎撃完了まで、全自動で行われな
ければ、とてもミサイル防衛などできる訳はないのです。
もしも、人的判断が介在するとすれば、邀撃ミサイルを発射するか
どうかの最終判定の部分程度かと思われます。それも時間をかける
訳には行かないので、手順的要件がなされた事を確認する程度で発
射をGOする形式チェックになると思われます。この辺の判断は、
航空機の領空侵犯時等や米国がミサイル防衛を行う際の手順がある
ので、それを参照して作成される筈です。

政府高官として問題であるのは、後段です。
「鉄砲の弾で鉄砲の弾を撃つようなもんだ。」とありますが、それ
が可能でないならば、MDなどありえない事になります。
実は、鉄砲の弾は、速度がせいぜいマッハ2程度ですが、MDの場
合はそれより2~3倍の速度の物体を撃ち落す事になります。その
点では、より難易度は高いのですが、実際にそれを行う事が、技術
的に可能となっているのです。米国は三十数回のテストを行い、そ
の内の、8割以上のテストで成功を収めています。その中には、無
警告発射された弾道ミサイル迎撃試験も含まれています。

以前のエントリーでも、取り上げましたが、日本が行った2回の実
射試験でも、1回目は、警告発射でしたが、二回目は無警告発射で
あり、結果的に迎撃に失敗したものの、手順的には、無警告発射に
対しても対応できてていた事が確認されています。SM-3ミサイ
ル本体が、正常に動作していれば、成功となった筈の試験でした。
実戦では、同時に同一目標に一発しか発射されない事もありません
ので、この種の失敗は避ける事が出来ます。

石破氏は、当時は、この政府高官に対して、『それは信じようよ』
と語ったそうですが、現時点であれば、「実験を何度もやって充分
成功しているよ。」と述べる筈です。
その点で、是非、この政府高官には、国民の政府に対する信頼を失
わせる様な発言をする前に、ミサイル防衛に関する知識をアップデ
ートして欲しいものだと思わずにはいられません。


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2009年3月23日月曜日

捏造だった「中国艦追跡」記事


※写真は中国のキロ級潜水艦。インドも同型艦を保有している。

「中国艦を追跡」記事は捏造 中国当局が掲載2紙を処分

中国海軍の駆逐艦が国籍不明の潜水艦に追跡されたとの報道は捏造(ねつぞう)
だったとして、中国当局は記事を掲載した中国紙2紙に対し罰金などの処分を
科した。中国新聞出版報が19日までに報じた。

処分されたのは四川省の「華西都市報」と山東省の「青島早報」。両紙は今年
1月、海賊対策のためアフリカ東部ソマリア沖に派遣されている中国海軍の駆
逐艦が潜水艦に追跡されたとの記事を掲載。記事はフリーライターが華西都市
報向けに執筆した虚偽のもので、青島早報は華西都市報から有料で記事の提供
を受けたという。

19日付の香港紙によると、記事は2月上旬、中国の各大手ニュースサイトに
も転載された。記事中で潜水艦がインド海軍所属だった可能性を示唆していた
ため、インド政府が報道を否定するなど反響が広がっていた。

(産経新聞 2009/3/19)


実は私もすっかりこの捏造記事にひっかり以下のエントリーを書い
ています。

「本来の仕事もちゃんとやってるインド海軍と中国海軍」(2009/2/5)

エントリーの内容は、中国艦隊を追跡したのがインド海軍であれば、
ソマリア沖の海賊対策ではあっても、格好の音紋採取の機会と捉え
た可能性がある事。また中国艦隊も潜水艦の追跡を探知したのであ
れば、日常業務として潜水艦探知を行った点で、両海軍共に、やる
べき仕事を果たしていると評価しています。

捏造という結果だけをみれば、インドの原潜でもない通常動力潜水
艦が15ノット程度とは言っても、中国艦隊を追跡するかどうかと
いう評価の点で問題だったのですが、以下の様に書く事で合理化し
てしまった点、誤りであったと感じる処です。

「静粛性に優れる通常潜水艦であっても、最高速度に近いスピード
を出せば、当然、盛大に騒音を撒き散らす事になる為です。今回は
艦隊速度が遅かった為に、シュノーケル航行でも追跡可能と判断し
たのではないかと思われます。そして、その機関音を中国海軍に捉
えられたと言う訳です。」

中国海軍、インド海軍共に、新興海軍であるとは言っても、両国共
に原潜の運用経験がある等、決して侮れる存在ではありません。
また、中国が自国で原潜建造している様に、インドもソ連の技術協
力で、原潜の自国建造を行っているという情報もあります。

今回の記事は、捏造という事になりましたが、インド洋を自国の管
制下に置こうとするインドの国防方針と、自国向けの海上交通路と
して死活的重要性があると認識している中国の意思が、衝突してい
る海域である事は事実であり、今度は、本当に、インド海軍の原潜
が中国艦隊を追跡する事も起こりえるのではないかと考える次第で
す。


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2009年3月19日木曜日

ボーイング新型戦闘機F-15SEを発表!



※写真はFlight Globalサイト及びボーイングサイトから転載

ボーイング社は昨日、既存のF-15Eを大幅に改修し、スティルス機
能を付与したF-15SEを発表しました。まるでWindows98SEの様なネ
ーミングですが、Second EditionのSEではなく、Silent EagleのSE
だそうです。

2009/3/18付けのFlight Globalの記事によれば、F-15SEは、F-22や
F-35の様な、スティルス・コーティング、機内武器収納庫、統合デ
ジタルアビオニクス、傾斜尾翼と言った第五世代機としての特徴を
持っています。


主翼前縁には、スティルスコーティングが施され、前方からのレー
ダー電波の反射を抑え、15度傾けられた垂直尾翼によって側方から
のレーダー電波への反射が抑制されます。
また、コンフォーマル燃料タンクの内部に埋め込まれたミサイルや
爆弾は、全方位からのレーダー電波への反射を削減し、戦闘行動時
もクリーンな翼を維持する事ができます。

ボーイング社によれば、この結果、前方から見た時には、F-15SEは、
第五世代機と同様のレーダー・クロス・セクションを達成できるよ
うになる見込みです。しかしながら、ボーイング社はこれらのスティ
ルス効果が攻撃侵攻任務で予想される相手側の地上設置レーダーに
は、あまり意味をもたず、防御目的で使用する場合には有効である
としています。また、F-22が備えている赤外線スティルス対策も
F-15SEには施されていません。

搭載されるAPG-63(V)3レーダーは前方からのレーダー波に備え、や
や傾けられて設置されますが、索敵範囲や空力抵抗には影響を与え
ません。またBAEシステム社の統合電子戦装置を搭載する事も、こ
の機体の主要な新機能の一つとなっています。

ボーイング社によれば、飛行試験を2010年の第一四半期に、また、
引渡しは三年後からと予定しています。気になるお値段は、訓練費
用やスペア部品を含め一機当たり1億ドルになる見込みです。

また、ボーイング社は、米空軍を売り込みの対象としておらず、既
にF-15を採用している五ヶ国を販売対象としています。
また、既存のF-15E及び派生機は、F-15SEへの改造が可能となって
いるそうです。

今回のボーイング社の発表は、タイフーンか、F-35かの択一になり
つつあった空自のF-X商戦に大きなインパクトを与えるものと言
って良いでしょう。と言うより、日本のF-X商戦を念頭に開発が
進められたプロジェクトである様に思います。

ただ、個人的な感想を言えば確かに、第五世代機としての要素が大
きく取り入れられているものの、所詮は、第四世代機の改造機でし
かありません。日本は現在、既存のF-15Jの大幅な改修作業を進め
ている処でもあり、改めてこの機体を取得するのであれば、F-35が
取得出来るのを待っても良いのではないかと考える次第です。

(Windows95のユーザーが、WidowsXPが欲しいのだけれど、なかなか
入手できないので、MSからWindows98SEの購入を勧められている状態。
だけど、この間OSR2にレベルアップしたばかりだし、というのがア
ナロジーとしては適切である様な気がします。)


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2009年3月18日水曜日

祝 DD181「ひゅうが」就役!


※写真は、毎日新聞サイトより転載

海上自衛隊 「空母型」ヘリ搭載護衛艦、横須賀配備へ

海上自衛隊の新型ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」の引き渡し式が18日、
横浜市磯子区のアイ・エイチ・アイマリンユナイテッド横浜工場で開かれた。
海外派遣も想定し、多目的任務をこなす初めての護衛艦で、船首から船尾まで
長く伸びた長い甲板を持つ「空母型」の形状が特徴。護衛艦では最大で、初め
て女性自衛官17人が乗り組み、母港・横須賀港に配備される。

ひゅうがは全長約197メートル、基準排水量1万3950トン。ヘリ3機が
同時に発着でき、周囲360度からのミサイル攻撃などに対応可能な国産の対
空武器「FCS-3」も初めて装備した。自衛隊全体の統合運用や大規模災害
時に対応可能なスペースや、女性専用の区画も設置。将来は女性のヘリ搭乗員
の乗艦も計画している。

引き渡し式では、武田良太・防衛政務官がメーカーから引き渡し書を受け取っ
た後、山田勝規艦長に自衛艦旗を授与した。【本多健】

(毎日新聞 2009/3/18)


自衛艦は、大体、年度の終わりである3月に就役するケースが多い
のですが、実質的に新しい艦種である「ひゅうが」が5年線表で、
きっちりと就役する処が、如何にも日本的な、ハード、ソフト両面
での品質の高さを象徴している様に思います。

古いエントリーで、「ひゅうが」の進水を取り上げましたが、外見
上は、進水時と比べ、CIWSが実装されているかどうか、甲板の塗装
が正規のものかどうか程度の違いしか判りません。
しかしながら、実態は、全く異なります。

家の建築で例えれば、進水時点では、棟上が終わっているが、内装
が殆ど行われていない状態で、外装だけを整えた状態です。悪い言
い方をすれば、ハリボテの様なものです。これが就役段階では、完
全に完成し、住人が入居した状態と言えます。

しかしながら、自衛艦の場合は、これで戦力化が完了した訳ではあ
りません。これから1~数年をかけて、初代「ひゅうが」乗員によ
って、訓練等を踏まえ、戦力化の為の各種の手順の整備が行われて
初めて実戦で100%の能力を発揮できる艦になります。

これらの手順は標準版が整備されているものの、各艦で、装備して
いる装備や機器が異なるので、厳密には各艦毎に異なっています。
その上、「ひゅうが」の場合は、新艦種の一番艦ですから、その艦
種として初めての手順も多いので、その作成には、通常よりも手間
も時間もかかる事になります。それだけに、初代乗組員は期待も責
任も大きい事になります。

新聞などでは、艦が就役するとあたかも直ぐに使えるかの様な表現
が使われる事も多いのですが、実際には、就役してから時間をかけ
て、本当に手作りで、実戦で使える艦になっていきます。
その意味では、戦後日本の空母運用は、本日、正に呱々の声を上げ
たと言える様に思います。


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