来月4日にも発射される北朝鮮の長距離弾道ミサイル「テポドン2」。麻生政
権が初の「ミサイル破壊命令」を出して、マスコミは大騒ぎだ。しかし、騒げ
ば騒ぐほど、国民の血税が防衛費に化ける仕掛けだから冷静になった方がいい。
●「軍事ジャーナリスト」神浦元彰氏に聞いた仰天実情
弾道ミサイルを日本領空で迎撃する――映画のような話だが、結論からいえば、
その事態は「万が一」だし、結局、自衛隊は迎撃ミサイルを撃てない。軍事ジ
ャーナリストの神浦元彰氏が言う。
「北朝鮮は今回のテポドンに自信をもっている。2月2日、イランが人工衛星
打ち上げに成功しましたが、技術はすべて北朝鮮のものでした。だからこそ今
回、北朝鮮は発射期日やロケットの1段目と2段目ブースターの落下予定地点
を事前通告してきた。自信のあらわれです。ミサイルの正体は、北朝鮮が言う
ように試験通信衛星とみていいでしょう。ICレコーダーを入れた球体をミサ
イルの弾頭部に搭載、それが大気圏を突き抜け、地球を回りながら、電波を地
上に発信する。これに成功したら、北朝鮮は“そらみろ、人工衛星打ち上げに
間違いないだろう”と大はしゃぎしますよ」
“成功”されたら、日本の北朝鮮嫌い勢力は形無しだが、万が一、1段目ブー
スター切り離しに失敗したりして、テポドンが日本領空に落下してきた場合も、
「待ってました」とはいかない。
●「命中しない」「撃てない」
「1000キロの上空を飛ぶテポドンに対して、日本の迎撃ミサイルは高度
100キロしか飛ばない。間違って、日本に落下してきた場合だけに迎撃は可
能ですが、発射してもまず命中しない。コースが予測できる場合だけ迎撃は可
能ですが、制御不能になったテポドンを撃ち落とすことは、流れ弾にピストル
を撃つようなものなのです。日本政府はすでに、ミサイル防衛システムに
6400億円もの税金を投入している。命中しなかったら、何を言われるかわ
からない。だから、現場はいろいろと理由をつけて、迎撃ミサイルを撃たない
と思いますよ」(神浦氏)
鴻池官房副長官が「迎撃しても当たりっこない」と発言したのは、予防線とい
うことか。
が、ミサイル防衛に6400億円も血税をつぎ込みながら、役立たずで済むの
か。
「日本政府は、テポドンが失敗しないと踏んでいる。失敗しても、テポドンを
撃った北朝鮮は怖い国とキャンペーンを張ればいいし、さらに問題をミサイル
防衛強化論にスリ替えていくでしょう。実際、防衛省はあと4000億円かけ
て、九州にまで防衛システムを広げようとしています。どっちに転んでも損は
ないという計算ですよ」(神浦氏)
“無用の長物”に血税1兆円! 「フザケるな」ではないか。
そんなことなら、北朝鮮に1兆円差し出して、同盟国にしてしまった方が安上
がりというものだ。
(日刊ゲンダイ2009年3月28日掲載)
日刊ゲンダイは、オトーサンの暇つぶしには、もって来いの話題に
溢れている事が多いのですが、その様な中で、この処、政治外交面
で、トンデモサヨク的な傾向を強めています。馬鹿にして放置して
も良いのでしょうが、大昔に、当時のイエローペーパーの代名詞で
あった米国のハースト系新聞が人種的偏見から日本移民問題を大き
く取り上げ、それが、日米関係の悪化に大きな影響を与え日米戦争
の遠因になった事は、良く知られている事実です。そういう観点か
らすればいくらイエローペーパーであっても反論すべきは反論する
必要があるのかも知れません。
もう一点、元自衛隊員の「逆神」神浦元彰氏についてです。ネット
では、素晴らしい評判を簡単に見つける事が出来ますが、どの程度、
「逆神」ぶりなのか、今回の記事に基づいて少し、確認していきた
いと思います。
まず、使っている単語の問題ですが、試験通信衛星というのは、ど
ういう衛星なんでしょうか。
記事では「ICレコーダーを入れた球体をミサイルの弾頭部に搭載、
それが大気圏を突き抜け、地球を回りながら、電波を地上に発信す
る。」ものを言っている様ですが、通信衛星とは、そういう一方的
な放送をする衛星の事ではありません。一番原始的な通信衛星は、
衛星表面で電波を反射する事で、通常の地上波では届かない場所に
電話を届かせるものです。「北朝鮮のいっている試験通信衛星とは」
とか言った枕詞が欲しかったですね。
次に、これは記者の感想なのでしょうか、「“成功”されたら、日
本の北朝鮮嫌い勢力は形無しだが」と書かれていますが、日本が今
回迎撃態勢を整えているのは、ミサイルが予想の進路を飛ばず、使
用済みの第一段や第二段、あるいは弾頭部が日本に落下する場合に
備えての事です。北朝鮮が衛星打上に成功し、第一段や第二段が予
定の海域に落下するのであれば、当然な事として迎撃は行われない
事になります。
また、北朝鮮嫌いの方の中には、北朝鮮が人工衛星打ち上げに成功
するのを快く思わない方も多いでしょうが、別段「形無し」になら
ないといけない理由はないと思われます。
記事の中にもある通り「イランが人工衛星打ち上げに成功しました
が、技術はすべて北朝鮮のものでした」ので、今回、衛星打上に成
功する可能性は高く、その場合、SM-3が発射されない可能性は
高くなります。
次に、記事は、「万が一、1段目ブースター切り離しに失敗したり
して、テポドンが日本領空に落下してきた場合も、「待ってました」
とはいかない。」と続きます。しかし、これが、その次の神浦氏の
コメントと続かないのです。
神浦氏の発言は、「日本に落下してきた場合だけに迎撃は可能です」
と書かれていますし、「コースが予測できる場合だけ迎撃は可能で
す」と書かれています。現状日本が対処しようとしているのは、正
にこの様な場合に備えての事です。従って、迎撃は可能と解釈すべ
きです。制御不能になったテポドンがどこに落下するのかは予測不
能という意見については、確かに100%予測可能ではないものの、発
射からの飛行コースが捉えられている可能性が高いので、未来位置
の予測も可能なケースである確率が高いと考えられます。
但し、神浦氏の次の発言は当を得たものとは言えません。
「日本政府はすでに、ミサイル防衛システムに6400億円もの税
金を投入している。命中しなかったら、何を言われるかわからない。
だから、現場はいろいろと理由をつけて、迎撃ミサイルを撃たない
と思いますよ」
過去のエントリーにも書きましたが、MDの実験結果は成功率は8
割を超えています。同時に二発発射した場合の成功率は96%に達し
ます。さらに、今回は得がたい実戦訓練の機会であり、MDに投下
した巨額の支出を正当化する絶好の機会なのですから、その得がた
い機会を防衛省が見逃す訳もないのです。
なお、迎撃高度に関する問題ですが、神浦さんは、人工衛星に関し
て詳しいかどうか判りませんが、高度1000キロというのは立派な衛
星軌道です。例えば、国際宇宙ステーションは高度400kmの所に建
設されています。従って、もし、高度1000キロのミサイルを撃ち落
すシステムがあれば、それは衛星攻撃兵器としても使用可能な兵器
と言えます。
テポドンが、第一段、第二段を切り離す高度ですが、今年1月に打
ち上げられたH-IIA15号機のケースでは、第一段切り離し高度は310
kmでした。やや高い高度ですが、H-IIAの場合、第一段切り離しの
前に固体ロケットブースターを切り離しますが、この時の高度は、
54kmです。テポドンの第一段、第二段の切り離し高度は、この大体
54kmから310kmの範囲に入るのではないかと思われます。その点で
は、神浦氏の言うテポドンが高度1000kmを飛ぶという根拠が知りた
い処です。あるいは、総連系の極秘情報なのでしょうか?
ちなみにSM-3は、2008年2月に高度240kmの軌道を飛ぶ衛星の撃墜に
成功しています。1000kmは難しくても、100kmの高度しか届かない
という神浦氏の発言はこの部分では誤りと言えます。
なお、今回北朝鮮が打ち上げようとしているのが小型の人工衛星で
あり、通信衛星である事を考えれば、なるべく高度が低い方が電波
を良く捉える事ができます。また、イランが今年2月に打ち上げた
人工衛星の近地点高度は、258km(遠地点高度は364km)ですから、今
回の打ち上げでも、似たような軌道を通ると想像すれば、日本付近
での高度はSM-3の到達範囲内となる可能性はかなり高いと言えます。
神浦さんは、今回のミサイル迎撃について「流れ弾にピストルを撃
つようなもの」と言っています。MD反対派が良く似たような表現
を使いますが、ピストルは、撃った後、弾道を修正する事はありま
せん。しかしMDに使用される迎撃ミサイルは、飛行中、常に相手
の位置と自分の位置を計算し、飛行コースを変化させていきます。
また、陸海空の各種観測装置がそれをバックアップしているのです
から、鉄砲玉の表現は、全く当てはまらないとすら言えます。この
点でも、神浦氏の表現は、誤りであると言えます。
「北朝鮮に1兆円差し出して、同盟国にしてしまった方が安上がり
というものだ。」
記事の最後に、この一番印象深い言葉がありますが、実はこの言葉
は、前段となる神浦氏の言葉と殆ど繋がりがありません。神浦氏の
見解は全てが間違いという訳ではありませんが、それが全て正しい
ものであったとしても、結論として記事の最後の言葉には結びつき
ません。
何故なら、北朝鮮に一兆円差し出した処で、日本に対する不当行為
を停止する保証は全くないからです。恐らく、その保証はお花畑が
咲き乱れているであろう記者の頭の中にしかないのかも知れません。
しかし、良い実例があります。過去10年に亘り、度重なる北の背
信にも係わらず、無償の援助を続けてきた韓国は、それ以前と比べ
安全になったでしょうか。あるいは、北は南に対する態度を変更し
たのでしょうか?事実は、記者のお花畑の中にはなさそうである様
に思えてなりません。
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