作家の大石英司さんのブログを毎日拝見しているのですが、日曜日
のエントリーに非常に興味深い観測が載っていました。本文は以下のエントリーを参照して頂きたいと思います。
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2009/03/post-a543.html
簡単に要約します。
①米国は北朝鮮が悪戯(核開発や弾道弾開発)をする度にご褒美をあ
げている。
②北朝鮮は、核を自主的に放棄する事は絶対にない。但し、米国向
けの外交的ポーズとして放棄のふりをするかも知れない。
③オバマ政権は現状、北朝鮮問題に深入りする余裕はないが、ヒラ
リーが次期大統領戦を睨んで得点稼ぎに動く可能性はある。但し、
本質的な解決にはならない。
④北の問題の核心は、北の持つ核技術、ロケット技術が世界に<安
く>拡散する事。
⑤北の核技術の拡散で最終的な脅威を被るのはイスラエル。
⑥核とロケット技術の拡散を防ぐには、イスラエルに訴えるしかな
い。また、それをアメリカのユダヤ・ロビーに的を絞って運動する
べき。
⑦それによって、米国政府を宥和策から強攻策に転換させるしかない。
核拡散防止条約(NPT)体制は、核保有国の数が増えれば、増える
程、偶発的な核戦争の可能性が高まる事を認識し、既存の核保有国
だけに核保有の特権を与え、それ以外の国の核保有を査察を通じて
厳格に統制するというシステムでした。
現在、NPTで認められた五ヶ国以外に、核を保有していると言わ
れている国は、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の四ヶ国
ですが、北朝鮮を除く三国は元々、NPT条約に加盟していません。
これに対し、北朝鮮は、NPTを批准し、それによってアクセスを
許されたIAEAの技術資料を用いて核開発を行うという悪どい条
約破りをやっています。
しかしながら、現時点では、この悪質な条約破りに対する決定的な
罰則は与えられていません。換言すれば、NPTを破っても核武装
の既成事実を作る事ができれば、多少の経済制裁はあっても軍事制
裁はない事になります。
現在までに判明している限りでは、パキスタンのカーン博士を中心
とした闇の核技術シンジケートがあり、北朝鮮の他、イランやシリ
アもメンバーになっており、相互に技術交換が行われていました。
今回のテポドン発射に際しても昨年、人工衛星を打ち上げたイラン
の技術者が招かれていると言います。
さて、北朝鮮からの輸出品で、国際競争力を持つものは多くありま
せん。中国との間で交易は盛んですが、それも、北朝鮮にハードカ
レンシーがある限りという条件がついています。そういう中で、北
のもつミサイル技術と核技術は数少ない有力な輸出品目と言えます。
北朝鮮のミサイルがイエメンに輸出されている事が、判明していた
様に、従来のカーン博士の闇ルートに加え、北朝鮮からの核技術拡
散が、既に始まっていると考えるのが自然です。中東地域は勿論で
すが、世界の紛争地域では北朝鮮の核技術が受け入れられる素地が
あります。
残念ながら、世界の多くの地域では、日本における様な核兵器アレ
ルギーはありません。
例えば、チチェンやグルジアと言った地域であれば、核兵器が提供
されれば、それを梃子に独立を達成しようという勢力が出てきてお
かしくないのです。
極端な事を言えば、海賊行為で資金を蓄積したソマリアの海賊が、
脅迫のネタに核兵器を使ったり、アルカイダが核兵器を入手し米国
を攻撃する事さえ考えられます。
世界に紛争の種は尽きない訳ですから、北朝鮮の核が拡散した世界
は、より不安で不安定なものになる事は間違いないと言えます。
それでは、その様な世界は、日本にどの様な影響を与えるのでしょ
うか。実は、こういった核兵器の拡散が起こっても、日本に対する
影響は意外に軽微なのです。何故なら、隣接国の殆どが、既に核保
有国であり、日米安保条約によって核抑止が長く機能しているから
です。北朝鮮ですら自国の消滅を覚悟する事なしに、日本を攻撃す
る事は出来ません。
日本は原則として、現状の日米同盟を機軸とした全方位外交を継続
していれば、核武装すら必要としないのではないかと思われるので
す。日本にとっては領土問題すら実は死活的重要性は持っていない
のかも知れません。日本の繁栄は領土に依存してはいません。尖閣
諸島、竹島、北方領土に日本の繁栄は全く依存していない事は、万
人の認める処です。最悪の場合、琉球諸島を放棄しても、日本は平
和と繁栄を維持できるのではないかと考える次第です。そこまで譲
ってしまえば、日本が対象となる国際紛争は殆ど考えられなくなり
ます。(まあ、反日教育と言う別の火種は考えられますが、既に解
決済の数十年前の事実に基づいて国際紛争を起こすのは世界から顰
蹙を持って受け留められるだろうと期待したいですね。)
ここまで考えると北朝鮮の核を見逃す事で、不利益を蒙るのは、皮
肉な事に、国内に多様な民族問題を抱える、ロシアや中国であった
り、世界的なヘゲモニーを維持したい米国であるという事になるの
かも知れません。
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