※市ヶ谷の防衛省に配備されたPAC-3。
毎日新聞サイトから転載北朝鮮ミサイル 迎撃弾部隊が東北へ 首都圏は設置完了
北朝鮮が「人工衛星」とする弾道ミサイルの万一の落下に備えた自衛隊の部隊
展開は29日も続き、航空自衛隊浜松基地(浜松市)の地上配備型迎撃ミサイ
ル(PAC3)の部隊が、秋田、岩手両県の自衛隊施設に向けて出発。首都圏
主要部を防護する部隊も発射装置の設置を完了させ、全国5カ所へのPAC3
の展開準備が進んだ。
29日朝に出発した浜松基地の部隊は、大型トレーラーに搭載された発射機の
ほか、射撃管制装置、レーダー、電源供給などの特殊車両で編成され、主に清
水港(静岡市)から海路で移動。30日にも、陸上自衛隊新屋(あらや)演習
場(秋田県)と同岩手山演習場(岩手県)などに到着するとみられる。
一方、首都圏では、市ケ谷駐屯地(東京都新宿区)内の防衛省本省横のグラウ
ンドに、PAC3弾頭8発を充てん可能な発射装置計2台が北西方向に向けて
設置された。首都圏ではこのほか朝霞(埼玉)、習志野(千葉県)両駐屯地へ
の展開も完了した。
打ち上げ予定のミサイルは3段式とみられ、北朝鮮は、秋田県の西方沖約130
~380キロの日本海に第1段目を落下させ、その後、東北地方北部上空を通
過すると説明している。守備範囲が半径約20キロで配備数も限られるPAC3
は、都市圏人口の比較的多い秋田、盛岡両都市圏とすでに配備済みの首都圏の
防護を優先する。
(毎日新聞 2009/3/30))
先週末は、政府による「破壊措置命令」を受け、海空の「迎撃部隊」
が配置場所に向かいました。パトリオットPAC-3の配置は一見、
陸自の仕事に見えますが、歴史的な経緯から実は空自の仕事です。
広域防空は空自、戦場防空は陸自と言う区分けになっています。
足の長い、SM-3装備の海自イージス艦は、日本海側の第一段落
下位置に配置され、第一段の落下位置がズレて日本領土、領海、領
空内に入った場合に備え、第二段の落下域に対しては、BMD機能
を持たないイージス艦が配置されました。これは、第二段の落下地
点の確認と第三段と弾頭(人工衛星)の軌道確認用の配置であると思
われます。
これに対し、PAC3は首都圏の三ヶ所に加え、テポドンの予想飛
行コースに当たる東北地方の秋田、岩手両県に配置されています。
SM-3、PAC3の部隊配置については以下のURLを参照して下さい。
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/rireki/2009/03/27siryou3.pdf
一応、北朝鮮の事前予告に従って配置するものの、首都圏の守りも
怠らないという体制ですが、今後、SM-3装備のイージス艦が更
に増えれば、(今年度、来年度に各一隻の追加が予定されています)
首都圏へ飛来しそうなコースについてもSM-3でカバーされる様
になるかも知れません。
在日米軍もSM-3対応のイージス艦5隻を日本海と太平洋に配置
している他、車力、三沢でも、Xバンドレーダーを稼動させている
筈ですし、万が一の場合に備え、アラスカや、ハワイでも、相応の
MD即応対応が取られていると思われます。
以前のエントリーでも、述べましたが、今回のテポドン騒ぎは、
MD実戦演習とでも言うべきイベントになってきています。
通常は机上演習であるとか、指揮所演習とか言った実戦部隊を動か
さない演習で済ませる事が多いのですが、なかなか上から下まで実
戦並みの緊張感を持った演習とは行きません。
その点、今回のテポドン発射は、たとえ、人工衛星打ち上げであっ
ても、過去二回打ち上げに失敗しているロケット(ミサイル)が日本
に向かって飛んでくるだけに探知、追跡、迎撃に手抜かりは許され
ません。
正に実戦に限りなく近い演習であり、配備された日米全部隊全体が
一丸となって対処できるかどうかが試される機会となります。
実際に迎撃されるかどうかは、テポドン次第ですが、これ迄、MD
配備に向け傾けられた努力の成果を是非見せて欲しいと思います。
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