下段図面は「世界の艦船」サイトから転載
護衛艦「はるな」が退役 舞鶴で式典
海上自衛隊舞鶴基地の護衛艦「はるな」(4、950トン)が老朽化のため退
役するのに伴い、自衛艦旗返納行事が18日、京都府舞鶴市北吸の海自隊北吸
岸壁で行われた。隊員や市民ら約300人が参加し、初のヘリ搭載護衛艦とし
て36年間親しまれてきたはるなとの別れを惜しんだ。
はるなは1973年2月に就役し、98年3月に舞鶴に配備。2000年には
自衛隊初の海上警備行動で石川県・能登半島沖で不審船を追跡した。テロ対策
特措法に基づくインド洋での補給支援活動にも2度参加した。
行事では、艦尾の自衛艦旗が静かに降ろされ、星山良一艦長から方志春亀・舞
鶴地方総監に返納された。方志総監は「日本海の守りの要として活躍し、厳し
い海上勤務にあたる1人1人の命を見守り続けてきてくれた」と訓示した。
はるなに乗船経験のある元自衛官の渡邉浩さん(57)=同市亀岩町=は「入隊
時期とはるなの就役が重なり、一緒に歩んだという思いが強い。思い出がつま
り、とても寂しい」と見守っていた。
はるなの後は横須賀基地の護衛艦「しらね」が継ぐ。検査中で、秋ごろに舞鶴
に入港する予定。
(京都新聞 2009/3/18)
新造ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」の就役式が3月18日に行
われましたが、同日付けで初代のヘリコプター搭載護衛艦である
「はるな」の退役式典にあたる自衛艦旗返納行事が舞鶴で行われま
した。
記事にもある通り、「はるな」は、三次防の目玉装備として昭和42
年度艦として計画され、昭和47年度に完成し、就役しました。
当時、有人ヘリコプターを搭載する護衛艦(有人ヘリ搭載艦として
は砕氷艦「ふじ」があった)は、文字通り、初めてであり、基準排
水量も4750トンとそれまで最大であった「たかつき型」の3050トン
から一気に大型化し、また、旧帝国海軍の戦艦名を受け継いだ点か
らも従来の護衛艦とは一線を画する艦であったと言えます。特に、
マストと一体となったMAC構造の大型煙突からは排煙用の大型円形
パイプが二本突き出ており、竣工当時は、非常に斬新な印象を与え
ましたが、使用実績を踏まえ、二番艦の「ひえい」では、「たかつ
き」と同じ構造に改められ、「はるな」についても、後述のFRAM改
造時に改正されています。
「はるな」の装備は、当時最新の大型護衛艦であった「たかつき」
型の兵装の内、無人対潜ヘリDASHに替えて、有人大型対潜ヘリコプ
ターHSS2を三機を搭載したもので、この航空兵装関連装備を艦体後
部に集約した点に特徴があります。
「はるな」が建造された時期には、このように艦の前半部に通常の
軍艦同様の砲やミサイルを装備し、後半部を航空装備とし、ヘリコ
プターを複数搭載する艦が一種のブームであった時期であり、イタ
リアのアンドレア・ドリア級、フランスのジャンヌ・ダルク、ソ連
のモスクワ級等が、相次いで完成、就役していました。
しかしながら、「はるな」型の運用の実態や、諸外国でのその後の
建造状況を見ると、この種のハイブリッド艦型は必ずしも成功とは
言えなかったようで、後継艦としてはいずれもヘリコプター空母と
言える艦が導入されています。
「はるな」も同様で、大型ヘリを運用保守するには、格納庫、飛行
甲板共に過小であった事が「ひゅうが」型が現在の艦形になった理
由とされています。
「はるな」については、これ以外にも、後日装備となっていた可変
深度ソナーが最後まで装備されていなかった点や、システム化が個
々の装備レベルに留まっていた点、また対空ミサイルを装備してい
なかった点が欠点としてあげられますが、昭和62年にFRAM改装を行
い、システム面も含め、拡大改良型である「しらね」型に準じた兵
装を装備する事になりました。この改造の結果、艦齢が10年程度延
長されています。
なお、このFRAM改装時に導入され一新された電子機材は、今回「は
るな」が退役するに際しても廃棄されるのではなく、艦内火災を起
こし、CICを全焼した「しらね」に移植され、有効活用される事に
なっています。
他の多く自衛艦と同様「はるな」も、派手な活躍とは縁遠い艦でし
たが、第十雄洋丸事件での撃沈処分や、能登半島沖不審船事件での
不審船追跡にも参加している等、最後に至るまで、海上自衛隊の戦
力向上と我が国の安全に寄与した点は、高く評価できると思います。
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