2010年8月20日金曜日

中国で墜落した北朝鮮戦闘機が示すもの


※写真上 墜落機 Searchinaから転載。
 写真下 北朝鮮空軍Mig21

遼寧の墜落機、北朝鮮戦闘機が瀋陽空港に着陸試みた可能性

17日午後に、中国遼寧省の撫順県で国籍不明の飛行機が墜落した件で、墜落地
点は瀋陽桃仙国際空港から約27キロメートルの位置であることが分かった。現
場で一般人が撮影したとされる墜落機の様子が、インターネットで発表された。
機体には北朝鮮軍のマークらしい図形が見える。炎上した形跡はない。

これまで当局は、国籍不明機の小型機が遼寧省撫順県に墜落した事実だけを発
表した。詳細は「調査中」という。

地図によると、墜落地点は瀋陽桃仙国際空港から約27キロメートルの位置。瀋
陽市の市街地にも近い。墜落機が北朝鮮国境から最短距離で到達したとすると、
中国領内を160キロメートル程度飛行したことになる。中国のインターネット
では、自国軍は何をしていたとの非難の声が出はじめた。

インターネットでは、ユーザーの投稿による墜落機の写真2点も発表された。
銃撃を受けた痕跡は確認できない。機体が炎上した形跡はない。機体の多くの
部分は、墜落の際にかぶったと見られる土や瓦礫(がれき)に覆われている。
操縦席は見えない。搭乗者も写っていない。機体後部は原形が残っていること
から、機体は地面に比較的浅い角度で突っ込んだ可能性が高い。

写真に炎上した形跡がないことから、墜落機は燃料切れで墜落したとの見方が
成り立つ。写真では、地元住民らが、墜落機にかぶさった瓦礫(がれき)を取
り除く作業をしている。爆発などの危険はないとの判断があったと考えられる。

墜落地点は、瀋陽桃仙国際空港の滑走路の方向から、約23度の角度。墜落機は、
同空港への着陸を試みた可能性がある。

中国のインターネットでは、同機は北朝鮮軍のミグ21戦闘機との見方が発表さ
れた。

(Searchina 2010/8/18)


北朝鮮の軍用機は「故障で侵入・墜落」、中国が公式発表

中国の遼寧省撫順県拉古郷で17日午後、北朝鮮の軍用機が墜落した事故に対し、
新華社通信は19日、「北朝鮮機が中国領空に侵入し、墜落したのは機械系統の
故障によるものだ」と発表した。鳳凰網が報じた。

報道によれば、現在、中国と北朝鮮は事故の処理をめぐって協議を行い、何ら
かの一致を見たという。新華社は詳しい情報については触れず、「北朝鮮側は
中国に『意図しない事故』について謝意を表明した」と報じた。

(Searchina 2010/8/19)


ロシアへの亡命という説も出た北朝鮮戦闘機の中国瀋陽郊外での墜
落事件ですが、中国当局から事故という公式発表が出ました。
公式発表で友好国からの「亡命」とも言えないだろうという意見も
あろうかと思いますが、私は、この件については、本当に事故であ
ったろうと考えています。

しかし、これが事故であったとしても、その意味する処は、北朝鮮
にとって芳しいものとは言えない様に思います。

事故の内容ですが、
鴨緑江付近をパトロール中であった北朝鮮のミグ21で故障が発生
し、約160km離れた中国の瀋陽付近(空港から27km)の位置に墜落し
ました。瀋陽空港の滑走路からの角度は、23度で同空港へ着陸しよ
うとした可能性があります。また、別の報道では瀋陽空港の周りを
二~三回旋回したという話もあります。

墜落した機体は、写真から見る限り、胴体着陸をした様にきれいで
後部の損傷は土に覆われていない所を見る限り、酷いものではあり
ません。爆発や燃料が燃えた様子も見えませんが、パイロットは死
亡したとの事です。

まず、飛行機が空中で何らかの異常を生じた時には、最寄の飛行場
に着陸するのが普通です。今回は、鴨緑江をパトロールしていた訳
で、すぐ近くに北朝鮮の飛行場があった筈です。それにも関わらず
なぜ、160kmも飛行して瀋陽に向かったのかという疑問があります。

また、機体の故障という発表ですが、具体的にどの様な故障が発生
したのかという疑問があります。写真を見る限り、機体は、真っ直
ぐに降りていますので、操縦は可能であったと思われます。また、
機体から発火していませんので燃料がゼロ状態になるまで、エンジ
ンは正常に作動していたと思われます。エンジンが正常で、操縦可
能であって、しかも墜落している訳ですから、離着陸装置関係の異
常が一番考えられます。また、墜落した機体の状況、特に翼を見る
と最初から翼から主脚が出ていなかった様にも見えます。
胴体着陸を行う場合、燃料を全部消費させるのはセオリー通りです
から事故原因は、着陸装置の異常と見て差し支えなさそうです。

では、着陸装置が故障した機体を何故中国に持っていき胴体着陸を
試みたのでしょうか?それは、一番胴体着陸に適した飛行場が、瀋
陽空港の滑走路だったと考えればパイロットは合理的な行動をとっ
た事になります。

パイロット訓練では緊急着陸の手順は、ソロ飛行を行う前に訓練し
ますが、その際に、ベストフィールドを探せと教わります。
機体に応じたベストフィールドを探さないといけませんが、ここで
問題なのは、北朝鮮のパイロットが北朝鮮国内にベストフィールド
を求める事ができなかったという点です。北朝鮮には戦闘機が緊急
着陸できる設備を持った飛行場がないという事になります。余程荒
れた滑走路状態になっているとしか考えにくいのです。

更に、胴体着陸したパイロットが生還できなかった点にも、疑問が
あります。滑走路でない処へ胴体着陸をすれば、大破するのは目に
見えています。それなのに緊急脱出用の射出機でパイロットが脱出
しなかった理由が分かりません。ひょっとすると、北朝鮮の戦闘機
の緊急脱出装置は動作しないようになっているのではないか思われ
るのです。

つまり、北朝鮮の戦闘機は、空中で、離着陸装置の異常を発生し、
緊急着陸しようとしたが、鴨緑江の近くには、緊急着陸に適した自
国の飛行場がなく、中国の瀋陽空港まで飛行したが、胴体着陸に備
え、機内燃料を消費させていた処、空港から27kmはなれた場所で燃
料切れとなり胴体着陸をしようとしたが失敗、緊急脱出用の射出機
は使用できずパイロットは死亡したという事になります。

これが事実であれば、北朝鮮の空軍の実情はお寒い限りであると言
わざるを得ないのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/










2010年8月19日木曜日

中国、初の宇宙ステーションを2011年に打ち上げ

※CGは新華網Webサイトから転載

天宮1号と神舟8号、2011年打ち上げ

中国有人宇宙飛行プロジェクトは8月17日、中国宇宙ステーションの実験第1号
機「天宮1号」と「神舟8号」を2011年内に打ち上げると発表した。

発表によると、「天宮1号」の組立て作業は既に完了し、現在、性能を確かめ
る総合試験などを実施しているという。「天宮1号」は中国初のドッキング目
標機で、重さ約8.5トン。実験装置室と物資保管室から構成され、ドッキング
ポートを1つ装備している。

一方、「神舟8号」の組立て作業も順調に進められており、組立ての後に試験
も行われる。「神舟8号」は無人で打ち上げられる予定で、「天宮1号」と共に、
中国初のドッキング試験を行う。

中国は現在、独自の宇宙ステーション計画を進めており、2011年に「天宮1号」
を打ち上げた後、2015年までに「天宮2号」と「天宮3号」を打ち上げ、最終的
に2020年までに中国初の宇宙ステーション「天宮」を完成させる計画となって
いる。

(sorae.jp 2010/08/18)


中国の有人宇宙計画は着々と進行している様子です。中国が来年宇
宙ステーションの原型となる天宮一号を打ち上げる予定である事は
今年5月に、報じられていますが、今回、より詳しい内容が、中国
国営新華社通信から報じられました。内容は上記の記事の通りです。

Spaceflight.comの記事からの情報や新華網からの情報を補足する
と、天宮1号は、来年、長征2号Fロケットで打ち上げられる事に
なっているようです。ロケットの方も製造が終わりテスト中である
とされています。天宮1号は、来年打ち上げられ、後から打ち上げ
られる神舟8号と無人ドッキング実験が行った上で、2012年には、
今度は有人の神舟宇宙機とのドッキング試験が二回予定されていま
す。その間、天宮1号での宇宙飛行士の短期滞在も予定されている
ようです。

天宮1号は、重量約8.5トンですから、340トンの国際宇宙ステーシ
ョンと比べれば、比べ物になりませんが、ソ連が打ち上げた世界初
の宇宙ステーションであるサリュートが10トン強であった事を見る
と第一世代の宇宙ステーション(宇宙実験室と言った方が良いのか
もしれません)は、この程度の大きさが適当と言えるのかも知れま
せん。ちなみにソ連のサリュートには、平和目的のものと軍事目的
のものがあったそうですが、中国の有人宇宙計画は、人民解放軍に
よって推進されており、宇宙ステーションの軍事利用は当然、考え
られていると思われます。

なお、中国は、2003年以降三回の有人宇宙機「神舟」を打ち上げお
り、これによって、独自の宇宙機で宇宙飛行士を打ち上げた三番目
の国になりました。一番最近の打ち上げは2008年の神舟7号で、こ
の時には、中国初の宇宙遊泳に成功しています。

中国は、有人宇宙機の打ち上げ以外にも、今年は10月に二回目の月
探査機打ち上げが予定されている他、北斗衛星測位システムの建設
や、偵察衛星の打ち上げが継続されています。

日本が高度な探査機と実用衛星の打ち上げに傾斜しているとすれば、
中国は、衛星の機能は比較的単純ながら、確実な打ち上げと、各種
長期計画の着実な推進を図っていると言える様に思います。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/











2010年8月18日水曜日

中国の軍事力 2010 全体要約



底なしの中国軍拡に米不安 対中配慮も忘れず 対中年次報告発表

米国防総省は今回の中国軍事報告書で、空母建造など増強を続ける中国の軍拡
への懸念を強く示す一方、オバマ米政権の対中配慮も同時ににじませた。
米国の懸念を裏付けるように、米海軍は原子力空母ジョージ・ワシントンを南
シナ海に派遣するなど、ベトナムとの関係を強化。パラセル(中国名・西沙)
諸島などの領有権をめぐり同国と対立する中国を牽制(けんせい)している。
領有権に関連して今回の報告書で特徴的なのは、軍事力というハードパワーを
背景に、「外交上の利益を得るための軍事力活用の選択肢が増えつつある」点
を挙げたことだ。これは東シナ海の大陸棚開発のほか、中国による尖閣諸島へ
の領有権主張や南シナ海での領有権争いで、優位な外交を展開する能力を向上
させていることを示唆している。
また、中国軍の活動範囲については、昨年言及した「西太平洋地域」をさらに
掘り下げ、「第2列島線を越えた海上作戦」や「台湾をはるかに越えたアジア
地域における軍事作戦の展開能力」を明記し、警鐘を鳴らした。

米国のシンクタンク「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー主
任研究員は16日、産経新聞に対し、「多弾頭の新たな陸上移動式ICBM
(大陸間弾道ミサイル)の開発に言及していることは注目に値する。5隻の攻
撃型原子力潜水艦(SSN)の建造にも触れているが、これは日本のシーレー
ン防衛にとって大きな脅威だ」と指摘した。

その一方で、昨年の報告書にはあった表現が削除されて表現が和らげられるな
ど、中国への配慮をにじませてもいる。
たとえば、台湾海峡について昨年の報告書は、「中国が開発中の短距離ミサイ
ルが台湾に軍事的圧力を加え、脅威となっている」と表現していた。
これに対し、今年の報告書からは「圧力、脅威」といった語句が消えた。穏や
かな言い回しを通じて中国への配慮を示すことを狙った“オバマ色”に腐心し
た結果とみられる。
報告書は今年3月に発表する予定だったが、延期され続けたため、議会共和党
が中国への配慮があるのではないかと批判していた。

(産経新聞 2010/08/18)


米国国防総省が例年発表している「中国の軍事力」が、8月16日に
発表になりました。全体の概要は、上の記事で書かれている通り
ですが、原文を見る事も必要なので、全体要約と各章毎の要約、
コラムの一部を抄訳してみる事にします。


中国の軍事力 2010

全体要約

過去30年に亘り、中国は経済的な成長と発展の面で大きく前進した。それに
より、より多くの中国人がより高い生活水準を達成できる様になり、また、中
国の国際的な存在感を増大させた。これらの経済面での業績は、科学技術面で
の発展と相まって、中国が軍事面での広範囲な変革に着手する事も可能とした。
中国の軍事力近代化のペースと範囲は過去10年間で増加しており、中国の軍
隊が、国際的な公共財として提供される事を可能とすると同時に、外交的な優
位や、紛争を自国に優位に解決する事に使用するという選択の可能性も拡大し
ている。

2010年以降、中国は、人民解放軍の役割と任務を自国に直接的に接続する
領域の外に展開するという新しい段階に入っている。これらの任務及び関連す
る能力によって、人民解放軍が国際的な平和維持活動や人道援助、災害救助や
海賊対策に貢献する事を可能としている。合衆国は、これらの貢献を認め、歓
迎している。しかし、それ以外の投資により、人民解放軍は、アクセス拒否戦
略や海域使用拒否戦略を追求する事も可能としている。また、現時点では、遠
隔地に兵力を展開し維持する能力は限られたものでしかないものの、人民解放
軍の遠距離兵力展開能力を改善する事を目的とした投資が行われている様に見
える。2010年の「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)では、「中国は、
改良された中距離弾道弾と巡航ミサイルや、改良された兵器を搭載した新型攻
撃型潜水艦、新型の長射程対空ミサイルシステム、電子戦システム及びコンピ
ュータネットワーク攻撃能力、改良された戦闘機、衛星攻撃システムの開発と
展開を図っている」と記載されている。台湾海峡を跨ぐ経済発展と文化的紐帯
の強化は2009年も大きく前進した。これらの肯定的な傾向にも関わらず、
台湾に対抗する中国の軍事力建設は継続された。紛争となった場合に発生する
と考えられる合衆国の台湾に対する支援を阻止、遅延、拒否する事で、台湾独
立を阻止したり北京側の条件で紛争を解決させるよう台湾に影響を与える能力
を人民解放軍は開発している。台湾海峡を跨ぐ軍事力のバランスは、引き続き
大陸に有利に傾いてきている。

人民解放軍は、中国の軍事面や安全保障面での透明性に関して限定的な改善を
みせた。しかし、どの様に拡張された軍事力を使用していくのかを含め、多く
の不確実性が残っている。中国の軍事力と安全保障問題での限られた透明性は、
不確実性を強化し、誤解と誤算への可能性を増大させる。

オバマ大統領が述べた様に、「合衆国と中国の関係は意見の相違と困難が無い
訳ではない。しかし、我々が敵でなければならないという運命が定められてい
る訳でもない」。維持可能で、信頼できる合衆国と中国の軍事部門同士の関係
は、不信を減らし、相互理解と広範な協力を深める事をサポートする。中国が
再三に亘り、軍事部門同士の意見交換を中断した事は、この努力を妨げるもの
である。国防総省は、アジアや世界の共通の安全保障面での挑戦について、中
国が建設的役割を演ずるのを奨励する為に、この相互交流の機会を利用し続け
る。それと同時に、国防総省には、中国の軍事力を監視し、対決を阻止する特
別な責務がある。軍事的姿勢、兵力配置、可能性開発、同盟やパートナーシッ
プを強化する行動を通じて、国防総省は、アジア太平洋地域で、平和と安定を
維持するという合衆国の意思と能力を示していく。

(Department of Defence 2010/08/16)


Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2010
http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2010_CMPR_Final.pdf


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/









2010年8月16日月曜日

羅老号三回目の打ち上げ決定。韓国の費用負担で?

※NEWSIS Webサイトから転載

韓・ロ、3回目の羅老号打ち上げに合意

韓国とロシアが、羅老号の3回目の打ち上げを実施することで合意した。教育
科学技術部は15日、羅老号打ち上げ失敗の原因を究明する第3次韓・ロ失敗調
査委員会(9-12日、大田)で、両国が羅老号の3回目の打ち上げに合意した
と発表した。

教科部によると、今回の会議で両国は、今年6月に行われた2回目の打ち上げ
失敗に関する原因究明と改善措置を行った後、3回目の打ち上げを推進するこ
とを決めた。

3回目の打ち上げに関する費用の問題について、教科部のユ・グクヒ宇宙開発
課長は、「2回目の打ち上げ失敗により再度打ち上げを実施する場合、1段目
の発射体の費用はロシアが負担することになっている」と明らかにした。しか
し、ロシアに費用負担を強制する手段がないため、同国が費用を負担するかど
うかは不透明だ。

(朝鮮日報 2010/08/16)


今回の発表内容は、事実上、韓国が、羅老号の三回目打ち上げにつ
いて資金負担をする事を前提に打ち上げ合意がなされた事を示して
いる様に思われます。

一回目の打ち上げは、韓国で製造された衛星フェアリングの分離失
敗によるものなので、失敗原因は韓国の責任によるものと思われま
すが、二回目の打ち上げ失敗は、一段目の爆発説と、二段目の過早
発火説の二つの見方がありました。韓国とロシアは契約上、ロシア
の責任で打ち上げが失敗した場合は、ロシアの負担で、三回目の打
ち上げを実施するとしていました。それが、今回の発表では、一段
目は、ロシアの負担だが、費用負担を強制する手段がないと述べて
おり、間接的に、韓国の負担になることも止むをえないと匂わせて
います。

ロシアにすれば、開発中のアンガラロケットの中核部分の打ち上げ
実験をして貰えるのですから、一段目に問題があったのであれば、
ロシア側が一部費用負担をしてもおかしくはない筈です。

また、韓国は、この打ち上げの後は、羅老2号を国産開発すると発
表していますので、韓国側の負担になるのであれば、三回目の打ち
上げを強いて行うべき理由に乏しいように思われます。

それが、結果的に、韓国側の負担で、三回目の打ち上げが行われる
のは、韓国側に弱み(打ち上げで積極的に検証すべき事項)があると
考えるべきであり、二回目の打ち上げ失敗の責任も韓国側にある事
を示していると思われるのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/











2010年8月6日金曜日

"威力偵察?" 空母ジョージ・ワシントン黄海で演習へ

※空母ジョージ・ワシントン。産経新聞Webサイトから転載

米、黄海に空母派遣へ 韓国との合同演習 中国の反発必至

米国防総省のモレル報道官は5日の記者会見で、韓国哨戒艦撃沈事件を受けた
米韓合同軍事演習の一環として、原子力空母「ジョージ・ワシントン」を黄海
に派遣する計画を明らかにした。具体的な時期については明言を避けたが、米
空母による近海での演習に中国が反発を強めるのは必至だ。

モレル報道官は会見で、米韓両軍が黄海や日本海での新たな演習を計画してお
り、「空母ジョージ・ワシントンが黄海で演習する」と語った。

米韓両軍は7月25日から合同演習の第1弾となる「不屈の意志」を実施。当
初はジョージ・ワシントンを黄海に配置する予定だったが、「近海への外国艦
船の進入は中国の安全を脅かす」と反発する中国に配慮し、最終的には日本海
側に展開していた。

ただ、米国側は当初から「演習は韓国沖で実施されるのであり、中国沖ではな
い」(ゲーツ国防長官)との姿勢で一貫しており、公海上に空母を展開するこ
とに法的問題はないとの見解を示していた。

演習は潜水艦を想定した訓練などが中心で、断続的に数カ月にわたって続く。
両軍の軍事プレゼンスをみせつけることで北朝鮮を牽制(けんせい)する狙い
がある。

また、モレル報道官は合同演習が防衛目的であることを強調し、報復行為に言
及する北朝鮮の猛反発には「理由がない」と述べた。

(産経新聞 2010/06/06)


政治的にも、軍事的にも、米国の中国に対抗する意思を示す様な動
きです。記事にもある通り、米韓合同演習の第一弾は中国に配慮し
て、黄海ではなく、日本海で実施されましたが、それが、国際社会
からは、米国が黄海での優位を放棄したもの。あるいは、米国の弱
さの表れである。という見方が一気に広まりました。中国が、米韓
演習に合わせて、大規模な実弾演習を山東半島沖で実施した事も、
それによって、米韓軍を追い出した様な印象を与えました。黄海は、
「胡錦濤のバスタブ」という訳です。

また、最近の中国海軍の動きを総合すると、中国海軍が行動で示し
ているのは、中国の主張する排他的経済水域(EEZ)内では、いくら
公海であっても他国海軍の自由な行動は認めず、その為には、軍
事力の使用も躊躇しないという主張であり、中国近海では、これ
が既成事実化しつつありました。(日本周辺海域でも同様で、こう
した中国海軍の傲慢とも言える動きに対し、日本も外交ルートを通
じた抗議以上の有効な対抗措置は行えないでいます。というか政治
家の腰が完全に引けています。)

それに対する米国の回答が、黄海側での米韓演習であり、空母の演
習参加です。昨日段階では、それでも、中国への配慮もあってか、
韓国軍のみで対潜演習を行うという報道でしたが、これに米空母も
参加する事で、中国周辺海域であっても、公海での行動には、口を
挟ませないという米海軍の意思と実力が感じられる様に思います。

実際、いくら中国の周辺海域であるとは言っても、中国海軍(人民
解放軍海軍)は、少なく共、水上部隊は、米軍のレベルに全く追い
ついていません。米国の空母戦闘団は依然として、強力な兵力投射
能力を誇っているのであり、その護衛艦艇は、直営護衛艦の全てを
イージス艦で揃えるという他国では実現できない体制を整えています。
(米国防省の「中国の軍事力」では、中国が開発している空母用の対
艦弾道弾を大きく取り上げていますが、イージス艦の持つMD能力
から考えれば大きな脅威とは考え難い様に思われます。)

以前には、黄海の様な、大陸周辺の浅海での対潜能力や行動能力が
米海軍の弱点と言われていましたが、それも、ここ10年、From the
Sea戦略を進める中で、浅海での対潜能力の向上や兵力投射能力改
善が図られています。

それに対し、確かに中国海軍も潜水艦の増勢により対抗しています
が、中国の潜水艦技術は、最新のものでも旧ソ連のそれと同等であ
り、米軍のレベルに達しているとは言えないのです。もし、今回の
演習に中国の潜水艦が参加し、米空母を仮想的にでも攻撃すれば、
米海軍にとって威力偵察を行った様な得難い情報収集の機会を
提供するものになると考えられるのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト

http://space.geocities.jp/ash1saki/










2010年8月5日木曜日

所在不明高齢者問題 申請主義の欠陥をせいせいと正せ

【主張】高齢者所在不明 だれにでも起こる問題だ

100歳以上の高齢者の「所在不明」が全国で続いている。

問題発覚のきっかけとなった東京都足立区の男性は、実際には30年以上も前
に死亡していた。白骨化が進んでいたが、これほど長い期間、生存確認が放置
されてきたのは異様である。

日本は本格的な高齢化時代を迎え、1人暮らしの高齢者も急増している。100
歳以上は全国に約4万人以上とされるが、今回のような事例は100歳以下で
も起きている可能性がある。

長寿社会における“ひずみ”が端的に現出したケースであり、だれにでも起こ
りうることを認識することが重要だ。まずは、各自治体が早急に本人確認を行
い、実態把握することを求めたい。

自治体調査には難しさもあるという。入退院を繰り返したり、施設や親類宅に
身を寄せたりしているケースもある。民生委員が訪問しても面会を拒否される
ことも多い。だが、個人の人権やプライバシーを尊重するあまり、自治体側が
深入りを避けた側面もあったのではないか。

調査の甘さが悪事に利用されては元も子もない。親の年金をあてにする家族が、
死亡を隠して不正受給を続けている事例はかねて少なからずあった。

本人に会わず、長寿祝いの品を事務的に処理して贈っていたケースなどは、行
政の怠慢と非難されても仕方あるまい。

医療や介護保険を長期間利用していないといった情報のチェックができれば、
行政はもっと機敏に対応できたであろう。必要に応じて行政機関が調査できる
仕組みの構築や権限を総合的に見直すことも必要ではないか。

だが、所在確認ができれば問題が解決するわけではない。

問題の本質は、高齢者と向き合おうとしない社会にこそある。今回の問題では、
何十年も子供や親類が連絡を取らなかったなど家族の絆(きずな)が希薄なこ
とも浮き彫りになった。近隣住民が、顔を見せなくなったお年寄りに気を配っ
ていれば、状況は大きく異なってくるであろう。

日本は少子化も急速に進み、社会の支え手は減っていく。すべてを行政に、と
はいかない。急増する高齢者を社会、もっといえば共同体でどう支えていくの
か。今回の問題を、長寿社会の安心、安全を考える契機としたい。

(産経新聞 2010/08/05)


この問題については、二つの問題を切り分ける必要があります。
一つは老人の孤独死の問題であり、もう一つはいわゆる「故人年金」
の問題です。

老人の孤独死の問題については、社会全体で老人をどう支えるのか
という大きな問題と、故人年金問題に関わる老人の生存把握をどの
様にするかという問題があります。

今回のケースは、孤独死ではありませんが、老人の死亡を家族が届
ける事がなかった事から、三十年に亘り、死者に年金が提供され、
それを家族が詐取した事が疑われています。

老人の死亡が長期に亘って確認できなかったのは、役所にとって、
特定の老人の生死を確認する必要が必ずしも無かった事によります。

行政サービスは基本的にサービスを必要とする住民からの申請によ
って行われます。今回のケースでは、家族にとっては年金がストッ
プされる事がなければ、介護や健保等の行政サービスは必要があり
ません。通常は、死者を埋葬するには、届けが必要になりますが、
年金を詐取する場合はそれすら必要がありません。

つまり、家族が年金を詐取しようと考えた場合、死亡した事実を公
表しない事(つまりアクションを起こさない事)が、年金支払いが停
止されない為の必要要件であり、そこに問題であると言えます。

本来、特定の老人が、介護保険や健康保険を使用する事なく、年金
だけ受給しているのは、異常な事態ですが、年金の所管は、区役所
ではなく、区役所には、その異常を知るトリガーもインセンティブ
もありません。その上、個人情報保護法の施行で、取得情報の目的
外利用には制限があり、役所の保有する情報のクロスチェックも難
しくなっているという話もあります。

その点を考えれば、故人年金問題で、いたずらに役所の不作為を責
めるのではなく、免許の書き換えの様な、年金受給証の発行とその
二年毎の書き換えを年金受給の要件にし、書き換えの際に本人確認
を行うと言ったプラグマティックな対策が必要である様に思われる
のです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/










2010年8月4日水曜日

北朝鮮の核は、どちらに向いているか


昨日は、「中国のご機嫌を取る北朝鮮」というテーマで、中国に媚を
売る北朝鮮について触れましたが、今日はその続編です。
現在、開発が進められている北朝鮮の核がどこを向いているかとい
うテーマです。

韓米日を向いているに決まっているという方が多いと思いますが、
私はそれだけではないと思います。つまり中国に対しても向いてい
るのではないかと思うのです。

北朝鮮にとって核兵器は、金日成・金正日体制(あるいは金王朝)を
維持する為の最終兵器です。

開発の契機になったのは、1989年のルーマニアのチャウシェスク政
権の崩壊とチャウシェスク夫妻の処刑を目の当たりにした事が大き
いと言われています。

そして、北朝鮮が体制の最終的保証として見出したのが核兵器と先
軍政治という訳です。核兵器により、外部からの政権転覆を抑止す
ると共に、先軍政治によって体制の全てを軍優先(勿論、最高指導
者を除き)にする事で、軍の支持を確保しようとしたものと見られ
ます。

2002年に、ブッシュ政権は、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」
と名指しした事も、金正日に核開発の正当性を確信させた筈です。
いずれが鶏で卵なのかという議論はありますが、結果的に核を開発
できなかったイラクは、崩壊しましたが、核開発に邁進したイラン
と北朝鮮が生き残っている事は、核兵器が体制を保証している明確
な証拠である北朝鮮が考えても不思議ではないと言えます。

勿論、北朝鮮が実際に核を使用する時は、金正日政権が崩壊する時
となります。現時点で、北朝鮮の核は米国に届きませんし、到達す
る様になっても、ミサイル防衛によって無力化される筈です。日本
や韓国に対して使用すれば、米国による核報復が待っています。
いずれの場合も、金正日政権は崩壊しますから、体制を存続する為
には、核兵器は実際には使えない事になります。

その一方、現在、韓米日に、金正日政権を崩壊させる意思はありま
せん。本来であれば、朝鮮半島統一は韓国の念願する処の筈ですが、
ドイツ統一にかかった負担の大きさから、韓国は、実際には統一に
及び腰であり、統一の負担を負うつもりはないと断定できます。

つまり、北朝鮮は、そろそろ核開発の目的を体制存続から、経済的
補償に移して良い筈なのです。

北朝鮮がそうせず、引き続き核兵器を保有し続けようとしている理
由は、一つには、米国の政権が変わった時に、また、金体制の転覆
を企む可能性がある事と、もう一つ、中国の介入による金政権の転
覆を試みる可能性があるからと考えざるを得ません。

中国が、金正日政権を転覆する事は、韓米日にとっても受け入れ可
能なオプションである事は事実です。

韓国からすれば、北朝鮮が崩壊し、統一の負担、即ち、北朝鮮側の
社会資本の整備や社会保障のコストが、全て韓国に掛かってくる事
は悪夢以外の何者でもありません。米日にしても、より透明性の高
い北朝鮮であれは金正日体制と比べ、十分受け入れ可能という事に
なります。

中国にしても、北朝鮮という緩衝国がなくなり、韓国と直接国境を
接する事になるより、中国の息のかかった、社会主義市場経済化で
も同一歩調の取れる社会主義政権の隣国の方が存在価値が高いであ
ろうと思われるのです。

金正日にすれば、中国にとって、忠誠心のより高い傀儡国家の方が、
関係国全てから歓迎されるであろうことは、容易に想像がつきます。
その様な視点からすれば、今回の哨戒艦撃沈事件を利用しても、中
国との関係を改善し、核兵器の実戦配備を可能とする時間を稼ぐの
は理にかなった行動であると思われるのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/










2010年8月3日火曜日

中国のご機嫌を取る北朝鮮

北朝鮮で「アリラン」開演 今年は中朝親善を追加

北朝鮮のマスゲームと芸術公演「アリラン」が2日夜、平壌のメーデースタジ
アムに約2万3千人の観客を集めて開演した。今年は中国との友好関係を強調
する「親善アリラン」と題した場面が新たに追加された。

金正日総書記が5月に訪中したことや中国人観光客の誘致拡大策が背景にある
とみられるが、韓国哨戒艦沈没で北朝鮮の関与を認めず米韓合同軍事演習に強
く反対している中国への配慮もうかがえる。

人文字では「鴨緑江の青き水とともに朝中親善は永遠に」「根深い朝中親善」
などのスローガンが描かれ、公演にはパンダなどの縫いぐるみや中国の民族衣
装に身を包んだ出演者が中国風の太鼓を抱え踊りを披露した。

10月半ばまで週4回上演され、期間中は中国上海と平壌間でチャーター便も
運航される。

(産経新聞 2010/08/03)


韓国哨戒艦撃沈事件で、最後まで北朝鮮擁護の姿勢を変更しなかっ
た中国に対し、北朝鮮が、外交的に擦り寄っています。単に戦術的
に阿諛っているというより媚びていると言った方が良いのかも知れ
ません。経済制裁が緩和される見込みがなく、軍事演習による米韓
の圧力がそういう動きを加速しています。

その一つの現れが、「アリラン」祭での朝中親善の強調です。北朝
鮮と中国の関係は一定のものではありません。その時々の北朝鮮の
必要に応じて接近・離反を繰り返しています。ある時には、「血で
結ばれた友情」が強調され、ある時には、「朝鮮の独立」が強調さ
れます。一般法則というほどのものではありませんが、概ね、韓国
や米国との関係が緊張緩和した時は、中国に対して強気に出る事が
多く、逆の場合は中国に擦り寄る態度を取ります。

今回の場合は、米韓が、哨戒艦沈没事件に対する報復とも言うべき
大規模軍事演習を北朝鮮近海の日本海で実施しています。北朝鮮は
いつもの通り、「侵略者米帝と一度は決着をつけねばならないと覚
悟していた決戦の時が、軍事優先のわれわれの気概を行動で示す時
が到来した」と大口を叩いていますが、実際には、何も出来ていま
せん。

大規模な軍事演習は、実戦と殆ど同じ準備が行われており、緊張の
レベルが上がっています。韓国の哨戒艦を騙まし討ちした時の様な、
平時のレベルとはかけ離れた緊張感の中にある米韓軍に対して、少
しでも、ちょっかいを出せば、敵対行為として軍事的に報復され敗
北するのは、北朝鮮の側なのです。

そういった場合に、大げさな言葉で戦争に対する自信を表明するの
が、これも北朝鮮の標準的なリアクションであり、逆説的に言えば、
北朝鮮の弱さの証明とも言えます。もし、自国の軍事力に自信があ
るのであれば、黙って、対抗演習を発動するなり、米韓の演習を監
視する事で、電子情報等の収集を図れば良いのです。

そうできずに、大言壮語した上、中国に庇護を求める姿は、とても
核保有国として独り立ちした国の姿と見る事はできません。その点
からすれば、北朝鮮の核開発やICBMの開発、更には実戦配備が必ず
しも順調に進んでいないという事なのかも知れません。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/









2010年8月2日月曜日

前原国交相は、総理の器にあらず

「批判は受ける」両院議員総会欠席し、海老蔵披露宴出席の前原国交相

前原誠司国土交通相は30日午前の記者会見で、29日に行われた歌舞伎俳優
の市川海老蔵さんとフリーキャスターの小林麻央さんの結婚披露宴に出席する
ため、参院選を総括する民主党の両院議員総会を欠席したことについて、「両
院議員総会が決まる前に結婚式の招待状をいただいた。鏡開きをさせていただ
くという話もあり、当初から決まっていた予定を優先させた」と説明した。

さらに「冠婚葬祭は人生で極めて大事なセレモニーだ。社会通念として、どち
らを優先させるのかということを、政治家は判断をする」と述べた。ただ、政
務に優先させたことへの批判に対しては「批判は甘んじて受ける」とした。
披露宴には、政界から前原氏のほか、森喜朗、小泉純一郎両元首相も出席して
いた。

(産経新聞 2010/7/30)


前原氏、両院総会さぼって海老蔵披露宴 
「冠婚葬祭は極めて大事!」 「軽さ」に冷たい視線


前原誠司国土交通相が、29日の民主党両院議員総会を欠席し、歌舞伎俳優の
市川海老蔵さんとフリーアナウンサーの小林麻央さんの結婚披露宴に出席して
いたことが分かった。

前原氏は30日の記者会見で「冠婚葬祭は極めて大事なセレモニーだ。両院総
会が決まる前に招待状をもらっており、鏡開きをする話もあって優先した」と
釈明。「社会通念上どちらを優先するのかを政治家は判断する。批判は甘んじ
て受ける」と開き直った。

だが、両院議員総会は先の参院選大敗を総括する重要な場だった。前原氏は菅
直人内閣の主要メンバーである上、党代表の経験もあるだけに、参院からは
「参院選で多くの仲間が討ち死にした。その総括の場を欠席する前原氏の『軽
さ』にはがっかりだ」(若手)と冷ややかな声も…。

(産経新聞 2010/7/31)



「批判は甘んじて受ける」という事なので、遠慮なく批判させて頂
きます。

そもそも、この「批判は甘んじて受ける」という言葉使いそのもの
が問題です。

「批判は甘んじて受ける」の意味ですが、これは、今は批判がある
が、時が来れば当方の言い分も分かってもらえるだろうと不満だが
我慢して批判を受け入れるという事です。

しかしながら、前原氏の「鏡開き 云々」の言い訳では、両院議員
総会を欠席して、芸能人の結婚式に出席した理由になっていません
し、時間がたっても「社会通念上」前原氏の行動を受け入れる人は
多くないと言わざるを得ません。

論点はいくつかありますが、致命的なのは、物事の重要性の判断が
ついていないという事です。前原氏は、敗北した参議院選挙を総括
する両院議員総会よりも、芸能人の結婚式への出席を重要と判断し
ていますが、こういう考えをする人は、多くはないでしょう。

日本は政党政治を政治の基本的な原理としています。前原氏は、今
更いうまでもありませんが、与党民主党の元代表であり、約30名
の前原グループ(凌雲会)の長の地位にあり、その御陰で、民主党政
権が始まって以降、国土交通大臣の要職を占めています。

さて、今回、前原氏が欠席した両院議員総会ですが、政党によって
も異なりますが、通常は、党大会に次ぐ位置づけの会議であり、国
会活動に関する事項を決定するための最高意思決定機関として機能
しています。勿論、民主党でも、その様に機能しています。

特に、今回の両院議員総会では、先の参議院選挙で民主党が敗北し
た理由を総括し、民主党の党勢を回復させる契機とすべき重要な会
議であったと報じられています。

それに対して、結婚式への参加は、前原氏が結婚するご両人とどの
様な親密な関係があるのか不明ですが、両院議員総会の公共性に比
べれば個人的な私的イベントに過ぎません。また、今回の結婚式は
11時間も続いたと報じられており、どうしても出席しなければな
らなかったとしても、ごく短時間出席するという判断もありえたよ
うに思われます。

前原氏は、党執行部には入っていませんが、前代表であり、且つ、
大臣の重職を担っている民主党幹部の一員です。百歩譲って、執行
部入りしていなかったので、今回の選挙で反省すべき立場でなかっ
たとしても、民主党再生に力をつくすべき人物である筈で、会議を
欠席するなどもっての他と言えます。民主党では、もう一つの一大
派閥の長である小沢氏もこの両院議員総会を欠席しており、国民に
党としてのガバナビリティに疑いを抱かせる要素にもなっています。

常識的に考えれば、党再生を議論する両院議員総会は、重要な会議
であり、また、マスコミもその様に報道していますが、前原氏や小
沢氏の行動を見る限り、少なくとも今回の両院議員総会は、民主党
の複数の派閥の長が欠席しても差し支えないと考える程度の茶番劇、
あるいは、実は、あまり意味のない会議だったのかも知れません。
だから、前原氏は、そういう事情を知らない人の批判は「甘んじて
受ける」と言ったのかも知れません。ただ、そうだとしても、それ
を赤裸々に表面化させる必要がなかった訳であり、そういう点が理
解できないのであれば、それは、それで、前原氏の資質に問題があ
ることを示すものである様に思うのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/











2010年7月30日金曜日

謎のタンカー爆発事件 テロリストによる自爆攻撃か?

※図は読売新聞Webサイトからの転載

タンカー損傷は攻撃? 「銃弾など痕跡なし」首ひねる防衛関係者

タンカー「エム・スター」の損傷事故の原因をめぐり、謎が深まっている。海
賊など外部からの攻撃の可能性が指摘されたが、外観に銃弾などの痕跡が見あ
たらないからだ。防衛省関係者は「攻撃されたとは思えない」と口をそろえる。
「銃弾が船体に当たれば穴は開くし、火災も起こりうる。へこみだけでは済ま
ない。何かが衝突した跡にしか見えない」。ある防衛省幹部はそう話す。
海上保安庁幹部も「硬いものが衝突した跡ではない」との見方を示す。「考え
られるとしたら爆風や波。爆風なら、この程度の被害で済むかどうか。強い波
で船体がへこむことはあるが、もっと不規則な形になる」という。

商船三井によると、船体の鉄板は厚さ6センチ。爆発とされる爆音がした際、
乗組員の1人が左舷の甲板上で作業をしており、「水平線上に光が見えた」と
同社に報告しているという。ただ、他の乗組員の証言など、詳しい状況は分か
っていない。

へこみの位置とは離れた船橋2階の内部が壊れているため、大きな衝撃があっ
たことは間違いない。なくなった救命ボートがへこみの上部にあったことから、
ボートが何らかの原因で外れ、船体にぶつかった可能性を指摘する関係者もいる。
米国のクローリー国務次官補(広報担当)は28日の記者会見で、「現時点で
タンカーが攻撃されたことを示す情報はない」と語っている。

(産経新聞 2010/7/29)

タンカーで爆発、攻撃か ホルムズ海峡、1人軽傷

28日午前5時半ごろ、ペルシャ湾につながるホルムズ海峡を航行していた商
船三井の原油タンカー「M・STAR」(マーシャル諸島船籍、16万292
トン)の船体後部にある救命艇付近で爆発が起き、乗組員のインド人1人が軽
傷を負った。

国土交通省と商船三井によると、「爆発直前に水平線上に光を目撃した」と話
す乗組員がおり、海賊など外部から攻撃された可能性がある。ただ、この海域
では、これまで日本関係の船舶への海賊による攻撃はなく、詳しい状況を調べる。

一方で、アラブ首長国連邦(UAE)紙ガルフニューズ(電子版)などによる
と、オマーンの沿岸警備隊当局者は「攻撃の情報はない」として、地震による
異常波がタンカー破損の原因と指摘。フジャイラの港湾当局者も、同様の見方
を示した。バーレーンに司令部を置く米第5艦隊は、原因は不明としている。

乗組員はインド人15人とフィリピン人16人の計31人で、日本人は乗って
いなかった。爆発は比較的小規模で、船体後部付近では爆発の要因が見当たら
ず、原油への引火や流出はなかった。

同船は、27日までにUAEのダスアイランド港などで原油計約27万トンを
積み、千葉港に向けて航行中だった。自力航行が可能で、損傷の程度や爆発の
原因を調べるため、UAEのフジャイラ港に向けて航行している。

(産経新聞 2010/7/28)


不思議な事件が起こりました。ペルシア湾の入り口に当たるホルム
ズ海峡を通峡中の大型タンカーで原因不明の爆発が起き、負傷者が
出ると共に、船体に被害がでたというのです。

今の処、詳細な調査が行われていない事もありますが、爆発の原因
が判っていないのです。現在までの報道と公開された数枚の写真を
元にして想像を巡らせてみる事にします。

事件が発生した場所は、ホルムス海峡のオマーン側で、対岸はイラ
ンになります。船は、ペルシア湾から日本に向けて航行していたと
見られます。被害は右舷側に生じていますので、攻撃があったとす
れば、オマーン側から行われた事になります。

公開された写真を見ると、船体右舷後部の外板部が水線部を底に9
m四方にわたって凹んでいます。また、その上部のデッキ上に吊る
されていた救命ボートは吹き飛び、デッキハウスにも、外部からの
爆風によると思われる被害が生じています。

現地オマーンの当局者は、地震による高波説を出していましたが、
被害が出たデッキ部は、水を被った跡がありません。もともとオマ
ーンは事を大きくしない為に、爆発そのものを否定する自然原因説
を出したものと見られます。

爆発があった事は、船体に被害が生じている処から明らかですが、
何による爆発かが、今の処、判っていません。ミサイルやロケット
弾によるものであれば、爆発した際に、多数の弾片が発生し、その
跡が付くはずですが、それを写真では見つける事が出来ません。
また、イラン・イラク戦争の頃に、イランがタンカーに向け対艦ミ
サイルを大量に発射し被害が出ましたので、現地でそれと判断でき
るものと思われます。

魚雷や機雷の爆発という説もありますが、魚雷や機雷であれば、水
線より下で爆発が発生しますが、今回は、爆発は水線の上で発生し
ていますので、これも当たりません。

デッキ上の被害を横に置いて、船体の凹みだけを見て、船(潜水艦)
または暗礁等と衝突したという向きもありますが、その場合に発生
する筈の擦過痕がありません。

従って、残る可能性としては、鉄の様な固い外殻で覆われていない
爆薬が船体の至近距離で爆発したと考えるべきではないかと思われ
るのです。例えば、2000年10月に発生したアルカイダによる米国駆
逐艦コール襲撃事件の様なケース
です。複合型ゴムボートに爆薬を
積んでタンカーに接近し、至近距離で自爆した
と考えると、弾片に
よる被害が発生しなかった事や被害が水線上に発生した事、救命ボ
ートが下部からの爆風で吹き飛ばされた様に見える事等の理由が付
くと思われます。

駆逐艦コールでは、船体に12m四方の破孔と亀裂が生じ人的にも
大きな犠牲者がでましたが、今回のケースでは破孔も生じていませ
し、人的損害も軽微です。この理由は、簡単で、コールの外板が厚
さ1~2cmであったのに対し、大型タンカーの外板は6cmと三
倍以上の厚みがあります。乗組員の数もコールが300名以上である
のに対し、タンカーは船体が巨大である割りに約30名しか乗り組ん
でいません。また、爆薬の量が違った可能性もあります。それらが
合わさって被害の差になって現れたと言えます。

テロリストがタンカーを狙った理由ですが、これは想像に過ぎませ
んが、テロリストにとっては、世界が不安定で人々が不安に駆られ
る状態が、望ましいと考えられます。また、アフガニスタンで米国
によるテロリスト制圧作戦が進行する中で、アルカイダは、それに
対抗する何らかの作戦行動が必要とされていたと思われます。その
中で、過去に成功した(栄光の)作戦を模倣しようとしたのではない
かと考えられるのです。

また、BPが、メキシコ湾の海底油田プラットホームで大規模な原
油流出事件を起こした事で、会社の存否を左右される様な問題にな
っている点を参考に、ホルムズ海峡で大規模な原油流出事故を発生
させることで、自己の存在をアピールすると同時に世界的な不安心
理を加速しようとしたのではないかと思われるのです。

以上、現時点で得られる材料を利用して原因を追求して見ました。
今後、詳細な原因究明が進めば、異なる原因が判明するかも知れま
せん。事件発生後二日での取り敢えずの推測という事で、ご理解頂
ければと思います。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/









2010年7月29日木曜日

政治的計算が行き届いた千葉法相の死刑執行

死刑執行 やっと法相の責任を果たした(7月29日付・読売社説)

民主党政権になってから初めて、2人に死刑が執行された。昨年7月に3人の
執行があって以来1年ぶりになる。

千葉法相はかつて「死刑廃止を推進する議員連盟」のメンバーだった。昨年9
月の就任以降、死刑執行に対する法相としての姿勢を明確にしないまま執行ゼ
ロの状態が続いていた。この結果、死刑確定者は109人と、過去最高の水準
にまで増えていた。

刑事訴訟法は、死刑確定から6か月以内に刑を執行しなければならないと定め
ている。法相の考え方や信条によって、執行のペースが左右されるとすれば、
法治国家として異常な事態である。

先の参院選で落選した千葉法相が、民間人として続投することには批判も出て
いた。この時期、突然の執行に踏み切った真意をいぶかる声もあるが、法に基
づく執行は、法相として当然の責務だ。

内閣府が今年2月に公表した世論調査では、死刑容認派が過去最高の85・6
%を占めた。被害者や遺族の感情に配慮する意見や、凶悪犯罪の抑止力になる
ことを期待する意見が多かった。

世界的には欧州を中心に、死刑を廃止か停止している国の方が維持している国
よりも多い。だが日本では、国民の大多数が死刑を容認している現実を踏まえ、
その声を尊重する必要があろう。

法相は自ら希望して、拘置所で2人の刑の執行に立ち会った。記者会見では
「見届ける責任があると思った」と述べた。法務行政の最高責任者が執行に立
ち会うのは、初めてのことだという。

法相はまた、死刑制度のあり方について、省内で本格的な議論を始める方針を
明らかにした。

昨年から裁判員裁判が始まっており、いずれ裁判員が裁判で死刑の選択を迫ら
れる日も来る。

国民が責任の一端を担う以上、死刑制度の議論を深めること自体には意味があ
ろう。だが、最初から廃止や停止の結論ありきでは、国民の理解は得られまい。

死刑に関する情報の公開も欠かせない。法相が東京拘置所の刑場を報道陣に公
開する方針を示したことは前進と言える。

これまで法務省は、死刑について徹底した「秘密主義」を貫いてきた。執行し
た死刑囚の氏名まで公表するようになったのは2007年以降である。

刑場の構造、執行の方法、死刑囚の生活――。そういった情報が提供されるこ
とが、国民一人ひとりが死刑制度を考えるきっかけになるだろう。

(読売新聞 2010/07/29)


死刑廃止を信念とし就任以来、執行命令書にサインしようとしなか
った千葉法務大臣が、2名の死刑を実施し、その執行に立ち会いま
した。

ご本人は、今回死刑を執行した事について「(これまでと)考え方
を異にしたわけではない。法務大臣として職責が定められているこ
とを承知しながら、大臣職をさせていただいてきた」と述べていま
すが、就任以来今まで死刑執行を放置していた訳であり、意図的に
職務怠慢の状態を作ってきたとしか言えません。

死刑廃止に関する千葉景子法相の志向は極めて明確であり、「死刑
廃止を推進する議員連盟」を主催していた他、「死刑廃止」を主要
な主張の一つとするアムネスティの支援を目的とするアムネスティ
議員連盟の事務局長としても活動していました。

その日本における死刑廃止運動の中心人物というべき人が、今
回何故、年来の主張と信念に反して死刑を執行したのでしょうか。

上に記した、本人の弁明では、法務大臣になった時から、死刑を執
行する覚悟はあったという事ですが、それでは、参議院議員として
の任期の最終日まで、死刑執行命令書にサインするのを引き伸ばし
た理由が判りません。参議院議員であり法務大臣としては、最終日
であっても、民間人としての法務大臣としての職務は翌日以降の継
続するのですから余計に疑念を感じざるを得ません。

では、どうして、千葉法相は、死刑の執行を行ったのでしょうか?
私は、その理由は、極めて緻密に政治的利益を計算した結果である
と考えています。

菅首相は、千葉法相が先の参議院選挙で落選したにもかかわらず法
務大臣を続投させる事で、党内で発生していた内閣改造への突き上
げを回避しようとしました。しかしながら、表向きの理由は、千葉
法相が民間人であっても法相として適切な人物だからと言わざるを
得ません。しかし、その決定に対しては、民主党の内外から批判が
噴出しました。その中でも有力な意見であったのが、千葉法相が死
刑を執行していない事を職務怠慢と捉え、法相として不適格と指摘
するものでした。

記事にもある様に、世論調査では死刑を容認する意見は実に国民の
85%以上に達しています。このまま死刑を執行しない千葉法相を
容認し続ける事は、菅内閣として、国民になんら説明を行う事なく、
その意思に反して、死刑廃止を推進する意思と見られかねない状況
でした。

その渦中の千葉法相が、死刑を執行する事で、菅首相は、千葉法相
の法相としての適格性を再度主張する事ができ、党内の内閣改造の
声を抑える事が可能となり、ひいては、9月の代表選での再選に繋
げる事が出来る様になります。

現時点で、菅首相の頭の中では、9月の代表選での再選が他の何者
にも優先します。千葉法相は、信念を曲げて、死刑を執行した事で、
菅首相に政治的に大きな貸しを作る事ができ、例えば、外国人地方
参政権や、人権擁護法案と言った反日法案への菅首相のコミットを
取り付けたのかも知れません。

千葉法相に対しては、今まで死刑廃止を運動してきた、いわば内部
から、信念を曲げた事に対する批判が出てくるかも知れません。
しかし、上記の様な政治的反対給付がなかったとしても、今回の死
刑執行は、千葉法相にとってマイナスにはなりません。ここで、民
主党内閣や市民運動出身の菅内閣を潰すより、自分が一時的に信念
を曲げる事を選んだと言えば、内部に対して、十分な説得材料にな
ります。その上で、死刑廃止の国民運動を起こし、志に反して死刑
を執行せざるを得なかった心情や、執行に立ち会う事で感じた死刑
の重みを訴えれば、国民運動を主導し、もう一度、日本の死刑廃止
運動を指導する事も可能になるのです。

その意味で、今回の死刑執行は、千葉法相にとって、全く損のない
取引であったと言える様に思うのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/









2010年7月28日水曜日

日韓併合百年に配慮するのは政治的には正しいが...


「韓国に配慮」防衛白書を異例の公表先送り


政府は27日、当初30日に予定していた平成22年版防衛白書の閣議了承を
先送りすることを決めた。白書では、日本固有の領土でありながら韓国が不法
占拠を続ける竹島について、「領土問題が未解決のまま存在」と明記しており、
これに対する韓国側の反発に仙谷由人官房長官が配慮し、防衛省に先送りを指
示した。日韓併合100年を迎える8月29日以降まで了承を控える。外交問
題を理由にした了承先送りは異例で、防衛省内には「弱腰すぎる」との不満も
くすぶっている。

防衛白書では平成18年版から毎回、「わが国固有の領土である北方領土や竹
島の領土問題が依然未解決のまま存在している」と明記しており、22年版で
も同様の記述を盛り込む。

韓国側はこれまでも防衛白書に竹島を日本の領土と明記することに繰り返し反
発している。韓国の「2008年版国防白書」では表紙に竹島のカラー写真を
掲載するなど、日本への対決姿勢も強めている。

これに対し、日本側は民主党政権下で、「不必要な摩擦を招かないため、その
言葉(不法占拠)は使わない」(岡田克也外相)との発言に象徴されるように
過剰な配慮が際立つ。白書の了承先送りも、その延長線上にある。

政府内には了承先送りについて「不法占拠を続ける韓国を利するだけだ」(外
務省幹部)との批判も強い。先送りしても竹島を「わが国固有の領土」との記
述自体を削除するわけではなく、了承時には韓国側が反発を強めるのは必至だ
からだ。日韓併合100年という節目の後までずらすだけの場当たり的な対応
は、問題をクローズアップさせただけともいえ、「官邸の政治センスを疑う」
(政府高官)との指摘もある。

表向き防衛省も、年末に改定予定の「防衛計画の大綱」に関する記述など、竹
島以外の手直しも官邸側から求められていると強調する。だが、白書はすでに
約1千部が印刷されており「事業仕分けの無駄排除と矛盾する」(同)と揶揄
(やゆ)する声もある。

防衛白書は防衛問題について国民の理解を得るために毎年刊行し、22年版で
36回目。例年、7月から8月上旬に閣議で了承し、公表している。

(産経新聞 2010/07/28)


私は、竹島問題に触れた防衛白書の発表を八月末以降に延期する事
については、それ程、反対ではありません。現在の韓国や中国のナ
ショナリズムは、いわば戦前の日本のナショナリズムを彷彿させる
ものであって、国内でそれに反する言動を取るのが難しくなってい
る様に見えます。

特に韓国は、戦後の反日教育に加え、進歩派二代の大統領時代に北
朝鮮との対決から国民の目を逸らす為に、日本を仮想敵として扱っ
た事から、日本に対して殊更対決姿勢で臨む事が、国民感情に合致
する様になっています。李明博大統領の様な比較的冷静に見える政
治家ですらナショナリスティックな世論には迎合せざるを得なくな
っている様に見えるのです。

現在の韓国人にとっては、日韓併合の時代的背景や当時の韓国の状
況などは、全く考えを及ぼす事なく、現時点での倫理感から日本を
一方的に糾弾する事が普通の反応となっています。

また、竹島についても、日本が朝鮮侵略の第一歩として一方的に奪
ったものを戦後回復したものであるという一方的な主張が反日教育
の中で徹底的に教え込まれています。

その様な韓国側の国民感情の中で、特に日韓併合百年記念日という
国民感情が燃え上がりそうなタイミングで、竹島に関する係争状態
を取り上げた防衛白書が発刊されれば、韓国側の未熟なナショナリ
ズムを必要以上に刺激する事は、火を見るよりも明らかです。

日本にとって、韓国は、現時点で角を突き合わせる相手ではありま
せん。優先順位からすれば、韓国よりも、寧ろ、北朝鮮や中国を主
要敵国と考えるべきなのです。

その様な観点からすれば、日韓併合百年の記念日というタイミング
を避けて防衛白書の発行を1~2ヶ月延期するのは、ごく当たり前
の外交的配慮であり何の問題もないと考えます。

むしろ問題は、岡田外相の様に、韓国を刺激するからという理由で
不法占拠状態という言葉を使わない様な、卑屈な態度を継続して示
す事です。岡田外相は韓国に対する一定の譲歩のつもりでそういう
態度を示しているのかも知れませんが、韓国側からすれば、当たり
前としか受け取って貰えず、日本側の領有主張が軟化したと受け取
られる懸念が生じるからです。また、防衛白書から竹島問題の記述
を無くす事は絶対にやってはならない事は言うまでもありません。

外交は、国民感情でやるものではありません。自国の国民感情はも
とより相手国の国民感情すら利用して交渉するのが当たり前なので
す。不要な摩擦は避けつつ自己主張は最大限に行うのは、外交の常
識です。そうであるだけに無用な配慮もまた避けるべきである事を
指摘したいと思うのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/










2010年7月27日火曜日

新防衛構想 東シナ海重視の日本防衛戦略

※自衛隊組織図

自衛隊、沖縄・南西に重点配備…安保懇が提言

政府の「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(菅首相の諮問機関、
座長=佐藤茂雄・京阪電気鉄道最高経営責任者)が来月上旬に首相に提出する
報告書原案の全容が25日、判明した。

朝鮮半島や台湾海峡有事を念頭に、機動的で実効性のある防衛力整備を目指す
ことを打ち出し、冷戦時代からの国防の基本方針だった「基盤的防衛力構想」
の見直しを提言している。集団的自衛権をめぐる憲法解釈見直しの議論を踏ま
えた制度整備を提言し、武器輸出3原則の緩和も求めている。

報告書は、民主党政権下で初めて策定される新たな「防衛計画の大綱」(防衛
大綱)のたたき台となるもので、年末の大綱策定にどう反映されるかが今後の
焦点となる。

原案では、冷戦時代以降、自衛隊を全国に均衡配備する根拠となってきた基盤
的防衛力構想について、現在の安全保障環境にそぐわないとして撤廃を提起。
朝鮮半島や台湾海峡有事とともに、「限定的で小規模な侵略」などの有事に能
動的に対処できる態勢整備を求めている。

具体的には、単一のミサイル攻撃といった事態への対処より、「複合的な事態
の発生に対処できる機動的、弾力的、実効的な防衛力整備」を提言している。
部隊配備は、全国均衡から沖縄・南西諸島重視への転換が視野にある。

また、世界の平和と安定に貢献する「平和創造国家」を目指すべきだとし、国
連平和維持活動や海賊対処、災害救援活動に積極参加できる整備を促している。

集団的自衛権については、米国に向かうミサイルの迎撃を可能とするために憲
法解釈を見直すべきだとした過去の議論を踏まえ、自衛隊がそうした事態を想
定した演習を行えるよう、態勢の整備を求めている。

諸外国への武器や関連技術の輸出を禁じた武器輸出3原則については、米国や
その同盟国など、価値観を共有する国との装備品の共同開発・生産や、日本企
業による国際開発・生産計画への参加を認めることを提言している。

日米同盟については、日本の安全保障戦略や地域の安定に極めて重要だとした
上で、沖縄の戦略的重要性は今後一層高まるとし、在日米軍基地の安定運用に
向け、基地の日米共同使用の推進などを提言している。

今後約10年間の防衛力整備の指針となる防衛大綱の策定は当初、昨年末に予
定されていたが、政権交代に伴い、1年先送りされた。新たな懇談会が今年2
月に発足し、議論を重ねてきた。

◆基盤的防衛力構想=1976年策定の防衛大綱で打ち出された防衛力整備の
概念。各種侵略に対して独立国として必要最小限の防衛力を保有するとし、力
の空白を作らぬよう、自衛隊部隊を均衡に配備するべきだとした。「存在する
ことが自衛隊の仕事」という考え方の源流ともいわれる。冷戦後の95、
2004年に策定された二つの防衛大綱でも撤廃されず、部隊編成の硬直化の
一因とされてきた。

(読売新聞 2010/7/26)


東シナ海を指向する日本の軍事力

日本政府が、中国と向き合っている沖縄など、東シナ海近辺に軍事力を集中さ
せる手順を進めている。日本はこれまで、同地域の安全保障については在日米
軍に任せ、自衛隊は日本国内にバランスを取って配備してきた。

26日付読売新聞は、首相の諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する
懇談会」が、自衛隊の全国均衡配備を設定した「基盤的防衛力構想」(1976年
に設定された日本の防衛力整備の基本概念)の撤廃を報告書に盛り込み、来月
上旬に政府へ提出すると報じた。懇談会の報告書は、今年末に改訂される「防
衛計画の大綱」に大きな影響を与える。

同紙によると、懇談会は報告書の原案で、自衛隊の「機動的実効性」を確保す
るため、自衛隊の部隊配備の原則を「全国均衡」から「沖縄や南西諸島重視」
へと転換することを要求した。ここには、日本政府が米軍の削減を推し進める
沖縄や、中国との間で領有権紛争が起きている尖閣諸島も含まれる。

これと共に懇談会は、▲米国に向かうミサイルを(日本が)迎撃できるよう、
「集団的自衛権」に関する政府の憲法解釈の変更と自衛隊の要撃訓練の実施
▲米国や米国の同盟国など、価値観を共有する国と装備品を共同開発・生産す
るため、「武器輸出三原則」の緩和-などといった内容を原案に盛り込んだ。
「集団的自衛権」とは、同盟国が攻撃された場合、共に戦える権利のこと。現
行の日本国憲法は第9条で、交戦権そのものを認定していない。また、1967年
に決定された「武器輸出三原則」は、日本政府の厳格な追加解釈により、現在
では武器および武器技術の実質的全面禁輸を意味している。

(朝鮮日報 2010/07/27)



従来、日本の防衛力整備は、各種侵略に対して独立国として必要最
小限の防衛力を保有するという基盤的防衛力構想に基づく防衛計画
の大綱とその兵力整備の規模を明示した大綱別表を大枠として整備
されてきました。

この基盤的防衛力とは、「独立国としての侵略に対処する為の最低
限の防衛力」ですから、冷戦が終わっても、ソ連がなくなっても、
中国が台頭しても、本来であれば、考え方の変化は必要なさそうに
も思えますが、実際には防衛対象国がソ連であるか中国であるかは
大違いです。地形上も宗谷、津軽、対馬三海峡のチョークポイント
で押さえられていたソ連と、その様なチョークポイントがなく、第
一列島線、第二列島線で抑えないといけない中国が相手では、対応
も対策も、兵力整備も自ずと異ならざるを得ません。端的に言えば、
冷戦時が北方重視であったのに対し、中国の海洋進出を考えると、
沖縄、南西諸島重視に変更せざるを得ないのです。

こうした安保懇の動きと読売新聞の報道に、朝鮮日報は、すばやく
反応して「東シナ海を指向する日本の軍事力」という題の記事にし
ています。

この変化の方法については、最近の国際情勢の変化を考えれば、当
然の事と考えます。重点を沖縄・南西諸島に置くのも納得できます。
ただ、少し心配であるのは、民主党政権下で、どこまで中国を対象
にした防衛力構想を作り上げる事ができるか、また、防衛力の増強
が本当に可能なのかという点です。実際、上記の記事でも、基盤的
防衛力整備を放棄して、「限定的で小規模な侵略」などの有事態勢
整備を求めていたり、ミサイル防衛に関するトーンが落ちている様
にも思われます。ミサイル防衛については大綱を変更する事なく、
北朝鮮の核武装に対応しようとした為、組織的に各所に無理を生じ
たとも言えますが、依然として北朝鮮は、日本にとって最大の不安
定要因である点に変わりはありません。

また、中国海軍の海洋進出と、その行動は、ソ連海軍のそれと比べ
ても、露骨、冒険的で且つ自己主張に満ちており、日本としても、
直接的な対抗処置を取らざるを得ない処です。しかし、国連平和維
持活動や海賊対処等もあわせ、従来以上の活動が要請されながら、
実際には、財政面での限界から、三自衛隊の定員や予算が固定され
たり、逆に削減される可能性すら高まっているのであり、戦略重心
のシフトが、沖縄・南西諸島への大幅増強ではなく、他地域の大幅
な配備削減と沖縄・南西諸島への若干の増強によって実現が図られ
るのではないかと懸念せざるを得ないのです。

その意味からすれば、今回の「東シナ海を指向する日本の軍事力」
構想が、これから決められる防衛計画の大綱に纏められる段階で、
どの様な具体的な整備内容になるか注目すべきではないかと考える
処です。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/











2010年7月26日月曜日

海自潜水艦増強 本当に実現できれば良いのだが...

※海自潜水艦「そうりゅう」。KURE-NEWS Webサイトより転載。

海自潜水艦を増強 活発化する中国海軍に対処 防衛大綱改定

防衛省は24日、年末に改定する「防衛計画の大綱」で海上自衛隊の潜水艦を
増強する方針を固めた。現在の18隻態勢から20隻台に引き上げる。昭和51
年に初めて策定した防衛大綱で隻数を定めて以降、増強は初めて。東シナ海と
太平洋で中国海軍の動きが活発化し、活動範囲が広がっていることや、北朝鮮
潜水艦による魚雷攻撃と断定された韓国哨戒艦撃沈事件を受け、日米の抑止力
と情報収集能力を強化する狙いがある。

海自の潜水艦は51年策定の防衛大綱の「別表」で16隻と定め、その後の大
綱改定でもそのままだった。ほぼ毎年、最も老朽化した1隻が退役する代わり
に新造艦1隻が就役することで、18隻態勢(教育訓練用の2隻を含む)が維
持されてきた。20隻台に増強する際には、新造のペースは変えず、退役時期
を延ばす計画だ。船体技術の向上や運用に工夫を凝らすことで使用期間の延長
が可能という。

東西冷戦期には、海自の潜水艦の任務はソ連太平洋艦隊に備えるための宗谷、
津軽、対馬の3海峡封鎖に重点が置かれた。しかし、アジア・太平洋地域で中
国海軍の存在感が増すにつれて、その任務は中国などを念頭においた南西方面
への対応にシフトしている。

中国海軍は10年以上にわたり潜水艦の保有数を約60隻で維持する一方、近
代化を急ピッチで進めた。台湾海峡有事で最大の敵となる米空母の接近を阻止
するには、隠密性に優れた潜水艦が切り札になるためだ。

4月、中国海軍の艦艇10隻が沖縄本島と宮古島の間を通過した際、中国が保
有する潜水艦の中で最も静粛性が高く、探知されにくいキロ級潜水艦が潜航せ
ずにあえて浮上航行した。これは、太平洋まで活動範囲を拡大し、「より前方
で米空母を足止めできる能力を誇示した」(防衛省幹部)ものとみられている。
米国防総省が2月に発表した「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)は、中
国の接近阻止能力への対応を重点項目に挙げ、米軍の態勢強化と同盟国の能力
向上が必要としている。このため、海自の潜水艦態勢の強化は急務となっていた。
     ◇
防衛計画の大綱 日本の国防政策と防衛力整備の基本方針。昭和51年の策定
以来、今年で改定は3回目。有識者による「新たな時代の安全保障と防衛力に
関する懇談会」が今夏に提出する報告書と防衛省などの計画案を踏まえ、年末
に新たな大綱を閣議決定する。
     ◇
海上自衛隊の潜水艦 通常型と呼ばれるディーゼル動力艦だけで原子力潜水艦
は保有していないが、静粛性などで世界最高レベルとされる。最新鋭の「そう
りゅう型」はAIPという新たな動力装置を搭載し、長時間の潜航が可能。潜
水艦の建造費は1隻約500億円。

(産経新聞 2010/07/25)


産経新聞は、先日も、F-Xの選定遅延から当面の繋ぎとしてF-
2を増産するというスクープ記事を出していましたが、他紙は追従
せず、逆に朝日新聞は、それを否定する記事を出す始末で、信頼性
に疑問符がついてしまいました。

今回の記事も同じです。海自潜水艦の退役艦齢が諸外国と比べ、非
常に早いのは、周知の事実です。その理由は、毎年一隻という建造
ペースを維持しながら、保有隻数を大綱の枠内に収める為です。
但し、2000年以降は練習潜水隊が編成され、練習潜水艦2隻が別枠
で配置される様になっているので、現役16隻と練習潜水艦2隻の
合計18隻が保有枠になっています。

今回の構想は、この退役艦齢を今までの18年から20年以上とす
る事で、保有潜水艦数を増加させようというものです。その点では
実現可能なのですが、保有潜水艦数を増加させると、当然、乗員や
支援要員の数が増加します。

近年、海自は、大型艦が増加し、海外任務が増加しているにも関わ
らず艦船乗員の定員は変わらずで、隊員の負担と不満が高まってい
るといいます。水上艦艇に加え、潜水艦隊でも、定員が増加しない
と同様の現象が生じる可能性は高いと思われます。それに加え、稼
動潜水艦数が増えると保守、補修用の費用も増加する筈ですが、社
会保障費以外の予算の抑制方針の中でこれも、本当に手当がされる
のか疑問なしとしません。

日本の将来を左右する科学技術関係の費用すら仕分けしようという
民主党の事です。一年目こそ、22DDHの予算が通りましたが、
今後、政治主導の名目で、マスコミや一般受けのする防衛費の一方
的に削減を行う可能性は、予算編成が厳しさを増せば増すほど、高
くなる筈です。その様に考えると、この記事の様な潜水艦隊の増勢
という意思が、例え、防衛省内で固まっていたとしても、実現性と
継続性には大きな疑問を感じざるを得ないのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/









2010年7月23日金曜日

泥棒に追い銭 拉致問題担当相の点数稼ぎに一億円


「パフォーマンス」「税金使う目的と効果は」 金元工作員“厚遇”に批判続々

大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫(キム・ヒョンヒ)元工作員への待遇を
めぐり、批判も相次いでいる。

自民党の谷垣禎一総裁は22日の記者会見で「拉致被害者家族の気持ちは理解
できるし、拉致問題への関心が深まる限りでは評価できる」とした上で「テロ
の実行犯をVIP待遇するのは国際的に理解が得られない。国賓待遇とは言い
過ぎかもしれないが、まったくのパフォーマンスとしかいいようがない」と批
判した。自民党は30日召集予定の臨時国会中の予算委員会で金氏来日に伴う
経費などをただしていく方針。

公明党の山口那津男代表も記者会見で「税金を使う以上、何が目的で効果が得
られたかを説明する必要がある」。安倍晋三元首相は「取調官が事情聴取する
などの対応が必要だったのではないか。(大韓機爆破事件の)被害者への配慮
ももう少しあってよかった」と批判した。

一方、鳩山氏は22日、首相辞任後に中井洽(ひろし)拉致問題担当相から別
荘提供を要請されたことを明かし、「拉致は国として措置をとるべきだからそ
れなりのコストは許される。別荘は私だけが住むような場所ではないので多く
の方に使ってほしいと思っていたのでよかった」と述べた。菅直人首相は記者
団に「安全面からの措置だ」と反論。仙谷由人官房長官は「都心の交通の混雑
を避けるためだ」と説明が食い違った。

(産経新聞 2010/07/22)


そういえば、菅総理も千葉法務大臣も、北朝鮮の工作員であるシン
ガンスを釈放する署名活動に参加した前科がありますが、よほど、
北朝鮮の工作員がお好きなようです。もともと、元テロリストの日
本入国を許可する事自体が超法規的な許可ですが、韓国政府から保
安上の注意があったとは言え、特別機を用意し、空港への送り迎え
は、中国の温家宝首相に使用したものと同じ、ベンツのリムジン
(恐らくは防弾仕様)を手配しています。

その上、あまりセキュリティ上意味があると思えない鳩山元首相の
別荘で、拉致被害者と面会させた上、お土産代わりにヘリで遊覧飛
行をさせ、更に報酬として三千万円を差し上げたのですから、気前
が良すぎるというものです。その結果、拉致被害者に関する新事実
がでたのであればそれでも意味はあったといえますが、横田めぐみ
さんと一度食事をした事があるという程度の話しか出ていません。

あまりのコストパフォーマンスの乏しさに唖然としてしまいます。
元々、金賢姫から新情報が出そうにないのは、判っていた話で、何
ら不思議ではありません。それでも、今回の訪日を実現させたのは、
中井洽拉致問題担当相の点数稼ぎ以外の何者でもありません。

民主党には千葉法相や輿石参議院代表の様に、朝鮮労働党の友党で
あり、拉致事件を否定し続けた社会党の残党が多数残っています。
もし、民主党に、本当に拉致被害者に対する贖罪の気持ちがあるの
ならパフォーマンスではなく北朝鮮に対する徹底的な経済制裁をよ
り徹底的に行わせる様な実質的な施策を打つ事で、拉致被害の帰国
を実現するべきでしょう。

意味もなく金をばら撒くのが得意な民主党である事は理解している
つもりですが、あまりの愚劣さに、呆れ果てたと言わざるを得ませ
ん。政権内に「仕分け」専門の大臣まで置いているのですから、泥
棒に追い銭をやる前に「仕分け」して貰うべきではなかったかと思
われてならないのです。

環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/









2010年7月22日木曜日

新型対艦ミサイルXASM3が開発本格化!?

※新空対艦誘導弾XASM3概念図。朝雲新聞社Webページから転載

防衛省 新型対艦ミサイル開発

防衛省が本年度防衛費で二十三億円を投じ、F2戦闘機から発射して艦艇を攻
撃する超音速空対艦ミサイル(XASM3)の開発を始めたことが分かった。
超音速のため迎撃するのは不可能に近く、空母建造を急ぐ中国海軍に対抗する
狙いとみられる。(編集委員・半田滋) 

XASM3は高性能な対空火器を搭載する艦艇を攻撃するため、音速の三倍以
上で飛行する。これまでの空対艦ミサイルのASM1やASM2は亜音速で、
艦対空ミサイルや機関砲で撃墜される可能性があった。
総額三百二十五億円かけて試作と試験を繰り返し、二〇一六年度までに開発を
終え、量産化に移る見通し。

超音速の空対艦ミサイルは米国やロシアにもあるが、いずれも特大で爆撃機に
搭載する。憲法九条の制約から「攻撃的兵器」を持てない自衛隊は長距離爆撃
機を保有できないため、ミサイルの小型化を模索。戦闘機に搭載できる全長六
メートル、重量九百キロのXASM3の開発に踏み切った。

一方、一五年までの空母建造を目指すとされる中国海軍は、既に対空・対艦能
力に優れたソブレメンヌイ級駆逐艦四隻をロシアから購入、さらに防空能力が
高いイージス艦に似た国産駆逐艦の「蘭州」「海口」を就役させた。XASM3
は、空母を警護するこれらの駆逐艦に対抗するが、防衛省は「特定の国を想定
していない」としている。

海軍力強化を進める中国の艦艇は、沖縄近海を抜けて太平洋へ進出し、海上自
衛隊との間で緊張が高まっている。XASM3の開発により、航空自衛隊も東
シナ海や太平洋の「覇権争い」に参加する形となる。

XASM3の特徴は、精度を増すため、自らレーダー波を出す一方、敵艦艇の
出すレーダー波を探知して飛ぶ複合誘導方式を採用したこと。推進装置はロケ
ットとジェットを組み合わせたインテグラル・ロケット・ラムジェット(IRR)
を搭載している。

(東京新聞 2010/07/21)


XASM3の開発に今年度予算で23億円が支出される事自体は秘
密でも何でもありません。実は朝雲新聞のWebニュースでは、4/15
付けで以下の記載があります。

22年度防衛費 重要施策を見る<7>研究開発
高運動ステルス機を試作 外部評価調整官など新設

(前略)
③新空対艦誘導弾XASM3=敵防空艦を狙い撃ちする超音速ステルス対艦ミ
サイル。ロケット・ラムジェット統合エンジン推進で射程も大幅延伸。22億円。
(後略)


東京新聞の記事は、このたった2行の朝雲新聞の記事を、解説して
くれたものであり、それ以外の新しい情報は殆どありません。朝雲
新聞から三ヶ月もたって何故東京新聞が記事にしたのか判りません
が、防衛省が、もっと注目して貰いたくて、東京新聞の記者に働き
かけをしたのかも知れませんし、逆に、中国辺りが脅威に感じて与
党の政治家に注目させる為に記事にさせたのかも知れません。
今までも、対艦ミサイルはあるのに、わざわざ、「航空自衛隊も東
シナ海や太平洋の「覇権争い」に参加する形となる。」と書いてい
る処に若干の毒が感じられます。

XASM3は、第三世代の空対艦ミサイルです。日本の巡航ミサイ
ルはASM1から派生しシリーズ化されていますので、XASM3
の出来によっては、陸上自衛隊や海上自衛隊が保有する巡航ミサイ
ルもXASM3系列によって置き換えられる事が考えられます。
但し、XASM3の全長は、ASM2に比べ1.5倍、約2m長い
ので、既存のランチャーの改修が必要となるケースも考えられます。

XASM3の主な特徴は、なんと言っても、その超音速性能にあり
ます。記事にはありませんが、ステルス形状をしているので、高速
性とも相まって敵側による探知が困難で、更に探知されてから命中
までの時間が短縮されるのでミサイル防御が非常に困難になります。
近年、周辺国で、フェーズドアレイレイダーや高性能対空ミサイル
システムを搭載した、艦隊防空艦の整備が進んでいますので、この
盾の強化に対抗する矛の強化であると言えるでしょう。

上の概念図では、XASM3の飛行プロファイルには、高空飛行の
他、シースキミング、ポップアップ&シースキミングの三種類があ
るのが判ります。XASM3は、高速性能が売りですが、高速であ
るが故に、機体を制御する誘導技術が重要になります。でないと誘
導仕切れずオーバシュートしてしまう可能性が出てきます。超音速
ミサイルが大型になる理由の一つは超音速を出す為に大量の燃料が
必要になる事と、もう一つは、遠距離から目標を探知する為に、レ
ーダーを大型化する必要がある事によります。
その点で、XASM3の技術開発で一番困難な点、その小型化にあ
ると言って良さそうに思われます。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/











2010年7月21日水曜日

今後の政権運営の枠組み

※は首相官邸Webページから転載

Yahooの「みんなの政治」というボーティングサイトでやっている
政治投票で、興味深いテーマがありましたので、少し考えて見る事
にします。

投票の設問は、
参院選の結果、国会は再び「ねじれ」状態に。民主政権は困難な政
権運営が求められることになりましたが、今後の政権運営・枠組み
として、あなたが望むのは?

というもので、以下の中から選択する様になっています。

①各党との政策ごとの部分連合
②みんなの党の連立入り
③公明党の連立入り
④みんなの党、公明党ともに連立入り
⑤自民党との大連立
⑥その他の政党の連立入り
⑦政界再編による新たな枠組み
⑧その他


私が参院選の投票を行った時、何を考えて投票をしたかと問われれ
ば、まず、「ねじれ」を発生させる事で、民主党の暴走を阻止しよ
うと考えた言えます。その上で民主党以外で最も死票にならない投
票を心がけました。結果的には、選挙区選挙では、投票した野党候
補者はトップ当選し、比例区で、投票した人は落選しましたが、政
党の比例区得票には役立った筈です。その点では意図通りになりま
した。

その一方、上記の設問の中に、私の希望する枠組みがあるかと言え
ば、明確にこれというものがあるとは言えません。私が想定してい
たのは衆参ねじれ状態の中で、民主党と国民新党の連立の枠組みが
そのまま維持され、憲法上、衆院優位が確立されている予算案、首
相選出等以外の法案は、成立しないといういうものです。私は政治
的混乱を選択した事になります。

ですがこの選択は上記の中にはありません。(しいて言えば、その
他になるのかも知れません。)また、この設問を作った人も、法案
が成立しない混乱が継続するという選択を明記していません。

その意味では、基本的に政権が法案を成立できる枠組みとして考え
られる選択が与えられている様に思います。
逆に言えば、正常に政権運営を行おうとすれば、これらの選択を実
現する他ない事になります。

では、その実現性はどうでしょうか?
①の部分連合は、野党にとってあまり旨味がありません。余程、野
党内で意見が割れている論点で、特定野党にとって実現に意味あり、
且つ、与党との間で別の政策課題でバーターができれば別の話です。
逆に、継続的な部分連合が出来れば、それは閣外協力と大差のない
話になります。

②のみんなの党の連立入りですが、民主がみんなの党の主張を丸呑
みするしかありません。それでも取り込まれるみんなの党には、自
殺行為になります。勿論、社民党が普天間問題で、国民新党が郵政
法案で行った様に、連立与党全体を振り回す事もできますが両党共、
議席を減らした事も忘れてはなりません。組織が固まっておらず、
無党派の風に依存しているみんなの党は、地方組織や支持層が明確
に固まる迄は、政権や与党を徹底的に批判する事で、不満層を取り
込む事が有利となります。

③の公明党の場合も連立入りの条件は、民主が公明党の主張を丸呑
みする事しかありません。実際には、公明党の主張は、自民党より
民主党の方に近いので、それが障害になる事はないでしょう。それ
より民主党の支持層が持つ公明党に対する抵抗感がどの程度かによ
る事になります。公明党は地方組織も支持層も固まっているので、
連立入りによって、支持層の離散を懸念する必要もありません。
公明党の連立入りが、実現性は一番高いと思われます。あとは、連
立入りの時期と条件の問題と思われます。

④のみんなの党と公明党両方の連立入りは、最初にみんなの党が連
立入りに、それでは、参議院で多数にならない為、公明党が後から
連立に参加する場合にのみ実現すると思われます。みんなの党と公
明党は主張が異なりますので、同時に連立に参加する事は、自党の
主張の実現にはマイナスにしかなりません。

⑤の自民党の大連合は、自民党にとって意味があるかどうかという
問題になります。小泉元首相が選挙中に主張した様に、自民党は、
野党としての主義主張を確立しなければ、存在理由を失う事になる
と思われます。

⑥の選択ですが、対象は、具体的には社民党、共産党になります。
たちあがれ日本と新党改革は所属議員数が少なく民主党側に連立す
る意味が乏しくなります。いずれも、衆議院では、三分の二を確保
できますが、参議院では多数になれません。社民は、一番の支持地
域である沖縄に対して大見得を切って連立から離脱しただけに、す
ぐに連立に復帰するには抵抗があるでしょうが、政権に入る事の旨
味を覚えただけに、最初は閣外協力、その後に連立復帰という事も
考えられます。共産党の政権参加も、可能性としては考えられます。
共産党の政策は民主党とそれ程大きな違いはありません。あとは、
民主支持層の共産党に対する反発の大きさだけの問題と言えます。

⑦政界再編による新たな枠組みは、ありそうで、なさそうに思いま
す。小政党の離合集散はありえますが、自民党の有力政治家が党を
割る事は、舛添新党の失敗を見てもまずないと思われます。
民主党の場合は、唯一、小沢グループが党を割る事が考えられます。
その上で、内閣不信任が可決され、衆議院解散、総選挙に進める事
ができれば、もう一度政界全体のガラガラポンが実現するかも知れ
ません。しかし、それは、民主党政治が完全に行き詰まり、次回の
総選挙で、民主党が勝利できない事が明白になった時であろうと思
われます。

⑧のその他は、参議院での少数という現在の連立が維持されるケー
スです。法案や国会同意人事が殆ど棚上げになり、政権は混乱する
事になります。それがどの位持続するかは、民主党がどこまで辛抱
できるかによります。すっきりと公明党との連立に進むか、他党と
連立するか、混乱が持続したまま政界再編に進むかは、私の予想で
は6割、3割、1割程度の確率ではないと愚考する次第です。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/









2010年7月20日火曜日

FXの代りにF2戦闘機追加調達も已む無しか

※写真は、http://www.tac-photo.com/photo.htmより転載

F2戦闘機を追加調達 FX選定難航で防衛省検討 中国脅威に防空を穴埋め

次期主力戦闘機(FX)の機種選定の遅れを受け、防衛省がF2戦闘機の追加
調達を検討していることが18日、分かった。中国が航空戦力を近代化させて
いることを踏まえ、防空体制に空白が生じるのを防ぐ狙いがある。平成23年
度に終了予定だったF2の生産が途絶えれば、戦闘機の生産・技術基盤が失わ
れるとの防衛産業の懸念もくむ措置でもある。

FXは老朽化した航空自衛隊のF4の後継機で、約50機を導入する。防衛省
がF2の追加調達の検討に入ったのは、FXの選定の遅れに加えF4の退役も
数年後に迫っているなかで、防空に穴を空けないための「次善の策」といえる。

調達数は20機程度を想定。決定すれば23年度予算案の概算要求に盛り込む。
FXの機種選定は平成18年に本格化し、防衛省は当初、米空軍の戦闘機F22
ラプターを本命視した。F22は第5世代機と呼ばれる最新鋭で、レーダーに
捕捉されにくいステルス性の高さが特長だ。だが米国はF22の輸出を認めず、
昨年4月には調達中止も発表し機種選定は振り出しに戻った。

現在の候補は米英などが共同開発中のF35ライトニング2、米国のFA18E/F、
欧州共同開発のユーロファイターの3機種。防衛省はF35を有力視するが、
開発・運用試験の段階で、量産は早くても28年ごろからと見積もられている。

追加調達の検討を迫られているのは、中国の航空戦力の増強も影響している。
中国はSu27やJ10などの導入・生産を進め、F2と同じ第4世代機の保
有数は約350機。約140機ある在日米空軍機でカバーするものの、F2に
F15を加えた空自の第4世代機は約290機しかなく、水をあけられている。
中国は第5世代機も31年ごろに運用を始めるとの分析がある。

現行計画では、F2は23年度に最終機の生産が終わる。戦後、戦闘機の国内
生産を再開して以降、初めて途絶えることになる。F35のライセンス生産の
見通しも立たず、防衛産業側には「F2の生産を継続しなければ、生産ライン
の維持と技術者の確保は困難だ」(大手メーカー幹部)との危機感が強い。
ただ、F2は本来、地上や海上の目標を攻撃する支援戦闘機。レーダーなどの
性能の差から、敵の航空機を迎え撃つ迎撃戦闘機のF15に比べて防空能力は
劣るとされるが、「データ通信システムで対処力を向上できる」(防衛省幹部)
との指摘もある。

(産経新聞 2010/07/19)


今回のFX選定は、老朽化しているF-4EJ改の更新の為と、合
わせて、将来のF-15J更新も視野に入れたものであったと言え
ます。

その選定経緯は、Wikipediaなどを参照して欲しいのですが、空自
は最初からF-22ラプター導入を希望しており、それを正当化す
る為に、選定作業を行っていたと言っても過言ではありません。
しかし、米国議会がF-22ラプターの輸出禁止を議決し、更には、
米軍向けの機体も187機で打ち切りとなった為、空自の当てが外
れる事になります。外国に輸出すれば圧倒的な空戦性能を持つ機体
の機密を維持できないという不安が議会にF-22の大規模な生産
を躊躇させたのかも知れません。

また、F-22と同時期に米国が同盟諸国と共同開発するF-35
の開発がスタートした為、そちらに乗り換える事も可能と見られて
いました。F-35は、超音速巡航性能こそ持ちませんが、F-22
と同じ、高度のステルス能力を持った機体です。

ただ、F-35の開発は、予定をはるかにオーバーし、コストも大
幅な上昇が見込まれる様になっています。その上、F-35の入手
順序は、共同開発国が優先される為、今後、開発が順調に進んでも
日本が入手できるのがいつになるか不明である他、日本でライセン
ス国産が可能かどうかもはっきりしていません。

このままでは、国内における戦闘機の生産は、平成23年度のF-2
支援戦闘機の生産終了で終わりとなります。そうなった場合、戦闘機
を国内で生産する技術者やノウハウが散逸してしまう可能性がでてき
ます。また、例え、技術者は社内で配置転換できても、生産中断が長
期に及ぶと退職者も発生して、技術継承が行えなくなる懸念も出てき
ます。

現在、候補機に上がっている機体で、直ぐにライセンス国産が可能で
あるのは、ユーロファイタータイフーンとF/A-18E/Fしかあ
りませんが、これらは、日本が生産しているF-2と比べ性能は多少
上であっても同じ世代の機体であると言えます。

そうであれば、AESA(アクティブ式電子走査アレイ)レーダーの性能
が改善してきており、国産高性能ミサイルであるAAM-4も性能の
向上した改型が開発されているF-2に再度光が当たるのも故なしと
しません。F-35の将来が固まるまでの繋ぎとして、F-2を50
機追加調達すれば、老朽機の更新が取敢えず実現し、機種の増加も抑
えられ、生産技術維持にも役立つという、ベストではないにしても、
三方一両得的な解決になる事は事実ではないかと思われます。

特に、F-2は一機で、4基のASM2を搭載できます。これは、現
在のF-4EJ改に対して二倍の搭載能力であり、中国の海上での脅
威の増大に対応するのであれば、この能力が大いに役立つ事は間違い
ありません。「いまそこにある危機」に対応するのであれば、ユーロ
ファイタータイフーンやF/A-18E/F以上の対応能力があると
も言えます。

その様な諸点を勘案すれば、F-4EJ改の後継機としてF-2が選
定されたとしても、不思議ではないと考える次第です。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/










2010年7月16日金曜日

インドGSLVロケットの打ち上げ失敗原因はターボポンプ

※写真は、GSLV F01。ISRO Webサイトから転載

4月22日のエントリーでインドのGSLVロケットの打ち上げ失敗
について取り上げましたが、最近、Spaceflight Nowにその原因分
析についてのニュースが掲載されましたので抄訳の上、ご紹介します。

インド、ロケット打ち上げ失敗の原因を第三段のポンプと特定

今年4月にインド最強のロケットの打ち上げが失敗した原因について、インド
宇宙研究機関(ISRO)は、自国製の第三段エンジンのターボポンプの故障による
ものである事を7月9日に公表した。

GSLVロケットは、4月15日に、インド東海岸から打ち上げられたが、この
70.6百万ドル(64億円)のテスト打ち上げは、発射後5分で中断を余儀なくされた。

ISROは発表の中で、初飛行となったGSLVの国産の第三段エンジンは、
液体水素用ターボポンプの故障により、必要な推力を発生させる事ができなか
ったと述べている。

ISROは、問題の原因が2つの潜在的原因によるものである事を突き止めた
としている。

原因シナリオによれば、特定のシール場所の複数の箇所で、過度の圧力上昇と
高熱による疲労の為、ローターの固定具とタービンケースが断裂したものと思
われる。

第三段の点火シークエンスは離陸の294秒後に予定されていたが、ロケットか
らの加速データによればメインエンジンと2台の姿勢制御スラスターは2.2秒
間計画通りに作動している。

「しかしながら、メインエンジンの燃焼室への液体水素の供給が行われなかっ
た為に、推力の増加は予定通り行われなかった。」

液体水素用ターボポンプは、正常に起動され、一度は34,800回転のほぼ最高回
転数に達したが、その一秒以内に回転数が下がり始め、その後、完全に停止した。

そして、第三段の故障により、ロケットは制御不能のスピンに陥り、インド洋
上空の大気圏に突入した。

この打ち上げの主な目的が、新しい第三段のテストであったが、GSLVは、
通信/航法実験衛星を搭載していた。

また、ロケットの新しい航法システムと複合材料製のペイロードカバーは、
4月の打ち上げで正常に動作した事が確認されている。

インドは、2001年から2007年に打ち上げられた五機のGSLVの打ち上げに使
われたロシア製の第三段エンジンに換わる低温エンジン(液酸液水エンジン)を
開発している。

ロシア製の第三段エンジンは、2001年から2007年の打ち上げで、二回、小さな
異常を生じており、この結果、ペイロードが投入された軌道が、予定と若干異
なるものとなった。

2006年の打ち上げでは液体燃料エンジンのブースターが原因となって、発射直
後に劇的な爆発が発生している、

しかし、その他の三回の打ち上げは、完全に成功している。

ロシアは1990年代にインドに7基のエンジンを売却しており、その内、二基の
エンジンは、今もISROに保管されている。

ISROによれば、次の二回のGSLVの打ち上げでは、古いロシア製の第三
段が使用されるが、一年以内に国産第三段低温エンジンを使った打ち上げが計
画されている。

(Spaceflight Now 2010/07/09)



環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/









2010年7月15日木曜日

イプシロンロケット開発フェーズへ

※CGは、JAXAサイトからの転載

はやぶさ2:開発検討 総事業費270億円

小惑星探査機「はやぶさ」の後継機「はやぶさ2」について、文部科学省は14
日、開発計画の検討に入った。計画では14年7月~15年に打ち上げ、H2A
ロケットによる打ち上げを含む総事業費は270億円。今後、文科省宇宙開発委
員会の部会で資金計画や科学的意義を審議、8月の来年度概算要求までに結論を
出す意向だ。

はやぶさ2は、はやぶさが到着した小惑星「イトカワ」より形成年代が古く、
有機物や含水鉱物に富むとされる小惑星「1999JU3」を目指す。小惑星
に物を衝突させて人工クレーターを作り地下物質を採取する。19年ごろ地球
に戻り採取物質を収めたカプセルを地上に投下する。

また、文科省は、06年に廃止された国産ロケットM5に代わる新型固体燃料
ロケットも開発する方針を示した。「イプシロン」と命名され、13年度に打
ち上げ予定。高さ24メートル、重さ91トンとM5より小型・軽量で、打ち
上げ準備期間もM5の42日から世界最短の7日間に短縮する。打ち上げ費も
M5の半減の38億円に抑え、小型科学衛星や将来の月探査機に使う。開発費
205億円。

(毎日新聞 2010/07/15)


はやぶさ2についても、折を見て取り上げたいと思いますが、それ
よりもイプシロンロケットの開発移行が宇宙開発委員会で決定され
る見込みです。それを受けて来年度予算で開発予算がつけば、本当
の開発着手となります。

現在、日本が打ち上げているロケットは、大型のH-2AとH-2B
しかなく、M-Vを退役させた為、小型の衛星を安価に打ち上げた
いというニーズに対応できませんでした。例えば、H-2Aを用い
た、先の「あかつき」の打ち上げでは、約500kgの衛星本体と同規
模の相乗り衛星を金星への軌道に投入しています。相乗りをする側
にとっては、打ち上げ費用の節約ですが、メインペイロードにとっ
ては、無駄な打ち上げ能力の為に、コスト高になっている事を意味
します。

そこで、H-2Aに比べ数分の一の打ち上げ能力を持つロケットを
H-2AのSRB-AとM-Vの二段目、三段目を組み合わせる事
で安価に開発すると同時に、M-Vで実現できていなかった高い運
用性と即応力を実現したロケットを開発しようという事になったも
のです。

イプシロンロケットは、M-Vに続き、戦後、日本が全く独自に開
発した固体燃料推進ロケットの系譜を受け継ぐロケットであり、こ
れまで開発された技術を受け継ぐ事も目的の一つとなっています。

先代の固体燃料ロケットであるM-Vが、ペイロードの拡大を主た
る目標として開発されたのに対し、今回のイプシロンロケットでは、
ペイロードこそ三分の二になりますが、コスト、即応力、運用性で、
世界最高水準を目指す事になります。

具体的には、打ち上げコストは、38億円に抑えられ、打ち上げ準備
に要する期間も7日に短縮されます。また、打ち上げ直前まで衛星
へのアクセスと調整が可能とされています。更に、従来の打ち上げ
では多数の打ち上げ要員が必要でしたが、これも、大幅に簡素化さ
れ、ロケット組み込みの自己診断機能と相まって、ノートパソコン
程度の簡素なシステムでも打ち上げ管制が可能となる見込みです。

この簡易管制システムの機能を利用して、移動射点にも対応する事
で、従来限定されてきた打ち上げ期間の制約を外し、機動的な打ち
上げを可能とする事も開発目標とされています。

ユニークなのは、固体燃料ロケットの宿命である軌道投入精度の粗
さを改善する為、オプションで、第四段目(?)に液体燃料推進系を
持つ事です。これによって、高い軌道投入精度を必要とするペイロ
ードを打ち上げる事も可能になります。

打ち上げ場所は、まだ決定されていませんが、従来、ISASのロケッ
トが打ち上げられていた内之浦宇宙空間観測所が有力とされています。

なお、イプシロンロケットは、一段目にSRB-Aを採用した為に
法制上陸上輸送が不可能であり、内之浦での打ち上げは困難とされ
ていましたが、この問題は既に解決したと言われています。(どの
様に解決されたかは不明です。)

イプシロンロケットの開発が順調に進めば、初打ち上げは、平成25
(2013)年度に行われる事とされています。

一見、バラ色のイプシロン計画ですが、弱点が無い訳ではありません。
一番目に付くのは、38億円という打ち上げ費用です。当初は打ち
上げ費用は約30億円という触れ込みでしたが、コストを積み上げ
ると25%近い上昇となってしまった様です。M-Vと比較すれば、
半分になったと言うものの、このコストでは、国際的な打ち上げ市
場での競争力はありません。競争相手となるFalcon-1はペイロード
こそイプシロンの約半分ですが、コストは約6億円と単位ペイロー
ド当たりの単価で三分の一の数字を実現しています。

Falconは、商業打ち上げサービスとして、極めて安価な打ち上げ費
用を実現する為に、ロケット本体以外にも打ち上げ施設、発射管制
を含め、ぎりぎりまでトータルコストを絞り込んだ全体設計が行わ
れています。これが民間企業の持つ商売の厳しさだと言えばそれま
でですが、イプシロンも元々は同様のコンセプトを持っていた筈で
す。それにしては、コスト削りこみが不足しているのではと懸念せ
ざるを得ないのです。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/