2010年7月20日火曜日

FXの代りにF2戦闘機追加調達も已む無しか

※写真は、http://www.tac-photo.com/photo.htmより転載

F2戦闘機を追加調達 FX選定難航で防衛省検討 中国脅威に防空を穴埋め

次期主力戦闘機(FX)の機種選定の遅れを受け、防衛省がF2戦闘機の追加
調達を検討していることが18日、分かった。中国が航空戦力を近代化させて
いることを踏まえ、防空体制に空白が生じるのを防ぐ狙いがある。平成23年
度に終了予定だったF2の生産が途絶えれば、戦闘機の生産・技術基盤が失わ
れるとの防衛産業の懸念もくむ措置でもある。

FXは老朽化した航空自衛隊のF4の後継機で、約50機を導入する。防衛省
がF2の追加調達の検討に入ったのは、FXの選定の遅れに加えF4の退役も
数年後に迫っているなかで、防空に穴を空けないための「次善の策」といえる。

調達数は20機程度を想定。決定すれば23年度予算案の概算要求に盛り込む。
FXの機種選定は平成18年に本格化し、防衛省は当初、米空軍の戦闘機F22
ラプターを本命視した。F22は第5世代機と呼ばれる最新鋭で、レーダーに
捕捉されにくいステルス性の高さが特長だ。だが米国はF22の輸出を認めず、
昨年4月には調達中止も発表し機種選定は振り出しに戻った。

現在の候補は米英などが共同開発中のF35ライトニング2、米国のFA18E/F、
欧州共同開発のユーロファイターの3機種。防衛省はF35を有力視するが、
開発・運用試験の段階で、量産は早くても28年ごろからと見積もられている。

追加調達の検討を迫られているのは、中国の航空戦力の増強も影響している。
中国はSu27やJ10などの導入・生産を進め、F2と同じ第4世代機の保
有数は約350機。約140機ある在日米空軍機でカバーするものの、F2に
F15を加えた空自の第4世代機は約290機しかなく、水をあけられている。
中国は第5世代機も31年ごろに運用を始めるとの分析がある。

現行計画では、F2は23年度に最終機の生産が終わる。戦後、戦闘機の国内
生産を再開して以降、初めて途絶えることになる。F35のライセンス生産の
見通しも立たず、防衛産業側には「F2の生産を継続しなければ、生産ライン
の維持と技術者の確保は困難だ」(大手メーカー幹部)との危機感が強い。
ただ、F2は本来、地上や海上の目標を攻撃する支援戦闘機。レーダーなどの
性能の差から、敵の航空機を迎え撃つ迎撃戦闘機のF15に比べて防空能力は
劣るとされるが、「データ通信システムで対処力を向上できる」(防衛省幹部)
との指摘もある。

(産経新聞 2010/07/19)


今回のFX選定は、老朽化しているF-4EJ改の更新の為と、合
わせて、将来のF-15J更新も視野に入れたものであったと言え
ます。

その選定経緯は、Wikipediaなどを参照して欲しいのですが、空自
は最初からF-22ラプター導入を希望しており、それを正当化す
る為に、選定作業を行っていたと言っても過言ではありません。
しかし、米国議会がF-22ラプターの輸出禁止を議決し、更には、
米軍向けの機体も187機で打ち切りとなった為、空自の当てが外
れる事になります。外国に輸出すれば圧倒的な空戦性能を持つ機体
の機密を維持できないという不安が議会にF-22の大規模な生産
を躊躇させたのかも知れません。

また、F-22と同時期に米国が同盟諸国と共同開発するF-35
の開発がスタートした為、そちらに乗り換える事も可能と見られて
いました。F-35は、超音速巡航性能こそ持ちませんが、F-22
と同じ、高度のステルス能力を持った機体です。

ただ、F-35の開発は、予定をはるかにオーバーし、コストも大
幅な上昇が見込まれる様になっています。その上、F-35の入手
順序は、共同開発国が優先される為、今後、開発が順調に進んでも
日本が入手できるのがいつになるか不明である他、日本でライセン
ス国産が可能かどうかもはっきりしていません。

このままでは、国内における戦闘機の生産は、平成23年度のF-2
支援戦闘機の生産終了で終わりとなります。そうなった場合、戦闘機
を国内で生産する技術者やノウハウが散逸してしまう可能性がでてき
ます。また、例え、技術者は社内で配置転換できても、生産中断が長
期に及ぶと退職者も発生して、技術継承が行えなくなる懸念も出てき
ます。

現在、候補機に上がっている機体で、直ぐにライセンス国産が可能で
あるのは、ユーロファイタータイフーンとF/A-18E/Fしかあ
りませんが、これらは、日本が生産しているF-2と比べ性能は多少
上であっても同じ世代の機体であると言えます。

そうであれば、AESA(アクティブ式電子走査アレイ)レーダーの性能
が改善してきており、国産高性能ミサイルであるAAM-4も性能の
向上した改型が開発されているF-2に再度光が当たるのも故なしと
しません。F-35の将来が固まるまでの繋ぎとして、F-2を50
機追加調達すれば、老朽機の更新が取敢えず実現し、機種の増加も抑
えられ、生産技術維持にも役立つという、ベストではないにしても、
三方一両得的な解決になる事は事実ではないかと思われます。

特に、F-2は一機で、4基のASM2を搭載できます。これは、現
在のF-4EJ改に対して二倍の搭載能力であり、中国の海上での脅
威の増大に対応するのであれば、この能力が大いに役立つ事は間違い
ありません。「いまそこにある危機」に対応するのであれば、ユーロ
ファイタータイフーンやF/A-18E/F以上の対応能力があると
も言えます。

その様な諸点を勘案すれば、F-4EJ改の後継機としてF-2が選
定されたとしても、不思議ではないと考える次第です。


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