2010年7月28日水曜日

日韓併合百年に配慮するのは政治的には正しいが...


「韓国に配慮」防衛白書を異例の公表先送り


政府は27日、当初30日に予定していた平成22年版防衛白書の閣議了承を
先送りすることを決めた。白書では、日本固有の領土でありながら韓国が不法
占拠を続ける竹島について、「領土問題が未解決のまま存在」と明記しており、
これに対する韓国側の反発に仙谷由人官房長官が配慮し、防衛省に先送りを指
示した。日韓併合100年を迎える8月29日以降まで了承を控える。外交問
題を理由にした了承先送りは異例で、防衛省内には「弱腰すぎる」との不満も
くすぶっている。

防衛白書では平成18年版から毎回、「わが国固有の領土である北方領土や竹
島の領土問題が依然未解決のまま存在している」と明記しており、22年版で
も同様の記述を盛り込む。

韓国側はこれまでも防衛白書に竹島を日本の領土と明記することに繰り返し反
発している。韓国の「2008年版国防白書」では表紙に竹島のカラー写真を
掲載するなど、日本への対決姿勢も強めている。

これに対し、日本側は民主党政権下で、「不必要な摩擦を招かないため、その
言葉(不法占拠)は使わない」(岡田克也外相)との発言に象徴されるように
過剰な配慮が際立つ。白書の了承先送りも、その延長線上にある。

政府内には了承先送りについて「不法占拠を続ける韓国を利するだけだ」(外
務省幹部)との批判も強い。先送りしても竹島を「わが国固有の領土」との記
述自体を削除するわけではなく、了承時には韓国側が反発を強めるのは必至だ
からだ。日韓併合100年という節目の後までずらすだけの場当たり的な対応
は、問題をクローズアップさせただけともいえ、「官邸の政治センスを疑う」
(政府高官)との指摘もある。

表向き防衛省も、年末に改定予定の「防衛計画の大綱」に関する記述など、竹
島以外の手直しも官邸側から求められていると強調する。だが、白書はすでに
約1千部が印刷されており「事業仕分けの無駄排除と矛盾する」(同)と揶揄
(やゆ)する声もある。

防衛白書は防衛問題について国民の理解を得るために毎年刊行し、22年版で
36回目。例年、7月から8月上旬に閣議で了承し、公表している。

(産経新聞 2010/07/28)


私は、竹島問題に触れた防衛白書の発表を八月末以降に延期する事
については、それ程、反対ではありません。現在の韓国や中国のナ
ショナリズムは、いわば戦前の日本のナショナリズムを彷彿させる
ものであって、国内でそれに反する言動を取るのが難しくなってい
る様に見えます。

特に韓国は、戦後の反日教育に加え、進歩派二代の大統領時代に北
朝鮮との対決から国民の目を逸らす為に、日本を仮想敵として扱っ
た事から、日本に対して殊更対決姿勢で臨む事が、国民感情に合致
する様になっています。李明博大統領の様な比較的冷静に見える政
治家ですらナショナリスティックな世論には迎合せざるを得なくな
っている様に見えるのです。

現在の韓国人にとっては、日韓併合の時代的背景や当時の韓国の状
況などは、全く考えを及ぼす事なく、現時点での倫理感から日本を
一方的に糾弾する事が普通の反応となっています。

また、竹島についても、日本が朝鮮侵略の第一歩として一方的に奪
ったものを戦後回復したものであるという一方的な主張が反日教育
の中で徹底的に教え込まれています。

その様な韓国側の国民感情の中で、特に日韓併合百年記念日という
国民感情が燃え上がりそうなタイミングで、竹島に関する係争状態
を取り上げた防衛白書が発刊されれば、韓国側の未熟なナショナリ
ズムを必要以上に刺激する事は、火を見るよりも明らかです。

日本にとって、韓国は、現時点で角を突き合わせる相手ではありま
せん。優先順位からすれば、韓国よりも、寧ろ、北朝鮮や中国を主
要敵国と考えるべきなのです。

その様な観点からすれば、日韓併合百年の記念日というタイミング
を避けて防衛白書の発行を1~2ヶ月延期するのは、ごく当たり前
の外交的配慮であり何の問題もないと考えます。

むしろ問題は、岡田外相の様に、韓国を刺激するからという理由で
不法占拠状態という言葉を使わない様な、卑屈な態度を継続して示
す事です。岡田外相は韓国に対する一定の譲歩のつもりでそういう
態度を示しているのかも知れませんが、韓国側からすれば、当たり
前としか受け取って貰えず、日本側の領有主張が軟化したと受け取
られる懸念が生じるからです。また、防衛白書から竹島問題の記述
を無くす事は絶対にやってはならない事は言うまでもありません。

外交は、国民感情でやるものではありません。自国の国民感情はも
とより相手国の国民感情すら利用して交渉するのが当たり前なので
す。不要な摩擦は避けつつ自己主張は最大限に行うのは、外交の常
識です。そうであるだけに無用な配慮もまた避けるべきである事を
指摘したいと思うのです。


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