2010年8月3日火曜日

中国のご機嫌を取る北朝鮮

北朝鮮で「アリラン」開演 今年は中朝親善を追加

北朝鮮のマスゲームと芸術公演「アリラン」が2日夜、平壌のメーデースタジ
アムに約2万3千人の観客を集めて開演した。今年は中国との友好関係を強調
する「親善アリラン」と題した場面が新たに追加された。

金正日総書記が5月に訪中したことや中国人観光客の誘致拡大策が背景にある
とみられるが、韓国哨戒艦沈没で北朝鮮の関与を認めず米韓合同軍事演習に強
く反対している中国への配慮もうかがえる。

人文字では「鴨緑江の青き水とともに朝中親善は永遠に」「根深い朝中親善」
などのスローガンが描かれ、公演にはパンダなどの縫いぐるみや中国の民族衣
装に身を包んだ出演者が中国風の太鼓を抱え踊りを披露した。

10月半ばまで週4回上演され、期間中は中国上海と平壌間でチャーター便も
運航される。

(産経新聞 2010/08/03)


韓国哨戒艦撃沈事件で、最後まで北朝鮮擁護の姿勢を変更しなかっ
た中国に対し、北朝鮮が、外交的に擦り寄っています。単に戦術的
に阿諛っているというより媚びていると言った方が良いのかも知れ
ません。経済制裁が緩和される見込みがなく、軍事演習による米韓
の圧力がそういう動きを加速しています。

その一つの現れが、「アリラン」祭での朝中親善の強調です。北朝
鮮と中国の関係は一定のものではありません。その時々の北朝鮮の
必要に応じて接近・離反を繰り返しています。ある時には、「血で
結ばれた友情」が強調され、ある時には、「朝鮮の独立」が強調さ
れます。一般法則というほどのものではありませんが、概ね、韓国
や米国との関係が緊張緩和した時は、中国に対して強気に出る事が
多く、逆の場合は中国に擦り寄る態度を取ります。

今回の場合は、米韓が、哨戒艦沈没事件に対する報復とも言うべき
大規模軍事演習を北朝鮮近海の日本海で実施しています。北朝鮮は
いつもの通り、「侵略者米帝と一度は決着をつけねばならないと覚
悟していた決戦の時が、軍事優先のわれわれの気概を行動で示す時
が到来した」と大口を叩いていますが、実際には、何も出来ていま
せん。

大規模な軍事演習は、実戦と殆ど同じ準備が行われており、緊張の
レベルが上がっています。韓国の哨戒艦を騙まし討ちした時の様な、
平時のレベルとはかけ離れた緊張感の中にある米韓軍に対して、少
しでも、ちょっかいを出せば、敵対行為として軍事的に報復され敗
北するのは、北朝鮮の側なのです。

そういった場合に、大げさな言葉で戦争に対する自信を表明するの
が、これも北朝鮮の標準的なリアクションであり、逆説的に言えば、
北朝鮮の弱さの証明とも言えます。もし、自国の軍事力に自信があ
るのであれば、黙って、対抗演習を発動するなり、米韓の演習を監
視する事で、電子情報等の収集を図れば良いのです。

そうできずに、大言壮語した上、中国に庇護を求める姿は、とても
核保有国として独り立ちした国の姿と見る事はできません。その点
からすれば、北朝鮮の核開発やICBMの開発、更には実戦配備が必ず
しも順調に進んでいないという事なのかも知れません。


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