※写真上 墜落機 Searchinaから転載。
写真下 北朝鮮空軍Mig21遼寧の墜落機、北朝鮮戦闘機が瀋陽空港に着陸試みた可能性
17日午後に、中国遼寧省の撫順県で国籍不明の飛行機が墜落した件で、墜落地
点は瀋陽桃仙国際空港から約27キロメートルの位置であることが分かった。現
場で一般人が撮影したとされる墜落機の様子が、インターネットで発表された。
機体には北朝鮮軍のマークらしい図形が見える。炎上した形跡はない。
これまで当局は、国籍不明機の小型機が遼寧省撫順県に墜落した事実だけを発
表した。詳細は「調査中」という。
地図によると、墜落地点は瀋陽桃仙国際空港から約27キロメートルの位置。瀋
陽市の市街地にも近い。墜落機が北朝鮮国境から最短距離で到達したとすると、
中国領内を160キロメートル程度飛行したことになる。中国のインターネット
では、自国軍は何をしていたとの非難の声が出はじめた。
インターネットでは、ユーザーの投稿による墜落機の写真2点も発表された。
銃撃を受けた痕跡は確認できない。機体が炎上した形跡はない。機体の多くの
部分は、墜落の際にかぶったと見られる土や瓦礫(がれき)に覆われている。
操縦席は見えない。搭乗者も写っていない。機体後部は原形が残っていること
から、機体は地面に比較的浅い角度で突っ込んだ可能性が高い。
写真に炎上した形跡がないことから、墜落機は燃料切れで墜落したとの見方が
成り立つ。写真では、地元住民らが、墜落機にかぶさった瓦礫(がれき)を取
り除く作業をしている。爆発などの危険はないとの判断があったと考えられる。
墜落地点は、瀋陽桃仙国際空港の滑走路の方向から、約23度の角度。墜落機は、
同空港への着陸を試みた可能性がある。
中国のインターネットでは、同機は北朝鮮軍のミグ21戦闘機との見方が発表さ
れた。
(Searchina 2010/8/18)
北朝鮮の軍用機は「故障で侵入・墜落」、中国が公式発表
中国の遼寧省撫順県拉古郷で17日午後、北朝鮮の軍用機が墜落した事故に対し、
新華社通信は19日、「北朝鮮機が中国領空に侵入し、墜落したのは機械系統の
故障によるものだ」と発表した。鳳凰網が報じた。
報道によれば、現在、中国と北朝鮮は事故の処理をめぐって協議を行い、何ら
かの一致を見たという。新華社は詳しい情報については触れず、「北朝鮮側は
中国に『意図しない事故』について謝意を表明した」と報じた。
(Searchina 2010/8/19)
ロシアへの亡命という説も出た北朝鮮戦闘機の中国瀋陽郊外での墜
落事件ですが、中国当局から事故という公式発表が出ました。
公式発表で友好国からの「亡命」とも言えないだろうという意見も
あろうかと思いますが、私は、この件については、本当に事故であ
ったろうと考えています。
しかし、これが事故であったとしても、その意味する処は、北朝鮮
にとって芳しいものとは言えない様に思います。
事故の内容ですが、
鴨緑江付近をパトロール中であった北朝鮮のミグ21で故障が発生
し、約160km離れた中国の瀋陽付近(空港から27km)の位置に墜落し
ました。瀋陽空港の滑走路からの角度は、23度で同空港へ着陸しよ
うとした可能性があります。また、別の報道では瀋陽空港の周りを
二~三回旋回したという話もあります。
墜落した機体は、写真から見る限り、胴体着陸をした様にきれいで
後部の損傷は土に覆われていない所を見る限り、酷いものではあり
ません。爆発や燃料が燃えた様子も見えませんが、パイロットは死
亡したとの事です。
まず、飛行機が空中で何らかの異常を生じた時には、最寄の飛行場
に着陸するのが普通です。今回は、鴨緑江をパトロールしていた訳
で、すぐ近くに北朝鮮の飛行場があった筈です。それにも関わらず
なぜ、160kmも飛行して瀋陽に向かったのかという疑問があります。
また、機体の故障という発表ですが、具体的にどの様な故障が発生
したのかという疑問があります。写真を見る限り、機体は、真っ直
ぐに降りていますので、操縦は可能であったと思われます。また、
機体から発火していませんので燃料がゼロ状態になるまで、エンジ
ンは正常に作動していたと思われます。エンジンが正常で、操縦可
能であって、しかも墜落している訳ですから、離着陸装置関係の異
常が一番考えられます。また、墜落した機体の状況、特に翼を見る
と最初から翼から主脚が出ていなかった様にも見えます。
胴体着陸を行う場合、燃料を全部消費させるのはセオリー通りです
から事故原因は、着陸装置の異常と見て差し支えなさそうです。
では、着陸装置が故障した機体を何故中国に持っていき胴体着陸を
試みたのでしょうか?それは、一番胴体着陸に適した飛行場が、瀋
陽空港の滑走路だったと考えればパイロットは合理的な行動をとっ
た事になります。
パイロット訓練では緊急着陸の手順は、ソロ飛行を行う前に訓練し
ますが、その際に、ベストフィールドを探せと教わります。
機体に応じたベストフィールドを探さないといけませんが、ここで
問題なのは、北朝鮮のパイロットが北朝鮮国内にベストフィールド
を求める事ができなかったという点です。北朝鮮には戦闘機が緊急
着陸できる設備を持った飛行場がないという事になります。余程荒
れた滑走路状態になっているとしか考えにくいのです。
更に、胴体着陸したパイロットが生還できなかった点にも、疑問が
あります。滑走路でない処へ胴体着陸をすれば、大破するのは目に
見えています。それなのに緊急脱出用の射出機でパイロットが脱出
しなかった理由が分かりません。ひょっとすると、北朝鮮の戦闘機
の緊急脱出装置は動作しないようになっているのではないか思われ
るのです。
つまり、北朝鮮の戦闘機は、空中で、離着陸装置の異常を発生し、
緊急着陸しようとしたが、鴨緑江の近くには、緊急着陸に適した自
国の飛行場がなく、中国の瀋陽空港まで飛行したが、胴体着陸に備
え、機内燃料を消費させていた処、空港から27kmはなれた場所で燃
料切れとなり胴体着陸をしようとしたが失敗、緊急脱出用の射出機
は使用できずパイロットは死亡したという事になります。
これが事実であれば、北朝鮮の空軍の実情はお寒い限りであると言
わざるを得ないのです。
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