2009年3月13日金曜日

MDに撃ち落された北朝鮮


※図は毎日新聞サイトから転載

北朝鮮 衛星発射で秋田沖など危険区域 IMOに事前通告

北朝鮮が国際海事機関(IMO、本部ロンドン)に対し、4月4日から8日の
間に打ち上げると事前通告した実験通信衛星は、日本海・太平洋の方向に発射
されることが12日、分かった。日韓両政府が明らかにした。通告は、「ロケ
ット」の1段目が日本海に、2段目が太平洋に落下する内容。日本海に向け発
射されれば、98年の長距離弾道ミサイル「テポドン1号」と同様に、日本列
島を飛び越える可能性が高い。

IMOから両政府に入った連絡によると、4月4~8日の期間中、北朝鮮は午
前11時から午後4時(日本時間)まで、秋田県西方沖の日本海や、日本列島
から東へ2000キロ以上離れた太平洋に船舶や航空機が接近しないよう危険
区域を設定した。

北朝鮮は98年と06年に長距離弾道ミサイル発射実験をしたが、国際機関に
事前通告したのは初めて。

北朝鮮は咸鏡北道花台郡舞水端里(ハムギョンプクドファデグンムスダンリ)
のミサイル発射基地で長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準備を進め
ているとみられるが、同国は実験通信衛星「光明星2号」を積んだロケット
「銀河2号」だと主張している。

12日の朝鮮中央通信によると、北朝鮮はIMOのほか国際民間航空機関
(ICAO、本部モントリオール)にも打ち上げに関する情報を通告した。
IMOは船舶の安全、ICAOは航空機の安全確保のため、締約国にミサイル
発射などの事前通告を義務化。北朝鮮は、国際社会の批判をかわすため、ルー
ルに沿った手続きをとった可能性が高い。

◇海保が航行警報

北朝鮮が人工衛星の打ち上げを国際海事機関(IMO)に通告した問題で、海
上保安庁は12日深夜、航行警報を出した。4月4~8日の午前11時~午後
4時にかけ、秋田沖約130キロの日本海上(南北20キロ、東西250キロ)
と銚子沖約2150キロの太平洋上(南北160キロ、東西800キロ)を危
険区域に設定。付近を航行する船舶に注意を呼びかけた。

政府も12日夜、打ち上げに関する情報収集のため、首相官邸に情報連絡室を
設置。外務省も連絡室を開設した。河村建夫官房長官は「北朝鮮のミサイル関
連の動向については、引き続き重大な関心を持って情報の収集に努める考えだ。
今後とも、状況に応じて、適切な対応を取る」とのコメントを発表した。

(毎日新聞 2009/3/13)

記事の中では、ミサイル実験に対する批判をかわす為に、衛星打上
げの事前通告をしたのではという観測をしていますが、私は、もう
一つの大きな要素があると思います。

前回、前々回の弾道ミサイル実験では、事前通告など行わなかった
のに、何故か、今回は、必要な宇宙条約にも急遽加盟し、IMOに
も事前通告を行っています。

前回の「光明星1号」の打ち上げ?の際は、北朝鮮は、こういった
配慮を行っておらず、国際的な批判を完全に無視しました。98年、
06年と今年で、国際的な批判に質的な変化があったのかと言えば、
あまり明白な違いはありません。勿論、韓国の政権が保守派の李明
博政権に変わった事や、米国のオバマ政権が誕生した事が上げられ
ますが、両政権共に、北朝鮮が弾道ミサイル実験を行う事そのもの
に反対しているのであり、衛星打上げを通告したからと言って、両
政権との関係が大きく改善するとは、思われません。

それでは、一番大きな違いはなんでしょうか? それは、米国と日
本で、MDが実戦配備され、弾道ミサイルの撃墜が可能となった事
及び、今回の弾道ミサイル実験(衛星打上げ)で必要とあれば、ミサ
イル弾頭(衛星)を撃墜するという態度を両国が明確にした事です。

それに加えて、今回、北朝鮮は「本当に」衛星を打ち上げようとし
ているとも考えられます。つまり、北朝鮮の当局者から見て、通常
の弾道ミサイル実験では必ずしも必要ではない配慮が、絶対に必要
となる条件があるのです。

それは、衛星に「光明星」という名前がついているという事です。
「光明星」は言うまでもなく金正日の美称である「白頭光明星(ペ
クトゥグァンミョンソン)」にちなんだ名前です。北朝鮮の当局に
とって、金正日は命に替えて守らねばならない対象です。もし、日
米が「光明星」衛星を打ち落としたとなればどうなるでしょうか。
日米によって「金正日」が叩き落されたなど、恥ずかしくて、北朝
鮮では日米を非難する報道すらできない事になります。

その為、日米がMDを使って衛星(弾頭)を撃ち落す事がないよう、
急遽、必死の思いで、国際的な手続きを整えたのではないでしょうか?

ナチスドイツは、第二次大戦開戦直後、「ドイッチュラント」と名前
のついていたポケット戦艦を急遽「リュッツォ」と改名しました。
その理由は、ドイツの名を冠した艦が沈んだ時の、国民に対する心
理的、宣伝的影響を考慮しての事でした。

独裁国家は、独裁者や国家のイメージを重視しますから、北朝鮮の
今回の行動も同じ様な考慮が働いた結果と解する事は、一定の合理
性があると考えるのです。

今回の件は、日米のミサイル撃墜に対する準備と強い態度が、北朝
鮮を国際ルールに従わせた
訳であり、そう考えると、少しは溜飲が
下がる思いがします。


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2009年3月12日木曜日

不法移民に対しては厳正に対処すべし


※写真は東京新聞サイトより転載

お涙頂戴の情緒論を排す

フィリピン家族―森法相はここで英断を

一家は埼玉県蕨市で暮らしている。36歳の夫は、内装解体会社で後輩に仕事
を教える立場になった。38歳の妻は専業主婦。13歳の娘は、音楽の部活動
に打ち込む中学1年生だ。どこにでもいそうな3人家族。フィリピン人のカル
デロン一家である。
一家は17日に強制送還されるかもしれない。両親が90年代前半に、それぞ
れ偽造旅券を使って入国したからだ。妻は06年に不法在留で逮捕され、執行
猶予付きの有罪となった。昨年9月には一家の国外退去処分が確定した。
退去処分になっても、家族の事情や人道的配慮から法相が滞在を認める制度が
ある。この在留特別許可を一家は求めたが、認められなかった。

法務省の姿勢はこうだ。極めて悪質な不正入国だ。十数年滞在した事実はある
が、ほかの不法滞在者への影響を考えると厳格な処分で臨むべきだ。裁判所も
退去処分を認めている。法律論はその通りだ。だが、だからといって子どもの
幸福をないがしろにしていいわけはない。

彼女は日本で生まれ育ち、日本語しか分からない。「母国は日本。家族とも友
だちとも離れたくない」という。思春期のごく普通の女の子だ。

同じようなケースで、子どもが中学生以上だった場合には在留が認められたこ
とがある。「処分が出た時に長女は小学生。中学生になったのは訴訟で争った
からで、すぐに帰国した人との公平を欠く」という法務省の説明に、説得力は
あるだろうか。

法務省も、近所の親類に預けることを前提に長女だけに在留許可を出し、両親
が会いに来るときは再入国を認めるとの案も示した。そこまで配慮できるのな
ら、森法相はいっそ一家全員に在留特別許可は出せないものか。
彼女の望みをかなえることが、日本社会に不利益を及ぼすとは思えない。

長女の学校の友人や地域住民らからは、一家の残留を求める嘆願書が約2万人
分も集まっているという。蕨市議会は「長女の成長と学習を保障する見地から
一家の在留特別許可を求める」との意見書を採択した。
一家はすでに地域社会を構成する隣人として認められ、職場や地域に十分貢献
している。一人娘は将来、日本を支える一人になってくれるはずだ。

日本に不法に残留する外国人は約11万人とされる。日本社会に溶け込み、い
まさら帰国しても生計が立たない人々は多いだろう。在留特別許可も年1万件
前後認められている。

日本社会ではすでに外国人が大きな担い手になっている。今回のようなケース
はこれからも起きるだろう。いまの入管行政でそれに対応できるのか。社会の
一員として認めるべき外国人は速やかに救済する。そんな審査システムをつく
ることが検討されていい。

(朝日新聞 2009/3/12)

この処、カルデロン一家への在留特別許可に対する左翼系メディア
の押し込みがだんだんと喧しくなってきました。主婦層の同情を得
易いテレビ写りの良い女子中学生が対象になっている点も、大騒ぎ
の原因と言えますが、冷静に考えると、これは非常に変な話であり、
これで在留が認められるならば、今後この事例を前例とし、日本は
不法移民天国になってしまいます。

今ですら、韓国からの不法移民が大手を振って日本に入国し、一定
の時間が経る事で、在留特別許可を簡単に得ている現実があります。
そして、この不況の下、日本人には生活保護がなかなか許可されな
いにも係わらず、在日朝鮮・韓国人は、その三分の二が生活保護を
簡単に受給できているという実態があります。(勿論、税金は払っ
ていません。)

今回のカルデロン一家の場合、両親は、偽造旅券による不法入国で
あり、朝日新聞の言う通りに、家族全員に在留特別許可を与えた場
合、日本語しかできない子供がいれば、不法入国者は自動的に在留
許可が与えられる事になってしまい、実態としてはほぼ無制限に不
法移民に在留許可が与えられる事になってしまいます。

それでは、不法移民は、それ程の保護に値する清い存在なのでしょ
うか?

カルデロン一家の場合、元々の国籍はフィリピンです。従って、彼
らは、まずは、自国に対し貢献する義務がある筈です。勿論、経済
状態の違いがありますから仕事が得られないという事情はあるでし
ょうが、フィリピンに残って自国の繁栄に向けて努力している人々
からすれば、先進国に不法入国して高い生活水準を謳歌している自
国民は、祖国に寄与しない利己主義者、裏切りもの以外の何者でも
ありません。

不法移民の在留国側でも、不法移民の雇用者こそ、低賃金の労働者
を雇用できるメリットはあっても、本来、自国民に対して提供され
た筈の職場を奪っている事で、失業者を生み出し、さらにその失業
者に対する、社会給付によって社会に二重の負担をさせた上、更に
碌に税金を払う事もなく、社会保障制度のみを享受している訳で、
不法移民は三重四重にも在留国社会に負担をかけていると言えます。

従って、日本国と国民を守る為には、朝日新聞のご高説に対し、反
対を唱えざるを得ないのです。


朝日新聞社説の提起した諸点について小欄の意見は以下の通りです。

◎極めて悪質な不正入国に対し、ほかの不法滞在者への影響を考える
と厳格な処分で臨むべきか?

朝日 法律論はその通りだ。だからといって子どもの幸福をないが
   しろにしていいわけはない。

小欄 子供がかわいそうだと言って、法律をないがしろにして良い
   訳がない。子供の幸福と不法入国は本来無関係。子供の幸福
   を望むならば、そもそも不法入国を行うべきではない。また、
   いつでも帰国可能とする準備を行うのが親の責務。子供が日
   本語しかできないのは両親の責任。その程度の責任感しかな
   い人間に在留特別許可を得る資格があるのか疑問。

◎同じようなケースで、子どもが中学生以上だった場合には在留が
認められたことがある。「処分が出た時に長女は小学生。中学生にな
ったのは訴訟で争ったからで、すぐに帰国した人との公平を欠く」
という法務省の説明に、説得力はあるか?

朝日 明記していないが、説得力はない。

小欄 子供の適応性を考えれば、中学生を境に線を引き事には妥当
   性がある。また、処分時を基準にしないと、訴訟を行う事で、
   処分事態を有耶無耶にできる事になり、一層の不公正を助長
   する事になる。

◎森法相はいっそ一家全員に在留特別許可は出せないものか?
 在留特別許可も年1万件前後認められている。

朝日 一家全員に在留特別許可をだすべき。日本社会に不利益を及
   ぼすとは思えない。

小欄 既に一家は、不法入国を行い、その後も不法滞在を続けた事
   で日本国に大きな負担を強いている。それを許容すべきでは
   ない。また、在留特別許可を受けた者の生活保護受給率は、
   非常に高く、日本国と国民にとって大きな負担となっている。

◎日本社会ではすでに外国人が大きな担い手になっているか?

朝日 大きな担い手となっている。

小欄 人口比で言えば負担になりこそすれ、日本国の担い手になっ
   ているとは言いがたい。不法移民でなければ出来ない事があ
   る訳でもない。まずは日本国民の救済を優先すべし。



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2009年3月11日水曜日

北朝鮮はどうやって核実験なしに核兵器の小型化に成功したのか?


※写真はスカッド・ミサイル

北朝鮮が核兵器小型化に成功か 米情報機関が指摘

米国防情報局(DIA)のメープルズ局長は10日、上院軍事委員会に提出し
た書面で、北朝鮮が「核弾頭と弾道ミサイルを成功裏に一体化させられるかも
しれない」として、弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化技術獲得に成功
した可能性があるとの見方を示した。

DIAは北朝鮮が弾道ミサイルへの搭載を進めるため、小型核弾頭の研究を進
めているとみてきた。

昨年8月に脳卒中を起こしたとみられている金正日総書記の容体に関しては、
ほぼ回復しているようにみえると分析した。そのうえで、金総書記が急死した
場合、短期的には大混乱はおきずに「権力委譲は平穏に進む」との見通しを表
明した。ただ、北朝鮮は1人の権力者によって支配されてきたため、「長期的
には実力者間の権力争いで問題が大きくなっていく」と予測した。

また、ブレア国家情報長官は10日の上院軍事委員会公聴会で証言し、北朝鮮
が「人工衛星」と称して長距離弾道ミサイルを発射するとの見通しを示した。
長官は「(衛星打ち上げと)大陸間弾道ミサイルに使われる技術は区別がつか
ない」と述べ、北朝鮮が衛星打ち上げと主張しても、実際には長距離弾道ミサ
イル・テポドン2号の打ち上げとの見方を示した。

そのうえで、3段式のミサイルの場合、成功すればハワイやアラスカだけでな
くう米本土まで到達が可能になると指摘した。

一方、ブレア長官はイランの核開発に関しては、イランが高濃縮ウランの製造
を開始すれば、最短で2010年から2015年の間には核兵器生産に必要な
量の製造が可能との見方を示した。

(産経新聞 2009/3/11)

米国の情報機関の長が議会で報告した内容に疑義を挟むのは、蟷螂
の斧と言うべきなのかも知れませんが、常識から見てどうしても疑
問が残ります。

北朝鮮は、過去、不完全な核実験を一度しか行っていません。
核実験は無目的に行うのではありません。実用的な弾頭の完成だけ
とっても、核分裂物質の成形加工、中性子反射材と核分裂物質との
配置、配分、安全装置の設定、解除方法等々、最終的に核実験をし
なければ、確認できない項目は数多くあります。実際に、核の破壊
力を誇示したり、爆発それ自体の影響を調査すると言ったもの目的
以外に、過去各国で行われた数百回の核実験にはそれなりも理工学
的目的が設定されていた筈です。

北朝鮮だけが、一回の不完全な核実験だけで、弾頭小型化を完成さ
せたというのは、実験なしに実用弾頭を完成できたと言う事であり、
技術的に見て、あまりにもナンセンスとしか言いようが無い訳です。

では、北朝鮮が技術開発したのではない可能性はどうなのでしょう
か?まず、他の核保有国から弾頭の設計図そのものが流出した事が
考えられます。しかし、これらは、何れの国でも、国家最高機密で
す。当然充分な保安措置が取られている筈です。また、核弾頭設計
図を北朝鮮が入手できたとしても、ニセの設計図を掴まされた可能
性がある訳ですから、実際にそれが稼動するかどうか確認する為の
核実験が必要になります。

報道では、小型化技術獲得に成功とありますが、北朝鮮が弾頭その
ものを入手していた場合はどうでしょうか?
北朝鮮の弾道ミサイルの元になったのは旧ソ連のスカッド・ミサイ
ルですが、スカッドには、核弾頭を搭載可能なものがあります。
(スカッド-A、-B、-D) ですから、それらに搭載する実戦用
核弾頭を北朝鮮旧ソ連の崩壊の混乱期にロシアから入手していれば、
問題はミサイル側だけなので、「核弾頭と弾道ミサイルを成功裏に
一体化させられるかもしれない」と言えるのかも知れません。

つまり、DIA局長の言葉が正しいとすれば、それは北朝鮮が製造
したものではなく、旧ソ連またはロシアが製造し、北朝鮮が秘密裏
に獲得した弾頭であり、DIAはその情報をロシアから入出したの
ではないかと思われるのです。


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2009年3月10日火曜日

ミサイルを撃ち落されても実は原因が判らない北朝鮮...


※中国の衛星追跡艦 遠望5号 「日本周辺の軍事兵器」サイトから転載

ミサイル迎撃なら日米韓に報復=南北の通信遮断-北朝鮮

北朝鮮の朝鮮中央通信によると、朝鮮人民軍総参謀部スポークスマンは9日、
北朝鮮が「人工衛星」と称して発射準備を進めている長距離弾道ミサイルを日
米韓が迎撃すれば、「(日米韓の)本拠地に対する正義の報復打撃戦を開始す
る」との声明を発表した。朝鮮通信(東京)が伝えた。
声明はさらに、9日に始まった米韓合同軍事演習を「北侵戦争演習」と非難。
韓国との間で唯一残っていた連絡網である軍当局間の通信回線を9日から20日
までの同演習期間中、遮断すると宣言した。
これまでも北朝鮮は米韓合同軍事演習に反発してきており、5日には北朝鮮周
辺の日本海上空を通過する韓国の民間航空機の「安全を保証できなくなった」
との声明を出し、緊張を高めている。9日の声明はミサイル迎撃について「わ
れわれの平和的な衛星に対する迎撃はすなわち戦争を意味する」と主張した。

(時事通信 2009/3/9)


寝言は寝て言え第3弾です。
発射準備を進めている長距離弾道ミサイルを日米韓が迎撃すれば、
「本拠地に対する正義の報復打撃戦を開始する」との声明を発表し、
いつもながら威勢の良い北朝鮮です。

しかし、本気で、これを理由に戦争を開始しようとした場合、実は
非常に原始的な問題点を北朝鮮は抱えています。それは、衛星を打
ち落とされても、それを認識する方法がないと言う事です。
つまり、衛星にしても、ミサイルの弾頭であっても、日米に迎撃さ
れて破壊されたのか、それとも、衛星なり、弾頭なりが故障したの
かを北朝鮮は、知るすべがないと言う点です。

通常、人工衛星であっても、ミサイル発射実験であっても、ペイロ
ードは、地上に自分の姿勢や加速度等をテレメトリー情報として、
送信しています。(実戦配備された弾道ミサイルについては、この様
なデータリンクはありませんが、実験目的では装備しています。) 
そして、このデータを解析する事で、衛星なりミサイル弾頭なりが、
正しく飛行しているかどうかを知る事が出来ます。

テレメトリーデータは、日本の衛星の場合はSバンド帯域で衛星か
ら送信されています。この帯域の電波は極超短波であり、直進性が
高いので、見通し外での受信が難しいのが特徴です。H-IIAの打ち
上げでも、小笠原地上局とクリスマス島地上局の間でテレメトリー
が受信できないギャプがあります。

弾道ミサイル実験などでは、この様なギャップが発生しない様に、
地上局を補う意味から、上掲の様なミサイル/衛星追跡艦で、テレ
メトリーを受信すると共に、レーダーにより衛星/弾頭を追跡出来
る様にしています。これは米国、ロシア、フランス、中国いずれも
同じで、同種の艦を保有しています。

これに対して、北朝鮮の場合は、この様なミサイル/衛星追跡艦を
保有しておらず、テレメトリーが止まっても、その原因を特定する
事ができないのです。また、北朝鮮は、日本の様に、小笠原諸島や
マーシャル諸島に地上局を持っている訳もなく、今回は中国もミサ
イル実験に反対しているので、ミサイル/衛星追跡艦を借りる事も
出来ません。

1998年のミサイル実験では、北朝鮮は、人工衛星「光明星1号」を打
ち上げたと発表し、大恥をかきましたが、その理由は、この辺にも
あります。

打ち上げてもいない人工衛星を打ち上げたと主張するのは、まだし
もカワイイ誤りと言えますが、人工衛星のテレメトリーが故障した
せいで戦争を仕掛けられたというのは、堪ったものではありません。
本当に戦争を仕掛けるのであれば、ミサイル実験をする前に、自力
で日米が迎撃を行ったかどうか観測手段程度は整備して欲しいもの
だと思います。


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2009年3月9日月曜日

漸くミサイル・ギャップに気がついた韓国


※画像は中央日報サイトから転載

韓国のミサイル戦力、北朝鮮の10%水準

「06年7月5日午前3時以降、7発の北朝鮮ミサイルが旗対嶺(キッテリョ
ン)基地から移動発射台を通じて30分間隔で発射された。 当時、盧武鉉
(ノ・ムヒョン)政権の青瓦台(チョンワデ、大統領府)は1発目の20分後、
米国からの通報でこの事実を知った」(外交安保研究院の尹徳敏・安保統一研究部長)  

この言葉は現在の韓国ミサイル戦力の問題を圧縮している。 ▽北朝鮮がミサ
イルを発射できないほどの抑制力を確保していない▽ミサイル発射情報を独自
で確保できない▽したがって戦争が起きても北朝鮮ミサイルを先制攻撃したり
防御することができない--という点だ。

このため最近の北朝鮮ミサイル発射の動きと関連し、軍の一部では政府の「ミ
サイル戦略」に対して批判の声が強まっている。

匿名を求めた軍関係者は「軍が南北ミサイル火力評価をしたところ、『韓国は
北朝鮮の10%水準』という結果が出たと聞いている」と述べた。この関係者
は「ミサイルの部分で韓国は事実上、北朝鮮に対応無策」とし「軍も問題点を
把握しているが無気力だ」と語った。尹部長も「北朝鮮のミサイルの前で韓国
の在来式戦力は無意味になった」と述べた。巡航ミサイル開発、パトリオット
ミサイル導入など韓国の先端戦力確保努力にもかかわらず、現実はなぜこうな
っているのか。

北朝鮮には射程距離の順にフロッグ・スカッド・ノドン・テポドンのミサイル
がある。フロッグは短距離用で、テポドンは射程距離が2500キロ以上の長
距離であるため米国・日本用だ。韓国にとって実質的な脅威であるスカッドと
ノドンは2個師団で編成されている。1個師団は射程距離340-550キロ
のスカッドB(北朝鮮名・火星5号)とスカッドC(火星6号)600基で武
装している。別の師団には射程距離1300キロのノドン1号200余基があ
る。ここに国防白書が最近紹介した新型中距離弾道ミサイル(IRBM)が含
まれる可能性がある。政府当局者は「射程距離2500-4000キロの
IRBMは沖縄とグアムの米軍基地を狙うが、この基地は有事の際、韓半島増
援と関連があり、結局は対南用となる」と述べた。

韓国は06年10月創設の誘導弾司令部が保有する弾道弾ミサイル玄武(ヒョ
ンム)2、3と天竜(チョンリョン)などを改良した巡航ミサイルで対応する。
「K-2」と呼ばれる玄武2は開発15年目の1987年に実戦配備された韓
国初の地対地ミサイルだ。公開されていないが500基が生産されたという観
測がある。問題は180キロという射程距離だ。北朝鮮の放射砲を覚悟し、休
戦ライン付近に配備されているが、平壌(ピョンヤン)には届かず、北朝鮮全
域への打撃は到底望めない。それでK-3ミサイルが登場した。

98年に北朝鮮の人工衛星が打ち上げられた後、韓国はミサイル関連技術輸出
規制(MTC)に加入し、射程距離を延長した。これに基づき開発されたミサ
イルが‘K-3’と呼ばれる射程距離300キロの玄武3だ。100基が実戦
配備されたと伝えられている。これより長い射程距離の弾道ミサイルはない。
休戦ラインから300キロ以上の地域を打撃できる韓国の弾道ミサイルはない
ということだ。

このため問題が発生する。 短い射程距離だけではない。 北朝鮮はミサイル基
地を山岳の北側斜面に集中配備し、南からの弾道ミサイル攻撃から免れる点も
問題だ。両江道(リャンガンド)ヨンジョ洞のミサイル基地は中国側の傾斜面
にある。こうした事情を総合して射程距離1000キロのクルーズミサイル天
竜と玄武3の変形ミサイルなど巡航ミサイルが登場した。しかしいつ実戦配備
されるかは明らかでない。軍関係者は「量産の話は聞いたことがない」と語った。

玄武では地下ミサイル基地破壊が難しく、スカッド発射台が移動するため把握
が難しいという問題を解決するレベルで先端貫通型ミサイル「エイタクムス」
(ATACMS)も100基ほど導入された。しかしエイタクムスの射程距離
は300キロにすぎない。

要するに攻撃部門では、射程距離300キロの玄武3弾道ミサイル100基と
エイタクムス100基が、射程距離340キロ以上のスカッド・ノドン800
基に対抗するということだ。南のミサイルは平壌の北側に並ぶミサイル基地ま
で届かないが、北朝鮮は済州道(チェジュド)まで攻撃できる状況だ。スカッ
ドの正確度が落ちるとはいえ、外交部当局者、軍関係者ともに「スカッドは核
弾頭や生化学弾頭を搭載できるという点で怖い」と指摘する。

国防研究院懸案研究委員会のキム・テウ委員長は「これまで攻撃ミサイルには
投資が少なく、防御に比重が置かれたために生じた事態」とし「防御と抑制的
攻撃力の均衡を保ち、北朝鮮とのミサイルギャップを縮小する必要がある」と
述べた。抑制のためのミサイル戦力確保が第1段階であり、防御が第2段階と
いうことだ。

別の軍関係者は「この際、玄武3ミサイルとクルーズミサイルを大量生産し、
米国との射程距離再交渉を通して北朝鮮ミサイルへの対応を進めなければなら
ない」と提示した。

第17代国会国防委幹事を務めた黄震夏(ファン・ジンハ)議員(ハンナラ党)
も「北朝鮮ミサイルの脅威が強まっているため、玄武3などミサイルをさらに
開発しなければならない必要性が当然生じる」とし「北側に‘悪事を働けば何
倍もの罰を受ける’という点を知らせる必要性がある」と述べた。

国防研究院安保戦略センターのチャ・ドゥヒョン博士も「北朝鮮に‘攻撃すれ
ば亡びる’という認識を与えられるよう‘恐怖の均衡’を保つことが重要だ」
とし「弾道ミサイルを追加開発し、巡航ミサイルの弾頭重量を増やし、火力を
強化する問題を検討しなければならない」と話した。

(中央日報 2009/03/06)



進歩派10年支配の間、韓国の国防費は伸び続けました。ただ、日本
を仮想敵国と考えている様な、ミサイル駆逐艦や、強襲揚陸艦、潜
水艦の整備には熱心でしたが、北朝鮮に対抗する師団防空用のミサ
イル整備や、対砲レーダーの整備、戦力倍増要素となる師団、連隊
単位の情報システム構築や早期警戒機の導入には何故か及び腰であ
り、戦力整備の焦点が分散している様な印象を受ける事が多かった
のです。記事にもある様に、現在、北朝鮮が唯一、韓国に優越する
のが、弾道ミサイル戦力です。韓国はこれに対し、短距離ミサイル
である対空ミサイル、ナイキ・ハーキュリーズ改造の玄武2,3と
ATMCMSで対抗しているだけなのです。

弾道ミサイルに関しては、米国から韓国に対し、長く、射程距離に
関する制限が付けられていたと言います。恐らく、韓国から北朝鮮
を挑発する様な事態を避ける意図があったのかと思われますが、こ
の分野への韓国の参入は、意図的に遅らされた様にも思えます。
今でこそMDが実用化していますが、長い間、弾道ミサイルへの対
抗策は弾道ミサイルしかありませんでした。

ヨーロッパで、ソ連が移動式中距離弾道弾SS-20を配備したのに対
し、米軍は、パーシングS/MRBMの配備で対抗しました。この対比で
考えれば、北朝鮮のスカッド、ノドンに対しては、韓国は、パーシ
ングで対抗すべきであったのに対し、これへの対処を行われていま
せん。更に、北朝鮮の弾道ミサイルが、着弾までの時間が短い奇襲
兵器である為、その早期警戒態勢整備が重要になりますが、韓国は
これに対しても、充分な対応を取ったとは言い難いのです。

それに対して、対北朝鮮用の軍備としては、殆ど意味を持たない海
上兵力整備に1兆円(一隻、400億円の駆逐艦3隻、500億円の駆逐艦
6隻、1500億円のイージス艦3隻、800億円の強襲揚陸艦1隻)近い
資金を投入したのです。正面兵力整備の1兆円は非常に大きな金額
です。まさに国家の命運を決める資金であったと言えます。そして、
左翼政権は、意図的に日本との竹島問題での対立を煽り立て、日本
を仮想敵国視する事で、この無意味な投資を正当化したのだと言え
ます。それは、韓国の「主敵」北朝鮮から、国民の目を逸らす策略
であったとすら言えます。

その間、北朝鮮は、弾道ミサイルと核開発に「だけ」焦点を当てた
軍事力整備と自国民を犠牲にした外国援助の獲得の戦いを実施して
いたのです。それは、まさに金正日体制サバイバルの為の戦いであ
ったと言えます。

軍事力の整備には時間がかかります。一度失った時間は元には戻り
ません。今、韓国は北朝鮮の弾道ミサイルの脅威の前に無力な姿を
晒らしていると言えます。その意味で、本当の脅威から目をそらし
続けた、韓国の左翼政権による対北軍事力整備の失われた10年の
本当の影響はこれから明らかになると言える様に思います。



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2009年3月6日金曜日

宛 北朝鮮国防委員長 「テポドン ハヤク ウテ」



※画像は以下のサイトより転載
http://honey-room.air-nifty.com/blog/cat3866335/index.html

ミサイル発射なら北資産を凍結 日本政府

政府は5日、北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の改良型とみられ
る「人工衛星」を発射した場合、現行の制裁措置に加え、在日本朝鮮人総連合
会(朝鮮総連)など北朝鮮関係団体の資産凍結や輸出制限措置を発動する方針
を固めた。北朝鮮による核開発やミサイル関連部品の入手を防ぎ、資金源を断
つのがねらいで、国連安全保障理事会にも制裁強化を提起する。また、第3国
経由の不正輸出や海外送金に関しては、外為法などの罰則強化も検討する。

外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長と北朝鮮担当のボスワース米特別代表は5
日の会談で北朝鮮が「人工衛星」の打ち上げと発表した場合でも、国連安全保
障理事会決議違反に当たることを確認。斎木氏は制裁策として、北朝鮮関係団
体の資産凍結など日本側の対応を説明したもようだ。

資産凍結では、米国がマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑いでマカ
オの北朝鮮の関連口座を凍結したことがあり、「日本でも朝鮮総連関係などの
資産が凍結されれば効果は大きい」(政府関係者)とみられる。また、北朝鮮
への輸出を原則禁止とし、アジア諸国を経由した迂回(うかい)輸出の監視も
強化する。

国連加盟国は2006年11月の安保理決議1718号に基づき、北朝鮮の核
開発や大量破壊兵器、弾道ミサイル計画に関連する資産・口座を凍結できる。
政府は凍結対象を広げ、「武器関連」とする新たな安保理決議採択を求めるこ
とも検討している。

政府が北朝鮮の弾道ミサイル発射に合わせた制裁強化の方針を固めた背景には、
「北朝鮮の弾道ミサイルの脅威を一番受けるのは日本」(外務省筋)という安
全保障上の要請や、拉致問題が一向に進展しない現状がある。北朝鮮関連団体
の資産凍結や輸出制限はすでに厳しい制裁措置を科してきた日本にとって「数
少ないカード」(政府筋)だ。日本の毅然(きぜん)とした姿勢を国内外にア
ピールし、国際的な対北包囲網を再構築する狙いもある。

「北朝鮮は国連の安保理決議違反だけでなく、日本を無視し、拉致問題に関す
る約束も守っていない。仮にミサイルを撃てば『行動対行動』だ」

政府筋の一人は追加制裁の目的について、こう説明する。昨年8月の日朝公式
実務者協議で合意した拉致被害者の再調査は実行されない一方で、米国が北朝
鮮のテロ支援国家指定を解除してしまった現在、日本は独自の対応を迫られて
いるという事情もある。

オバマ新政権の対北朝鮮政策はまだ明確でないが、「米朝直接対話と6カ国協
議の両輪で進める」(米政府関係者)とみられる。日本としては国際的にも非
難される弾道ミサイル発射を機に制裁措置を強化することで、米国や韓国など
関係国の対北政策をリードしたい思惑もある。

政府内の一部には、今回の北朝鮮の弾道ミサイル発射準備について、「北朝鮮
は、日本方面にミサイルを撃つというバカなことはしない」(外務省幹部)と
たかをくくり、圧力強化に消極的な意見もある。

しかし、北朝鮮が平成10年8月に発射した「テポドン」は三陸沖の太平洋に
着弾。18年7月に「テポドン2号」など計7発を発射したときには日本海に
着弾しており、弾道ミサイルの脅威を日本が強く受けていることは紛れもない
事実だ。

日本国内から、北朝鮮の核・ミサイル開発に転用可能な部品や装置などの不正
輸出が継続的に行われてきた実態もあり、追加制裁の必要性は以前から指摘さ
れてきた。制裁強化には拉致問題の進展を北朝鮮に迫る効果も期待できそうだ。

(産経新聞 2009/03/06)

新聞は小沢氏秘書逮捕で大騒ぎですが、実はこの処、外交問題で麻
生内閣の得点が続いています。

最初は、先月サハリンで行われた麻生首相とロシアのメドベージェ
フ大統領との会談で、麻生首相が「(北方領土問題を最終的に解決
する)平和条約交渉に具体的な進展がみられなければ、日露のアジ
ア太平洋地域でのパートナーシップ関係の構築はできない」と指摘
し、これに対し、大統領もうなずき「検討する」と答えたという事
が判りました。一部マスコミは、麻生首相がサハリンを訪問した点
を対ロ弱腰外交と非難しましたが、実際は、外交上のポイントを上
げていたと言えます。

二点目は、日本が攻撃された場合に米国が日本を防衛する義務など
を定めた日米安全保障条約が尖閣諸島に適用されるかどうかの米側
解釈の問題を巡り、米国務省が4日、適用されるとの公式見解を示
した点です。この問題は、オバマ政権が従来の米国の解釈を継承し
た事を示したものですが、中国重視の民主党政権でも、従来の解釈
を変えるつもりがない点で、日米同盟の強固さが確認でき、且つ、
中国が尖閣諸島問題で実力行使する事を封じたと言えます。

それに続くのが、この記事です。米国はあまり知られていませんが
テロ支援国指定解除後も、北朝鮮の在米資産凍結を引き続き実施し
ていますが、拉致被害国である日本は、在日朝鮮人問題がある事か
ら、北朝鮮資産凍結に踏み切れないでいました。もし、この記事が
正しければ、麻生政権は、対北朝鮮政策で従来より一歩踏み込んだ
対決姿勢を示した点で、意味があると思われます。もっとも、朝鮮
総連は、バブル崩壊の影響を受け、本部施設他を売却しており、実
質的に総連資産を凍結されても、影響は殆どないと思われますが、
それでも、その次の策として、北朝鮮籍の在日朝鮮人の資産凍結を
連想させる事で、北朝鮮に対する揺さぶりをかける事ができると思
われます。

その一方で、これに北朝鮮が過剰反応しても、あまり影響はありま
せん。過去何度も北朝鮮は、対日強硬声明を出していますので、仮
に北朝鮮が、核恫喝が行ったとしても、それが麻生政権批判に結び
つくことはありませんし、仮に自衛隊によるテポドン撃墜が成功す
れば、麻生政権への内政上の大きなポイントになるとさえ言えます。

更に、付随的な効果としては、民主党に対しても地雷を一つ埋めた
こんだことにもなります。つまり、在日韓国・朝鮮人の影響が強い
民主党が、政権獲得後、北朝鮮政策を緩和しようとした場合は、こ
の総連資産凍結の解除を優先せざるを得ませんが、拉致問題の進展
なくそれを行った場合、民主党は、国民の非難を覚悟せなばならな
いという事です。

この様に考えていくと、麻生政権としては、北朝鮮がミサイルを発
射する事で、二重三重に、政治外交的なポイントを重ねる事が可能
になると思われるのです。

宛 朝鮮民主主義人民共和国国防委員長
発 日本国内閣総理大臣
本文
「テポドン ハヤク ウテ」


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2009年3月5日木曜日

各国の戦略ミサイル潜水艦パトロールの実態


※画像は、Russian Submarine Patrols 1981-2008。
FAS Strategic Security Blogより転載

ロシアによる戦略ミサイル原潜パトロールが回復中

By Hans M. Kristensen

アメリカ海軍の情報機関からFAS(全米科学者同盟)が得た情報によれば、ロシ
アは、昨年、1998年以降で最多の核弾道ミサイル潜水艦を戦略パトロールに
送りだした。

その情報によれば、ロシアの戦略ミサイル潜水艦は2008年に10回のパトロール
を行ったが、2007年は3回、2006年には5回、2002年には、戦略パトロールま
ったく行われていなかった。

ロシア戦略ミサイル原潜パトロールの復活?

過去10年の間、ロシアに残された11隻の戦略ミサイル原潜(SSBN)は連続的な戦
略パトロールを維持していなかったが、その代わりに訓練目的で時折パトロー
ルを行っていた。セルゲイ・イワノフ国防相が、2006年9月11日に語った処では、
その時点で、5隻のSSBNがパトロール中であった。しかし、その数がその年に
実施されたパトロールの回数に一致した事から、それは連続的に実施されたと
言うよりも、むしろ一斉パトロールだった事が明らかになった。

それとは対照的に、アメリカ合衆国、フランス、英国は、連続的なパトロール
を少なくとも1隻のSSBNで行っている。アメリカ合衆国の場合、その14隻の
SSBNの内、3分の2はどんな時間にでも海上にあり。内4隻は警戒待機状態に
ある。

2008年の10回というロシアのパトロール回数は、ロシアが連続的なSSBNによる
パトロールを再開したかどうかという問題を提起している。ロシアによる戦略
SSBNパトロールの期間も間隔もわかっていない。もし、彼らが36日以上海上に
あって、重複がなければ、ロシアには連続的な海上の核抑止力があると言える。
しかし、2006年にように固まって行われるならば、海上核抑止の体制はまだ散
発的なものと言える。

Ryazanの航海

アメリカ海軍の情報機関から得られた情報では特定されていないが、ロシアの
パトロールのうちの1つは、恐らく、バレンツ海のコラ半島にある北方艦隊か
らカムチャッカ半島にある太平洋艦隊へのデルタIII級潜水艦Ryazanの30日間
の海氷下航海である。

Ryazanは、2008年8月1日に、弾道ミサイル、恐らくはSS-N-18(珍しくミサイル
タイプは公表されなかった)の、バレンツ海からのテスト発射に成功した。
このテストでは、弾頭は北ロシアを横断し、カムチャッカ半島のクラ試験場に
着弾した。

8月の終わりに、Ryazanは北方艦隊を出発し、氷に覆われたロシア北岸の海氷
の下を航行し、ベーリング海峡を通って南下し、ウラジオストックの弾道ミサ
イル潜水艦基地に9月30日に到着した。

軍備管理上の意味

オバマ政権は戦略核戦力の削減を提案しており、クレムリンはそれに好意的に
応えるようである。ちょうどその時、ロシアのSSBNが冷戦時代の習慣に復帰し
連続的な海上核抑止パトロールを実行するというのであれば、それは、とても
皮肉な事と思われる。

長射程核ミサイルを大規模な第一撃を耐えぬくために海洋の深みに隠す、連続
的なSSBNパトロールは、冷戦の最後の象徴の1つである。米国のSSBNは1980年
代のそれに相当するパトロール率を維持しており、フランスと英国も、両者が
先月衝突した事で明らかになった様に、常時1または、2隻を海上にしておこ
うとし続けている。そして、中国とインドもSSBN艦隊を建造しようとしている。

多くの人々は、SSBNは、純粋に報復的な武器であり、受動的に海に隠れている
と考えている。しかし、アメリカとロシアの核兵力がさらに削減され、そして、
中国とインドがSSBNクラブに加われば、前方配備された水中の核兵器は核軍縮
に最も挑戦的な問題の一つになるに違いない。

(FAS Strategic Security Blog 2009/2/17)


1月に英国とフランスの戦略ミサイル原潜(SSBN)が衝突事故を起こ
した事で、はしなくも、核大国が依然としてSSBNによる核抑止を実
施している事が明らかになりました。

このFASのブログのエントリーによれば、米国は冷戦時代と全く変
わりない戦略核抑止体制を引き続き実施しており、英国やフランス
も最低限の海上核抑止体制を維持しています。更に、中国やインド
という新興国もSSBNクラブに加入してくる事も予想しています。
(公然の秘密と言うべきでしょうが...。)

オバマ政権が戦略兵器の更なる削減を行おうとしている時にロシア
によるSSBNパトロールが復活する事は、確かに皮肉ではありますが
より皮肉な事は、各超大国が核軍縮を行えば行う程、中国やインド
と言った新興核保有国との核戦力格差が縮小していく事です。

中国やインドは、戦略兵器削減交渉の埒外ですから兵力拡大は自由
に行えます。現状では、米国は14隻、ロシアは11隻、中国は4
隻程度のSSBNを保有おり、その差は絶対的なものと言えます。しか
し、戦略兵器削減交渉で米ロがSSBNを半数に削減すると、米ロ各々
7隻、6隻の保有状況となり、中国の4隻と隻数では余り変わらな
くなってしまいます。

現時点では、弾頭数やMaRV化の度合い、射程等で、技術的には、大
きな格差があるものの、中国には追う側のメリットがあります。中
国が軍事費の拡大を続けていく限り、その差は急速に縮小していく
筈です。

つまり、米ロが戦略兵器削減交渉で大規模な核軍種を行えば行う程、
中国の核戦力が相対的に強化され、米ロ両国は、ますます、中国を
戦略的に無視できなくなる事になります。勿論、これは、インドに
ついても同様ですので、核戦力においても近い将来、世界は多極化
に向かい、つれて不安定さを増すと考えられるのです。


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2009年3月4日水曜日

エアバスA350の生産準備を加速


※画像はA350のサブアセンブリー担当会社の生産準備状況

エアバスA350とパートナー各社は生産準備を加速中

エアバスとそのヨーロッパと米国中に跨るプログラムパートナーは、A350 XWB
生産の開始に向け、工場の新設や既存基盤の拡張等の準備を加速している。
A350のために修正された生産フローでは、最終的なアセンブリを合理化するよ
うになっており、現在の生産プログラムより完成度の高い状態でトゥールーズ
にベルーガ(A350機材輸送専用機)で到着するようサブアセンブリーに要求して
いる。

A350の生産の大半は、エアバスのヨーロッパ各地の工場とフランスとドイツに
ある独立部門であるAeroliaとPremium Aerotechによって請け負われている。

トゥールーズではA330/A340用組立施設群の隣接地にA350製造施設の旗艦的存
在になる最終組立てラインの建設が、この1月から始まった。そして、フラン
ス、ドイツ、スペイン、英国、米国でも、この双発機の為の新しい工場の建設
が進行している。

「より効率性が高く、最適化された重複部分を持つ改善されたプロセスにより、
最終的な組立てラインとその前工程のリードタイムの30%の削減達成を目標と
している」と、A350生産計画管理担当責任者であるフィリップ・ローネー
が語っている。

彼は、A350のための一般的な方針は、サブアセンブリーが現状の他のエアバス
プログラムより「機材に関する統合度のより高いレベル」で、最終組立てライ
ンに届けられるということであると言う。

「中央高地(セントラル・プラトー)配置というのは、すべての製造と、エンジ
ニアリング能力が、サプライヤーのものも含め、1つの場所にある事を意味し
ており、これによって、より短いリードタイムで、プロセスを改善し、より効
率的なプロセスが提供可能となる。」と、ローネーは言う。

胴体前部製造プロセスは、サプライヤーの共同配置がどのように働くかという
一例である。米国にあるパートナー企業Spirit AeroSystems社はノースカロラ
イナ州キンストンの新しい工場で複合材料製胴体シェルを製作して、それをサ
ンナゼールのエアバス施設に隣接した自社の新しい専用の工場に出荷する。
そして、そこで、胴体シェルは完成され、エアバスに組み立て用として届けら
れる。「Spirit社は、2009年第2四半期にはサンナゼール工場の配置を確定さ
せる」と、ローネーは語っている。

(flightglobal 2009/2/13)


一時は、開発に圧倒的な差のあったBoeing787とAirbusA350ですが、
ボーイング社が、原型機の生産にもたつく間に、エアバス社は、ボ
ーイングの失敗を横目で見ながら、着々とA350の生産準備を進めて
いるようです。

両社の新しい生産工程は非常に良く似ています。両者共に世界中に
散在する下請け会社を活用する方針で、自社は最終アセンブリーし
か担当せず、最終組み立て行程では、トヨタのJust in Time方式に
準じた部品供給により最短時間で機体を組み立てていくというもの
です。

ボーイング社が、サブアセンブリーが終わった大きな部材を自社の
エバレットに集めるだけであるのに対し、エアバス社は、記事にも
ある通り、サブアセンブリー担当会社も、エアバス最終組み立て工
場の隣接地に工場を持ち、ここで完成品に仕上げてから、エアバス
に引き渡す方法です。

ボーイングの場合、エバレットに引き渡してから、サブアセンブイ
ーでの不具合が見つかった場合は、その場で修正しなければならな
いのに対し、エアバスの場合は、不良のある部材は、担当会社に返
却すれば良いのと、不具合の説明がその場で担当会社の担当技術者
にFace to Faceで行えるという強みがあります。

生産が軌道に乗った後では、あまり変わりないと言えますが、生産
の立ち上がりの時期には明らかにエアバスの方が、改善が素早く行
え、不良の修正は担当会社に任せられる点、利点が多いと考えられ
ます。

この辺りの生産方法は、インドの10万ルピーカーであるタタ社の
nanoでも、部材供給メーカーを自社工場隣接地に配置する方法を取
っており、エアバス方法との類似が見て取れる点、興味深く思われ
ます。



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2009年3月3日火曜日

「拉致はカネで」論理的には正しい。しかし.....



※写真は民主党関係サイトからの転載

「拉致はカネで」…危うさ露呈「小沢首相」、ささやかれる総・代分離論

2月上旬、都内で開かれた民主党議員と支持者による会合。党代表、小沢一郎
が発した言葉に会場は一瞬凍りついた。

「拉致問題は北朝鮮に何を言っても解決しない。カネをいっぱい持っていき、
『何人かください』って言うしかないだろ」

日本人の人権と日本の主権を蹂躙(じゅうりん)した北朝鮮の犯罪をカネで決
着させる-。あまりにもドライな小沢発言は、当然のごとく、箝口(かんこう)
令が敷かれた。

外交・安全保障をめぐる小沢の「危うさ」が露呈し始めている。

2月24日、記者団に「米海軍第7艦隊で米国の極東の存在は十分だ」と語り、
波紋を広げた。「対等の日米同盟」を土台に、日本の防衛力増強を志向すると
受け取れる発言の真意を、側近は「安保論議を活性化させようとして投じた一
石だ」と代弁する。だが、党内にも「先を見据えない、浅はかな言葉だ」(幹
部)との批判が出ている。

「民主党に国民は不安も抱いている」。1月18日、民主党大会で国民新党代
表、綿貫民輔はこう指摘した。民主党が政権に王手をかけたいま、小沢が唐突
に繰り出す持論は、野党の足並みも乱している。
-以下略

(産経新聞 2009/3/02)

「拉致問題は北朝鮮に何を言っても解決しない。カネをいっぱい持
っていき、『何人かください』って言うしかないだろ」

拉致問題の解決方法は、基本的には二つしかありません。
一つは、日本が主体的に解決する方法であり、小沢氏が述べたカネ
で解決する方法です。
もう一つは、日本が主体的に解決するのではなく、経済制裁を続け
ながら、北朝鮮の体制崩壊を待つ方法です。

ソ連が衛星国を支配していた東欧圏とモンゴルは、ソ連の崩壊に前
後して体制崩壊が実現しましたが、残念ながら東アジアの共産圏は、
中心となる中国が、社会主義市場経済の採用という事実上の体制変
更を行っていながらも、共産党独裁体制を変えていないので、北朝
鮮やベトナムに見る様に体制崩壊は起こしてしませんし、最終的に
は中国の介入が予想される事から今後も起こる可能性は非常に少な
いと考えるべきかも知れません。

勿論、一見堅固に見える中国の共産党独裁体制も、ソ連のそれと同
様意外にあっけなく倒れる可能性があります。そうなれば、北朝鮮
でもかなりの高い確率で体制崩壊のドミノ現象は発生するかも知れ
ません。

とはいえ、現時点でそれがいつになるか判りませんから、拉致問題
を日本が「主体的に」解決するには、小沢氏の言う通り、「カネで
解決」しか方法がない事になります。最終的な解決になるかどうか、
また、拉致被害者の全員が帰ってくるかどうか判りません。死去し
た被害者の事情も不明のまま、巨額の経済援助という身代金が支払
われ、事件の再発防止すら口約束しか期待できないかも知れません。
しかし、それが現実なのです。ある日突然、米軍が北朝鮮を空爆す
るなどという幻想は発生しない事を肝に銘ずるべきなのです。

現憲法下では、国際間の紛争解決に武力は行使する事はできないの
ですから、それでも、拉致被害者が帰ってくるのであれば、日本と
しては、無力さを噛み締めながらでもそれを甘受するしかないので
す。日本国で北朝鮮による拉致を防止できなかった日本の体制の弱
さ故に発生した拉致事件の被害者を主体的に「救出するのか」、そ
れとも、北朝鮮の体制崩壊まで「放置するのか」が問われていると
換言できるのかも知れません。

ある意味で、小沢氏は、正直な政治家と言えるでしょう。北朝鮮と
の妥協を拒否する世論に従って問題が先送りにするのが一番政治的
な危険が少ないからです。加害者におべっかを使ってでも、拉致被
害者を救出するという選択は、国民の総スカンを引き起こす可能性
が極めて高いと言えますし、政治生命を絶たれるかもしれない選択
であるとも言えます。その様な凡百の政治家にはできない選択を小
沢氏が拉致被害者の生還の為に、強いて行うのであれば、小沢氏は
歴史に残る政治家であると言えるのかも知れません。

しかしながら、政治資金で後援会に不動産を購入させていた様な今
までの小沢氏の行動を見ていると、小沢氏には、そういう利他的な
行動を期待しがたく思われてならないのです。その点で、今回の発
言も、信念に基づく発言というよりも、拉致被害者よりも、寧ろ、
北朝鮮との国交回復に伴う経済援助の利権に力点の置かれたドライ
な考えの表れと考えた方が良いのかも知れません。
小沢氏の考えは確かに論理的には正しくはあるんですが....。



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2009年3月2日月曜日

インド国産空母「ヴィクラント」起工!


※写真はNHKサイトからの転載

印 初の国産空母建造へ起工式

急速な経済成長を背景に軍備の近代化を進めるインドが、初めての国産空母の
建造に乗り出し、28日、起工式が行われました。初めて建造される空母は、
排水量4万トン余り、全長260メートルで、戦闘機など30機を搭載できます。

インド南部、コチの海軍基地に併設された造船所で28日に行われた空母の起
工式には、アントニー国防相やインド海軍の関係者が出席しました。インド独
自の技術で初めて建造される空母は、排水量4万トン余り、全長260メート
ルで、戦闘機など30機を搭載できます。完成は5年後を目指しており、ロシ
アから新たに購入する予定の空母とあわせ、インド洋の海上交通路、いわゆる
シーレーンの安全確保を担うことになっています。インドが国産空母の建造に
乗り出す背景には、経済発展を続けるうえで欠かせない中東・アフリカ諸国か
らの石油の輸送路を守るだけでなく、同じく軍備増強を続ける中国が、海賊対
策でソマリア沖のインド洋に艦船を送るなど、南アジア周辺地域での影響力を
強めていることがあります。このため、インドとしては、空母の建造をあえて
公開することで、軍備の近代化をアピールし、中国をけん制するねらいもある
ものとみられます。

(NHKニュース 2009/3/1)

この処、中国の空母建造計画ニュース等でマスコミの関心が高まっ
ている事を感じさせられる報道です。このインド初の国産空母です
が、名前も決まっていて、ヴィクラント (Vikrant) と命名される
ことになっています。

ヴィクラントという名前はインド空母としては、二代目となります。
先代は、英国海軍のマジェスティック級軽空母ハーキュリーズで第
三次印パ戦争で活躍しましたが、1997年に老朽化が進んだ事から除
籍されています。

現在、インドは、これも英国海軍でフォークランド紛争時に活躍し
た、セントー級軽空母ハーミーズを改装したヴィラート(Viraat)を
保有しています。当初は、2000年代初頭に除籍される予定でしたが
ロシア海軍の航空巡洋艦アドミラル・ゴルシコフを、ロシアで改装
中のヴィクラマディティアの完成が大幅に遅延している事から10年
程度の延命工事を行っています。

延命されたヴィラートと2011~13年に完成するヴィクラマディティ
ア、2013年に完成予定の国産空母のヴィクラントとインドは、空母
三隻体制を構築する計画です。なお、艦命が長くないヴィラートに
代えてヴィクラントの同型艦が建造されるとの報道もあります。

ヴィクラントは、当初はフランスの CSN社が建造コンサルを行って
いましたが、途中でイタリアのフィンカンティエーレ社に交代しま
した。その為か、全体の印象はイタリアのヘリ空母である、イタリ
ア海軍の「ジョゼッペ・ガリバルディ」に似た印象を受けます。
ヴィクラマディティアと同様、ヴィクラントもSTOBAR方式
(Short Take-Off But Arrested Recovery) でロシア製のMig-29Kを
搭載する予定です。

このMig-29Kですが、ロシア海軍は、Su-33を艦載機に使用していま
すので、インド海軍のみが使用する機体となります。米軍には、艦
載機は陸上機として成功できるが、陸上機は艦載機として成功でき
ないという教訓があります。Su-33が艦載機として成功しているか
どうかは定かではありませんが、Mig-29Kが成功できるかどうかに、
インド空母の成功がかかっていると言っていいのかも知れません。
(尤も、Mig-29Kが成功しなかった場合は、最近の米印関係が良好な
事から、F-35が将来、空母艦載機に改めて選定される可能性も考え
られます。)

ヴィクラントは、珍しいX字型の飛行甲板レイアウトを採用してい
ますが、これはスキージャンプ式でもMig-29Kの発艦時には相当の
滑走距離が必要となる事によるものです。この為、ヴィクラントで
は、米海軍の空母の様な、アングルドデッキを生かした、離発艦同
時実施は、不可能となっています。

これ以外にも、ヴィクラントの建造に関しては、造船所設備問題等
各種のハードルがあります。その為、起工式も当初の2008年から約
半年の遅延になっています。ロシアで建造中のヴィクラマディティ
アにも同様の各種問題が発生しているのですが、その様な障害にも
係わらず断固として空母取得を推進しているインドの姿勢を我々は
重視するべきではないかと考える次第です。


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2009年2月27日金曜日

テポドン発射は、得がたいMD演習の機会 大いに利用すべし


※画像は防衛庁サイトから転載

テポドン迎撃を検討 防衛省、MDシステム初実戦

北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の改良型を日本に向けて発射す
れば、ミサイル防衛(MD)システムで迎撃する検討を防衛省が始めたことが
26日、分かった。迎撃するのはイージス艦に搭載した海上配備型迎撃ミサイ
ル(SM3)と地対空誘導弾パトリオット(PAC3)で、導入から初の運用
となる。ただ、迎撃は重大な政治決断を伴うため、首相官邸などと慎重に調整
を進める。

政府は平成15年、米国が開発したMDシステムの導入を決定した。MDによ
る対処は2段構えで、まず海上自衛隊のイージス艦がSM3で大気圏外で弾道
ミサイルを撃ち落とし、失敗した場合は航空自衛隊が地上で運用するPAC3
で迎撃する。

海自はSM3を搭載したイージス艦として19年度に「こんごう」、20年度
に「ちょうかい」を配備。空自も19年3月に入間基地(埼玉県)へPAC3
を配備したのを皮切りに、昨年3月までに首都圏の4カ所に配備を終え、26
日には岐阜基地にも配備した。

こんごうは19年12月に米ハワイ沖で発射試験に成功したが、ちょうかいは
昨年11月、より難易度の高い試験に失敗。空自は昨年9月、米ニューメキシ
コ州でPAC3の初の発射試験を行い、模擬ミサイルの迎撃に成功している。

北朝鮮が18年7月にテポドン2号を含む弾道ミサイル7発を発射した際、自
衛隊は迎撃システムを備えていなかった。こんごうとちょうかいの2隻も日本
海と太平洋側に展開したものの、弾道ミサイルの探知・追尾だけが任務だった。

テポドン2号改良型の迎撃に踏み切る場合、MDシステム導入で自衛隊法に新
たに規定した「弾道ミサイル等に対する破壊措置」を初適用することになる。
破壊措置には、(1)燃料注入など発射の兆候がある場合、防衛相が首相の承
認を得て自衛隊の部隊に迎撃を命令(2)明確な兆候はないものの、ミサイル
実験などへの警戒が必要な際、防衛相はイージス艦などを展開させておき、あ
らかじめ作成された「緊急対処要領」に沿って迎撃する-の2つの運用方式が
ある。

北朝鮮は24日、実験通信衛星「光明星2号」の打ち上げ準備を行っていると
の談話を発表。人工衛星発射を“隠れみの”にテポドン2号改良型を発射して
くる可能性が高いため、迎撃に向けた政治決断とともに、どちらの運用方式で
迎撃を命じるかも今後の政府内の調整の焦点となる。

(産経新聞 2009/2/27)

昨年、「ちょうかい」がハワイ カウアイ島沖でMD訓練するのに約
60億円の訓練費用がかかりました。このJFTM-2というコードネー
ムのついたそのテストでは、実戦に近い条件を想定し、「ちょうか
い」に対して、いつ発射するかを事前に知らせる事なく標的ミサイ
ルを発射し、それを「ちょうかい」のイージズシステムで探知し、
SM-3ミサイルを発射、誘導し、標的ミサイルに直撃させるとい
うシナリオになっていました。
「ちょうかい」は、米軍の早期警戒衛星からの情報を元に、標的ミ
サイルの探知、誘導を正確に行いましたが、最終フェーズでSM-3
に搭載された標的を識別し誘導するセンサーが標的を見失い、結果
的に標的撃破に失敗しました。しかし2007年に行われた「こんごう」
の演習(JFTM-1)がミサイル発射時に発射通知されたものであった事
と比べると実戦に即した演習となっていたのは事実です。

今回の北朝鮮のテポドン発射と、上記のJTFM-2演習を比べると、当
然ではありますがシナリオが一致する事に気がつきます。
今回のテポドン対応でイージス艦がどこに配置されるかにもよりま
すが、打ち落とすべきミサイルがミッドコースフェーズ(巡航中)なのか
ターミナルフェーズ(降下中)なのかの違いこそあるものの、米軍早
期警戒衛星情報→イージス艦によるミサイル探知→ミサイル追跡→
ミサイル照準→SM-3発射→SM-3誘導→撃破という基本的な
対応手順は全く変わらないのです。いつ発射されるかわからないと
いう状況まで同じです。あとは、実際にSM-3を発射するか、し
ないかだけの違いでしかないのです。テポドンを打ち落とすという
決定がでれば(実戦でもないのに手の内を全て晒すのは私は愚策と
思いますが)、全く同じになってしまいます。

寧ろ、ハワイへわざわざ艦艇を派遣する必要もなく、実戦時に必要
とされる海上自衛隊の艦艇をはじめとするリソース全てが利用でき
ますから、更に実践的な総合的演習が可能とすら言えます。しかも、
ミサイルもダミーではなく、本物のテポドンが使われ、訓練費用も
請求されないのですから、これ以上お誂えの演習は考えられない程
です。

勿論、北朝鮮が本物の弾頭をつければ実戦になってしまいますが、
今回については、人工衛星を打ち上げると北朝鮮自らが宣言してお
り、米軍も既に動き出していますので、北朝鮮が戦術的な奇襲を行
う事はまず考えられません。従って、自衛隊は、テポドン発射を全
てが整ったお誂えのむきのMD演習の機会と捉えて問題ない事にな
ります。

今回のテポドン演習を演習と捉えれば、色々とやって欲しい事があ
ります。自衛隊、米軍だけでなくミサイル発射時の政府首脳や各関
係省庁への連絡体制等も含め、今まで整備してきた実戦に即した手
順等の確認を是非やって欲しいと思います。この点は正に実戦なの
ですから当然と言えます。

この得がたい無償の訓練機会を是非実戦に生かし、北朝鮮の費用で
対北朝鮮ミサイル防衛を実のあるものにするという痛快な機会を、
是非ものにして欲しいと考えます。



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2009年2月26日木曜日

唐突?突出? 小沢一郎の自主国防論


※王家瑞・中国共産党対外連絡部長との会談で握手する民主党の小沢一郎代表 
毎日新聞サイトより転載

小沢代表:対米追随脱却を強調 防衛力強化も言及

日米首脳会談に合わせる形で、民主党の小沢一郎代表は25日、在日米軍削減
論を重ねて示し、「対米追随脱却路線」を鮮明に打ち出した。次期衆院選後の
政権交代をにらみ、「対等な日米同盟」の具体策として持論を強調したものだ
が、日本の防衛力強化にも言及。専門家からは「憲法改正が必要になる論法」
との指摘が出たほか、野党内に困惑や警戒感が広がった。

「グローバルな戦略を米国と話し合って役割分担し、日本に関係の深い安全保
障面は日本が負担すれば、米軍の役割はそれだけ少なくなる」

小沢氏は25日、大阪市で記者団に語った。そのうえで「米国のプレゼンスは
必要だが、おおむね(米海軍横須賀基地に司令部を置く)第7艦隊の存在で十
分だ。米軍が引くことによって日本の防衛に関することは日本が責任を果たせ
ばいい」と改めて指摘した。

小沢氏に近い民主党関係者によると、在日米軍の役割のうち「日本の防衛」に
応分の負担をする分、「極東の安定」は第7艦隊で十分になるという意味だと
いう。

ただ、森本敏・拓殖大大学院教授(安全保障)は「在日米軍には海兵隊と戦略
空軍があり、海軍である第7艦隊だけでは抑止機能の一部しか果たせない」と
指摘。「出ていった米軍の肩代わりを日本がするのであれば、再軍備を意味し、
憲法改正が必要となる」と語った。

こうした中、共産党の志位和夫委員長は「軍拡の道を進むことでイコールのパ
ートナーになるのは間違った道だ。日本が軍事的な力を強めれば強めるほど米
国は利用する」とけん制。社民党の福島瑞穂党首は「『第7艦隊で十分』の後
が『日本でやる』か『基地縮小』かで意味が違う。軍備拡張には反対だ」と戸
惑いを見せた。

民主党の鳩山由紀夫幹事長は東京都内で記者団に「極東において脅威が増大し
ている状況ではないという発想ではないか。日本の軍備増強という発想ではな
い」と語り、小沢氏の発言への理解を求めた。ただ、その一方で「将来ミサイ
ル防衛網などをしっかり作れば、米国に頼らなくとも専守防衛の中で日本の安
全を保てる」という持論も展開した。【渡辺創、古本陽荘】

(毎日新聞 2009/2/26)

小沢一郎が、一部の支持を集め続ける理由は、こういう事にあるの
かも知れません。「対米追随脱却路線」の論理的な結末が、自主国
防論になるのはある意味当然なのです。その点で、同じ、民主党の
鳩山氏とは一味違う処です。

日米安全保障条約は、米国に日本の防衛義務を課している反面、日
本に米国防衛の義務を課していないのは衆知の事実です。

安保条約が現在の内容になったのは、1960年の改定によるものです
が、片務的内容は条約締結当初から変わっていません。つまり、安
保条約は1950年代の日米関係の現状を反映したものでしかないのです。

ここでいう1950年代の日米関係の現状とは、米国が全世界のGNP
の半分を占め、七つの海を圧する艦隊で、ソ連と対峙していたのに
対し、日本は、まだまだ戦後の焼け野原から脱していない半病人状
態であった事を指します。その様な前提にたてば、日米安保条約の
片務性は、正しく現実の反映であったと言えます。

しかしながら、片務的な条約内容である限り、日本は同盟に対し不
完全な貢献しか期待されず、いつまでも準禁治産者の位置にあり続
ける事になってしまいます。その意味で、「対等な日米同盟」を目
指せば、日米が対等の義務をもつべきであるのも当然なのです。し
かし、ここで現行憲法との矛盾が生じる事になります。つまり、小
沢氏の議論の帰結が憲法改正になってしまう事になるのです。

その一方で、小沢一郎の議論が、「対等な日米同盟」から、更に
「対中傾斜」へ繋がって事も明白に見て取れます。23日に小沢氏は
中国の王家瑞・中国共産党対外連絡部長と会談していますが、その
中で、民主党が政権を取れば、対中関係を重視する意向を伝えてい
ます。

尤も、小沢氏はクリントン国務長官との会談で、中国の共産主義体
制の民主化と世界秩序への取り込みが課題との意見も伝えており、
その点では、民主党の他の政治家との違いが際立っているとは言え
ます。

民主党内の旧社会党系議員は、旧来の、非武装中立程度の考えしか
持っていないと思える節があるのですが、それを党内で正面から持
ち出せば民主党は意見対立で分裂状態を招くので、今まで、まとも
な安全保障の議論は避けてきたとも言えます。

今回の小沢氏の「第7艦隊で十分」という発言が、どの様な認識に
たっているのか疑問があるのは事実ですし、それを明らかにして欲
しいのは勿論ですが、それ以前に、民主党として、どの様な安保、
外交路線を取るのか、もっと明確にして貰いたいと思います。

つまり。民主党が「対米追随脱却路線」で纏まっているのかどうか、
また、民主党が政権獲得後、対米同盟路線を堅持するのか、対中傾
斜路線とするのか、米中等距離路線とするのか、その上で、自主防
衛力を強化するのか、軽武装継続なのか、はたまた、今まで以上に
防衛力を軽減するのかという点です。

小沢民主党が、政権を担当するのであれば、明確にしてもらう事は
安全保障面だけとっても多々あるように思いますし、それが無くて
政権を取ったとしても、結局、村山政権の様に、碌な結果を残さず
に終わらざるをえなくなる様に思うのです。


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2009年2月25日水曜日

米民間衛星打上げ会社 炭素観測衛星打ち上げに失敗



※写真は、TaurusロケットとOCO衛星 Wikipediaから転載

炭素観測衛星打ち上げ失敗 NASA、衛星分離せず

米航空宇宙局(NASA)は24日未明、カリフォルニア州のバンデンバーグ
空軍基地から大気中の温室効果ガスを測定する「炭素観測衛星」を打ち上げた
が、衛星分離に失敗した。
打ち上げは、NASAとして初めて米オービタル・サイエンシズ社(バージニ
ア州)の固体ロケット「トーラス」を使用。打ち上げ約10分後の3段目の点
火までは順調だったが、その数分後、衛星を大気から保護するケースが開かず、
衛星を軌道に投入できなかった。
炭素観測衛星は、地球大気の二酸化炭素(CO2)の濃度分布図を作製、排出
や吸収の実態を解明するのが目的だった。
日本は1月に世界初の温室効果ガス観測衛星「いぶき」の打ち上げに成功した。

(産経新聞 2009/2/24)


今回、衛星打ち上げに失敗したのは、ISS(国際宇宙ステーション)
への補給ミッションの実施業者に選定された二社の内の一社である
オービタル・サイエンス社です。
オービタル・サイエンス社は、1982年に民間衛星打ち上げビジネス
の走りとして設立された企業ですが、今では、打ち上げシステム以
外に衛星そのものの製造でも有力な企業です。またMD(ミサイル
防衛)関係のビジネスにも参加しており、特に標的ミサイルを一手
に製造していて、昨年「ちょうかい」がハワイで実施したミサイル
迎撃試験でも、オービタル社の標的ミサイル(Ballistic Target
Vehicles)を使用されています。

オービタル・サイエンス社のロケットとしては、低価格の小型衛星
打ち上げ用空中発射ロケットとして有名なペガサス・ロケットがあ
りますが、今回の打ち上げで使用された打ち上げロケットは、中規
模衛星打ち上げ用の四段式固体燃料ロケットであるトーラス・ロケ
ットです。

このトーラス・ロケットですが、一段目はPeaceKeeperICBMの一段
固体燃料ロケットであるCastor 120を、二段~四段には、自社製小
型ロケットを使用しています。コンセプトも、規模的にも日本の
J-1ロケットに近いものであると言えます。

トーラス・ロケットは、今回の打ち上げも含め、過去8回打ち上げ
られており、成功は6回、失敗2回、2009年には、あと1回の発射
が予定されています。

今回の打ち上げでは、炭素観測衛星(OCO)が打ち上げれる予定で
したが、衛星そのものもオービタル・サイエンス社の製品であり、
打ち上げ費用も含め、273百万ドルがかかったと言われています。
OCOの機体重量は440kg(972lb)で、同様のミッションである
JAXAのGOSAT「いぶき」(1.5t)に比べ、約三分の一の規模
です。観測装置もGOSATと似たものが搭載されていますが、GOSAT
が二酸化炭素とメタンの排出場所の調査を目的にしているのに対し、
OCOは、二酸化炭素の大気中の分布状況の調査を目的にしていま
した。また、OCOは同じ軌道を回っている他のシリーズ衛星と共
同で、全球の立体的調査を行う事となっていました。

オービタル社はISS(国際宇宙ステーション)への補給ミッション
に選定された企業ですし、数十回の衛星打ち上げをこなしているの
で、経験的にも充分。ロケットのコンポーネントも実績充分なもの
を使用しているのですが、良く見ると成功率ではH-2A以下であ
り、この種の限界まで、コストを削減したロケットによる衛星打上
げの難しさを示している様に思われます。



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2009年2月24日火曜日

神谷不二教授の逝去を悼む 「正論」論説リンク集



※筆者が学生だった頃の神谷不二教授。産経新聞サイトより転載

昨日、逝去された神谷不二教授のお通夜に行ってきました。

1966年に神谷教授が中公新書「朝鮮戦争―米中対決の原形」(現在は中公文庫
に収録)を書かれた頃は、左翼一色の日本では、朝鮮戦争が北朝鮮から仕掛け
られたものであった事すら、まともに指摘できる雰囲気ではありませんでした。
その様な中で、学界から反発や総連からの物理的攻撃を恐れる事なく、明確に
それを指摘し続けた神谷教授の知的誠実さと剛毅さは、いくら評価しても評価
しすぎることはないでしょう。

私が大学で国際政治学/国際関係論を学んだ頃には、既に大阪市立大学から慶
応義塾大学に移られていましたが、左翼的な国際政治学者が多い中、京大の高
坂正堯、東工大の永井陽之助と並ぶ現実主義派の政治学者として夙に高名でした。

当時、グータラ学生にとっては、お三方共寡作であった為、読む本が少なくて
助かったのですが、亡くなってしまうと(永井教授はご存命ですが)、残された
ものの少なさに戸惑う思いがします。ただ、神谷教授の場合は、産経新聞の正
論に執筆されていた関係でネット上でも読める論説が多い点は救いと言えます。

なお、2007年12月に慶応義塾大学150周年記念「復活!慶応義塾の名講義」の
一つとして行われた講義「日本の国家戦略」は、神谷教授が日本外交の将来に
対し残された遺言とも言える内容でしたが、探し方が悪いのか私のブログ以外
には、講義内容が殆ど収録されていません。その点、神谷教授の該博な知識の
詰まった名講義を万分の一でも収録できた事を幸せに思います。

ここに、ネット上で読める神谷不二教授の著作の一部を纏める事で、氏の業績
を讃えると共に、哀悼の意に代える事にします。晩年まで知的活動に衰えを見
せなかった氏の最後の活動をお楽しみ下さい。


著書、共著、編著、共編著、訳書
http://ja.wikipedia.org/wiki/神谷不二 参照

【正論】複眼で視るオバマ政権と世界 2008.12.31
http://sankei.jp.msn.com/world/america/081231/amr0812310258002-n1.htm

【正論】神谷不二 「核」と「拉致」の日米ギャップ 2008.10.17
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/187501/

【正論】北独裁の3代世襲は難しい 2008.8.1
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080801/kor0808010244000-n1.htm

【正論】東アジア新潮流 イデオロギーから「実利主義」へ 2008.6.12
http://www.sankei.co.jp/seiron/opi-sern/0806/0612opi-se1.html

【正論】66歳になった金正日氏の今 2008.2.20
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080220/plc0802200310001-n1.htm

【神谷不二教授講演会】「日本の国家戦略」 2007.12.15
http://blogs.yahoo.co.jp/ash1saki/52888059.html
http://ysaki777.iza.ne.jp/blog/entry/424968/

【正論】南北会談その後 北の核「無能力化」の虚妄 2007.11.06
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/071106/kor0711060341001-n1.htm

【正論】米の核融和策と拉致強硬策の両立 2007.8.10
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/070810/kor0708100501000-n1.htm

【正論】核ならんと欲すれば拉致ならず 2007.5.18
http://www.geocities.jp/daruma002jmhs/syasetu-colom07.05.html
(ページ内要検索)

【正論】6者合意の「譲歩圧力」に屈するな 2007.2.26
http://www.geocities.jp/daruma002jmhs/syasetu-colom07.02.html
(ページ内要検索)

【正論】6者協議の不毛の連鎖を断て 2007.1.14
http://kamomiya.ddo.jp/\Souko\C01\Kamiya_F\Fumou.html

【正論】アメリカの対北外交に落胆 2006.11.23
http://www.geocities.jp/daruma002jmhs/syasetu-colom06.11.html
(ページ内要検索)

【正論】新政権が対北政策で心すべきこと 2006.10.02
http://www.geocities.jp/daruma002jmhs/syasetu-colom06.10.html
(ページ内要検索)

【正論】国際政治の動向判断で肝心なこと 2006.8.21
http://www.geocities.jp/daruma002jmhs/syasetu-colom.06.08.html
(ページ内要検索)

【正論】日中間には関係悪化の歯止めなし 2005.4.28
http://sv3.inacs.jp/bn/?2005050012726649003961.3407

【正論】親中派と戦後進歩派に見る相似性 2004.12.25

【正論】韓国に育つ親北路線への憂国ムード 穏健自由路線を取り戻す正念場 2004.9.27 
(ページ内要検索)

【正論】太陽政策でマントを脱いでしまった韓国 2003.10.16

【正論】平和と戦争の二分法を排す 2003.4.22

【正論】韓国新政権と小泉路線の協調と矛盾 2002.12.27

【正論】北朝鮮を修復不能にした男 「軟着陸」は果たして可能なりや 2002.11.09


神谷不二慶応義塾大学名誉教授 最近論説集 2009.2.24
-ここに掲示した神谷不二教授の論説をpdfファイルに纏めたものです。


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2009年2月23日月曜日

韓国艦艇への給油拒否は当然


※写真は、韓国が派遣する駆逐艦の同型艦。
www.militarypictures.infoより転載

韓国、海自に給油を打診 ソマリア沖で 日本は拒否

ソマリア沖の海賊対策に海軍艦船派遣を計画している韓国が、日本政府に海上
自衛隊から給油を受けられないか打診していたことが分かった。日本側はイン
ド洋での補給活動はテロ対策に限定されているとして拒否。防衛省内には3月
初めに国会に提出する海賊対策新法に外国艦船への給油を盛り込む案もあるが、
首相官邸は消極的で、実現性は低いとみられる。

11日に行われた日韓外相会談では海賊対策の協力で合意したが、海自の活動
の制約もあって、実際に何ができるかは手探り状態が続いている。

韓国政府関係者などによると、韓国側は外相会談前の実務協議で、海軍駆逐艦
「文武大王」を近くソマリア周辺に派遣する計画を説明。「最も助かるのは給
油支援だ」と日本側に打診した。国際テロ組織「アルカイダ」がソマリアで活
動していることから、補給支援特措法を適用できるのでは、との期待もあった。

しかし、日本側は、特措法での給油対象はテロ対策の海上阻止活動に参加して
いる艦船に限定されているため、不可能だと説明した。

防衛省は一方で、各国艦船の給油の需要が多いとして、海賊対策新法に、派遣
される海自の任務に給油を加えることを検討。政府関係者によると、13日の
官房長官、外相、防衛相の会合で浜田防衛相が提案したが、「海賊対策と直接
関係ない」「審議が混乱する」などの理由で受け入れられなかった。

韓国国防省によれば、ソマリア沖で護衛が必要な韓国の関係船舶は年間150
~160隻。韓国側が韓国人乗組員のいる日本の関係船舶を護衛する代わりに、
海自に韓国船の護衛を期待する声もある。しかし、海自が派遣する護衛艦は2
隻で、保護対象に想定している日本関係船舶は少なくとも年間2300隻以上。
新法が成立して日本と無関係の外国商船を保護できるようになっても、日本船
の護衛で手いっぱいなのが実情だ。(牧野愛博=ソウル、石松恒)

(朝日新聞 2009/02/22)


島根県の「竹島の日」に韓国政府が「遺憾表明」をしたり、韓国人
が式典に殴りこみをかけたというニュースを聞いりすると、韓国が
一体どういう根拠で、日本に給油を打診してきたのか盗人猛々しい
思いがするというのが本音です。

韓国は隣国ではあっても、別段同盟国ではなく、前大統領の時には
一方的に外交戦争を宣言された事もあった程で、とても友好国とは
言えないというのが、一般的な国民感情であると思います。

韓国では異なる様ですが、外交に感情を持ち込むのはご法度ですか
ら、感情を交えずに考えてみましょう。

日本が対テロ活動を行っている各国艦艇への給油活動を行っている
のは、武力を伴う活動が憲法で禁止されている日本が、直接的なテ
ロ対策の海上防衛活動に参加できない事から、それに見合う国際貢
献活動を行う必要からです。

それに対し、ソマリアでの海賊対策の活動に関しては、日本も出足
は本当に遅いですが、海賊対策特措法ができた段階で実施する内容
は他国と全く同様であり、なんら負い目を感じる必要はありません。

そして韓国が、自国にも給油艦があるにも係わらず、無償の給油活
動を日本に求めるのは、常には敵対姿勢を取るにも係わらず、自国
の都合の良い時には日本に擦り寄ってくる韓国の伝統的な甘えの姿
勢以外解釈のしようがありません。

防衛省の一部には、韓国艦への給油に前向きな意見もあるようです
が、韓国の根拠の無い要望に、好意的に対処をした事で、それに付
込まれ後々問題の火種になった事も、「従軍慰安婦」を始め、枚挙
にいとまがないのです。今回の件も、一度こういった韓国への補給
活動を行うと、今後も国際的な貢献活動で、際限なく韓国からの補
給要求に応じなければならない事になりかねないと言えます。

そういう点からも、この種の韓国の根拠のない無理の押し付けには
断固として拒否する態度を明確にすべきであると考える次第です。


環球閑話日々の徒然まとめサイ
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2009年2月20日金曜日

「韓国との戦争準備はできている」とは「できていない」と読む


※写真はReutersサイトから転載

韓国との戦争準備はできている=北朝鮮

[ソウル 19日 ロイター] 北朝鮮は19日、韓国との戦争の準備はでき
ていると表明した。クリントン米国務長官はこの日韓国を訪問し、北朝鮮問題
を協議する。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)によると、匿名の軍関係者は「裏切
り者である(韓国大統領の)グループは、(北朝鮮)人民軍が完全に全面対決
の準備ができていることを忘れてはならない」と述べた。
北朝鮮は長距離ミサイルの発射準備を進めているとみられているが、専門家は、
米国の新政権の関心を引き、韓国政府に圧力をかけることが狙いではないか、
との見方を示している。
アジア歴訪中のクリントン国務長官は17日、北朝鮮がミサイルを発射すれば、
非常にマイナスになるとの見方を示している。

(ロイター 2009/02/19)


寝言は寝て言え第二弾です。
しかし、北朝鮮の言う「韓国との戦争準備はできている」という言
葉は戦争準備が出来ていない、あるいは戦争はする気がないと読む
べきであるというのは、私の持論です。逆に、平和攻勢をかけてい
るのに反対給付を求めていない時の方がはるかに危険であるといえ
ます。くれくれ詐欺の常習犯である北朝鮮が見返りを求めない筈が
ないのです。

つまり、本気で戦争をする準備を進めている場合は、当然奇襲効果
を狙う訳で、相手油断させるべく平和攻勢をかけると考えられるの
です。北朝鮮は、朝鮮戦争を開始する際にも、開戦の約一ヶ月前か
ら平和攻勢をとっています。その点でも前科はある訳です。

逆に言えば、北朝鮮が、この手の戦争前夜的な発言をする時は自国
に弱みを抱えている時です。今年の場合は、勿論、オバマ政権が発
足したので、その関心を引き続け、米国との直接交渉に道を開きた
い思惑がありますが、もう一点、食料不足が深刻な割に、国際的な
援助が少ない点があげられます。この為、今年は1997年以来の
食料不足が予想されています。ここで、食糧援助を引き出すために、
緊張を演出しているという訳です。

いずれにせよ、北朝鮮の発言は、裏を読むべきであるというのは、
私の様な一般人にすら常識になっているのですが、そういう事が常
識になってしまっている非常識な国で、その国の中では、だれが政
権を世襲するかで暗闘が続いていると報じられている点、人間の業
の深さを感じてしまいます。



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2009年2月18日水曜日

原潜衝突 英仏の戦略原潜パトロール継続を示す



※写真上段はHMS Vangaurd。下段はLe Triomphant

英仏の原潜、大西洋で衝突 「放射能漏れない」

英仏の原子力潜水艦が今月初めに大西洋で衝突し、双方が破損していたことが
分かった。両国の当局が16日、衝突の事実を認めた。「放射能漏れはなかっ
た」と説明しているが、両原潜は核兵器を搭載していたとみられ、あわや大惨
事となるところだった。

英メディアによると、ぶつかったのは英国のバンガード級戦略原潜(水中排水
量約1万6千トン、長さ約150メートル)と、仏のル・トリオンファン級原
潜(水中排水量約1万4千トン、長さ約140メートル)で、ともに核弾道ミ
サイルを搭載していたとみられる。

仏国防省は当初、「2月6日に巡回から戻っていた原潜が、水中で物体(おそ
らくコンテナ船)とぶつかった。水中音波探知機(ソナー)が壊れたが、乗組
員らにけがはなく、原子力の安全も保たれていた」と報告していた。

ところが、英メディアが16日、衝突したのはコンテナ船ではなく英原潜だっ
たと報道。その後、英仏の国防省がともに事実関係を認めた。英海軍本部のジ
ョナサン・バンド第1武官は「両原潜は低い速度で接触した。負傷者は報告さ
れていない」と説明。英BBCによると、英原潜には大きなへこみと、こすっ
た跡が出来ていたという。

両国が衝突の詳細を調べているが、英紙サンは両原潜ともソナーを備えていた
が、敵に居場所を探知できなくさせる技術のために互いに分からなかったので
はないか、と指摘。BBCは原潜同士の衝突を「大西洋の広さを考えると百万
分の一の確率で、とても信じられないことが起きた」と報じている。

反核団体「核軍縮キャンペーン」(CND、本部・ロンドン)は「平時に原潜
を海に放つことの危険さを浮き彫りにした。核兵器は我々の安全に何の役にも
立たない」と批判した。

(朝日新聞 2009/2/17)


1991年にソ連が崩壊してから、既に、17年が経過したにも係わらず、
英仏という二線級核保有国ですら戦略ミサイル原潜によるパトロー
ルを継続している事が、今回の事故によってはからずも明らかにな
りました。世界は緊張感を決して緩めていないようです。

旧ソ連が崩壊し、核保有国としての地位はロシアが継承しています
が、既に体制の違いがない(?)にも係わらず、英仏は決してロシア
に心を許していない事を示していると言えます。

ソ連崩壊以降、戦略原潜によるパトロールの停止であるとか再開と
いうニュースが流れた事を私は寡聞にして知りません。という事は
G8でロシアを西側体制に取り込んだにも係わらず、完全な武装解
除も同盟関係の構築も行われなかった点で、根本的な処では信頼し
ていなかったと言う事になります。近年、プーチン政権下でロシア
の全体主義的独裁制構築が進んでいるように思えますので、この点
での英仏の正しさが伺えるようにも思えます。

勿論、英仏の事ですから、ロシアが抗議した場合に備え、照準は定
めていなかった位の事は言いそうですが、原潜パトロールが、核抑
止力の根幹になっている事を考えれば具体的な抑止対象を指定して
いないとは考え難いですし、技術的にも一隻当たり、96(仏)~224
(英)近い目標設定を発射する都度行うとも考えられません。
(恐らく目標セットを複数もっており適宜交換可能になっていると
思われます。)
その点からも、具体的な目標としてロシアの大都市を照準していた
と考えるべきでしょう。勿論、これはロシアも同様の意思はあった
と思われます。(現実には、経済状況によっては原潜パトロールを
継続できていたかどうか疑問がありますが、実施できる状況では実
施していた筈です。)

もう一つ、今回の件でわかった事は、両原潜の低速での静粛度が恐
るべき水準に達している事です。潜水艦は、海中での音波探知装置
としては理想的であり、戦略ミサイル原潜はパトロール中、聞き耳
を立てる事が唯一の任務と言える程です。

原子力潜水艦の場合は、海中に停止している時でも、原子炉の冷却
水を循環させる必要があり、冷却水循環ポンプを常時動かしておか
ねばならず、加圧水型原子炉ではこのポンプが大きな騒音発生源と
なっていると言われてきました。また、高速回転する蒸気タービン
で低回転のスクリューを回すため、減速ギヤを介在させる必要があ
り、この減速ギヤも大きな騒音発生源になっていると言われてきま
した。そうであるにも係わらず両原潜共に衝突まで相手側の推進音
を探知する事ができませんでした。

通常動力潜水艦にAIP機関が装備される様になり、静粛度で勝る通
常動力潜水艦が少しは原潜に近づいたと思わせる様になりましたが、
原潜の側も弱点克服を着実に実施していた事を示すものと言える様
に思います。



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2009年2月17日火曜日

北朝鮮 誤解をさけたいなら情報公開が一番


※北朝鮮のプロパガンダポスター

北朝鮮、ミサイル発射準備を否定 「人工衛星」打ち上げと

北朝鮮は16日、ミサイル試射準備を進めているとの観測を否定し、人工衛星の
打ち上げを準備していると主張した。韓国の聯合ニュースが伝えた。

米高官は先週CNNに対し、米偵察衛星が撮影した北朝鮮の画像に、ミサイル発
射準備とみられる動きが写っていたと述べた。撮影地点は以前、長距離弾道ミ
サイル「テポドン2」が発射された場所。

聯合ニュースは16日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)の報道内容として、
北朝鮮が「宇宙開発」を実施すると計画だと伝えた。北朝鮮は「何を打ち上げ
るかは後で分かる」と述べ、ミサイル試射計画を否定。宇宙開発が北朝鮮の権
利であるとしたうえで、海外の報道が、北朝鮮の主権で行われている活動を阻
止しようとする「悪意ある策略」だと批判した。

聯合ニュースは、今週予定されているヒラリー・クリントン米国務長官の訪韓
に先立ち、北朝鮮が米政府にメッセージを送った可能性があると指摘した。

北朝鮮は1998年にミサイル「テポドン1」を発射した際にも、人工衛星を打ち
上げたと発表した。韓国は宇宙開発の権利をめぐる北朝鮮の主張を受け入れな
い姿勢にある。聯合ニュースによると、柳明桓外交通商相は16日の議会審議で
「ミサイルであれ人工衛星であれ、打ち上げは(核開発とミサイル実験の中止
を盛り込んだ)国連安全保障理事会決議第1718号に違反する」と述べた。

(CNN.co.jp 2009/2/17)


一瞬、寝言は寝て言えと言いそうになりましたが、北朝鮮が本気で
人工衛星を打ち上げようというのであれば、北朝鮮が技術輸出した
イランが見事に衛星打上に成功したのですから、技術的な基盤はあ
ると考えて良いと思われます。今であれば、独自のロケットで人工
衛星を打ち上げた10番目の国という事になり、韓国を凌ぐ事が可
能です。これは、北朝鮮にとって、今や殆ど実現不可能になった北
が南を凌駕する得がたい機会であると言えます。
(尤も、北朝鮮では1988年に人工衛星の打ち上げに成功した事にな
っているんですが....)

少なく共、核開発の様な、ご禁制の技術開発ではない、まっとうな
技術開発と言い張れるのです。勿論、ミサイル開発とのデュアルユ
ーズである事は、世界中が判っています。であるからこそ、世界に
信頼されない国である北朝鮮が何を言った処で、「ミサイル発射準
備」という情報が世界を駆け巡る事になります。

そこで、北朝鮮にお勧めなのが、イラン程度には、情報公開を行う
事です。今回に関しても、もし、本当に人工衛星を打ち上げ様とい
うのであれば、ごくまっとうに、発射日時と燃焼が終了した落下物
の予想落下位置等の情報、衛星本体や、打ち上げロケットや打ち上
げ施設の写真などを公開すれば良いのです。

勿論、公表すれば、技術水準が判ってしまうという欠点もあります。
あまりにお粗末で恥ずかしいのが、秘匿する理由である事も判りま
す。それでも、少なくとも、世界は、北朝鮮が人工衛星を打ち上げ
ようとしている事に対し疑念を抱く必要はなくなります。

1988年に北朝鮮が発射したのが、本当に人工衛星であり、それが事
前に公表されたものであったのなら、日本のMD体制がこれ程急速
に整備される事はなかったと言えます。それが、北朝鮮が情報を事
前に公開にしなかった事により、日本向けのミサイル開発と受け取
られた事から、一般の日本人が予想できなかったスピードで整備が
進んだのです。これは、北朝鮮にとっては、日本への影響力の切り
札が封じられた事になり、明らかに国益にマイナスの影響を与えま
した。

情報秘匿は、必ずしも、国防力強化に役立たないという好例ですが、
「何を打ち上げるかは後で分かる」などという寝言ではなく、適切
な情報を公開する事が、北朝鮮が「普通の国」になる上でも重要な
行動である様に思われてなりません。

まあ、それができないから北朝鮮なんでしょうね。


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2009年2月16日月曜日

CRH2C型車輌に見る中国独自技術のレベル


旧聞に属する話ですが、以前に関連するエントリーを書きましたの
で、後日談という事で取り上げます。

中国は、北京・天津高速鉄道の開通に合わせ、JR東日本のE2系をベ
ースとし、中国独自技術で完成させたとするCRH2C型を投入しました。
シーメンスICE3をベースとするCRH3型と共に、2008年8月1日から
世界最高速、350km/hでの営業運転を開始したのです。

北京・天津高速鉄道は、当初から350km/hでの運転が予定されてお
り、CRH3はその為に導入されたタイプであったのに対し、CRH2C型
は、日本においては270km/hの営業運転しか行っておらず、設計速
度すら315km/hでしかなかった処から、いくらポテンシャルがある
車体でM/T比を変更したとは言え、、日本国内でも実現していない
350km営業運転をあっさりと実現した点、驚嘆したものでした。
(4M4T→6M2T、「はやて」は8M2T)

しかしながら、この列車について、朝日新聞GLOBEが2009/2/4付け
で、興味深い事実を報じました。

-前略

京津線を走る和諧号には2種類ある。一つは日本の川崎重工業が造る東北新幹
線「はやて」型。もう一つはドイツのシーメンス型だ。日独メーカーは一部車
両を完成車で輸出したものの、中国の国産政策にもとづいて、その多くは日独
の部品供給を受けて中国メーカーが生産している。
実はこの「はやて」型を巡って、技術協力した日本側と中国との間でひと悶着
(もんちゃく)あった。はやては東北新幹線では時速275キロで走っており、
12年末に時速320キロを達成するため現在、車両を開発中だ。川崎重工は「設
計上の安全走行の上限は時速275キロ」と中国側に伝え、運行技術を教えたJR
東日本の協力条件は「時速200キロまでの走行」だった。

にもかかわらず中国鉄道省は、試験走行で時速350キロ超を出せたことから、
能力いっぱいでの営業運転に踏み切った。五輪観光の目玉の一つにという思惑
もあったのかもしれない。
収まらなかったのが日本側だ。川崎重工幹部は開業の4日後、中国鉄道省の幹
部を訪ねて、抗議した。JR東日本首脳は「もし事故が起きても、これでは責
任は取れない」とカンカン。中国側から「責任は求めない」と確認する文書を
取った。
結局、京津線は2月までにすべて独型車両に置き換えることになった。はやて
型は時速250キロまでしか出さない他路線に移すという。

-後略
(朝日新聞GLOBE 2009/02/4)

http://globe.asahi.com/feature/090202/03_2.html

つまり、この高速運転は、JR東日本の協力範囲を超えた速度である
こと、また、車体製造業者である川崎重工重の設計上の最高速度を
も大幅に超えていることから、両者が中国側に抗議し「責任は求め
ない」という念書を取った様です。このため、2009年2月から、この
路線はすべてCRH3型を使用する事となり、それまでにこれらの車両
は最高時速250km/hの他線区に転属することとなったという訳です。

ここには、どこにも、中国独自の付加技術という要素が入っていま
せん。CRH2Cは、E2系と同じ先頭車両デザインだったCRH2と比べ、
ヘッドライトの位置や、パンタグラフカバーの他、車内デザインも
変更されていると伝えられており、最高速度が変わっているのです
から当然車台にも手が入っていると予想されていたのです。

ですが、実は根本的な処には全く手が入っていない事が判ったので
す。ここからは想像になりますが、中国は恐らく試験走行中にCRH2
で300km/hを優に超える速度がだせた事から、M/T比を変更すれば、
350km/hに達すると計算したのだと思います。そして、実際にCRH2C
を作るとあっさりと350km/hを達成し、恐らくは、400km/hに近いス
ピードが達成されたのだと思います。そこで、350km/hの営業運転
でも問題ないと考えたのでしょう。しかし、それは、試験運転の結
果でしかありません。そこには安全な運行への計算が、全く、入っ
ていませんでした。

一回こっきりの試験運転では、問題が発生しなくても長期間設計速
度以上の運転を行っていれば、車体の殆どの部分に設計以上の加重
がかかります。その結果として、金属疲労により、車台、車輪、構
造部材にすらクラックや破損が生じ、それが、大事故を齎す可能性
のある事は素人にすらわかります。

それをあっさりと無視した中国鉄道当局者はどういう技術的バック
グラウンドを持った人達だったのか、非常に興味があります。

今回は幸いに、大事故が発生する前に技術供与国からチェックが入
りました。しかし、こういったチェックがいつも入るかどうかには、
疑問が残ります。

最近、中国が、原子力空母を建造すると、同じ朝日新聞が報じてい
ましたが、原子力潜水艦と同じ程度の意識で水上艦用の原子炉を考
えているのであれば、近い将来、本当の「チャイナシンドローム」
が発生するのではないかと懸念する処です。


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