炭素観測衛星打ち上げ失敗 NASA、衛星分離せず
米航空宇宙局(NASA)は24日未明、カリフォルニア州のバンデンバーグ
空軍基地から大気中の温室効果ガスを測定する「炭素観測衛星」を打ち上げた
が、衛星分離に失敗した。
打ち上げは、NASAとして初めて米オービタル・サイエンシズ社(バージニ
ア州)の固体ロケット「トーラス」を使用。打ち上げ約10分後の3段目の点
火までは順調だったが、その数分後、衛星を大気から保護するケースが開かず、
衛星を軌道に投入できなかった。
炭素観測衛星は、地球大気の二酸化炭素(CO2)の濃度分布図を作製、排出
や吸収の実態を解明するのが目的だった。
日本は1月に世界初の温室効果ガス観測衛星「いぶき」の打ち上げに成功した。
(産経新聞 2009/2/24)
今回、衛星打ち上げに失敗したのは、ISS(国際宇宙ステーション)
への補給ミッションの実施業者に選定された二社の内の一社である
オービタル・サイエンス社です。
オービタル・サイエンス社は、1982年に民間衛星打ち上げビジネス
の走りとして設立された企業ですが、今では、打ち上げシステム以
外に衛星そのものの製造でも有力な企業です。またMD(ミサイル
防衛)関係のビジネスにも参加しており、特に標的ミサイルを一手
に製造していて、昨年「ちょうかい」がハワイで実施したミサイル
迎撃試験でも、オービタル社の標的ミサイル(Ballistic Target
Vehicles)を使用されています。
オービタル・サイエンス社のロケットとしては、低価格の小型衛星
打ち上げ用空中発射ロケットとして有名なペガサス・ロケットがあ
りますが、今回の打ち上げで使用された打ち上げロケットは、中規
模衛星打ち上げ用の四段式固体燃料ロケットであるトーラス・ロケ
ットです。
このトーラス・ロケットですが、一段目はPeaceKeeperICBMの一段
固体燃料ロケットであるCastor 120を、二段~四段には、自社製小
型ロケットを使用しています。コンセプトも、規模的にも日本の
J-1ロケットに近いものであると言えます。
トーラス・ロケットは、今回の打ち上げも含め、過去8回打ち上げ
られており、成功は6回、失敗2回、2009年には、あと1回の発射
が予定されています。
今回の打ち上げでは、炭素観測衛星(OCO)が打ち上げれる予定で
したが、衛星そのものもオービタル・サイエンス社の製品であり、
打ち上げ費用も含め、273百万ドルがかかったと言われています。
OCOの機体重量は440kg(972lb)で、同様のミッションである
JAXAのGOSAT「いぶき」(1.5t)に比べ、約三分の一の規模
です。観測装置もGOSATと似たものが搭載されていますが、GOSAT
が二酸化炭素とメタンの排出場所の調査を目的にしているのに対し、
OCOは、二酸化炭素の大気中の分布状況の調査を目的にしていま
した。また、OCOは同じ軌道を回っている他のシリーズ衛星と共
同で、全球の立体的調査を行う事となっていました。
オービタル社はISS(国際宇宙ステーション)への補給ミッション
に選定された企業ですし、数十回の衛星打ち上げをこなしているの
で、経験的にも充分。ロケットのコンポーネントも実績充分なもの
を使用しているのですが、良く見ると成功率ではH-2A以下であ
り、この種の限界まで、コストを削減したロケットによる衛星打上
げの難しさを示している様に思われます。
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