エアバスA350とパートナー各社は生産準備を加速中
エアバスとそのヨーロッパと米国中に跨るプログラムパートナーは、A350 XWB
生産の開始に向け、工場の新設や既存基盤の拡張等の準備を加速している。
A350のために修正された生産フローでは、最終的なアセンブリを合理化するよ
うになっており、現在の生産プログラムより完成度の高い状態でトゥールーズ
にベルーガ(A350機材輸送専用機)で到着するようサブアセンブリーに要求して
いる。
A350の生産の大半は、エアバスのヨーロッパ各地の工場とフランスとドイツに
ある独立部門であるAeroliaとPremium Aerotechによって請け負われている。
トゥールーズではA330/A340用組立施設群の隣接地にA350製造施設の旗艦的存
在になる最終組立てラインの建設が、この1月から始まった。そして、フラン
ス、ドイツ、スペイン、英国、米国でも、この双発機の為の新しい工場の建設
が進行している。
「より効率性が高く、最適化された重複部分を持つ改善されたプロセスにより、
最終的な組立てラインとその前工程のリードタイムの30%の削減達成を目標と
している」と、A350生産計画管理担当責任者であるフィリップ・ローネー
が語っている。
彼は、A350のための一般的な方針は、サブアセンブリーが現状の他のエアバス
プログラムより「機材に関する統合度のより高いレベル」で、最終組立てライ
ンに届けられるということであると言う。
「中央高地(セントラル・プラトー)配置というのは、すべての製造と、エンジ
ニアリング能力が、サプライヤーのものも含め、1つの場所にある事を意味し
ており、これによって、より短いリードタイムで、プロセスを改善し、より効
率的なプロセスが提供可能となる。」と、ローネーは言う。
胴体前部製造プロセスは、サプライヤーの共同配置がどのように働くかという
一例である。米国にあるパートナー企業Spirit AeroSystems社はノースカロラ
イナ州キンストンの新しい工場で複合材料製胴体シェルを製作して、それをサ
ンナゼールのエアバス施設に隣接した自社の新しい専用の工場に出荷する。
そして、そこで、胴体シェルは完成され、エアバスに組み立て用として届けら
れる。「Spirit社は、2009年第2四半期にはサンナゼール工場の配置を確定さ
せる」と、ローネーは語っている。
(flightglobal 2009/2/13)
一時は、開発に圧倒的な差のあったBoeing787とAirbusA350ですが、
ボーイング社が、原型機の生産にもたつく間に、エアバス社は、ボ
ーイングの失敗を横目で見ながら、着々とA350の生産準備を進めて
いるようです。
両社の新しい生産工程は非常に良く似ています。両者共に世界中に
散在する下請け会社を活用する方針で、自社は最終アセンブリーし
か担当せず、最終組み立て行程では、トヨタのJust in Time方式に
準じた部品供給により最短時間で機体を組み立てていくというもの
です。
ボーイング社が、サブアセンブリーが終わった大きな部材を自社の
エバレットに集めるだけであるのに対し、エアバス社は、記事にも
ある通り、サブアセンブリー担当会社も、エアバス最終組み立て工
場の隣接地に工場を持ち、ここで完成品に仕上げてから、エアバス
に引き渡す方法です。
ボーイングの場合、エバレットに引き渡してから、サブアセンブイ
ーでの不具合が見つかった場合は、その場で修正しなければならな
いのに対し、エアバスの場合は、不良のある部材は、担当会社に返
却すれば良いのと、不具合の説明がその場で担当会社の担当技術者
にFace to Faceで行えるという強みがあります。
生産が軌道に乗った後では、あまり変わりないと言えますが、生産
の立ち上がりの時期には明らかにエアバスの方が、改善が素早く行
え、不良の修正は担当会社に任せられる点、利点が多いと考えられ
ます。
この辺りの生産方法は、インドの10万ルピーカーであるタタ社の
nanoでも、部材供給メーカーを自社工場隣接地に配置する方法を取
っており、エアバス方法との類似が見て取れる点、興味深く思われ
ます。
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