2009年3月3日火曜日

「拉致はカネで」論理的には正しい。しかし.....



※写真は民主党関係サイトからの転載

「拉致はカネで」…危うさ露呈「小沢首相」、ささやかれる総・代分離論

2月上旬、都内で開かれた民主党議員と支持者による会合。党代表、小沢一郎
が発した言葉に会場は一瞬凍りついた。

「拉致問題は北朝鮮に何を言っても解決しない。カネをいっぱい持っていき、
『何人かください』って言うしかないだろ」

日本人の人権と日本の主権を蹂躙(じゅうりん)した北朝鮮の犯罪をカネで決
着させる-。あまりにもドライな小沢発言は、当然のごとく、箝口(かんこう)
令が敷かれた。

外交・安全保障をめぐる小沢の「危うさ」が露呈し始めている。

2月24日、記者団に「米海軍第7艦隊で米国の極東の存在は十分だ」と語り、
波紋を広げた。「対等の日米同盟」を土台に、日本の防衛力増強を志向すると
受け取れる発言の真意を、側近は「安保論議を活性化させようとして投じた一
石だ」と代弁する。だが、党内にも「先を見据えない、浅はかな言葉だ」(幹
部)との批判が出ている。

「民主党に国民は不安も抱いている」。1月18日、民主党大会で国民新党代
表、綿貫民輔はこう指摘した。民主党が政権に王手をかけたいま、小沢が唐突
に繰り出す持論は、野党の足並みも乱している。
-以下略

(産経新聞 2009/3/02)

「拉致問題は北朝鮮に何を言っても解決しない。カネをいっぱい持
っていき、『何人かください』って言うしかないだろ」

拉致問題の解決方法は、基本的には二つしかありません。
一つは、日本が主体的に解決する方法であり、小沢氏が述べたカネ
で解決する方法です。
もう一つは、日本が主体的に解決するのではなく、経済制裁を続け
ながら、北朝鮮の体制崩壊を待つ方法です。

ソ連が衛星国を支配していた東欧圏とモンゴルは、ソ連の崩壊に前
後して体制崩壊が実現しましたが、残念ながら東アジアの共産圏は、
中心となる中国が、社会主義市場経済の採用という事実上の体制変
更を行っていながらも、共産党独裁体制を変えていないので、北朝
鮮やベトナムに見る様に体制崩壊は起こしてしませんし、最終的に
は中国の介入が予想される事から今後も起こる可能性は非常に少な
いと考えるべきかも知れません。

勿論、一見堅固に見える中国の共産党独裁体制も、ソ連のそれと同
様意外にあっけなく倒れる可能性があります。そうなれば、北朝鮮
でもかなりの高い確率で体制崩壊のドミノ現象は発生するかも知れ
ません。

とはいえ、現時点でそれがいつになるか判りませんから、拉致問題
を日本が「主体的に」解決するには、小沢氏の言う通り、「カネで
解決」しか方法がない事になります。最終的な解決になるかどうか、
また、拉致被害者の全員が帰ってくるかどうか判りません。死去し
た被害者の事情も不明のまま、巨額の経済援助という身代金が支払
われ、事件の再発防止すら口約束しか期待できないかも知れません。
しかし、それが現実なのです。ある日突然、米軍が北朝鮮を空爆す
るなどという幻想は発生しない事を肝に銘ずるべきなのです。

現憲法下では、国際間の紛争解決に武力は行使する事はできないの
ですから、それでも、拉致被害者が帰ってくるのであれば、日本と
しては、無力さを噛み締めながらでもそれを甘受するしかないので
す。日本国で北朝鮮による拉致を防止できなかった日本の体制の弱
さ故に発生した拉致事件の被害者を主体的に「救出するのか」、そ
れとも、北朝鮮の体制崩壊まで「放置するのか」が問われていると
換言できるのかも知れません。

ある意味で、小沢氏は、正直な政治家と言えるでしょう。北朝鮮と
の妥協を拒否する世論に従って問題が先送りにするのが一番政治的
な危険が少ないからです。加害者におべっかを使ってでも、拉致被
害者を救出するという選択は、国民の総スカンを引き起こす可能性
が極めて高いと言えますし、政治生命を絶たれるかもしれない選択
であるとも言えます。その様な凡百の政治家にはできない選択を小
沢氏が拉致被害者の生還の為に、強いて行うのであれば、小沢氏は
歴史に残る政治家であると言えるのかも知れません。

しかしながら、政治資金で後援会に不動産を購入させていた様な今
までの小沢氏の行動を見ていると、小沢氏には、そういう利他的な
行動を期待しがたく思われてならないのです。その点で、今回の発
言も、信念に基づく発言というよりも、拉致被害者よりも、寧ろ、
北朝鮮との国交回復に伴う経済援助の利権に力点の置かれたドライ
な考えの表れと考えた方が良いのかも知れません。
小沢氏の考えは確かに論理的には正しくはあるんですが....。



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