2009年3月2日月曜日

インド国産空母「ヴィクラント」起工!


※写真はNHKサイトからの転載

印 初の国産空母建造へ起工式

急速な経済成長を背景に軍備の近代化を進めるインドが、初めての国産空母の
建造に乗り出し、28日、起工式が行われました。初めて建造される空母は、
排水量4万トン余り、全長260メートルで、戦闘機など30機を搭載できます。

インド南部、コチの海軍基地に併設された造船所で28日に行われた空母の起
工式には、アントニー国防相やインド海軍の関係者が出席しました。インド独
自の技術で初めて建造される空母は、排水量4万トン余り、全長260メート
ルで、戦闘機など30機を搭載できます。完成は5年後を目指しており、ロシ
アから新たに購入する予定の空母とあわせ、インド洋の海上交通路、いわゆる
シーレーンの安全確保を担うことになっています。インドが国産空母の建造に
乗り出す背景には、経済発展を続けるうえで欠かせない中東・アフリカ諸国か
らの石油の輸送路を守るだけでなく、同じく軍備増強を続ける中国が、海賊対
策でソマリア沖のインド洋に艦船を送るなど、南アジア周辺地域での影響力を
強めていることがあります。このため、インドとしては、空母の建造をあえて
公開することで、軍備の近代化をアピールし、中国をけん制するねらいもある
ものとみられます。

(NHKニュース 2009/3/1)

この処、中国の空母建造計画ニュース等でマスコミの関心が高まっ
ている事を感じさせられる報道です。このインド初の国産空母です
が、名前も決まっていて、ヴィクラント (Vikrant) と命名される
ことになっています。

ヴィクラントという名前はインド空母としては、二代目となります。
先代は、英国海軍のマジェスティック級軽空母ハーキュリーズで第
三次印パ戦争で活躍しましたが、1997年に老朽化が進んだ事から除
籍されています。

現在、インドは、これも英国海軍でフォークランド紛争時に活躍し
た、セントー級軽空母ハーミーズを改装したヴィラート(Viraat)を
保有しています。当初は、2000年代初頭に除籍される予定でしたが
ロシア海軍の航空巡洋艦アドミラル・ゴルシコフを、ロシアで改装
中のヴィクラマディティアの完成が大幅に遅延している事から10年
程度の延命工事を行っています。

延命されたヴィラートと2011~13年に完成するヴィクラマディティ
ア、2013年に完成予定の国産空母のヴィクラントとインドは、空母
三隻体制を構築する計画です。なお、艦命が長くないヴィラートに
代えてヴィクラントの同型艦が建造されるとの報道もあります。

ヴィクラントは、当初はフランスの CSN社が建造コンサルを行って
いましたが、途中でイタリアのフィンカンティエーレ社に交代しま
した。その為か、全体の印象はイタリアのヘリ空母である、イタリ
ア海軍の「ジョゼッペ・ガリバルディ」に似た印象を受けます。
ヴィクラマディティアと同様、ヴィクラントもSTOBAR方式
(Short Take-Off But Arrested Recovery) でロシア製のMig-29Kを
搭載する予定です。

このMig-29Kですが、ロシア海軍は、Su-33を艦載機に使用していま
すので、インド海軍のみが使用する機体となります。米軍には、艦
載機は陸上機として成功できるが、陸上機は艦載機として成功でき
ないという教訓があります。Su-33が艦載機として成功しているか
どうかは定かではありませんが、Mig-29Kが成功できるかどうかに、
インド空母の成功がかかっていると言っていいのかも知れません。
(尤も、Mig-29Kが成功しなかった場合は、最近の米印関係が良好な
事から、F-35が将来、空母艦載機に改めて選定される可能性も考え
られます。)

ヴィクラントは、珍しいX字型の飛行甲板レイアウトを採用してい
ますが、これはスキージャンプ式でもMig-29Kの発艦時には相当の
滑走距離が必要となる事によるものです。この為、ヴィクラントで
は、米海軍の空母の様な、アングルドデッキを生かした、離発艦同
時実施は、不可能となっています。

これ以外にも、ヴィクラントの建造に関しては、造船所設備問題等
各種のハードルがあります。その為、起工式も当初の2008年から約
半年の遅延になっています。ロシアで建造中のヴィクラマディティ
アにも同様の各種問題が発生しているのですが、その様な障害にも
係わらず断固として空母取得を推進しているインドの姿勢を我々は
重視するべきではないかと考える次第です。


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