2009年3月11日水曜日

北朝鮮はどうやって核実験なしに核兵器の小型化に成功したのか?


※写真はスカッド・ミサイル

北朝鮮が核兵器小型化に成功か 米情報機関が指摘

米国防情報局(DIA)のメープルズ局長は10日、上院軍事委員会に提出し
た書面で、北朝鮮が「核弾頭と弾道ミサイルを成功裏に一体化させられるかも
しれない」として、弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化技術獲得に成功
した可能性があるとの見方を示した。

DIAは北朝鮮が弾道ミサイルへの搭載を進めるため、小型核弾頭の研究を進
めているとみてきた。

昨年8月に脳卒中を起こしたとみられている金正日総書記の容体に関しては、
ほぼ回復しているようにみえると分析した。そのうえで、金総書記が急死した
場合、短期的には大混乱はおきずに「権力委譲は平穏に進む」との見通しを表
明した。ただ、北朝鮮は1人の権力者によって支配されてきたため、「長期的
には実力者間の権力争いで問題が大きくなっていく」と予測した。

また、ブレア国家情報長官は10日の上院軍事委員会公聴会で証言し、北朝鮮
が「人工衛星」と称して長距離弾道ミサイルを発射するとの見通しを示した。
長官は「(衛星打ち上げと)大陸間弾道ミサイルに使われる技術は区別がつか
ない」と述べ、北朝鮮が衛星打ち上げと主張しても、実際には長距離弾道ミサ
イル・テポドン2号の打ち上げとの見方を示した。

そのうえで、3段式のミサイルの場合、成功すればハワイやアラスカだけでな
くう米本土まで到達が可能になると指摘した。

一方、ブレア長官はイランの核開発に関しては、イランが高濃縮ウランの製造
を開始すれば、最短で2010年から2015年の間には核兵器生産に必要な
量の製造が可能との見方を示した。

(産経新聞 2009/3/11)

米国の情報機関の長が議会で報告した内容に疑義を挟むのは、蟷螂
の斧と言うべきなのかも知れませんが、常識から見てどうしても疑
問が残ります。

北朝鮮は、過去、不完全な核実験を一度しか行っていません。
核実験は無目的に行うのではありません。実用的な弾頭の完成だけ
とっても、核分裂物質の成形加工、中性子反射材と核分裂物質との
配置、配分、安全装置の設定、解除方法等々、最終的に核実験をし
なければ、確認できない項目は数多くあります。実際に、核の破壊
力を誇示したり、爆発それ自体の影響を調査すると言ったもの目的
以外に、過去各国で行われた数百回の核実験にはそれなりも理工学
的目的が設定されていた筈です。

北朝鮮だけが、一回の不完全な核実験だけで、弾頭小型化を完成さ
せたというのは、実験なしに実用弾頭を完成できたと言う事であり、
技術的に見て、あまりにもナンセンスとしか言いようが無い訳です。

では、北朝鮮が技術開発したのではない可能性はどうなのでしょう
か?まず、他の核保有国から弾頭の設計図そのものが流出した事が
考えられます。しかし、これらは、何れの国でも、国家最高機密で
す。当然充分な保安措置が取られている筈です。また、核弾頭設計
図を北朝鮮が入手できたとしても、ニセの設計図を掴まされた可能
性がある訳ですから、実際にそれが稼動するかどうか確認する為の
核実験が必要になります。

報道では、小型化技術獲得に成功とありますが、北朝鮮が弾頭その
ものを入手していた場合はどうでしょうか?
北朝鮮の弾道ミサイルの元になったのは旧ソ連のスカッド・ミサイ
ルですが、スカッドには、核弾頭を搭載可能なものがあります。
(スカッド-A、-B、-D) ですから、それらに搭載する実戦用
核弾頭を北朝鮮旧ソ連の崩壊の混乱期にロシアから入手していれば、
問題はミサイル側だけなので、「核弾頭と弾道ミサイルを成功裏に
一体化させられるかもしれない」と言えるのかも知れません。

つまり、DIA局長の言葉が正しいとすれば、それは北朝鮮が製造
したものではなく、旧ソ連またはロシアが製造し、北朝鮮が秘密裏
に獲得した弾頭であり、DIAはその情報をロシアから入出したの
ではないかと思われるのです。


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