2010年6月29日火曜日

中国をG8に参加させる事で、得られる日本の国益とは?

※陰に隠れて見えない菅首相。Reuter Webサイトから転載。

G8サミットに中国招待を=菅首相、夕食会で提案

菅直人首相は25日夜(日本時間26日午前)、主要国首脳会議(サミット)夕食
会の席上、今後のサミットの在り方に関し「一層責任感を高めてもらうため、
時には中国をG8サミットに呼ぶことを考えてもいいのではないか」と提案した。

首相はG8サミットについて「先進国間の意思疎通の場として維持すべきだ」と
強調。同時に、20カ国・地域(G20)首脳会合については「新興国との間の調
整の場として位置付けることが現実的ではないか」と指摘した。
これに関し、参加国はG8について「価値観を同じくする国が率直に意見交換を
行い、方向性を定める意味で引き続き有用だ」との認識でおおむね一致。G20
に関しては、「金融危機対応で大きな役割を果たしたが、意見をどのように収
れんさせていくかが課題だ」との指摘が出た。

(時事通信 2010/06/26)


中国は国連安全保障理事会常任理事国(P5)の一員である事を100%
以上に有効に使って自国の国益実現を図っているのは周知の事実です。
その一方で、元々は西側先進民主主義国の政策調整の場であった
G8は、ソ連崩壊後の新生ロシアを西側陣営に引き込む目的でG8
への参加を許容したお陰で、政策調整と合意の場としての役割を随
分と阻害される様になって来ています。

日本が当初からのサミット参加国である事は、サミットの元々持っ
ていた経済政策調整機能と、日本の国際的な経済プレゼンスの大き
さから自明であったからですが、それが日本の国益にもなっている
事もまた明らかであると考えます。

菅首相が、どの様な意図で、中国を参加させれば、「一層責任感を
高めてもら」えると考えたのか不明ですが、今回議題にもなった韓
国哨戒艦撃沈事件や、北朝鮮を巡る六ヶ国協議でも、中国の北朝鮮
に対する宥和的態度が、どれほど、国際的な共同歩調を損なってい
るか、少しでも中国の態度を継続的にフォローすれば一目瞭然と言
えます。中国をG8に参加した処で、自国国益の露骨な追求を繰り
返す事はまず確実であり、それ以前に、未だに共産主義一党独裁体
制を堅持する中国のG8参加は、西側民主主義国とは異質な存在と
して、G8の阻害要因となる事は明らかであると言えます。

現実の経済面においても、その成長力こそ注目されているものの、
自国の利害のみを考えた中国の露骨な経済為替政策は近隣窮乏化政
策そのものである事は明らかであり、WTOを始めとする国際的な
ルールを踏みにじっていると言わざるを得ないのです。

菅首相の心情はどうであれ、日本としては、人民元相場を自由な変
動相場制に移行させ、中国を貿易や為替の国際的なルールに従わせ
る事が、同一の競争条件を整えるという意味で国益に通じる事は言
うまでもありません。

もし、菅首相が中国に対する好意で、G8への参加を呼びかけたの
であれば、菅首相はG8の持つ性格と歴史に関する無知を指弾され
るでしょう。もし、中国がG8に参加しても、中国が日本に感謝す
る事もありません。中国は日本がG8に持つ足場の切り崩しに力を
入れる事になる筈です。

菅首相が、中国に責任を持たせる為に、G8への参加を呼びかけた
のであれば、P5としての中国の態度を無視している事で、菅首相
は国際政治と中国に対する無知を晒したと言わざるを得ません。

もし、菅首相が、日本の国益に思い至らずに、民主党の媚中政策の
延長で、G8への参加を呼びかけたのであれば、それは売国の謗り
を免れないと言わざるを得ないのです。


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2010年6月28日月曜日

ボーイング、787ドリームライナー試験飛行一時中止



※図は、Seattle TimesのWebサイトから転載。

ボーイング、787ドリームライナー試験飛行一時中止-水平尾翼の問題で

米航空機大手ボーイングは、次世代中型機「ボーイング787 ドリームライナー」
の水平尾翼に製造上の問題を発見したため、試験飛行を一時的に中止した。
シアトル・タイムズ紙(電子版)が伝えた。

問題は、ワシントン州エベレットの同社工場で過去1週間以内に発見され、シ
アトル・タイムズ紙の報道で初めて明らかになった。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の問い合わせに対し、ボーイングの関係
者は今のところコメントをしていない。

シアトル・タイムズ紙がボーイングの広報担当者の発言として伝えたところに
よると、すでに飛行済みの5機と製造された18機について、検査が行われる見
込みで、影響を受けた個所は修理されるという。検査により修理が必要になっ
た場合、修理は最大8日かかるという。

787プログラム担当責任者は22日、シアトルでの記者会見で同機には問題がな
いと言っていた。

スケジュールが大幅に遅れているボーイング787 ドリームライナーにとって、
今回の試験飛行中断は新たな汚点となる。

同紙によると、ボーイングの広報担当者は、今回5機の試験飛行が中断されて
も、最初の引き渡し時期がさらに遅れることにはならないと述べていいる。

(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2010/06/25)


先日、GEnxエンジン搭載ボーイング787の初飛行のエントリーを
書いたばかりでしたが、残念ながら今日は試験飛行一時停止のニュ
ースです。

上記の記事にあるSeattle Timesの記事原文は、以下のURLで読む事
ができます。
http://seattletimes.nwsource.com/html/businesstechnology/2012201147_boeing25.html

この記事によれば、問題が発生した水平尾翼はイタリアのアレニア
社が担当したもので、アレニア社での組み立て工程で誤りが発見さ
れたというものです。

先週、ボーイング社のエンジニアがテスト機を点検した際、そのま
ま放置すれば、亀裂が発生する可能性がある異常を見つけ、その原
因を解析した処、水平尾翼を機体に取り付けるブラケットという部
材がアレニア社内で誤った手順で取り付けられているのが判明した
と言います。

ボーイング社によれば、5機のテスト機とこれまでに製造した23機
の点検には、1~2日しかかからず、もし、問題があっても、その
修理には8日しかかからないといいます。今の処、この問題によっ
て引渡しスケジュールに影響が出る事はなく「遺憾ではあるが対応
可能な問題」というのが同社の説明です。

しかしながら、787で今まで、発生した各種の問題も全て、当初
は、小さな問題と発表された後、引渡し延期に至ったケースが多か
っただけに、ボーイング社の説明をそのまま、素直に受け取る向き
は少ない様に思われます。

航空会社にとっては、引渡しスケジュールの遅延は、機材繰りに大
きく影響するだけに大問題であるのは言うまでもありませんが、乗
客の側から言えば、新しい機体は、今まで以上の安全性が期待され
ている訳で、787が炭素繊維複合材と言う新素材を多用した機体
であるだけに、過去の航空事故の教訓、例えば、コメット機が初め
て経験した金属疲労問題と類似した新素材に特有の問題点がないか、
十分にチェックを重ねて欲しいものだと思います。

なお、アレニア社は、水平尾翼と共に、後部胴体の生産も担当して
おり、ちょうど、一年前にも、規定仕様外の部品を使用した事で胴
体外皮に皺を発生させ、この修復と解決に、多大の時間を要した過
去があります。


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2010年6月25日金曜日

南アW杯 祝 日本、決勝トーナメント「初」進出!

※毎日新聞Webサイトから転載

<南アW杯>日本2大会ぶり決勝T進出 デンマークに3対1

サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会第14日は24日、1次リ
ーグ4試合があり、E組の日本はデンマークを3?1で降して2勝1敗(勝ち
点6)とし、自国開催だった02年日韓大会以来、2大会ぶり2回目の決勝ト
ーナメント進出を決めた。オランダ対カメルーンはオランダが勝ってE組1位
となり、2位の日本は、29日午後4時(日本時間午後11時)の決勝トーナ
メント1回戦で、F組1位のパラグアイと対戦する。

日本は前半17分、ペナルティーエリア右角前の位置、ゴールまで30メート
ル超のFKから本田が直接、無回転で不規則に変化したボールをゴール左隅へ
突き刺した。前半30分には、ゴール中央20メートルの位置で得たFKから
遠藤が直接シュート。右隅に絶妙にコントロールされたボールがゴールに吸い
込まれた。後半36分には、トマソンのPKをGK川島が止めるが、こぼれ球
を押し込まれ1点を失った。しかし後半42分、岡崎がダメ押しのゴールを挙
げた。

(毎日新聞 2010/06/25)


英語のニュースを見ていると、日本国内での報道ぶりと異なる事が
あります。W杯関連ですと、自国開催のW杯での戦績が、計算の中
に全然入っていないのです。15日のカメルーン戦での報道は、日本
は「初めて」W杯で勝利したというものでしたし、今回のデンマー
ク戦勝利、決勝トーナメント進出は、自国開催以外では「初」の決
勝トーナメント進出という報道になっていて、日本の二大会ぶりと
いう報道は全然ないのです。

それもある意味当然です。何しろ、ホスト国が、決勝トーナメント
に進出できなかったのは、初めての事なのですから...。それだけ、
W杯で、ホームでの試合が出来るアドバンテージは大きいというこ
とではないかと思います。

ちなみにデンマークは、日本と同じでW杯へは1986年以降、4大会
目の出場でしたが、過去3回の出場では、常に決勝トーナメントに
進出しており、グループリーグ敗退は、初めての事となりました。
それに比べると、日本はアウェーだけでは3回目の出場で「初」の
決勝トーナメント進出ですから、ヨーロッパ代表として進出するチ
ームは、ベスト16に確実に残る実力があるという点で、ヨーロッ
パのフットボールの層の厚さを感じざるを得ません。

今回は、アジア代表からは、日本と韓国が決勝トーナメントに進出
する事になりましたが、大会前の下馬評では、アジアからの決勝ト
ーナメント進出は精々1チームであり、他地域代表と実力差があり
すぎるので、アジア代表チームのW杯参加枠を現状の4から3にし、
アフリカ枠を今回実現した6に増やす事をFIFAが検討中であるとも
伝えられました。

その点、今回は、アフリカからの決勝トーナメント進出国がガーナ
一国であるのに対し、アジアからは二ヶ国で、この状態で、アジア
の出場枠を減らすという議論は、おこり得ず、その点からも日本の
決勝トーナメント進出は喜ばし限りと考えます。

ちなみに韓国は、1954年からW杯に出場し、今回が通算で8回目の
大会になりますが、前回までのアウェーでの戦績は1勝11敗5分
で、決勝トーナメントへの進出は、初出場から、56年目という事に
なります。同様に、日本は、1998年の初出場から、12年目で決勝ト
ーナメントへの進出を果たした事になりましたが、これまでの戦績
は5敗1分でした。


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2010年6月24日木曜日

ボンバルディアとエンブラエルにガチンコ勝負を挑むMRJ

※CGは、MRJ Webサイトから転載

全日空、三菱の小型ジェットMRJ15機を約692億円で購入へ

全日本空輸(ANA)は21日、三菱製の国産小型ジェット機「MRJ90型機」
15機を約692億円で取得すると発表した。2013年度から2017年度
に受領することを予定している。
「MRJ」は三菱重工業子会社の三菱航空機(名古屋市)が開発中の国産初の
小型ジェット旅客機。

全日空では、収益性向上と今後想定される空港環境の変化への対応と現有小型
機の後継機として90─100席クラスの航空機を調達するとしている。燃費
効率がよく競争力のある新鋭機に更新していく計画だ。

(Reuter 2010/06/21)


全日空は25機のMRJを発注したと伝えられていましたが、その内訳は
確定発注15機と、オプションが10機となっています。上記の記事は、
この内、確定発注分について契約が纏まったという事だと思います。
一機46億円という価格は思ったよりも高いという印象を受けます。
MRJの価格は30億~40億円というレンジが予想されていました。
この処の円高で一機50百万ドルというのでは、米国の顧客に受け入
れられるのか心配になってしまいます。

とはいえ、三菱は、ボンバルディアとエンブラエルにガチンコ勝負
を挑むという記事が、FlightglobalにMRJに掲載されていました
ので、やや旧聞に属しますが、抄訳してみました。

三菱は、ボンバルディアとエンブラエルにガチンコ勝負を挑む

リージョナル航空機市場への三菱航空機の進出は挑戦的な冒険だ。日本は1960
年代の日航製(NAMC)YS-11以降、民間航空機を製造していない。そして、ボン
バルディア社とエンブラエル社というこのセクターの二大リーダー企業に加え、
中国の様な新規参入者との競争も待ち受けている。

しかし、三菱航空機の江川豪雄社長は、MRJにとって有利な点があると指摘
する。ライバルであるCOMACが中国の巨大な国内市場に焦点を当てており、政
治的なコネクションを利用して中国の航空会社に90席のARJ21-700旅
客機や150席のC919旅客機の購入を進めている。また、中国の第三世界の
同盟国は、輸出目標国にもなっている。

COMACは、実際には、競争相手ではないと江川は語る。MRJリージョナル・
ジェットは、西側諸国の市場への輸出を目的に造られており、その為、三菱の
直接競争相手は、ボンバルディア社やエンブラエル社となる。江川によれば、
MRJの売上の40%は北アメリカで、30%はヨーロッパで、また、20%はアジア、
残り10%はその他の諸国で挙げられると期待されている。

ゲーム・チャンジャー

エンブラエル170/190や、ボンバルディアのCRJ700/900、
それにARJ21-700は、ジェネラル・エレクトリック社のCF34エンジン
を使用しているが、MRJはP&W社が開発中のPW1000Gギアード・ターボフ
ァン・エンジンを使用している。このエンジンは、P&W社や三菱に言わせれ
ば、ゲームを変更してしまう存在になる。

三菱は、ボンバルディア社やエンブラエル社が、70席から90席クラスのリージ
ョナル航空市場から関心を失いつつあり、開発の焦点を110席から130席クラス
の機体に集中している事が続くことを期待している。ボンバルディア社は、既
に、110席~130席のCシリーズの提供を約束しており、ボンバルディアもこの
セグメントへの参入を評価している途中である。

三菱は、ボンバルディア社のCRJやエンブラエル社のEシリーズと比べMRJ
が全く新しい機体である点も指摘している。

その他の有利な点には、三菱の国際的な耐空証明を取得する能力も挙げられる。
江川は、日本で耐空証明を得た後、一~二ヶ月後には米国の連邦航空局からも
耐空証明を得られると予測している。江川は日本と米国の関係や日本が、二国
間相互安全協定に調印している事に自信を持っている。

しかし、日本がここ何十年も民間航空機を作っていなかったと言う事実は、米
国の連邦航空局が、日本の航空局の型式証明のプロセスが連邦航空局の標準に
そったものである事を確実とするため影の証明を実行しなければならないこと
を意味すると、江川は言う。三菱航空機の親会社である三菱重工は、何十年に
も亘り、エアバス社やボーイング社、ボンバルディア社向けの大型で複雑な機
体部品を製造してきた経験がある。

それに加え、三菱には、製造業界で技術と信頼性に定評があり、三菱ブランド
には国際的に高い評価と認識がある点も指摘する。
「日本には、モノヅクリという、製造を意味する言葉がある。」

三菱重工は、2008年に三菱航空機をスタートしたが、その後、株主として、
トヨタ自工(10%)、三菱商事(10%)、住友商事(5%)、三井物産(5%)、日本開発銀
行(1%)他を加えている。その結果、三菱重工の持分は64%となっている。

三菱航空機は、これらの巨大企業から世界的な販売資源としての役割を期待し
ており、三井物産には北米の、住友商事には、アジアと欧州での販売キャンペ
ーンを期待している。

金融面では、三菱グループは国内最大の、東京三菱UFJ銀行を保有しており、
販売パートナーは三井住友銀行を保有している。

江川は、これらの協力企業がMRJの販売ファイナンスにどの程度の協力を行
うかについてはコメントを避けたが、日本の輸出信用調査機関や日本輸出投資
保険や国際協力銀行の関与については、確認している。

三菱が、現在取り組んでいる重要な問題が、顧客サポートである。それができ
るかどうかで、MRJが国際的に成功するかどうかが左右される事になる。
三菱航空機は、2006年にサーブと覚書を交わし、北米と欧州のサーブの顧客サ
ポートネットワークで、MRJのサポートを行う事に両社が取り組む事を明ら
かにした。

しかし、最終的な合意は昨年12月に行われたが、当初予定されたよりもトーン
ダウンしたものになった「我々は、サーブと技術的解説書類を開発する事にな
った。それだけだ。顧客サポートの為ではない。三菱が顧客サポートの努力を
リードし、全責任を負う事になる。」と江川は語った。

とはいうものの世界的な顧客サポート体制を構築するのは、難しく、時間がか
かる複雑な仕事である。ATRやボンバルディアやエンブラエルの様なリージ
ョナル航空機のメーカーは、その様なネットワークを作るのに、数十年かかっ
ている。

その仕事の複雑さは、江川が、主要な市場で、MRJが認定した補修や修理、
オーバーホールを行う会社の強力なサポートネットワークを約束しても、その
時期について口を濁すことからも明らかである。

三菱は世界中に予備部品の倉庫を準備し、顧客リエゾンエンジニアからの技術
サポートを得られる24時間コールセンターの設置を計画している。

これまで、MRJリージョナルジェットは、確実な顧客を一社しか持っていな
い。それは全日空で、確定発注15機と更に10機のオプション発注をしている。

昨年10月、米国のリージョナル航空会社であるトランス・ステート・ホールデ
ィングが100機までのMRJを発注すると公表した。但し、江川によれば、そ
れは覚書に過ぎない。江川は、それがいつ最終化できるのかについては、コメ
ントを避けた。

(Flightglobal 2010/06/01)



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2010年6月23日水曜日

胸突き八丁に差し掛かったA350の開発



※CGはAirbus社Webサイトから転載

今まで余り報道されてきませんでしたが、A350XWBの開発も
開発完了まで残り三年と中間点に差し掛かかり、スケジュ-ル上の
余裕もなくなってきた模様です。このまま、787同様、開発遅延
の轍を踏むのか、あるいは、787の七転八倒から教訓を見出し、
新たな道を歩むのか分岐点に差し掛かっています。

以下Bloonbergの記事を抄訳します。

「緊張」のタイミングに差し掛かったA350

EADS社は、ワイドボディー機A350の開発をスケジュール通りに行う為に、
「非常に用心深く」開発を進める事が必要となっている。それは、同種の機体
であるドリームライナーの開発遅延によってボーイング社が陥った泥沼を避け
る為にも必要な事でもある。

「ここ暫く、開発スケジュールに固執しているが、開発スケジュール上の余裕
をほぼ食い潰してしまったので、開発スケジュールを維持できるかどうか緊張
を余儀なくされている。」「ボーイング社は非常に良い会社だし、技術的な能
力も高い水準にある。だから彼らが困難に陥った時には、我々も気をつける必
要がある。」とEADS社CEOのルイ・ガロアは述べた。

エアバス社は、この300人から350人乗りの長距離機の開発に100億ユーロ(120
億ドル)の開発費を費やし、ボーイング787と、就役後15年が経つ、より
大型のボーイング777に挑戦する予定である。この内、新しい機体は二つ共、
先進的な炭素繊維の様な新素材を使用しているが、これは、伝統的なアルミニ
ウムの様な既に飛行機への使用方法が確立している素材に比べ開発遅延を引き
起こすリスクを含む技術である。

エアバス社は、2012年にはA350の初飛行を行い、2013年には、引渡しを開
始したいと考えている。

ガロアは、エアバス社がデッドラインを確保できると期待しているが、それは
同社が、外部ベンダー利用について少ないリスクしか取っていない事を指摘し
ている。「ボーイングは80%の仕事量をパートナーに依存しているが、我々は、
50%の仕事量しか外部ベンダーにアウトソースしていない」また、「それに加
えて、彼らは、より積極的な技術的な選択を行っているが、それが、我々が注
意しなければならない教訓だ」とガロアは語る。

複合材料

ボーイング787もエアバスA350も重量の50%以上は複合材料で成り立っ
ている。787は、もともとの計画では2008年5月に引渡しを予定していたが、
製造上の困難から今年の終わりまでサービス開始が遅延している。787は昨
年12月に初飛行を行っている。

787についてのボーイング社の挑戦の中には、アルミニウムではなく複合材
で作られた丸ごとの胴体を次々に接合するというものも含まれていた。
一方、エアバス社は、より保守的なアプローチを取り、金属製の枠組みに複合
材料製のパネルを貼り付ける方法で胴体を形成している。

カタール航空がA350の最初の顧客になる見込みで、それも含め33の顧客か
ら530機の発注が得られている。

ガロアとエアバスCEOのトム・エンダーは、過去に新しい機体の開発遅延を経
験している。それはエアバス社の旗艦モデルであるA380の開発に関するも
のである。A380スーパージャンボ機は、二階建て500人以上を収容できる
が、この開発は何年も遅延した。またこの世界最大の旅客機の売れ行きもエア
バス社の見込みを下回っている。フランスのツールーズを本拠とするエアバス
社はEADS社最大の部門子会社である。

サービス遅延

A380のサービス開始は、2007年に二年半遅れで開始され、開発予算は50%
増しになり、180億ユーロに達した。エアバス社は、配線上の欠陥と設計上の
誤りが初期生産上の問題点であり、それに加え顧客が閉鎖型のキャビンやバー
と言った特別の装備を個別に発注した事が生産遅延を招いたと考えている。
エアバス社では、A350では、顧客毎の特別注文の内容を制限している。

エアバス社の軍事部門も、その最初の軍用機であるA400M輸送機の開発計
画で、同様の遅延を経験している。この輸送機は欧州各国から老朽化した機体
を置き換える目的で発注を受けているものである。EADS社は、顧客と数ヶ月に
及ぶ交渉を行い、開発遅延の後、予定された時期に200億ユーロの固定価格で
A400Mを引き渡すという枠組みの書き換えを余儀なくされた。

A400Mの救済ファンド投入が約束された後になってからも、欧州各国政府
とEADS社は再契約の内容を固めるに至っていない。この契約問題の最終決着に
は今年後半になる見込みである。

この不安定な契約状態により、エアバス社は、同社がA350やA380の開
発計画に必要とする資金もA400M開発計画に投入する事を強いられている。
エアバス社によれば、A400Mの開発計画には毎月1億ユーロ以上を要して
いる。

「我々は、現在、集中的に契約改正の交渉を行っているが、これは容易なもの
ではない。恐らく、夏前に合意に達する事はできないだろう。合意は恐らく秋
になる」とガロアは語った。

(Bloomberg 2010/06/02)


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2010年6月22日火曜日

GEnxエンジンを搭載した787が初飛行

※初飛行するGEnxエンジン搭載のボーイング787。Response.jpより転載

久しぶりに、ボーイング787に関する話題です。
順調にテスト飛行のスケジュールを消化中のボーイング787です
が、GEnxエンジンを搭載した初のテスト機が完成し、初飛行を終え
た様です。Flightglobalから抄訳の上、転載します。

GEnxエンジンを搭載した787が初飛行

ジェネラルエレクトリック製エンジンを搭載したボーイング787が今日、初
飛行を行った。これで五機目の機体が飛行テストプログラムに参加した事になる。

飛行テスト機ZA005は、太平洋標準時(PST)14時41分(グリニッジ標準時00時41
分)に、ワシントン州エベレットにあるボーイング社の工場を離陸した。

飛行機には、二基のGEnx-1B64エンジンが搭載されていた。初飛行はPST21時30
分頃に終了したが、初飛行にもかかわらず4時間近く飛行していた事になる。

テスト飛行は、ZA005のチーフ・パイロットであるマイク・ブライアン機長と
787のチーフ・パイロットであるマイク・キャリッカー機長によって行われ
たが、ワシントン州中央部にあるモーゼス・レイク テスト施設での短時間の
発着の後、787のテスト機編隊が使用しているシアトルのボーイング飛行場
に戻った。

ZA005は、二機からなるGEnx-1B64を搭載した機体の最初の一機で、両機合わせ
て今後670時間の飛行テストと600時間の地上テストを行う事で、エンジンと機
体の組み合わせについての型式証明を取得する予定となっている。GEnxエンジ
ン搭載の機体は、2011年の第一四半期にロイアル・エア・モロッコで就役する
見込みである。なお、六番目で最後のテスト機は、7月に初飛行を行う予定と
なっている。

テスト機の内、最初の4機の787はローンチ・カスタマーである全日空が選
択したロールス・ロイス トレント1000エンジンを2基づつ搭載している。
最初のロールス・ロイスエンジン搭載の機体は、全日空に11月か12月に引き渡
され1月には就役する予定となっている。

(Flightglobal 2010/06/17)


調子のいい時は、記事も短めですね。


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2010年6月21日月曜日

「はやぶさ」の成功を軍事面から眺めてみると

※CGはJAXA Webページから転載

人類初の快挙「はやぶさ」 軍事への応用は周辺諸国への脅威

日本の小惑星探査機「はやぶさ」が3億キロ離れた小惑星イトカワから無事帰
還した。「はやぶさ」の7年間・60億キロの航程は、人類の宇宙史において多
くの新記録を打ち立て、世界一を狙う日本の宇宙技術を示すこととなった。
チャイナネットが「はやぶさ」に対する専門家の見方を紹介した。

「はやぶさ」は技術的な故障で3年ほどコントロールがきかなくなってしまっ
たが、生き残ったエンジンを組み合わせることで起死回生し、人類の遠隔操作
技術において初の快挙を成し遂げた。

香港の軍事評論家である馬鼎盛氏は「もし日本がこれらの成果を軍事面に応用
すれば、中国やその周辺国家にとっては大きな脅威になる」と語った。

ただし、北京のある軍事専門家は「はやぶさなど大したことはない。カプセル
はたった6キログラム、使用したM5ロケットが推力も小さく、軍事用に応用し
たところでどうにもならない。また、日本の宇宙事業は商業的マーケットに乏
しく、中国の宇宙事業の勢いにはかなわない」と語った。

一方で英国の『JANES MISSILES AND ROCKETS』に
よれば、日本のM5ロケットは直径2.5メートルの世界最大級の三段式固体燃
料ロケットで、1.8トンの衛星を250キロメートル、傾斜角31度の楕円軌道に
打ち上げることができる。また、M5ロケットは(その気になれば)大陸間弾
道ミサイルにも使えるという。

日本は電子と半導体の強みを生かし、制御の正確さで他国をリードしている。
米国は日本と協力し、その先進技術を入手すると同時に、ロケット推力技術を
日本と共有している。また、「はやぶさ」は真の宇宙探索を行うために開発さ
れた。飛行中は、先進的なイオンエンジンの運用や、小惑星への自律的接近・
着陸、岩石採集、地球への帰還、回収等を含むさまざまな実験が行われた。

これらにより、日本はその宇宙開発史上において大きな一歩を踏み出したと言
える。「はやぶさ」が達成した任務は、今後、太陽系形成の謎解きや、小惑星
の地球への衝突を低減させるための研究において大いに役立つだろう。

ロシアの専門家、ボフリア(音訳)は『プラウダ』の中でこう警告する。日本
は超大国としての一連の属性を持つ。軍事費は世界第5位、自衛隊はヘリ空母
4艘、艦艇40艘及び先進的防空システムを備えている。軍事装備は大部分が国
内生産化され、技術的装備も常に更新されており、核兵器の生産に必要な技術
も保有している。日本軍は地域における最強武力の一つである。

日本政府は海軍陸戦隊の再編成として「待機部隊」を作り、敵の水際陣地占領
のための演習を繰り返し行っている。また1992年、国際緊急援助の派遣に関す
る法律の開始で、日本は国連の承認を得ずに国際軍事行動に参加することがで
きるようになった。敗戦国のリーダーである日本は「歴史的不公平」を言い訳
にして、度々ロシア、中国、韓国に対し領土要求を行ってきた。

領土問題といえば、日露間の北方領土問題の方が日中間の尖閣諸島(中国名:
釣魚島)問題より、その紛争が激しくなっている。ロシアは中国と韓国を仲間
に引き込み、連携して日本の領土要求を制止したいと考えている。そうなれば、
これら「反日株式会社」の中で最も大きい利益を得るのはロシアだが、そのた
めの投資比率が最も大きいのもロシアということになるだろう。

(Serchina 2010/06/19)
}}}

上記のサーチナの記事はテーマは良いのですが、勉強不足の面があ
ったり、事実誤認の面があったりと食い足りない処が多々あります
ので、少し「はやぶさ」の軍事的側面を補足をしてみたいと思います。

「はやぶさ」を軍事的に考えた場合、主として三つの側面から評価
する事が出来ます。

一つは、「はやぶさ」を打ち上げたビークルの問題です。宇宙ロケ
ットと弾道ミサイルは、性格の違いはあるものの、使用目的の違い
しかないと言ってしまう事ができます。「はやぶさ」を打ち上げた
M-V(ミュー5)型ロケットは全段固体燃料の三段式ロケットです
が、米国のICBMであるピースキーパーを大型化した様なサイズと性
能を持っています。

ただ、衛星発射ロケットとしてある意味当然なのですが、ICBMとし
て使う時の問題点は、発射準備に時間と人手を要する点です。
ICBMの場合は、いつでも発射できなければなりませんので、発射準
備に何日も何週間もかかっているようでは話になりません。
最新のICBMは、トレーラートラックに乗せられる程度に小型化され
且つ、発射準備も数分程度、人手も数名程度で発射できる様になっ
ています。

実は次期固体ロケットと言われているイプシロンロケットでは、打
ち上げコストの削減を目指しており、この発射準備期間の短縮と発
射要員数の削減がメインの開発目標の一つになっています。また、
当初、ロケットは北海道での発射を視野に入れて移動可能とする事
も検討されていました。その点からすれば、Mロケットよりも現在
開発中のイプシロンロケットの方がよりICBMに近い性格を持つ事に
なる様に思います。

二番目は、誘導技術という側面です。ICBMは精密に誘導できれば出
来るほど、攻撃力は同じでも弾頭重量を小型に出来、同じペイロー
ドであれば、多数の弾頭を搭載する事が出来ます。誘導技術の正確
さは、まさにこの精密誘導技術そのものと言えます。地球から二億
キロ離れた、長さ数百mの目標に正確に誘導できたのですから、
ICBMの場合にも、高度の誘導技術を発揮できる事は確実であると言
えます。

三番目は、再突入弾頭の技術です。「はやぶさ」は、7年のブラン
クの後に、地球に接近した処で、帰還カプセルを切り離し、それを
正確にオーストラリアの着陸目標に向け正確に再突入させました。
そして帰還カプセルは着陸目標から5百m以内の誤差で着陸しました。
半発必中界(CEP)500mは、ICBMであってもかなり良い数字です。

「はやぶさ」は惑星間航行速度である毎秒10km以上のスピードで再
突入したので、表面は非常な高温になったのですが、回収後に帰還
カプセルを確認した処では、熱的にも物理的にも全く損なわれてお
らず、昨日作成された様な状態であったと言います。つまり、熱的
な影響は耐熱シールドで完全に食い止める事ができたという事です。
これは、速度が秒速数kmのICBMより余程高い条件をクリアしたと言
えます。

つまり、今回の「はやぶさ」の成功は、日本がICBMの発射と精密な
誘導、熱的影響を受けない再突入体の製造とその突入実験に成功さ
せたのと同義であったと言う事になります。

日本は勿論、国是として核武装を行なう事はないでしょう。しかし、
日本は世界有数の原子力発電大国であり、原子炉関係機器の製造で
もトップクラスの実力を持っている事は、周知の事実です。

ロケット技術、誘導技術、再突入弾頭技術、核分裂性物質の処理加
工技術が合わされば、核武装に必要な要素技術は全て揃っている事
になります。

従来から日本は潜在的な核保有国と言われていましたが、それをよ
り赤裸々に見せつけたというのが、「はやぶさ」の成功を軍事的に
見た時の見方であり、それは、例えば、日本を政治外交的に追い込
む事は、核武装への誘惑を強める事になりかねないと認識させる事
で日本の持つ抑止力の強化に役立つ事になったと解釈すべきである
様に思うのです。


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2010年6月18日金曜日

戦闘機供与拒否で、中国は、北朝鮮への影響力強化を図る?

※写真はF-15K。Jetpics.comから転載

金総書記が中国に戦闘機供与を要請、拒否される 韓国紙報道

17日付の韓国紙、朝鮮日報は、北朝鮮の金正日総書記が5月に訪中した際、
中国の胡錦濤国家主席に最新鋭戦闘機の無償供与など軍事支援を公式に要請し、
拒否されたと報じた。北朝鮮内の消息筋が明らかにした。

消息筋によれば、中国側は、北朝鮮が攻撃された場合、十分に防御、支援する
ので北朝鮮があえて最新の兵器を保有する必要はないと説得したという。

朝鮮日報は、北朝鮮を脱出した元幹部の言葉を引用しながら、金総書記が哨戒
艦撃沈事件以降、米韓の軍事的攻撃の可能性に相当な危機感を持ち、韓国の
F15、F16戦闘機を防げる中国の最新鋭戦闘機を求めたと分析している。

(産経新聞 2010/06/17)


現在、韓国は最先端の戦闘攻撃機であるF-15Kの導入を推進し
ています。戦闘攻撃機と言いますが、実際には戦術爆撃機であると
言って良いでしょう。戦場で陸軍の攻撃を直接、間接に支援する役
割を持っています。元々F-15は制空戦闘機として開発されまし
たが、その優れた機体性能を利用して、空対空戦闘以外の兵器搭載
能力を強化し戦闘攻撃機とする為の大改造が行われました。その結
果、機体にぴったりとフィットした増加燃料タンクと機外兵装搭載
用パイロンを持つコンフォーマルタンクが増設され、エンジン推力
の増強やレーダーとFCSの機能が強化されたF-15Eが開発さ
れました。その最新型が韓国が導入中のF-15Kという訳です。
既に40機近くが配備されており、更に20機が追加導入される予
定となっています。

韓国は、北朝鮮に対する陸軍での量的劣勢に対し全般的な質的優位
と航空優勢によって対抗していますが、このF-15Kの導入によ
って、戦場での制空権を完全に韓国に奪われてしまうと北朝鮮が懸
念する事は理解できない事ではありません。その点で、金正日が、
中国に最新鋭戦闘機の無償供与を要請したという報道は理解できる
のです。しかしながら、中国もしたたかです。単純な軍事援助では、
一見、供与兵器の部品供給ルートを押さえたと思っていても、北朝
鮮が、イラン、シリアと言った「悪の枢軸」を経由し旧ソ連製兵器
用部品の闇供給ルートを通じて代替部品を取得する可能性も考慮し
たと考えられます。

そして、最新戦闘機を供与する替わりに、中国の戦闘機による抑止
力の傘を提供するという訳です。この場合、抑止力の信頼性は、北
朝鮮の中国に対する態度によって担保される事になります。つまり、
北朝鮮が中国のより強い影響下に入ると考えられるのです。

勿論、北朝鮮は韓国と比べ、量的優勢を確保しているというものの
質的側面では軍事面の全てで老朽化が目立っており、制空能力面で
の劣勢は、その一つに過ぎません。また、北朝鮮は、独自の核開発
を行う事で核抑止という最高レベルの抑止戦略で中国からの離脱を
現在も図っている処です。今回「北朝鮮が攻撃された場合、十分に
防御、支援するので北朝鮮があえて最新の兵器を保有する必要はな
い」と中国が主張したというのが事実であれば、このロジックは核
抑止に関するものと同じであり、中国の北朝鮮に対する嫌がらせと
も言えなくもありません。

そういう面では、北朝鮮への中国の影響力を強化すると言う中国の
施策は、直線的に実現に向かっている訳ではありませんが、北朝鮮
が、軍事の全ての分野で時代に取り残されつつあるのもまた事実で
す。その事実を活用しながら、長期的に目的を達成する事を中国が
考えている様に思われるのです。


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2010年6月17日木曜日

「イカロス」宇宙空間で初の自分撮りを公開

※写真はJAXA Webサイトから転載

宇宙ヨット「イカロス」の写真を公開 JAXA

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は16日、太陽光の微弱な圧力を受けて飛
行する世界初の宇宙ヨット「イカロス」が大きな帆を広げて飛行する写真を公
開した。宇宙空間で探査機自身の姿が撮影されるのは珍しい。

写真は14日、地球から約1000万キロ離れた金星方面への軌道上で、イカ
ロスから分離された小型カメラが撮影。中心にある円形の本体から一辺約14
メートルの帆が広がり、太陽光を受けて闇の中を飛行する様子がわかる。

イカロスは太陽光の圧力を利用した加速や軌道制御、帆に張り付けた薄型太陽
電池の発電などを行う小型ソーラー電力セイル実証機。10日に展開し終えた
樹脂製の帆は厚さが髪の毛の太さの10分の1程度で、飛行経過は順調という。

イカロスは5月21日、JAXA種子島宇宙センター(鹿児島県)から国産大
型ロケット「H2A」17号機で日本初の金星探査機「あかつき」と一緒に打
ち上げられた。

(産経新聞 2010/06/16)

実は、宇宙空間で自分の姿を撮影したのは、イカロスが始めてでは
ありません。新型ロケットの発射時の様に、問題が起こりそうな処
にテレビカメラを設置し、映像をテレメトリーで地上に送る事など
はごく普通に行われています。イカロス以前のソーラーセイル展開
実験などは、そういう形で実験の結果の写真を得ています。

また、子探査機が撮影した映像の中に探査機の一部が写っていた事
もあります。小惑星探査機「はやぶさ」が、子探査機ミネルバを放
出した際にミネルバが取った写真の中に「はやぶさ」の太陽電池パ
ネルが写っていたのが、この例であると思います。

広義の自分撮りとしては、「タイ・ファイター」(映画スターウォ
ーズでダースベイダーの搭乗した宇宙戦闘機機)そっくりと有名に
なった、小惑星イトカワに写った「はやぶさ」の影の写真なども上
げられると思います。

偶然写った自分撮りを別にすれば、明確な目的なしに、探査機が自
分撮りを行う事はありません。宇宙空間で自分を撮影するには、今
回の撮影でも判る様に、自分撮り用の仕掛けが必要になります。

今回はその仕組みを非常に安価に実現している様に見受けられます
が、自分撮り用の仕組みは、一般的には写真撮影用の子探査機と同
じ様な扱いになりますので、その自由度や自律性によっては結構な
コストがかかる事になります。「はやぶさ」の子探査機ミネルバも、
当初は、JPL(ジェット推進研究所)でローバーを提供するという話
があったのですが、その開発費用が「はやぶさ」本体に等しくなり
(百億円以上!)、結局取りやめとなった話が残っています。
その代わりに日本側が開発したら、極めて安上がりに仕上がったと
いうオチが付いています。

一般の探査機が自分撮りをしないのは、将に、そういう必要がない
からという事がその理由になります。予算やスペースに制約のある
探査機には無駄な事をする余裕はありません。今回の「イカロス」
についても、ソーラー電力セイル実証衛星として、ミニマムサクセ
スの一項目に大型薄膜の展開、展張があるほどソーラーセールの展
開が重要であり、その達成を検証する事が重要度が高い事から、自
分撮りの仕組みも整えられたという訳です。

それにしても、イカロスから送信された自分撮りの写真の効果は圧
倒的です。今まで発表された写真では類推するしかなかった、ソー
ラー電力セイルの展開状態が一目瞭然に分かります。分離カメラは、
その目的を100%達成したと言えるでしょう。これから、建造される
ソーラー電力セイル実用機や複雑な仕組みのアンテナ展開が必要と
なる衛星には、この様な自分撮り用の分離カメラの様な仕組みは必
須のアイテムになりそうです。


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2010年6月16日水曜日

随分安っぽくなった「ソウルを火の海に」という恫喝


「ソウルを火の海に」 北朝鮮、16年ぶり脅迫 「心理戦の拡声器設置は宣戦布告」

北朝鮮軍総参謀部(李英鎬〈リ・ヨンホ〉総参謀長)は12日、「重大布告」を
通じ、韓国側が対北宣伝放送用の拡声器を設置したことについて、「警告通り、
反共和国心理戦の手段を清算するための全面的な軍事的打撃行動に突入するこ
とになる。われわれの軍事的打撃は比例的原則による1対1の対応ではなく、ソ
ウルを火の海にすることまで見越した無慈悲な軍事的打撃である点を肝に銘じ
ておく必要がある」と主張した。北朝鮮当局が「ソウルを火の海にする」と脅
迫するのは、1994年の第8回南北実務接触以来16年ぶりのことだ。総参謀部は
韓国軍に送った布告で、「心理戦は戦争遂行の基本作戦形式の一つであるとい
う点から、反共和国心理戦手段の設置は、われわれに対する直接的な宣戦布告
だ」と表現した。

これに対し、韓国合同参謀本部は「北朝鮮軍の異常な動向はとらえられていな
い。北朝鮮が挑発した場合、その倍以上に懲らしめる準備態勢が整っている」
と話した。

(朝鮮日報 2010/06/14)


「ソウルを火の海に」という北朝鮮の恫喝も随分と軽いものになっ
たものだという感慨を覚えます。普通は相手国の首都を火の海にす
るというのは最大限の威嚇の表現でしょう。そういう表現は安易に
用いては、安っぽくなってしまいます。伝家の宝刀は、なかなか抜
かないからこそ価値があるのです。

今回、北朝鮮総参謀部が伝家の宝刀を抜いて止めさせようとしてい
る韓国の行為とは、たかだか対北宣伝放送用の拡声器を数十箇所に
設置するというものでしかありません。拡声器を設置すれば、戦争
するぞというのは、相手を呆れさせる事はあっても、本気に取らせ
ることは、なかなか困難です。

北朝鮮は、本気である事を説明する必要があります。それが、「心
理戦は戦争遂行の基本作戦形式の一つであるという点から、反共和
国心理戦手段の設置は、われわれに対する直接的な宣戦布告だ」と
いうのでは話になりません。もし、そういうロジックが成立するの
であれば、現在は総力戦の時代なのですから平和的な経済建設競争
ですら、「経済建設は戦争遂行の基本作戦形式の一つである」とい
う事になってしまいます。

北朝鮮がもし、拡声器の設置に対し、ソウルを火の海にする事で本
当に答えた時、それを北朝鮮にとって十分な理由であると理解して
くれるのは「悪の枢軸」仲間しかないに違いありません。その他の
国にとっては顰蹙ものの行為というのが一般的な受け止め方になる
に違いないのです。

今回の件で明らかな事は、北朝鮮が、如何なる情報であれ、自国に
不利な情報を自国民に宣伝されるのは避けたいと思っている事です。
それは、強さを示すものでなく、明らかに北朝鮮の弱さを示すもの
に他なりません。そう考えれば、居丈高な北朝鮮軍人の恫喝も、極
貧国の寡婦の悲鳴に聞こえてくるのです。北朝鮮も随分、落ちぶれ
たものだと言わざるを得ないのです。


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2010年6月15日火曜日

素直に喜びたいが....。都合が良すぎる日本の勝利

※写真は、yahooサイト(スポニチアネックス)からの転載

日本、海外W杯で初勝利=堅守で逃げ切る-カメルーンに1-0

サッカーの第19回ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、1次リーグE
組の日本は14日、当地のフリーステート競技場でカメルーンと戦い、1-0
で勝った。日本は海外開催のW杯初勝利。4度目の出場で、1次リーグの初戦
で勝ったのも初めて。1998年フランス大会で指揮を執った岡田武史監督に
とってもW杯初白星となった。
日本は本田圭佑(CSKAモスクワ)を1トップに置く布陣で臨み、前半39
分にMF松井大輔(グルノーブル)のクロスを本田が決めた。追加点はなかっ
たが、堅守で逃げ切った。日本は19日にオランダ、24日にはデンマークと
対戦する。
同じE組のオランダはデンマークを2-0で下して白星スタート。連覇を狙う
F組のイタリアはパラグアイと1-1で引き分けた。

(時事通信 2010/06/15)


カメルーン戦勝利おめでとうございます。既にどのマスコミでも取
り上げられていますが、今回の勝利で、日本は、ワールドカップへ
参加して以来始めて、外国での大会で、勝利を得る事が出来ました。
これで日本も本当の一人前、本当にそう信じたい処です。

思えば、この数ヶ月の日本代表チームの戦績はとても、希望の持て
る状態ではありませんでした。前回ドイツ大会での惨敗の後、日本
代表チームの建て直しを任されたオシム監督は病に倒れ、その後を
継いだ岡田監督については、アジア地区予選は勝ち抜けたものの、
とても、世界水準の代表チームの監督とは言えず、最早、交代のタ
イミングを逸したので、敗戦処理をやらせるとまでマスコミに書か
れる程の酷評ぶりでした。

それが蓋を開けると、緒戦で、日本にアウェーでの初勝利を呼び込
んだのですから、驚いてしまいます。
思えば、Jリーグの発足以来、今回程、国民から期待されなかった
代表チームもありませんでした。そして、それが逆に危機バネとな
り、代表チームを結束させ、試合でも日本が少ないチャンスを生か
し、鉄壁の守りでカメルーン攻撃を凌ぎ切る事に繋がったと紙面を
埋めるスポーツマスコミやサッカー評論家も多いと思います。

私もそういう評価を、素直に信じたいと思います。でも、試合の内
容から見ると余りにも日本がラッキーであるとしか言い様がないの
も事実です。

直前のFIFAランキングで、カメルーンは、19位、日本は45位でした。
試合でのボール支配率は日本が44%に対し、カメルーンは56%でした。
これは、日本が前半で得た得点を守る為に後半は守備に徹したから
と言えなくもありません。同じくシュートの数は、日本が5本に対
し、カメルーンは11本と二倍以上でした。そして、コーナーキック
は日本が0に対して、カメルーンは3回でした。カメルーンは攻撃
面で日本を圧倒し、再三セットプレーのチャンスを得たにも関わら
ず得点できなかったのが見て取れます。

何故でしょうか。それは波状攻撃をかけている最中にファウルを取
られ攻撃が細切れになったからです。それは審判が相手側のファイ
ルをとった数である直接フリーキックの数をみれば判ります。日本
が29本を得たのに対し、カメルーンは20本を得たに過ぎません。
カメルーンは日本に比べ5割増しのファウルを取られた事になりま
す。しかし、試合を見た印象では、カメルーンの選手が日本選手に
比べ、格別にラフプレーをしていたという印象はありません。解説
者が、日本選手は上手く審判にアピールしていたとすら言っていた
程です。

では、何故、審判は、日本に有利な笛を吹いたのでしょうか?日本
のサッカー協会が審判を買収する事はありません。それ程、勝利に
対する執着があれば、ワールドカップ前にここまで盛り下がる事は
なかったに違いありません。私は、日本に有利な笛があったのであ
れば、その指示は、FIFAから出ていると思います。

FIFAは、元々、世界的なプロサッカー普及の為の組織であり、公明
正大な正義の組織であるとは考えられません。その活動原理は、商
業主義そのものです。FIFAにとって、今や、急拡大しているアジア
マーケットを如何に活性化させるかは、彼らの世界的なビジネス拡
大にも大きな影響を与えます。今回のワールドカップで一言でアジ
アの躍進と表現されていますが、韓国-ギリシア戦でも、事前の予
想を覆して、ランキング47位の韓国が、ランキング15位のギリシア
や破っています。それはランキング45位が、ランキング19位を破っ
た日本-カメルーン戦と好一対であると言えます。

ちなみに、アジアの躍進の結果破れた、ギリシアとカメルーンはFIFA
にとって日本や韓国程重要な市場ではないのは誰しも認める処でし
ょう。なお、北朝鮮は、トリックスターであって、勝った処でFIFA
のマーケット拡大には役立つ事はありません。ですから、実力通り
の勝敗がつく事になります。

その一方で、アジアの躍進がこれから、どこまで続くかには、疑問
が残ります。あまりに安易に決勝リーグへ進ませる事は、次回のワ
ールドカップでより以上の成績を残す期待が失望に終われば市場の
継続的な拡大には逆効果になります。

サッカー市場を持続的に成長させたければ、ワールドカップ毎に戦
績が少しづつ上がっていく事が望ましいと言えます。特に、日本に
関して言えば、今回のアウェーでの初勝利で、ここ数年落ち込んで
いた日本市場でのサッカーの活性化には、十分な効果が期待できま
す。そう考えると、以降の試合では、日本に有利な笛は必要がない
という事になります。将に実力通りの容赦のない試合結果が出てく
る筈です。実際、実力から言えばドイツ対オーストラリアの4対0
のスコアが、オランダ対日本の成績であっても全くおかしくありま
せん。今回のワールドカップへの日本代表チームの本当の挑戦は、
これから始まると言った方が良い様に思えるのです。


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2010年6月14日月曜日

7年60億キロ宇宙の旅終わる。世界初の惑星間サンプルリターン成功!


※写真と図は、読売新聞サイトから転載

「はやぶさ」大気圏突入、60億キロの旅帰還

宇宙航空研究開発機構の小惑星探査機「はやぶさ」が13日夜、7年に及ぶ旅
を終え、地球に帰還した。

飛行した距離は、地球―太陽間の40倍にあたる60億キロ・メートルで、満
身創痍(そうい)の奇跡の帰還だった。機体は大気圏突入で燃え尽きたが、突入
前に分離した耐熱カプセルは、ウーメラ(南オーストラリア州)付近に着地し
た。宇宙機構は今後、カプセルを日本に運び、内部の確認を行う。はやぶさは
月以外の天体に着陸して帰還した人類初の探査機となった。

カプセル内には、小惑星の砂が入っている可能性がある。小惑星の砂や石は、
ぎゅっと固まる過程を経た惑星の岩石と違い、太陽系の初期の状態をとどめて
いるとみられる。米アポロ計画で採取した月の石などに続く、貴重な試料とし
て、世界の研究者の期待を集めている。

はやぶさは、2003年5月に地球を出発。05年11月に地球から3億キロ
・メートル離れた小惑星「イトカワ」に着陸し、砂などの採取を試みた。小惑
星に軟着陸したのは、史上初だった。

しかし、離陸後に燃料漏れで制御不能になり、通信も完全に途絶した。奇跡的
に復旧し、07年に地球への帰路についたが、帰還は3年遅れとなり、劣化の
激しい電池やエンジンでぎりぎりの運用が続いてきた。

はやぶさは13日午後8時21分(日本時間午後7時51分)、インドの上空
7万4000キロ・メートルでカプセルを分離した。同11時21分(同10
時51分)ごろ、まずカプセル、続いて本体がオーストラリア上空で大気圏に
突入し、夜空に光跡を描いて落下した。

本体は大気との摩擦で燃え尽きたが、カプセルは底面が断熱材で覆われており、
パラシュートを開いて減速した模様。位置を知らせる電波を発信しながら降下
して、同11時37~38分(同11時7~8分)ごろ、ウーメラ付近に着地
した。

宇宙機構は、着地点をヘリコプターから確認した。14日にもカプセルを回収
する。今後、日本へ空輸し、専用施設で慎重に中身を調べる。

イトカワで試みた砂の採取は、装置が正常に作動しなかった。しかし、着陸の
際に舞い上がった砂煙が、カプセル内に入った可能性があると期待される。

はやぶさは、新技術のイオンエンジンを搭載した。のべ4万時間稼働して、小
惑星へ往復する長距離の航行を完遂。日本の宇宙技術の高さを世界に示した。

(読売新聞 2010/06/14)


一つの旅が終わったという感じのする「はやぶさ」の帰還でした。
インターネットでの現場中継をご覧になった方も多かったのではな
いかと思いますが、私には、先端の帰還カプセルの後ろで、燃え尽
きていく「はやぶさ」本体の姿が、カプセルを守って自らを犠牲に
する姿の様に見えてなりませんでした。

勿論、実際には違います。化学燃料に十分な余裕があれば、「はや
ぶさ」本体の軌道を変更する事も考えられたのです。しかし、度重
なる事故や故障で全ての化学燃料を失っていた「はやぶさ」には、
その余裕は残っていなかったというのが、本当の処です。

今回の「はやぶさ」の旅は、工学実験機として「はやぶさ」が抱え
ていた潜在的なリスクから来る度重なる故障や事故を、奇跡的とも
言える技術者達の粘りと努力で克服した点が素晴らしかったのです
が、「はやぶさ」の残してくれた技術も、また大きいと言えます。

例えば、月以外の他の天体に離着陸してのサンプルリターンは世界
初の試みです。月からのサンプルリターンは、米国と旧ソ連が達成
しています。また、月以外からのサンプルリターンは、米国がジェ
ネシス探査機(太陽風粒子の採取)とスターダスト探査機(彗星コマ
の粒子採取)で達成していますが、この両者共に宇宙空間に漂う粒
子を採取しただけで他天体への離着陸は行っていません。

これは、地球との間で三億キロという気の遠くなる様な距離から来
る障壁があるからです。三億キロ離れた探査機と地球との電波のや
り取りには、光のスピードでも、30分以上の時間がかかります。
つまり、ある出来事に対応する為に、人間が一つ一つの判断をする
事ができず、探査機にはロボットの様な自律性を持たせる必要があ
るということです。

過去の欧米の探査機では、この様な自律性を持った探査機は、非常
に高価で大型のものになる事が多かったのです。今回の「はやぶさ」
の成功は、「はやぶさ」が高度の自律性と複雑な機構を持つ割には、
非常に安価で且つ小型に仕上げっている事が大きく関わっています。

現在、米国はスペースシャトルに続く計画として地球近傍天体や火
星軌道に人類を送り込む計画を数兆円の予算で計画していますが、
有人と無人の差は大きいとは言え、実際に人間が行ってやる事は、
主として、写真を撮ることとサンプルの採取です。「はやぶさ」の
成功は、それとほぼ同等の事を無人の探査機で行える点を示した事
にあると言えます。

火星軌道とほぼ同じ軌道を描く小惑星イトカワへ離着陸する事と火
星の衛星フォボスやダイモスに離着陸する事とは、それほど大きな
違いはありません。イトカワでサンプルリターンができたのであれ
ば、フォボスやダイモスからもサンプルリターンは可能と言う事に
なります。

平たく言えば、米国が有人で数兆円をかけてやろうとしている事と
ほぼ同じ事を日本は数百億円(はやぶさの予算は210億円でした)
の予算で無人ロボット探査機を使ってやってのける事ができるとい
う事なのです。

民間人工衛星打ち上げサービスや国際宇宙ステーションへの輸送業
務の委託など、2000年代の宇宙計画の大きなのテーマ一つは、宇宙
開発の低価格化である事は疑い様のない事実です。「はやぶさ」の
後継機は、政権交代を受けた予算削減で製造に着手できていません
が、世界的な宇宙開発競争の中で、日本は得意芸である低価格高品
質の自律性のある無人ロボット探査機に力を傾ける事で、「はやぶ
さ」の様な、輝かしい成果を上げ続ける事ができる様に思われるの
です。


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2010年6月11日金曜日

小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」ミニマムサイセス達成!

※図は、JAXA Webサイトから転載

宇宙ヨット 「イカロス」帆を広げる…金星に向かって飛行

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日、燃料なしに太陽の光の圧力を受
けて飛行する宇宙ヨット「イカロス」が帆を広げることに成功したと発表した。
現在、地球から約800万キロ離れた宇宙を金星に向かって飛行している。

地球周辺以外で世界初めてとなる宇宙ヨットの航海が本格的に始まった。
イカロスは5月21日、金星探査機「あかつき」と一緒にH2Aロケットで打
ち上げられた。帆は14メートル四方で、髪の毛の太さの10分の1という極
薄の樹脂製。1円玉の5分の1の重さに当たる光の圧力を受けて進む。

帆は、打ち上げ時に直径1.6メートルの円筒状の本体に収められていた。今
月3日から地上からの無線の指示で展開作業が始まり、10日にすべて完了し
た。慎重に確認を繰り返し、計画より6日遅れとなったが、今のところトラブ
ルはないという。

広げた帆を本体から撮影した画像も公開された。今後、本体からカメラを切り
離し、帆全体を撮影する。開発に当たってきた森治JAXA助教は「いよいよ
航海が始まる。向きを変えたり、さまざまな観測や実験に挑みたい」と話す。

(毎日新聞 2010/06/11)


小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」のミニマムサクセスの
条件は、以下の二項目を達成する事です。
①大型ソーラーセイルの展開
②薄膜太陽電池による太陽光発電

JAXAは11日、イカロスがこの二つを達成した事を発表しました。
大型ソーラーセイルは、一次展開が8日に、二次展開は、9日に既
に達成されており、10日に二次展開の確認と太陽電池の発電が確認
されたという事です。

ただ、イカロス・ファンからすれば、9日に一次展開終了の画面が
公開された後、二次展開完了の発表がないまま、10日はイカロスの
状態は良好ですとしかブログにも記載されていませんでしたので、
一抹の不安を感じた方も多かったのではないかと思います。

既に、イカロスとは800万キロ離れ、交信にも30秒近くかかる訳で
各種の確認にも時間がかかるのは判りますが、ブログやTwitterを
使っているのですから、正式発表前に、「二次展開完了、結果確認
中。」と言った簡単なメッセージがあっても良かったのではないか
と思いました。

それにしても、今回のイカロスがソーラー・セイルの展開が成功し
た事は、探査機レベルのものでは世界初であり、まさに画期的な事
件であると言えます。恐らく、将来書かれる人類の宇宙開発史の中
でも、必ず記載される事項になるのではないでしょうか。
ソーラー・セイルのコンセプトは、今から百年も前から提案されて
いた古くからのアイデアですが、これまで、もっと小型のセイルを
実験的に展開した事はあっても、一個の探査機として大型薄膜を展
開した事はありませんでした。今回、イカロスが使用した薄膜も、
厚さは、髪の毛の十分の一しかありません。それを14m四方に展開し、
その形を維持しなければなりません。その困難さは想像に難くあり
ません。

先行する米国では、ソーラー・セイルに対してはNASAが積極的では
ない事から、個人の寄付で運営されている惑星協会(プラネタリー・
ソサイティ)が主体となって、ピギーパック衛星として開発されて
います。それが、今回「イカロス」が世界初を達成できた理由にな
っています。それでも、失敗したとは言え、過去二回、ソーラー・
セイル実験衛星を打ち上げたのは、さすがに米国の実力と言えます。
イカロスに続き、現在の予定では、今年末に、「Light Sail-1」が、
地球周回軌道に打ち上げられる見込みです。

イカロスは、遠心力でソーラー・セイルを展開を維持しますが、
Light Sail-1は、マストを持ち、それによりセイルの展開を維持し
ます。異なる形式のソーラー・セイルが存在し、各々がその性能を
競う事が、今後のソーラー・セイル探査機の発展に有用であるのは
言うを待ちません。ソーラー・セイルによる宇宙大航海時代の幕開
きを是非、期待したいと思います。


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「羅老号」二号機 打ち上げ失敗!

※図は朝鮮日報サイトより転載

燃料調節失敗?配管から燃料漏れ?海に落ちた「5000億ウォンの宇宙の夢」

ロシアが製造した1段目エンジンに異常?
「羅老」空中爆発 なぜ?


人工衛星搭載ロケット「羅老」は離陸から137秒後に通信が途絶えるまです
べてが順調に見えた。10日午前から韓国とロシアの研究陣が総動員され、最
終点検が行われたが、異常はなかった。しかし「羅老」は結局、済州道(チェ
ジュド)南側の公海上に落ちた。羅老宇宙センターから470キロ離れたとこ
ろだ。韓ロ合同調査団はすぐに「羅老」残骸回収作業に着手することにした。

昨年8月の最初の打ち上げでは、韓国が初めて開発した「羅老」2段目を試験
する機会があったが、今回はそれさえも失敗に終わった。科学技術衛星も丸ご
と失った。最初の打ち上げではフェアリング(人工衛星保護カバー)の一つが
分離せず、衛星を軌道に乗せられなかった。最初の打ち上げよりも惨めな結果だ。
「羅老」開発には1・2回目の打ち上げを含めて計5025億ウォン(約400
億円)の費用がかかった。衛星は136億ウォン。

「羅老」の空中爆発原因はまだ確認されていない。しかしいくつかの可能性が
推定できる。通信が途絶えた137秒経過時点の状況は、1段目のロケットが
火を噴きながら上がっている時で、昨年の失敗の原因だったフェアリング分離
段階の78秒も前だ。1段目のロケットには液体酸素と燃料のケロシン(灯油)
を適切に噴き出す噴射口とその量を調節するバルブがあり、関連配管が複雑に
設置されている。発射の瞬間からすべて燃焼するまでエンジンノズルからは瞬
間的に大量の液体酸素とケロシンが噴射される。

140トンの「羅老」を宇宙空間まで送らなければならないうえ、秒速8キロ
の超高速に達する必要があるからだ。この燃料バルブが燃料噴射量調節に失敗
し、問題が生じた可能性がある。

もう一つはエンジン配管に問題が発生して燃料が漏れた可能性だ。漏れた燃料
に火がつき、エンジン内部が過熱され、爆発したということだ。「羅老」の飛
行経路が当初設計されたものより空気の密度が高い低高度をたどり、飛行体内
外部を損傷させた可能性があるというのが専門家らの分析だ。

1段目のロケットはロシアから輸入された。この1段目と国内で開発した2段
目を連結して「羅老」が作られた。まだ空中爆発の原因は把握されていないが、
こうした事故をもたらす兆候はあった。まず1段目のロケットは十分な試験が
行われていない。完全に開発が終わって本格的にロケット市場に投入されたの
ではない。ロシアのロケット製作会社クルニチェフは「アンガラ」という新し
いロケットを開発しているところだ。そのロケットエンジンは推進力が大きく、
「羅老」ではその力を弱めた。このため「羅老」打ち上げはロシア側からすれ
ば、事実上、開発中である「アンガラ」エンジンの飛行試験格ということになる。
「アンガラ」のエンジンはまだ燃焼試験と安定化作業をしている段階だ。

匿名を求めたロケット専門家は「ロケットを開発するには少なくとも3-4回
のエンジン燃焼試験と飛行試験を行うのが常識」と述べた。「羅老」はこうし
た手順の相当部分を省略したまま衛星を搭載した。開発中のロケットの飛行試
験には費用がかかる実際の衛星よりも、衛星の模型を搭載する。こうした過程
をたどらない場合、惨憺たる結果をもたらす場合が多い。

(中央日報 2010/06/11)


前回、2009年8月、最初の打ち上げに失敗し捲土重来を期した羅老
号でしたが、二号機も打ち上げ失敗という事になりました。
前回は衛星フェアリングの分離失敗によるものでしたが、今回は、
ロシア製の第一段の不具合によるものの様に見えます。

失敗原因については未だ調査中ですが、爆発が発生した際のビデオ
映像では、それまでは、一段目の噴射炎が見えていた処に、小爆発
が生じ、白煙が広がり、その後、発射炎は消え(?)進路が90度近く
右に傾き落下していった様子が写っています。

小爆発が発生したのは、発射後137秒後で、最大推力を発生し、
高度も、約90~100kmに達していたと思われます。大爆発を起こし
ていない処から見て、エンジンに燃料と酸化剤を送るターボポンプ
周りの配管が振動で外れ、そこから燃料か酸化剤が洩れて小爆発を
起こした上、燃焼を維持できずに、推力を失った様に見えます。

なお、テレメトリーデータは爆発時点で途切れていますので、小爆
発ではあっても、ロケットのアビオニクスを破壊する程度の爆発規
模であった事が分かります。

羅老号の打ち上げについては、ロシアのクルニチェフ社が開発中の
アンガラロケットの一段目に使用するURM(Universal Rocket
Modules)の推力を若干低下させたデチューンモデルを使用しています。
このアンガラロケットは、まだロシア国内でも打ち上げの実績はな
く、エンジン試験が行われて以外は、羅老号一段目として打ち上げ
が唯一の飛行実験であると言えます。エンジンそのものはエネルギ
アやゼニット他で実績のあるRD-170の系列エンジンですし、ロシア
の次世代ロケットとしては本命と言える機体ですが、単体としての
実績は十分とは言い難いものです。

ただ、これは、不完全なエンジンを選択した韓国の選択の誤りとい
うより最新の技術を使う時に必然的に発生するリスクであるとも言
えます。但し、ロシアのロケットを使用する決定を行った際には、
韓国側は同エンジンの技術導入を期待し、最新技術を採用したので
すが、実際にはロシアはURMのロケット技術を行う意思はなく、
結局、ロシアのロケット開発を有償で支援しただけに終わったとい
う評価もありえます。(美人局の様に、韓国は技術移転の下心をロ
シアに利用されたと言えなくもありません。)

とはいえ韓国は、ロシアとの契約の中で、ロシア側の責任で打ち上
げが失敗した際には、追加で打ち上げる義務があるという条項を入
れている様です。ロシア側からすれば、追加打ち上げ費用も馬鹿に
なりませんが、韓国がロシアに支払った打ち上げ費用2億ドルは、
HーIIAであっても、二基打ち上げが十分可能な金額であり、URM
の信頼性向上の為にも、ここは、追加打ち上げを行っておくべきで
あろうと思われます。

新しいURMの製造と新しい科学衛星の製造には、数ヶ月を要しま
す。韓国は、今まで安易な方法でロケット開発技術の導入を企画し
てきました。しかし、実際には人工衛星打ち上げロケットの熟成に
近道はありません。あらゆる技術開発と同様、開発の失敗と、その
原因追求は開発ノウハウそのものと言えます。韓国は、ロシアの事
故原因追求に協力する事で、ロケット開発のノウハウ蓄積を図るべ
きであろうと思われるのです。


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2010年6月10日木曜日

日本版GPS衛星の名残 準天頂衛星打ち上げへ






※CGは、JAXA Webサイトから転載

準天頂衛星 1号機 8月2日に種子島から打ち上げへ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、全地球測位システム(GPS)の
精度向上を目指す準天頂衛星1号機(愛称・みちびき)を8月2日午後10時
54分から同11時54分の間に、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2A
ロケット18号機で打ち上げると発表した。

準天頂衛星は、カーナビなどの位置情報を送信している米国のGPS衛星を補
い、国内での測位を高精度化するための技術実証が目的。米衛星に代わる「日
本版GPS」構築を目指し、官民共同で3基打ち上げる計画だったが、06年
に産業界が撤退、残る2基の開発のめどは立っていない。前原誠司・宇宙開発
担当相の私的諮問会議は10年4月「利用者の強い要望がない限り不要」との
提言をまとめている。

(毎日新聞 2010/06/09)


今やカーナビを始めいたる処で使われているGPS衛星ですが、元々
は、米国国防総省が始めたプロジェクトである事をご存知の方も多
いと思います。例えば、船や飛行機が外部からの情報に基づき自分
が地球上のどの位置にいるかを知る事ができれば、目標位置との比
較を出す事ができ、その差に基づいて飛行経路を修正でき、確実な
航法を期待できる様になります。

実際、初期のミサイルは、GPSの様な外部情報を得られなかったの
でINS(慣性航法システム)を装備し、自分で自己位置を推定して飛
ぶ方式を採用していました。(それ以外にも、デジタル地形マップ
との対比で自己の位置を推定する精密誘導航法などもあります。)

それに比べ、地球を公転する複数の衛星から電波を受信し、その受
信電波から地球上の位置を計算で確定できるGPSは、ミサイルのみ
ならず、飛行機、船、自動車、人といった自分の位置と航法を必要
とする全ての移動物体にとって、夢の航法ツールと言えます。

ただ、元々、米国が自国の軍隊用に開発した測位システムですから
戦時においては、GPS電波の精度の変更やGPS電波の発信停止と言っ
た運用上の制限が出る事が予想されます。米国との関係での疎密は
ありますが、自立的な軍事力を建設しているロシアは独自のグロノ
ス測位システムを保有しており、欧州は、ガリレオ計画を推進中で、
中国もこのガリレオ計画に相乗りする事を予定しています。

今回、打ち上げが決まった準天頂衛星は、日本独自の測位システム
の夢の跡とも言えるものです。

GPSシステムは、高度20000kmの軌道を公転する30個の衛星ネットワ
ークからなっています。この内、三個からの電波を受信できれば、
位置が決定できます。しかし、実際には、衛星に搭載している電波
時計の誤差等もあって4個の衛星電波を受信する事で、正確に自己
位置を計算しています。

しかし、衛星の軌道によっては見通し角度の影響で衛星の電波を受
信しづらい事もあり精度上の問題が出る事もあり、位置決定に時間
を要する事もあります。

当初は独自の測位システムとして構想された準天頂衛星システムで
すが、少ない個数の衛星で測位システムを構成できるという特徴が
あります。その上、GPSの補完であれば、僅か三個あれば十分実用
的な価値出てきます。

準天頂衛星はその名前の通り、日本から見て天頂付近にある時間が
長い軌道を使いますので、GPS衛星からの電波が受信しにくい場所、
例えば、ビルの谷間でも衛星からの電波を受信しやすいという特徴
があります。遠地点の高度は、41000kmと通常のGPS衛星に比べ、二
倍近く遠くなりますので、その分、衛星を大きくして衛星から発信
する電波を強くしてあります。

今回の衛星は、準天頂衛星の最初の一個ですが、それに続く二個の
衛星については、一個目の運用状況を見ながら決定する事になって
います。当初は、官民で第三セクターを作り利用者から利用料金を
取る様なスキームでしたが、米国のGPS衛星の提供サービスが改善
された事もあって、スキームそのものが見直し対象になっています。

ただし、GPS衛星更新計画が必ずしも上手くいっていない事が、
2009年5月にGAO(米国会計監査院)により明らかにされ、場合によっ
ては、数個の衛星が2010年以降、運用できなくなるかも知れないと
報じられました。実際には、更新計画は、その後、改善され、GPS
サービスが停止する様な事態が発生する事はなさそうです。しかし、
衛星サービスは、幾分かの不確実性を必ず含んでおり、サービス停
止を防ぐ為には、一定の冗長度が必ず必要となります。その点、比
較的少ない衛星で、一定のバックアップシステムを構成出来る準天
頂システムは、GPSを補完するという理由だけでも打ち上げる価値
があると思うのです。


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2010年6月9日水曜日

韓国哨戒艦撃沈事件 戦争を恐怖した世論に負けた李明博政権


対北政策にブレーキ? 韓国地方選、与党敗北


【ソウル=黒田勝弘】2日に行われた韓国の統一地方選挙は、事前の予想に反
し野党が大躍進し与党の実質的敗北となった。野党の勝利は李明博政権に対す
る世論の批判を意味しており、李政権にとっては韓国哨戒艦撃沈事件をめぐる
北朝鮮に対する強硬姿勢など、今後の対北政策でブレーキをかけざるをえない
情勢となった。

地方選とはいえ今回の選挙戦は韓国艦撃沈事件が大きな争点になった。与党ハ
ンナラ党は「北の脅威」を強調し安保重視を訴えた。これに対し野党民主党は
南北対決の危険性を強調し、政権・与党の対北政策を批判した。
結果は「戦争か平和か」を訴えた“平和志向”の民主党が、終盤段階で北朝鮮
に融和的な考えの若い世代の支持を集め、票を伸ばした。政権・与党にとって
は「北の脅威」の強調が裏目に出たかたちだ。

選挙結果は、焦点のソウルなど主な知事・市長16人のうち、ハンナラ党が6
人、民主党7人、自由先進党1人、無所属2人で野党が大勢を占めた。与党は
首都圏でソウル市長と京畿道知事が再選を果たし辛うじて面目を保った。
今回の選挙は「北風」と「盧風」の対決といわれた。保守与党のハンナラ党は
哨戒艦事件という「北風」を利用したのに対し、革新野党の民主党は盧武鉉前
政権の主要メンバーが再起を目指して多数出馬。今も盧武鉉ファンが多い若い
世代に期待をかけた。

結果的には宋永吉・仁川市長、金斗官・慶尚南道知事、李光宰・江原道知事、
安煕正・忠清南道知事をはじめ学生運動出身者など盧武鉉系の若手が相次いで
当選。ソウル市長選でも女性の韓明淑・元首相がハンナラ党の呉世勲市長をわ
ずかな差まで追いつめた。

親北・左派系の「盧風」が、保守派が期待した「北風」を押し返したかたちだ。
これは若い世代を中心に多くの国民がもはや、「北の脅威」にはそれほど動か
されないという韓国の政治状況をあらためて示したものだ。

選挙結果を受け、5年任期の3年目の李政権はハンナラ党とともに体勢立て直
しを迫られている。今後、2012年の次期大統領選を目指した動きも出始め
る。与野党とも“次期政権戦略”を構想することになるが、親北・革新系の政
権奪還に向けた勢力復活に拍車がかかるのか、それとも防戦の反北・保守系が
巻き返しに成功するのか、韓国政局は新たな流動期に入った。

(産経新聞 2010/06/03)


事実上、今回の韓国哨戒艦沈没事件は終了しました。韓国の世論は
北朝鮮との対決姿勢は臨まない事が明確になりました。今後、李明
博政権は、直接的な報復行為は控え、国連での北朝鮮非難決議を出
す事だけに努力を傾注する事になります。但し、ロシアと中国が北
朝鮮を名指しした非難決議を避ける動きを示している処から、また、
韓国自体が対決を望んでいない事からも、安保理議長声明レベルの
対応になる確率がますます高くなってきたと言えるでしょう。

今回の統一地方選で判った事は、進歩派十年支配で、若い世代を中
心に容共派が増加した事と、今現在の豊かさを戦争によって奪われ
たくないと考える層が増加した事です。これが今回、保守派有利の
情勢の中で、戦争の危険を訴えた民主党が勝利した理由になってい
ます。

これは、拉致疑惑を北朝鮮が認めた事で世論が急速に硬化した日本
とは全く逆である事に注目したいと思います。日本では拉致事件に
よって左翼の嘘が暴かれてしまいましたが、韓国では逆に、哨戒艦
を撃沈したのが北朝鮮であるという事実は、多くに国民にとって北
との戦争を招く「不都合な真実」となり、保守が排除される原因に
なってしまったという訳です。これは国難に当たって、最悪の選択
をする朝鮮民族の悪風かもしれません。

従来型の解釈(大韓航空機爆破事件当時の議論)であれば、韓国人は、
首都ソウルを北の長距離砲の射程内に収められているが故に戦争に
対する危険に過敏に反応しているという解釈する処ですが、私は、
そうではなく、朝鮮戦争終了後の50年の平和と繁栄、取り分け、
民主化運動で成立した金泳三政権以降の、左派思想が影響した教育
の浸透により、韓国民の北朝鮮に対する精神的な去勢が行われた結
果であると考えます。その代わりに与えられたのは、自国中心の歪
曲史観と反日思想であり、韓国人の左翼進歩派政権が仮想敵国を積
極的に北朝鮮から日本に転換した事もそれを支える事になったと考
えます。

北朝鮮からすれば、多少の経済制裁さえ我慢すれば対韓政策でいく
らでも強硬な政策を取っても、韓国からの軍事的、政治的な報復は
ないと期待できる事になります。また、韓国内の親北朝鮮勢力によ
る政治的デマゴーグが極めて有効に機能する事が確認できた事にな
ります。軍艦を撃沈され46名が死んだところで、例え、証拠があ
っても、韓国国民は、その責任を北朝鮮に対して問う事がない。あ
るいは、北朝鮮に対して責任を問おうとする政治家を排除する事が
可能な訳ですから、北朝鮮は対韓工作をフリーハンドを得た様なも
のと言えます。これらを若き将軍金ジョンウンの卓越した指導力の
結果として神格化する事も可能なのかも知れません。これで、韓国
国民はひと時の魂の平安を得たのかも知れませんが、北朝鮮人民の
苦難の行軍は、まだまだ終わり無く継続する事になります。


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2010年6月8日火曜日

「はやぶさ」の豪州上空着陸想定域への再突入が確実に

※図表は、JAXA Webサイトから転載

小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)のTCM-3、
地球外縁部からWPAへの誘導目標変更完了について


日本時間2010年6月5日13時44分にTCM-3が正常に実施されたことを確認しまし
た。この運用により、地球外縁部から豪州WPA内着陸想定地域への誘導目標変
更が完了しました。

探査機の状態は良好です。

※TCM:Trajectory Correction Maneuver(軌道補正マヌーバ)
※WPA:Woomera Prohibited Area(ウーメラ実験場(立入禁止区域))

(JAXA 2010/06/05)


いよいよ、6月13日の「はやぶさ」の帰還まで、あと一週間を切り
ました。

2005年11月。「はやぶさ」は小惑星イトカワに着陸し、そのサンプ
ルを収集しました。その後のトラブルで、帰還計画は大幅な変更を
余儀なくされましたが、「はやぶさ」は、数々の困難を克服し、地
球帰還への旅を続けてきました。「はやぶさ」の目的は、小惑星の
サンプルを地球に持ち帰る事で、太陽系天体と地球を無人探査機が
往復するのに必要な技術を実証する事にあります。これからが将に
「はやぶさ」の正念場なのです。

過去二ヶ月の間、「はやぶさ」は、TCM-0からTCM-3までの4回の軌
道補正マニューバーをイオンエンジンを使用して完璧にこなしてき
ました。

この4回の軌道補正で、最初は、大まかに地球軌道を捉えているだ
けだった「はやぶさ」は、地球を西から東に掠めるコースを取る様
に、その軌道を修正しています。TCM-3が終わった現在では、目標
は地球外縁からさらにウーメラ実験場上空へ突入する様にピンポイ
ントの正確さで誘導されています。しかし、400万キロの彼方か
らでは、広大なウーメラ実験場も点にしか見えません。突入四日前
に行われるTCM-4では、ウーメラの更に内部に精密誘導する為の軌
道修正が行われます。

不安の要素は、まだまだあります。酷使されているイオンエンジン
には、TCM-4をやり抜いて貰わないといけません。ただ一個残って
いるリアクションホイールにも、あと僅かですが、頑張って貰わな
いといけません。突入の三時間前に行われる帰還カプセルの分離は
正確なタイミングで行われないといけません。そして、それ以上に
帰還カプセルそのものが、惑星間航行速度から大気圏内で急速に減
速する事による高熱に耐え、さらにパラシュートを放出し開傘まで
機能して貰わないといけないのです。これらの作業に、やり直しは
ありません。ただ一回しかないタイミングで実施されなければなら
ないのです。

満身創痍の「はやぶさ」がミッションを500%達成する為には、残っ
たステージで全ての部品が正しく動かなくてはなりません。
「はやぶさ」の現状からすれば、それには今まで以上の奇跡が必要
なのかも知れません。ただ一度だけのチャンスに全てが上手く動か
ないといけない事が連続する一週間です。
一つ一つの作業とその結果に手に汗握りながら、「はやぶさ」の無
事の帰還を見守りたいと思います。

2010/06/09追記
TCM-4は無事完了し、あとは、再突入三時間前の帰還カプセル分離
を待つばかりとなりました。イオンエンジンは無事運用を終了しました。


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2010年6月7日月曜日

シャトル後継ロケット初打ち上げに成功!


※写真はSpaceX社のWebページから転載

米民間企業の商業ロケット、初の打ち上げ試験に成功

6月6日13時18分配信
米民間企業スペースX社は4日、米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から
商業ロケット「ファルコン9」の打ち上げ試験を実施し、搭載した宇宙船模型
を地球周回軌道に乗せることに成功したと発表した。

今回の成功で、国際宇宙ステーション(ISS)への飛行士や物資の輸送に、今
後商業ロケットが使用される可能性が出てきた。

同社はインターネット決済サービス「ペイパル」の創設者、イーロン・マスク
氏が設立。マスク氏によると今回の試験では、予定していた高度250キロの地
球周回軌道へほぼ完璧に、「ドラゴン」と呼ばれる宇宙船模型のカプセルを投
入できたという。カプセルは1年間、同軌道を周回したあと、大気圏で燃え尽
きる予定。

オバマ政権は先に発表した宇宙政策で、ISSへの輸送を民間企業に委託するこ
とにより、NASAが予算枠内で火星軌道到達などの大規模な宇宙探査に一層の力
を注ぐことを可能にするとの計画を明らかにしていた。今回の打ち上げ実験は
その一環とされる。民間企業の商業ロケットがコスト面や効率面で有利かどう
かを確認する意味もあり、注目を集めていた。

米航空宇宙局(NASA)はまもなくスペースシャトル後継機開発を打ち切る見通
しで、今後はISSへの輸送を民間企業に委託する意向を示している。

マスク氏によると、一連の打ち上げ試験がすべて成功すれば、同社は来年にも
物資輸送用の宇宙船の運行を開始したい意向だ。またNASAから契約が得られた
場合、3年以内に同社の商業ロケットでISSへの人員輸送を開始することが可能
だという。

(CNN.co.jp 2010/06/06)


シャトルの打ち上げを見慣れた人から見れば、今回の打ち上げは如
何にも貧弱に見えますが、これが本当のシャトル後継ロケットです。
正確に言えば、今回打ち上げられたSpaceX社のFalcon9ロケットと
ドラゴン宇宙機の他に、オービタルサイエンス社のトーラスIIロケ
ットとシグナス宇宙機がシャトルが行っていたISSへの輸送業務を
担う事になっています。

オバマ大統領は、ブッシュ大統領時代に策定されたコンステレーシ
ョン計画と、それに基づいて開発されていたアレスIとアレスVロケ
ットの開発を停止させていますので、シャトルが退役した後、その
輸送業務を担うのは、COTS(商業軌道輸送)サービスのみという事に
なります。

さて、今回打ち上げられたFalcon9ロケットですが、二段式のロケ
ットで、初段にケロシン・液体酸素を燃料とするマーリン・エンジ
ンを9基束ね、二段に同じくケロシン・液体酸素を燃料とするマー
リン・バキュームエンジンを搭載しています。静止トランスファ軌
道への打ち上げ能力は約4500kgで、日本のH-IIAロケット(H2A202型)
に匹敵するサイズです。H-IIAロケットが高さ53m、直径4mであるの
に対し、Falcon9は、各々54mと3.6mで打ち上げ能力も含め良く似て
います。

但し、Falcon9は、商業打ち上げビジネス用に開発された事で、非
常に安価なロケットとして製造でき運用される様に設計されていま
す。比推力の高い、液酸液水エンジンを使わず、実績のあるケロシ
ン、液酸エンジンを9本束ねたクラスタ設計によりエンジンの大量
生産とそれによる質の安定が期待できます。また、打ち上げ要員を
最小化した運用設計を採用する事で、運用費用を抑える事が可能に
なっています。H-IIAもH-IIを廉価にした設計でしたが、Falcon9は
レベルの異なる合理的な設計がなされているのです。その結果、打
ち上げコストは、30億円強で、H-IIAに比べ三分の一と非常に安価
となっています。その上、最初から有人打ち上げ機への発展が考慮
されています。ちなみに、今回の打ち上げでも、有人カプセルのモ
ックアップを含むドラゴン宇宙機を搭載して打ち上げられているの
です。

NASAはCOTS契約に当たって、トン当たりの輸送コストが従来のシャ
トルでの輸送と比べ、ほぼ同程度となる価格設定をしています。
それだけ見れば、NASAは、民間商業打ち上げサービスのメリットを
享受していない様にも見えますが、そうではありません。民間商業
打ち上げサービスは、そのコストで、打ち上げロケット、打ち上げ
施設、宇宙機、ISS側のランデブードッキングインフラといった一
切を賄わなければなりません。その点を考えれば、それでも最初の
COTS契約を結んだSpaceX社やオービタル社のベンチャースピリット
が判る様に思えるのです。宇宙利用を進める為には、輸送手段が安
価である必要があります。宇宙への往還を安価に行える様になる事
で利用範囲は広がります。今回の打ち上げは、その貧弱な外観とは
裏腹に、宇宙への安価なアクセス手段の提供という実質を齎すもの
として将にエポックメーキングな出来事であると思われるのです。


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2010年6月4日金曜日

無人宇宙実験システム衛星の最新版打ち上げ成功!

※CGは、SERVIS2パンフレットから転載

実証衛星2号機、打ち上げ成功=市販電子機器をテスト-経産省系団体、ロシアで

経済産業省の外郭団体「無人宇宙実験システム研究開発機構」の実証衛星
(SERVIS)2号機が2日午前10時59分(日本時間)、ロシアのプレ
セツク宇宙基地から「ロコット」ロケットで打ち上げられた。約1時間40分
後に目標軌道に投入され、打ち上げは成功した。同2号機は、安く高性能な自
動車用コンピューターや電池などを衛星にも使えるか試す。高価な宇宙専用部
品の代わりに使えれば、国産衛星の性能アップとコストダウンが期待できる。

2号機は、本体が大小の箱2個で構成され、重さ740キロ。太陽電池パドル
を開くと、幅は10.2メートル。地球を南北に周回する高度約1200キロ
の円軌道で1年間運用される。10種類の試験装置を搭載し、宇宙の強い放射
線による誤作動や劣化の程度を調査。2011年度中に部品の選定評価・設計
の第2次指針をまとめる。

(時事通信 2010/06/02)


無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)は、通産省の外郭団
体で、過去にも様々な無人宇宙実験用衛星の打ち上げを行っています。
特筆すべきは、USEFの打ち上げた衛星で過去一つも完全な失敗
がなかった事です。

一番最初に打ち上げたEXPRESS(自立帰還型無人宇宙実験システム)
こそ、予定した軌道投入が行えず、一時的に行方不明になりました
が、これも後日ガーナで回収でき再突入に関するデータ収集を行う
事が出来ました。

また、その次に打ち上げたSFU(宇宙実験・観測フリーフライヤー)
は、打ち上げ8ヶ月後にスペースシャトルで回収され、現在では、
国立科学博物館に展示されています。

それに続く、USER(次世代型無人宇宙実験システム)は、宇宙機
とカプセル部に分かれており、宇宙実験の結果製造された、超電導
材料をカプセル部を再突入させる事で、地上で回収する事に成功し
ています。

このUSERに続く、無人実験衛星がSERVISです。それまで
は、日本のロケットで打ち上げられていましたが、この衛星からは
ロシアのロコットで打ち上げられています。SERVISは、既に
一号機が2003年から2年間運用されており、民生部品・技術を適用
した実験機器を宇宙機システムに搭載し宇宙実証を行っています。

一号機で実証された機器は以下の通りです。
・ ベーン式推薬タンクシステム(VTS)
・ 統合航法センサシステム(INU)
・ 統合電力制御装置(PCDS)
・ 次世代パドル駆動装置(APDM)
・ 無調整化TTCトランスポンダ(ATTC)
・ オンボードコンピュータ(OBC)
・ スターセンサ統合型衛星制御装置(SIS)
・ リチウムイオンバッテリシステム(LIB)
・ 光ファイバジャイロ慣性基準装置(FOIRU)

今回打ち上げられた二号機で実証が行われる機器は次の通りです。
・ リチウムイオン電池実験装置(LIBA)
・ データマネージメント装置(ADMS)
・ 自律フォールトトレラント計算機(CRAFT)
・ リモートターミナル実験装置(PPRTU)
・ 高性能データ圧縮装置(HPDC)
・ 先進測位実験装置(APE) 
・ 先進衛星構体実験装置(ASM) 
・ 磁気軸受ホイール実験装置(MBW)

SERVIS二号機は、今後一年間運用される予定になっており、
これに次いで次世代のASNARO(先進的宇宙システム)が、2011
年度に打ち上げられる予定になっています。このシステムは、次世
代小型高性能衛星のプロトタイプとして、400kg級衛星の衛星バス
を民生品を活用して標準品として製造すると共に、地上解像度0.5m
の地球観測機能をアプリケーションとして搭載する事になっていま
す。

ただ、個人的には、この展開については疑問があります。宇宙利用
可能な民生品の宇宙実証から、それを使った小型衛星の標準衛星バ
スというのは、実用的と言えるのかも知れません。しかし、それ以
前のUSERの宇宙での材料製造技術と回収技術の確立を前提とす
れば、随分と変わった方向にUSEFは変化したと評さざるを得ま
せん。

確かにUSEFの推進してきた無人宇宙実験システムは、数々の成
果を上げており、宇宙を活用する実用的なアプリケーションである
とは言えますし、経済産業省がそれを推進すると理由もあると思わ
れますが、JAXAが推進しているISS宇宙実験室「きぼう」で
の実験との重複関係がある事は、誰が見ても否めない事実であると
思います。

更に踏み込んで言えば、USEFの機能そのものも、JAXAと重
複している事は明らかです。小型高性能衛星の標準衛星バスの確立
など、JAXAの仕事そのものと言って良い様に思われます。

組織も重複、実験設備も重複、成果の面では個別には各々十分とは
言いつつも、世界の宇宙産業にメイド・イン・ジャパンの一分野を
確立する様な芽が出たかと言えば、今の処は残念ながら、ないとし
か言えません。

宇宙関係予算の統一的運用を考えるとUSEFが、民主党の仕分け
に何故残る事ができたのか、素朴な疑問を感じざるを得ないのです。


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2010年6月3日木曜日

鳩山辞任で自民党の参院選敗北が決定?小泉総裁再登板を!


※図は溜池通信からの引用

菅氏を岡田氏・前原氏が支持、樽床氏も出馬表明

鳩山首相の退陣表明を受けた民主党代表選は、4日の投開票に向けて、党内各
グループが準備を本格化させた。

菅直人副総理・財務相(63)は3日夕にも立候補表明の記者会見を行う方針
で、前原国土交通相や岡田外相、野田佳彦財務副大臣が相次いで菅氏支持を表
明し、菅氏への支持が広がっている。

中堅・若手の支持を受ける樽床伸二衆院環境委員長(50)も同日昼、出馬す
る意向を表明した。

新代表は4日午後0時30分ごろ、選出される予定だ。新代表は4日中に衆参
両院で首相指名を受け、同夜、新内閣を発足させる方向だ。同党は、7日に衆
参両院で新首相の所信表明演説を行いたい考えだ。

菅氏は3日午前、国会内で岡田外相に会い、代表選での支援を要請した。

岡田氏は菅氏との会談後、記者団に「権力の二重構造は好ましくないことと、
政治とカネの問題で民主党らしさを取り戻す必要があると伝え、条件が満たさ
れると理解し、菅氏を支持する」と述べた。党運営から小沢幹事長の影響力を
排除するよう求めたものとみられる。

菅氏はこの後、羽田元首相らに面会した。菅氏は小沢氏にも協力を求めること
を検討しているが、岡田氏や枝野行政刷新相ら菅氏支持の有力議員が「小沢氏
の影響力排除」を求めており、小沢氏への対応が焦点となる。

前原グループと野田グループも3日、それぞれ都内で会合を開き、菅氏を支持
する方針を決めた。

一方、樽床氏は3日昼、国会内で開いた会合で出馬する考えを表明し、「日本
の明日を切り開く先頭に立たせていただきたい」と語った。樽床氏周辺は、立
候補に必要な推薦人20人の確保のめどはついたとしている。

樽床氏は衆院大阪12区選出で当選5回。松下政経塾出身で、日本新党、新進
党などを経て民主党入りした。小沢氏に近い中堅議員らの支持を受けている。
樽床氏を支持する議員が小沢氏に「グループ横断の形でやっていきたい」と伝
えたのに対し、小沢氏は「本人の意思なら、やる必要がある」と語ったという。

党内最大勢力である小沢グループ(約150人)は、独自候補を擁立しない方
針だが、「フレッシュな顔が望ましい」との声がある一方、菅氏を推すべきだ
との意見も出ている。

民主党代表選は4日午前9時から立候補の届け出を受け付け、同11時から国
会内で両院議員総会を開き、党所属国会議員423人(衆院307人、参院
116人)による投票で新代表を選出する。

(読売新聞 2010/06/03)


次期首相は、今の情勢であれば、管菅直人副総理・財務相になりそ
うな形勢です。鳩山首相が退任して溜飲を下げた野党自民党ですが、
内閣支持率と与党支持率の変化を見ると、新内閣発足で、二倍以上
ジャンプしているのが見て取れます。(移動平均になっていますの
で、大きな変化でも三週間後に変化量が最大になります。)

自民党内閣の時は、発足して間無しに新内閣への攻撃が開始されま
したが、民主党内閣には前回は100日ルールで政権批判を控えま
した。今回も同様の扱いになると100日間、新政権は、マスコミ
の批判から無縁という事になります。今から100日間の間という
と8月一杯という事になります。その期間に次期参議院議員選挙が
すっぽりと入ってしまいます。その間、支持率が維持されるという
のは民主党にとっては大きなアドバンテージです。つまり、新政権
はマスコミの批判を受ける事なく、参議院議員選挙を戦える事にな
ってしまいます。過去の支持率推移で見ても、新政権発足後2ヶ月
程度は支持率が高止まりする新政権効果が明らかに見て取れます。

現時点でこそ、自民党は民主党を上回る支持率を得ていますが、過
去の例で見ると、政権交代で与党支持率は約倍程度に上昇します。
5/27調査の報道2001の世論調査では、自民党支持率18.0%に対し、
民主党12.6%と与野党が逆転していましたが、この新政権効果で、
民主党が倍になれば、民主党は25%近くを確保する事になります。
この推測が正しければ、この7月の参議院議員選挙で、民主党が勝
利する確率は極めて高いと言わざるを得ないのです。鳩山首相と民
主党は非常に良いタイミングで新政権へのバトンタッチを行う事が
できたと言えます。

非常に残念な事は、ここ数ヶ月の民主党の失政に対し、自民党はな
んらのイニシアチブを持つ事ができませんでした。今回の鳩山辞任
も自民党と力で成し遂げたのではなく、全く民主党政権の自滅であ
ったと言えます。谷垣自民党総裁の存在感はなきに等しい状況であ
り、国民の耳目を集める事もまた全くありませんでした。

自民党は地道に活動してきたのかも知れませんが、その存在が報道
される事も殆どなかったと言えます。政権党であれば、黙っていて
もマスコミが取材してくれたでしょうが、野党に転落した後は、耳
目を集める事でもなければ、マスコミが取材する事もなく、その活
動が国民の目に止まる事もないという事です。

今回の選挙で、民主党が大勝利すれば、現在の二院制の下では、次
回の衆議院選挙で如何に自民党が勝利しようが、今後6年に亘り、
参議院の反対によって不安定な政権運営を余儀なくされる事になり
ます。

そうならない為にも、自民党は、小泉元首相の総裁復帰も含めた、
国民の耳目を集める改革を行う必要があると考えるのです。


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