2010年6月11日金曜日

小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」ミニマムサイセス達成!

※図は、JAXA Webサイトから転載

宇宙ヨット 「イカロス」帆を広げる…金星に向かって飛行

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日、燃料なしに太陽の光の圧力を受
けて飛行する宇宙ヨット「イカロス」が帆を広げることに成功したと発表した。
現在、地球から約800万キロ離れた宇宙を金星に向かって飛行している。

地球周辺以外で世界初めてとなる宇宙ヨットの航海が本格的に始まった。
イカロスは5月21日、金星探査機「あかつき」と一緒にH2Aロケットで打
ち上げられた。帆は14メートル四方で、髪の毛の太さの10分の1という極
薄の樹脂製。1円玉の5分の1の重さに当たる光の圧力を受けて進む。

帆は、打ち上げ時に直径1.6メートルの円筒状の本体に収められていた。今
月3日から地上からの無線の指示で展開作業が始まり、10日にすべて完了し
た。慎重に確認を繰り返し、計画より6日遅れとなったが、今のところトラブ
ルはないという。

広げた帆を本体から撮影した画像も公開された。今後、本体からカメラを切り
離し、帆全体を撮影する。開発に当たってきた森治JAXA助教は「いよいよ
航海が始まる。向きを変えたり、さまざまな観測や実験に挑みたい」と話す。

(毎日新聞 2010/06/11)


小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」のミニマムサクセスの
条件は、以下の二項目を達成する事です。
①大型ソーラーセイルの展開
②薄膜太陽電池による太陽光発電

JAXAは11日、イカロスがこの二つを達成した事を発表しました。
大型ソーラーセイルは、一次展開が8日に、二次展開は、9日に既
に達成されており、10日に二次展開の確認と太陽電池の発電が確認
されたという事です。

ただ、イカロス・ファンからすれば、9日に一次展開終了の画面が
公開された後、二次展開完了の発表がないまま、10日はイカロスの
状態は良好ですとしかブログにも記載されていませんでしたので、
一抹の不安を感じた方も多かったのではないかと思います。

既に、イカロスとは800万キロ離れ、交信にも30秒近くかかる訳で
各種の確認にも時間がかかるのは判りますが、ブログやTwitterを
使っているのですから、正式発表前に、「二次展開完了、結果確認
中。」と言った簡単なメッセージがあっても良かったのではないか
と思いました。

それにしても、今回のイカロスがソーラー・セイルの展開が成功し
た事は、探査機レベルのものでは世界初であり、まさに画期的な事
件であると言えます。恐らく、将来書かれる人類の宇宙開発史の中
でも、必ず記載される事項になるのではないでしょうか。
ソーラー・セイルのコンセプトは、今から百年も前から提案されて
いた古くからのアイデアですが、これまで、もっと小型のセイルを
実験的に展開した事はあっても、一個の探査機として大型薄膜を展
開した事はありませんでした。今回、イカロスが使用した薄膜も、
厚さは、髪の毛の十分の一しかありません。それを14m四方に展開し、
その形を維持しなければなりません。その困難さは想像に難くあり
ません。

先行する米国では、ソーラー・セイルに対してはNASAが積極的では
ない事から、個人の寄付で運営されている惑星協会(プラネタリー・
ソサイティ)が主体となって、ピギーパック衛星として開発されて
います。それが、今回「イカロス」が世界初を達成できた理由にな
っています。それでも、失敗したとは言え、過去二回、ソーラー・
セイル実験衛星を打ち上げたのは、さすがに米国の実力と言えます。
イカロスに続き、現在の予定では、今年末に、「Light Sail-1」が、
地球周回軌道に打ち上げられる見込みです。

イカロスは、遠心力でソーラー・セイルを展開を維持しますが、
Light Sail-1は、マストを持ち、それによりセイルの展開を維持し
ます。異なる形式のソーラー・セイルが存在し、各々がその性能を
競う事が、今後のソーラー・セイル探査機の発展に有用であるのは
言うを待ちません。ソーラー・セイルによる宇宙大航海時代の幕開
きを是非、期待したいと思います。


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