※陰に隠れて見えない菅首相。Reuter Webサイトから転載。
G8サミットに中国招待を=菅首相、夕食会で提案
菅直人首相は25日夜(日本時間26日午前)、主要国首脳会議(サミット)夕食
会の席上、今後のサミットの在り方に関し「一層責任感を高めてもらうため、
時には中国をG8サミットに呼ぶことを考えてもいいのではないか」と提案した。
首相はG8サミットについて「先進国間の意思疎通の場として維持すべきだ」と
強調。同時に、20カ国・地域(G20)首脳会合については「新興国との間の調
整の場として位置付けることが現実的ではないか」と指摘した。
これに関し、参加国はG8について「価値観を同じくする国が率直に意見交換を
行い、方向性を定める意味で引き続き有用だ」との認識でおおむね一致。G20
に関しては、「金融危機対応で大きな役割を果たしたが、意見をどのように収
れんさせていくかが課題だ」との指摘が出た。
(時事通信 2010/06/26)
中国は国連安全保障理事会常任理事国(P5)の一員である事を100%
以上に有効に使って自国の国益実現を図っているのは周知の事実です。
その一方で、元々は西側先進民主主義国の政策調整の場であった
G8は、ソ連崩壊後の新生ロシアを西側陣営に引き込む目的でG8
への参加を許容したお陰で、政策調整と合意の場としての役割を随
分と阻害される様になって来ています。
日本が当初からのサミット参加国である事は、サミットの元々持っ
ていた経済政策調整機能と、日本の国際的な経済プレゼンスの大き
さから自明であったからですが、それが日本の国益にもなっている
事もまた明らかであると考えます。
菅首相が、どの様な意図で、中国を参加させれば、「一層責任感を
高めてもら」えると考えたのか不明ですが、今回議題にもなった韓
国哨戒艦撃沈事件や、北朝鮮を巡る六ヶ国協議でも、中国の北朝鮮
に対する宥和的態度が、どれほど、国際的な共同歩調を損なってい
るか、少しでも中国の態度を継続的にフォローすれば一目瞭然と言
えます。中国をG8に参加した処で、自国国益の露骨な追求を繰り
返す事はまず確実であり、それ以前に、未だに共産主義一党独裁体
制を堅持する中国のG8参加は、西側民主主義国とは異質な存在と
して、G8の阻害要因となる事は明らかであると言えます。
現実の経済面においても、その成長力こそ注目されているものの、
自国の利害のみを考えた中国の露骨な経済為替政策は近隣窮乏化政
策そのものである事は明らかであり、WTOを始めとする国際的な
ルールを踏みにじっていると言わざるを得ないのです。
菅首相の心情はどうであれ、日本としては、人民元相場を自由な変
動相場制に移行させ、中国を貿易や為替の国際的なルールに従わせ
る事が、同一の競争条件を整えるという意味で国益に通じる事は言
うまでもありません。
もし、菅首相が中国に対する好意で、G8への参加を呼びかけたの
であれば、菅首相はG8の持つ性格と歴史に関する無知を指弾され
るでしょう。もし、中国がG8に参加しても、中国が日本に感謝す
る事もありません。中国は日本がG8に持つ足場の切り崩しに力を
入れる事になる筈です。
菅首相が、中国に責任を持たせる為に、G8への参加を呼びかけた
のであれば、P5としての中国の態度を無視している事で、菅首相
は国際政治と中国に対する無知を晒したと言わざるを得ません。
もし、菅首相が、日本の国益に思い至らずに、民主党の媚中政策の
延長で、G8への参加を呼びかけたのであれば、それは売国の謗り
を免れないと言わざるを得ないのです。
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