2010年6月9日水曜日

韓国哨戒艦撃沈事件 戦争を恐怖した世論に負けた李明博政権


対北政策にブレーキ? 韓国地方選、与党敗北


【ソウル=黒田勝弘】2日に行われた韓国の統一地方選挙は、事前の予想に反
し野党が大躍進し与党の実質的敗北となった。野党の勝利は李明博政権に対す
る世論の批判を意味しており、李政権にとっては韓国哨戒艦撃沈事件をめぐる
北朝鮮に対する強硬姿勢など、今後の対北政策でブレーキをかけざるをえない
情勢となった。

地方選とはいえ今回の選挙戦は韓国艦撃沈事件が大きな争点になった。与党ハ
ンナラ党は「北の脅威」を強調し安保重視を訴えた。これに対し野党民主党は
南北対決の危険性を強調し、政権・与党の対北政策を批判した。
結果は「戦争か平和か」を訴えた“平和志向”の民主党が、終盤段階で北朝鮮
に融和的な考えの若い世代の支持を集め、票を伸ばした。政権・与党にとって
は「北の脅威」の強調が裏目に出たかたちだ。

選挙結果は、焦点のソウルなど主な知事・市長16人のうち、ハンナラ党が6
人、民主党7人、自由先進党1人、無所属2人で野党が大勢を占めた。与党は
首都圏でソウル市長と京畿道知事が再選を果たし辛うじて面目を保った。
今回の選挙は「北風」と「盧風」の対決といわれた。保守与党のハンナラ党は
哨戒艦事件という「北風」を利用したのに対し、革新野党の民主党は盧武鉉前
政権の主要メンバーが再起を目指して多数出馬。今も盧武鉉ファンが多い若い
世代に期待をかけた。

結果的には宋永吉・仁川市長、金斗官・慶尚南道知事、李光宰・江原道知事、
安煕正・忠清南道知事をはじめ学生運動出身者など盧武鉉系の若手が相次いで
当選。ソウル市長選でも女性の韓明淑・元首相がハンナラ党の呉世勲市長をわ
ずかな差まで追いつめた。

親北・左派系の「盧風」が、保守派が期待した「北風」を押し返したかたちだ。
これは若い世代を中心に多くの国民がもはや、「北の脅威」にはそれほど動か
されないという韓国の政治状況をあらためて示したものだ。

選挙結果を受け、5年任期の3年目の李政権はハンナラ党とともに体勢立て直
しを迫られている。今後、2012年の次期大統領選を目指した動きも出始め
る。与野党とも“次期政権戦略”を構想することになるが、親北・革新系の政
権奪還に向けた勢力復活に拍車がかかるのか、それとも防戦の反北・保守系が
巻き返しに成功するのか、韓国政局は新たな流動期に入った。

(産経新聞 2010/06/03)


事実上、今回の韓国哨戒艦沈没事件は終了しました。韓国の世論は
北朝鮮との対決姿勢は臨まない事が明確になりました。今後、李明
博政権は、直接的な報復行為は控え、国連での北朝鮮非難決議を出
す事だけに努力を傾注する事になります。但し、ロシアと中国が北
朝鮮を名指しした非難決議を避ける動きを示している処から、また、
韓国自体が対決を望んでいない事からも、安保理議長声明レベルの
対応になる確率がますます高くなってきたと言えるでしょう。

今回の統一地方選で判った事は、進歩派十年支配で、若い世代を中
心に容共派が増加した事と、今現在の豊かさを戦争によって奪われ
たくないと考える層が増加した事です。これが今回、保守派有利の
情勢の中で、戦争の危険を訴えた民主党が勝利した理由になってい
ます。

これは、拉致疑惑を北朝鮮が認めた事で世論が急速に硬化した日本
とは全く逆である事に注目したいと思います。日本では拉致事件に
よって左翼の嘘が暴かれてしまいましたが、韓国では逆に、哨戒艦
を撃沈したのが北朝鮮であるという事実は、多くに国民にとって北
との戦争を招く「不都合な真実」となり、保守が排除される原因に
なってしまったという訳です。これは国難に当たって、最悪の選択
をする朝鮮民族の悪風かもしれません。

従来型の解釈(大韓航空機爆破事件当時の議論)であれば、韓国人は、
首都ソウルを北の長距離砲の射程内に収められているが故に戦争に
対する危険に過敏に反応しているという解釈する処ですが、私は、
そうではなく、朝鮮戦争終了後の50年の平和と繁栄、取り分け、
民主化運動で成立した金泳三政権以降の、左派思想が影響した教育
の浸透により、韓国民の北朝鮮に対する精神的な去勢が行われた結
果であると考えます。その代わりに与えられたのは、自国中心の歪
曲史観と反日思想であり、韓国人の左翼進歩派政権が仮想敵国を積
極的に北朝鮮から日本に転換した事もそれを支える事になったと考
えます。

北朝鮮からすれば、多少の経済制裁さえ我慢すれば対韓政策でいく
らでも強硬な政策を取っても、韓国からの軍事的、政治的な報復は
ないと期待できる事になります。また、韓国内の親北朝鮮勢力によ
る政治的デマゴーグが極めて有効に機能する事が確認できた事にな
ります。軍艦を撃沈され46名が死んだところで、例え、証拠があ
っても、韓国国民は、その責任を北朝鮮に対して問う事がない。あ
るいは、北朝鮮に対して責任を問おうとする政治家を排除する事が
可能な訳ですから、北朝鮮は対韓工作をフリーハンドを得た様なも
のと言えます。これらを若き将軍金ジョンウンの卓越した指導力の
結果として神格化する事も可能なのかも知れません。これで、韓国
国民はひと時の魂の平安を得たのかも知れませんが、北朝鮮人民の
苦難の行軍は、まだまだ終わり無く継続する事になります。


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