2009年8月24日月曜日

18DDH「いせ」の建造状況(2009/8/23現在)





Ships Location

1
2 DD174 きりしま
3 DD143 しらね
4
5
6 DD182 いせ
7
8
9

18DDH「いせ」が進水したので、久しぶりにIHIマリンユナイテッドに撮影に行
ってきました。16DDH「ひゅうが」進水の時はマスコミや一般の関心も高かっ
たですが、今回は取り上げた新聞社もテレビ局も少なく空母型の護衛艦に対す
るアレルギーはかなり少なくなった様に思われます。

「いせ」と「ひゅうが」を比べても現時点では、外見上の相違点が判らない
ので、新規さがないのが、関心が薄れた理由かもしれません。艦番号の違いが
無ければ、撮影している私でも同じ艦の様にしか見えませんでした。

艤装岸壁には、「きりしま」と「しらね」が係船され、「きりしま」は定期点検中
「しらね」はCICの修復工事を行っていました。
「きりしま」は今年、MD対応の改造が施される予定ですが、定期点検後に実施
するのでしょうか?現時点では目だったら変化はないように思われます。


#1 DD182 いせ 左舷前方から

#2 DD181 いせ 艦首部を左舷から拡大撮影。後方のマストは しらね 

#3 DD174 きりしま 定期点検中の姿

#4 DD143 & DD182  新旧DDHの艦容と大きさの違いが良く判る


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2009年8月20日木曜日

日本人よ、たまには自信を持とう!!

※写真はみなとみらいの夜景
http://ganref.jp/m/outdachs/portfolios/photo_detail/d61953d34990ec9419a584015a70ea48
から転載

かつての超大国!日本はなぜ世界のリーダーになれないのか―米誌

2009年8月18日、米誌「World Policy Journal」夏季号は「日本はなぜ世界の
リーダーになれないのか?」と題した記事を掲載した。新華網が伝えた。

記事は、かつて経済超大国として世界のリーダーにもなり得る存在と目されて
いた日本だが、今や中国やインドなどの台頭によりすっかり影が薄れてしまっ
たと論じた。記事によれば、日本は過去40年間、世界第2位の経済力だけを武
器に国際社会で高い影響力を発揮してきたが、もともと政治や軍事面での実力
は伴っていなかった。第2次大戦後、奇跡的な経済成長を遂げた日本だが今や
その伝説も幻となり、大国としての地位すら危うい。

こうなると国際貢献のあり方も変える必要に迫られると記事は指摘。これまで
のように「何でも金で解決」という訳にはいかなくなるだろう。日本はすっか
り国際社会における自らの役割を見失ってしまった。国内政治も混乱が続いて
おり、今後の見通しは暗い。記事は、これほど短期間で国際地位が暴落した国
も珍しい、と日本の没落ぶりを強調した。(翻訳・編集/NN)

(レコードチャイナ 2009/8/20)


原文は以下のURLで全文が読めます。
http://www.mitpressjournals.org/doi/pdf/10.1162/wopj.2009.26.2.101

著者は、Aurelia George Mulganというオーストラリア人で、ニュー
サウスウェールズ大学の教授です。グレゴリー・クラークと反日日
本人の悪影響を受けすぎた反日学者様であるようです。最初のサマ
リの部分を読みましたが、自説を補強する為に、事実を知っている
のにそれに言及しない態度が見える様に思いました。

自虐的な日本人や日本人学者が多いですし、マスコミはそういう意
見を好んで取り上げます。日本人の多くが反省する事が大好きなの
で、悲観論が溢れかえる事になります。ただ、こういった主張だけ
を大事にするのではなく、これまで日本人が成し遂げてきた事にも
もう少し自信を持っても良いのではないかと思います。

以下は、某巨大掲示場のこの記事のスレッドに何度か書き込まれた
コメントですが、たまには、こういう見方をしても良いのではない
かと思い転載します。


外人が日本人を特別視してるってのは、自分の国の歴史少しでも知ってたら誰
でも分かるだろ。
まず、資源が全くないってことはすごいこと。もう両手両足もがれたぐらいの
ハンデ。
しかもすごいのは、米国の3分の1の人口、わずか25分の1の領土で、
その上ただでさえ極小の国土の7割が山、山、山。なーんにもない、山・・・。
だから農業で輸出して食べていくことすらできない。条件からして最貧国でも
おかしくない国。
そんな国が、100年ほど前で当時世界最強クラスだった露助とか清をあっさり
倒して、非白人国家で普通に白人常任倶楽部仲間入りしちゃってて、おまけに
米国敵に回してガチで戦争して、世界で唯一米国本土爆撃して、英国の無敵艦
隊フルボッコにして、オランダ倒して、世界で唯一原爆落とさせるほどてこず
らせて。
しかも二発だよ。二発。考えられない。
敗戦とか言ってるけど日本のせいでアジアから白人の植民地全部消されたし。
しかも信じられないのは、戦争に負けてただでさえ何にもない国がさらにイン
フラまで全部叩き潰されて、多額の賠償金まで背負わせて100%再起不能に
しといた極貧衰弱国家で、今度こそ生意気なイエローモンキーが消えて数百年
はウザイ顔見ないで済むと思ってたら、
直ちに再び白人社会に経済で参戦して来くさって、参戦どころかごぼう抜きで
たった2,30年であっという間に米国さえ抜いて世界第一位。
東京の土地だけで米国全土が買えるほどの呆れた価値になっちゃう程の超絶経
済力で世界中( ゜Д゜)ポカーン・・・状態。
その後もずーっと二位維持。頭一本でそれ。
しかも経済の80%が内需。内需だけでそれ。
金融とかでまだ全然進出してないし車や家電、工業製品ももまだまだ進出しき
ってなくてそれ。
もうキチガイの域。伸びしろありすぎワロタ。戦後60年一発も打たずに侵略せ
ずにこれ。 何気に世界最長寿国とかなってる。
んで今度は漫画・アニメ・ゲーム。気がつけばハリウッドの規模とっくに超えてる。
アメリカの検索で一位になってるのが日本のアニメとか。
世界中で一番人気の映像作品が日本のアニメとか。
極めつけは世界一長い国号、2000年のどの白人より長い王室ならぬ、
その上の皇室保有。エンペラーに代表される歴史。
普通の神経してたらこんな国怖くて関わりたくない。



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2009年8月19日水曜日

ノーベル平和賞の為に国を売った政治家逝く

※写真は、読売新聞サイトから転載

金大中氏死去 地域対立の象徴 親北・左派、求心力を喪失

【ソウル=黒田勝弘】韓国政治に長く大きな影響力を持ってきた金大中元大統
領の死は、今後の韓国政局に微妙な波紋を呼びそうだ。特に反政府・野党勢力
にとっては求心力を失ったことになり、政権奪還に向けた新しいリーダーの登
場や政界再編成などで紆余(うよ)曲折が予想される。

韓国の現代政治は1980年代以来、30年近く、金大中、金泳三、金鍾泌氏
によるいわゆる“3金時代”が続いた。しかし政界を引退した後、金泳三元大
統領は衰えが目立ち、金鍾泌元首相は病床にある。その中で金大中氏だけは、
健康不安にもかかわらず内外情勢に関し政治的発言を続け、最後まで“生臭さ”
があった。

金大中氏が大統領退任(2003年)後も影響力を維持できたのは、国内で政
治的、社会的に最大の不満勢力である全羅道出身者の絶対的な支持を得ていた
ことと、初の南北首脳会談実現(2000年)を含む対北融和政策などで“親
北朝鮮”的だったからだ。

韓国政治は現在の野党・民主党もそうだが、以前から野党・反政府勢力の中心
は全羅道出身者だ。全羅道が故郷の金大中氏は彼らの間では絶対的な指導者で、
その一挙手一投足は大きな影響を与え、彼らの行方を左右した。

たとえば野党勢力の大統領候補決定には金大中氏の意向が大きく影響し、野党
分裂や新党結成など野党陣営再編でも金大中氏の考えが決定的だった。02年、
盧武鉉前大統領が非全羅道系でダークホースだったにもかかわらず大統領に当
選できたのも、金大中氏の支持のおかげだった。

このため、韓国政治の“病”といわれる地域対立は金大中氏によって深まった
との評もあった。

一方、金大中氏は亡くなる直前まで、保守派の李明博現政権の対北政策を激し
く批判してきた。国際協調を重視し、対北援助に消極的な李政権が気に入らな
かったからだ。時には北朝鮮の韓国非難そのままに「このままでは戦争が起き
る」といわんばかりに李政権批判を続けてきた。

したがって北朝鮮にとって金大中氏は最後まで最大の理解者であり“援軍”だ
った。「李明博政権打倒!」を叫ぶ韓国内の親北・反政府派にとっても最も好
都合の人物だった。

そのため晩年は韓国内の保革・左右対立の焦点になっていた。金大中氏の死は
親北・左派勢力にとっては最大の理解者を失い打撃が大きいが、一方の保守派
は最大ライバルが消えたことでホッとした感じだ。

(産経新聞 2009/8/19)


棺を覆って、金大中の業績は何だったのかと考えれば、IMFショ
ックの後、韓国経済を立て直した一点しか評価できません。それも
通貨危機後、IMFから手取り足取り経済運営について指導があり
それに従った経済運営を行っただけです。

勿論、IMFの処方箋は非常に厳しいものでしたから、その政策に
国民の協力を取り付ける事ができたのは、大統領としての金大中の
実力によるものと言えば、言えるでしょう。しかしながら、リーマ
ンショック後の世界不況に自国経済を破綻させる事なく対応してい
る現在の李明博政権の方が、破綻後の再建のみを行った金大中政権
よりも、寧ろ困難な課題を実行しているのかも知れません。

では、それ以外の点ではどうだったのでしょうか。金大中が韓国の
民主化の旗手であったのは事実ですが、民主化は、韓国経済の発展
と軍事政権側の譲歩によって実現したのであって、金大中が勝ち取
ったものではありません。韓国内の民主化に関しても、上記の記事
にもある通り、金大中の存在によって、地域対立は深まったのであ
り宥和が進んだ訳ではありません。

更に、彼の唱えた「民主」が結局は、「親北」に過ぎなかった事が
問題でした。彼がノーベル平和賞を獲得した契機となった南北和解
は、韓国から北朝鮮への数百億円とも一千億円との言われる一方的
な資金援助や譲歩の結果でしかなく、結果的に北朝鮮の核開発を加
速したに過ぎなかった事が明らかになっています。つまり、金大中
はごく短期間の南北協調を演出する為に、長期的には、韓国を大変
な安全保障上のリスクに晒したと言えます。

更に、金大中の問題点は、国民を精神的にも北朝鮮に対して武装解
除してしまった点です。金大中は、民族「統一」の旗印を下ろした
最初の政治家であり、北朝鮮の抑圧された民衆に対しては、何の貢
献も行う事は無く、国家の金を使ってノーベル平和賞を買った売国
政治家と断じざるを得ないのです。

金大中は結局の所、韓国に打ち込まれた北朝鮮の楔以外の何者でも
なく、その後を継いだ盧武鉉と相次いで世を去ったのも、核開発に
成功した北朝鮮にとっての存在価値を喪失した結果と言えるのかも
知れません。


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2009年8月17日月曜日

燃費リッター97キロの謎

※写真はUS News & World Reportから転載

燃費計算「世紀の誇張」か GM新型車で米誌

米消費者団体専門誌コンシューマー・リポート電子版は15日までに、米自動
車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が家庭で充電可能な新型のプラグインハ
イブリッド車「シボレー・ボルト」の燃費を「ガソリン1ガロン当たり230
マイル」(1リットル当たり約97キロ)と発表したことについて「世紀の誇
張の可能性がある」と酷評した。
GMはボルトを経営再建の切り札と期待。米メディアは、燃費効率が「米国の
新基準ではトヨタ自動車のハイブリッド車『プリウス』の4倍程度」と伝えて
いた。ボルトは40マイル(約64キロ)までは家庭で充電した電池で走行で
き、その後は再充電のためガソリンエンジンが動力源となる。
同誌は、GMがボルトの詳細を明らかにした11日の発表を「誇大広告」と指
摘。最初の40マイルに使う電気の料金を考慮に入れると「ガソリン1ガロン
当たり100マイル相当」の方が妥当などと列挙した。(共同)

(産経新聞 2009/8/15)

写真を見るとプリウスに良く似た車に見えますが、これが、今、米
国自動車業界で話題のハイブリッド車であるシボレー・ボルトです。
車の形がプリウスに似ているのには、理由があります。
ホンダのインサイトもそうですが、車体中央部から後部にバッテリー
を配置しており、バッテリーの上にトランクを作り、燃費を上げる
為に空気抵抗を下げようとすると、特徴のあるヒップアップの形に
なるという訳です。今時、通常のガソリン車と同じ車体にハイブリ
ッド機構が搭載されている例も多いですから、必ずしも、ハイブリ
ッド用車の形がある訳ではありませんが、ハイブリッド専用車で燃
費を良くする事を考えると合理的な形状は決まってくると言えます。

さて、シボレー・ボルトが、話題を集めているのは、プリウスに似
た形をしている為ではありません。その一つは、プラグインハイブ
リッドという電気自動車に近い機構を搭載した事と、もう一つは、
リッター97キロ、プリウスの4倍というその圧倒的な燃費性能を
実現した事にあります。正に新生GM期待の星という訳です。
もっとも、このリッター97キロという燃費は公式のものではあり
ません。GMが仮に燃費性能として公表したものに過ぎません。
悪くいえば、GMが消費者に燃費性能を高く印象付けたいが為に、
公表した数字であるとも言えます。その為に、コンシューマーレポ
ートが「世紀の誇張」である可能性を指摘している訳です。

この様に燃費が問題になるのは、プラグインハイブリッド車(や電
気自動車)の燃費をどう測定するかについて、まだ公式の燃費測定
法が定まっていない事が、その理由になっています。ちなみに、米
国日産自動車は電気自動車のReefの燃費をシボレー・ボルトより更
に高い「ガソリン1ガロン当たり367マイル」(1リットル当た
り約164キロ)と発表しています。

シボレー・ボルトの場合、通常は、家庭の一般用電源プラグにコン
セントを差し込んで充電する事で、最初の40マイル(約64キロ)
までは充電した電池で走行できます。そして、その後は再充電のた
めガソリンエンジンが動力源として稼動する事になります。
米国でも、一般の家庭であれば、毎日40マイル走る事はあまりあ
りません。その為、40マイルを超えて走る事がなければ、ガソリ
ンエンジンが動く事がないので、燃費は無限
という事になります。
GMが公表した数字は、この40マイルを超えて走る場合と40マ
イルを超えて走る場合の燃費(公表されていませんが、US News &
World Reportはリッター当り15キロ弱と推定しています)の割合
を調整して公表したと言えます。

なお、試しに家庭での充電を無料と計算し、シボレー・ボルトのガ
ソリンタンクの大きさを30リットルとすれば、充電で2500キ
ロ、ガソリンエンジンで450キロを走れば、燃費97キロが実現
する事になります。(この場合、毎日平均で75キロ走り、その内、
64キロを充電で、残り11キロをガソリンで走る計算です。)

こうなりますと、従来の燃費計算は無意味になってしまいますので
日本の10モード燃費に相当するEPA燃費を計測し公表している米国
環境保護庁では、100マイル当りで使用する電力量(キロワット/時)
を測定し、その数字からガソリンの使用量を一定の割合で逆算し、
それによって、電気自動車の燃費もガロン当り何マイルと表示する
方法を検討しているそうです。


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2009年8月11日火曜日

そして靖国は首相が行けない場所になった。


首相、靖国参拝見送りへ 中韓との関係考慮

麻生太郎首相は10日夜、終戦記念日の8月15日前後の靖国神社参拝につい
て「最も政治やマスコミの騒ぎから遠くに置かれてしかるべきだ。(靖国神社
は)静かに祈る場所だ」と述べ、事実上、参拝を見送る意向を明らかにした。
官邸で記者団の質問に答えた。

首相は外相当時も中国、韓国両国に配慮して参拝を見送っており、今回も同様
の判断とみられる。「15日に参拝するか」との質問には直接答えず「国家の
ために尊い命をささげた人たちを政争の具にするとか新聞のネタにするのは間
違っている」とも指摘した。

首相は就任後の昨年10月の衆院予算委員会で、参拝について「行くとも行か
ないとも答えるつもりはない」と述べ、態度を明確にしない「あいまい戦略」
を取る考えを示していた。

今年4月、首相が靖国神社の春季例大祭に合わせて供物を奉納した際、中国側
は強い不快感を表明。首相は5月に北京で行われた日中首脳会談で「(過去の
侵略などへの痛切な反省と心からのおわびを表明した)1995年の村山富市
首相談話などから何ら変更はない」と釈明した。

首相の靖国参拝をめぐっては、2006年8月に当時の小泉純一郎首相が参拝
したが、後継の安倍晋三、福田康夫両首相は見送っている。

首相は、同年8月、宗教法人としての靖国神社の自発的解散を前提に、設置法
を制定して特殊法人「国立追悼施設靖国社(招魂社)」に移行、実質的に国営
化するとの私案を発表している。

(時事通信 2009/8/10)


改めて言うまでもなく、中韓が幾ら文句を言った処で、日本と言う
国の命により出征し、その命を捧げた軍人を祀る施設に、国家の代
表者が参拝できない状態を作るというのは、愚の骨頂でしかありま
せん。
中韓に配慮と言っていますが、元々中韓の主張が理不尽な内政干渉
でしかなく、それへの配慮を行うという事は、自国への内政干渉を
認める事に他なりません。

特に韓国、朝鮮などは、日本と戦争をした訳でもなく、首相の靖国
参拝に文句をつける理など全くないと言っても過言ではないのです。

8月15日が参拝に適当でないというのであれば、首相として適当と
思う時期に参拝すれば良いのです。しかし、安部、福田両首相同様、
麻生首相も参拝しないのでは三代続いて首相の靖国神社参拝がない
事になり、これでは、政権交代後に民主党の首相が参拝しなくても、
自民党が野党として批判する事ができなくなります。民主党の首相
が何代続くかは判りませんが、首相が靖国神社を参拝できない事が
完全に定着し、日本国内に首相が行けない場所を作ってしまうと言
う今以上の国辱問題になってしまうと考えます。

麻生首相は、マスコミの揚げ足取りとバッシングの結果とは言え、
身から出た錆びで、政権交代を余儀なくされつつあります。総選挙
で自民・公明の連立与党が多数を占める可能性は略なくなっていま
す。麻生首相が選挙後も政権を担当する可能性は無いと言っても過
言ではありません。

そうであれば、麻生首相は、後世に残す最後の善行として、せめて、
靖国参拝だけは、首相として断固実行し、他国の内政干渉を排除す
る姿勢を明確にすべきであったと思われてなりません。日本という
国の為に誠に残念であったと言わざるを得ません。


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2009年8月10日月曜日

北方領土を回復したいのであれば、人道支援も拒否すべき

※写真は国後島。根室支庁のサイトから転載

ロシア、北方領土への支援拒否 「日本が四島買収」と住民も支持

ロシア外務省が、日本側から北方領土への人道支援の受け入れ停止を表明した
ことについて8日、国後、択捉両島のロシア人住民からは「(支援は)もう必
要ない」との声があがった。

「助けてくれてありがとう」。択捉島の無職マリヤ・イワノワさん(68)は、
ディーゼル発電所、医療機器など、これまでの人道支援に感謝する。だが「支
援は日本が四島を買収するためのもの。ロシアは貧しくはない」として、人道
支援を事実上拒否したロシア政府の判断を支持した。

択捉島の無職アレクサンドル・プラズニコフさん(56)も「人道支援は屈辱
的。日本は政治目的に利用している」と厳しい。

一方で、支援の全面的な停止を心配する声も聞かれた。国後島の会計士タチア
ナ・ヤキモワさん(59)は「日本で子どもを治療させたい親はたくさんいる」
と話す。ロシア政府は、人命にかかわるケースでは柔軟に対処するとしている
が、ヤキモワさんは「子どもの医療支援だけは続けてほしい」と強調した。

(北海道新聞 2009/08/09)

平たく言えば、今までの人道支援には相応の意味があったと思いま
す。つまり住民に日本の援助があれば、(あるいは日本領になれば)
生活が楽になるのを理解させる事はできた訳です。鈴木宗男氏が意
図した様な日本依存にさせる事は、元々実現に無理があったと言わ
ざるえないと思います。しかしながら、これまでの援助を通して繁
栄する日本が海峡を挟んだ身近に存在する事を認識させた事は大き
い効果と言えます。

そういう理解に立った上で、今度は医療に関する人道援助も含め一
切の援助を断つべきなのです。つまり、北方四島の住人に、日本の
援助なく生活する事の辛さを思い出させ、かつ、この処のリーマン
ショックで資源安に直撃されているロシア政府には、北方四島を保
持する経済的な負担の大きさを認識させるべきであるという事なの
です。

住民は、中止される事になった日本の援助に相当する物質的援助を
ロシア政府に要求する筈です。人間は一度、覚えた利便性を損なわ
れると、その利便がなかった時には耐えられた苦痛にも耐え難く感
じる様になります。その結果、北方四島から、ロシア本土に帰還す
る人間が増えれば、ロシア政府の北方四島での入植政策を失敗に導
く事も可能になります。また、ロシア本土への移住に至らないまで
も、日本の人道援助の復活や、対日強硬政策を取る、ロシア政府や、
地方政府に対する批判に繋がれば、それはそれで政治的な効果があ
ったと言える様に思います。また、ロシア政府が、北方四島の住民
への物質的な援助を行えば、北方四島の維持コストを増加させた事
になり、それはそれで大きな意味があります。

ロシアにとっては、北方領土は、一辺境に過ぎません。米ソ対決時
代に比べ、米国の軍事力と直接対峙する前線と言う、軍事的な重要
度は、大幅に減じています。勿論、軍事的な重要性があるのは変わ
りませんが、死活的に重要という訳ではなく、領土を維持する経済
的な負担より遙に大きな利益と、大国として対面を満足できる名分
があれば、北方領土問題の解決も全く不可能な状況ではないと考え
ます。

我々は、今回のロシアの「北方領土への支援拒否」という如何にも
ロシアらしい居丈高な態度を正に奇貨と捉え、それを活用して、北
方領土返還へ結びつけていく方向に活用すべきと考える次第です。


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2009年8月7日金曜日

現実を無視した東アジア共同体構想は危うい

※写真は時事通信サイトより転載

民主・鳩山氏「アジア共通通貨の実現を」

民主党の鳩山代表は、10日発売の月刊誌「Voice」に寄稿し、東アジア
地域の通貨を統合する「アジア共通通貨」の実現を提唱した。

鳩山氏は、「私の政治哲学」と題した寄稿で、自らの政治信条である「友愛」
に基づく国家目標の一つとして、「東アジア共同体」の創造が必要だとの考え
を示した。

具体的には、国際情勢について「米国一極支配の時代から多極化の時代に向か
う。中国が、軍事力を拡大しつつ、経済超大国化していくことも不可避の趨勢
(すうせい)だ」との認識を示した。そのうえで「アジア共通通貨の実現を目標
とすべきであり、その背景となる東アジア地域での恒久的な安全保障の枠組み
を創出する努力を惜しんではならない」と主張した。ただ、アジア共通通貨の
実現には「今後10年以上の歳月を要する」とし、政治的統合には「さらなる
歳月が必要」とも指摘した。

(読売新聞 2009/08/06)


もともとは論文として書かれている訳ですから、それを読んで批判
すべきですが、報じられている範囲で気になった事を書いてみます。

まず鳩山氏の友愛思想は、どこまで普遍的な内容を持っているのか
全く不明です。政治信条というのは理想です。昔「世界は一家、人
類は皆兄弟」と言っていた競艇業者がいましたが、内容としてはそ
れとあまり変わりない様に思われます。実際にこの競艇業者は、今
では日本財団と言う財団を持っていて、世界的な各種のボランティ
ア活動に資金提供を行っており、その理念に基づいた活動を行って
います。少なくとも、自己の管理する資金を自己の理念に基づいて
支出するのは誰の迷惑にもなりませんし、結構な事と思います。

翻って、鳩山氏の場合はどうでしょうか。鳩山氏も私財を投げ打っ
て「友愛」に尽くしてもらえれば、誰の迷惑にもならないのですが、
鳩山氏の場合は自身の政治目標として「友愛」を掲げ、その表現とし
て、国家目標としての東アジア共同体の創造を唱えています。
しかし、「友愛」という言葉が地域を限定しない理念であるならば、
対象は、東アジアに限られる必要は全くありません。アジア全域で
あっても構いませんし、米国との間であっても、世界全体であって
も良い筈です。

「世界は一家、人類は皆兄弟」というスローガンの方が、「東アジアは
一家、東アジアは皆兄弟」というスローガンに比べ、私には快く響き
ます。一般的にも、余程シンパシーが高いと思われます。悪く言え
ば、東アジアと限定するのは、偏狭に思える位です。たまたま、隣
国というだけで、思想的にも、体制的にも、相容れず、宗教的にも
経済的な発展段階も異なる国と何故、共同体を組まなければならな
いかという一点に限っても、素直に理解するのは難しいと言わざる
を得ません。

次に気になる点は、「アジア共通通貨の実現を目標とすべきであり、
その背景となる東アジア地域での恒久的な安全保障の枠組みを創出
する努力を惜しんではならない」という言葉です。東アジア共同体
だったものが、共通通貨についてはアジア共通通貨と適用範囲が広
がっています。通貨の適用範囲が政治的な領域より広がる事はあり
ません。英国で独自通貨であるポンドが使われている様に、ユーロ
はEU全域で使われている訳ではないのです。寧ろ、通用する範囲
は狭いと言えます。鳩山氏のアジア共通通貨という言葉を善意に解
釈すれば、東アジア共同体以外でも貿易決済通貨として使われる通
貨としてアジア共通通貨と書かれているのかも知れませんが、やや
通貨に対する考え方が粗雑である様に思われます。

更に、気になるのが実現までのタイムスケジュールです。鳩山氏は
アジア共通通貨の実現には「今後10年以上の歳月を要する」とし、
政治的統合には「さらなる歳月が必要」とも指摘した様ですが、先
に述べた様に、通貨統合は共同体が深化しないと実施できません。
つまり東アジア共同体ができなければ、共通通貨は実現できません。
EUはその前進である、欧州石炭鉄鋼共同体が1952年に設立されて
から、マーストリヒト条約が締結されEUが発足するのに、40年の
年月を要し、通貨統合が行われるのに、更に、9年と合計50年に近
い期間を要しています。文化も、体制も、宗教も、経済発展段階も
東アジアよりもはるかに近似したヨーロッパですら通貨統合迄に半
世紀を要したのに、東アジアで、10年で共通通貨が実現できる可能
性は、ゼロとしか言い様がありません。

今人気の愛を旗印にした戦国武将が主人公のNHK大河ドラマを当
て込んだ様な感じがしないでもない「友愛」と言う信条も結構ですが、
次期総理になるかもしれない鳩山氏には、もう少し国際社会の現実
に目を向けて欲しいと思われてなりません。


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2009年8月6日木曜日

一方的武装解除と利敵行為を勧める朝日新聞

※写真はDaily Telegraphサイトから転載

被爆64年―「非核の傘」を広げるとき

被爆地は今年、格別な夏を迎えた。「核兵器のない世界を目指して具体的な方
策をとる」。米国のオバマ大統領がプラハ演説でそう宣言して、初めて迎える
夏だからだ。

大統領が、核を使った国として「行動する道義的責任がある」と語った意味は
とても大きい。だが、プラハ演説の凄味(すごみ)は、そこにとどまらない。
グローバル化した世界は、相互依存を強めている。世界のどの経済都市で核爆
発が起きても、多くの犠牲者が出るだけでなく、世界の経済システムも破局の
ふちに追いやられる。核戦争でも核テロでも結果は同じことだ。

核抑止を続けた方が世界は安定するとの考えが核兵器国や同盟国で根強い。だ
が、核抑止の魔力にひかれて、核拡散が進む恐れがある。テロ集団の手に核が
渡る危険もある。それが現実になった時のリスクは計り知れない。

どうすべきか。核のない世界に向けて動くことこそ、新たな安全保障戦略の基
本ではないのか。オバマ大統領は、そこを問いかけている。
大統領の音頭とりで、9月24日には核問題に関する国連安全保障理事会の首
脳級会合を開くことも決まった。

■先制不使用を義務に

核に頼らない安全保障体制を構築していくには、たくさんの政策の積み重ねが
いる。核兵器国には山ほど注文したいが、ここでは特に、「非核の傘」を広げ
ていくことを強く求めたい。

核不拡散条約(NPT)に入った非核国には、核を使用しない。これを世界標
準として確立すれば、NPT加盟の非核国は、核攻撃のリスクを大幅に減らせ
る。それが「非核の傘」だ。
「非核の傘」を広げれば、核兵器の役割を縮小でき、保有数の減少にもつなが
る。オバマ大統領の任期のうちに、軍縮と安全保障の一挙両得を大きく前進さ
せたい。

「非核の傘」を広げる方法は、いくつもある。第一は、国連安保理で、NPT
に入っている非核国への核使用は認められないと明確に決議することだ。潘基
文・国連事務総長は、核保有国でもある国連安保理の常任理事国が非核国に核
攻撃しないと保証するのは可能だろうと指摘している。一刻も早く、実現すべ
きである。

第二の方法は、非核地帯条約の活用だ。ラテンアメリカ、南太平洋、アフリカ、
東南アジア、中央アジアには非核地帯条約がある。アフリカだけが未発効だが、
いずれの条約にも、核兵器国は条約加盟国を核攻撃しないことを約束する議定
書がある。

だが、米ロ英仏中の5核兵器国すべてが議定書を批准しているのはラテンアメ
リカだけ。アフリカでの条約発効を急ぎ、同時に核兵器国がすべての議定書を
批准して、「非核の傘」を広く国際法上の義務とすべきだ。

第三の方法は、核兵器国が核先制不使用を宣言し、核の役割を相手の核攻撃の
抑止に限定することだ。非核国はもともと核先制使用などできないから、核兵
器国が先制不使用を確約すれば、「非核の傘」は一気に拡大する。

■北東アジアに非核地帯

日本政府は、米国による核先制不使用宣言には慎重だ。北朝鮮は核実験しただ
けでなく、生物・化学兵器も持っている可能性がある。その使用を抑えるため
に、核先制使用も選択肢として残すべきだ、という立場だ。

だが、日本が核抑止を強調するあまり、核兵器の役割を減らし、核軍縮を進め
ようとするオバマ構想の障害になっては、日本の非核外交は台無しだ。当面、
核抑止を残すにせよ、同時に「非核の傘」を広げていく政策を進めるべきだろ
う。

一案は、北東アジアにも非核地帯条約をつくることだ。日韓だけでも先に締結
して発効させ、米中ロなどが日韓に核攻撃しない議定書を批准して、「非核の
傘」を築く。

北朝鮮については、非核化してNPTに戻った段階で条約に加わり、「非核の
傘」で守られるようにする。そうすれば北朝鮮が核放棄する利益は高まるし、
地域の安定にも役立つだろう。

軍事費を拡大させる中国への対応も欠かせない。オバマ大統領は7月の米中戦
略対話で、東アジアでの核軍拡競争は両国の利益にそぐわないと明言し、北朝
鮮の非核化などで協力していくことの重要性を強調した。「恐怖の均衡は続け
られない」とも語った。

米中は急速に経済の相互依存を強めている。たとえ相手の産業を破壊しても影
響が少なかった冷戦期の米ソとはまったく異なる関係だ。

■中国も軍縮の輪に

日本も米中の現実を認識し、北東アジアでの核の役割を減らしながら、地域の
安定をはかる構想を示していく必要がある。核抑止でつながるだけでなく、
「非核の傘」拡大や地域の軍備管理で連携していく。日米同盟をそんな形に進
化させれば、中国を核軍縮の輪に加える、大きな力になるだろう。

世界の核拡散問題には地域対立や宗教的対立がからんでいる。核実験をしたイ
ンド、パキスタン。事実上の核保有国とされるイスラエル。ウラン濃縮を続け
るイラン。いずれの場合も、そうだ。これらの国を非核化へ向かわせるには、
根気強く対立をほぐしつつ、核保有がむしろ国を危うくすることを説いていく
しかない。

唯一の被爆国として日本は、そうした外交でももっと知恵を絞りたい。

(朝日新聞 2009/8/6)


知恵を絞りたいと言う割りには、全く知恵のない夢物語を展開する
のが朝日新聞の方針である様です。深読みすれば、言葉巧みに日本
を武装解除するのがその意図かも知れません。あるいは、自己満足
の為には国を売っても構わないという朝日新聞のイデオロギーであ
る反日亡国論の現れなのでしょうか。

勿論、核軍縮を進める事も、非核地帯を推進するのも結構でしょう。
しかしながら一番問題なのは宣言を出す事ではなく、如何に実効性
を担保するかにあります。

例えば、中国は、非核兵器国に核の使用を行わないと言っています
が、この実効性を信頼する国は、まずありません。1992年にフィリ
ピンが米軍基地を撤去した後、中国に南砂群島の実行支配権を奪わ
れたのは記憶しておくべき事です。つまり、米国の実効的な支援機
能が無くなった時、中国は容赦なく、小国の利権を侵食したという
事実があるという事です。幾ら口では、非核国への攻撃を行わない
と言っても、実際に行っている事がそれと正反対では、信用する事
はできません。

中国でさえこの状態なのですから、NPT条約を破って核開発を行っ
た北朝鮮がもし非核地域宣言に参加したとしても、その信頼性は、
皆無と言って過言ではありません。北東アジアでの非核地帯設置に
関して幾ら宣言を積み重ねようとも、その核兵器保有国の中に言行
不一致の国が含まれる限り、拡大抑止の防壁を下ろす事は、武装解
除以外の何者でもないと言わざるを得ないのです。

朝日新聞は、日本が核抑止の実行性を確保しようとする事が核軍縮
の障害と述べていますが、信頼醸成処置をまず取らなければならな
いのは、軍拡を継続的に実施している側である筈です。それには、
全く頬被りをして、日本の武装解除を説くのは利敵行為もしくは売
国的行為に他なりません。

オバマ政権にしても、核軍縮を一方的に行う事を意図しているので
はありません。軍縮は、長期間、彼我の戦力比を固定化する為、そ
の時点での軍事競争の反映であり、また、血を流さない戦いとも言
えます。決してキレイ事だけで済む事ではないのです。
朝日新聞が本当にナイーブなのかどうか甚だ疑問ですが、核軍縮交
渉は白い砂糖菓子とお茶を片手に優雅な会話を行う場ではなく、冷
酷な計算と力の鬩ぎ合いの場なのです。そういう理解なく、国民に
情緒的な軍縮を説くのは、まさに自殺行為でしかないのです。朝日
新聞の優秀な論説委員達が、核軍縮の歴史や本質を知らずに社説を
書いているとは思いません。そうであるだけに、朝日新聞の勧め
る核軍縮は、実際には新左翼が行っている無防備都市宣言と同様の
胡散臭さを感じざるを得ないのです。


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2009年8月5日水曜日

六度目の発射延期 韓国初の人工衛星打上ロケット

※CGは朝鮮日報サイトより転載

韓国初の宇宙ロケット、またも発射延期
-「羅老号」発射に手をこまねくほかないワケ


11日に発射が予定されていた韓国初の宇宙ロケット「羅老号」が、共同開発者
のロシア側の最終テストで問題が発見され、発射が延期となった。

教育科学技術部は4日、「ロシア側が、先月30日に行った最終燃焼テストで予
想とは著しく異なるデータが発見され、これを分析するのに時間が必要だと伝
えてきた」と説明した。航空宇宙研究院のイ・ジュジン院長は「詳細に分析す
るのに数日かかる予定で、その後、両国間の協議で発射日程を調整する」と語
った。これで韓国初の宇宙ロケットの発射は2005年から07年、08年、今年第2
四半期(4-6月)、7月30日、8月11日、そして今回を含め6度延期されること
になった。

羅老号は液体燃料を使用する第1段ロケットと固体燃料を使用する第2段ロケッ
トで構成されているが、このうち最も大切な第1段ロケットはロシア・フルニ
チェフ社が開発し、今年6月に韓国に引き渡している。羅老号の第1段ロケット
はロシアが次世代衛星発射体として開発中の「アンガラ」の第1段ロケットを
借用したもので、ロシアでも1度も使用したことがない製品だ。

ロシアは2011年にアンガラの発射を計画している。このようにロシアはロケッ
トの安全性が確保できない状況のため、韓国に引き渡したのと同じロケットを
製作し、これまで現地で何度もテストを繰り返してきた。航空宇宙研究院は「
ソフトウエアの異常で燃焼テストが延期され、発射日が7月30日から8月11日に
延期されたが、燃焼テストが終わると今度はテストデータに問題が見つかり、
再び発射が延期された」と説明した。

現在、全羅南道高興郡の羅老宇宙センターにはロシアの技術陣が派遣されてい
る。イ院長は「ロシアは問題が発生すると、“慌てないようにしよう”と言い、
問題が解決すると“計画通り行こう”と催促するため、どうすればいいのか戸
惑ってしまう」と語った。

羅老号の発射に関して、このようにロシアのテスト結果に頼らざるを得ないの
は、言葉だけの「共同開発」だからだ。韓国政府は当初、04年にロシアとの開
発契約を結ぶ際、2億ドル(現在のレートで約190億6200万円)を提供し、第1
段ロケットの全技術の移転を受けることとなっていた。しかしその後、ロシア
側の要求で、宇宙関連技術の移転を禁止する宇宙技術保安協定(TSA)を07年
に締結したことから、韓国の研究員がロシア側での開発に参加できず、韓国に
引き渡された第1段ロケットの内部を観察することができない。今回もロシア
は、3日夜にファクスで「待て」と伝えてきただけで、具体的な説明はなかっ
た。そうかといって代案があるわけでもない。米国、日本、欧州は、宇宙発射
体は大陸間弾道ミサイル(ICBM)と同じ原理という理由で、技術移転を拒んで
いる。韓国の力で宇宙発射体を開発するまで、今回のようなことが繰り返され
るほかない。

(朝鮮日報 2009/8/5)


昨日、11日に打上げが決まったと書きましたが、残念ながら六度
目の打上げ延期になってしまいました。
「羅老号」の一段目は開発途上のアンガラロケットのURM(Universal
Rocket Modules)そのものです。ロシアでも打ち上げた事がないだ
けに初のフライトテストでの打上げに慎重になるのも当然と言えば
当然なのです。

日本のH-IIAであれば、打上げ前に実機エンジンを使った燃焼テス
トを行っていますが、「羅老号」の場合をそれを行っていないか、
行っていたとしても、テスト後に燃焼制御用のソフトを大幅に入れ
替えている様子です。開発中のロケットであれば、それも止むを得
ないのかも知れません。

これと似た様な話がロシアのインド向け航空母艦建造計画でも起こ
っています。この話はもっと酷いもので、契約で決まった金額の他
に追加費用を支払わないと引渡しできないというものです。それと
比べれば追加費用を要求されていないだけ「羅老号」はましである
のかも知れません。

まあ、日本もサハリン1、2のガス田開発で痛い目にあっています
から、ロシアとの取引を行う上で、この手のリスクは当然見込むべ
きであり、それが嫌なのであれば、ロシアを提携相手に選ぶべきで
はないと言える様に思います。


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クリントン訪朝は北朝鮮の対オバマ外交の第一手

※笑顔を見せていないが、本心は?写真はロイターサイトより転載

「弱腰」の汚名 返上なるか

ビル、今度は大丈夫か? 米国のビル・クリントン元大統領(62)が4日、
北朝鮮訪問のため空路、平壌入りした。中朝国境での取材中に拘束され、不法
入国したなどとして実刑判決を受けた米テレビ局の女性記者2人の解放を目指
し北朝鮮側と協議する。金正日(キムジヨンイル)総書記(67)とも会談し
た。米朝が核、ミサイル問題で本格協議を開始する契機になりそうだが、米国
が北朝鮮のペースにはまる危険性もはらんでいる。

ホワイトハウスは、クリントン氏の訪朝について「2人の記者を解放するため
の、完全に私的な訪問」と強調するが、米朝双方が核やミサイルをめぐる対立
状況を対話局面に転換する効果を期待していることは間違いない。とりわけ北
朝鮮にとっては、“大物特使”を利用して米朝による2国間協議に持ち込もう
とする思惑があるとみられる。

バラク・オバマ政権の北朝鮮外交は発足以来、北朝鮮が対話の呼び掛けに応じ
る気配がないまま5月に2回目の核実験に踏み切るなど、糸口が見つからない
状況が続いてきた。

そんな中、6月に2記者に労働教化刑12年が言い渡され、何らかの行動を取
らざるを得ない状況に追い込まれた。妻のヒラリー氏(61)が国務長官であ
る特殊事情もあり、「元大統領」の登場となった。

米大統領経験者の訪朝は、クリントン政権下の1994年6月に核問題をめぐ
る危機回避のために訪問し、金日成(キムイルソン)主席(1912~94年)
と会談したジミー・カーター氏(84)以来。クリントン氏は、このときのカ
ーター氏に自らを重ね合わせているようだ。

しかし、クリントン外交は北朝鮮にまんまとだまされている。1994年の核
危機で米国は寧辺(ヨンビヨン)の核施設をピンポイントで空爆することも検
討していた。しかしクリントン氏は融和外交を取り、政権末期には国交正常化
に意欲を見せ、国務長官のマデレーン・オルブライト氏(72)を送り込んだ
ほか、最終的には断念したものの2000年末には自らの訪朝も計画した。

カーター氏の訪朝を受けた米朝枠組み合意で、米国は北朝鮮に軽水炉と重油を
提供した。しかし北は2002年に核凍結を一方的に解除し、2006年に核
実験を強行。北の核保有を許したのはクリントン政権の弱腰外交の結果だとい
う指摘を受けている。

クリントン氏にとって9年越しに実現した訪朝だが、オバマ政権が言明してい
る「米朝対話は6カ国協議の枠内だけ」という原則を曲げるようなことがあれ
ば、国連安保理決議に基づく国際社会の制裁の動きに大きな影響を与えること
になる。

米国人女性記者拘束 北朝鮮当局は3月17日、中朝国境の豆満江付近を取材
していた米ケーブルテレビ局「カレントTV」に所属する中国系のローラ・リ
ン記者、韓国系のユナ・リー記者を拘束。中央裁判所は6月8日、「朝鮮民族
敵対罪」と「不法国境出入罪」で、懲役にあたる労働教化刑12年の判決を言
い渡した。2人は判決後も平壌市内にいるとみられている。

(産経新聞 2009/8/4)

北朝鮮で一日いただけで二人のジャーナリストは解放されましたが、
これは、クリントンが卓越した外交手腕を持っていたからではあり
ません。実は、数ヶ月に及ぶ国務省と北朝鮮の国連使節との間で交
渉の結果を収穫しに出かけただけであって、あの場で交渉を行って
いたのではなかったとAP通信は報じています。

北朝鮮にとっては、罪を認めているジャーナリストは、非常に都合
の良い人質であり、今回の交渉は、この外交上の資産を如何に高く
米国に売りつけるかという問題であったと言えます。敵の元元首を
呼びつけた上で、罪人に特赦を与え解放すると言う行為は、米国に
対し道徳的な高みに立つという面でも、金正日にとって快感であっ
たに違いありません。

一方、クリントンにとっては、ジミー・カーターやアル・ゴアと言
う民主党の先輩や同輩が受賞したノーベル平和賞に自身を近づける
近道と言えます。その様な意味から考えると、北朝鮮が、人質とな
ったジャーナリストの雇用者ではあっても、既にノーベル平和賞を
取ったアル・ゴアではなくクリントンを解放の相手に選んだのは、
クリントンのノーベル平和賞への願望やヒラリー・クリントン国務
長官への影響力を理解した上での選択であると言えます。

たった一日の滞在でしたが、徹底的な調査と計算の上でクリントン
は北朝鮮にもてなされた事はまず間違いありません。また、クリン
トンがその手の誘惑に弱い事は、大統領在任中の不適切な行為で明
らかになっています。(日本でも、北朝鮮に対し強面で鳴らした何
人もの政治家が、たった一回の訪朝で、見事に北朝鮮配慮派に転向
した事が思い起こされます。)

クリントンが帰国に際し、金正日からオバマ大統領に対する親書と
言葉が託されている事は間違いありませんし、クリントンがオバマ
に対し北朝鮮に対する好意的な助言をするのも確実と言えます。実
の処、金正日にとってそれこそが、政治的な身代金に他ならなかっ
たと言えます。

北朝鮮にとっては、現在の金正日体制に対する保障を米国から取り
付けるのが、一番の政治的目標です。但し、同時に対米核抑止体制
を構築する事も、米国から現実的な体制保障を取り付ける上での条
件になるとも考えている筈です。従って、核廃絶を唱えるオバマ政
権とは、政策的にも対立する訳ですが、その様な状況の中で、米国
や韓国、日本から自国に有利な援助を取り付けつつ、並行して核戦
力の充実も図るという外交的アクロバットを演じようとしていると
考えれます。そして、その第一手が今回のクリントン訪朝という事
なのです。その意味で、今回のクリントン訪朝を機に、米国と北朝
鮮の間で、急速な外交的展開が図られる可能性が高いと思われるの
です。


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2009年8月4日火曜日

韓国の新型ロケットは、本当に打ち上がるのか?

※写真は朝鮮日報サイトより転載

韓国が初の人工衛星ロケット打ち上げへ 露が技術協力

韓国初の人工衛星搭載ロケット「羅老(ナロ)号(KSLV1)」が今月11
日に打ち上げられる予定だ。羅老号は同盟国の米国ではなく、ロシアの協力を
得て開発された。ロケットは大陸間弾道ミサイル(ICBM)に転用が可能な
ことから、米国が技術提供を断ったためとされる。韓国のロケット打ち上げが
北朝鮮の反発を呼ぶのは確実で、国際社会が注視している。

韓国では1970年代から兵器の開発などを行っている国防科学研究所で、ミ
サイル用の固体燃料ロケットの開発が進められてきた。しかし推進力が高く宇
宙空間の軌道に進入させることができる液体燃料ロケットの技術開発は難しく、
これまで韓国には、人工衛星を搭載できる自前のロケットがなかった。

開発は急がれていたが、北朝鮮を刺激したくない米国側が技術提供を拒否した
ため、韓国はロシアの協力を得て研究を進めてきた。昨年4月には、ロシアの
宇宙船ソユーズで初の韓国人飛行士を宇宙に送り出している。

さらに米国との間には、韓国の弾道ミサイルの射程を制限する「米韓ミサイル
指針」があり、射程300キロ以上の発射体の開発は制限され、米国の厳しい
監視下にある。米国は今回の打ち上げを静観するとみられるが、「米国は、韓
国が宇宙開発を進めることに内心反対の立場」(韓国の宇宙開発専門家)という。

一方、今回のロケット打ち上げで、南北間の緊張がエスカレートすることを懸
念する声も出ている。

また羅老号は日本の領海上空を通過し、九州西側の東シナ海に1段目が落下す
る見込みという。日本政府は「韓国の場合、研究開発のための宇宙の平和利用
なのでとくに問題はない」との立場だ。ただ打ち上げに失敗すればロケット本
体や破片が落下する可能性も排除できないので、安全面から他国の上空通過は
避けるのが一般的とされる。

今回、打ち上げに成功すれば、自国から自前のロケットで人工衛星を軌道に乗
せた国としては10番目となる。

(産経新聞 2009/8/03)

打上延期が繰り返されている韓国の人工衛星打上ロケット「羅老
(ナロ)号(KSLV1)」ですが、必要とされていたロシア国内での
ロケットエンジン燃焼性能テストに成功した事から、来る8月11日
に羅老宇宙センターから打ち上げられる事になった様です。

韓国では、初の国産人工衛星打上ロケットと言われていますが、
実際には、ロシアから完全輸入した液体燃料エンジンの第一段ロ
ケットと同じくロシアから技術導入した固体燃料ロケットを搭載し
た第二段ロケットで、韓国産の100kg級科学衛星を打ち上げるとい
うものです。

日本の旧宇宙開発事業団系の人工衛星打上ロケットでも、同様の技
術導入や完全輸入を行っていますので、韓国産と言っても、文句を
つける筋合いではないのですが、「羅老号」の場合は、オリジナル
であるロシア製のアンガラロケット(この第一段ロケットを「羅老
号」では、そのまま使用する)が、まだ開発中である点で、原産国
のエンジン開発の影響をモロに受ける事になってしまったと言えます。

元々、アンガラロケットは、ロシアの次世代衛星打上ロケットとし
て開発されているロケットですが、韓国は当初、それを技術導入す
る事によって、自国で生産する事を計画していました。(一部では
エンジニアリングサンプルをリバースエンジイアリング手法で解析
する事を計画していたという噂もあります。)

しかしながら、技術盗用を恐れるロシアが、技術移転に応ぜず、ロ
シアで生産した第一段ロケットを完全輸入する事になりました。
第二段の固体燃料ロケットは、ロシアからの技術導入で、韓国内で
生産されています。(韓国で開発されたとする資料もあります。)

実はアンガラロケットは、非常に高性能のRD-171エンジンを搭載す
る新型ロケットであり、ロシア国内でも、まだ打ち上げられていな
い開発中のロケットなのです。そういう点では、「羅老号」はロシ
アにとって、アンガラロケット第一段の初回フライトテストを韓国
の費用で行って貰っていると言っても過言では無い
様に思われます。

「羅老号」は、打ち上げられた後、九州西部の東シナ海を飛行し、
日本領海の上空を通過する予定になっています。
開発中のロケットは、射場で爆発する可能性や打上後に飛行コース
を大きく逸脱する可能性があります。日本のロケットと同様、「羅
老号」もそういう時の為に、当然、指令破壊(自爆)の機能を持って
いる筈ですが、打上失敗時には、韓国のみならず、日本にも影響が
ある事を念頭に置き、安全面には念には念を入れて欲しいものと思
います。


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2009年8月3日月曜日

T50は売れない!超音速高等練習機は絶滅危惧種

※写真は、Wikipediaより転載

練習機の海外輸出に苦戦するKAI
韓国製のT50超音速高等練習機

優れた性能が認められてもマーケティング・ロビー活動で押される
公企業構造では限界か


韓国政府と韓国航空宇宙産業(KAI)は、13年という年月と2兆ウォン(現在の
レートで約1487億円、以下同)の資金を投入し、2005年に高等練習機T50を開
発した。韓国独自の技術で初めて開発されたT50は、F16戦闘機に比べ体積が89
%、重量は77%ほどの軽い機体ながら、有事の際には武装を施し攻撃機として
も使用可能なため、国際市場で好評を得た。

しかし、輸出実績はゼロだ。アラブ首長国連邦(UAE)と4年間交渉を続けたが、
今年2月に1機2500万ドル(約23億5450万円)で40機販売という交渉で、イタリ
アに押しのけられた。シンガポールとは2012年までに12機納品することを目標
に交渉中だが、今年10月に発表される結果もまた未知数だ。また今月8日には、
李明博(イ・ミョンバク)大統領がポーランドのレフ・カチンスキ大統領と首
脳会談を行い、T50輸出問題を議題として採択した。ポーランドは、来年初め
に16機(10億ドル=約941億円)規模の高等練習機を導入する事業を進めている。

李大統領がT50に関心を示した裏事情は、こうだ。大統領に当選した当時、UAE
の指導者に親書まで送ったが水の泡となったことに対し、「李明博政権の外交
力不在と、KAI社長任命過程で“落下傘”人事を行ったのが原因」など、あら
ゆる非難が集中した。こうした経験から、李大統領はカチンスキ大統領から何
らかの肯定的な答えを引き出したかった、というわけだ。

防衛事業庁の関係者は、「“T50はポーランド空軍の主力機F16の縮小版で、パ
イロットに合っている”という友好的な答えがポーランド側から聞かれたが、
イタリアの主力練習機M346、イギリスのホーク128、チェコのL156などとの競争
は避けられず、結果は予測できない」と語った。

T50はイタリアのM346より性能が優れている、というのが一般的な評価だ。それ
でもUAEで苦杯を舐めたのは、M346を製造しているアレニア・アエルマッキ社に
比べ、産業協力の面で相手にならなかったからだ。アエルマッキ社は、練習機
を販売する条件としてF1レーシングサーキットの建設など、20億ドル(約1883
億円)規模の「ボーナス」を提示した。これに対し、韓国側は2億ドル(約188
億円)程度だった。

防衛産業分野での輸出は、兵器の性能だけで左右されるものではない、という
のが不文律だ。T50がどれほど優秀でも、公企業構造のためにマーケティング
やロビー活動の面で競争相手に太刀打ちできない、というわけだ。KAIは公式
のマーケティング以外、非公式なロビー活動はできず、初心者的立場から逃れ
られずにいる。

KAIは、産業銀行が最大の持ち分(30.54%)を有しており、そのほかに現代自
動車、サムスン・テックウィン、斗山インフラコアが株主として参加している
半国営企業だ。そのため、兵器産業の取引の特性上、一日も早く民営化しなけ
ればならない、という指摘も出ている。

産業銀行の関係者は、「米国のロッキード・マーチン社やボーイングは米国政
府からさまざまな恩恵を受けているが、株式保有の面では、典型的な民間企業
の形態を取っている。航空関連の大企業と提携してこそ、競争相手より優位に
立てる」と語った。また国防研究院の白承周(ペク・スンジュ)研究委員は、
「われわれが過剰な広報に出たことも、輸出に失敗した原因の一つだ」と指摘
した。防衛産業分野の輸出市場を開拓するには、広報よりも非公開の交渉や努
力が必要だが、広報にばかり熱を上げる態度が問題になった。防衛事業庁側は、
「2030年までに、世界の高等練習機の交換は50カ国・3300機に上ると見込まれ、
KAIはこのうち30%(1000機、600億ドル=約5兆6500億円)の市場シェアを目
標としている」と語った。しかし、この広大な市場で韓国がどの程度実を結ぶ
ことができるかは不透明だ。

(朝鮮日報 2009/8/02)


日本でも、高等練習機を作った事があります。いわずと知れたT-2
高等練習機です。しかしながら、この高等練習機の後継機は導入さ
れませんでした。もし、高等練習機が実用戦闘機パイロットを養成
するのに有用であり、トータルのパイロット養成コストを削減でき
るのであれば、航空自衛隊は、引き続き高等練習機を使い続けた筈
です。

T-2があった頃の航空自衛隊の訓練課程は、
①初等練習機→②(ジェット)中等練習機(T-33)→③高等練習機(T-2)
→④実戦機(F-4、F-1、F-15)
でした。

しかしながら、T-2退役後の現在では、一段階少ない
①初等練習機→②(ジェット)中等練習機(T-4)→③実戦機(F-4、F-2、F-15)
であり、高等練習機での訓練に相当する過程は、実用機の複座型に
よって行われています。

これは、中等練習機を終了した後の高等訓練課程を実戦機で行うの
と高等練習機で行うのを比べた場合、実戦機では、高等練習機で行
う訓練が全て行える上、高等練習機を使った場合に、実戦機に移っ
た時に行うその機体特有の訓練を、実戦機での訓練では、高等訓練
と同時に行う事で、訓練期間の短縮を図る事ができます。また、実
戦機を訓練に使用する事で、いざという時に使用可能な実戦機の機
数を増加させる事ができるという効果も期待できます。

実戦機を使う事で高等練習機を使う場合に比べ、運用費用が増加す
るという欠点が指摘できますが、高等練習機という実戦機に準じる
機体を一機種別に導入する事によるトータルコストと比較すれば、
割安になる他、近年では実機に近いシミュレータを利用する事で、
訓練コストを下げる事もできます。

この為、高等練習機を導入する場合は、その高等練習機と同系列の
実戦機を導入する事で、機体導入コストを削減するのが通例です。
T-2を導入した航空自衛隊も同系列の支援戦闘機F-1を導入していま
すし、韓国空軍も、派生機であるA-50攻撃機を導入する予定となっ
ています。

つまり、T-50は単体で導入する場合は、性能の高い高等練習機であ
るが故に、高価であり、その同系列の実戦機であるA-50攻撃機を導
入する気がなければ、コスト高になってしまうという事です。

その点、T-50の対抗馬に目されているアエルマッキM-346は、T-4の
エンジンを強化して遷音速化した様な機体であり、中等練習機とし
て使用できるものです。これは、チェコのL-159にせよ、BAEのHawk
128にせよ同様です。

つまり、韓国の期待に水を差すのは悪いのですが、最新の超音速高
等練習機という存在は、導入コストの割に、導入効果が低いと言え、
高等練習機単体で導入される可能性は非常に低い絶滅危惧種と言わ
ざるを得ないのです。


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2009年7月31日金曜日

世界から土下座外交を期待されている民主党

※図は、Wikipediaからの転載
世界198ヶ国の色分けは次の通り。
青 :あらゆる犯罪に対する死刑を廃止(91ヶ国)
緑 :戦時の逃走、反逆罪などの犯罪は死刑あり。それ以外は死刑
   を廃止(11ヶ国)
橙 :法律上は死刑制度を維持。ただし、死刑を過去10年以上実施
   していない死刑執行モラトリアム国。もしくは、死刑を執行
   しないという公約をしている国。(33ヶ国)
赤 :過去10年の間に死刑の執行を行ったことのある国(62ヶ国)

日本の死刑執行に遺憾表明 EU

欧州連合(EU)議長国スウェーデン政府は30日、日本で28日に3人の死
刑が執行されたことに対し「強い遺憾の意を表明する」との声明を発表した。
声明は「残酷かつ非人道的な刑罰である死刑は、どのような状況でも許容でき
ない」と日本政府を批判した上で「(8月の)総選挙後に発足する日本の新政
権と、この問題で協議を持ちたい」と述べた。(共同)

(産経新聞 2009/7/31)


友愛の為なら、日本の主権を「移譲」して良いという野党党首がいる
事が世界的にも有名になったようです。自分達の意見と異なる意見
を許容できないEUがキリスト教に基づく隣人愛を本当に求めてい
るのどうかは判りませんが、自己主張だけは強烈です。
そして、28日に行われた死刑に対し「強い遺憾の意」を表明した
上で、「(8月の)総選挙後に発足する日本の新政権と、この問題
で協議を持ちたい」との表明を行っているのです。
つまり、新政権を担当すると目される民主党は、余程対外的に弱腰
であると見下されていると言う事になります。

そもそも死刑廃止は欧州においては進んでいるものの、それが必ず
しも全世界のスタンダードとなっている訳ではありません。死刑廃
止国102ヶ国に対し、死刑制度を維持している国は96ヶ国にのぼり
ます。日本に対して「遺憾」を表明するのであれば、全ての死刑実
施国に対して、死刑実施の都度、常に、遺憾の意を表明し、その結
果は、EUが甘受すべきなのです。私が知らないだけで、欧州が世
界の全ての死刑に対して、こういった行動を行っているのであれば、
それはそれで首尾一貫していると評価できますが、しかし、日本に
ついても今年の別の時期に行われた死刑に対して同様の遺憾の表明
は私の知る限り行われていません。であれば、たまたま報道された
日本の死刑に対して、反応しているだけであり、そうであれば明白
な内政干渉であるだけにEUは無思慮の謗りを受けても仕方がない
と言えます。

それにしても、EUから、こんな期待を寄せられるとは、本当に民
主党は、国益を放棄する事を世界から期待されている様に思います。
はっきり言いますが、民主党を情緒的に支持したり、マスゴミの政
権交代期待のヨイショに載せられて民主党に投票するのは、正に情
報弱者の行動としか言い様が無いように思われてなりません。


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2009年7月30日木曜日

戦略・経済対話で逆に深まる米中の溝

※写真はロイターより転載

米中、世界経済回復で協力=核問題でも連携確認-初の戦略・経済対話が閉幕

米中両国が経済や安全保障など幅広い分野の課題を討議する初の戦略・経済対
話が28日、2日間の日程を終了した。両国は会議後に共同報道文を発表し、未
曽有の危機に見舞われた世界経済や金融システムの回復で両国の協力が不可欠
だと強調。マクロ経済政策の課題のほか、金融規制や国際金融機関の改革に協
調して取り組む意欲を示した。一方、戦略分野では、イランや北朝鮮の核問題
での緊密な連携を確認、人権対話を継続する方針でも一致した。

経済分野で米側議長を務めたガイトナー財務長官は声明で「米国と中国の強力
な政策が金融システムを崩壊の瀬戸際から救うのに貢献した」との認識を示し
た上で、世界経済回復後にも「持続的かつ均衡した成長をもたらす政策を取る
ことで合意した」と指摘した。

協力の枠組みとして、マクロ経済では、米国は貯蓄率向上や財政赤字の削減な
どを課題として挙げた。中国は内需主導の成長や消費拡大への努力を約束。
また、貿易・投資では保護主義的方策の回避や難航する新多角的貿易交渉(ド
ーハ・ラウンド)の成功に対する意欲を示した。
さらに、国際通貨基金(IMF)などを含む国際金融体制の改革で中国の意見反
映や参画を確実にする目標を打ち出した。 

(時事通信 2009/7/30)


米中は、2005年から戦略対話を行ってきました。
最初に実施したのは、外務次官級の米中対話で、これは、Strategic
Dialogue(戦略対話)と呼ばれました。その次に出てきたのが、2006
年に始まった、経済関係次官によるStrategic Economic Dialogue
(戦略経済対話)です。それらを更に発展させたのが今回の外交及び
経済担当閣僚によるStrategic & Economic Dialogue(戦略と経済対
話)です。

マスコミは、中国による米国債保有高が、世界第一位になった事で、
米国が中国に対し膝を屈する様になったという印象を広めています
が、必ずしもそうではありません。中国が外貨準備を積み上げてい
ますが、これは人民元を意図的に安くしている通貨当局の介入の結
果です。米国から見れば、中国の不公正な通貨政策によって恒常的
に大幅な貿易赤字を垂れ流している事になります。中国が米国債を
購入しているのは、その反対給付という面があります。もし、中国
が米国債の購入停止をすれば、米国は即日、対中輸入制限を行うに
違いありません。米国の中国からの輸入の大部分はレアメタルなど
を除けば他国からの輸入により代替可能なものであるからです。そ
ういう意味では、核兵器による相互抑止と同様の均衡が経済面でも
成立していると言えます。米国が一方的に弱みを握られているとい
う解釈は誤りです。

そして、同時に中国から米国への安値輸出は、環境対策や知的所有
権で支払うべき費用を負担していない不公正貿易によって行われて
いるという側面があります。今回、合意はありませんでしたが、環
境対策面の改善を米国が中国に申し入れたのは、世界で第一位と第
二位のCO2排出国であると言う側面以外に、中国に対し環境対策で
国際基準を受け入れる様に米国が促したと言う側面があります。
国連や国際会議の場では、中国は、他のBRICs諸国や発展途上国の
バックアップが得られますが、二ヶ国協議では、その様な外部から
の支援は得られません。

マスコミは米中二ヶ国の世界支配体制という意味でG2と言う言葉
を多用していますが、実際には、今回の対話は、あくまで、米国に
よる、中国の世界的経済秩序への組み込み過程であると言えます


米国は現状維持勢力であるのに対して、中国は現状打破勢力です。
この現状打破勢力である中国の台頭に対し、まずは、現状維持勢力
の代表である米国が、既存の秩序と体制への協調を指導している場
がこの米中対話であると考えて良いと思われます。であるからこそ、
鳴り物入りで150人を超える大々的な訪問団が米国を訪れた割に成
果が殆どないのです。

中国にとってG2対話は面子を満足させるものではあっても、それ
以外では、必ずしもやって有利な対話とは言えず、逆に米国の政策
決定者に中国の異質さを知らしめる良い機会になるのではないかと
考えます。


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2009年7月29日水曜日

民主が狙う大都市中高年サラリーマンの懐

※朝日新聞サイトより転載

「言われる筋合いない」鳩山氏、財源問題で反論

民主党の鳩山由紀夫代表は28日の宮崎市での街頭演説で、民主党公約に対す
る与党側の「財源が不明確」との批判に「言われる筋合いはない」と強く反発
し、「できるだけ細かく調査をして必要な財源を手当てした。必ず実現する」
と強調した。

自民党が衆院選マニフェスト(政権公約)に明記する方針の「2020(平成
32)年までに世帯あたり可処分所得平均100万円増」に関しては「衆院選
公約は『最大4年間で何をやるか』という国民との約束だ。10年以上先の話
をされても次の総選挙で問えない」と批判した。

(産経新聞 2009/07/28)

「あなた方に言われたくない」公約批判に鳩山民主代表

民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)に対し閣僚から「ばらまき」などの
批判が相次いだことに関して、鳩山由紀夫代表と岡田克也幹事長が28日、そ
れぞれ遊説先の街頭演説で反論した。

鳩山氏は宮崎県西都市で「与党は財源問題をおっしゃるが、あなた方に言われ
たくない。無駄遣いし放題でお金を垂れ流し、足りなければ国債を発行してき
ているではないか」と反論。「私たちはとことん無駄遣いをなくさせることに
力を注ぎ、本当に大事なところに資金的な手当てをしたい」と強調した。

岡田氏は神奈川県三浦市で「与党はしがらみの中でやっているからできないが、
(民主党は)予算を全部見直し何兆円ものお金をつくりだす」と表明。「天下
り団体に対する補助金や、特定の利害関係の人にだけ手厚いさまざまな制度、
そういうものを全部ゼロから見直す」と述べた。

(産経新聞 2009/07/28)


やはり痛い所、明確に反論できない所を突かれると、言葉が荒くな
ってしまうのは誰でも同じようです。

外交的には全方位土下座外交、国内的にも全方位ばら撒き政策と揶
揄されている民主党のマニフェストですが、仔細に眺めると、財源
は大都市居住の中高年サラリーマンであるのが判ります。その中で
も特に、子供が大学生以上になった世帯にしわ寄せが来る事になり
ます。

この世代は、子供の大学の学費や生活費に実際には高額の負担を行
っていますが、年功もあり、管理者層が多い事から、所得も他の年
代に比べ多めになっています。この為、配偶者控除、扶養控除の廃
止が重くのしかかる割りには受益サイドとしては奨学金(学費借入)
程度しかありません。

子育て層が、中学生までは、年額31.2万円、高校生の場合は、公立
高校の授業料無料化、私学の場合でも、年間12万円~24万円の補助
と手厚い教育費、生活費補助を受けるのとは、誠に対象的であると
言えます。

これに加えて、ガソリン税の暫定税率と高速道路の無料化がありま
す。これらの受益者の内、一番大きいのは輸送業者ですが、個人と
しては地方在住者という事になります。都市部で生活の足に車を使
っている人は、高速道路はあまり使いませんし、首都高や阪神高速
は、無料対象から外れています。

実は、この施策に対する財源の裏づけはありません。民主党の一部
議員からは、自動車保有者全員から一台に付き一律5万円徴収する
案が出ている程です。その案がダメな場合は、赤字国債、最終的に
は消費税という事になります。つまり、受益者負担の考え方がなく
なり、多数の都市生活者から少数の地方生活者への大規模な所得移
転が行われる事になります。ここでも、標的は、消費活動が一番活
発な層と言う事になり、結果的に、大都市に生活する中高年サラリ
ーマンが割りを食う事になります。

今回の衆議院選挙で情緒的に政権交代を求めるのも結構ですが、民
主党のマニフェストを見る限り、大都市部の中高年サラリーマンが
標的になっている事は冷静に評価する必要があると思われるのです。


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2009年7月27日月曜日

インドの戦略ミサイル原潜! 完成

※写真は、進水式で演説するシン首相。共同通信サイトより転載

インドに原潜 「浮沈」懸けた

インド海軍は26日、初の国産原子力潜水艦「アリハント」の進水式をマンモ
ハン・シン首相(76)立ち会いの下、南部アンドラプラデシュ州ビシャカパ
トナムの海軍基地で行った。国産原潜の保有は米露中英仏に次いで6カ国目。
潜水艦からの核ミサイル発射能力を確立し、核抑止力の強化を目指すが、中国
の核軍拡に拍車がかかる可能性も否定できず、日本を含む東アジアの安全保障
にも影響が出そうだ。

ロイター通信などによると、インドの国産原潜は全長 112メートルで、排
水量約5500トン。出力80メガワットの加圧水型原子炉が積まれ、核弾頭
搭載可能な射程約 700キロの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)計12
発を装備する。アリハントとは、「敵を撃破するもの」を意味する。

インドは現在、ロシア製を中心にディーゼル潜水艦を16隻保有しているが、
純国産はない。原潜の開発には1980年代から着手し、これまでにかかった
費用は総額29億ドル(約2749億円)とされ、原子炉などの試運転を経て
2011年以降に実戦配備する。インドはさらにロシアからアクラII級の原
潜を調達する方針で、アリハントを皮切りに今後10年で核ミサイル搭載可能
な原潜3隻を配備する見通しだ。より射程の長いSLBM搭載の原潜の開発も
進めているとされる。

シン首相は進水式で「国土防衛のために手段を尽くし、世界の最先端技術に遅
れないよう努めることはわれわれの義務である。原潜開発はインドの軍備にと
って歴史的にも画期的な出来事だ」と述べた。

インドの国産原潜保有は、空母建造や新型戦略原潜の配備を進める中国への対
抗を意図したものであることは明白だ。元海軍参謀長のアルン・プラカシュ退
役将校(64)は海軍力の増強を進める中国について、「核弾頭発射能力を持
つ原潜を8隻程度保有しており、潜在的な脅威だ」と述べている。

インドの軍拡は常に中国を意識したものであり、そのインドを常に隣国パキス
タンが追うというのが、地域の軍拡連鎖構造になっている。1962年の中印
国境紛争から2年後に中国は核実験に成功。以降インドは核開発に全力をあげ、
74年に核保有国となった。これでパキスタンも核開発に着手、98年にイス
ラム圏で初の核保有国になった。

今回、核弾頭搭載可能なSLBMを配備する原潜を得たことで、インドの核戦
力は格段に高まる。潜水艦の特性は、敵に見つかりにくい上に攻撃力が高いこ
とにある。たとえ地上の核基地が先制攻撃によって撃滅されても、海底にもぐ
った潜水艦は無傷で残りやすく、敵への報復能力を保つことができる。

このため、保有する核弾頭数が仮想敵より圧倒的に少なく、先制攻撃を受けや
すい状況にあっても、SLBM配備の潜水艦があれば、実効ある核抑止力を維
持できるわけだ。

さらに動力が原子力であれば、航続期間もケタが2つ違うぐらい飛躍的に伸び
る。理論上は、食料が尽きない限り、燃料の補給なしで半年でも1年でも海底
を全速力で跋扈(ばっこ)できる。

(産経新聞 2009/07/27)


インドが、ATV(Advanced Technology Vessel)として、原子力潜水
艦の開発を推進しているのは、良く知られれていましたが、最初に
戦略ミサイル原潜(SSBN)を完成させたのには、少し驚きました。
今の処は、限られられた情報しかないので、大した事は言えません
が、皮肉な事に、今回完成したインド初の戦略ミサイル原潜は、イ
ンドの仮想敵国である中国の第一世代ミサイル原潜である夏級とそ
っくりだと言えます。

表面上のスペックを比べてみます。

●インド アリハント級SSBN
水中排水量 5,500t
全長 112.0m
全幅 ??.?m
主機 原子力ターボ・エレクトリック? 1軸(80MW)
水中速力 20kt以上
最大潜行深度 300m
乗員 100名
弾道ミサイル SLBM(射程700km)/ 垂直発射筒12基

●中国 夏級SSBN
水中排水量 8,000t
全長 120.0m
全幅 10.0m
主機 原子力ターボ・エレクトリック 1軸(90MW)
水中速力 22kt
最大潜行深度 300m
乗員 84名
弾道ミサイル JL-1A(巨浪1/CSS-N-3 射程2150km)/ 垂直発射筒12基

大きさからみれば、SSBNとしては、小型の部類に入ります。
中国の夏級SSBNと比べても若干小型です。但し、搭載するSLBMは、
射程こそ劣りますが、搭載する数は、12基と夏級SSBN同様となって
います。

インドは、1980年代~90年代にソ連のチャーリー級巡航ミサイル原
潜を運用した経験があり、それに加えて原潜の設計・建造について
は深い経験を有するロシアから技術導入を行っていますので、小型
である事は、能力が低い事を意味していません。中国の第一世代原
潜がその騒音で有名であったのとは対照的に、インドの戦略ミサイ
ル原潜は、ロシア製と同程度の騒音レベルを達成している可能性が
あります。少なく共、それを目的とした設計がなされている筈です。

「アリハント」が搭載する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)Sagarika
は射程から見て、現時点では、パキスタンや中国の一部しか狙えま
せんので、第二撃戦力(敵の第一撃から生き残って報復打撃を行う
能力)としては限定的な能力しか持っていません。
しかし、Sagarika SLBMの射程を順次伸延させる事で、パキスタン
のみならず中国に対しても報復打撃力を持たせようとする筈です。

逆に、パキスタンや中国は、アリハント級SSBNを追尾し、有事には
撃沈する体制を整えようとする筈です。隣国であるパキスタンは別
として中国は、現在、スリランカ、ミャンマー、パキスタンに海軍
艦艇が利用できる港湾を設置しようとしていますが、これも、中国
自身のシーレーン防衛と同時に、インドの戦略原潜に備えたものと
言えるのかも知れません。

それに対してインドは、この艦のエスコート用に、国産攻撃型原潜
(恐らくアリハントと同じ設計で、SLBMを持たないコンパクトな艦)
を建造中であり、また、ロシアからはアクラII級攻撃型原潜をリー
スする事になっていますが、これらの直衛艦に加えて、今後は、効
果的な対潜水艦戦を遂行できる水上艦艇や海上航空兵力を順次整備
拡大していくものと思われます。
インド洋の波は今度ますます高くなっていきそうです。


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2009年7月24日金曜日

民主の安保転換「ぶれた」書かずに「現実路線」と書くマスコミ

※朝日新聞サイトから転載

首相、民主の安保転換「ぶれた」

麻生太郎首相は23日夜、民主党がマニフェスト(政権公約)の原案で、海賊
対策での自衛隊派遣や北朝鮮関連船舶への貨物検査実施などの容認を打ち出し
たことを受け、「現実的対応になったというのは違う。あれだけ国会でテロ対
策などに反対だったのに選挙直前になったら変わるのか。理解できない」と強
く批判。自らが「ぶれた」と批判され続けたことを念頭に「『ぶれた』という
のはそういうことではないのか、と言いたくなる」と皮肉った。首相官邸で記
者団の質問に答えた。

公明党の北側一雄幹事長も23日の記者会見で「これまでの民主党の国会対応
はなんだったのか。現実路線に転換したと言うなら今まで現実的でない国会対
応をしてきたのか。政策よりも政局で判断をしてきたと言わざるを得ない」と
批判した。

(産経新聞 2009/7/24)

民主党が、ただただ、麻生内閣の足をひっぱる為だけに反対したの
であった事を如実に示すのが、今回の安保政策の転換でしょう。
麻生首相がぼやきたくなるのは誠に良く理解できます。

海賊対策にせよ、テロ対策にせよ。今回マニフェストで転換する位
であれば、あれほど抵抗する必要はなかった筈です。結果的には、
タイミングを失する事なく護衛の任を全うする事ができたのは、中
途半端な権限しかない中で、両手を縛られても任務に精励した自衛
隊員の犠牲(一歩間違えれば、本当に戦死者や負傷者が出る処だっ
た)の上に築かれたものと言えます。その意味では、民主党は、自
衛隊の足を引っ張った戦犯とすら言えます。
もし、民主党が政権を取ったら、どの顔下げて、観閲式や観艦式に
出席するのか厚顔無恥ぶりをとくと拝見したいものだと思います。

もう一つの北朝鮮関連船舶への貨物検査実施に至っては、選挙対策
以外の何者でもありません。このままだと、拉致家族会から拉致問
題に弱腰の親北政党と言う非難を浴びかねなかったので、表面を糊
塗して逃げ出したまでの事です。
私は、日教組出身の輿石代表代行が絶対に法案を通過させないと明
言し、その通りに廃案にさせた事を絶対に忘れません。是非、責任
を取って貰いたいものです。

民主党の今回のマニフェストは、政権獲得の為に、年来のサヨク指
向を表面的に繕って一見現実路線への転換を図っている様に見える
ものの、仔細に見れば、従軍慰安婦問題での賠償支払いや第二次大
戦での根拠の無い日本責任論に組みする「恒久平和調査局」設置な
ど、衣の下に鎧が見えているとすら言えます。

それにしてもダブルスタンダードの極みを見せているのがマスコミ
です。最終決定を行う前で、意見を確定させないのは当然の行為で
すが、それを「ぶれた」と強弁し、その一方で、民主の明確な政策
のブレを現実路線への転換とか柔軟路線とか書くのは、どう見ても
ダブスタと言わざるを得ません。

そこまでするのであれば不偏不党となど書かず、いっそ潔く支持政
党を明示するのが筋というものです。米国のワシントン・ポストや
ニューヨーク・タイムズは、選挙前に民主党指示である事を明示し
ています。そうであれば、朝日新聞や毎日新聞は、媚中反日である
事と民主支持である事を明記すべきでしょう。
誰も信じていない朝日新聞綱領や毎日新聞憲章など、速やかに廃止
すべきであると考える次第です。


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2009年7月23日木曜日

日食見えず 昨日はお疲れ様でした。

※毎日新聞サイトから転載

トカラ列島では“黒い太陽”見えず

月が太陽を完全に覆い隠す今世紀最長の皆既日食が22日午前、各地で確認さ
れた。日本の陸地で見られるのは46年ぶりとあって、鹿児島県のトカラ列島、
種子島南部や奄美大島北部などに2万人近い天文ファンが集結したが、6分
25秒と陸上では最も長い時間観測できるとして約1100人が集まったトカ
ラ列島(十島村)の悪石(あくせき)島では風雨が強まり、竜巻の可能性があ
るとして屋内への避難が呼びかけられる一幕もあった。

晴天に恵まれたのは北硫黄島(東京都小笠原村)付近の太平洋上で、今世紀最
長となる6分39秒の皆既日食が確認できた。“黒い太陽”の周りに普段、肉
眼で見えないコロナが真珠色に広がって見えた。近海では、普段は東京と小笠
原を結ぶ「おがさわら丸」や、兵庫県立大がチャーターした「ふじ丸」など、
天文ファンを乗せた船が集まり、天文ショーを楽しんだ。

今回の皆既日食はインド北部から始まり、直径約250キロの巨大な月の影が
時速2千キロ以上で東に移動。中国の武漢・上海といった大都市を通り、南西
諸島では午前11時前、北硫黄島付近では11時半ごろに起きた。交通の便の
よい上海近郊で観察しようと、中国に渡る天文ファンも多くみられた。

皆既日食が次回、日本で見られるのは26年後で、北陸や北関東で観測できる。

(産経新聞 2009/7/22)

昨日の皆既日食を満足のいくまで堪能できた方は、結局、チャータ
ーしたクルーズ客船で晴れ間を探して硫黄島まで移動できた方か、
中国の重慶まで探訪ツアーに行かれた方しかいなかった様です。
そういう意味では、本当にごく一部の方しか、日食を満喫できなか
った訳ですから、殆どの方は、公平に見れなかったという事で我慢
頂くしかありません。
私は、東京都心部にいましたが、天候は曇りで、とても見れないと
外に出るのも諦めてしまいました。それでも、11時頃には、全体
に薄暗くなった様に感じ、これも日食の為かと少し楽しめた気がし
ました。頑張って外で観察していた同僚の中には薄い雲を通して欠
けた太陽を見る事ができた人もいた様です。

さて、日食ですが、実はそれ程、稀な現象ではありません。
太陽、月、地球が一直線上にならぶ機会は、新月毎に発生します。
地球の公転面と月の公転面が、完全に一致していれば、毎年12
回は日食が発生する事になります。
しかし、実際には両者は、5度近くずれていますので、この両軌道
が交わる場所(月の昇交点・降交点といいます)付近にいる時に限
られる事になります。この現象は実は年に数回発生していますの
で一年に日食はコンスタントに二回~四回、まれに五回発生して
います。つまり世界的に見れば、半年に一回から三ヶ月に一回発生
している通常の天文現象とすら言えるのです。

ただし、そういった普通の現象であっても、地球に落ちた月の影の
大きさは、概ね月の大きさに等しく、その中に入らないと日食を見
る事はできません。ですから、同じ場所で日食を見る事ができるの
は稀という事になります。一方、月食も同じ理屈なので、発生回数
は日食と似たような回数なのですが、月が地球の陰に入ると、月に
面している地球上からはどこからでも月食を観測できるので、同じ
場所で月食を観測できる回数は日食を観測できる回数より遥かに多
くなります。平たく言えば、月食では大騒ぎにならなくても日食は
大騒ぎになる事になります。

しかしながら、先ほども述べた様に、地球全体では日食はコンスタ
ントに発生していますので、どうしても、日食を見たいという方は
タレントの誰かさんの様に、海外で日食を楽しむという事も良い方
法ではないかと考えます。それは、今回の日食で、上海にいかれた
方と同じ事をする事になります。

次の日食は、2010年1月15日にアフリカ中部、モルディブ、インド
南部、スリランカ、ミャンマーで金環食が観察でき、日本でも西日
本中心に部分日食を見る事ができます。
また、2010年7月11日はイースター島を含むポリネシア、チリ南部
およびアルゼンチン南部で皆既日食を見る事ができます。
少し遠いですがご興味のある方は、チャレンジされれば如何でしょ
うか。


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2009年7月22日水曜日

ますます政府関与が必要になる衛星打上げビジネス

※写真はFalcon9。SpaceX社サイトから転載

SpaceXのFalconロケット、初の商用衛星の打ち上げに成功

マレーシアの地球観測衛星「RazakSAT」を搭載したSpaceX社の「Falcon 1
Flight 5」の打ち上げが13日、ハワイの南西2500マイルにあるクェゼリン環礁
にある発射施設で実施。打ち上げ1時間20分後、衛星は予定していた軌道への
投入が確認され、打ち上げは見事に成功した。

今回の打ち上げ、同社にとっては初の商用衛星の打ち上げともなった。

同社は創業者となるイーロン・マスク(Elon Musk)の個人出資企業として2002
年に設立されたまったくのベンチャー企業。本格的な宇宙ロケットの開発は国
家予算規模の多額の費用を要するのが普通で、個人出資企業がこうした本格的
な宇宙ロケットの開発に成功したというはスプートニク以降の宇宙開発史上、
初めてのことともなる。

同社のFalcon 1は米国政府の実験衛星を搭載して打ち上げ実験が行われてきた
が、Flight 1からFlight 3まで3回連続して失敗。当初の予定ではRazakSATは
Flight 4に搭載される予定だったが、Flight 4では万事をとって衛星相当分の
重りを搭載して打ち上げが実施し、打ち上げ実験はようやく成功していた。

同社は既に国際宇宙ステーション(ISS)への補給業務に関してNASAと受託契
約を結んでおり、今回の商用衛星の打ち上げ成功を受けて、ISSへの補給業務
も実現に向けて大きな前進を遂げたこととなる。

今回の打ち上げは1段目に自社開発のMerlin 1Cエンジン1基を使用し、低軌道
(LEO)に570キロのペイロード投入能力を持つFalcon 1が使われたが、実際の
ISSへの補給業務では1段目にMerlin 1Cエンジン9基を使用したLEOへ9900キロ
の投入能力を持つFalcon 9とやはり自社開発のDragon補給船が使用される予定。

Falcon 9の初の打ち上げ実験からは、射場をフロリダ州ケープカナベラル空軍
基地に移して年内にも実施される予定。

(テクノバーン 2009/7/15)


前回SpaceX社を取り上げたのは、NASAからISSへの補給契約を獲得
した昨年12月ですが、それ以降、確実に実績を積み上げています。
契約通り、Falcon9をケープカナベラルに輸送し、発射準備を完了
させました。もっとも直立させる迄は行ったものの、NASA側の都合
で発射は2009年中という事になりましたが、SpaceX社が、エンジン
テストを完了させ、機体を製造し、打上場所まで搬送し、発射準備
を完了させたという実績は残ったと言えます。

勿論、実際の打上は行われていませんので、完全に完成したとは言
えませんが、それでも大きな実績になったのは事実です。
Falcon9は2009年には2回、2010年には5回、2011年以降も、平均
3回の打上げが予定されています。NASAの発注が追い風となり、初
飛行も行われていない機体に、既に3社から4機の打上げ発注が行
われているのです。日本のH-IIAが、海外からの受注がなかなか得
られず四苦八苦したのとは、大違いです。

一見絶好調の様に見えるSpaceX社ですが、仔細に見るとなかなか難
しい事が判ります。小型衛星打上がロケットであるFalcon1は、派
生型のFalcon1eを含めても、受注は2機しかありません。今回の
Flight5でFalcon1として初めて商用衛星の打上げに成功した訳です
が、前回のFlight4(衛星は搭載していませんでした)を成功と数え
ても、打上げ成功率は40%に過ぎません。他のロケットの半値で打
ち上げられるとしても、なかなか受注を得られないのは、まだまだ
打上げ実績が少ない事が影響しています。
逆にいえば、Falcon9で受注が相次いでいるのは、NASAがバグ出し
をしてくれるので、発注側が安心していられるからだと言える様に
思われます。

世界の衛星打上げビジネスは、世界経済の急減速と衛星の大型化や
長寿命化もあり需要が縮小しています。その一方で、打上主体の数
は、既に、アリアンやロシアに続く第三の核になっている中国に加
え、新興のインド、ブラジルによる国策ロケットの開発が続いてお
り、これら各国の参入が確実な状況です。

その中で、日本のロケットが、生き残る為には、政府が一定の数の
衛星を打上る事でロケット品質を政府が間接的に保証する形でしか
有り得ない様に思われます。でなければ、数を打ち上げているアリ
アンとロシア、極端な安値で受注可能な中国や新興諸国に対抗して
生き残るすべがないと思われるのです。

SpaceX社の受注リストを眺めると海外からの受注が増えてきたとは
言え、まだまだNASAの発注の割合が圧倒的です。
それを考えればSpaceX社やOrbital Science社ですら、NASAのCOTS
がなければ生き残りが危うかったとすら言える様に思えてなりません。


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2009年7月21日火曜日

自民党に復活の日はくるのか?


加藤元幹事長「自民党にとって最後の解散だ」


自民党の加藤紘一元幹事長は21日、衆議院解散の本会議後、国会内で記者団
に「両院議員懇談会後の麻生太郎首相の演説はよかった。今回は自民党にとっ
て最後の解散となる気がするが、党は一つにまとまると思う」と述べた。

(産経新聞 2009/7/21)


細川内閣や村山内閣が失政の割には支持率が高かった事から類推す
れば、今回の衆議院選挙後にできるであろう民主党内閣は、マスコ
ミの強い後押しもあり、高い支持率が、その終わりまで継続するで
あろう事は容易に想像がつきます。ここ一週間ほどで、インド洋に
派遣している自衛隊の撤収は当分しない、永住外国人への地方参政
権はマニフェストに含めない等々。民主党の意見は、政権獲得時の
不安材料を取り除くかの様にブレにブレていますが、そんな事を気
にするマスコミは無い様です。

自民党は、衆議院で300議席を保有していても、参議院で少数与党
であった為に、不安定な政権運営を余儀なくされました。その教訓
を考えれば、自民党は、今回の衆議院選挙で敗北したとしても、次
回の参議院選挙では絶対に勝たねばなりません。逆に、民主党にと
っては、今回、安定多数をとれば、次回の2010年の参議院選挙まで
の一年間、自由に政権運営を行う事が可能と言えます。

村山内閣は、自社さ三党連立政権でしたので、大した事はできませ
んでしたが、内閣総理大臣として従軍慰安婦への謝罪談話を出す等、
日本の将来を拘束するダメージを与えています。それに対し、今回、
民主党は、単独政権が可能な得票を得ると予想されており、政権運
営でより自由に法案を成立させる事ができます。

今まで、法律や政策の継続性は、官僚が担って来た訳ですが、サヨ
クリベラリズムを思想的なバックグラウンドとして持つ民主党によ
って、全く異質な法案が成立する可能性があります。

次の自民党内閣になれば再修正すれば良いとの意見もあるでしょう
が、例えば、高速道路の無料化を行った場合、料金所の設備や料金
所の従業員は放棄または解雇される為、再度の有料化しても直ぐに
元に戻せる訳ではなく、また、非常にコストがかかる事になります。

同様に、第二次大戦時の個人賠償、人権擁護法、外国人への根拠の
ない権利付与、領土問題、国家主権の移譲等々、一度成立させると
元に戻すのが極めて難しい案件も多いのです。その意味で、次回参
議院選挙までの一年間、できる限り成立する法案の数を少なくする
様に活動する事が、自民党にとっては必須の行動という事になるか
もしれません。

私は、今の民主党が、まともな政治を行えるとは思えません。小沢
氏、鳩山氏、菅氏も全く信頼する事ができません。
それでも、民主党が選挙に勝てば、それが国民の意思という事にな
ります。
民主党が政権を取っている間、苦渋を噛み締めながら、自民党の政
権復活を信じ、市井の保守論者として民主党を批判し続けようと考
えています。


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2009年7月17日金曜日

What a class act! 先人を敬ったイチローに称賛の嵐

※写真はYahooサイトから転載

【米国ブログ】先人を敬うイチローに称賛の声

9年連続のオールスター出場を果たし、さらにア・リーグの1番バッターとして
1打席目で安打を放ったマリナーズのイチロー選手。今年も期待通りの活躍を
見せたイチローに対し、場外での行動にも称賛の声が上がっている。

スポーツチャンネルESPNのウェブサイトでは、イチローがオールスター戦前に、
セントルイスにあるジョージ・シスラーの墓参りをしたとのニュースを伝えて
いる。シスラーは2004年にイチローがその記録を破るまで、シーズン最多安打
の記録を84年間保持していた選手。弓子夫人および数名の友人と共に墓参りを
したイチローは、「セントルイスに来る機会はあまりない。野球界の偉大なる
先人に対して敬意を表したいという気持ちがあり、それは僕にとって墓参りを
するということだった」と記者に語ったと記している。

これに対しブロガーErik Loomisは、「イチローはセントルイスでのオールス
ター戦出場に際して、シスラーの墓参りをすると決めていた。他にシスラーに
敬意を表して墓参りをしようとした選手がいただろうか。このニュースを耳に
したら、イチローのファンにならずにはいられないはずだ」と記し、その行動
を称えている。(編集担当:松井望・山口幸治)

(サーチナ 2009/7/17)


イチローにとっては、当たり前の行動だったのかも知れませんが、
このESPNの報道に対する読者の反応は非常に好評です。
ESPNと似た記事がYahooのMLB特集でも、トップに近い位置に掲載さ
れています。Yahooの記事への反応もESPNと殆ど同じで、賞賛一色
と言って良い程です。面白いのは、先人への敬意を表する伝統を日
本的なものと書いた記事に対し、シアトルの伝統であるとするもの
がありました。勿論、そのコメントを書いた人もイチローの行動は
一流の競技者の一流の行動と評価したうえでの事です。

アメリカ人はドライであると良く言われますが、住んでみると意外
にウェットだったという経験があります。同様に先人へ敬意を表す
伝統も古いものではあってもアメリカの中で未だに生き続けてもの
なのかも知れません。それを表に出してくれたイチローへの感謝が
賞賛となって現れている様に思われます。

Ichiro visits Sisler's grave
http://sports.espn.go.com/mlb/news/story?id=4329684
Ichiro remembers George Sisler so we can, too
http://sports.yahoo.com/mlb/blog/big_league_stew/post/Ichiro-remembers-George-Sisler-so-we-can-too?urn=mlb,176888


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2009年7月16日木曜日

誰もが百回死んでも理解できない先軍政治

※写真は産経新聞サイトより転載

「韓国大統領、百回死んでも理解ムリ」北が批判

朝鮮中央通信によると、北朝鮮の祖国平和統一委員会の報道官は15日、韓国
の李明博(イミョンバク)大統領が今月上旬の欧州歴訪で、北朝鮮や金正日(キ
ムジョンイル)総書記を批判したことに関連し、李大統領は「(北朝鮮が進め
る軍事優先の)先軍政治を100回死んでも理解できないであろう」と非難した。

大統領は、ポーランドでの記者会見で、北朝鮮を「私たちが理解できない地球
上で唯一の国」と述べており、これに対抗した発言とみられる。

(読売新聞 2009/7/16)

朝鮮中央通信がいくら「(北朝鮮が進める軍事優先の)先軍政治を
100回死んでも理解できないであろう」と非難しても、誰もそれ
を深刻な非難とは思わないのでは、パロディ以外の何者でもないと
いう感想を覚えます。

日本でも、朝鮮新報を購読している朝鮮総連の会員は数万人規模に
縮小しているそうですし、本国でも人口が減少しているようです、
更に朝鮮人以外の北朝鮮支持者は、日本では、ますます細ってきて
います。その意味で、先軍政治の理解者は、既に絶滅危惧種と言え
る様になってきました。(個人的には一日も早く絶滅する事を心か
ら願っています。)

その上、先軍政治の提唱者という事になっている金正日自らが、糖
尿病、脳梗塞、ついには膵臓がんとまで報道され、暴飲暴食荒淫の
果てに然したる年齢でもないのにヨボヨボの老醜を晒している始末
です。改めて驚かれる方も多いと思いますが金正日は、まだ67歳
なのです。北朝鮮では、最高の医療を提供されているであろう金正
日でさえ、日本男性の平均寿命と比べても10歳以下、父親の金日
成と比べると、実に15歳短い寿命しか保てそうもない処に、体制
としての先軍政治の根本的な誤りを見てとれる思いがします。

北朝鮮が自らの体制としての正当性を主張するので、あれば、せめ
て、北朝鮮の平均寿命を10歳上げてみろと言いたいと思います。
(なお嘘の統計を発表するのはルール違反とします。)


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2009年7月14日火曜日

掴みかけた人気を維持できなかった麻生首相

※ロイターサイトより転載

首相「解散を決断」 21日解散、8月30日投開票へ

麻生太郎首相は13日午後、首相官邸で開かれた自民党緊急役員会で、衆院を
解散する意向を表明した。この後に開かれる政府与党連絡会議でも解散の意向
を表明する。7月21日に解散、公示が8月18日、投開票は8月30日とす
る方針。
緊急役員会には自民党の細田博之幹事長、古賀誠選挙対策委員長、尾辻秀久参
院議員会長らが同席した。

平成17年8月の「郵政解散」以来、3年10カ月ぶり。与党の自民、公明両
党が過半数を維持するか、民主党を中心とする野党勢力が政権を奪取するかが
最大の焦点となる。衆院議員の任期は憲法45条で4年と定められているが、
戦後23回の衆院選のうち、任期満了に伴う選挙は昭和51年の三木内閣での
1回だけ。残りはいずれも衆院の解散による選挙だった。衆院議員の任期は平
成17年9月11日から21年9月10日までだった。

(産経新聞 2009/7/13)


麻生首相は最後まで不本意だったのではないでしょうか。
何も東京都知事選で大敗した後に、解散を表明する事などしたくは
無かった筈です。しかしながら政権を浮揚させる力は残っておらず、
かと言って任期満了による選挙では、あまりに死に体で自民党にと
ってマイナスが大きすぎると考えたのだろうと思います。

本来は、自民党総裁に選出された直後に解散を打ちたかったと思い
ます。しかし折悪しくリーマン・ショックとその後の世界金融危機
問題の発生という緊急事態で断念を余儀なくされたのがケチの付き
始めとなりました。その後は、漢字の読み間違えや、ホテルでの飲
食、カップヌードルの価格の間違いと言ったマスコミの揚げ足取り
の影響で人気が急速にしぼんでしまいました。これに加え、靖国神
社への参拝を断念した事や、国籍法改正を不用意に行った事でも、
本来の支持層である保守派からも反発を招きました。政権発足後三
ヶ月で支持率が3割を切ったのは計算違い以外の何者でもなかった
と言えるでしょう。

その後は、人気の回復を図る事ができず、それに連れ解散権も封じ
られていったという事になるかと思います。後知恵になりますが、
世界金融危機問題への対応よりも解散を優先した方が麻生政権にも
自民党にも良い結果になっていただろうと思います。その代わりに
流石に300議席の維持は難しかったでしょうから、経済政策をこう
スムーズに実行する事はできなかったと思われます。

今回の衆議院選挙がスタートもしていない段階で、結果を語るのも
おこがましいのですが、都議会選挙と同様の自民党大敗と政権交代
が予想されます。『政権交代』というキャッチフレーズそのものが、
民主党への期待を高めます。自民党は地滑り的な大敗を喫し、当然、
選挙結果を受けて麻生総裁は辞任、麻生内閣は一年に満たない生命
を終える事になります。

麻生内閣には、決定的な落ち度はありません。寧ろ、一年の内に四
回もの予算案を通過させた点は、景気をより悪化させなかったとい
う点で評価すべきであろうと思います。
しかしながら、政権への支持は、何を行ったではなく、国民にどの
様な期待を抱かせる事ができたが決まります。

ホテルの飲食が問題になった時に、ラーメン屋で記者相手に夜食で
もとっていれば、事は大きくならなかったのかも知れません。
今でも秋葉原に行けば、ビル側面に掲げられた「俺達のタロウ」と
いう大看板を見る事ができます。麻生太郎は確かに一時期人気を掴
みかけたのです。が、麻生首相は、この「俺達のタロウ」という無
党派層に媚びる様なパフォーマンスを行うにはあまりにも貴族的
あったという事かも知れません。


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2009年7月13日月曜日

都議選 だれも報じないもう一つの大敗

※勝利を喜ぶ民主党 産経新聞サイトより転載

都議選 自公過半数割れ 民主54議席を獲得、初の第1党

東京都議選(定数127、42選挙区)は12日投票、即日開票された。政権
奪取を狙い、追い風に乗る民主党(現有34議席)が各選挙区で票を伸ばし、
54議席を獲得、初めて第1党となった。麻生政権の支持率低迷で逆風にさら
された自民党(同48議席)は38議席に大幅後退。公明党は現有に1議席を
加え23議席としたものの、自公を合わせた与党の議席は勝敗ラインの過半数
を割り込んだ。自民党内で麻生太郎首相の責任を問う声が強まるのは必至で、
次期衆院選に向け首相の進退に波及する可能性も出てきた。

投票率は54.49%で、前回(05年)の43.99%を大きく上回った。
自民は40年間にわたって維持してきた第1党から転落した。与党の過半数割
れで、石原慎太郎知事は難しい議会対応を迫られることになりそうだ。

民主は38選挙区で公認候補がトップ当選を果たした。七つある1人区のうち、
6選挙区で自民党候補らと争い、5選挙区で当選。3人を擁立した世田谷区や
練馬区では全員が当選するなど、圧勝した。

自民の38議席は、第2党に転落した1965年に並ぶ過去最低の議席数。特
に1人区では6人が落選する惨敗を喫した。複数人区でも荒川区や北多摩2区
で議席を失った。

公明も逆風下での選挙となったが、支持母体の創価学会を中心に徹底的な組織
戦を展開、5回連続の候補者全員当選となった。

共産党は前々回から続いた退潮傾向から脱せず、現有13議席を8議席に減ら
した。東京・生活者ネットワークは4議席が2議席になった。社民党は議席を
回復できなかった。

(毎日新聞 2009/7/13)


自民党が大敗するのは、もうお約束という感じがしていた都議選で
したが、その通りの結果になったと思います。
民主主義国の選挙では、景気後退中に、政権与党が勝利するという
のは、余程の争点が存在している時だけです。

結果的には、オーバーにすぎる表現という意見もありますが、百年
に一度というリーマンショック以降の景気の急速な落ち込みで、失
業や所得の落ち込みという形で、庶民が肌で痛みを感じている時に、
政権与党が選挙で敗れるのは当然と言えば当然なのです。

麻生内閣になってから、一年程ですが、この間、実に四回もの予算
案を通過させています。通常は一年に一回の予算を四回も通してい
るのは、内閣の成績としては立派なものです。そのお陰という訳で
もありませんが、景気もショックからの立ち直りがほの見えてきた
という状況にあります。そういう意味では、麻生内閣の経済運営は
適切を欠いていたとは言えませんが、マスコミは麻生内閣の批判一
色であり、評価する声は殆どありません。その点では、安部内閣の
時と同様の政権交代へのメディアスクラムが出来上がっています。

大都市圏は、無党派層も多く、その投票行動が、特にマスコミの報
道の影響を受け易い事を考えれば、今回の都議選で、自民が敗れる
のは、必然であったとすら言えます。

この敗北により、自公の議席は、選挙前は70議席でしたが、選挙
後は61議席と9議席の減少となりました。しかし、この与党の敗
北の陰に隠れ目立たないものの、実は大敗北を喫した政党が他にも
あります。一つは共産党。13議席から8議席へと議席は4割減と
なりました。もう一つは、東京・生活者ネットワークで4議席が2
議席と半減してしまいました。東京・生活者ネットワークの性格付
けは必ずしも明確ではありませんが、民主党左派や社民党と似た性
格を持つと言えます。

この結果は、一部に『蟹工船』現象として持て囃されていた、共産
党や、マルクス主義に対する若者の支持の増加が、殆どあるいは、
全く、選挙結果に現れておらず、逆に、民主党という『変化への期
待』だけに支持が集中している様子を示したものと言えます。
(実際に、民主党が都議会で何をやったのかを評価したものではな
い事は、民主党が都議会で知事提出の条例案に99%以上賛成してい
る準与党であった事からも明らかです。)

その意味で、確かに、民主党への世論の『変化への期待』は、大き
いものの、その支持の多くはマスコミの反自民キャンペーンと景気
悪化の責任を時の政権への批判に結びつけたものであり、民主の支
持基盤は、確固としたものではなく、争点の選び方によっては、振
り子は再度大きく動く事を予想させるものと言える様に思います。


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