2009年8月5日水曜日

六度目の発射延期 韓国初の人工衛星打上ロケット

※CGは朝鮮日報サイトより転載

韓国初の宇宙ロケット、またも発射延期
-「羅老号」発射に手をこまねくほかないワケ


11日に発射が予定されていた韓国初の宇宙ロケット「羅老号」が、共同開発者
のロシア側の最終テストで問題が発見され、発射が延期となった。

教育科学技術部は4日、「ロシア側が、先月30日に行った最終燃焼テストで予
想とは著しく異なるデータが発見され、これを分析するのに時間が必要だと伝
えてきた」と説明した。航空宇宙研究院のイ・ジュジン院長は「詳細に分析す
るのに数日かかる予定で、その後、両国間の協議で発射日程を調整する」と語
った。これで韓国初の宇宙ロケットの発射は2005年から07年、08年、今年第2
四半期(4-6月)、7月30日、8月11日、そして今回を含め6度延期されること
になった。

羅老号は液体燃料を使用する第1段ロケットと固体燃料を使用する第2段ロケッ
トで構成されているが、このうち最も大切な第1段ロケットはロシア・フルニ
チェフ社が開発し、今年6月に韓国に引き渡している。羅老号の第1段ロケット
はロシアが次世代衛星発射体として開発中の「アンガラ」の第1段ロケットを
借用したもので、ロシアでも1度も使用したことがない製品だ。

ロシアは2011年にアンガラの発射を計画している。このようにロシアはロケッ
トの安全性が確保できない状況のため、韓国に引き渡したのと同じロケットを
製作し、これまで現地で何度もテストを繰り返してきた。航空宇宙研究院は「
ソフトウエアの異常で燃焼テストが延期され、発射日が7月30日から8月11日に
延期されたが、燃焼テストが終わると今度はテストデータに問題が見つかり、
再び発射が延期された」と説明した。

現在、全羅南道高興郡の羅老宇宙センターにはロシアの技術陣が派遣されてい
る。イ院長は「ロシアは問題が発生すると、“慌てないようにしよう”と言い、
問題が解決すると“計画通り行こう”と催促するため、どうすればいいのか戸
惑ってしまう」と語った。

羅老号の発射に関して、このようにロシアのテスト結果に頼らざるを得ないの
は、言葉だけの「共同開発」だからだ。韓国政府は当初、04年にロシアとの開
発契約を結ぶ際、2億ドル(現在のレートで約190億6200万円)を提供し、第1
段ロケットの全技術の移転を受けることとなっていた。しかしその後、ロシア
側の要求で、宇宙関連技術の移転を禁止する宇宙技術保安協定(TSA)を07年
に締結したことから、韓国の研究員がロシア側での開発に参加できず、韓国に
引き渡された第1段ロケットの内部を観察することができない。今回もロシア
は、3日夜にファクスで「待て」と伝えてきただけで、具体的な説明はなかっ
た。そうかといって代案があるわけでもない。米国、日本、欧州は、宇宙発射
体は大陸間弾道ミサイル(ICBM)と同じ原理という理由で、技術移転を拒んで
いる。韓国の力で宇宙発射体を開発するまで、今回のようなことが繰り返され
るほかない。

(朝鮮日報 2009/8/5)


昨日、11日に打上げが決まったと書きましたが、残念ながら六度
目の打上げ延期になってしまいました。
「羅老号」の一段目は開発途上のアンガラロケットのURM(Universal
Rocket Modules)そのものです。ロシアでも打ち上げた事がないだ
けに初のフライトテストでの打上げに慎重になるのも当然と言えば
当然なのです。

日本のH-IIAであれば、打上げ前に実機エンジンを使った燃焼テス
トを行っていますが、「羅老号」の場合をそれを行っていないか、
行っていたとしても、テスト後に燃焼制御用のソフトを大幅に入れ
替えている様子です。開発中のロケットであれば、それも止むを得
ないのかも知れません。

これと似た様な話がロシアのインド向け航空母艦建造計画でも起こ
っています。この話はもっと酷いもので、契約で決まった金額の他
に追加費用を支払わないと引渡しできないというものです。それと
比べれば追加費用を要求されていないだけ「羅老号」はましである
のかも知れません。

まあ、日本もサハリン1、2のガス田開発で痛い目にあっています
から、ロシアとの取引を行う上で、この手のリスクは当然見込むべ
きであり、それが嫌なのであれば、ロシアを提携相手に選ぶべきで
はないと言える様に思います。


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