※笑顔を見せていないが、本心は?写真はロイターサイトより転載
「弱腰」の汚名 返上なるか
ビル、今度は大丈夫か? 米国のビル・クリントン元大統領(62)が4日、
北朝鮮訪問のため空路、平壌入りした。中朝国境での取材中に拘束され、不法
入国したなどとして実刑判決を受けた米テレビ局の女性記者2人の解放を目指
し北朝鮮側と協議する。金正日(キムジヨンイル)総書記(67)とも会談し
た。米朝が核、ミサイル問題で本格協議を開始する契機になりそうだが、米国
が北朝鮮のペースにはまる危険性もはらんでいる。
ホワイトハウスは、クリントン氏の訪朝について「2人の記者を解放するため
の、完全に私的な訪問」と強調するが、米朝双方が核やミサイルをめぐる対立
状況を対話局面に転換する効果を期待していることは間違いない。とりわけ北
朝鮮にとっては、“大物特使”を利用して米朝による2国間協議に持ち込もう
とする思惑があるとみられる。
バラク・オバマ政権の北朝鮮外交は発足以来、北朝鮮が対話の呼び掛けに応じ
る気配がないまま5月に2回目の核実験に踏み切るなど、糸口が見つからない
状況が続いてきた。
そんな中、6月に2記者に労働教化刑12年が言い渡され、何らかの行動を取
らざるを得ない状況に追い込まれた。妻のヒラリー氏(61)が国務長官であ
る特殊事情もあり、「元大統領」の登場となった。
米大統領経験者の訪朝は、クリントン政権下の1994年6月に核問題をめぐ
る危機回避のために訪問し、金日成(キムイルソン)主席(1912~94年)
と会談したジミー・カーター氏(84)以来。クリントン氏は、このときのカ
ーター氏に自らを重ね合わせているようだ。
しかし、クリントン外交は北朝鮮にまんまとだまされている。1994年の核
危機で米国は寧辺(ヨンビヨン)の核施設をピンポイントで空爆することも検
討していた。しかしクリントン氏は融和外交を取り、政権末期には国交正常化
に意欲を見せ、国務長官のマデレーン・オルブライト氏(72)を送り込んだ
ほか、最終的には断念したものの2000年末には自らの訪朝も計画した。
カーター氏の訪朝を受けた米朝枠組み合意で、米国は北朝鮮に軽水炉と重油を
提供した。しかし北は2002年に核凍結を一方的に解除し、2006年に核
実験を強行。北の核保有を許したのはクリントン政権の弱腰外交の結果だとい
う指摘を受けている。
クリントン氏にとって9年越しに実現した訪朝だが、オバマ政権が言明してい
る「米朝対話は6カ国協議の枠内だけ」という原則を曲げるようなことがあれ
ば、国連安保理決議に基づく国際社会の制裁の動きに大きな影響を与えること
になる。
米国人女性記者拘束 北朝鮮当局は3月17日、中朝国境の豆満江付近を取材
していた米ケーブルテレビ局「カレントTV」に所属する中国系のローラ・リ
ン記者、韓国系のユナ・リー記者を拘束。中央裁判所は6月8日、「朝鮮民族
敵対罪」と「不法国境出入罪」で、懲役にあたる労働教化刑12年の判決を言
い渡した。2人は判決後も平壌市内にいるとみられている。
(産経新聞 2009/8/4)
北朝鮮で一日いただけで二人のジャーナリストは解放されましたが、
これは、クリントンが卓越した外交手腕を持っていたからではあり
ません。実は、数ヶ月に及ぶ国務省と北朝鮮の国連使節との間で交
渉の結果を収穫しに出かけただけであって、あの場で交渉を行って
いたのではなかったとAP通信は報じています。
北朝鮮にとっては、罪を認めているジャーナリストは、非常に都合
の良い人質であり、今回の交渉は、この外交上の資産を如何に高く
米国に売りつけるかという問題であったと言えます。敵の元元首を
呼びつけた上で、罪人に特赦を与え解放すると言う行為は、米国に
対し道徳的な高みに立つという面でも、金正日にとって快感であっ
たに違いありません。
一方、クリントンにとっては、ジミー・カーターやアル・ゴアと言
う民主党の先輩や同輩が受賞したノーベル平和賞に自身を近づける
近道と言えます。その様な意味から考えると、北朝鮮が、人質とな
ったジャーナリストの雇用者ではあっても、既にノーベル平和賞を
取ったアル・ゴアではなくクリントンを解放の相手に選んだのは、
クリントンのノーベル平和賞への願望やヒラリー・クリントン国務
長官への影響力を理解した上での選択であると言えます。
たった一日の滞在でしたが、徹底的な調査と計算の上でクリントン
は北朝鮮にもてなされた事はまず間違いありません。また、クリン
トンがその手の誘惑に弱い事は、大統領在任中の不適切な行為で明
らかになっています。(日本でも、北朝鮮に対し強面で鳴らした何
人もの政治家が、たった一回の訪朝で、見事に北朝鮮配慮派に転向
した事が思い起こされます。)
クリントンが帰国に際し、金正日からオバマ大統領に対する親書と
言葉が託されている事は間違いありませんし、クリントンがオバマ
に対し北朝鮮に対する好意的な助言をするのも確実と言えます。実
の処、金正日にとってそれこそが、政治的な身代金に他ならなかっ
たと言えます。
北朝鮮にとっては、現在の金正日体制に対する保障を米国から取り
付けるのが、一番の政治的目標です。但し、同時に対米核抑止体制
を構築する事も、米国から現実的な体制保障を取り付ける上での条
件になるとも考えている筈です。従って、核廃絶を唱えるオバマ政
権とは、政策的にも対立する訳ですが、その様な状況の中で、米国
や韓国、日本から自国に有利な援助を取り付けつつ、並行して核戦
力の充実も図るという外交的アクロバットを演じようとしていると
考えれます。そして、その第一手が今回のクリントン訪朝という事
なのです。その意味で、今回のクリントン訪朝を機に、米国と北朝
鮮の間で、急速な外交的展開が図られる可能性が高いと思われるの
です。
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